2010年7月31日土曜日

大正野球娘。

  大正野球娘。』ブームはなおも続いています。最初は小説の挿絵目当てにすぎなかった。だからアニメになると聞いた時も、見ようという気にはならならず、実際、『けいおん!』の後番組でなければ、見ることはなかったでしょう。ところが、見てしまった。しかも気にいってしまった。BDどうしよう、そう思っていたものを、ついに買ってしまった。そうなったら、もうたまらない。CD買う、ラジオのまで買う、そしてついに買う気のなかった、それこそ微塵もなかったコミックスまで買うにいたって、ああ、どんだけはまっているというのでしょう。ええ、『大正野球娘。』ブームはまだまだ終わる気配を見せません。

というわけで、コミックス読みまして、これはすごい。全然違うじゃないか。アニメより原作寄りだ、そう思うところもあるけれど、いやちょっと待ってほしい。なんだろう、ものすごく好き放題だ。キャラクターからは可愛げというものが払拭されて、じゃあ可愛くないのかといわれれば、そんなことはなくて、むしろこれはこれで魅力的。小説からアニメになった時に、メディアそれぞれで違ったかたちで表現される、その違いも含めて楽しんで見るのがよさそうだなあって思っていた、その気持ちをなおも強めることになった、そんな気がしています。

さて、漫画版『野球娘。』。これ、キャラクターが違うというの、描かれ方や解釈が違うというのではなく、それこそ同じなのは名前だけ。見た目も性格も能力も全然違ってる、それくらいに思っていいほど違っています。漫画は原作ベースであるから、アニメが違い過ぎてるといった方がいいのかも。アニメでは野球が達者だった石垣環。漫画での彼女は、交渉能力や実務方面での実力に期待されるものの、野球はからきしときています。野球がからきしといえば、アニメ版の桜見鏡子。ですが、漫画ではそつなく守備をこなす、そんなキャラクターになっているのですね。

というわけで、今回は彼女らできない組のお話。

私が、なぜこれほどに『大正野球娘。』にひかれているのか。それは、できない組の存在が大きいからだと思っています。できない組、すなわちアニメにおける桜見鏡子。さらにいえば、小笠原晶子。実際、このアニメ、晶子さんが一番できてませんでしたから。もう練習シーンなど大爆笑で、鏡子が起きて迷惑寝ても迷惑なら、晶子さんは打って駄目走って駄目投げるのだけちょっとまし、それこそ女子が男子に野球で勝てるかどころじゃないわけです。この人、女子相手にも勝てないだろう。それくらい駄目なところからのスタートでした。

けれど、このアニメはできない子らが頑張って努力して、少しずつ上達して実力の差を埋めていく、その過程がこれでもかって描かれていたんですね。おおよそ運動には向かない、それくらいの状態から、意地で上へ上へと登っていく。その様子はおそろしく地味だったかも知れないけれど、その上達の様子がきちんとわかるように示されていて、ああ頑張ってるなって、そう思えたからこそ私は好きになったんだろうなって思うのですね。最初、練習がはじまった頃、5話「花や蝶やと駆ける日々」では皆から取り残され、周回遅れでビリを走っていた晶子が、7話「麻布八景娘戯」の頃には、なんとか置いていかれない程度には走れるようになり、そして10話「私は何をする人ぞ」では小梅について走れるほどになっていた。こうした上達は、投球においてもそうだし、守備においてもそう。ただ時間が経ったら、なぜかうまくなっていた、みたいなアニメではなかった。ええ、体格といい年齢といい経験といい、圧倒的なハンデを抱えた彼女らが、乃枝考案の近代野球でハンデを埋めはしたものの、結局は努力練習の連続で食い下がる、そんなアニメであったわけですね。

できない子の物語にひかれる、それは私自身ができない人間だからです。私はできない彼女らの向こうに、できない自分を見ているのですね。とりわけ「私は何をする人ぞ」での鏡子、彼女の姿勢はまさに私に同じでした。起きて迷惑寝ても迷惑。いまやるべきことから目をそらし、夢を見ることばかりに一生懸命だった彼女。もう一歩をつめれば捕れるかも知れない打球に、ああ駄目だ、諦めをにじませる彼女。実に私に同じではないか。必死に最後の一歩を詰めてみろよ。そういうのは容易く、けれど私はその最後の一歩を走りきれずにいて、ええ、あの回に見える鏡子の姿に自分を重ね合わせていたのですね。

『大正野球娘。』には、いい言葉が多かったな。そう思うのです。アンナ先生の、皆をはげまそうという言葉に、しゃきっとさせられる思いのすること、たびたびでした。件の回「私は何をする人ぞ」では、今からでも間に合うでしょうかと問う鏡子に対して、なにかをするのに遅すぎるということはありませんと答える。これ、ジョージ・エリオットの言葉からですね、きっと。一歩違えば綺麗事になってしまいそう、そうした言葉が綺麗にはまる、それが『大正野球娘。』でした。そして回の終わり、残る時間を一生懸命に過ごし、ついに打球に届いた鏡子。その様子は、それまでのできなかった日々が描かれていただけに感動的、心の底からよかったと思えるそんなシーンに仕上がっていました。そして、私はというと、取り残されたなと苦笑する。ええ、できない子から脱した鏡子と違い、私はまだできない組に残留しています。

漫画は、そろそろ4巻が出るそうですね。漫画は3巻最後にて、どうしても打てない環が自分の腑甲斐なさに打ち拉がれる、そんなシーンがしたたかに胸を突いて、だから先がどうにも気になっていたのでした。アニメは、練習が、努力が報われる、そんな物語だったけれど、すべての努力が報われるわけじゃないよという漫画は、現実に似てより残酷であるのかも知れません。けど、努力はきっと報われるとは限らない、それが努力しないでいい言い訳にはなりません。環がその先に進むのか、あるいは違う道を選択していくのか、それは4巻以降を待つとして、けれど苦さを舐めて、悔しさにひとり涙をこぼす。そうした姿は、人の持つ美しさのひとつの現れであるな、そう思わされる名シーンであったのでした。

というわけで、『大正野球娘。』。アニメにおいても、必ずしも努力が報われるわけではないよ、っていう話。それはまた今度書きたく思います。ええ、続きますよ。まだまだブームは終わりません。

コミックス

  • 伊藤伸平『大正野球娘。』第1巻 神楽坂淳原作 (リュウコミックス) 東京:徳間書店,2009年。
  • 伊藤伸平『大正野球娘。』第2巻 神楽坂淳原作 (リュウコミックス) 東京:徳間書店,2009年。
  • 伊藤伸平『大正野球娘。』第3巻 神楽坂淳原作 (リュウコミックス) 東京:徳間書店,2009年。
  • 伊藤伸平『大正野球娘。』第4巻 神楽坂淳原作 (リュウコミックス) 東京:徳間書店,2010年。
  • 以下続刊

CD

Blu-ray Disc

DVD

PSP

Goods

2010年7月30日金曜日

『まんがタイムスペシャル』2010年9月号

『まんがタイムスペシャル』2010年9月号、いつだったかの続きです。

『スーパーメイドちるみさん』、ちるみさんに宛てて届いた一通のラブレター。それがまきおこす大騒ぎ、右往左往が見物でありました。というか、大樹の駄目さをこれでもかと押し出すみたいな話だったのですが、兄ちゃん以下のワケがないだの、もらったことないからわからないだとか、名言てんこもりですよ。しかし、この話は、ちるみさん、皆から愛されてるなあ、そんな趣旨だと思うんですけど、どうしても大樹の駄目さが際立って、あのラスト。ああ、大樹は愛されてるなあ、そんな感想に胸がいっぱいになるのでありました。

『シュガービーチ』、あの手この手で部員に練習をさせる部長の頑張り。食べ物でつり、言葉で操り、そして最後のメニュー。これはおそろしい。見た目にも必死。実際、その日練習に打ち込んだモチベーションそのものであるわけです。それを自らつぶしてしまうわけにはいけない! まさに飴と鞭、やり手の部長の創意工夫と、それにつられてちゃんと練習する部員、その描きようは実に面白く、よかったです。

『トンネルの華子さん』、おおう、華子さんとのお別れ。夏の終わり、華子さんに会えなくなった切なさが、しみじみと感じられて、ああ、つまりは、これからこうした一夏の出会いと別れが描かれていくということなのですね。でも、会えなくなっても、華子さんはいるんだよということ、それを信じている人がいる。それもたくさんいる。それだけでもあれなのに、最後の最後の岩魚のエピソード、ああ、これはたまりませんね。永遠に終わることのないような関係、そうしたものをついつい求めてしまいがちですが、別れがあること、それが今の出会い、交流の大切であるということを、ことさらに感じさせてくれている、などと思ったのですね。

特別エッセイ「ひと夏のタ・イ・ケ・ン!?」。師走冬子さんは、ものすごいな……。群馬が雷がすごいとは、こないだニュースでもいっていて、実際有名らしいですね。とはいっても、すぐそばに落ちるという経験は、誰もが頻繁にしているものとは思われず、いや、ほんと、この方の経験はいつもいつもものすごいなと感心させられます。感心したといったら、たかの宗美さんの醤油の話。夏の汗をかく時期は、塩をしっかり補給せよといいますけど、そうかここまでてきめんなのか。私は薄味が好きで、野菜などは塩もドレッシングもなしに、そのままとかしょっちゅうなんですが、夏の間は意識して塩やミネラルの補充につとめたいと反省しました。

『きらくにあそ部』、ゲストです。女学生の日常ものっていったらいいのかな。天然らしい女の子さっちゃんと、はたから見てても迷惑な暴走娘ミチル。ミチルに振り回されるさっちゃんを愛でるといいのか、あるいは思いっきりやりたいことを、いや、やりたいことだけをやる、全力でやるミチルの、その勢いを楽しむといいのか。私は勢い派ですね。怒られてもいい。自分のこれだと思ったことに突き進める、そんな彼女にちょっと憧れますね。身近にいたら、えらいこと迷惑だと思うんですけどね。

  • 『まんがタイムスペシャル』第19巻第9号(2010年9月号)

