2009年12月31日木曜日

KORG MA-30 METRONOME

 2009年もいよいよ終わろうとしています。大晦日、世間一般では紅白歌合戦など見たりしているのでしょうか。家族そろって、同じテレビを見て年を越す。昭和を思い起こさせるような風景でありますが、今、我が家ではテレビついていません。それどころか居間に私ひとり。これは練習のチャンスじゃないのか? よし、さっさと日課やらなんやら片付けて、ベースの練習するぞ。今年はベースで年越しだ! という気分になっています。で、取り上げようというのがメトロノーム。いやね、ベースに限った話でもないんですけど、楽器の練習にはメトロノームは必須でしょう。特に、ドラムとともにバンド内でのテンポ、リズムをキープしなければならないベースとなればなおさらです。といったわけで、一年の最後はメトロノームとともに過ごすことになるのではないかと思っています。

で、私の使っているメトロノームなのですが、KORGのMA-30という非常に安価なものです。ポケットに入る小ささが魅力。電子メトロノームらしく、単純にテンポを刻むだけでなく、中抜きの付点や三連もできるし、さらにはチューニング音を出すこともできるしと、とりあえず持つにはこれで充分なんじゃないかと思える、そんなメトロノームであります。

これを買ったのはいったいいつだったか。ちょっと思い出せないのですが、おそらくはもう5年ほども前じゃないかな、あるいはもっと前。当時使っていた機械式のメトロノームの動きがあやしくなってきたので、かわりにと思って楽器店にいって、いろいろ見比べて、まあテンポキープしてくれればそれで充分なんだから安いのでいいよね。といったようなわけで、これを買ったのでした。

最初の数年は機械式のメトロノームを使って、これは予備といった具合であったのですが、あやしかった動きがなおさら微妙になってきて、ついにはすぐにとまるようになってしまって、ついに世代交代の時期がきたか。それ以来、このメトロノームを使い続けています。譜面台にのっけて、ピコピコいわせながら練習しています。ギターの、ベースの、ソルフェージュの、サックスの、とにかくあらゆる楽器に対応可能、ってそりゃ音が聞こえさえすりゃいいわけだから、楽器を選ぶなんてことまあないわけですが、この数年文句もいわず、トラブルもなく動き続けてくれて、大変ありがたい。頼りにしているわけです。

もしこれが壊れるようなことがあれば、次はどうしようか。そんなことを思うこともありますが、まあ簡単には壊れないだろうなあ。そんな予感がするものだから、当分はMA-30と一緒に練習することになるのではないかと思っています。

2009年12月30日水曜日

『まんがホーム』2010年2月号

『まんがホーム』2010年2月号、発売しています。発売は一昨日のことで、まあ昨日もいってましたけど、忘れてまして、この年末年始の発売日の変更、また仕事に出る出ないの状況の変化などなど、いろいろがからみあって、いつも買っているもの買い忘れたりすることがやたらと増えるんですよね。昨年もそんなことがありました。あとになって気付いて、あれ? 買ってなかったっけ? 確認して買ったのですが、それが単行本であったのは不幸中の幸いでした。雑誌ならきっともう手に入らないタイミングでした。といった具合に年末年始はパターンが崩れて、いつもどおりにはいきません。

『天国のススメ!』、久々のゲストです。前回ゲストは2009年10月号でした。『晴れのちシンデレラ』の宮成樂の漫画なのですが、幽霊になっても元気なお婆さんが可愛くっていいんですよ。若ぶってることもあるんだけど、見た目が可愛いだけでなく、その行動が可愛いのですね。そしてそれは主人公太一の友人十子さんにしてもそうで、この宮成樂という人は、気持ちをはっきりとぶつけられない女の子の可愛さを描かしたらすごいなと、あらためて思うのでありました。けど、この漫画は可愛さだけが売りじゃない。霊が見えるということを取り上げて、はっきり見える、それともおぼろげに? その違いで全然違う反応とか、そういうのが面白くて、この人の漫画はやっぱりいいなって思うのでした。

『東京!』。東京の駅名にまつわる名字をもった生徒たちの学園ものなんですが、はじまった当初は土地土地の特徴が強く押し出されていたのが、あっさりと触れられる程度に後退して、けれど今のバランスはとてもいいと思います。八王子、武蔵、国分寺が遠いとか、それはもう前提として馴染んで、だからキャラクターの個性そのものを前に押し出そうというフェーズに入ったという感じ。悪くないです。そして秋葉原正親と渋谷ケンジ。なにかと対立してるみたいなふたりだけど、なんだか妙に仲良いところも見えて、ちょっとこのふたりの関係、気に入っています。渋谷が正親のこと、嫌いじゃないから、気になってしようがないからちょっかい出してるみたいに見えてね、なんかいいなって思うのですよ。そして私は国分寺さんが好きです。ちょっと人付き合いが苦手そうなところとか、とてもいいです。

『おしのびっつ!』、面白い。忍者の末裔、ふたりの本領発揮というか、リミッターがない状況での活躍。あの手この手でのスーパー売り出し攻略が、そして万引きGメンとの邂逅なども。しかしこうして見ると、ふたりはまだ修行中の身なのだなと、すくなくとも母上が怖いのだなと、そんな様子が見えるのも面白かったです。というか、これまでも母上最強だったような気がします。

『こむぎみっくす』、ゲストです。先生に恋する幼稚園児のこむぎと、パパとの話。小さな子供とパパとママ。その三人の関係は見ていて面白く、おしゃまなおちび、強いママ、弱いパパ。しかしほんと、なんでパパは趣味が制限されたりするんだろう。なんて思いながら、それでもなんだか和気藹藹と家族のあたたかさが感じられたりするところはいいなと思いました。とりあえず、ママが酷いな。その酷さもまた魅力とは思うけれど、夫にも子にも微妙なジョーク、態度を見せながら、けれどそれでもちゃんとやさしくするところはやさしいというのがよいのだと思います。

『お江戸とてシャン』、最終回です。まさに大団円といった様子。焼けたお江戸の再建話。そして、以前とはちょっと違ってくる関係。その変化していく様子もまたよくて、よかったなあ、亀松さん。そして虎吉の去就も決まり、またおひなとの関係も決まり、いい盛り上がりを見せた晴れやかなラスト。とてもよかったです。今を一番に楽しんでいる、そうした気性が気持ちいいんだよっていうお話に、なんだか元気をわけてもらったかのように感じています。

『三日月の蜜』、仙石寛子の新シリーズです。これ、この人の得意の気持ち、心情をこまごまと描いていく、そんな漫画なのかなって思っていたら、最後に思いもしなかった展開になって、これはいい、これはいける、これは面白いよ。俄然前のめりになってしまったのでした。この人の漫画は、繊細だったり辛気臭かったりする、そういう心情のもろもろをふふりと笑いながら楽しむ、そう思ってたのに、こんなに前のめりになってしまったら、もう後には引けない。今から次回が楽しみです。

『まりかちゃん乙』、ゲストです。ヒロインゆなは転校生。ものすごい説明的な1ページ目を抜ければ、そこにはすごい変わりものが! モーレツー!!! わりとベタめな漫画ですが、それでも面白かったです。一筋縄ではいかない九鬼まりか。素直じゃない、ひねくれてる、変わりもの、でも根は悪い子じゃなさそう。ベタめとかいったけど、類型的かといわれると、そんなこともないまりかちゃん。彼女のキャラクターがどう動くか。それが肝かなって思っています。

  • 『まんがホーム』第24巻第2号(2010年2月号)

2009年12月29日火曜日

『まんがタイムきららキャラット』2010年2月号

『まんがタイムきららキャラット』2010年2月号、発売です。って、発売は昨日だよ。いやあ、もう、なんだろうなあ、すっかり忘れてしまってたんですよ。で、今日、漫画家さんのBlogにて『まんがホーム』が発売中とあるのを見て、おーまい、忘れとったよ。そうだよ、年末営業最終日に『キャラット』と『ホーム』が出るんだったよ、って思い出して、文字通り買いに走りました。そしたら『ホーム』は数冊あったんだけど、『キャラット』が見当たらなくて、あれ? ないの? そう思って焦ったら、一冊だけありました。美本! よかった! 探しまわらなくてすんだ! ってなわけで、表紙はエキセントリックな着物のゆのさんです。でも、可愛かったらありよね。文化的には保守の私ですが、可愛かったらありです。

『ラッキー・ブレイク』、安定してると感じるのだけど、ちょっと登場人物がわからなくなってきました。登場人物把握のために、整理をかねて読み直してもいいかなって思ったり。で、今回登場? デイちゃん、ちょっと好きになりそう。私も酷く車酔いするから、同情なのかな。同情が愛に変わってもいいよね? しかし、涙ながらに訴えるところ、可愛すぎです。でもって、これ大阪が舞台だから、空港が大阪空港。最寄りの空港ですよ。でも私はモノレールでいくから、道路事情がわかりません! 車嫌いだから極力電車移動なのです。

GA — 芸術科アートデザインクラス』にはちょっと驚かされました。漫画の登場人物が、漫画という世界の表現形式に働きかける。ハサミで切り、台詞から写植を切り刻んで再構成し、そして消しゴムで消す。しかし、こういうスラップスティック、ナンセンスな面白さがシリアスな描写に切り替わる、その鮮かなこと。あんまりに鮮かだったものだから、ちょっと泣いてしまいそうになりました。あの圧倒的な空白を前にしての絶望や焦燥が、胸に突き付けられるように迫ってきて、たまらんかったのです。いい話といえばそのとおり、しかしそれだけでなく、強い、そう思わせる回でありました。

ねこみみぴんぐす』、今回は前回再登場の卓球場のお姉さん、あの人の出鱈目っぷりがおかしいとかいっていたわけですが、小ネタ多めのばたばたとした面白さは今回も継続中、と思ったら、実はそうじゃなかった。花とひよりのこれまでの関係が変わるかも知れない。ふたりにとっての卓球への関わり方、それが変わるかも知れない。この回は彼女らにとってのターニングポイントとなる、後に振り返れば大きな意味を持った回になるのかも知れません。このシリアス、嫌いじゃないです。いや、つまりは、すごくいいって思ってるってことです。

『Felice』、これ第2回か。私が門瀬粗のひいきであるからかも知れませんが、2回目にして充分に面白い。自分の前で堂々と下着の話や着替え、というかスカート落ちやらかしたりして、それに対応できない大地の気持ちはなんかちょっとわかる。この、前提となる状況を作っている段階でこんなに面白いってのはすごい。でもって、凛が灯里への対抗手段を手にするっていうの。ある種の加減だけど、こうして関係が破綻しないよう手加減しながらのやりあいが可能となったわけで、なら次号はさらに打ち解けた感じになるのかな。すごく期待してしまいます。

うらバン!』。おお、見事に音楽漫画だ。あのリズムが揃わないっていう描写。ちょっと面白かったです。そう、できてない人ほど、できてないことに気付いていないものなんです。トランペットでミュートでタブーですが、これは世代によってはわからない。OBとの交流が盛んだったりすると、意外とネタが受け継がれたりするから、そんな感じなのかな。あるいは、ドリフリバイバルとかの影響なのかな。もうひとつの可能性については検討しない方向で。しかし、新しく参加したトロンボーンのお嬢さん、萌ちゃん。とてもいい感じ。ハルくんのいい対抗役として機能して、けど性格は違っている。とてもいい感じ。漫画自体のテンポもよくて、面白かったです。

『もこもこBOX』、新連載です。これ、カッチとラビのふたりの可愛さもいいんだけれど、それ以上にふたりを見守っている狐のお姉さんの存在が大きいように感じています。可愛いものたちがいるというだけでなく、その可愛いものたちを眺める視点がある。その見守る気持ちの暖かでやさしげなのがいいんだなって思うのですね。

空の下屋根の中』。か、会社、潰れたんだ。で、話が倒産や就職などといった真面目なテーマにシフトしているというのに、コートの置き方という、わりとどうでもいい話から離れられないヒロインがすごい。筋金入りだと思う。で、バイト辞める意味がなかったみたいな総括がきて、いや、わかってたんだけど、この人はすごい。嫌いじゃないよ。私は、変な話だけど、この娘さんのようなこと、未だに考えてしまうことがある。だから、なんか他人事じゃないのですね。やる気は、とりあえずやりはじめないと出ないんだよな。ええ、他人事じゃないのですよ。

『Girls f/2.8』、ゲストです。タイトル見ればわかる、ああ、明るい女の子が主役なんだ。で、写真、カメラものっていうこともわかります。これ、いいタイトルだなあ。写真やってない人には通じにくいと思うけど。おそらくは楽しく過ごす写真部活ものになるだろう、そんな導入でありましたが、タイトルのつけかたや、この回の様子など見るに、結構面白くなりそうなんて思えて、だからちょっと期待したいと思います。いやね、あの何撮りたかったのかさっぱりわからん写真とかいうの、最初はほんとにそうなんですよね。ああ、わかるわ、私もそうだったって思って、そうした共感もプラス評価に働いてるのだと思われます。

『ほわほわクエスト』、ゲストです。今回は、前回よりもしっかりとした展開の枠、オリエンテーリングという舞台が用意されて、しかしその枠内で前回同様に流れていってしまうっていうのが面白かったです。ふたつのグループ、出会った時の状況こそは似たもの同士だけど、その前段がぜんぜん違ってますというのも面白く、そして結果じゃなくて過程が面白かったからいいよねっていう落ちもよかったです。

『かためで』。回を追うごとに面白さを増してます。あの刀、真剣なんだ。しかし、普通の学園ものといった顔と、帯刀文化というナンセンスな顔が真面目に共存してるところ、強烈。これは面白いなあ。しかも乗用車両断とか、しかもそうしたエピソードが後に効いてくるとか、面白いなあ。これ、予想外といったら失礼ですけど、大当たりだと思います。

『Fly・High』、ゲストです。空を飛びたいっていう女の子の話。うん、気持ちはわかる。私も鳥になりたい。このゲスト回については、なかなかに楽しく読めたのですが、これで話が広がっていくとしたら、どんな風になるんだろうと思ったり。広がりにくいように思ったんですが、これで思わぬ展開を見せられたりしたら、きっと好きになってしまいそうな気がするんですね。続くのかどうかとかはわからないけれど、嫌いな感じではなかったです。それはつまり、結構好きっていうことです。

  • 『まんがタイムきららキャラット』第6巻第2号(2010年2月号)

2009年12月28日月曜日

『月刊アフタヌーン』2010年2月号

 『月刊アフタヌーン』2010年2月号、買っています。今月の表紙は『友達100人できるかな』。ちょうど単行本2巻が発売されたところだからでしょうね。なんか、『アフタヌーン』が少年誌みたいに見えますですよ? しかし、これ人気あるのでしょうか。だとしたら嬉しいななんて思います。友達100人できないと地球滅亡なんて、えらく大仰な前提があったりするのですが、内容はなかなかにストレートな友情もの。読んでいて、そのストレートさにがつんとやられること、実に多いのですね。ええ、今月もがつんとやられましたよ。

いもうとデイズ』。前回読んでない人の中には、今回の冒頭、兄さんの回想を誤解してしまったりする人も出たりするんじゃないだろうか、なんて思ってしまう、ちょっとセンセーショナルな出だしであります。

それはそうとして、今回は新しい先生が登場。見た目に可愛らしい。けれど、中身は結構打算的。それはリアルなのかどうなのか。しかし、こうした内面に気付いて、妨害工作講じるまりかちゃんのアグレッシブさ、また計画の確かさも素晴しい。子供だと思ってあなどってたら、やられちゃうよっていう、そんなところが素敵です。

しかし、ぶりっ子先生の泣き落しに陥落する男衆のだらしなさが描かれる反面、お兄さんはちっとも騙されたりすることなくて、こういう余裕のある、あるいはがっついてないところ。これがお兄さんの魅力なんだろうなって思います。ディアナに対する兄さんは、小さな身内としての妹を心配して慈しんでいるっていうことが、しっかり伝わってくるようで、それゆえに安心して読めるのだと思うのですね。

しかし、女性慣れしてるってことなんだろうと思うんだけど、そんなに胸がでかくなったのっていつから? なんて真正面から聞けるのは、もはや才能だと思います。

百舌谷さん逆上する』、とても素晴しかった。フォーカスが当たってるのは、百舌谷さんというよりかむしろ千鶴なんだけど、千鶴の百舌谷さんに対する辛辣な視線やいらつきがあって、そしてかつて百舌谷さんを取材した父から聞き出す百舌谷さんの過去があって。それが本当に素晴しかったのです。

策略めぐらす百舌谷さん。状況を自分の意のままにすべく暗躍する。その狡猾さ、残酷さが彼女の魅力で、そしてこうした策謀の描きかたに篠房六郎の魅力があるのだと再認識するかの思いです。屋上から見下ろす百舌谷さんの冷たい視線。それまでの、可愛さを演じていた彼女との落差がすごい。もう、素敵。こういう展開を待ってたんだ! と思うほどに素晴しかったです。

しかし、百舌谷さんが狡知に長けているという、そんなシーンを描きながら、それだけではない、彼女の真実は別にあるのだと匂わせる。そうしたところがとてもよかったです。こうしたところが描かれるから、百舌谷さんが救われてくれればいいなと思えるのかも知れません。そして千鶴の作戦は、百舌谷さんをどのような状況に押しやるのか。予想できない展開に、わくわくする思いがとまりません。

でもって、韮沢合歓ちゃん。いい子だなあ。私、この子、大好きです。

引用

  • 井上ユキ「いもうとデイズ」,『月刊アフタヌーン』第24巻第2号(2010年2月号),824頁。

2009年12月27日日曜日

OMENS OF LOVE

 本日、楽器店が主催する、吹奏楽のイベントに参加してまいりました。いやね、先日のこと、楽器購入後一年間は、調整を2度、無料でうけることができるというので、いける時にいっておかないと、って思って楽器持っていったんですね。それで、調整の待ち時間に店員さんとお話ししてて、楽器は持ってるけど吹く機会がまったくないんですよ、なんていってたら、そうそう、年末にイベントありますよ、いかがですかって誘っていただけたんです。そのイベントとは、当日楽譜を受け取って、午後練習、夕方本番、初見で吹奏楽体験というものだったんですね。ああ、こういうの面白そうね。そう思って、私には珍しく乗り気で応募してしまいました。で、その本番というのが今日だったのでした。

ちなみに、その楽器店とはここ。

Musical instruments shop

どっかで見たことある? 細かいことはいいっこなしよ。

今日渡された曲目は、『サウス・ランパート・ストリート・パレード』、『世界に一つだけの花』、『オーメンズ・オブ・ラヴ』の3曲です。わお、懐かしの『オーメンズ・オブ・ラヴ』。これ、超名曲。美しく親しみやすい旋律、リッチな編曲、すごく吹いていて楽しい曲なんです。

で、これって、THE SQUAREの曲なんですってね。知りませんでした。先日、友人とSkypeで話した時に、あれSQUAREよ、って教えてもらって、えーっ、そうなんだ。全然知らんかったよ。THE SQUAREといえば、言わずと知れたTRUTH。F1番組のテーマ曲なので、SQUARE知らなくても耳に覚えている人は多いはず。これも吹奏楽に編曲されて、もう大人気。そして、宝島。これも超ナイスな名曲で、吹いていてめっぽう楽しいの。もう、SQUARE大好き! ってなものでございます。

『オーメンズ・オブ・ラヴ』吹いてさ、いやね、吹奏楽でソプラノサックス吹くのははじめてだったんだけど、あの細かなパッセージを吹くの、すごく快感なのね。メロディの入りや合間に走句が入るんだけど、きらきらした感じや勢いのよさが出て、すごく気持ちいいんです。こういうの、クラリネットとかがよくやるんだけど、ソプラノサックスでもいけるわー、って思って、いや、もう、ほんと、楽しかった。

で、『オーメンズ・オブ・ラヴ』。ソプラノサックスでの参加も楽しかったけど、これ、エレキベースがすごくいいんですよ。吹奏楽でも、ポップスやフュージョンならエレキベースはありですよ。シンプルな八分音符の刻み(なんていうのこういうの)なんですけど、なんともいえない魅力があって、昔っから大好きで、『オーメンズ・オブ・ラヴ』はベースが入ると入らないとで、全然違うなんて思うのですね。もう、『オーメンズ・オブ・ラヴ』やるってわかってたら、サックスに加えてベースも持っていったのに!