2010年7月29日木曜日

『まんがタイムきららキャラット』2010年9月号

『まんがタイムきららキャラット』2010年9月号、昨日の続きです。

『ねこのひたいであそぶ』は皆で流星群を見ようと集まる話。ああ、すごく楽しそう。私も星を見たい! あの、天気よし!! と窓から身を乗り出している、あのコマからすでにわくわくとした感情があふれているようで、ほんと、楽しそうです。思えば、私の子供だったころ、ハレー彗星がやってくるというので、天体望遠鏡持って山にいって、寒い中、時間を待ったりしたものでした。それで、夜も遅くなると、寝ちゃうんですよね。そうしたころのこと思い出して、懐かしく、そして愛おしく、とてもよかった。あの、起きていたんだか寝ていたんだか、曖昧になっているところなんて、とてもらしくって、とてもよかったです。

ねこみみぴんぐす』、扉の部長が素敵です。劇中、季節は冬でしたっけ、コートにマフラー、手袋、白い息、いや、本当に素敵です。さて、本編においても素敵な展開。酒林戦、勝ちをつかみにいくひより、そのラリーの様子、そして勝敗のゆくえ。それは、おしくも届かなかったり、あるいは他に目を向ければ意外と善戦したりして、その過程がよかったなって思いました。彼女らの念願はかなったのだな。そして、わかりあえるものがあったのだな。そうした、素直に感じてじんとするものがあり、そして徹底的に誤解されている三つ子の姉とか、そうしたおかしさも健在で、あとはラストですね。おおう、それでいいのか! 驚いて、穂咲さんの活躍見たかった! ええ、なんともいえないはずしかたしてくれました。

『Felice』、今回は夢の話。見た夢で、いろいろ占おうというのですが、妙にさめた凜。夢の、占いの、っていうよりも、スマートフォンのタッチパネルに興味津々の凜。可愛いじゃないか。現金で、可愛いもの、おいしいもの、目の前の刺激に弱くて、こういうところ子供っぽさ感じさせて、ここにこの人の魅力があります。この漫画、導入が終わって、本編の日常の風景、描かれて、だんだんに面白さも増していて、これはきっと1巻が出るだろう頃には結構なものとなっているだろう。そうなれば、読み返すのもきっともっと面白くなるだろう、そんな予感がしているところです。

『ネコのおつかい』、新美南吉の『手ぶくろを買いに』を思わせるようなお話で、これ、結構好きですよ。山猫ふたりが、人に化けて町に出掛けるという、それだけといったらそれだけなんですけど、それだけがなんだか楽しくて、ああ好きだなって思わせてくれます。お姉さんの方、ナナがことあるごとにユキをからかおうとするんですが、それがことごとくしくじる、裏目にも出るってところ、それから、ユキの素直であるところ、ええこのユキでありますね、雰囲気をつくりあげて、その雰囲気がすごくいい。面白みよりも、といったら申し訳ないんだけど、安心感っていうのかな、そうした感じがとても気にいっています。

  • 『まんがタイムきららキャラット』第6巻第9号(2010年9月号)

引用

  • なんにゃか「ねこのひたいであそぶ」,『まんがタイムきららキャラット』第6巻第9号(2010年9月号),125頁。

2010年7月28日水曜日

『まんがタイムきららキャラット』2010年9月号

『まんがタイムきららキャラット』2010年9月号、発売されました。表紙は、おおう、なんと、ゲームに興じる如月さんでいらっしゃいますよ。如月さんのそばには、金髪のお嬢さん。おお、なんてったらいいのだろう、体験版でお会いした時よりも、ずっとずっと外国人っぽくいらっしゃるわ! 今度出るゲームの主人公でいらっしゃるマリさんですね。って、明日発売か! どうしようかなあ。ちょっと迷っているのであります。

かくして、マリさん、本編にも登場です。『GA — 芸術科アートデザインクラス』、ゆかたについての話でありまして、交換留学生のマリさん、大活躍です。いや、ほんと、ゲームにおいて見られるポーズなどもうまく盛り込みながら、浮いていない、とてもよく溶け込んで、ああ、今回限りだなんてもったいないよ! それくらいにいいキャラクターでありました。

浴衣のデザインを考える。そのやりとりでもって、浴衣の絵柄についての話やフランスにおける花など、いろいろ情報盛り込んで、そしてやる気のある学生、やる気を見せられて静かに張り切る先生など、気持ちの動きの描かれるところ、大変よかったです。しかし、浴衣をラッピングとみなす視点、これは実に素晴しいな。中身に合わせ、引き立たせる、それがラッピング、すなわち服飾であるんだってことですね。そして如月の描くマリの浴衣。ああ、これは伝統感じさせて、とても魅力的。こうした魅力もふりまきながら、最後の最後の落ちまで、充実と感じさせてくれる。ああ、いい話でした。ほんと、チャーミングないい話でありました。

『ラッキー・ブレイク』は驚きました。最初の駅から、プラットホーム、電車、ほんと、なんだかものすごく見覚えがあって、ほんと、この漫画、大阪舞台なんだと実感させてくれます。といったわけで、遅刻をめぐる状況。やたらくさ厳しい赤井さん。気持ちはわかる。同じ立場に立たされたら、きっと私も同じになる。いや、ほんと。しかし、この会社、フレックスを導入してるみたいですけど、こうした遅刻癖のある人にそれ教えると、コアタイムぎりぎりを狙って、結局遅刻してしまうんじゃないかなって気がします。

『せいなるめぐみ』、恵ちゃんに対する期待、想像がやぶれた乙女のそれから。心の声がえらいこと面白くて、いやほんと、乙女かこのオッサン!! いや あたくしの事ではなく!! もう最高。それでもって、今回もちょっと切なくなる、そんな感情の描かれて、この見せ方は嫌いじゃないなあ。それで、すぐに面白さに向けて舵をとる、そのスタイルも嫌いじゃないです。でもね、面白さに少し笑って、けどその笑いの中に切なさが残る。余韻があるんですね。

『平成生まれ』、ゲストです。なんか、すごくシュールな漫画。軽い、というか、すかすか。絵もネタもすかすかなんだけど、ここまできたら、それを狙ってるんだろうなとしか思えません。極めて省力的に思える、そんな誌面ですが、これで面白いかどうか、それが問題といったところ。で、私はどうかというと、面白いと思う瞬間は確かにありました。それも数度にわたってありました。

結局はマッチングであると思うのです。マッチングの度合いによって面白さが変わる。私とのマッチングは、中から高のあいだくらいなんじゃないかと思うのですが、マッチした人にはもうたまらん面白さになりそうな気がして、それはつまり逆に、合わない人には徹頭徹尾つまらない、そんな惨事になるような感じがあるんですね。

私は、多方面に配慮して中途半端に陥るくらいなら、思いっきり人を選ぶ、その方がずっといいと思っているので、これはありです。これでうまく引き込んでくれたら、なかなか悪くないんじゃない? それくらいに思っています。

  • 『まんがタイムきららキャラット』第6巻第9号(2010年9月号)

引用

  • 荒井チェリー「せいなるめぐみ」,『まんがタイムきららキャラット』第6巻第9号(2010年9月号),88頁。

2010年7月27日火曜日

『まんがタイムオリジナル』2010年9月号

『まんがタイムオリジナル』2010年9月号、発売されました。表紙は、これはもう元気そのものといった感じの山下でありますが、上半身水着で、いったいこれはどうしたものだろう、そう思っていたら、夏フェスとか、そういったものなのでしょうか。榊先生、そして『明日もひまわり荘』、『らいか・デイズ』、『おやすみ魔法使い』、皆が楽器やマイクを持っていて、なるほど、これはライブの会場であるかとわかる。なるほど、夏といえば音楽フェスティバル、そうした連想のはたらくほどになっているんですね。

『ハルコの晴れの日』、おお、特別編だ。これ、ハルコさんが駄目な男と出会っていく、そんな漫画であったんですけど、今回は先輩をメインに据えて、少年にオムライス指南。とはいえ、そこまでいくのに紆余曲折があったんですけどね。謎の少年、店に通いつめていた理由。べたではあるのだけど、そのべたがよかったと思います。

『満開!Sister』、今回は母さんが大活躍ですよ。しかし、なんだかだらしない、というか純情そのものといった父、面白いな。その父の結婚した人、椿さん、チャーミングな女性。ちょっと豪放。この豪放さは、娘にも受け継がれているっぽくて、そして椿さん大逆転。追い詰められた武士の、母さん連呼は非常に素晴しかった。なんのかんのいって、この人は照れ屋なだけなんだろうなって、そう思える一コマでありました。

『社長サマは無計画』、春風道人の新作です。3回連続掲載とのこと。マイペースそのものといった社長。商売のセンスがないらしいという彼女をいかに支え、会社をつぶさないようにするか。そうした主人公のがんばりを見ていけばよいだろうか、といった感じの漫画であります。以前掲載されていたもの、『今日から寺バイト』が好きだったから、うまいこと広がっていってくれるといいなって思っています。

『アトリエZOOへようこそ!』は精霊流しを扱って、精霊船っていうんですね。故人の思い、好きなものだとかを具体的にかたちにして、そして爆竹をどんどん鳴らしてって、それはそれはすごく派手であるのですが、このきのこさんの感想、あれは以前に長崎の精霊流しの様子、テレビで見た時に私も思いましたよ。しかし今回も楽しく話して、楽しくいろいろやっている、そんな雰囲気であるのですが、その発端には老いたペットの話があったわけで、ああ、覚悟しちゃってますか。こうして、なんでも受け入れる覚悟してしまえば、それはもう違ってくるのかもなあ。死という悲しいものも、派手な船に乗せて流していく。そうした精神性、その根本にあるのが覚悟なのかな。などと、おそらくは作者の意図しないことまで思ってしまったのでありました。

  • 『まんがタイムオリジナル』第29巻第9号(2010年9月号)

2010年7月26日月曜日

『まんがタイムきららフォワード』2010年9月号

『まんがタイムきららフォワード』2010年9月号、一昨日の続きです。

据次タカシの憂鬱』は、タカシの母ちゃんがどうにもこうにもいい人だなあと思えてならないのですよ。そもそも、ひきこもっていたタカシが働き出したのも母ちゃんあってでしたし、その後も陰になりひなたになってタカシを応援し、支えてきたのも母ちゃん。まあ、たまに酷いんですけど、期待とか。でも息子タカシを愛しているんだなあということは、ものすごく伝わってきます。といったわけで、今回も、タカシが連れ帰った酔っ払い、きれいにして、世話もして、ほんと世話を焼いてくれる、いい母ちゃんだなって思って、しかし店長をタカシのそばに寝かせたのは、なにか策略あってのことか!? 息子思いで、しかしその思いが時にわずらわしい。世の母というものをうまく表現して、そしてさらなる一味、それがいい。いやほんと、この漫画の面白さを支えるひとり、母ちゃんは欠かせない人だなって思いますよ。