といったわけで、目下の私の悩みは、サックスとベースをいっぺんに演奏できないことです。つくづく思うんだけど、私は全部のパートをやりたいんでしょうね。もう、ほんと、無理な相談です。

2009年12月26日土曜日

『まんがタイムオリジナル』2010年2月号

『まんがタイムオリジナル』2010年2月号、発売です。表紙は、『ラディカル・ホスピタル』から山下榊ペア。ハリセンを手に、どつき漫才している。さすが山下姐さん、どえらいお似合いで、これ、かつみ・さゆりがモデルなんでしょうね。榊が手にしている花、糸が山下左頭に伸びてます。山下榊以外にもお笑い芸能を描いたカットがありまして、『らいか・デイズ』は太神楽、『ひよりすと』は落語、『アサヒ!』はライオンの太郎を相手に猿回し? やってます。ライオン回しなのかな? ある意味、これも獅子舞ですね。噛まれたくないけど。

『マチルダ! — 異文化交流記』、マチルダがクラスの皆に紹介されまして、あやの友人、真菜と沙織も登場です。真菜、ドール好き。沙織、眼鏡。真菜のキャラクター造形、切り揃えられた前髪と、ゆるくウェーブのかかった髪。ちょっといいなと思ってしまいました。すまぬ、眼鏡。マチルダのあやに対する失礼はとどまるところを知らず、けれど真菜あたりは、マチルダに対抗できそうな人材と思えて、ちょっと楽しそう。本格的に話が展開されるのを、心待ちにしてしまいます。

『恋は地獄車』。やっぱりめちゃくちゃ面白い。しかし、後藤さん、モテ子に恨みでもあるんでしょうか。辛辣に辛辣を上塗りする彼の態度、素晴しい。しかもその辛辣さ、モテ子、女に対してだけじゃなく、男に対しても発揮されて、非常にいいキャラクターであると思います。モテ子はるなちゃんのようなタイプは私も嫌いです。

ところで、ヒロイン万里子のヒモ。彼見ていて思うのだけど、ああやって立場を確保し、養われることに躊躇がないというところ。才能なんだろうなと思います。私は無理だなって。なんか悪いなって思っちゃうんですよね。

そして社内でウワサになったという滝くんの告白。あれ面白おかしく流布したの、絶対はるなだと思う。なので、こういうお嬢さんは好かんのです。

『ふたりぽっぽ』はお家での風景。身を挺してくるを守るこばと。なんという素晴しさでありましょうか。で、猫の豆ぞー。めちゃくちゃ可愛い。豆ぞーと遊ぶこばたんも可愛い。ただ可愛いだけの子らではないけど、でもやっぱり可愛いと思ってしまう。くるだって、ちょっとやりすぎるだけで、可愛い娘だものなあ。でも、やっぱり可愛いだけではない漫画であります。

『アトリエZOOへようこそ!』、面白いです。漫画家という職業は、周囲から見るとなんだかわからなくて、怪しまれることも珍しくないとか、ほかからも聞いたことのある話です。しかし、今回は漫画家というよりも、長崎がテーマといったような風。あの、長崎言葉でまくしたてるところ、ちょっと好きになりそう。いいよね、方言って! 方言、大好きです。今の職場で仲良くしてもらっている人が長崎の離島出身らしいのですが、カステラはもう一生分食べたっていってました。長崎といっても一様ではないと思いますが、今度、ミルクセーキについて聞いてみよう。地方地域の特色豊かである、そんな話は好きだから、長崎という土地への愛が感じられる今回の『アトリエZOO』、すごく面白かったです。

そこぬけRPG』、きっとカナさんの藤崎さんへのあの台詞、首やら鎖骨やらっていうの、新刊の内容なんでしょうね。ちょっとどきどきしますね。やっぱりこの人は可愛い人だと思います。

『今日から寺バイト』。蕎麦が食べたくなりました。百人前を食べろという正月、夢のようじゃないですか。天国ですか? しかし、奥さんが可愛いといってますけど、いっつもいってますけど、お母さんも可愛いですね。天国ですか? といったわけで、私の煩悩も鐘の音で祓わないといけないようですね。

開運貴婦人マダム・パープル』、庄部さんがやばい! しかし、姉妹に占い師がいるだけあって、庄部さんの母もなかなかに豪気ですね。息子の妻が人形でもいいのか。ほんと、庄部さんがやばいです。

『うわさのユーレイちゃん』、ゲストです。なんだか可愛い幽霊の女の子、ユーレイちゃんがヒロインです。素朴な絵柄。親しみ感じさせる雰囲気に、ほのぼのとした内容がマッチして、面白かったです。彼女のことが見えるのは先生だけ? ユーレイちゃんにも、普通の生徒のように接する先生、その関係がとてもよかったです。

  • 『まんがタイムオリジナル』第29巻第2号(2010年2月号)

2009年12月25日金曜日

Schütz: The Christmas Story

 先日、バーンスタインの『ミサ』を探していたところ、前から興味のあったものを見付けたといっていましたね。それは、シュッツの『クリスマス物語』。そう、まさに今クリスマスシーズンだから! というわけでもないのだけれど、でもクリスマスを目前とした時期だったからこそ、思い出して、そして手にとったのだろうと思います。

私がこの曲を知ったのは、So I've Heardという、音楽史をざっと概観させてくれるマルチメディアタイトルにて紹介されていたからなのですね。Bach and Before、古代、中世からルネサンス、バロックにいたるまでを扱って、そのまさに終盤に現れたシュッツの『クリスマス物語』、その鮮烈な印象に打たれて、美しいコーラス。singen singenと歌われる、ドイツ語の響きの硬質でしかし澄んでいる、その質感にさえ魅了されたのですね。

演奏はタヴァナー・コンソート&プレイヤーズ。指揮者はアンドリュー・パロット。残念ながらアルバムWeihnachtshistorieは絶版しているみたいだけれど、Amozon.comのMP3 Downsoadsでは買えるので、もしどうしてもパロットの盤が欲しかったら、これだなと思っています。

さて、私が買ったというのは、キングス・コンソートの盤です。どういう演奏であるか、まったくの前知識なしに買うと決めたのですが、まあキングス・コンソートなら間違いないだろうと。そして、帰って一番に聴いてみて、確かに間違いないなと思ったのでした。

とても美しい。響きはやわらかく、伴奏も非常にソフトで、個々の声部が繊細に紡がれて、耳に心地良いです。鳴り響きの見事さをではなく、透明感のあるハーモニーの美を追求しているのでしょう。奏者の息遣いさえも身近に感じられるような丁寧な演奏に、静かに語り掛けるような明瞭さを持った歌声が調和して、ああ、やっぱりこの時代の音楽はよい。ライナーノートを見れば、Aを415Hzに合わせて、これは古楽では珍しくないピッチですが、この現代のものよりも半音ほども低いピッチが、やわらかな響きを生んで、また中全音律が使われていることもありましょう。美しい響きに心もほぐされる思いです。

そして、ラストのコーラス、singen singenの響きは、パロット、タヴァナー・コンソートのものよりもずっと静かで、繊細で、この違いは面白い。タヴァナー・コンソートも古楽のグループだから、低いピッチ、古典調律でやってると思うのですけど、それでもこんなに違いが出てくるのですから面白いものだと思います。

2009年12月24日木曜日

『まんがタイムきららフォワード』2010年2月号

 『まんがタイムきららフォワード』、2010年2月号発売です。表紙はモクソン。屋外、ヘッドホン装備、背にはギターケース。実に寒そう。冬の夜、星空。頬、鼻、手の赤さが凛とした冬の空気を感じさせる。だなんて思わせるイラストですが、けれど同時に暖かみも感じさせるのは、モクソンの表情、絵のタッチのためでしょう。この号の発売はクリスマスイブ。そんなちょっと特別な日の夜の、冬が底を打ち、春に向かおうとする日の夜の、寒くとも暖かさを感じさせる、そうした雰囲気を反映させるかのような表紙です。

純真ミラクル100%』は、オクソンが移籍を決定。所長は動揺し、そして二宮さんはシリアスに。しかし、二宮さんがモクソンのこと好きなのはいいんだけど、モクソンは二宮さんのこと、恋愛相手として好きってわけじゃなかったような気がする、それこそ二宮さんの勘違いにかぎりなく近いような状況だったわけだけれど、そうした気持ちの温度の違いみたいなのがあきらかになる日がくるんでしょうか。私は二宮さんが好きなので、この人の傷ついたりするところは見たくないなって思います。でも、もたもたしてた工藤さんはちょっと泣くことになるような気がする。なんか、こういう人間関係の紆余曲折が面白いですね。

『恋愛専科』、新連載です。女子校で教えることになった主人公が受け持つことになったクラスは、恋愛専科。ちょっと特殊な生徒を集めて、男に愛される女性に育てあげるんだそうです。むむむ。で、担任を落としなさいと、そういう話のようなんですが、むむむ。絵や雰囲気とかはそう嫌いではないけれど、このプロットはなんだかハーレム系のゲーム思わせる感じ。最近、こういう設定の漫画読んでなかったから、ちょっと入り込みにくいです。とりあえず評価は先送りです。

『大江山流護身術道場』、連載になりました。以前の読み切りの時に、あの雰囲気はちとつらいといってましたが、おそらくそういう感想が多かったんでしょうね。ずいぶんとやわらぎました。以前のような過剰とも思える暴力描写はなくなって、身を守るための心得を身につけて、小さなトラブルを防いでレベルアップをはかろう、そんな印象が強くなりました。で、最後に次回の敵なのか、最後にやってくるだろうボスなのか、わからんのだけど、やばそうなのが出てきて、というかこれまでも充分にやばそうなのばっかりだったんだけど、少しずつ敵も強くなっていきますよ、そんな予告がなされているといった具合です。

『トランジスタティーセット — 電気街路図』、なんかやばい出だしだよ。いや、あの小道具ですぐわかったんだけど、でもそれにしてもいかがわしい雰囲気演出しています。新登場、かがみのお父さん。変人、変態。でも別れた妻に熱く愛を語るところはかなりよかったです。でもこの人、測るのが好きなだけで、太ったとかどうとかいうのは、あんまり意味がないんですね。あるがままの状態って感じで受け入れてるようで、わりと好印象。そして、この人にとっての測るという意味。素敵! いや、いいじゃん。お母さん、復縁しちゃいなさいよ。ちょっと方向こそ微妙だけど、ナイスロマンチストじゃないかと、結構気に入ってしまった模様です。

『少女素数』は、雰囲気のあるラストに、ああいいなと思って、そしてこの漫画はストーリーとかドラマとかをではなく、あんずとすみれというふたりの少女の、少女という時期の美しさ、それをただただ写し取ろうとしている、そういうものなのかもと思ったりしたのでした。子供っぽいといわれながら、大人っぽさにも憧れる。そのどちらでもなく、しかしどちらにもなりうるような、曖昧なあやうさ感じさせるふたり。そんな時期のスケッチなのかと。いずれ失われる、そんな季節のスナップなのかと。なんて思ったりしたのでした。

しかし、今回の見どころはヒゲ剃った兄貴さんだと思います。なんてこった、ちょっといい男。素敵といわれて頬染める。ああ、なんか可愛い兄さんだなって思いましたとさ。ところで兄さん、桐生さんだって妖精ですよとか思いながら口にしないだなんて、いったいどういうことでしょう。私なら、さしずめふたりが妖精なら、あなたは女神ですよくらいは、かまわないでいってしまう。兄さんも、思ったままいっちゃえばよかったのに。

ところで、272ページなんかがそうなんですが、あんずの笑い方、あの口の開き方。なんか思い出させるな、と思ったら、ああわかった、川原泉だ。ちょっとすっきりしました。

据次タカシの憂鬱』。前回、これからどうなるんだろうとか思ってはらはらしてたけど、おおい、普通にいつもどおりじゃん。いかす。さすがタカシ。私の心を弄び、自在に振り回してくれます。でもって今回は野球をするっていうのですが、いつものように勘違いしたライバルが出現して、この決着はライバル怪我で退場しかないよなあと思ってたら、やられました、主人公も怪我で退場。これは予想外。そして途中、千鶴さんがタカシの代わりに出りゃいいじゃん、と思ったら、それもそのとおりに運んで、おお、私の考えなどお見通しってところですよ。しかし、面白い。これ、大好きです。

『わたしたちは皆おっぱい』、再びゲストです。これ、タイトルなんとかならんかなあ。なんか、躊躇するんですけど。今回は、新しい友人ができて、けれど互いに誤解してたことが判明して、どう向き合えばいいかわからなくなってという、実に王道といえる展開でありました。誤解中のハイテンション、コメディタッチのバタバタわあわあやってた雰囲気と、誤解発覚後のシリアスそのものといった雰囲気の落差がすごくて、しかしだからこそひきつけるものがあったのだと思うのですね。いったん諦めたかと思わせて、いや諦められない、一歩踏み出して手をとって、そして対話。しみじみとした語りから、一気に感情をあふさせるところなど、とてもよかったです。誤解を超えて友情が深まる、それは典型といえばそのとおりで、しかしこれが王道となるだけの理由はあるな、そんなこと思わせる力の入ったシーンでした。

しかし、タイトルがなあ。これ、単行本になったとしても、ちょっと書店で注文とかしにくいよ? とかいいながら、もうこのタイトルじゃなきゃあな、とも思っているから不思議です。

引用

2009年12月23日水曜日

Guitalele GL1, taken with GR DIGITAL

Mercury, the Winged MessengerGR Blog12月のトラックバック企画の締め切り日がやってきましたよ。いやあ、すっかり忘れてました。お題はであります。って、これ、大変だな。ってね、なんせ写真っていうのは、そのもの光を写し取るものでありますから、強弁すればなんだって押し込める、そんな広いテーマであるわけですよ。とはいえ、あんまりとんち効かせるのもおかしいし。といったわけで、普通にトラックバック企画 光 に参加します。

さて、冒頭の写真は大阪市営地下鉄天満橋駅前にある、マーキュリーの像であります。昔、あのへんに月二で通っていた時、なんか太陽の反射との組み合わせが面白いので、撮ってみたのでした。べたな写真だとは思うのだけど、Creative CommonsのライセンスでFlickrに公開しておいたら、IBMの技術者Blog? で使ってもらえました。

そしてもう一枚の写真は、YAMAHAのミニギター、ギタレレです。この写真のような環境に楽器を置いとくのってあんまりよくない、っていうか、かなり悪いんですが、けどいつでも手にとれるようにしておかないと、それこそ弾かなくなってしまうわけで、だからあえて直射日光に当たるような場所に吊り下げているんです。

で、ある日、その光の当たっているところが、なんかいいじゃないかと思ったものですから、適当に写真を撮った。そんな一枚が、この写真であります。

Guitalele GL1

ギタレレは、ギターほどの表現力はないけど、弾いてると楽しい楽器です。ちょいとおすすめしておきます。

2009年12月22日火曜日

『まんがタイムスペシャル』2010年2月号

『まんがタイムスペシャル』2010年2月号、発売ですね。表紙は、ちまき先生羽子板持ったちるみさん、破魔矢持った外村さん。酒飲んでるたまちゃん、そして新連載『あんちょこ』の杏、千代子のふたりです。と、そこに目立つ大きな文字で新連載5連発! ええ、ゲストからの連載昇格がふたつ、そして新連載がみっつありまして、なかなかにわくわくとさせてくれる、そんな号であります。

連載昇格ひとつ目は『ミニパトっ!』です。婦警さんと、お酒も扱うコンビニの息子がなんか楽しそうなことしてる漫画なんですが、今回はB級グルメ特集? 牛丼にあんこやバナナをのっけて食べるとおいしいよ! って話なんですが、これほんとなんでしょうか。バナナは、意外にエスニックな感じでいけそうな気もしますが、あんこはなあ。無茶な思い付きでもどーんと実行してしまう、そんなヒロイン水原さんがとても魅力的な漫画です。結構好きなので、連載は嬉しいです。

『早乙女寮別館ものがたり』、新連載ひとつ目です。女学校もの。5月に転校してきたお嬢さんが、女子寮に住まうことになる。はたして少女を待つのは、どんな生活なのでしょうか。という振りが正統派女学校ものを期待させたというのに、なんと満室、よって別館に住むことになった。ということで、ボロアパートものになってしまいました。変わりものの大家兼理事長とのアパート暮らし。ちょっと期待してもよさそうだぞって感じであります。

『キミ待ち!』、新連載ふたつ目です。口八丁ぐりぐらの新作でもあります。頑固な親父のいる蕎麦屋が舞台。そこに関西からやってきたお嬢さん、陽菜が住み込みで働くことになるという話なんですが、この陽菜って娘、ちょっとわけありっぽい。恩人を探しています。お金を借りています。身寄りはありません。という、ちょっとヘビー、けどテンポはよく、雰囲気も明るく、しんみりするというようなこともなく、で、これ、どういう展開を見せるのだろう。またこれも先の楽しみな漫画です。

『おすすめ!看板娘あんちょこ』、新連載みっつ目です。おおた綾乃の新作でもあります。和菓子屋の娘、杏と、洋菓子屋の娘、千代子がヒロインです。ちょっとおっちょこちょいで、けれど穏かで気立てのよさそうな杏と、派手目の美人で気も強そうな千代子、小学校時代の友人が街でばったり再会して、再び仲良くなるのか、あるいはライバルになるのか? いずれにしてもコメディタッチ、安心して身をゆだねて読んで、きっと面白いだろうという予感がしています。で、十五年を指摘されて目を背ける千代子がちょっと可愛い。目元涼しい美人っていいですね。自分ちの菓子が一番と譲らない不穏な表情もまた素敵でありました。

『なないろレシピ』、最終回です。菜々先生の両親が帰ってくるというので、なんだかてんてこまい。内容はといえば、あくまでもいつもの雰囲気を保って、そして最後に笑顔で両親を迎えるという、その表情、とてもよかったです。

『蝴蝶酒店奇譚』は人魚譚。オカルト雑誌のライターが人魚を探しにやってきてという話なんですが、この漫画のいいところは、オカルトな方向に進むか、あるいは反転してみせるのか、それがちっともわからないってところです。オーナーは、伝聞ながらも平気で人魚の存在を口にして、そしてライははなから相手にしていない。こうした状況の中、くるかこないのか、じりじりと状況が進んでいくのはちょっとスリリングで面白かったです。そしてラストのライの言葉。ああ、こういうのはとてもいいと思う。そんな話あるわけないとわかっていながら、けれどあったら面白いよねと、そういうさじ加減でもって楽しむっていうのはすごくいい。このバランス感覚が、じりじりと焦らすサスペンドされた面白さを支え、そしてミザリーのロマンと感傷に味わいを添えたのだと思います。

『ものかき倶楽部』、ゲストです。小説をノートに書き溜めているヒロインもえみが、文芸部ならぬものかき倶楽部に顔を出すという話。素直になれないもえみもいいんだけど、文具愛を確かなものとするべくものを書くという、その目的と手段がごちゃごちゃになってるような部、なかなかに面白いです。まるで、万年筆使いたいがためにペン習字やることにした私みたいじゃないですか。自己弁護みたいになっちゃうけど、道具に憧れて、その道具をちゃんと使いたい、使えるようになりたい、その一心で取り組むってのはありだと思うんです。ギターが好き、だから飾る、じゃなくて、弾く。筆記用具が好き、だから手にして眺める、じゃなくて、書く。ちょっと入り口は違うかも知れないけれど、道具が好き、からはじまるものがあってもいいと思います。うん、好きってだけからはじまるものがあってもいいと思ったのです。

でも、やっぱり、ちょっとマニアックよね。うん、自分でもわかってます。

『アトリエB』、ゲストです。海外から美術留学してきた女の子。今回は、海外からのというギミックは弱くなってたけれど、でも全体に生きがよくなって面白かったです。で、私は知らないことを知ると喜ぶわけですが、塩の効果。へー、知らんかった。試してみたいな。なんて感じに、とても面白かったです。

『丸の内!』、ゲストです。いや、新連載? どっち? わかんない。ずいぶん偉そうな新入社員、丸の内れいが傍若無人ながらがんばるという話です。食えないOL。その一筋縄ではいかないというキャラクターが、ナンセンスに場をひっかきまわすという漫画でありました。

『笑って!外村さん』、連載になりました、って連載になったの先月か。じゃあ、昇格ふたつじゃなくて、昇格ひとつで、新連載よっつだったのか? よくわかんなくなってきました。

外村さん、あいかわらず誤解されているという、その徹底ぶりには惚れ惚れとしますが、あの前屈みで凄むような仕草、あれにちゃんと理由がついて、ああもう、なんだ、可愛い娘さんじゃないか。というギャップがとてもいい感じ。あの、春野さんが絶望に色を失うところなんて、待ってましたという感じに楽しかったです。

『おんたま娘』、ゲストです。温泉旅館の看板娘? しっかりものの先輩と、まだまだいたらない新人ふたりが、常連さんたちとわいわいやるという漫画みたいなのですが、雰囲気はとてもいい、これはちょっといいなと思いました。一癖二癖ありそうな常連、小説家の内海文吾、どう考えても執筆さぼってゲームで遊んでたとしか思えない描写がさりげなくあったり、こういう個性の目立つキャラクターが、その存在感を主張するところなんて、実にいいと思ったのでした。期待します。

『スーパー探偵!』、ゲストです。スーパーで働いている青木さくらが、警察官の姉と一緒に、スーパーで起こる事件を解決するという漫画のようです。事件といっても、血なまぐさかったりはない。ちょっとなまぐさかっただけ。穏当に、バタバタとして、解決して、その勢いあるところなど、よかったです。推理ものみたいになるのかどうかはわからないけれど、トリックうんぬんより、空騒ぎといった様子の方が楽しそうであります。

『ココロノミカタ』、ココロさんが出なくてちょっと驚きました。ミカタさんだけが登場して、これはなにか状況の変化が期待されるのかな。いや、ちょっと最終回間近なんだろうななんて思ったりするんですが。独特の雰囲気のある漫画、結構好きなんです。終わるとしたら残念だけれど、終わりを用意している感じは以前からもあったから、ちょっと覚悟しようと思います。

『MISHIMAデパートメンズ館』、最終回です。最終回は、なんかうまくまとめた感じで、ちょっと残念といったら残念。無茶やってる若社長が好きだったんですね。最後の最後で、Wデパートのスパイ、ハットリのポジションがすごく面白い。なんの役にもたってなかったのに、なんか責任感じちゃってたり、なんのかんのいって溶け込んでたり、そんな勘違いぶりが若社長を食ってしまっていました。そして結局は若社長返り咲きという話ですが、最後の社長の思い付き。あれがくるのかどうか、これから数年、情勢を見守りたいと思います。きたら、社長すげー! ってなものですよ。ちょっとわくわくさせてくれるラストになりました。

『白黒つけましょ!』、ゲストです。碁を打つ女の子の話。ネット碁しかやったことなかったけど、学校の囲碁部に入部してがんばろうという前向きさが魅力的です。正直なところ、漫画から碁というゲームの面白さは感じとれなかったものの、他人事と思っていたら巻き込まれた部長の本音とごまかしなど、面白かったです。よく見られる紋切り型展開をうまくあしらって、そういう見せ方は好きじゃないっていう人もあろうかと思いますが、私には面白かったです。

  • 『まんがタイムスペシャル』第19巻第2号(2010年2月号)

引用

  • まんがタイムスペシャル』第19巻第2号(2010年2月号),1頁。

2009年12月21日月曜日

Zeusaphone

先日、平沢進のPHONON 2551 VISIONについて書いた際に、Zeusaphoneなる楽器について触れました。これ、テスラコイルを利用した楽器であるのですが、私、思い違いしておりました。平沢進氏によるDIY楽器だと思ってたんですよ。そうしたら、どっこい、売ってるんですね。メーカー、っていってもいいのかな? これ作って売ってる会社? も、多分Zeusaphoneっていう名前でいいのだと思います。サイトの説明を見ると、Zeusaphoneは電気のスパークによって音楽演奏が可能なハイパフォーマンス・ソリッド・ステート・テスラコイルなのだ、みたいなこといってますが、おいおい冗談だろ、と思いきや、本当にメロディ奏でられるのだからかないません。これはすごいな。しかもMIDIで制御できるときた。ほんと、これは度肝抜かれる楽器であります。

でもなあ、高いんだろ? と思ったら、意外と安くてまたびっくりですよ。最上位機種のZ-60で4,999ドル。45万円くらい。エントリーモデルのZ-18なら、1,899ドル、17万円くらいと、決して手の届かない価格ではありません。サイズもそんなに大きくなくて、さすがにZ-60は高さ106cmと、個人で持つには少々大きいと思わせますが、Z-18なら76cmと手頃。ああ、これは、電子音楽に興味のあるという人間だったら、手元に置いておいてもいいものかもなあと思えてくる価格、サイズであるわけですよ。

と、ここでテスラコイルってなに? という人のために、参考となる動画を紹介しましょう。これはZeusaphoneすなわちミュージカル・テスラコイルとは違うのですが、テルミン奏者菊池誠氏がテスラコイルと共演? している、SF大会でのひとこまです。

で、それはいいんだけど、これって危なくないんでしょうか。私がZeusaphone導入に二の足踏んでいるのは、これ、危険じゃないのかと心配しているからで、スパークが人に当たったら死んだりしないのか? もの、特に電気製品に当たったら破壊してしまうんじゃないか? などという不安があるんですよね。ところが、テスラコイル対テルミン動画では、普通に室内に置いてスパークさせてます。平沢進氏のライブでは、ファラデーケージで囲って演奏したとのことですが、それでもコンピュータはフリーズしたようで、しかも二日やって二日ともにトラブル発生させたそうで、デジタルものとの相性はよくなさそうだな、MIDI機器のくせに、なんて思って、まあ、テルミンよろしくアナログ楽器と合わせればいいんでしょうけどね。

以上、気になる楽器でした。一応ことわっておきますが、買いません。いや、けど、DEMO演奏を見たら — 、いや、それでも買いません。

2009年12月20日日曜日

スティーヴ・ライヒ:6台のピアノ,テリー・ライリー:インC

昨日、吹奏楽のイベントへの参加を申し込みしようと、楽器店に繰り出したのですが、エスカレータで階を登る途中、あ、そういえば欲しいアルバムがあったなと、クラシックのフロアでちょっと足をとめたのでした。欲しいものは、NAXOSが出したバーンスタインの『ミサ』だったのですが、こいつを見付けるのにちょいと時間かかってしまいました。店内うろうろしてたのですが、そうしたら前から興味のあったもの見付けたり、あるいは懐かしいもの見付けたりで、ええ、すごく懐かしいの見付けたのです。それは、スティーブ・ライヒの『6台のピアノ』。そして、テリー・ライリーの『インC』であります。

ミニマル・ミュージックの古典というか、基本的なナンバーというか、とにかくミニマル入門ならこいつを聴いといたらいいんじゃない? みたいにいわれていたアルバムです。もちろん、私も聴きました。けど、聴いたのは図書館で、買ってはいなかった。だもんだから、買っといてもよかったなって後から思ったりしましてね、けどあえてわざわざ探して買うこともないだろうと思って放置していたら、たまたま偶然目の前に懐かしのアルバムが! ああ、ついでだから買っとこう。値段も安くなってるし。といった軽いノリで買って帰ったのでした。

帰ってから調べると、なんと、昔の盤って廃盤しちゃったのか、プレミアついてたりするんですかね。そいつはとても意外で、正直こいつの中古に一万円近くも払う気持ちにはなれねえなあ。といったわけで、TOWER RECORDSさんありがとう。どうも、このアルバム、TOWER RECORDSの企画によって再リリースされたみたいなんですね。ほんと、ありがたいことです。

ミニマル・ミュージックってなにかといいますと、短かいフレーズ、ミニマルな音楽の単位を、何度も何度も繰り返して演奏される音楽です。これ、説明だけ聞くと、なんか退屈なんじゃないか、つまらないんじゃないかって気がしてきますけど、実際の演奏を聴いてみるとですね、なかなかに面白いものなんですよ。単純なフレーズが繰り返されていくことで、重なり、ぶつかり、そしてずれ、揺らぎながら、音楽を織り成していくのですね。しかも、このように演奏しなさいという決まりがわざと緩められていることもしばしばあって、だから演奏されるごとに、現れる音楽は違ってくる。そんな性質も面白い。その場、その時に成立したものがすべて。偶然の重なりが作る響きやリズム、現れ変容していく音をただただ聴く、体験するのが楽しいといった類の音楽なのであります。あれこれ考えて聴くんじゃなくて、もう鳴り響きに身をまかせちまうのがいいよ、って音楽なのですね。

2009年12月19日土曜日

『まんがタイムきららMAX』2010年2月号

『まんがタイムきららMAX』2010年2月号、発売です。発売はいいんですけど、いつものコンビニにいったらですよ、なんでか1冊しか『MAX』がなくて、しかも妙に傷んでいたんですよ。うー、これはここで買ったものかどうか、えらい悩みまして、というのは、誰も買わないと来月から入荷しなくなるかも知れない。けど、1冊ということは、誰かがすでに買った後ともいえるわけで、といった具合に、えらい悩んだのでした。結局、京都に出る用事があったので、アニメイトに寄って買いました。金色の表紙、かなり派手。中央に大きな筆を持ったかなが立っている、なんだかすごく力強さ感じさせる表紙で、そして筆文字で寅。ああ、これはいいなあ。こういうの、私、大好きです。

フィギュ☆モ』、いきなりうー 暑いーときたものだから驚いてしまって、そうだ、この漫画、まだ夏だったっけ。今回は、WF、ええと、ガレキの祭典、わくわくフェスティバルの当日であるのですが、WFにおける常識の説明がメインになっている本編、すごく面白かったです。知らないことを教えてくれるから面白いのか、けれどWFの常識は一般の常識とはちょっと違うよというようなところ、ちょっとしたカルチャーギャップが丁寧に扱われるのは、なかなかによかったです。そして、当日版権が通らない話。えーっ、そんなこともやっぱりあるんだ。あの兄さんの変貌ぶりからも、ショックの度合いはわかろうものですが、まあ実際嘘大げさでなく、あんな気分であるんだろうなと思います。そしてひびきさん登場。私、この兄さん、好きです。ヘンな世界の住人だから、じゃなく、見た目にも麗しいお兄さん。素敵! 胸元の大きくあいたシャツ? サマーセーター? とても素敵でありました。

『ラッキーストライク!』、前回から引き続きシューズの話題。というか、シューズで引っ張るとは思ってませんでした。しかしそれ以上に、ボウリングのシューズってあんな風になってたんですね。私はそもそもボウリングいかないし、いったとしてもハウスシューズ? 借りるわけだしで、いやはや、ボウリングとは奥が深い。プロボウラーがスライドしてるのって、ああいう仕組みだったんですね。左右非対称。軸足に仕掛けがある。で、その靴に慣れる期間が必要というのですが、慣れない靴に苦しみながらもチャレンジを繰り返し、勘をつかもうと教室でも試してみるレンの姿。今まさにはじめて、だんだんにできるようになる喜び、先に進みたいと思う気持ちが伝わってくるところ、なんだかわくわくとさせられて、とてもよかったです。

天然女子高物語』、ちょっとしたことにも喜びをあらわにする小梅先生、なんかすごくいいなと思って、これは仕合せに慣れてないからなのか、それとも小さな仕合せも大切にしてるからなのか、でもどっちにしても魅力的でした。その前の一本の、ちょっと照れている? そんな様子もとてもよくて、ほんと、彼女のような生き方もいいのだと思います。中身は真っ黒みたいに描かれる人でもありますが、今回は、素朴ながらもきらきらと輝くような、そんな感じに終始して、いや、とてもいい。この人、いいなって思いましたとさ。

『お願い神サマ!』、とってもいい感じ。自分が可愛くないと思っている女の子に、可愛いと、素敵だといってあげたいのに、照れていえないという、その不器用さ。けれど、気持ち振り絞って自分の思いを伝えようとする姿。すごくよかった。ちょっとじんとしました。こういうの、些細なことのようだけど、実はすごく大切なことであると思います。いい話でした。

『ここみみなたね』、桜みさきの新作です。今はまだなんともわからないけれど、母にいわれたままに訪れた大邸宅。住み込みで働くことになりそうっていう感じです。主人はちょっと変わりもの。そんな屋敷に住み込むことになった、なたねの運命やいかに!? ラストの雰囲気に面白さ予感しつつ、次号を待ちたく思います。

『かすみのそら』、ゲストです。気が小さく、体力もないヒロイン、佳澄が転校先で出会う友人たち。人見知りしがちな佳澄が変わっていく、そんな話になるのだろうと思われます。展開こそオーソドックスだけれど、描かれる様子は面白く、置き去りとかさ、落ちにおけるその表情、悪くないと思います。

『きんいろモザイク』、ゲストです。わお、これはすごくいいかも知れない。ヒロイン忍が可愛いボブ娘だからじゃないよ? 忍のうちに住むことになったアリスが素敵な金髪だからでもないよ? 忍の憧れの先生、アリスのライバル、烏丸先生が優しくて美人で眼鏡でジャージ、だからでもないよ? 絵が可愛い。それは確かで、けれど絵やキャラクターの可愛さに加えて、かみあってるようでかみあってないんだけど、けれどなんでかかみあってる会話の面白さのようなのもあって、とてもよかったです。ハロー、アリガト、コンニチハで押し切る会話とか、すごく面白かったです。でもってしかし、アリスが可愛いな。先生も忍も可愛いな。

超級龍虎娘』の春希の特技、あれはちょっと羨ましい。毬虎にマイクを押し付ける、カラオケ店での攻防。めちゃくちゃ面白かったです。というか、カラオケの画面、可愛いな。これを原キーで歌う男、あこがれます。でもって、春希、やっぱりなんだかいい奴ですよね。ちょっと大人気なかったりするところもあるけど、でもすごくいい奴。春希の人のよさが、この漫画の魅力の下地であるのかな。なんて思ったりもする回でした。

『ふたりトラベル』。ちょっと台詞が追いづらいところがあって、右上からはじまらない。高さが違うならまだしも、同じ高さの吹き出しで左からはじまるようなところもあって、つっかえつっかえ読みました。けど、そうした欠点も帳消しにできるなって思ったのは、この雰囲気がとてもよかったからでした。物語といえるほどのものがあるわけではない。けれど、なんだかヒロインひなの心情が伝わってくる。いいなと思う。そして最初のシーンが生きてくる。よかったです。でも、人は選びそう。ということは、私は選ばれたのでしょうか。

ぼくの生徒はヴァンパイア』。ついにXデーが! 可愛いカミラがクローディアへの嫉妬をたぎらせ、祭の夜に姿を消した! これは、血の惨劇か!? 一夜にして街の人間すべてがヴァンパイアの眷属に!? と思ったら、なんという平和的決着! いや、こうなるだろうとは思ってたから、むしろ一安心です。で、メイベル。驚いた。めちゃくちゃ可愛いなあ。メイベル大好きです。もちろんカミラも好きです。

  • 『まんがタイムきららMAX』第7巻第2号(2010年2月号)

引用

  • 中平凱「フィギュ☆モ」,『まんがタイムきららMAX』第7巻第2号(2010年2月号),29頁。

2009年12月18日金曜日

けいおん! TVアニメ公式ガイドブック — 桜高軽音部活動日誌

 アニメ『けいおん!』のガイドブックが出ましたよ。といったわけで、仕事帰りに書店、とらのあなですけど、寄りましたら、人がいっぱいいるの。さすがに全員ってことはないけど、『けいおん!』3巻買っていく人いっぱいいて、うわあ、やっぱり人気なんだなあってあらためて思って、ほら、私は周囲が盛り上がると、反比例して盛り下がるような人間だから、見るな、見るんじゃない、気にしてはいけない、と暗示かけながら『けいおん!』3巻とTVアニメ公式ガイドブックを買ってきたのでした。

で、夕食を終えて、いつもなら生姜紅茶でも飲もうというタイミングでガイドブック読みはじめたら、いやあ、もう、なんてえの、とまらなくて、で、そろそろ日付けが変わるぜというような時間まで読んでしまいました。やばい。

内容は、思った以上に絵がすくなくて、きっと設定資料集みたいなのになるんだろうなって思っていたんですが、いや、もう全然。充実のインタビューですよ。監督のコメントはもう当然のようについている。キャラクター紹介にはキャストコメント、インタビューがついてくる。各話解説にもキャストコメントがついてくる。軽音部の5人を演じられたキャストに、どのシーンが気にいってますかという趣旨でコメントを求めていて、コメントにはアニメの画像もついて、いや、これが実にいいの。さんざん、Blu-ray Discのコメンタリーが最高だっていってきましたけど、コメンタリーやWebラジオのノリそのままに読めて、ああ、あの時もそうおっしゃってたと、コメンタリー思いおこさせるようなものもあれば、ああこういう感想お持ちだったのか、コメンタリーを補足するようなものもあって、多様。興味深く読んで、そしてここぞというシーンのコメント読んでいたら、感動がぶり返してきて、ああ、もう、泣きそうになってね、いや、もう、なんだろう、おかしいし。

キャスト紹介、各話解説は1年目と2年目にわかれていて、その合間にはスタッフへのインタビューもありまして、監督、シリーズ構成、プロデューサー、音楽プロデューサー、作曲家ですね。この音楽に関係するスタッフがふたりも登場するところに、このアニメの特色があるのだろうなって思って、いや、だってさ、これまでいろいろアニメ関係のムックとか買ってきたけど、作曲家はあっても、音楽プロデューサーとかちょっと思い出せないよ。BGM作曲家のコメントが載ることもめずらしいくらいなのに、プロデューサーのインタビュー、そしてキャラソングにいたるまでのシングルすべてにコメントがついていて、いや、本当に充実。読ませる一冊に仕上がっています。

各話解説には絵コンテからの抜粋があって、それにコメントがついているのですが、そのコメントも面白かったです。だいたいにして、原画集について書いたときにもいってましたけど、絵コンテが面白いんですよ。雰囲気を表現するために、アニメには絶対出てこないような書き込みがあったりします。紬がうちもーとかいってる。ザリガニ釣り上げたちび唯ちゃんがいらっしゃいませ! とかいってる。そういう、遊びに近い、けれど雰囲気を作りあげるには必要な小台詞であるのでしょう。すごく効果的で、見た瞬間にぷっと吹き出してしまいそうになる、ほんと、これ面白い。ねえ、絵コンテだけで一冊出しましょうよ。駄目?