わたしたちは皆おっぱい』。TKBってどこかと思ったら筑波か。地域活性化アイドル。29人から298人に増強するっていう、やりすぎ感がすさまじく、これ、クラスの女の子がスカウトされてアイドルに! っていう、滅多にない、いわば夢の展開に現実味を与えるためのものなのでしょうか。いや、自分の感想はなんか違う気がする。

しかし、御当地アイドルの描写、妙に具体的で、実際にもある投票システムをうまく転用して、地域活性化に繋げているっていう、これ面白いけど、現実には難しいだろうなあ。いや、そんなことは百も承知で、それこそ漫画であるからこそ可能で面白い、そんな世界を作りあげています。

そして、ザ・ペデストリアン。男子のユニットなんだけれど、歩行者? リーダーは早羽田ジュリー。もしかして、岸部サリーとかもいたりする? と、それは置いておいて、前回の終わりに出てきた人、それがこの人で、なんだか裏のありそうな人。でもって、貴子のこの人に感じた違和感。これはくるな、きそうであるぞ。なかなかに期待させてくれるキャラクターであります。それこそ、貴子の変態の側に引き込まれちゃうんじゃないかな。ええ、いろいろ思ってしまうわけです。

2010年7月25日日曜日

Stone guardian dog, taken with GR DIGITAL

Stuffed dogGR Blogトラックバック企画、7月のお題であります。犬は2006年2月に既に募集されていたらしいのですが、私がこの企画に参加したのは2006年11月から。GR DIGITALを買ったのは2006年5月。ずいぶん前に終わっていたんですね。といったわけで、再びのトラックバック企画「犬」に参加します。

犬の写真、過去に何枚か撮ってたな。そう思って調べてみたら、おおっと、犬は犬でも狛犬が多くて、おお、そういえば以前の職場、通勤の途中神社のそばを通るものだから、しょっちゅう寄って写真撮ってたなと思い出しました。

数枚の写真から、味のあるのはどれかなと、二枚ほど選んでみました。晴れの日、雨の日、そんなに古い像ではないと思うのですが、なかなかにいいお顔をなさっていると思います。

Stone guardian dog (left)

Shinto shrine

2010年7月24日土曜日

『まんがタイムきららフォワード』2010年9月号

 『まんがタイムきららフォワード』2010年9月号、発売されました。表紙には『夢喰いメリー』、アニメ化決定!!! とのことです。おお、素晴しい。祝着にございますな。『夢喰いメリー』は、この間の展開の、わくわくと胸踊らせるところなど、非常によかった。ああした展開がアニメになって、次々と畳み込まれるように描かれたら、いいものになっちゃったりするんじゃないかな、毎週を心待ちにしちゃったりするんじゃないのかな? なんて思ってしまって、期待しちゃったりするんですね。

S線上のテナ』。最終回を目前として、ああ、いい展開じゃないかって思ったのでした。世界の崩壊を前にして、窮地に追い込まれる恭介。彼を支えたものは、共に戦う仲間たちの思いであった。皆の思いを受けて、彼はついに彼の求めてきた音を掴む! と思わせて、うわー、全然違った。典型的な展開を見せられて、典型的な感動の形式に従って読んでいた、こちらの思惑を見事に裏切って、そうした先に描かれたもの。ああ、これが岬下部せすなのらしさであろうな、そう思いました。世界の崩壊という大きなことを描きながら、世界を支えるという大げさから抜け出してしまう。小さくとも大切なもの、幸せ、気持ちを積み上げよう。人ひとりのリアリティに根差した世界観、それはとても優しいもので、大きな大きな物語を、普通に生きて普通に暮らしている皆にも手の届くものに変えてしまう、そんな力を持っていました。

この物語も、次号で完結。次回はもう世界は助かってしまってて、後日談だったりするのかな。それはわからない。わからないから、楽しみにしてしまって、それはこれまで共に旅してきた、そんな思いを読者にも与えてくれたから。彼らのその後、皆が仕合せになってくれたらいいな、そんな気持ちにさせてくれるからかと思います。

『トランジスタティーセット — 電気街路図』、めちゃくちゃ面白かったです。途中まで、夏だから海いって、水着いっぱいで、目にも麗し、いかにもの風物詩、みたいに見せておきながら、ほどなくしてマニアなおっさんたちの真空管工作に突入、もうこれが最高でした。商店街の慰安なのか保養なのかでやってきた海。海の家にて発見した古い真空管ラジオを直そうというのだけど、なにしろ海だから手持ちの工具、手持ちのテスター、手持ちのトランスでやらないといけない、って、なんで工具もテスターも、トランスさえも持ってきてやがるんだ。って、そのトランスのくだりが最高で、まさしくナイスバカ。というか、バカしかいない。しかし、バカだからこそわかりあえる世界というものが描かれていて、もうしびれましたね。いや、ほんと、最高でした。それこそ、電子工作楽しそうだな、自分も彼らのようなバカになったらものすごく人生楽しくなりそうだ、そんなこと思わせてくれるほどの面白さでありました。

『大江山流護身術道場』。空手をずっとやってきたというお嬢さんが、大江山流に出会っていろいろ疑問に思うようになり、ついに道場を訊ねた。そこで知る武術とは違った価値観、だんだんにクリアになっていく思考、そうした気付きの整理されていくところは丁寧でよかったななんて思ったのでした。でもさ、その反面、同じように考えが整理されていく、そんな流れが示されてたと思ったら、なんでそんな結論にいたったんだあんたは……。まさしく迷走が描かれていて、このどうしても間違ってしまう彼のその思考、その連続が今の彼を作り上げたんだろうなあ、そんな気持ちにさせられて、悲しくも最高。兄さんには申し訳ないのだけど、すごく面白かったです。

少女素数』は、メランコリック展開は前回で一段落、というわけで平常回っていうのかな、進級以前の雰囲気など感じさせてくれる回でした。すみれ、あんずふたりの誕生日。14歳になりました。誕生会でドレスアップ。けれどふたりはちょっと御機嫌ななめで、でも最後に御機嫌もなおって。そんな話だったのですが、見どころは富士夫兄さんのような気もします。双子の回想にあらわれる詰襟富士夫。朴訥として優しげで、そして今の富士夫。ちょっとシリアス? けど母からの鋭い指摘に頬染めたりしてね、そしてドレスアップ富士夫ですよ。どひー、いい男。すっかり、この漫画本来の見せどころを逸脱して喜んでる私ですが、こういう回もあっていいよね。ええ、けど、富士夫兄の見ているふたり、その印象の変化など、それらはまさしく『少女素数』で、そして兄の変化が気になってしかたのないふたり、それもまさしく『少女素数』であったのですよ。

2010年7月23日金曜日

SPECTACLE

 耳に残る歌というのはあるのだと、また久しぶりに改めて思うことがありました。『SPECTACLE』、演奏者はのあのわといって、これが個人なのかグループなのか、ちっともわからない。懐かしさ感じさせるような曲調。ちょっと神経質な感じ、引っ掛けるようにして歌う女性ボーカルが印象的で、しかし私がとらえられたのはまさにリフレインでした。一気に空が開いたような気のする、そんな瞬間。一歩一歩を踏み締めながら、しっかり進もうとする、そんな気分にさえなって、dancin' dancin' と繰り返されるその声の響き、コーラスも後押しして、私の心を揺さ振ってならなかったのでした。

この曲を入手したのは、iTunes StoreでFree Downloadになったからなんですね。調べて見れば2009年の8月19日、およそ一年前ですね。それが、つい二週間前かな? iPodのシャッフルで拾い上げられて、お、これ、いい歌。星をぐーっといつつつけて、そしてその気持ちの消え去らない今日、再び再生されて、ああ、これこの間、聴いた歌だ。誰のなんて歌なんだろう、調べて、そして、アルバムが欲しくなった。ええ、興味を抑えられない、そんな感じになってしまったんですね。

調べれば、アルバム『SPECTACLE』には限定版があって、DVDがついてくる。でも、もうほとんど市場には残っていない模様、Amazonではプレミアがついていて、3倍ってとこか、足元見やがるなあ。今は限定版、おまけをなにかつけないとアルバムやCD、売れないんだろうとは思うのだけど、事情は理解しながらもやっぱり限定版って嫌いだわ。でも、『SPECTACLE』聴きたいなあ、そう思って、ふと気付いた。Free Downloadの、持ってるじゃん。聴いてるじゃないかと。ああ、そうだよ。私はFree Downloadものは聴いても聴いたうちにカウントしないのか。不思議な習性が判明しました。

CD店に寄って、そこにアルバムがあったらいいな。そう思ったら、残念、『SPECTACLE』はなかった。しかたがないので、『グラデーション』買ってきた。これは初回限定版の2曲追加されてるもので、Acoustic Sessionっていうの聴きたかったから、嫌いだなんだいいながら、買ってきて、聴いてみて、もともとがアコースティックな響き持ってる、そんな印象があったから、ものすごく印象が違うってことはないなあ。でも、ギターの響きにゆったりとチェロがうねる、その上にのっかってくるボーカルの響き、悪くないなと思って、残念ながら『SPECTACLE』に感じたような鮮烈な印象はこのシングルからは得られなかったのだけど、けれどAcoustic Sessionも、もちろんおまけでない3曲も、結構好きだなと思い、わりと普通な感じではあるんですけどね、伸びやかに歌われるリフレインなど、そしてなにかを求めようというかのような切迫感も、実際悪くない。これは、ちょっと繰り返し聴いてみたいな、そんな気持ちでいます。

Single

2010年7月22日木曜日

『まんがタイムスペシャル』2010年9月号

『まんがタイムスペシャル』2010年9月号、発売されました。表紙は『スーパーメイドちるみさん』を中心に、新連載の『BARジャックビーン』そして『パンむすめ』が飾っています。加えてもうひとつ、『ベツ×バラ』もありまして、蚊遣り豚と朝顔のうちわ、夏のらしさはここに集中しています。