もっとイラスト主体、設定画主体と思っていたとかいってましたが、そういうのもまたあってもいいなと思いながら、今回の、13話をしっかり読んでいこうというような趣旨は、実に豊かで楽しかったです。私、ただの視聴者にすぎないっていうのにね、コメントを読んでいると、ああそうそう、あのシーンでこんなこと思ったっけ、なんて風に妙に感慨深くって、これだけ本腰入れてアニメ見たっていうのも、本当、どれくらいぶりだろう。ええ、なんだか本当に感慨深いです。

で、マシュマロ豆乳鍋のレシピが載ってたのには度肝を抜かれる思いでした。いや、それはないだろうと、それこそグミ入り闇鍋みたいになるんじゃないかと、そんな風に思いながら読み進めたのですが、なんかこれ、意外とデザート感覚でいけちゃったりするの? って風に考えが変わってしまいまして、あえて作ろうとは思わないけど、はいどうぞ、って出されたら、恐る恐るでも食べちゃいそうだなって、そんな風に感じられて、いや、しかし、本筋充実させながら、こうした小ネタも面白い。よい作りの本であります。

原作、他

  • かきふらい『けいおん!』第1巻 (まんがタイムKRコミックス) 東京:芳文社,2008年。
  • かきふらい『けいおん!』第2巻 (まんがタイムKRコミックス) 東京:芳文社,2009年。
  • かきふらい『けいおん!』第3巻 (まんがタイムKRコミックス) 東京:芳文社,2009年。
  • 以下続刊

Blu-ray Disc

DVD

CD

  • 「らじおん!」スペシャル! Vol. 1
  • 「らじおん!」スペシャル! Vol. 2

引用

2009年12月17日木曜日

『まんがタイムファミリー』2010年2月号

『まんがタイムファミリー』、2010年2月号が発売です。2月! ああもう2月か! って、一足はやく年が改まったような気がして、妙に慌ただしさ感じさせますが、表紙はといいますと、きたる新年、正月の装いです。真ん中には来年の干支、虎の衣装を着た蜂谷、手には鏡餅持っています。わきには、着物着た豆腐屋三姉妹、そして同じく着物の『リフォーム』茜がはなやかです。そして、再びのゲスト『ひなたフェードイン!』のヒロインひなたの、淡く塗られた色合いがやわらかに印象的で、あ、なんかよいなと思わせるものがありました。

『うのはな3姉妹』、お正月の様子。なかなか改まらない生活習慣っていうの、働きものの習慣なんだから、むしろ見習いたいものがあります。豆腐屋さんは早起きだっていいますものね。そして美人三姉妹の着物があって、三女が好きな南田くんの素直になれない態度になんか微笑ましさ感じて、ああもう、可愛いやつよ。こういう人って実際にもいますけど、付き合ったり結婚したら大変な横暴野郎になるか、あるいは素直な甘えんぼうになるか、南田くんは後者かなあ。そして、出戻りの次女、桃子、私、この人が好きだわ。自由な感じ。のびのびとしたところが素敵です。この作者の漫画の雰囲気もそんな感じなのかな。だからか、すごくひかれます。

『教師諸君!!』、勝訴。はいいとして、西名先生が素晴しい。着物、不断着、教師コスプレ、そして袴。この先生、すごく魅力的、とか思うのは、この人が自由だから、いやきっと変わりものだからだと思う。私はかわりものお嬢さんが好きなんだ。で、数学って実生活で使うっけ? うん、これ、すごく難しい問題だと思います。ただ漫然と日々を過ごすだけならいらんよね。数学も歴史も、国語でさえいらんかも知れません。けれど、ちょっと込み入ったこと、突っ込んだことをしようとしたら、こうした知識がないと前に進めなかったりすることもあるんです。実際、私も世界史の復習とかしてたもんな。学校の教師は、自分の担当している教科に関しては、なぜそれを学ぶのか、学んでどうなるのかっていうことに対する答を持っとくべきなんだろうと思います。だとすると、私の専門分野はどうなるんだろう。なんて思わせてくれたりもする回でした。

音楽はともかく、主要5教科はどれも大切だと思います。受験とかの対策と思っていたら、それは損してると思います。私は歴史に疎く、英語できず、数学物理がわからないのが、今になって効いてます。ああ、勉強はできるときにしておいたほうがいいよ。

『ひなたフェードイン!』、結婚式場でアルバイトする大学生のお嬢さんふたりの話。絵の雰囲気がよいこともあるけれど、なんだかちょっとぼうっとしながら、それでも仕事をするということを理解していく。そんなヒロインひなたがとてもよいです。基本的に真面目。とぼけたことも、いいかげんにしてるとかじゃなくて、真面目にやってる。コーディネートの話とかね。そういうところがいいのだろうなって思っています。で、次号から連載だそうです。ああ、これはちょっと嬉しいです。

今回の『よめ×ヨメかなたさん』は、ちょっと私には冗談ですまないことが描かれていて、動かしたらいつ頃の本かわからなくなる、じゃなくて、ラストの落ちですよ。本は重いですからね。私の部屋、一階につながったりしないよね? いや、本当に、こうなることを怖れている。それが具体的に絵になって、ああああ、どうしようかなあ。ほんと、こりゃ怖い話でした。

『美大道!』、なかなかによい展開でした。合コンにいくことになった。慣れない場でとちくるって、それでスケッチに明け暮れるという、その夢中具合はとてもよかったです。私の友人に美大いってたのがいるんだけど、そいつもいっつもクロッキーやらスケッチやらしてたものなあ。この、描くことに飽きない、いくらでも描ける、描きたい、というのが絵の才能なのかもなって思って、だから彩ちゃん、なかなかにいいじゃないかって思ったのでした。

『どっきゅん♥乙女荘』は、面白いと思えるものと、それほどでもないもののむらがあるように思えて、面白い! ってのは、本当に、えらいこと面白いな! っていうくらいにいいんですが、うん、ちょっと惜しいと思っています。今はわりと面白いにとどまってるけど、この先はどうなるのだろう。ちょっと期待しています。

『はなまるドロップス』、なでしこの本性が垣間見えて、これはいい。ただとろくさいだけの女の子だと思ってたら、なんのなんの、しっかり女の子じゃないかと。普段の可愛さ、それが帳消しになるくらいの地の表情。けれど私はその地の性格こそが魅力的だと思います。基本的にはいい子なんですね。ただシビアで、身も蓋もないってだけ。その本性のあからさまなるところ、とてもいいです。

『一緒にかえろう』、詩緒と春の仲直り。詩緒の告白。しみました。しみじみと胸に広がって、そして詩緒の表情に、春の様子に、胸を詰まらせて、涙ぐむ思いでありました。この作者の味でしょう。こうした心情に切々と訴えるものがある。とてもよいです。

『きょうも幸あれ』、やっぱりこれとてもいいです。お兄ちゃん大好きのさっちゃん。いつもなら妨害するライバルの桜が、今回は新年初詣、晴れ着着ているものだから、もう興味津々で、けれど素直に甘えられない。ライバルだから。その様子。すごく可愛くて、とてもいいです。

『くるっとまわって営業中』。生意気な馬渡かの子、けどスローペースの来島さんにうまいこと懐いたというか、仲良くなっているところがとてもいい。来島さんがいい人なんだろうなあ。最後の一本なんて、ちょっと駄目な大人であると感じさせるんだけど、ああ私も駄目な大人だけどね、でもそれで親孝行できることを喜んでるっていうのがさ、本当にいいなあって思えてくるんですよ。親孝行できるときにできるっていうのは、子のしあわせかも知れないって思える、そんないいラストでした。来島さんのような感性、大好きです。

  • 『まんがタイムファミリー』第28巻第2号(2010年2月号)

2009年12月16日水曜日

「けいおん!」第6巻

 アニメ『けいおん!』の第6巻が発売されました。第11話「ピンチ!」、最終話「軽音!」が収録されています。というわけで、まだ終わったわけではないけれど、物語における最大のクライマックスであります。また、オーディオコメンタリーも大いに盛り上がって、実に充実した巻でありました。いや、ほんと、地上波で見て、BSで見て、そしてこうしてBlu-ray Discで見て、何度見てもいいなと思います。最終話直前、「ピンチ!」のちょっとシリアスな展開。そして最終話の、最後に向かって盛り上がっていく様子。第1話から2年弱という時間がたって、唯、成長したんだなって思って、どうしようもなく泣けてくる。ああ、とてもいい話でした。

というわけで、本編感想については、このふたつ、散々書いてきたような気がするので割愛。それよりも、オーディオコメンタリーに驚愕。なんと、最終話の憂が唯のふりしているシーン、あれ、てっきり憂が唯っぽくしゃべってるんだと思ったら、違うんだって。唯が唯っぽい憂をしゃべってたんだ! っていうのは、声優さんの話。あのシーン、しゃべってたのは憂役の米澤円さんじゃなくて、唯役の豊崎愛生さんなんですってさ。うわー、すっかり騙されてたよ。私は原作からの視聴者だから、もちろんあそこでの入れ替わりはわかってたわけです。だからさ、あ、声が憂だって思って疑わなかったら、なんてこった! 米澤円さんに、唯っぽくしゃべってもらって、それを参考にして演技したりしたんですってさ! うはあ、すごいね。ほんと、すごいね。

コメンタリーは、ものすごい盛り上りを見せて、追うのが困難なほどでした。キャストコメンタリーは軽音部メンバーを演じた5人。「ピンチ!」においては、あのちょっとした仲違いの状況に心痛めながらの演技であったとのこと。映像に発想されてのテーマトーク、楽器屋さんにいった話とかですね、があったと思えば、演技、映像についてのコメントももちろんあって、とにかく面白かったです。それこそ、最終話にいたっては、アニメ『けいおん!』総括とでもいったところがあって、あのラストのステージ。駆けていく唯、皆が見守っているっていった感じになっていて、ああ、なんてったらいいんだろう、言葉にならない。演じられた方にとっても特別な作品であったという、そんなコメントを聞いていると、なんか込み上げるものがあって、ああ、私も『けいおん!』大好きでした。

そしてスタッフコメンタリー。12話演出、石原立也さん。11話演出、高雄統子さん。色彩設計、竹田明代さんによる解説です。しかし、めちゃくちゃ面白かった。丁寧に言葉を選びながら話される高雄さんと、やけに明るくて楽しい竹田さん。おふたりの勢いがすごくて、石原さんが押されているようにも感じられるほどでした。11話の演出について、あまり深刻にならないよう気をつけたとか、そういう大筋の話があったと思えば、ケーキの演出意図、そのケーキは山田さんが取材時に頼んだものだ、みたいな小ネタ含みで展開して、そして、ええと竹田さんだと思うんだけど、律が好きだという発言が熱を帯びていて、実に最高。アニメ『けいおん!』には、スタッフの愛が注がれている。そういった話はこれまでにも何度も出ていて、各スタッフがこれでもかとよいものにしようとしている、そんなエピソード。今回も出てきて、ああ、こういう姿勢は見習わないといけないと思いました。やっぱりさ、よいものっていうのは、これでもかと手をかけられた結果であるんだなって思ったんですよ。こうしたら面白くなるんじゃないか。こうしたらよくなるんじゃないかって、手を尽くして作られている。ほら、以前にとてもいいといっていた、律を見舞う澪の髪の表現。あれなどもそうだっていうんですね。本当、あのシーンは屈指の名シーンだと思っています。

第12話にはいっても、やっぱり女性ふたりの勢い衰えず、すごく楽しかった。朝早くに資料写真を撮りにいっている石原さんの話とか、面倒を面倒くさがらないっていうのはやっぱり大切なことなんだなあと、またしても感心。そして、オープニングのアニメーション、毎週あるものだから力入れるんだけど、折角の貼り込みが見てもわからないとかね。残念ながら、それがどういう効果を持ったものかわからないんだけど、ロゴとか入れるやつかと思ったんですけど、キラキラとかおっしゃってた。今度、一時停止して見てみようと思うけど、わかるかなあ。

コメンタリーは、こんな風に、わからなかったものがわかるという効果もあるけれど、こちらがいいと思っていたこと、それが語られるというのもまた嬉しいもので、最終話のステージシーンとか、やっぱりコメントは熱が入って、そしてそこには共感覚えるものも多々あって、これはキャストでもそうでした。作っている人たち、演じている人たちにしても、ぐっと見入って、視聴者の立場になってしまう。それはやっぱり、それだけのものがあるんだろうなって。そして、見ている私に同じく、ここがいいって皆さんも思っていらっしゃったんだなって、そう感じると、すごく嬉しくて、やっぱりいいアニメだったって、そんな気持ちになるのでした。

あ、そうそう。指紋の表現。ちゃんと気付いてました。っていうか、ちゃんと手を拭いてから弾こうよって思ってたりしました。私、こういうところ、異常に神経質です。

Blu-ray Disc

DVD

CD

原作、他

  • かきふらい『けいおん!』第1巻 (まんがタイムKRコミックス) 東京:芳文社,2008年。
  • かきふらい『けいおん!』第2巻 (まんがタイムKRコミックス) 東京:芳文社,2009年。
  • かきふらい『けいおん!』第3巻 (まんがタイムKRコミックス) 東京:芳文社,2009年。
  • 以下続刊

2009年12月15日火曜日

クトゥルフ・ぬいぐるみ

 昨日、よつばが熊のぬいぐるみと出会うシーンが素晴しいといっていました。いや、実際ぬいぐるみというのはよいものです。あたたかくそばに寄り添い、情操をよく育む子供のよき友。男女問わず、子供のころ、ぬいぐるみを大切にしていたという人は多いのではないでしょうか。といったわけで、もう少ししたらクリスマス。数年前から我が家に出没している小さきものになにか買ってやろうかと思ったりしているのであります。

そうしたら、WIRED VISIONが魅力的なプレゼントを紹介しているではありませんか。

のっけから素敵なクリスマス・リース(的ななにか)が目をひいて、おおう、これだ! と思いましたよ。しかし、リースは時期を過ぎれば飾れない。となると、やっぱりぬいぐるみだな。というわけで、調べてみたらやっぱりあるのですね。

 まずはクトゥルフのぬいぐるみ。緑色。顔には無数の触腕が生えていますが、鉤爪は持っていないようです。よかった。小さな子供にも安心です。これ、大きさは12インチすなわち30センチくらいのようです。これが大きすぎると思われるなら、ミニぬいぐるみもあって、そちらは6インチ、15センチくらい? ハンドパペットはもうちょっと大きくなって11インチ、25センチ強といったところです。しかし残念なことに、これらは日本のAmazonでは売り切れていて、しかたないから本国Amazonにお伺いをたてたら、日本には送れないよっていわれてしまいました。ああ、やっぱり危険だからか。きっと通関しないのでしょう、忌まわしいから。

クトゥルフのぬいぐるみといえば、ミスカトニック大学卒業式版ぬいぐるみが欲しかったりして、これ本当に可愛いと思います。ええと、こんなの。

かなりいかしてるでしょう?

しかし、このToyVaultというメーカー、クトゥルフのシリーズ以外にもいろいろ出していて、いかしているといえば、モンティ・パイソンの殺人ウサギなんかもそう。これ、モンティ・パイソンファンのみならず、Wizardryファンにもたまらんものだと思います。いや、しかし、ほんと、ちょっと欲しい。日本で普通に買えるお店はないかしら、などと思っているところです。

2009年12月14日月曜日

よつばと!

 AmazonからBest of 2009というメールが届きまして、なんだろうと思ったら、2009年にAmazonで売れた商品のランキングだそうですよ。集計期間は2008年12月1日から2009年11月30日まで。ジャンルごとに売れた商品が紹介されているのですが、文具の4位にLAMY Safari MPが入っててびっくり。もう、律っちゃんったら。で、本題。コミックのTOP10を見たらですよ、5位に『あずまんが大王1年生』、9位に『よつばと!』9巻がはいっていまして、すごいな、あずまきよひこ。TOP10にふたつ入っちゃってます。しかも、『よつばと!』9巻ってこないだ出たところじゃないの? しかもすごいのは、カレンダー1位が「よつばと!」2010カレンダー。おもちゃ&ホビー1位がリボルテックダンボー・ミニ Amazon.co.jpボックスバージョン。すごいな、『よつばと!』。あらためてすごい人気だと感心しました。

というわけで、私も『よつばと!』買っています。ものすごくゆっくりと進んでいく、そんな時間がたまらなく好き。第9巻、大ざっぱにいうと、コーヒー、テディベア、そして気球なんだけれど、よつばと恵那の日常の遊びから始まって、父ちゃんとの買い物、コーヒーミル、テディベアを買って、そしてそこに気球というちょっと特別なイベントがくるっていう流れがすごく素敵でありました。テディベアを買おうというシーンの面白さ。どの熊がいいかっていうの、ぎゅーってして確かめるのも面白いんだけど、よつばが出会うべくして出会ったとでもいったらいいのか、やあと挨拶してくるような、あのシーン。あれはすごく素敵。あれはいい。とてもいい。どんなものでもそうなんだと思うのですが、ああ、君と出会うためにここにきたんだなって思えるようなものっていうのは、どんなものでもいつまでも好きであったりするんですよね。あの、特別な出会いってほんとになんだろうって思います。

『よつばと!』がいいなと思うのは、そうした特別な出会い、特別な時間、特別な瞬間が極めて印象的に、魅力的に表現されるところです。9巻でいえば熊との出会いがそうですが、気球の飛び立とうという瞬間の描写。あれがもう最高。気球という大きなものが、ゆっくりぐーっと浮き上がっていく。まるで自分もその場に立ち合っているかのように感じられて、わくわくして、もう、すごくワンダー。この世界にはワンダーなことがこんなにもたくさんあるんだって、よつばたちの体験するものを通じて私も感じているんですね。この、すごい! という感情の魅惑。『よつばと!』の魅力とは、まさしくすごい! であるのだなと思うのでした。

ところで『よつばと!』9巻では、恵那がこれまで見せなかった表情を見せて、それもとても素敵。ジュラルミンのくだりの恵那。白目で吊り目で変な顔になってる、それがすごく可愛い。気球を見に出発するときの、姉にからかわれてるのを真に受けて、いや!! と抵抗する、その様子もキュート。ああ、恵那、なんと可愛いのだろう。ほんと。子供が子供らしく描かれて、それがとても魅力的。やっぱり、すごい、なのであります。

  • あずまきよひこ『よつばと!』第1巻 (電撃コミックス) 東京:メディアワークス,2003年。
  • あずまきよひこ『よつばと!』第2巻 (電撃コミックス) 東京:メディアワークス,2004年。
  • あずまきよひこ『よつばと!』第3巻 (電撃コミックス) 東京:メディアワークス,2004年。
  • あずまきよひこ『よつばと!』第4巻 (電撃コミックス) 東京:メディアワークス,2005年。
  • あずまきよひこ『よつばと!』第5巻 (電撃コミックス) 東京:メディアワークス,2006年。
  • あずまきよひこ『よつばと!』第6巻 (電撃コミックス) 東京:メディアワークス,2006年。
  • あずまきよひこ『よつばと!』第7巻 (電撃コミックス) 東京:メディアワークス,2007年。
  • あずまきよひこ『よつばと!』第8巻 (電撃コミックス) 東京:メディアワークス,2008年。
  • あずまきよひこ『よつばと!』第9巻 (電撃コミックス) 東京:メディアワークス,2009年。
  • 以下続刊

2009年12月13日日曜日

Yotsuba&!