『パンむすめ』、樹るうの新連載です。リニューアルオープンしたパン屋さん、こぐまベーカリーをいかにもりたてようかという物語。祖父の店をつぐというちはる。製パン学校で出会った夏緒とともに、一度は閉店したパン屋を再興しようという、その心意気が伝わってわくわくさせてくれて、なかなかにいい感じです。技術は夏緒だのみだけれど、パンそしてパン屋に向ける愛の深さはちはるも負けてない。いかに店を知ってもらい、足を運んでもらおうか、その工夫、パンに焼きゴテで宣伝を焼き付けてチラシにするっていうのね、その効果と欠点はこぐまベーカリーの将来有望であること占って、この店をめぐる騒動なのか交流なのか、大いに期待できそうだ、そんな感想いだきました。

『BARジャックビーン』、佐藤両々の新連載です。バーの見習い従業員、橘実果がヒロイン。バーのマスターは親戚とのことだけれど、その兄さんには理不尽な姉があって、さすが佐藤両々ものというべきか。優しい弟と酷い姉。酷さでもって弟への愛を示そうとでもいうのか。いや、この漫画は過去のに比べると比較にならないくらい優しい姉だとは思います。ちょっとどんくさいマスター。けど、お客さんの様子を見て、いろいろ配慮する優しさがあって、こういうところが人気だったりもするんだろうなあって思ったりしたのでした。でも、こういう性格、あの姉に仕込まれたりしたのかも知れないななんて思えて、いや、このあたりは先の話でありますね。

『ひよっこシスターの安息』、変わらずよい感じ、面白いです。前回はあまりその人柄の描かれなかった先輩シスターたち、ちょっとずつ描かれてきまして、シスター八木沼、この人なんかフランクで可愛い人だなって思いましたよ。そしてシスター雛形とまずいラーメン屋の交流。いや、まずいのは試作だけで、店自体は普通なのか。どう見てもうまくいきそうにない、そんな様子が面白いなあ。シスター雛形の無責任なはげまし、でもなんだか本当にうまくいきそう、そんな気持ちになれる。この前向きさがとてもいいです。

『早乙女寮別館ものがたり』、松子さまがのりのり! これは面白い。別荘、洋館にて夏休み過ごすことになって、ロケーション最大に利用したお嬢様ごっこ。もう、のりのり。少女小説の設定ひっぱってきて、ちかまで巻き込んでの本気の遊び。非常に素晴しい。ごっこ遊びの、どんどん夢の広がっていく反面、現実が全然追い付かない。そのギャップが面白く、そして七恵さんですよ。いきなり、状況もわからんままに巻き込まれる。しかも酷い配役! 面白いなあ。お嬢様への憧れもそうですけど、松子さま、ほんと可愛い人だと思いましたよ。

  • 『まんがタイムスペシャル』第19巻第9号(2010年9月号)

2010年7月21日水曜日

『まんがタイムきららMAX』2010年9月号

『まんがタイムきららMAX』2010年9月号、昨日の続きです。

『放課後せんせーしょん!』、ゲストです。たまたま見てたっぽいサスペンスドラマに影響されて、部活にてそのごっこをやろうというヒロイン。そもそもこれが何部であるか、ちょいとわからないのですけれど、顧問までをも巻き込んで、ばたばたどたどたと騒ぐその様子は、なかなかに楽しかったです。これは、当初の打ち合わせとずれながらも、期待に沿った展開が勝手に成立していってしまう、そんなところを楽しむのがいいのかも知れませんね。

『もっかい!』の、衛の制服、雰囲気が違う理由、上に一枚着ているというその理由がついに語られましたよ。ええと、かわいいかららしい。うん、可愛いと思います。というか、ずっと可愛いと思ってました。さてさて、プール掃除を楽しもうというアイデア実現しようと頑張る遊が面白い。結果的にきれいになればいいじゃないか、それは遊の発想で、そして私の感想でもあるのですが、けどこの子にとってプールがきれいになるのはあくまでも副作用、目的はあの石鹸カーリングというのですから、徹底してます。感謝されるたびに、良心の呵責に揺れる遊。いい子だなあ、そう思わせるに充分な描写でありました。しかしなにをするにも楽しみに変えようとする遊は、その発想も実行力も、たいへん素晴しい。読んでいて、すごく楽しくなってくるんですね。

『ラッキーストライク』の、ボウリングにまつわる怪談。いや、これ怪談なのか? あの、後ろにぱっと現れるレイレイの顔が可愛い。さて、合宿の目標があきらかにされて、ええと、全国高等学校対抗ボウリング大会に出るのだということ。へー、ボウリングにも大会があるのか。ペアでの勝負。今年は2チームでの出場を目指すというのですが、上級生組にはレイレイの緊張克服、下級生組にはレンの初心者脱却というテーマがあって、いかに問題を克服し、上達するか、その過程が描かれるとすると面白くなりそう! そんな気がするんですね。さて、やっぱり妹を通すと大変なことになるレン。この展開、実にいいです。

『ハッピーステッチ』、コスプレ衣装を作ります。絵だけを頼りに衣装を制作しようという過程で、漫画にはまり、道を踏み外していく。それは実によくありそうなことだと、経験してないくせに思ってしまう、説得力に溢れたエピソードでした。今回はコスプレイヤー、リコの母が登場して、有名なデザイナーだということも判明。これ、後々話に関係したりするのかな。なんだか楽しそうなお母さん。期待しちゃいますね。

ねこにゆーり』、最終回でした。最後は、仔猫の里親探し。その過程において、ゆーりの押しの強さ見せて、そしてあさひとあっちゃんの仲直り、さらにはゆーりのライバル宣言から友達になろうという可能性垣間見せて、ああ、この漫画は、ゆーりの人嫌いの克服と、社会性の獲得。友達を作り、この先も楽しくしっかりと生きて暮していける、そんな基盤をつくっていく物語だったんだなっていうのを実感させられました。癖のある漫画であったと思います。そして、その癖も含め、面白く楽しかった。いい漫画だったな、そう思います。

  • 『まんがタイムきららMAX』第7巻第9号(2010年9月号)

2010年7月20日火曜日

『まんがタイムきららMAX』2010年9月号

『まんがタイムきららMAX』2010年9月号、発売されました。表紙は『くすりのマジョラム』。中央にヒロインがどーんと陣取って、実はこの人26歳。しびれます! かつて『きらら』系列誌で高年齢ヒロインが表紙を飾ったことがあったろうか!? あったな。それもこの『MAX』において、妙齢の先生が表紙を飾ったことが、何度もありました。ああ、これが誌風というものなのでありましょうか。いいぞ、もってやってください。期待しています。

○本の住人』、なんだかひさちゃんがすごく積極的ですよ。以前からそうした傾向はあって、なんだか微笑ましいな、可愛いなあと思ってきたわけですけれど、今回はまた思い切ったものだ、というか、ついに兄貴を狼狽させたか。いかします、やってくれます、超可愛いです。ひさちゃんの一連の行動、これは内気なんだけど積極的な女の子の、時にいきすぎてどぎまぎしてしまう、そうしたところに可愛さ覚えるってところもあるのですが、オタク趣味を発揮できないでいたお嬢さんが、兄貴と出会って、そうした面もどんどん出せるようになったというところ、自分のよさをどんどん押し出していけるようになったというところ、それがいいのかもなって思うのですね。いや、ほんと、ひさちゃん、いいキャラクターでありますよ。

『きんいろモザイク』、やっぱりこれ面白いです。人見知りアリスの日本語話せないふりとか、地味ないしは静かなネタなんですが、とんっと胸元に飛び込んできて、そしてじわじわ効いてくる、そんなよさがあるんですね。キャラクターの個性をかたちづくりながら、そうか、その手があったか! と思わせる、意外でありつつも自然な発想。そして絵の訴えるアリスの内面、感情。うまいわ。どれを欠いても成立しない、そんなよさがあるわ。ええ、ものすごく面白いです。もちろん、それは他のエピソードでも同じで、これはいいわ、すごくいいわ、アリス可愛いわ、しのも可愛いわ、先生も最高だわ。ええ、ほんといい漫画であります。大好きです。

『SUNNY SIDE UP.』、加奈子のお母さんが登場。声だけですが。なるほど、社長さん。ふたりのやりとりなかなかに面白く、お母さんの娘大好き、娘大事という気持ちがものすごくよくわかる。いい母娘なのだろうなあ、そんな感想が自然にわいてきます。でもって、あのグリズリーとドーベルマンお出迎えの想像とかね、見た目のインパクトがすごい。熊の味わいもすごい。後半は本田商店に場を移して、この微妙にいろいろ問題のある品揃え、地域の特色ってことなんでしょうけど、面白いなあ。漫画であるからこその面白さ。で、これを朝顔とその姉とのやりとりで、なお面白くしている。そんな感じ。実にいいです。ところで、私、この作者の、目をぐるぐると黒く塗り潰す表現、これがすごく好きなんです。いい味出してるなあって思うんですね。

『けいおん!』アンソロ、なかなかに面白く、中でも「鼻血の出やすい軽音楽部」はよかった。紬をメインに据えて、その変態性を強調して見せる、その見せ方がいい感じに走っていて、けど暴走や迷走って風じゃないんですね。あきらかにありえない、そんな展開を、いかにもありそうに感じさせてくれる。あるいは、一種期待されるものをうまくすくいあげて、これでどうだと見せつけてくれる。実によかったです。しかし、にこにことしながらも斉藤に対する恨みつのらせるところ、そして最後の台無しな様子。ああ、これが私の見たかった紬お嬢様なのか。どんなパロディを好むか、それは受け取り手の嗜好を露にするものだと実感させられました。

フィギュ☆モ』、最終回です。前回、自分の作ったフィギュアを酷くいわれて傷ついたみらい。放っておけないとかけつけたさりな。このふたりの対話には重要なポイントがあるな。そんな風に思って、みらいのいうこと、これは作り手が追い込まれてる状況、そのものだと思う。一方的にいわれるばかりで、反論が許されない、そんな場ができあがっている場合、それこそみらいのいうように受け入れるしかない、と思ってた。けど、そうじゃないよねというさりなの言葉。その通りだと思う。失礼な態度には、バカにするな、といってもいいんだ。その通りだと思って、そして鼻水までたらさせられて、泣いて、怒って、本音叫んでのあのシーン、ああ、涙を絞りますね。ただ怒ったわけじゃなく、悔しさを飲むしかない、そう思っていた時に、その悔しさを理解してくれる誰かがいるっていうこと、一緒に怒ってくれる友人のいるということ、その気持ちの明らかに描かれたところ、それがよかったのだろうなって思ったのですね。しかし、この作者さん、真面目な人なんだろうなっていうのが伝わってきます。