  今日、Amazonから荷物が届きまして、あれ? なにか注文してたかなと疑問に思いながら開封したら、Yotsuba&! でありました。ああ、注文してましたしてました。届いたのは6巻、そして7巻。しかし、これ紆余曲折があったといいますか、最初注文してたのが全然届かなかったんですよね。それで再度注文出したとか、そういうややこしい経緯がありまして、しかしともかく届いたのだ、よかった、と思ったら、表紙の仕上げが違います。あれ? なんでだろうと思ったら、あ、出版者が違ってる! そうか、出版者変わったんだ。なかなか届かなかった理由がなんとなくわかったように思いました。

出版者変わったのはいいとして、訳者とかはどうなってるんだろう。とりあえず読み始めて、あ、やっぱり違うんだな。というのも、以前読んでいたADV Manga版ではCardboと訳されていたダンボーが、Yen Press版ではDanboとなっていて、ああ、違うんだって思ったわけです。どうも、ADV Manga版は、なるたけ英語話者にとって自然になるように訳す方針であったのが、Yen Press版は原語すなわち日本語で表現されているもの、その雰囲気を残す方針であるようです。そのため、書き文字などは極力残され、また枠外の註釈もたくさんあって、うん、こういう方針の違いは面白いですね。どちらがいいとか悪いとかではなく、そのどちらにも良さがある。とかいいだしたら、Yen Press版も揃えたくなってきちゃうから危険ですね。いや、ほんと、どうしましょうかね。

簡単に調べてみたところ、ADV Mangaはもうなくなっちゃったみたいです。はてなキーワードに情報がありました。ADV Mangaの親会社といったらいいのかな? ADV Filmsは2009年9月に事業停止、資産凍結となったとのこと。なるほどね。でその後をYen Pressが受けたみたい。Yen Press版Yotsuba&! 既刊は、すべて2009年9月に出版されています。ADV Manga版Yotsuba&! はとりあえず6巻まで出ていたようですが、日本には入ってきてたのかな。Amazonの検索では出るんだけど、ジュンク堂の検索では出てこないんですよね。

ADV Filmsの資産が凍結され、その一部がYen Press等、他の出版者に売却されたのなら、Yen Press版の既刊はADV Manga版と同じ可能性がありますね。装丁は違うのでしょうが、訳が同じなら買う意味はあまりないわけで、だから少々注文しにくいです。って、いつの間にか買うことが前提になってるよ! 買う、が規定路線になると困るので、今日はこのへんで終わり。Yotsuba&! はちょっとずつ読んでいって、そのうちにどうするか決めようと思います。

  • Azuma, Kiyohiko. Yotsuba&!. Vol. 1. New York : Yen Press, 2009.
  • Azuma, Kiyohiko. Yotsuba&!. Vol. 2. New York : Yen Press, 2009.
  • Azuma, Kiyohiko. Yotsuba&!. Vol. 3. New York : Yen Press, 2009.
  • Azuma, Kiyohiko. Yotsuba&!. Vol. 4. New York : Yen Press, 2009.
  • Azuma, Kiyohiko. Yotsuba&!. Vol. 5. New York : Yen Press, 2009.
  • Azuma, Kiyohiko. Yotsuba&!. Vol. 6. New York : Yen Press, 2009.
  • Azuma, Kiyohiko. Yotsuba&!. Vol. 7. New York : Yen Press, 2009.
  • Azuma, Kiyohiko. Yotsuba&!. Vol. 8. New York : Yen Press, 2010.
  • Azuma, Kiyohiko. Yotsuba&!. Vol. 1. Texas : Adv Films, 2005.
  • Azuma, Kiyohiko. Yotsuba&!. Vol. 2. Texas : Adv Films, 2005.
  • Azuma, Kiyohiko. Yotsuba&!. Vol. 3. Texas : Adv Films, 2005.
  • Azuma, Kiyohiko. Yotsuba&!. Vol. 4. Texas : ADV Manga, 2007.
  • Azuma, Kiyohiko. Yotsuba&!. Vol. 5. Texas : ADV Manga, 2007.
  • Azuma, Kiyohiko. Yotsuba&!. Vol. 6. Texas : ADV Manga, 2008.
  • あずまきよひこ『よつばと!』第1巻 (電撃コミックス) 東京:メディアワークス,2003年。
  • あずまきよひこ『よつばと!』第2巻 (電撃コミックス) 東京:メディアワークス,2004年。
  • あずまきよひこ『よつばと!』第3巻 (電撃コミックス) 東京:メディアワークス,2004年。
  • あずまきよひこ『よつばと!』第4巻 (電撃コミックス) 東京:メディアワークス,2005年。
  • あずまきよひこ『よつばと!』第5巻 (電撃コミックス) 東京:メディアワークス,2006年。
  • あずまきよひこ『よつばと!』第6巻 (電撃コミックス) 東京:メディアワークス,2006年。
  • あずまきよひこ『よつばと!』第7巻 (電撃コミックス) 東京:メディアワークス,2007年。
  • あずまきよひこ『よつばと!』第8巻 (電撃コミックス) 東京:メディアワークス,2008年。
  • あずまきよひこ『よつばと!』第9巻 (電撃コミックス) 東京:メディアワークス,2009年。
  • 以下続刊

2009年12月12日土曜日

『まんがタイムラブリー』2010年1月号

『まんがタイムラブリー』2010年1月号が発売です。この次に出るのは、17日の『ファミリー』だから、芳文社の四コマ誌、めでたくすべて年を明けたということですね。ということは、もうじき2月を意識しはじめるのか。なんというあわただしさでしょう。さて、『ラブリー』1月号表紙は虎のぬいぐるみ? はねつき、そして二人羽織。実にお正月らしい、とここまで書いて、二人羽織って別に正月関係ないよね……。それから、『空に唄えば』も表紙に登場。連載開始とのことです。

さて、読み始めて驚きました。『夏生ナウプリンティング!』を読んだと思ったら、『おねがい朝倉さん』の番外といったらいいのか「牧田日記」が始まって、そして読んでも読んでも『朝倉さん』が終わらない。さらには『+1サプライズ』まではじまって、どうも大乃元初奈を特集しているのだそうです。間違えてコレクション買ったかと思って、表紙確かめましたよ。『ラブリー』は総力特集態勢でしばらくいくみたいですね。今月は大乃元初奈、来月は師走冬子である模様。なんか、昔あったセレクションを思い出しました。ちょっと懐しいです。

『空に唄えば』、新連載です。歌が下手なヒロインが、合唱サークルとでもいったらいいのかな、友人集めて合唱やりましょうという話なんですが、音楽科でミュージカルの舞台を目指し頑張っている三枝さんを引き込もうとするヒロインひばりの明るくて伸びやかな姿はすごくいい。脇目もふらず、周囲に壁を築いてしまっている三枝さんを、少しやわらかにほぐしてしまう。そんな光景、しなやかな様が魅力的でした。合唱することの楽しさみたいなのが広がっていけば、きっともっといいなって、なんだか期待してしまいます。

うさぎのーと』、最後にネクタイ締めたのいつだろう。正装が似合わない。とはいえ、それなりのスーツを着込めば犬飼(弟)先生はきっとかっこよくなりそうです。まあ、ヤ○ザ度はアップしそうな気もしますが。自分に合った服を着る、それはとてもいいことだと思います。私もその意見には大賛成です。

『少女カフェ』、板倉梓の新連載です。母に先立たれた一家。父の喫茶店でふたごの娘がウェイトレスをするという、ほのぼのとした雰囲気の漫画です。しかし、目にはほのぼの、けれど読めばわりとシニカル、大人びた発言も見受けられて、就学前の児童とは思えぬしっかり具合。手強いおちびさんたちにお父さん、それから父母の友人、葉月さんが振り回されるのかな。なかなかに面白そうです。

『できる女には秘密がある』、連載になりました。嬉しいな。末永く続いてください。年末らしく大掃除が話題になって、いや、これ、年末関係ないのか? 片付けられないお姉さん。でも、私はこの人のこと、どうこういえるような資格ありません。結局、捨てられない人は片付かないんですよね。私の場合、本や雑誌を捨てられたら、一気にきれいになるんですけどね。さて、今回は弟くんの出番が多くてちょっと嬉しかったです。お姉さんも好きですが、どうも弟くんも好きなようで、いい姉弟だなあって思いながら読んでます。

『視界良好』も連載になったそうで、やったあ嬉しいな。長く続いて欲しい漫画です。さて、こちらは年末年始の風景扱って、冬には曇る眼鏡。曇った眼鏡で肉まん食べてる秋奈はとても可愛かったです。はねつきのペナルティ、角ぶち眼鏡がとても素敵でありました。

『だんつま』が2本立てだそうで、やあ、嬉しいな。で、新キャラが登場。いけすかない、けれどすごく可愛らしい奥さんです。なんかツンとお高くとまっちゃって、ほんといけすかない人、なんですが、はしばしに人懐こさ、素直さが垣間見えて、めちゃくちゃ可愛いです。渡辺志保梨の描く人は、みな個性的で癖があって、でも憎めない、そんなよさが必ずあって。今回登場の星野ユキさんも、実にそんな感じでした。2本立て2本目の扉の、友人招いて、その準備をしている姿、すごく楽しみにしてるんだってわかるんですね。なかなかに先が楽しみなキャラクターであります。気にいりました。

『ごめんね、委員長!』、これも2本立てです。今回は学校を離れて、皆で雪遊び。水浸しになって、恵理咲の家へ移動。そうしたら恵理咲のお母さんもちょっと変わりものだったっていうんですね。前半1本目は小ネタで勝負といった風だったのが、後半2本目は恵理咲母の趣味である着ぐるみ部屋着で遊ぶっていうのね。委員長の着せ替え的楽しさもあれば、優里の暴走もあって、楽しく可愛い。とてもよかったです。

先生はお兄ちゃん。』は最終回直前、大きな動きがあって、ちょっと成長したまゆ。ああ、なんというのだろう、ちょっと寂しいね。終わるからっていうんじゃなくて、子供だと思っていたのに成長して娘になっていく、それがちょっと寂しさ感じさせるのです。だから、兄貴の気持ちはちょっとわかるよ。そして今回の兄貴はいい兄貴。ええ、いい話でありました。

『ヒーロー警報!』、素晴しいな。サンタクロースはお父さんなのかそれとも違うのか、永遠のテーマでありますが、かおりの問にJが答えるそのやりかたがスマートで、なんだかいつも以上にかっこよかったです。今回はかおりに関するトラブルだったので、Yはもう散々で、こうしてばたばたしているYが私は好きです。そして長谷川博士が登場。かつて戦っていたみなが、仲良く語り合っているというところもなんかいい。しかし、長谷川博士、今も発明とかしてるみたいだから、元科学者じゃなくて現科学者なんじゃないかと思ったり。味のある爺さん。この漫画には、そうした味のあるキャラクターが多くてよいです。

  • 『まんがタイムラブリー』第17巻第1号(2010年1月号)

2009年12月11日金曜日

PHONON 2551 VISION

 私が平沢進のことを知ったのは、著作権に関する記事がきっかけでした。ほら、2004年ごろに海外盤CDが輸入できなくなるかもしれない、とかいって大騒ぎになったことがあったでしょう。あの時、私も一緒になって騒いだりしましてね、おかげでちょっと署名であるとか法文であるとかが少し身近になったのでした。で、最初は反対するとかいってたサイト名が反対しつづけるなんてなっちゃったものだから、なんか私も反対し続けないといけない気分になっちゃって、著作権関連の動きとか記事とかを継続して追う習慣ができてしまったんですね。そして出会ったのです。「補償金もDRMも必要ない」――音楽家 平沢進氏の提言。気骨のある人がいるなあと思って、記事中の氏のサイトにいってmp3ファイルをダウンロードして、聴いたりして、しかしこの方がまさか。いや、ほんと、知った時には驚きました。

(画像は『点呼する惑星』)

けいおん!』ですよ『けいおん!』。ヒロインの名前、平沢唯。それがなんと平沢進氏に由来するっていうんだから驚いて、しかしそれ、自力では気付けませんでした。いや、だってさ、接点があるようには思われなかったんだもの。P-MODELのメンバーが名前の由来だよっていわれて、ふーん、って思ってて、そのころP-MODELって知らなかったんです。ヒカシューは知ってたんだけど、常に私の知識は偏っているもので、ああ、なんでちゃんと見てなかったんだろう。で、平沢進ですよ。アニメの始まる直前くらいに、あの著作権の人かーっ! って気付いたんですね。私はいつだって遅いんです。かくして遅まきながら、平沢進氏のCDやDVDを買っているという次第です。

最初に買うのなににしようと思って、ずっと決めあぐねていたのですが、とりあえずは無料で聴けるものから気になった曲をと思って、BLUE LIMBOを選んで、あと入門に最適というから『映像のための音楽』を選んで、捏造スプリング・リバーブと僧侶風ヴォーカルエンジンに興味津々で『点呼する惑星』、最後の平沢流ギター・アルバムというキャッチフレーズにひかれてICE-9を選んで、けどこれでもまだまだ一部にすぎません。そして映像作品にも手を出して、新しいものからちょっとずつ見ていこうと思い、PHONON 2551 VISIONPHONON 2550 VISIONも買ったんですね。

そうしたら、このライブビデオがとてもいい。キーボードを弾き、謎の車輪つき機械(graviton)を操作し、そしてTALBOギター ICE-9を弾く。かっこいい! いや、ほんと。基本的には歌のステージなんですが、ステージに仕掛けられたギミック、あれが本当に格好よくて、だって、あの車輪まわすのも、別に普通のMIDIキーボードでいいわけですよ。けれど、あれをあえてまわすことに意味があるのだろうなって。そして、テスラコイルを利用した楽器(?)、Zeusaphoneが登場して、あれはそりゃ観客もどよめくわというしろもの。でも、かっこいいよなあ。などと、大いに感銘受けたのでありました。

PHONON 2551 VISIONを見たいと思ったのは、公式サイトにて公開されているダイジェストにて、観客が手をあげて応える、あの曲の印象が強かったからなんですが、それが実にZeusaphoneの活躍した「夢みる機械」でありました。語り主体の曲でありまして、実にこれが面白いんですね。語りから歌に入り、そして右手を掲げてあのフレーズ! 観客の反応もクイックで、これはすごい、これは面白いよ。もう、こういうの大好きです。最高だと思います。

この人の歌は癖になります。繰り返されるフレーズが脳に残るんですね。むしろシンプルであるといえるフレーズが、もう全然飽きません。聴いているうちにどんどん好きになっていって、ああこの曲いいなと思って、そして過去のアルバムに向かっていくんだろうなという予感がひしひしとしています。けど、アルバムもものすごく多いんです。全部買うのは多分無理だろう。今買えるものを少しずつ揃えていく、その揃えきるまでに廃盤になったりしませんようにとただ祈る気持ちであります。

2009年12月10日木曜日

年中無休★サンタさん!

 今日、ふらりと寄った書店にて発見した『年中無休★サンタさん!』。あ、仏さんじょの新作だ。といったわけで、買ってまいりました。タイトルにあるように、サンタクロースものであります。ああ、12月だものね、なんて思って買って、それで読み始めて気付いたんですが、冒頭、のっけから真夏です。あ、年中無休なんだ。それっていったいどういうことなんだろう。などと思っているうちに、なんだかサンタクロースものというよりも、戦う魔法少女といった色が強くなってきて……。そういえば、メイド喫茶ものだった『ろりぽ∞』も、しっかり闘争するメイドさんだったものなあ。といったわけで、こういったノリが仏さんじょのテイストなのだと思います。

戦うサンタガール。相手はプレゼンツ、粗末に扱われたプレゼントの成れの果てだ! ってな具合に、サンタクロースという設定はちゃんと生きています。ヒロインは三田燦。サンタになる家系である三田家の少女には、16歳の誕生日にクリスマスカードが届く。それを受け取れば、もう彼女は立派なサンタクロース。そう、プレゼンツとの戦いを余儀なくされるというのですね。変身シーンあり、必殺技あり、戦う少女戦士もののパターンを踏襲しつつ、そこかしこに見られるパロディ的味付けは面白い。いや、サンタの使う武器であるプリンシパル・リースにネジ穴が空いてるとかさ、サンタの武器だからもちろんオモチャさ、っていわれたら、ああー、なるほどなー、とは思うけど、でも多分それだけじゃないよね。こんな感じで展開されるちょっとシニカルなコメディ。恋愛要素などもからめながら、それでいずれはシリアスな要素も出たりするのかなと思うと期待は高まります。

第1巻を読んだ時点では、黒幕がどうもあの人らしい。とか思わせて、それから意外と近いところにも敵は潜んでいるんじゃないか、なんて思わせる描写もあったりして、これ、もしかしたら思わせるだけ思わせて違うっていうパターンかも知れないからなんともいえないんだけど、またはっきりとは登場してないのだけど、今後共闘することになりそうなキャラクターもあったりする? まだほのめかしといった程度の要素が多くてやっぱりなんともいえないのですけど、きっと思いがけない展開がきそうだなんて思ってしまうのは、『ろりぽ∞』のためであるんでしょうね。ええ、あの展開には驚かされたものでした。

といったわけで、『年中無休★サンタさん!』、年2回くらいのペースで出るでしょうか。ちょっと楽しみな漫画です。

2009年12月9日水曜日

『まんがタイムきらら』2010年1月号

『まんがタイムきらら』2010年1月号が発売です。表紙は『けいおん!』。サンタコスチュームの唯、紬であります。でもって、この紬の笑顔。実に原作らしい表情だと私は思っておるのですが、独特の柔らかさのあるタッチ、これがよいのですね。クラッカーを鳴らす唯、耳を押さえる紬。なかなかに微笑ましさを感じさせるふたりの様子、とてもいい感じです。

さて『けいおん!』本編は、気の抜けた梓、変わらぬ部室の風景、そして進路の話でした。まさか、ここでこんな展開になるとは思ってませんでした。いやね、みんなで一緒の学校いこうねっていうのは、高校受験あたりならあるけど、大学ではあんまりないような気がして、進路は違ってしまったけど、高校時代の友達はずっと仲よし、みたいなことになるものだと思っていたから、本当に意外でした。これから受験シーズンまで、勉強合宿みたいな流れになるのかな? なんか、唯のスペシャルな能力が発揮されそうな予感がして、そいつはちょっと楽しみです。

三者三葉』、桜はクッキングアイドルでも目指してるのでしょうか。夢見がちな桜に、励ましているようで現実をすり込んでいる薗部さん。まあ、薗部さんのいうことが実際だと思うんですよ。夢や目標をだんだん身の丈にあったものに変えていく、それが人生というものなら、今の薗部さんは成功者だなって思います。というか、人としては問題ありだけど、生活して生きていくことに関しては、この人すごくちゃんとしてるような気もします。

『まいにちアップデート』、ゲスト3回目です。Blogにイラスト公開して、なんだか世界が広がっていく志信。すごくいいなって思います。ちょっとした言葉が嬉しい。それはBlogに残されたコメントであったり、あるいは知らず認めてくれた兄からの評価だったり。自分の作ったものが誰かに認められる、その喜びが次の制作を後押しするという流れが、瑞々しくて素敵です。素朴ながらも、なんだか胸に伝わるあたたかみがある。こういうの大好きです。

うらバン!』がゲストで登場です。楽器を持って帰るという話。いや、チューバは大変でしょう。ゆみが楽器に名前をつけていたり、それからご両親登場したり。しかし、お父さん、えらい御年だな。しかもなんだかインテリ風。大学の先生とかなのかな。娘大好きな感じがとてもいい。そして、自宅で楽器を吹く。これ、意外に難易度が高いんですよね。近所迷惑にもなるでしょう。だから、本当に環境に恵まれないとできません。ボーボーって、家族もだけど、周囲の人もなんだろうって思ったんじゃないかと思うと、なんだか笑えてきます。

PONG PONG PONG!』、祐太がなんだかうまくいっているようです。なのに、なんでかいらついているリコ。寂しがっているのか、真由にしがみついている様子、なんじゃ、えらいこといじらしい。で、真由もイライラ。徹頭徹尾シビアな高坂先輩。そしてあわれな祐太。もう、一筋縄ではいかない感じが最高で、そうした上がり下がりの端々に必死の様子が描かれる。もう面白いなあ。やっぱり、この漫画、大好きです。

『天狗ちゃんと、あととり娘』、ゲスト3回目です。天狗の娘の神通力。そして烏を使役するなど、こういった展開、これまでのひよ様とは打って変わって積極的で、なかなかによかったです。でもって、烏がものすごく紳士的。さすがに天狗だけあって、偉いのだなと思わせるところもいい。烏の行列など、絵的にも面白さがあふれていて、なんだか読んでいてとても楽しい回でありました。

『涼宿チェックイン!』、ゲスト3回目です。これは続くとしたら、チカゲの成長ものとしての色が強くなるのかな、と思わせた回です。もちろん、この漫画のヒロインはアカリでリンネであるわけで、それぞれのキャラクターがわかってきてから、面白さも増してきたと感じています。続けば割と好きになって読んでいきそうと思っています。