好きな漫画が終わるのは寂しいことだけれど、こうして最後にぐっと気持ちを揺さぶってくれたりすると、ああいい終わりだな、いい漫画だったなと、そんな気にもなれて、寂しさもやわらぐように思います。

  • 『まんがタイムきららMAX』第7巻第9号(2010年9月号)

2010年7月19日月曜日

ラブプラス+

 『ラブプラス+』が話題ですね。昨年9月に発売されて以来、なにかと話題となった『ラブプラス』の続編ないしはアップグレード版であるのですが、これ、なんと熱海市とタイアップして大々的にキャンペーンを行うという驚きの展開があって、いや、ほんと、そこまでするんだ。旅館や店舗がタイアップするのも驚きなんだけれど、ゲームがらみのキャンペーン、それも恋愛シミュレーションの類で、市長までがセレモニーに参加するだなんて! それだけの出足が期待されるということでもあるのでしょうが、ほんと、大変な感じになってきたなと思っています。

で、そのキャンペーンなんですが、これ、『ラブプラス+』に追加された要素のうち、おそらくは最大のもの、旅行イベントに関係するものなんですね。ゲームの中の彼女と一泊二日の旅行にいくという、そんなイベントでありまして、しかしこれが凶悪。およそ一時間に一度のペースで発生するイベント、それを拾うためにはゲームを起動させたまま待機するしかないという仕組みでありまして、え? 電源切っといて、あとでチェックするとかできないの? できないんだそうですよ。ある程度は後からフォローできるみたいな感じでもあるのですが、それも結局はイベント発生の時間帯に起動していないといけないわけで、ということは、二日間DSを、もっとはっきりいえば『ラブプラス+』を持ち歩かないといけないっていうわけか!

これについては、発売前から賛否両論ありまして、これはユーザーに対する踏み絵なのかと怒る人あり、それですっぱり離れる人もあった模様で、いやね、土日限定のイベントです、勤め人の中には週末に休みのないという人もあるわけで、そうした人は時計をいじるか、どうするか悩むはめにもなるわけで、どうせ夏休み期間中なんだから土日以外に設定できてもよかったろうと思うのですが、なんなんだろうなあ。などなど、いろいろ思います。

さて、旅行イベント、つらかったです。ええ、昨日一昨日と体験してみて、一生に一度もやれば充分だ。いや、充分以上だ、そう思いましたね。初日は寝坊したのですが、どうやら8時スタートのイベントらしいです。それから一時間おきにイベントが出現。まれに30分とか10分、15分とか、そういったタイミングで出ることもあるので、常に注意をDSに向けておかないといけなくて、これが実につらい。私はイヤホンさしぱなっしにして音を消してたのですが、それでもなにかいいながら動いている。気になる。画面左肩に出るイベント発生のアイコン、何度も何度も見て、ついには幻覚ぽい影まで見てしまう。と、こうした時間が二日続きます。

そしてまたつらいのは、夜でしょう。初日、おそらくは10時とか11時とかに終わってくれるのだろうと思っていたら、とんでもない。日付変わってもまだ続く。うそー。しかたがないから、イヤホン耳につっこんで寝たら、夜中に起こされて、そのイベントが2時過ぎでしたかね。で、その後は多分発生してないんですけど、翌朝、6時30分過ぎにイベントがスタートですよ。目覚ましよりも早く起きましたから。もう、夜中に何度も目を覚ましてDSの画面確認するっていうね。なんで自分はこんななんの得にもならないことに、こんなに頑張ってるのだろう。自分自身に疑問を感じる、そんな時間。一種の修行ですよ、修行。いや、本当、冗談とかじゃなく修行です。

旅行イベントは踏み絵か、なんていってましたけど、むしろこれは洗脳プログラムだなあ、そんな印象を持ちましたよ。睡眠をとらせず判断力を低下させる。無駄な苦労の末に達成感を与える、これ洗脳っぽいよなあ。自己否定感を増大させその後承認とか、そんなことはさすがにないのだけど、けどこのイベント中には、今ここでリアイアしたらこれまでの我慢が無駄になる、そんな必死感が醸成されて、そして軽い達成感、ちょっとした感動が用意されて、ああ、よかった! 自分、頑張った! そんな気分にでもなれば、よりいっそう愛着を深めることにもなるのかな。そんな気がずっとしていて、だから、このイベントを乗り越えた人は、それこそ状況が過酷であればあるほどに、このゲームにのめり込んでいくことにもなりそうだなあ、なんて思ったのでした。

というわけで、昨夜、イベントを終えまして、その感想はいかがであったか。申し上げます。

楽しかったよ! だから、みんなもプレイするといいよ!

2010年7月18日日曜日

こはるの日々

 大城ようこうという人を知ったのは、かつて日経BPが運営していたデジタルARENAというサイトにて行われた企画、「あなたにピッタリの1台をズバリ診断! デジカメチャートでチェック!」がきっかけでした。すごく魅力的な絵だと思って、覚えておこうと思った。そして 『こはるの日々』という漫画が『good! アフタヌーン』に掲載されている、そんな話を聞いて、これは是非読みたい、そう思って単行本になるのを待ってたのでした。そして第1巻が刊行、もちろん買いました。

購入したのは4月8日のこと。なにせ読みたいと思っていた漫画なんだから、ほどなく読んで、しかし感想は今まで先延ばしにされた。なぜか? 単純な話ですよ。ダメージが大きかったんです。ダメージ? ええ、昔、学生の時分、身近に似たような行動する人があったんですね。

さて、ヒロイン睦月こはる。こぢんまりとした可愛い女の子。その子が、通学の途中、急ブレーキの電車内、あぶなく倒れてしまうところを助けられたことからはじまるラブストーリー。といったらよくあるパターンですね。でも、ここはあえてよくあるパターンとして描いていると思われて、ああ、典型的恋愛コメディだな、ちょっと助けただけで好かれて向こうから押してきてくれる、そんな都合のいい話あるわけないよな、そう思わせといて、わくわく読ませといて、実はちょっと違うんだよというのですから怖ろしい。

ああ、怖ろしいよ。こはる。見た目は普通なのに、行動こそは少しエキセントリックだけど、ギャルゲーヒロイン的といえばそんな感じに思えなくもない。だのに、それがこんなにも怖い。積極的ヒロイン。健気で、懐っこくて、もう尻尾力一杯振りながら飛び付いてくる子犬みたいで、それが可愛い! とならないのは、どこかコミュニケーションが破綻してるからでしょう。こはるは、自分の中で膨らみ続ける好きという気持ちを、主人公鳥居晃の気持ちにすりあわせることなく、ただただ自分優先で押し込んでくる。こちらの気持ちとか考えない。思いのやりとり、気持ち、感情の擦り合わせがなされることのないコミュニケーションというものは、こんなにも恐怖なのだ。それが実にうまいこと表現されていて、だもんだから昔のことを思い出しちゃったんですね。

詳しくは思い出したくない。大学通ってた頃、ひとつ下にそんな人がいたんです。ちょっとでも父性的なもの感じさせたら、ぐーっと寄ってくる女の子がいたんです。父性的 — 、先輩というだけでターゲットになった。ええ、一時なりかけて、必死でさばいてたら、その様子見ていた職員さんから、君は冷たいなあ、とかいわれて、ええーっ! 違う、違うよ! 勘弁してくださいよ! そう、端から見てる分にはわからないんですよ。ただ懐いてる、そんな風に見えるのですかね。それこそ、この漫画でいう夏希や真行の見ているもの、ずばりあんな感じですよ。鳥居が感じている違和感や異質感、それがちっとも共有されない、理解してもらえない、そんな気持ち、ああ、よくわかるよ。やばいよね、いや、やばいんだって、必死で伝えようとしても全然わかってもらえないから、まるでこちらがおかしいみたいに見られてしまう。ああ、怖ろしいよ、怖ろしいよ。こはるさん、本当に怖ろしいよ。

で、私の話ですけど、誤解はとけました。いえいえ、簡単なこと。しばらくしてからのこと、その職員さんがターゲットになって、なんか軽く待ち伏せ受けたらしいですね。ぎょっとしたらしいって聞きますね。ええ、その瞬間、あの時の私の行動の意味を理解してくださったことと確信しております。

といったわけで、『こはるの日々』。読んでいてぞわぞわとします。まさに怪談ですね。心理的な怖さがじわじわと押し寄せてきますね。けれど本当に怖いのは、主人公の行動ですね。ええ、本当に怖いですよ。どう怖いかは読んで確認してくださいね。はい、もう時間きました。それでは次回をご期待ください。

さよなら、さよなら、さよなら。

  • 大城ようこう『こはるの日々』第1巻 (アフタヌーンKC) 東京:講談社,2010年。
  • 以下続刊

2010年7月17日土曜日

『まんがタイムファミリー』2010年9月号

『まんがタイムファミリー』2010年9月号、発売です。表紙はビール? 夏の飲み物? ビールビールときて、牛乳、オレンジジュース、ソーダフロート。いいねえ。とはいうけれど、私、お酒は飲まなくなったからなあ。といったわけで、『まんがタイムファミリー』2010年9月号、感想であります。

『教師諸君!!』、学校の先生は大変だなあ。お祭りとなれば見回り。花火大会に出向いて、生徒たちを見守る。正直私は、これは教師の仕事じゃないって思ってるんですが、でも現実的にこうしたことが行われてるってことなんですよね。やっぱり先生は大変だなあ。

それでもって、不断着の西名先生。素敵すぎ! 冒頭の夏は夜はちょっと髪の色が白いために老いて見えますが、婦人部スタイル、ああ、こういうの大いに好みです。こうした魅力がわからないなんて、深沢先生はまだまだですね。そして花火をめぐる話のいろいろ。西名先生の曾祖母のお話。ああ、こうした言葉がしみますね。そして、城先生のお話、ああああ、しみますね……。昔、といったら怒られそうだな、かつての可愛くだけいられた頃のこと。ああ、時は過ぎてしまった。もう戻れないふたり。こうした描写のもろもろに、この人たちの個性、リアリティが引き起こされて、実に楽しいです。