『ハッピーホームベーカリー』、これもゲスト3回目です。パン職人として頑張りたい娘の話。その努力の過程が描かれているところ、なかなかによいと思っています。教えを乞うて、チャレンジを繰り返して、それでちょっとずつうまくなっていく。思わぬライバル出現というのが落ちになったけど、この落ち、展開にうまく膨らみをあたえそうで、そういうところもよいなと思いました。

『ねこきっさ』、面白かった。あのサンダークロウズ、いやファイヤークロウズか、あれ実は本物っていう落ちなのかと思っていたから、意外なラストにすっかりやられてしまいました。いい話じゃないか! あの正体だからこそのあの必殺技、あれが大きなヒントになってたのに気付かなかったというのが、私の読みの浅さを露呈させて、でもほんと、いい話でした。なんのかんのいって、仲がいいっていうところ、そしてファンタジーがほのかに香る、そうしたところもよかったです。

メロ3』は木ノ子のダイエット。脂肪が減ったら寒いというのは本当です。もう、私も、毎日寒くて寒くて、木ノ子ほどじゃないけど、着脹れ傾向にあります。で、脂肪って多すぎても駄目だけれど、少なすぎても駄目なんですってね。なんか寿命に影響するとか聞いたことがあるよ! やばいよ! でもって、本編はスーパー銭湯編に突入するのですが、その直前に差し挟まれるポン太のコメントがよかったです。

『脳内彼女のいる生活』、ゲストです。やっぱりこれ面白いです。マスターの前田よりも、脳内彼女霞子の方が優位的だったり、しかもかなり無茶を効かせられたりするようだっていうね、そういう凶悪さが素晴しいです。意外に嫉妬深いかも知れない霞子。朗らかだけど、めちゃくちゃ怖いな。脳内彼女も善し悪しです。でもって、前田に対する周囲の評価。あんまり芳しくないのが、さらに悪くなる、素敵。ほんと、最初の振りから落ちまで面白いです。

My Private D☆V。 『○本の住人』のkashmirです。イラストとして完結している中に、フェティシズムが濃厚に香るというスタイル。これ、面白いなあ。足に見える表情、それは確かにフェティッシュであると思います。で、ちゃんと落ちまであるっていうの。中央ののりこも可愛いくて、これはとてもよいものでした。

  • 『まんがタイムきらら』第8巻第1号(2010年1月号)

2009年12月8日火曜日

チェルシー

 『チェルシー』、『まんがタイムきららキャラット』にて連載されている漫画であるのですが、私、これ大好きです。いきいきとして躍動感にあふれたキャラクターが魅力的。はじめて見た時に、すごくいい絵! と思ったその気持ちが、その後も膨らみ続けているのです。いや、本当に魅力的なんです。ポップでキュート。オーバーなアクションが絵に展開に活気を与えていて、無軌道な女子高生たちの勢いまかせの青春に私は魅了されっぱなしです。いや、無軌道なのはメインヒロインであるユキだけじゃないのか、っていう気もしないでもないですが、彼女のムダなテンションの高さが、友人たちを、そして私を引っ張っていく。その引き込まれる、巻き込まれる感覚がすごく楽しくて、読むほどに気持ちがわくわくとわきたつのです。

けれど、最初のころは、絵の魅力こそは強いものの、話、漫画としてはそれなりかななんて思っていたのですね。キャラクターの強さ、絵の力で牽引していくタイプの漫画と思って、そしてその魅力の中心であるキャラクターの鮮かさに喜んで絡めとられていた。ところが、そんな印象を一気に変えてしまったのが、ほら、あの落語、三題噺のエピソードですよ。ユキが落語に挑戦するものの、どんどん収拾つかなくなっていく。そのどうしようもない感じに油断したところに、あの落ちがガツンときた、鮮かでした。目が一気に開いたかのような鮮烈な印象に幻惑されて、もともと気にいっていたものが、さらに好きになった。この漫画はいけると、きっともっと好きになる、というか、これまでそれなりとか思っていたことを申し訳なく感じた。それほどに強烈な一撃であったのです。

私は実をいいますと、お笑いという芸能に対する感受性が弱く、テレビでやってるお笑い番組見ても、その面白さがわからない、観客の笑っていることに共感できないことがしばしばです。古典落語とかベテランのやる漫才とかは好きなんですけど、若手の芸に対する受容体を持っていないようで、そのため『チェルシー』のテーマであるお笑いについてもいまいち理解が及ばないところがあるんですね。そんな私ですから、三題噺でようやく反応できたのかも知れません。

『チェルシー』のテーマはお笑いです。平凡、普通から抜け出したいと思ったユキの、よし! お笑いやるよ!! からはじまった漫画です。友人誘ってカルテット結成して、ネタを作って、舞台を踏んで、迷走しているように思わせながらも、実は結構ちゃんと前向いて進んでいるんですね。自分にできることってなんだろう、やりたいことってなんだろう。まだ将来を具体的に描くにいたっていない彼女らが、今の自分たちのやるべきこととしてお笑いを選び、そしてチャレンジしていくという、そのプロットはなかなかに読んでいて気持ちがよいものです。チェルシーというのは、ユキたちのグループの名前であるのですが、チェルシーの他にもロッキン雅や柊リズム、マドモアゼル、卯月社といったユニットがあって、しのぎを削っています。この、ライバルで、けれど仲間でもあるといった様子に、青春群像もののよさを感じとって、ああよいなって思っています。ええ、私にとって『チェルシー』は、お笑いを通じた青春のきらめきがまぶしい、そうした漫画であるのです。

それがお笑いである、美術である、音楽である、卓球である、ボウリングである、なんだっていいのですが、なにかに取り組んで、泣いて笑って苦しんでうろたえて、楽しんで、そして嬉しくて。そうした風景はかくも魅力的であるのかと、『チェルシー』を見ていて思います。きらきらとまぶしくて、目を離すなんてちょっとできない、かくも魅力的な光景に心奪われっぱなしです。

  • シバユウスケ『チェルシー』第1巻 (まんがタイムKRコミックス) 東京:芳文社,2009年。
  • 以下続刊

引用

  • シバユウスケ『チェルシー』第1巻 (東京:芳文社,2009年),9頁。

2009年12月7日月曜日

『まんがタイム』2010年1月号

『まんがタイム』2010年1月号が発売です。表紙はクリスマス、サンタクロースの格好をしたおとぼけ課長を中心に、プレゼントがテーマなのでしょう、『みそララ』、『すいーとるーむ?』、『Smileすいーつ』が周囲に配置されています。しかし自分がプレゼントになってるゆかりさんは凶悪だな。というのはおいておいても、『みそララ』粟屋のもらった『大島写真集』はちょっと欲しいなと思わせるものでありました。にぎやかではなやか。いい表紙だと思います。

『わさんぼん』。うわ、なんや、えらいええ男やないか。本編はいれば、根つめてるんでしょうか、目にくま作っている草太、それが扉では目元の涼しい色男になってて、あかん、なんか腹立つな。いや、怒ってるわけじゃないです。しかし本編の草太、彼の頑張りを見て萩くんも発奮するっていうね、いいライバル関係ができていて、これはすごくいい感じ。別に対立するわけでも勝負するわけでもないけれど、刺激しあえる関係にあるふたり、すごくよいです。つうか、ありがとすぐ風呂もらうよのコマの草太、えらいいい男やなあ。萩くん、惚れてしまえ。でもって、もうひとつ、牡丹にいいよる鍔輝が再登場したかと思えば、その妹の咲良も登場。彼女は萩くんの許婚らしい。それでもって、この兄妹がえらいよう似てるんですね。この漫画は、一族顔そっくり、っていうのが基本にあるみたいです。

『うえぽん!』、ゲストです。頭にキャノン砲をつけた女の子が転校してきたっていう、シュールというべきなんでしょうか、ちょっと正直なんといったものかわからず、とまどっています。これって、『まんがタイム』からは逸脱傾向にあるけれど、『きらら』系から見たら未満っていうようなポジションに位置しているように思うのですが、とりあえずあと2回ゲスト掲載されるみたいだから、それでなにか、おっと思わせるようなことがあるかどうかが分かれ目かと思われます。『びんちょうタン』とか『あふがにすタン』とかをふと思い出したのですが、けどそれらちゃんと読んだことがあるわけではないから、きちんと比較するまでにはいたらない。なので、とりあえずは様子を見ていきたいところです。

新年企画『とりかえっ娘4コマ』、これ面白かったです。互いに漫画を描きあうという企画なんですが、うまく雰囲気を似せながら自分の作風を出していくというところが面白いです。で、人によって相手と自分の作風の割り合いが違っているのも興味ぶかくって、川島よしおなんかは自分の作風の中で勝負しているという感覚が強く、だって有希が東北弁でしゃべってる。森ゆきなつもそんな感じ。対して、宮原るりあたりは相手の作風にうまく近付けていて、本編であってもおかしくなさそうな雰囲気。中間は東屋めめかなあ。それぞれに見せ方が違って面白かったです。で、あの、すいませんテーマまちがえました…。え? なんで、と思ったら、ああ、ひとりだけクリスマス関係ない! 身をはって落ちになる、その態度、感涙にむせびました。っていうか、!!?で強調されてるのもすごいなと。でもって、そのテーマまちがいをサブタイトルでうまく拾っているというのもすごいなと。なかなかにすごい落ち、感動しました。

『しぇあっち!』、ともち、新作です。シェアハウスでの交流ものみたいです。これってつまり下宿屋みたいなものなのかな? 大学生、大勢での同居、そうしたところに昔の学生ものっぽさを感じたりしながら(昔は大学生下宿屋住まいというジャンルがあった、と思う)、けれど今の雰囲気も感じられたりするだろうか。などと思うものだから、ちょっと興味深く、期待もって読みたいと思えるものでありました。

『ねじゆるゆる』、特別ゲストです。父ひとり娘ひとり? のうちに、ロボットがやってきた。なんか、これもどういったものかわからないな。ナンセンスな四コマです。ただ、私がそうしたナンセンスを読むモードに入れていないからなのか、どうもむこうとこちらで感覚が噛み合わないように思えて、取り残されたような感覚があるんですね。続けて読んでいればかわるのかも知れません。

『スクミッション!』、佐田静の新作です。雨の日にやってきた美女。水浸し、油断をすると触覚が出る。ジャンボタニシの恩返しだそうです。主人公もいってるんですが、確かにちょっと怖いよね。『まんがタイム』の2010年は、シュールとかナンセンスが目標だったりするのでしょうか。今のところ、これもなんともいいがたいものがあります。もっと普通で、もっと地味でいいんだけどな、なんて思うんですけど、多分それでは駄目になってきてるんでしょうね。こうした試行錯誤の先に光明があるなら、それもよいと思います。けれど、今は戸惑っている、そういうほかないような気分です。

みそララ』、驚いた。美苑さん、梨絵さん、すごく美人! 眼鏡かけてるから、ですよねきっと。でも驚いたのはそっちじゃない。『恋愛ラボ』から新聞部のふたりがやってきたっていう、おおう、驚いた。でもってテーマは言葉の誤用。ああ、これめちゃくちゃ難しいですよね。すべからくとか、私も間違えて使っていて、あとで気付いてどうしようかおろおろしたことがあります。

でも、確信犯はどうしたものか迷います。一般に多く用いられる、犯罪と判っていてあえてそれを実行した犯人という意味が誤用というのは知ってます。けど本来の意味での確信犯って、ちょっと聞いたり見たりした覚えがないんですよね。だから私がこの語を使うとしたら、誤用とされるものになる。ところが、Blogやサイトに確信犯って確信犯的に書いたりすると、それは間違いですって指摘にくるエージェントがいたりしたものだから、本当に使いにくい語になってしまって、いわゆる確信犯みたいに、誤用とはわかってるんだけど一般に流布している意味で使っていますという言い訳をこみで使うかどうか悩んだあげく、とりやめたりね、いや、本当に困る語であります。

的を射る的を得るもそうだな。この語に対する葛藤は、以前にも書いてます

そして、ほっこり。これも以前迷いました。私の知るほっこりは、疲れたではなく、人心地つくなんですよ。この語を使ったのは、『つくしまっすぐライフ!』で書いた時ですね。この時に人心地つくでほっこりを使うか、それともそれを誤用と判断して言い替えるか悩んで、実際いくつか言い替えを考えて、けれどそれではしっくりこなくて、仕方がないから、ここは地元の強みですよ。生きた用例に当たったんですね。父と母に聞いてみて、そうしたら父母ともに人心地つくの意味でほっこりを使っていたんです。父は嵯峨の出です(そう、嵐山です。『わさんぼん』の舞台のモデルですね)。母の実家は着物の絵柄を描いていた絵描きの家系で、やっぱり京都です(いわゆる市内からは外れているけど)。そのふたりともが人心地つくでほっこりを使っているんだから、これはもう人心地つくでいいじゃないかと、自分は人心地つく文化圏に育ったんだと、そう思って使用に踏み切ったんですね。

いろいろ調べてみたところ、滋賀の方では疲れたの意味でほっこりを使うんだとかいいます。けれど、京都では用法がもう違ってしまっているようだ、そういうことを書いているサイトもありました。ええと「ほっこりする」の本来の意味 - スノーのブログです。ついでに京都新聞の記事での用例も見付けました。これを見ると人心地つくの意味で使っているようです。で、広辞苑にはもてあまして疲れたさま(第5版、3番目の用法)が出ていて、大辞林には色つやがよく鮮やかなさま。また,ほっとしたさま(第3版、2番目の用法、続膝栗毛での用例つき)が出ています。でも辞書に出ているから正しいというわけでもないわけで、とまあ、かくも言葉は難しいなと思わせる話題であります。こんなBlog記事でさえこれだけ悩むんですから、新聞雑誌というメディアにおいては、この比ではない苦労煩悶があるのでしょうね。

ところで、でも間違ってるのに使うのは抵抗が…。ええ、私にもどうしても抵抗があって使えない言葉があって、その代表格はまったりです。この誤用転用が発生して、もう十年以上経つというのに、未だに抵抗があって使えません。かくも言葉とは根深く難しいものであります。

えらいこと脱線したな。

『恋愛ラボ』ではしっかりしているように見える子らも、『みそララ』では中学生らしいと思える、そんな素直さフレッシュな印象を見せてくれる、その表情の違いもまた見どころであると思います。南桃香のあの一連の表情は、ちょっと本編では見られそうにないものでありました。なんか、ちょっと違った側面を伺える、そんなところが嬉しく思わせてくれる回でした。

  • 『まんがタイム』第30巻第1号(2010年1月号)

引用

  • 佐藤両々「わさんぼん」,『まんがタイム』第30巻第1号(2010年1月号),29頁。
  • 宮原るり「クリスマスは中止です(by月子)」,同前,52頁。
  • ほっこり」の項,『広辞苑』新村出編,東京:岩波書店,1955年;第5版,1998年。
  • ほっこり」の項,『大辞林』松村明編,東京:三省堂,第3版,2007年。
  • 宮原るり「みそララ」,前掲書,133頁。

2009年12月6日日曜日

魔法少女☆皇れおん(仮)

 『魔法少女☆皇れおん(仮)』は女装少年ものであるのですが、見た目にも可愛い主人公皇れおん、しかし彼は好きで女装するわけではないというところが肝であります。ある日突然、強制的に変身させられてしまうというギミックが発動したれおん。マッド系の科学者である母による改造であるというのですが、しかし一体なにが目的なのか!? いや、全然大げさな話ではなく、単に母の趣味であるというんですね。この実にどうでもいい理由。可愛い男の子が突然女装状態に放り込まれて恥じらう様子を愛でようという、ただそれだけの理由が逆になんだか面白く、結構楽しみに読んでおりました。

面白いのは、れおんの恥じらう様子もそうなのですが、それ以外の要素、同居してる幼馴染みの女の子ささめがれおんを助けようと活躍する、というか振り回されてる様子も面白いし、れおんの友人ナツメが女装れおんを好きになってしまうところも面白かった。他にも、れおんを目の敵にする風紀委員桜園さくやとか、なかなかによいキャラクターが揃っていて、そのばたばたと騒いでいる様子が楽しかったのですね。

私が特に好きだったのは、ささめでありました。家が道場やってる関係で、やたら強い女の子。強い、凛々しい、頼りになる。そんなかっこいい系女の子であるのですが、この彼女がれおんの可愛さには弱いときているのですね。変身したれおんにドキドキする。背の小さく運動も苦手な彼が一生懸命背伸びし、じたばたする様に萌えて悶える。そんなささめがどうしようもなく可愛いくて、この普段はクールな女子が可愛いもの前にして、抗えないっていうのね、もう見ていてたまらん。といった具合に、私にとってこの漫画は、れおんの可愛さ、ささめの可愛さに悶えるという二段構えの萌え構造を持っていたのでした。もう、このふたりが本当によいの。

しかし、終盤、ちょっと急ぎ気味と思える状況は残念ではあったけれど、れおんを守るのは自分だと意識しているささめ、そしてそんなささめに釣り合う男になりたいというれおん、その関係が変わろうというところなど、なかなかに素敵でした。このふたりが、幼なじみ的状況から恋愛的状況に移行する、そういったストーリーが感じられて、あの時のれおんは可愛いだけでなく、立派に男の子だったなあと、ちょっとにやにやしてしまうのでした。ふたりの仲が進展することを期待していたんでしょうね。だから、このラストはすごく気にいっています。最後の最後こそは、ああした再びもとの騒動に投げ込まれるというものでありましたけど、でもその繰り返しに似た状況の中、れおんとささめの関係はちょっと違っちゃってるんだろうなって思うと、なんだか微笑ましくて、ほんと、このふたりのことが好きだったんだなってあらためて実感するのでありました。

2009年12月5日土曜日

『まんがタウン』2010年1月号

『まんがタウン』2010年1月号、発売です。今日は土曜、雨が降ってちょっと寒い、外に出たくないなあ、なんて思ったのですが、けれど『まんがタウン』買いにいきたい。がんばって、気力ふりおこしてコンビニまで出向きました。雨は小雨が時にぱらぱらと降り掛かる程度だったので、特に問題はなし。けれど寒さはいかんともしがたく、ああもう冬だなあという思いを強めました。

三色だんご』の、よもぎが熱を出して楽しみにしていた遊園地にいけないというネタは、よくある話、かと思ったら、原因が別にいるのか。なでしこのために割を食ってしまうよもぎのポジションは、なんともいえずあわれであるのですが、けれどよもぎをはげまそうとする家族のいろいろは、なんだかちょっとよいなと思わせるものでした。まあ困った家族だなとも思うんですが。このよい話になりそうなところを阻止するようなバランス。山田まりおらしくて気にいっています。

『70's 愛ライフ』。ああ、昔の年末年始は、確かにどこの店も休業していて、お年玉もらって、使いたくてしかたがないのに、店は休み。子供のころは営業の始まる4日が待ち遠しかった。今は、仕事の始まる4日は、きて欲しくない日になってしまいましたけど。

この、店が休みになって、しんと静かになる正月の風景というのは、今やもうなくなってしまいましたけど、あの雰囲気は私は好きだったんです。今の方が断然便利だし、にぎやかだしで、昔に戻った方がいいかといわれたら、うーん、私はそれでも戻って欲しいと思います。24時間営業もなくていい、365日営業もなくていい。もっと静かでスローだった昔を懐かしむ、そんな気持ちにさせてくれる話でありました。

光の大社員』の本棚の話は、ああ昔は私もそうだった。今は本棚がいっぱいで入らないのが普通になってしまっているので、ああしたことで悩むことはなくなりました。というか、それ以前に問題がありすぎます。伊達のようなありかたが一番しあわせなのかな、などと思うのは、こういう感動を得ることが減ってきているからなのかも知れません。感受性がどうも鈍っている模様です。

『よせ☆あげ』は瑠璃華の存在が、本当に無視できないなと思えるくらいに大きくなっていると感じられます。誉められて嬉しいほのか。それはとても自然な感情で、けれど舞い上がっている様子をつけ上がってるだけだからと切り捨てられて、しぼむ。そんな彼女を再び奮起させる瑠璃華は、そのキャラクターでもって話をアップダウンさせる、本当にいい刺激として機能しています。話を動かすというだけでなく、前向きさや素直さ、そうしたよさを持っていて、自然に応援したくなる。そんな憎めないところもとてもいいのだろう、そんな感じに思っていて、けど、多分、『いれ☆かえ』になったら、瑠璃華のよさは薄れちゃったりするのかもな、なんて風にも思っています。ああ、永遠の二番手。けどそうしたところも私は気にいっているみたいです。

  • 『まんがタウン』第11巻第2号(2010年1月号)

引用

  • 笹野ちはる「よせ☆あげ」,『まんがタウン』第11巻第2号(2010年1月号),176頁。

2009年12月4日金曜日

『まんがタイムジャンボ』2010年1月号

『まんがタイムジャンボ』2010年1月号が発売です。すごいな、もう新年ですよ。表紙は重野なおき新作『じょしもん』がメインで、サブには『おねがい朝倉さん』、『中2限定!?ガールズトーク』、『パドラーズハイ』とあって、『じょしもん』ヒロイン美々と朝倉さん、そして『パドラーズハイ』のふたりが毛筆手にしています。いやね、これ、最初なんだろうって思って、最初に筆を意識したのが『パドラーズハイ』だったものだから、部員勧誘のポスターでも書いてるのかと思いました。いやいやいや、どう考えても書き初めでしょうよ。しかし、いよいよクリスマスが近付いてきたなあと思いはじめたこの頃に、新年。雑誌というのは実に気が早いものでございます。

『じょしもん』。新入部員がひとりはいりました。ミジンコ好きのクールな女子。五所ヶ原和泉。第2話読んでみての印象は、『のの美捜査中!』っぽいって感じでしょうか。そして『中2限定!?ガールズトーク』、こちら連載になりました。主人公、でいいのかな、教師ヒカルはどうも同僚教師百合子先生のことが好きなようで、で、百合子先生はヒカルのこと、別に好きでもなんでもないという、そんな関係です。携帯小説で泣くヒカル、追求する生徒たち。どたばたとした感じが面白いです。

『みちるダイナマイト!』、みちる変装中の扉絵が可愛いです。しかし、この人は背が高かったのですね。なんだか意外な感じでした。でも、背の高い女性も魅力的だと思います。パンクロックバンドでギターボーカルしていることを隠している人のいい大学教員。彼女と、知らず両方のファンである学生のふたりが、だんだんに知り合いながら、自分の価値を確かなものとしていく、そうしたくだりはなかなかによいなと思えるものでありました。

『ちょいのり。』、ちよ姉の兄登場。今回は兄の運転。ちよ姉と兄、そしていのり三人で特売にいく話。仲のいい兄妹。いいたいこといいあって、けれど喧嘩したりはしない。いい距離感、いい関係です。兄はやっぱり兄で妹たちをあたたかく見守ろうという気持ちを忘れてはいないし、妹はなんのかんのいっても兄に甘えるような雰囲気ただよわせて、けどべったりじゃない。そのバランス、読んでてとてもよかったです。

『あまぞねす?』。前回、デザイン会社に就職したふたり。PC使えないと仕事にならないのに、まったくコンピュータ使えない。なので、小学生の女の子楓に教えてもらうのですが、その様子がすごく面白かったです。教室がはじまって拍手。起動して拍手。その度に照れる楓。目が線になって、顔の輪郭がゆるむのね。可愛いなあ。この人の絵は割とかっちりしてるのに、それがゆるむと印象が全然違って、いい感じ。大人ふたりも、いい感じに頼りなくて、その様子が面白い。期待してた以上に面白くて、ちょっと気にいってしまいました。

『太陽くんの受難』、まだゲストです。美人のふたご姉妹に翻弄される太陽くん。結構ひどい双子。けどその酷さがよいです。いい感じにざっくばらんで、また酷さのタイプが姉妹それぞれで違うっていうのもよくて、楽しいです。

『しすコン!』、ゲストです。妹が結婚すると聞いて、結婚に対する意識が急激に上昇した姉美紀の話。これ、結局はケンちゃんに決着するんだろうなって思うんだけど、というか、ケンちゃん、あんたどんだけあかんたれやねんと、それこそ素面の時にそれをいえんでどうするねと、思ったりしたのだけど、ケンちゃんがあかんたれじゃないと成立しない話でもあります。これ、ケンちゃんがいなかったらただ危なっかしいだけの娘の話になっちゃうし、保護してくれる人、それで信頼できる、そんなサポーターが必要なのでしょう。で、それがケンちゃん。必要だけど、ちょっとあわれなポジションです。

なのはなフラワーズ』。この展開を思いもしなかったなどといってしまうのは、それはつまり読者である私も、彼女たち同様にいつかきっと訪れることをうす目で遠くに見ようとしていたということなのでしょう。しかし人は悲しい未来、切ない未来が刻々と近付いてくることをしっかりと理解しながら、それに目を向けることをいさぎよしとしないもの。いや、理解しているからこそ、直視することに耐えないのかも知れません。大泣きのモーリー。切ない告白。これは涙を絞りました。これは、切なさに胸をしめつけられる思いでありました。

Boy’sたいむ』は、いつもどおりのひろむのドタバタかと思ったら、なんと置島が核心に近付いた!? 驚いた。これは!? と思って、そうか、置島はついにひろむが最近はやりの女装少年と気付いたか。女装した自分に恋してしまっているひろむを思って胸さわがせたりなぞするのか。なんて感じにわくわくしてたのに、ちょっと状況は巻き戻されて、いやあ、なかなかにいいじらしっぷりであります。

『江戸川スイートエージェンシー』。私は恋人がCGですが、心配なんざこれっぽっちもありませんことよ? ところでカマ男、なぜか違うカマ男かと思ってしまい、別の意味で郁巳クンを心配したりして。けど、まあ、あれがあれば一撃ですわな。

『パドラーズハイ』、やっぱり面白い。やってることは、川に出て、ラフティングやって、水サイコー! ハイになっての繰り返しなんだけれど、けれどまったく同じことやってるわけじゃないっていうところがよいのですね。今回はというと、スタート地点とゴール地点の設定、速やかな撤退可能態勢を事前に構築しておくなど、そうか、なかなかに深いものがあるなと感心してみたりですね、そして水に落ちた時の対処など。いろいろ知れるのは楽しいこと。そして、そのいろいろを教えてくれる様子、それがそのつど面白いという、そこが最高です。いろいろとステップアップはかろうという動きも見えて、とても楽しみ。そういえば今号から連載ですね。すごく嬉しいです。あ、眼鏡の彼女の眼鏡はバンドかなんかで固定されてるのかしら。飛んじゃうんじゃないかって、心配してしまうのであります。

『子うさぎ月暦』、いよいよ子うさぎが関係なくなってきていますが、サフォーク実家での出来事。しかし、いつにもましてインパクトあるな。クロ子さん、最初どうなってるのかわからなかった。面長でいらっしゃるのね……。しかし、面長、目はぱっちり、結構な美人さんじゃなくって? まあ生態系の力学的にいろいろ問題があるような気もしますが、でもまあ愛があれば、ある? あれば大丈夫ですよね。しかし味わい深い。サフォークは徹頭徹尾紳士であるし。そしてクロ子さんは淑女であるし。なんともいえない味わいです。

『ぼくらは魔法が使えない』。ゲストのまま時間は過ぎて、なんかすごく惜しいよ。この漫画、すごく面白いのに。最後に語られた魔法の時間という意味。それは、タイトルのぼくらは魔法が使えないということにつきるのでしょう。素晴しい時間、素敵な時間、けれどそれを留めることは誰にもできない。切ない。けれど切なさを前面に出さず、シビアでシュールな笑い面白さを追求して、けれどその若い日々はいつまでも続かないんだっていう、そうした現実が切ないね。でも、続かないからこそ貴重、続かないからこそ素晴しいのだとも思うのね。だからこそ、この漫画に描かれる情景は素敵だと思うのですね。

『でり研』、ゲストです。でりしゃす研究会。『OHでりしゃす!!』に関係ある? と思ったらそうではないみたい。とりあえずは序盤も序盤。状況はまだほとんどわかっていないのですが、とりあえず海原先輩がろくでもないってことがわかりました。しかし、大仏っていうの、おさらぎさんなのかなって思ったら、ほくろから連想して勝手につけた名前かよ! この展開にはちょっと驚きました。なんか期待できるかも。そんな出だしでありました。

  • 『まんがタイムジャンボ』第16巻第1号(2010年1月号)

引用

  • 青木俊直「なのはなフラワーズ」,『まんがタイムジャンボ』第16巻第1号(2010年1月号),101頁。

2009年12月3日木曜日

ねこみみぴんぐす

 『ねこみみぴんぐす』が素晴しい。とはいうものの、はじまった当初はいったいどうしたものかと途方に暮れたような覚えがあります。ヒロイン、小春ひよりはねこみみの女の子。いや、もうなんの説明もなく普通にねこみみつけてて、いや、つけてるんじゃないよ、天然のねこみみなんだっていうね。ええーっ、これは一発ネタかなんかなのか? ひよりの友人も友人で、クールな女の子紫陽花はうさぎのぬいぐるみをいつも抱いていて、うさたんが手元を離れると取り乱してしまうし、熱血キャラ向日葵はなぜかヘッドホン標準装備。こんな一癖も二癖もある、というかありすぎる娘たちの卓球部活もの。どうなんだろうなあと思っていたら、これが面白い。癖のあるキャラクターで読ませるのかといえば、そうじゃない。部活ものとして真っ当に面白い。これは、これはいいな。すっかり引き込まれてしまったのでした。

部活ものとして面白い。それは卓球に対する彼女らの取り組み方、それが実に素直で真摯だからに他なりません。癖のあるキャラクター、色物? と思わせておいて、真面目に部活やっているその姿がいい。練習試合のエピソードが最初の一撃でしたっけね。隣の高校のライバル、穂咲さん、彼女に焚き付けられて、トレーニングに励む部員たち。試合においても、絶対に負けてたまるものかと、もう必死。試合途中の状況こそは描かれなかったけれど、戦い終えた時の様子、息も絶え絶えになって、勝った方も負けた方も、ああなんかいいよね、こういうの。

負けて悔しい、だから頑張る。長年続けていてもなかなか上手くはならない。けれど頑張る。明日の自分は今日の自分より上手くなれるように頑張りたいですー。この言葉には感動しました。いや、冗談とかじゃなくて、本気で感動した。負けたくない。少しでも前へ進みたいと思いながら、もがくみたいにして頑張って、そして昨日の自分にできなかったことができるようになっていることに気付く。その喜び。それが人をより深みへと導くのですね。ええ、彼女らの卓球に対する取り組み方の、だんだんに深まっていく様子、彼女らの卓球に引き込まれていく様が、私をも引き込んだのです。

けれど、彼女らも年がら年中卓球ばっかりやっているわけじゃありません。練習試合や合宿、そして市民大会といった見せ場、山場の合間には、卓球から少し離れて、学校の、あるいは遊びに出たりの様子も描かれていて、それがまたいい緩急をつけるのです。熱血というほどではないけれど、しっかりと卓球に取り組んでいる彼女らです。部活の様子ばかりだと、さすがに息が詰まるかも知れません。卓球でお腹いっぱい、みたいになったらあんまりです。けれど、合間合間に日常の情景が差し挟まれるから、そこでちょっと一息ついて、彼女たちともどもリフレッシュできる。そして、このゆるんだ時間にも卓球は無関係でないっていうのがいいんですね。卓球をまるっきり忘れたりはしない。気持ちのどこかに卓球はあり続けていて、ああ、この子らは本当に卓球が好きなんだなって伝わってくる。さらにいえば、作者、この人も卓球が好きなんだろうなって、そんな感じがひしひしと伝わってくる。卓球が好き、卓球は楽しいんだよっていう気持ちが、読んでいる私のうちにも生まれてくる。それほどに雄弁な卓球愛が素晴しいです。

で、ここでいっちゃうけど、私、小学生中学生のころ、卓球やってました。けど、嫌々とまではいわないけど、決して真面目なプレイヤーじゃなかった。だからこそ思う。もっと真剣に取り組んでいたら、きっと卓球に対する意識は違っていたんだろうなって。もったいないことしたなって、ひよりや花、葵、そして穂咲を見ていて、ちょっと悔しいです。ええ、彼女らの得ている好きという気持ちについていけない、それがなんだか悔しくて、それはつまりは、こんな気持ちになるほどに、魅力的な卓球の情景が広がっているってことなのです。

  • まりも『ねこみみぴんぐす』第1巻 (まんがタイムKRコミックス) 東京:芳文社,2009年。
  • 以下続刊

引用

2009年12月2日水曜日

『まんがホーム』2010年1月号

『まんがホーム』2010年1月号、発売です。表紙はクリスマス一色。プレゼント抱えたらいか、サンタクロース思わせる赤い衣装のリコ、マキ、同じく赤い衣装の紫乃先生に、プレゼント抱えたみえことしゆき夫妻。ああ、すっかり12月、年末であるなあという実感を深めます。しかし、このリコ、可愛いな。この人、モテないことになっているけど、それは嘘だろう。マキに比べても勝るとも劣らない立派な美少女っぷりであります。

『おしのびっつ!』が忍者コメディとしての本道を歩んで、それが面白くてよい感じです。一般常識という観点からは逸脱している兄しのぶ、忍者的にも妹好き的にも一般的ではないというのに、社会的には妹くないよりもちゃんとしてるように見えるという、その工作ぶりがよいのですね。趣味でやってるわけじゃないけど、女装も得意。よいじゃん。そして妹独占工作のしたたかさ。ろくでなしであります。しかし、最後のくない、あれはあのまますっぽかしたらよかったのだよ。評判がさがるのは兄貴で、あんたじゃないよ? でも、そういう真面目さが彼女のよいところなのでしょう。

『ミライカナイ』の舞台が高校に。そうか、あの主人公、高校生だったか。でもって、主人公ひろしに気になる女の子が関わってきて、そして学校にフェイもやってきてという、王道といえば実に王道的。なんかテイストが違うから、王道といいながらも、ワンパターンというようには感じない。ちょっと面白そう。どうなるのだろ。楽しみです。と、それから、「く」の字より真っすぐの方がずっとよいかと思います。

『ゆとりの手もかりたい』、豊田アキヒロ新作です。没落お嬢様の話。ゆとりというのは、元お嬢様についてきたお手伝いさん。メイドの格好して、少々なまけながら、お嬢様を支えています。没落だなんだ、貧乏暮らしだなんだいうけれど、深刻さよりも、コメディとしての面白さが目立って、それで絵柄のせいもあるんでしょうか、ちょっとあたたかみ感じさせるようなところもあって、悪くないなというのが第一印象でありました。

恋愛ラボ』、やられた。あのハンカチがあったか。忘れてましたよ。そして本編は、ああ、これは効きますね。これまでも親しかったふたり。けれど、だましていたことが明らかになって、そしてそのわだかまりが流されて、本当にいい話でした。しかし、いい話なのはいいんですけど、姉に追求された件を告白するマキ、なんともいえん味わい深いいい顔してますね。こんな顔、これまで出たろうか。実によい表情でした。そして、エノは期待を裏切らない。素晴しいな。実にいい子たちであります。

で、アフレコレポート、あのガヤの台詞、冗談でしょうけど、妙にリアリティある会話が味わいあります。答に自信がない時、aにもdにも見えるように書いた書いた。eとbも似てるよね、筆記体にしたら。そして、スズ視点の特別編もあって、これもまた面白い。エノ、凛々しくてよいなあ。親しい間柄だからこそ見えるもの、感じとれるものがある。スズが皆をどう見ているか、そしてリコに勇気づけられるシーンなど、なんだか心に満ちるものがありますね。とてもいい。とてもいい話でした。

『お江戸とてシャン』。わお、単行本が出るんだ。これは朗報です。そして物語も大団円に向かって、江戸、大火、火消しの纏持ち虎吉の選んだもの、そして通じあった気持ち。いい話じゃないか。いや、以前からいい話だったんだよ。ずっと好きだったんだよ。だからこそ、単行本になるという話が嬉しくて、好きで追っていたものが認められたように感じられると、やっぱり嬉しいものですよ。よかった。そして、ラストの大ゴマ。とてもよかった。虎吉、やっぱりこの男、べらぼうに色っぽいよなあ。

ひいばぁチャチャチャ!』が終わりました。曾祖母と曾孫との暮らし。とりたてて盛り上るわけでなく、けれどその穏かに日々を楽しく暮らしているという、そうした様子がよかったのでした。そして、最終回においてもそのテンポは変わらず、それはとてもこの漫画らしいと思えます。そのらしさが今は逆にありがたい。そんなように感じます。

『紫乃先生美録』、連載になったとのことです。したたかな姉は小説家。オンではフルメイクの美人を演じ、オフでは素朴に可愛さを見せて、しかし姉としては酷い。けれど、その酷さはむしろ心地よいと思わせるようなものですから、オフ姉のほうがよいなあ。男の子っぽくて可愛いよ? しかし、フルメイクフル装備でないと外に出られないっていうの、不便だよなあ。大学時代の後輩思い出しちゃったよ。

『ちまさんちの小箱』、最終回です。とり子と雪宮の関係、どうなるんだろうと思っていたら、特に進展もなく終わって、けれどあの箱の作者であることが明かされるだろう可能性はしっかり描かれて、いやねとり子がちまさんちのスタッフになるという、ちょっとステップアップしての終わり、終わり方としては悪くないなって思えるものでした。私は、この漫画のアットホームな感じ、ちまさんちに通いつめるとり子の素直でほがらかなところ、好きでした。だから、終わってしまったのは、正直なところ、寂しいです。ふかさくえみという人、機会があればまた読みたい作家として覚えておきたく思います。

『イエス・マスター』も最終回。ちょっと覚悟してた。剛造じいさんにとっての転機が描かれて、そしてとわとの別れがほのめかされて、けれどそこにとわの意思というものががつんと描かれて、ああちょっとよいね。きっと私は思うのです。私は、こうして人の意思が状況に抗しようという物語が好きなのだなって。とわが選択した未来。その未来を受け入れた剛造。このふたりの信頼で繋がれた関係、それが好きだったから、このラストシーンはすごくよかった。ちょっと自由になった感じのとわさん。その自由の風がとてもよいです。

そして『えきすとら以蔵』も最終回。以蔵の半生を描いて、過去これまでから今にいたる、その時間が以蔵を作ってきたんだなっていう、そんな印象に、いつかスターになってくれればよいなあと思う気持ちを強めたのでした。そう、以前の特別編に見られたスターとなった未来を期待してしまうのですね。連載の間にはエキストラであり続けた以蔵、連載が終わって、そして彼らの時間が動き出すのだとしたら、それは喜ばしいことなのかも知れない、などと思います。ただ寂しがるだけではなく、ちょっと前向きにとらえたい最終回でありました。

  • 『まんがホーム』第24巻第1号(2010年1月号)

2009年12月1日火曜日

毛玉日和

 お久しぶりの櫻太助。ああ、私、この人の漫画、好きだった。だった。過去のこととして話してしまっている — 、それはつまりもう今は好きじゃないとか、そういうわけではないのです。私の購読している雑誌、『まんがタイムきららキャラット』にて連載されていた『鳩町まめっこイグニッションズ』、これがもう好きで好きで、好きで好きでしかたがなかったのですが、残念ながら連載も終わってしまい、そして氏は活躍の場を『まんが4コマKINGSぱれっと』に移されたのでした。『ぱれっと』で連載がはじまったって聞いた時には、すわ『ぱれっと』買うか!? などと思ったりしましたっけ。けれど、生活の圏内に『ぱれっと』を安定入手できる店がなく、だから『毛玉日和』、単行本が初読となりました。