『美大道!』、そうだった、そうだった、ヒロイン、浪人してるんだった。学生時分の友人と会う話。友人クミちゃんは大学に進学していて、すっかり変わってしまってた。ああ、その変わりかた、とても残念でした。って書くと、ああ眼鏡だろ、っていわれそうですけど、いや、ええ、そうなんですけど、でもそうじゃなくって、あの自分の過去をもって黒歴史とみなしたところ。漫画が好きだった自分を否定してるってところ、残念だなあ。そう思ってしまって、そしてきっと彩もそう思ったんじゃないかなあ。いや、どうなんだろう。この子に関しては自信もっていいきれない。追いていかれたような、自分だけが立ち止まってるような、そんな気持ちになってるってことはわかる。でもって、そんな彩を励まそうとクミの思わず白状してしまった事実。ああ、なんかいいですね。充分によく潜伏した上で、いつか花開いてくださると嬉しいな。

『的中!青春100%』、この漫画、毛利がいい感じに弓道バカで、面白いです。美人と評判の南先輩も、部活動ともなれば馬鹿まるだしになって、いやこの人からはあんまり弓道バカといった感じはしない。それでもって的の話。ああ、あれって紙を張るんだ。矢道でお昼も面白く、そして南先輩の期待を裏切らないところ、それも素晴しい。この漫画のいいところは、美人で評判の南先輩の自意識過剰とわりと汚ない本質、これもありますね。毛利の調子のよさ、成績に対し先輩皆が発奮するというのもね、いいじゃん、いいじゃん、面白いですよ。でもって、最後まで南先輩が酷い。その酷さが最高です。

『めがねのキミと博物館』、おお、『つれづれいーの』の井ノ上ふきだ。嬉しいな。この方の作風、結構好きなんですよ。といったわけで、今回もなかなかに気にいってまして、これまでのとは違い、現実寄りのお話であります。博物館、学芸員の香坂理歩子さんの、のんびりとして、好きなことには一心不乱、けれどおおいにどんくさいっていうのですね。典型的、そんな気もしますが、それでものんびりとした中に暖かみや対象に注がれる愛、そうした雰囲気感じさせてくれるところあって、やっぱり好きだなって思うのですね。あの、おにぎりのエピソードとか大好きです。

そして、「笑旅行のススメ」。おお、これはよいですね。イタリア旅行の話は、私の数少ない旅行の思い出、そいつを鮮明にしてくれて、確かに向こうの料理、多いんですよね。向こうの人は普通に食べてるのに、日本人は一皿をふたりとか三人で分けてちょうどいいくらい。ほんと、日本人は胃が小さい。でも、それで厨房に連行されるとか、これは面白いですね。こういうコミュニケーション、旅行の醍醐味だと思います。それでもって、イースター島。おお、これいいなあ。レンタホースとか、すごく味わい深い。共感する旅行の話あり、ただただ憧れるばかりの話もあり、こういう多様なところ、とてもよい特集でありました。

  • 『まんがタイムファミリー』第28巻第9号(2010年9月号)

2010年7月16日金曜日

シンセサイザークロニクル

 このあいだ、学研のシンセでも買ってみようかなあ、などといっていました。6月のことでしたね。実際に買いにいったりもしたのですが、残念ながら在庫している店がなく、注文してもいいんだけど、いやしかしめんどうくさい。どうしたものだろうかと思っていたら、馴染みの店が在庫してますよって! 今ちょっと引っ越しの最中で、片付いてないっていうから、しばらくしたらまたきますと約束して、その約束を守ってきました。ええ、本日、『シンセサイザークロニクル』、購入しました。

これを欲しいという気持ちは以前からあったのですけれど、なんとなく買っていませんで、買っても無駄にしちゃうんじゃないかなって、そんな心配があったからみたいです。ですが、それを思い切って買っちゃうと決めた。理由は、KORG monotronが面白そう! って思ったから。もあるのだけど、シンセサイザーというものを、知識として把握するのではなく、経験として知りたいという気持ちがあったのですね。先日購入したLogic Studio、これにはシンセサイザーのシミュレータもたくさんついてくるんですが、画面に映し出されたパネル一面についたスイッチ、つまみ、そしてLFOをはじめとする用語の数々。正直よくわからない。わからないから調べても、調べたその時は覚えていても、時間がたったら忘れてしまっている。

まいったなあ……。

そう思ったから、まずは簡単シンプルなものを触って、体感的にシンセサイザーというものを知ろうと思ったのでした。

『シンセサイザークロニクル』の付録、SX-150、基盤一枚のシンセサイザーなんですが、これ、つまみは5つ。スイッチが3つ。そして音程を変化させるカーボンパネルと電極棒。以上、なんですね。スイッチは、電源とLFOの波形選択、そしてレゾナンス。つまみはLFOレート、ピッチエンベロープ、アタック、ディケイ、そしてカットオフ周波数かな。

これ、LFOというのがどういう役割か、一発で理解できた。LFOは効かせ方によって、いろいろな効果を生み出すのだけど、SX-150の場合はピッチに影響して、例えば矩形波を選び速度をゆっくりにすると、救急車のサイレンみたいな音になって、もうちょっと速くすると、レストランとかに入店した時のチャイムみたいになる。矩形波だと効果音というか、おもちゃちっくな面白い効果が得られ、三角波だと音楽的な効果になる、ような気がします。

アタックとディケイは、それぞれの意味はわかってるんだけど、最初はどういう効果があるのかわからず、ピッチエンベロープを動かしてみてはじめて理解しました。ピッチエンベロープは音程が上がって下がる、そんな効果であるのですが、その上がる速度をアタックで、下がる速度をディケイで調整するんですね。そして、これにカットオフを加えると面白いんですね。カットオフを左にまわすと音がくすんでいくんですが、ピッチエンベロープでぐーっと上がった音程が、カットオフされる周波数を超えたところで明瞭に聴こえはじめ、そして下がるにしたがってくすんで消えていく。いや、今ためしてみたら、ピッチエンベロープは関係ない? ピッチエンベロープを左にまわしきった状態でも、同じような鳴りかたするよ?

といったわけで、これからもなお触って、試して、理解していきたい、そんな状況であります。いや、でもこれ、鳴らすだけでも楽しいですよ。

引用

2010年7月15日木曜日

『月刊アフタヌーン』2010年8月号

 『月刊アフタヌーン』2010年8月号、とっくの昔に出ています。いえね、タイミングを逃がして、感想だとかなんだとか、すっかり忘れてた。いえいえ、『アフタヌーン』に関してはよくあること、っていっちゃあなんですが、実際書くのすっかり忘れてた、なんてこともありまして、いえね、この雑誌の発売日近辺、いっつもなんだかごたごたしてしまってる、そんな印象があるのですね。というわけで、遅ればせながら、今さら感想書くつもりになりました。

『BUTTER!!!』、私、この漫画、結構気にいってるんですが、いやしかし、思いもしなかった展開になってきました。これまで常に前向きに、そしてぐいぐいと端場を引っ張ってきた荻野目が、あれー、なんだなんだ、なんか様子がおかしい。なんなのだろう。緊張に弱いのだろうか。あるいは失敗に弱いのだろうか。そしてクラスでの雰囲気も。なぜだか不思議と弱気であって、そして3ヶ月の在籍義務が切れた。どうなるのだろう。まさか、こうなるとは思わなかった。いやね、こうしたマサカ! を盛り込むからこそ物語になるわけですけど、それにしても意外でした。ここは端場が気張るのか、どうなのか。わからない。けど、そうなりそうな気がする。この、端場という一種斜にかまえてきた男が、一体どういう踏み出しをするのだろう。それはちょっと見てみたい。そう思います。

百舌谷さん逆上する』。物語としては、大詰めに向かう第一歩といった回なのでしょうか。百舌谷さんが、鴫沢大観と出会う。きっと大変なことになるだろう。そう思ったものの、意外にこれが厳しくも冷静な話し合いとなって、しかしこれはまたやりますな。百舌谷さんの目標としてきたこと、その欺瞞に直面させる。これは百舌谷さんのやろうとしてきたことを美談として受け入れ、それが叶えば感動とともに受け入れて、そうした嗜好に対するカウンターでもあるでしょう。当然考えられるべきことではあるけれど、物語的都合によって、そうした側面をはるか彼方に追いやることもできなくはない。けれど、それをきっちり指摘しておくことで、百舌谷さんの葛藤を引き出そうとでもいうのか、そう思ったら、さらにもう一段階があって、ああ、一段階目は乗り越えられる、そこまで踏んだ上での罠だったんだなと、続く展開に、一種絶望めいた気分を味わわされたのでした。

描かれたことは、いまだ断片としかいえない。だから続きを見なければならない。そんな気持ちにさせられます。

いもうとデイズ』、周防先生、ろくでなし。今回はちょっとディアナは後景に退いて、メインはまりかちゃんと先生の汚ない対決でありまして、いや、ほんと、子供は子供で、妹の友人という立場利用して通い詰めるし、大人は大人で、金の力振り絞ってホストクラブに通い詰めるし。もう、両方が無茶。でも、こうした争いの影にちゃんとお兄さんの株があがる。ああ、いい人なんだなあってわかる、そんなエピソードが描かれて、だからこそ、先生のろくでもない面が強調されている、そんな風に思うのでした。しかし、奈子ちゃん、えらい酷い目にあって、そして彼女の真っ直ぐさが状況をさらに面白く変えまして、もう、まりかちゃんの決意。これには腰抜けそうでした。無茶! もうこれは、お兄さん逃げて! そういうしかない状況であります。

2010年7月14日水曜日

『まんがタイムラブリー』2010年8月号

『まんがタイムラブリー』2010年8月号、昨日の続きです。さて、昨日書かなかった表紙についてのこと。これは夏のレジャーなのでしょうか。ポニーに餌をやる『つぼみ園』のことみ先生。また、オリエンテーション? 宝探し? 『夏生ナウプリンティグ!』など。他にも虫取り、釣り、飯盒炊爨。夏の、さらにいえば山のレジャーであるようです。

『ゲエムがお仕事』、ゲスト? ニューフェースです。ゲーム会社で働くことになったミホリがヒロイン。けど、ゲーム職場ものは、もっと過激で内情曝露してるんじゃないか!? と思わせるようなものがあるから、ちょっと不利な題材に思えるんだよなあ。けれどこちらの作者も、ゲームをめぐる状況、大型筐体の梱包とかね、描いてるところを見ると、その周辺のことご存じなのでしょう。ということは、この先もっとつっこんだこと描いたりするのかな? 今回は、エア・カーでドライブスルーを攻めるエピソード、面白かったです。なんか、馬鹿馬鹿しくってさ、けどいかにも本当にやったりしてそうでさ。

『きょうだい反比例』、ゲストです。背丈が年齢に反比例している姉弟の話。妹が一番背が高く、姉が一番小さいという、その背の高さを気にしているまんなかの男の子、この子の無理したり、あるいは妹から、また姉からもいいようにいじられたりするところ、ちょっと悪くないなって感じです。全体に幼い、そんな感じの子らです。意地はってみたり、いきおいで酷いこといったり、いわれて泣いたり、そうした様子、やりとりを、微笑ましいなあ、って思って愛でられる人にはいいかも、そんな風に思いました。

『ゲーセンの成田さん』、ゲストです。ゲームセンターで働くお嬢さん、成田さんがヒロイン。わりとオーソドックスな漫画、加えておとなしめでもあるのですけど、なかなかに面白いと思えるところありまして、悪くなかったです。あの、UFOキャッチャー筐体に閉じ込められちゃうのとか、それから常連ぽい男の子の両替機ノウハウとか、特に後者はうまいと思いましたよ。もしかしたら、ゲーセンあるあるネタなのかも知れないけれど、私には意外と思われて、こういったエピソード、いろいろ展開されるといいなあなんて思ったのでした。

『恋愛ベジタリアン』、ゲストです。いわゆる草食系などといわれる人たちの話なのでしょう。奥手な青年と、いかにも世間擦れしていないお嬢さんの恋愛もの、でいいのかな? 同じ大学に通うふたり、迷子になっていたお嬢さんを案内して、それから携帯電話の番号を交換するまでが、紆余曲折というか右往左往というか、そんな感じに描かれて、いかにも奥手、いかにも恋愛上手じゃないっていう、そういう様子がいろいろくすぐります。

  • 『まんがタイムラブリー』第17巻第8号(2010年8月号)

2010年7月13日火曜日

『まんがタイムラブリー』2010年8月号

『まんがタイムラブリー』2010年8月号、発売されました。で、驚きましたよ。いえね、次号予告ですよ、次号予告。なんと、小池定路、初登場。もういっぺん書こう。小池定路、初登場。『ぐだぐだしている女子高生の放課後 略して ぐだじょ』って、これ全部がタイトル? 『ぐだじょ』だけじゃなくて、『ぐだぐだしている女子高生の放課後 略して ぐだじょ』なんだ。いや、しかしこれはすごいことになってきましたよ。これまで『ラブリー』だけでなく、いろいろ雑誌購読して読んできましたけど、次号の予告でここまで気持ち騒がせたことあったろうか、いやない、ってな感じです。いや、ほんと、次号が楽しみですよ。

『放課後のピアニスト』、ああレミは本当に楽しそうにピアノを弾くな。この演奏の風景、状況、その表現が素敵です。もうとにかく、ピアノが好きで好きでたまらない。ピアノバカというべきでしょうか。しかし、これくらいじゃないと演奏家としては成功しない、そんな風にも思えて、だからレミはきっといつかものになりますよ。しかし今回はいろいろ具体的に曲名出てきて、しかし『運命』、『山の魔王の宮殿にて』、『はげ山の一夜』、基本的にオケからの編曲かあ。けど、みんながひとつのテーマ(今回は怖い曲)でもって持ち寄った曲を弾いていくっていうの、楽しそうでいいなあって思いました。こういうの、あれば参加してみたいななんて思うほどでした。

だんつま』、面白いなあ。わりといつもどおり、基本形って感じだなあ、そう思いながら読んで、けどその基本のパターン、しっかりと展開されるだけでかなり面白い。しかも、お祭りの準備ということもあって、ひなよさんたちが大きく動く。それがために団地の奥さんたちや、星野さん、そのお隣さん、大人数が自然に動員されて、こうしたところも大変よかったです。で、一番最後の一本ですよ。ものすごくよいテンポでもって、とんとんとんとあのラストに落ちるっていうの、もう面白くて面白くて、これはうまいわ。感心しましたね、うなりましたよ。いやほんと、最高でありました。

『虹色占い師』、わー、久しぶりだ! これは嬉しい。水月さん、お元気でしたか! もう、これは嬉しいなあ。もしこれに反響あったりしたら、復活とかあったりなんかしますか!? そうしたら、第1話から単行本になったりしますか? ああ、もういろいろ期待しちゃいますね。

さて、久々の『虹色占い師』、キャラクターの説明、状況の説明、そうした感じの進行でしたが、充分に面白いと思ってしまうのは、なにか私にバイアスあってのことでしょうか。以前連載されていた頃は、台詞、状況もろもろが、パズルみたいにきっちり嵌め込まれた、みたいな印象があったものですが、今回は結構ゆったり目の展開で、だから今こそ復活の時なのではないか。ええ、面白かったからこそ、そんなこと期待しちゃうんですね。いや、本当に、願わくばまた読みたい。だって、以前終わった時には残念に思い、まとめて読みたい、続きを読みたいと思ったものですから。その気持ちは今もまったくといっていいほどに変わっちゃいませんでした。

『少女カフェ』、プールの話です。どうでもいいけど、眼鏡のお母さん、可愛いなあ。いいたい放題、元気な子供たち、葉月さんになんてこというんだ! けど、あの驚いた顔? すごく魅力的、目が描かれてないけど。でもって、その少年たちも双子ふたりにはすっかり手玉にとられています。その力関係、実によいなと思ったですよ。

でも、今回のメインはそこではない。物思う葉月さん。その理由。切ないな。昔の話、友人マチコのこと。鬼であったというけれど、すごく親しくしていた友人であったことが伝わってくるエピソード。そして満面の笑顔。思い出が美しくあるほどに悲しみは深まるのかも。切なくて、悲しいな。この漫画は、子供たちが元気で明るくて、それがすごく楽しくて、けれどそうした喜びにほのかにまじってくる切なさがある。そうしたものを、フレイバーだテイストだと、演出のための要素みたいにいうのはいやだから、そうはいいたくない。でも、こういういいかたなら、ありかと思う。人は、悲しみやつらさを抱えて、時にそれを思い出しては切なく思うものだから、今現在、我が身のそばに感じる仕合せ、その瞬間瞬間を、ことさらに愛おしむのだと思います。そして、その仕合せこそが、切なさややりきれなさをなぐさめてくれる、立ち止まりそうになる気持ちにそっと手をさしのべ、背を押してくれるのだと思う。ええ、あのお父さんにしても、葉月さんにしても、そうなのだろう。ああ、この漫画は仕合せこそを描いているのだ。そのようなこと思ったのでした。

  • 『まんがタイムラブリー』第17巻第8号(2010年8月号)

2010年7月12日月曜日

わたしたちは皆おっぱい

 『わたしたちは皆おっぱい』、この漫画が始まった時のこと、今も思い出します。すごいタイトルだ! いやね、皆おっぱいでありますよ。おっぱい好きの女の子、鎌上貴子の友情をめぐる物語。その友情のくだりはよいのだけれど、おっぱいおっぱいって、ふかふかのぷるぷるのって、なんか読んでて恥ずかしいのですが。でもって、こうして感想書こうという時に、どうしてもおっぱいに触れないわけにはいかない、ってこう書くと触っちゃってるみたいだな。ええと、記載しないわけにはいかない。まいったなあ、どうにかならんかなあ、なんて思ってたんですね。

でも、慣れました。ええ、ノープロブレムです。Blogで話題にできるのはもちろんのこと、書店でも買えるし、帰りの電車で読んだりもできちゃう。そして久々に触れた第1話、はじめて読んだ時とちょっと印象が違ってましたね。はじめて読んだ時は、オワター、とか、そういう表現に多少の違和感を感じたものでしたけれど、今やなんの違和感もなく、オワタもヘブン状態も普通に受け入れてしまっていて、そして印象が違ったといえばもうひとつ、ああ、確かに最初は貴子の不安が強く押し出されていたっけな。どうにかして仲良くなりたいという気持ちと、けれど自分の嗜好が知られたらきっと嫌われてしまう、そうした怖れがせめぎあっていて、マイノリティの悲しさとでもいいましょうか、切ないなあなんて共感覚えたりしたのですね。

そして、貴子の嗜好が知られてしまってからのこと。一度はもう駄目になったんだって諦めて、けれど二度目は諦めるなんてできないと、不安におののきながらも一歩を踏み出して、ええ、だんだんに強く、しっかりとしていっているんですね。友達を欲する気持ち、友達を大切に思う気持ち、自分の気持ちに蓋をしてごまかして、なかったことにしてしまうんじゃなくて、自分自身に向き合い、主張すべきは主張しようと決意する強さを身につけていくんですね。しかも、最初は自分のことで精一杯だったのが、いつしか苦境に立たされた友達をかばって、矢面に立つまでになる。貴子、不安や弱気を乗り越えて前へ前へと進む姿がかっこいいよ。

この漫画のいいところは、かばんに生卵など酷い仕打ちがあったり、クラスの女子を二分するほどの対立が描かれたり、陰湿あるいは生々しいと感じさせられるほどの感情がぶつけられたりする、そんな側面があるというのに、けれど悪者はいないんです。それこそ、劇の回などは、ざまあ見ろ、思い知ったか、それでも終われた話なんです。けど、そうはしない。瑠海音を困らせたあの子らにも気持ちがあって、心があって、思いがあるんだって、それをちゃんと描いて掬い上げてくれるんですね。貴子が、ただ相手を敵と見て、蹴散らすだけの子じゃなくてよかった。そして、貴子がそうした役割りを担うのは、ずっとマイノリティの寂しさを舐め続けてきた、日陰に追いやられることのつらさを知ってる子であったからなのではないか。そう思えて、だからなおさら皆に優しくあれる貴子はいい子であるなあ、なんて思ってしまうのですね。

タイトルにおっぱい、劇中でも貴子がおっぱいおっぱいいってる、変態的なテイスト盛り込まれた漫画であります。けれど、この貴子の変態的であるということが、彼女の強さや優しさの源泉となっている。一種ばかばかしいとさえ思える、そんなテイストが、シリアスで情感深い要素としっかり結びあわされて引き合っている。そうしたところにも私はひきつけられています。