手にとって、久しぶりだからなんだかどきどきしたんだけど、けど読んでみれば、ああ私の好きな櫻太助のらしさがいっぱいで、ああやっぱりよいなと思ったのでした。好きなもの愛しいものにまっしぐらで甘やかしまくるヒロインに、クールに振る舞う猫の娘。ああ、それをツンデレだとかはいいたくない。ちょっと気位高くて、けれどヒロインもなかのことを嫌ってるわけじゃない。自分にとって心地いい距離感を守っている、そうしたところに猫のぽさを感じさせます。

猫、名前は小豆、人の姿をしています。この世界では、動物が人の姿をとることが、そんなに珍しいわけではないみたい。玄関先に行き倒れてた、それを自然に受け入れるもなかには最初えらく驚いたものですが、けれど読んでれば、まあそんなものなのかと思えるようになってきて、そしてしまいにはそれで当然といった具合になってしまって、すっかりとりこまれてしまったっていう模様であります。登場する動物は、猫の小豆、犬のコロン、リスのリス子。それぞれにもととなる動物、猫、小型犬、リス — はちょっとわからないけれど、の特徴を反映したキャラクターづけがなされていて、しかしこれが動物の擬人化かといわれると、それもまた違うなというのが素直な感想です。むしろ、動物と人の関係を思わせながら、そこには個性の強調された人対人の関係性が見えてくる。猫可愛がりするもなかとクールな小豆の関係。高圧的に振る舞うゆきとじゃれたい遊びたいコロンの関係。そして、静かながらも思いをしっかりと受け止める堤先生と甲斐甲斐しいリス子の関係。それぞれが違った感触、違った距離感を表現していて、そのどれもによいなと思える暖かみがあるのですね。

それらは、人と動物という前提があるためか、友人のようで友人でなく、恋人のようで恋人でなく、妻かといえばそうでもなく、強いていうならば家族だな、血縁者ではないけれど家族なんだ、そういった手触りが独特です。それでもって、彼らはあくまでも動物だから、躾や習性に関する話もあるのだけれど、むしろそういった面では小さな弟、妹に対するような感じが強く、けれど彼らは常に年少者かといえばまたそうでもない。達者にしゃべるし、子供っぽくともまま子供ではないといった不思議なポジションにあるのですね。とても近しい、人と人の関係ではちょっと成立しにくいような密接さを表現しつつ、けれどそこに若干の相容れなさ、人とは決定的に違っている様子も匂わせる彼らとの生活は、ありそうでちょっとない関係の可能性を感じさせてくれて、非常に面白い。こんなのと一緒に暮らしたらきっと楽しいぞ、そう思わせるようなわくわく感がすごいのですね。猫でも、犬でも、リスでも、それぞれに、現実にはちょっとないって思える親しみの深みが描かれていて、好奇心をかきたてるのです。

彼ら、人の姿をした動物たちの個性は、普段の行動においても充分に発揮されていますが、あのなぜ人の姿をとるにいたったかという理由、その情報をどう扱おうとしたか、その違いにこそはっきりと表れていました。あの時に描かれた感情の機微には深く感じ入るものがあり、そして私はこのテーマに触れた時に、ああ彼らはただ単なる動物の擬人化ではなく、それぞれ個というものを備えた人格なんだって、思いをもって行動するものたちであるのだと諒解したのでした。その感触こそが、櫻太助の描く漫画のキャラクターの魅力でありらしさであるのです。そう、絵に描かれたものにして、画面に留まらない思いをあふれさせる、そうした魅力が私をひきつけてやみません。

  • 櫻太助『毛玉日和』第1巻 (IDコミックス 4コマKINGSぱれっとコミックス) 東京:一迅社,2009年。
  • 以下続刊

2009年11月30日月曜日

PONG PONG PONG!

 『PONG PONG PONG!』の単行本が出ましたよ。『まんがタイムきらら』にて連載されている漫画であるのですが、これが面白いんです。主人公は浅子祐太、男子高校生。彼がたまたま見付けたお社に祈ったら、神さまがあらわれましてね、それがなんと狸の神さま。お稲荷さんなんだけど、狐じゃないんですね。しかも、ただの狸ではなくて人の姿してる。ものすごくキュートな女の子。巫女っぽい装束身につけて、胸元には勾玉、頭には狸耳、そして尻尾だ。ものすごくキュート。さて、そんな狸に祐太が頼んだ願い事というのがモテたいというもの。かくして狸の神さまリコが、祐太の願いを叶えるべく奮闘するという感動の物語がはじまります。

いや、奮闘はしていないか。少なくとも第1巻では巻末にいたるまで頑張ってない。願いを叶えるといって祐太にとり憑いたというのに、邪魔にされて家から追い出されたかと思えば、新聞部部室に住むようになってからも堕落して、もうほんとどうしようもない。けど、それでもご利益はあるのか、綾瀬川真由というクラスメートと親しくなったり、それから高坂先輩っていう美人のお姉さまと知り合いになったり、これまでとはまるで違った環境に身を置くこととなって、やったじゃん祐太、といいたいところだけど、モテてるかといったら決してそんな感じでもないっていうのが味噌です。特に高坂先輩、彼女は人物紹介にてヘンタイさんと書かれるような人ですから、もうたいがいです。

この漫画、キャラクターの味わいがいいんだと思います。可愛いかといわれたら、リコも真由もすごく可愛い。けれど、ただ可愛いからいいってわけじゃないんですね。リコの、見習いとはいえ神さまであるというプライドがそうさせるのか、ものすごく尊大に振る舞おうとするのだけど、全然身についてないところとか。それどころかかなりあかんたれであるところとか。見ていてすごく微笑ましい。主人公の祐太にしてもそうで、お前さん、もうちょっと考えて行動したまえよといいたくなるようなところ、よくいえば素直、悪くいえば雑。けど、けっこう感動屋だったり照れ屋だったり、男子高校生相手にこんなこといいたかないけど、可愛いやつだと思うですよ。こうした傾向は真由にもある。すごく素直ないい子。自分の欲求に素直で天真爛漫で、笑顔が最高で、明るくて、やさしくて、世話好きで、人好きのする性格で、過去の自分の行動振り返って反省したりする殊勝さなんかもすごくいい。

こんな具合に、素直であっけらかんとしたいい子たちが、真っ直ぐに向かいあって、わいわいとやっている。折々に協力してことにあたる、その時の楽しそうなところがすごくいい。時折見られる、厳しいつっこみ、駄目出しなども、効果的にアクセントをそえて、小気味よい。もう本当に楽しい。仲いいなあって思いながら読んでいます。あとヘンタイとの誉れも高い高坂先輩。彼女のリコを猫可愛がり、狸可愛がり? するところ、直情がすぎるところ、祐太を粗末に扱うところなどは、この漫画における酷さを一身に引き受けようとするかのようです。しかし、彼女が酷いといってもなんだか心地よい酷さとでもいったらいいのでしょうか、ナチュラルに祐太を袖にしたりするところなどそんな感じで、けどこの人も根は悪くないんですよね。ただリコに対する執着が強すぎるだけ、そのせいで他が目に入らないだけで。

こうした、個性的ないい子たちと、強烈に個性的なひとりの織り成す日常の風景がきらきらと輝くように楽しくて、私は毎号を楽しみに楽しみにして読んでいます。また、最近加わったリコのお師匠様。彼女もまた一癖二癖ありそうで、リコに、祐太に、漫画の展開に、いい刺激を与えてくれています。日々の出来事が描かれたかと思えば、祐太の願い叶えようと無茶するリコの嬉しくない頑張りなど、見せ場はほんとにいろいろあって、それがすごく面白くて、きっと私の今一番に気にいってる漫画って『PONG PONG PONG!』なんじゃないかなってくらいに好きになっています。

  • リサリサ『PONG PONG PONG!』第1巻 (まんがタイムKRコミックス) 東京:芳文社,2009年。
  • 以下続刊

2009年11月29日日曜日

『まんがタイムきららキャラット』2010年1月号

『まんがタイムきららキャラット』2010年1月号、昨日の続きです。なんだかエネルギー切れをおこしたみたいでして、昼まで寝て、ご飯食べて、『キャラット』読んで、夜まで寝て、どこぞの狸のごとき堕落した生活を送っています。今日もだいたい同じ様子。いや、今日はちゃんと勉強もしたしアンケートも書いたしで、けど練習はできなかったな。こんな日だってあります。

『アイノテ』、ゲスト3回目です。これ、都会からきたお嬢さんが、友人つくって、携帯電話持ってっていう話だったんですね。で、アイノテっていうの、携帯電話の機種名、iNoteってわけだったんですね。この漫画、まだプロローグが終わったって感じですが、ここで終了ではちょっと惜しいなと思ってしまう、そんないい雰囲気があって、続いてくれたら嬉しいななんて思っています。

『Felice』、門瀬粗の新作です。主役は氷室凛。小柄で、男の子っぽくて、ちょっと粗雑? めちゃくちゃ可愛いヒロインです。Feliceってのは、イタリア語でしあわせ、でいいのかな? 喫茶店の名前。幼馴染みなのか、大地という男の子が側にいて、大地はFeliceのオーナー? であるみー姉の弟。で、ここに九条灯里という、ちょっと暴走系の女の子が加わって、凛を素敵な女の子にするんだそうです。作戦コードは「フェリーチェ」。そりゃいいんですが、私はこの粗暴で粗雑な娘が気にいってるんで、素敵な女の子になんてしてもらいたかないんですが……。

とかいいながら、きっと一筋縄ではいかないだろうってわかってるから、この先、すごく楽しみであるんですね。凛は凛らしくきっと突き進んでくれるに違いない。そういう予感に期待をふくらませているところです。

『かためで!』、こいつは驚きました。前回、帯刀は出落ちか一発ネタか、みたいなこといってましたが、今回はばっちり帯刀という文化のある世界をアピールして、ものすごく面白かったです。相変わらずナンセンスではあるのですけど、そのナンセンスをしっかりやろうっていうスタンスはすごくよいと思います。直刃と乱れ刃などという刀ネタがきたかと思えば、網棚置き忘れというよくあるネタもあって、しかしよくあるネタがすごくナンセンス。これは面白いです。まいりました。

『かんぱけ』、最終回です。最終回は、暖めていたプロットをすべて出したというような感じがあって、その力出し尽しましたっていう感じに、ちょっとほろりときた。もっとゆったりと長く見ていたかったといえば、まるでいさぎのよくない発言ですね。憧れの人に出会い、憧れの人に聞いてもらい、そして好きだったって告げることができた。そういった展開、理想といえば理想で、夢といえば夢、まるで甘い展開なのですが、こうしたものも悪くないって思う。まだまだこれからな彼女らですが、それでも終えるにあたって、ひとつの区切りがあったというのは、すごくよかったと思っています。

『アヤシげ?』。またなんか妖しいのが増えた! 見た目が怖くて、誤解されがちなお嬢さん。その子が妖怪、狐と一緒に特訓して、それでようやく人間の友達ができたと思ったところで、まさかの引っくり返し、やられました。この人の絵の雰囲気は、こうした妖怪ものやるには適してるかも知れない。そこに、ドタバタとしたコメディとちょっとほのぼのとした頑張る風景を加えて、いい感じであるなって思います。

  • 『まんがタイムきららキャラット』第6巻第1号(2010年1月号)

2009年11月28日土曜日

『まんがタイムきららキャラット』2010年1月号

『まんがタイムきららキャラット』2010年1月号、発売されました。表紙は『ひだまりスケッチ』、ゆのを中心に下級生ふたり、これは歩いてるところ? なんだか楽しげな雰囲気がいいですね。で、ちょっと思ったんだけど、表紙すみにいつも書かれてる一言、クリスマスが好きな人もキライな人もってあって、ああ、だから背景緑で制服赤なんだ! って、いや、それはないだろう。多分ないと思います。でも、背景がクリスマスイメージなのは間違いないと思います。

ひだまりスケッチ』は小論文がテーマになっていて、ああ、私もやったなあ。受験、推薦とかだと小論文があるからって、その対策でした。語尾をいいきるというのは、小論文、作文だけでなく、論文の作成においても注意されることの多いポイントですが、私はここでは意識的に思ったり考えたりするようにしています。字が人柄を表すというの、大学生の時分、私の字がらしくないと人からずいぶんいわれたものですが、つまり私はひどく猫かぶってたんだろうなあ。ひだまり荘の彼女らが、らしい字といわれるのは、それだけ互いに人間性が開かれているってことなのかもなって、そんなことを思ったりしたのでした。実体験を絡めて書いてみました。

『ラッキー・ブレイク』、実にいい感じです。どういう会社なのかわかってきて、そして入社早々大活躍と思われたヒロインでしたが、今回はそんなに社会は甘くないっていうことを実感させられる、実にいい揺り戻しであったと思います。頑張れる職場、頑張りたいと思える仕事、そういう素地がきちんと描かれて、ヒロインのモチベーションもきっちり伝わってくる。キャラクターも面白いけれど、仕事ものとしての面白さがよいなと思っています。

『チェルシー』。やっぱりこの人の絵は素晴しい。制服だとかっちりと描かれてるけど、先生のセーターとかやわらかそうで、生地風合いの違いもちゃんと伝わってくる。そして、色の鮮かさ。黄葉する銀杏並木。すごくきれい。で、俳句なんだけれど、テングザルの落ち、鼻がじゃま、ですね、あれはちょっと笑ってしまいました。いやね、以前どこだかの高校生がゴリラでこういうの書いて評価されてたよななんて思ったところに鼻がじゃまとくるんです。まったくの不意打ち。やられました。

『ねこみみぴんぐす』、まさか卓球場のあの人が帰ってくるとは思いませんでした。ろくでもない人。非常勤講師でも顧問とかやったりするの? この人の役にたつんだかたたないんだかわからないところが面白そうです。

『ほわほわクエスト』、ゲストです。謎の地図を手に入れた。で、冒険するのかと思ったら、なかなかそんな風にはならない。想像とか途中で出会った猫とか、興味のおもむくままに動いてしまうお嬢さんが、遅刻するまでの話だったわけだけど、このふわふわというかふにゃふにゃな彼女らを愛でる、そうした読み方が期待されるような、そんな漫画だったと思います。

『のんびりマスタリー』ってまだゲストなのか。犬に友人を紹介する、そのために、犬の名前が勘違いされる。このパターン、ちょっと面白かったです。いや、だって私も自然に勘違いしたので。で、まもるくんはその勘違いで、飼い犬に自分の名前がつけられたと思って、どんな感想もったんだろう。ちょっとショック。それとも嬉しかった? 実は犬になりたい? おもしろかったです。

うらバン!』、トロンボーンの娘さん登場。ちょっとセンスが独特の、強気けどどこかとぼけたお嬢さん、大変すばらしいです。しかし、この人が登場して、できることの幅が広がったっていうのは大変にいい感じ。活動予定がしっかりと組まれて、アンコン — 、アンサンブルコンテストも視野に入りました。でもさ、先生のいうボーンが入ったからアンコンいけるかな? って、それ、以前に吹奏楽コンクール出たくらいなんですから楽勝でしょう。そして、先生のひとりに対するコメント、あれ見ると描かれていない昨年の状況、いろいろ思ったりして、すごくいい感じ。顧問ひとり、部員ひとりで頑張ってたのかな。なんて思うんですね。『うらバン!』はこれまでも面白かったけれど、今回は今後への弾みをつける、そんな感じもあって、すごくよかったです。どうなるのだろう。その描かれるだろうこと、楽しみです。

と、ここでいったん中断します。続きはまた明日。

  • 『まんがタイムきららキャラット』第6巻第1号(2010年1月号)

引用

  • まんがタイムきららキャラット』第6巻第1号(2010年1月号),1頁。
  • 都桜和「うらバン! — 浦和泉高等学校吹奏楽部」、同前,115頁。

2009年11月27日金曜日

『まんがタイムオリジナル』2010年1月号

『まんがタイムオリジナル』2010年1月号が発売です。表紙は『ラディカル・ホスピタル』の山下。ぱっと見、白衣かと思ったら実はそうじゃない。ああ、聖歌隊なのか。表紙のイラストは『タマさん』、『らいか・デイズ』、『マチルダ』とありますが、その全員が示し合わせたようにベレー被っていまして、いや、示し合わせたんだろうとは思いますけど、でも聖歌隊で発注したとしても、ベレーまで指定されるものなのかな。誰もの心に、聖歌隊といえばベレーというイメージがあるのかも知れませんね。

『トリセツなカテキョ』、ゲストです。クールな眼鏡美人、井原先輩に17点のテストを見られてしまったのがきっかけで、個人指導を受けることになってしまったラッキー少年、春吉が主人公の漫画。井原先輩いわく、留年者が出たレベルの高校と人から思われたくないかららしい。その動機にいまいち共感できないのだけど、続くのなら馴染めるかな、いやどうだろう。そんな印象でした。

開運貴婦人マダム・パープル』、「不幸な流派」でありますが、足相といっていいかはわかんないんだけど、足で占ってくれるところは実際にあるんですよ。それは、神楽坂治療院。東京は新宿区神楽坂にて開院しているこの足つぼ治療院、足つぼマッサージもさることながら、その足でもって占ってくれるっていうサービス? が好評だったりするのだそうですよ。私も以前いったことがあって、それは確か『ラブリー』で連載されてた浜口乃理子の『のんコレクション』で見て知ってだったと思うのだけど、なかなかに面白い体験でした。などと、懐しいことを思い出しました。

L16』、最終回です。ある意味、思ったとおりの展開。上司同伴はなかったけれど、向こうの社長が出てきて、そして千本姉弟はやっぱり食い込めませんでした。姉妹ふたりで充足している漫画。姉妹ふたりで充足して完結して、このふたりの関係が変わりゆきつつも、変わらぬままであったところが、とりわけよかったなと思っています。

そこぬけRPG』、合コンが成立したのはいいけれど、やっぱりというか案の定というか、酷いことになってますね。そんな中、55cm藤崎さんが可愛くて可愛くて、いや、あの前髪斜めカット、まさか言及がはいるとは思わなかった。あれやっぱり変ですよね。でも、藤崎さんに関しては、とてもキュートだと思う。いや、今回はキュートな藤崎さんを楽しむ回であったと思います。

『アトリエZOOへようこそ!』、扉のホワイトロリータ、素晴しいな。おんなのみりきは三十こえてかららよ? いや、本当素晴しい。あの失笑の表情の美しさ。素晴しいです。しかし、夢や希望を商売にしながら、夢も希望もない会話してるっていうのね、めちゃくちゃ面白くて、ちょっとした開き直り。そう、女性の魅力を決定づけるのは、開き直りの有無だと思います。開き直った女性は素敵だ。だもんだから、あの担当氏を辱める電話トーク、もう最高でした。

『極限ラボ』、ゲストです。落書きみたいなロボットが酷い目にあう漫画です。ちょっとナンセンスな雰囲気。妹ロボの方が出来がいいとか、それで物騒とか、面白いのだけど、意外と個性的ではないとも思いました。あと2回続きますが、それでどんな風になるのかな。期待を超えるものがきたらいいなあと思います。

『マチルダ! — 異文化交流記』。ついに学校へいくことになって、ということはあやとマチルダ以外の登場人物も出るんでしょうか。多分、あやがマチルダに困らされるというパターンは変わらないと思いますが、そこにあや以外の視点、思惑がかかわってくるとどうなるんだろう。ちょっと楽しみです。

『今日から寺バイト』、奥さんが可愛い。奥さんがとろんとして色っぽい。内容はというと、葬儀にかかわる仕事の事情を、きちんきちんと描いていく、そんな感じであるのだけど、キャラクターの雰囲気、そして見せ方が印象を変えてくれるから、読んでいて楽しいのかな、そんな感じです。しかし、奥さんが寺の娘でしっかりしてるというのに、なんで弟はあんなに駄目なんだろう。いや、弟が駄目だから、あの旦那に期待がのっかったわけか。なるほど。がてんがいった感じです。

  • 『まんがタイムオリジナル』第29巻第1号(2010年1月号)