ところで、以前愛咲ルミネって♥$☆に関係あるのかしら、なんていってたけど、あるんだ! そこから発想されてたんだ! 申し訳ないのだけれど、児童公園でリサイタル催すルミネを想像して、笑わずにはおられませんでした。

あ、『コミックエール!』に掲載された短編『海と泡沫』も収録されています。懐かしいなと思い出して、こうした雰囲気好きでした。『皆おっぱい』が2巻3巻と続けば、『苺バーレスク』や『夏のかげろう』も収録されるのかしら。されるといいなあ、期待してしまいます。

  • 東風実花『わたしたちは皆おっぱい』第1巻 (まんがタイムKRコミックス フォワードシリーズ) 東京:芳文社,2010年。
  • 以下続刊

2010年7月11日日曜日

Etymotic Research カナル型イヤホン ER-6

 今使ってるインナーイヤーヘッドホン、audio-technicaのATH-CK52のケーブルが断線しそうだったので、そろそろ買い替え時期かいなあ、そう思い、さてなにを買ったものか、おすすめないですかと問うてみたら、返ってきたのがEtymotic ResearchのER-6でした。これ、私の提示した希望、高域から低域までフラットで素直な特性、聴く音楽はクラシック、ロック、ポップスなんでもありで、クラシックを重視したいという、それにまさにジャストじゃないかという話。しかし、予算を大きく超えるなあ、とは思ったものの、せっかくなので買ってみるか。なんだか妙に安くなっているし。というわけで注文、そして本日ER-6が到着いたしました。

さて、せっかく到着したということで、試してみましたよ。視聴に使ったのは以下の5曲。

曲名演奏者アルバムタイトル
Far East BounceSpanish ConnectionSpanish Connection
Melancolia De La EuropeSpanish ConnectionSpanish Connection
AngryMatchbox TwentyMad Season
Rhapsodie Espagnole - Prélude à la nuit: Très modéréClaudio Abbado; London Symphony OrchestraRavel - Orchestral Works
Toccata and Fugue in D minor, BWV565 - 1. ToccataMarie-Claire AlainBach Organ Masterpieces

スパニッシュ・コネクションは、ヴァイオリン、フラメンコギター、タブラのトリオで、ギターのきれのよさ、タブラの細かい音型などがどう出るか。Matchbox Twentyは、からっとしたロックらしいロックのサンプルとして、そしてあとはオーケストラとパイプオルガン。低音がどれだけ鳴るか、確認するならパイプオルガンがうってつけだろうという判断です。

で、試してみての感想だけど、やっぱり新しいだけあって、まだちょっと音が硬めです。ですが、以前ATH-CK52で感じたような、耳に痛い感じまではいきません。響きはクリア。三年使ってきたATH-CK52、これを聴くと最初に感じた中音が全然抜けてこないという印象、これは今なお変わらずそのままで、ER-6はというとそれとは明確に違っているなと思える音の出でした。高音は伸びてぱっと空間が広がる。そんな印象です。

また、普段使っているヘッドホン、SansuiのSS2とも比べたのですが、SS2、かなり古いヘッドホンなんですけど、これ、結構優秀なのかも知れないなと思いました。エイジングなんてとうにすんでるヘッドホンです。こちらの方が音がやわらかい。低音に関しては、エイジングがすむまで出にくいといわれているER-6の方が出ているように思われたのだけど、それはMatchbox Twentyでの感想。実際、低音域での動き、ニュアンスはSS2の方がよく表現していて、だからこれはエイジングを待つのがよいのだろうなという感想です。

低音に関しては、装着の仕方に慣れたらそれだけで変わるかも。装着感は左がぴったり、右がちょっと緩い感じで、これを一発でぴたりとはめられるようになったらいいんだけどな。あと気になるのは、ぱっと見ただけで左右の特定ができない形状、どっちかに印つけようかなと思っています。また、イヤホン本体がなんだかベタベタしてる素材でできてて、これすごく汚れそうな気がします。また、持ち運び用のポーチがついてきたのですが、はたしてこれを使うかどうか。多分使わないんじゃないかな、などと思っています。

これから使っていって、今はまだ硬めの音がどう変わっていくか。クリアさを残したまま、また音の立ちあがりのよさを維持したまま、角がとれてくれるとよいなと思っています。

2010年7月10日土曜日

『まんがタイムきらら』2010年8月号

『まんがタイムきらら』2010年8月号、昨日の続きです。

『≒ — ニア・イコール』、これまでは鏡の向こうの世界、翔の周辺がメインに描かれてきたけれど、今回は椿姫の周辺が描かれることとなって、しかしこれは思いもしない展開となりました。私はてっきりこの人は、周囲に馴染めず、それこそひきこもるように、身を潜めて暮らしているのだと思っていたのだけれど、とんでもない。すごくできた子じゃないか。でも、これは非常にまずい頑張り方。生徒会では頼りにされ、部活においても活躍して、けれどそうした虚像を築くことで、本当の自分を隠しているっていうね。これ、決めつけるのはなんだけれど、子供の頃、ただただ愛されたという、そんな体験が希薄なんじゃないか。できる自分、結果を出せる自分じゃないと愛されない。そういう思いを積み重ねてきた結果が、自分の駄目さ、弱さを見せられない今に繋がってるんじゃないか。

頑張ることで愛される、そうした環境で、負けることができない戦いを続けている人は、いつか能力気力体力の限界を迎えて、倒れていくってことが多いんです。すべてがそうじゃないけれど、登校拒否やスチューデント・アパシーの原因になったりする。そうなんだろうなあ、椿姫は今まさにその倒れる直前の地点に達してるんだろうなあ。私は翔の意見には賛同しないけれど、椿姫の置かれてる状況、その問題はわかる気がする。駄目な子でも、弱い子でも、失敗したり、期待に応えられなかったりしても、それでも椿姫のことが好きだよと、君の価値はそこなわれてなんかいないよ、そういってくれる相手、そして、そうと実感させてくれる誰かが必要なんだろうな、そんなこと思ったのでした。

『うさかめコンボ!』、七月といえば七夕、ということで鬼ごっこですよ。って、なんで鬼ごっこ? いや、楽しいからいいのだけど。というわけで、生徒会メンバーと全生徒の壮大な鬼ごっことあいなるのですが、このダイナミックな鬼ごっこ状況、めちゃくちゃ面白いです。これは、前作『こどもすまいる!』では描けないタイプの大騒ぎでありますね。登場人が高校生、ひとりひとりを思いっきり動かせるからこそのダイナミズム。追い詰める、狙撃する、そして必殺技。無茶なんだけれどもさ、その無茶を無茶として楽しませてくれるだけの勢いがあるから、読んでいて気持ちよくって、これはいいよ、すごくいいよと思えるのです。しかし酷い目にあっているさっちん。この人、なんだか好きですよ。すっかりお気に入りです。

三者三葉』、扉絵見て最終回かと思って、おののきました。いつもキュートな双葉、しかし今回はいつも以上に可愛くて、って、どうした中身が変わってしまったか!? いや、桜に批判されたのか。しかし、女の子ぶる双葉、あの小鳥さんのお喋りのコマなんて、もう禍々しくて最高で、女子力なんのといいながら、そうした風潮にうんうんうなずいて受け入れたりしてない、クールな視線みたいなものが感じられて、いやもうしびれました。こうしたものの裏側の、演技というか演出というかの曝露? このスタンス。わりきっちゃって開き直っちゃった、そうした印象がひしひし感じられて最高です。しかして、女子力ゼロの双葉、これが一番可愛く魅力的でございますな!

『アイオーンコード』、超能力学園ものでありますが、その各人の能力、うまく使って話に絡めているなと感心して読みました。過去を見る能力、予知能力、強運。どれも無駄遣いされてるような感じがするんですが、とりわけヒロインの能力、過去見の魔眼アイオーンが役にたってない。いや、便利なんだけれど、けどすごくちんまい使われ方しかしてないのね。名前とかさ、ものすごく大げさなのがついてるのに、そんなしょうもない用途に! 落差に笑ってしまうんですね。さて、今回は先生の能力が明らかになったわけですが、金の斧銀の斧ライアーライアー、人の嘘を見抜くんだそうですが、地味でがっかりしてるとかいってるんだけど、これ、地味ながらも強力ですよ。相手の本音を見抜くことができる。ものすごく交渉有利じゃないか。などと思って、いや実際、これ過去見よりずっと強力なんじゃないのかと思ったりしたんですね。

ところでどうでもいいんだけど、この大げさな能力名、実はちょっと恥ずかしいです。その恥ずかしさも味のうち、って感じではありますけどね。

最後に一言だけ。『うぃずりず』、爺さんが死んでしまいそうで、怖いです!

  • 『まんがタイムきらら』第8巻第8号(2010年8月号)

2010年7月9日金曜日

『まんがタイムきらら』2010年8月号

『まんがタイムきらら』2010年8月号、発売です。表紙は、これは、海辺なのかな? 砂地に指で書いたと思しい文字や絵、もろもろあって、そして横になっている唯と律が下からこちらを見ているといった構図です。こうして表紙を見れば、やっぱりアニメとは違うな、そんな風に思えて、そしてこの違いが面白いと思います。

けいおん!』、驚きました、ついに受験当日ですよ。理由もなく、なんとなくなんですが、もっとずっと先のことだと思っていたから、ほんと、意外でありました。本編見れば、皆から愛されているお姉ちゃん、まあ心配されてるのだろうなあと、でもってそれだけ愛されてるのだろうなと、そう思わせるだけのものはありました。特筆すべきは、平沢家両親初登場、紬まで梓に抱き付く、そして、紬のわかりにくい冗談でしょう。けどこの冗談、紬は自分の持てる力というものをしっかり理解している、そんな気にもさせてくれて、いいですね、このアニメにはないお嬢様のしたたかなところ。こういう味わい、結構好きなのであります。

で、全員うかるのかな? やっぱりお嬢様がなんとかしてくださるのでしょうか?

ふおんコネクト!』、最終回でした。メインキャラクター、皆が卒業して、次の年度が始まって、新しいクラスとその担任夕の状況描かれます。最終話だというのに、なかなかに個性的なキャラクター出てくるところ、それこそこのまま展開させていけそうと思ってしまうくらい。実に贅沢な一回こっきりでありますよ。そして、夕が新しいクラスに馴染もう、いろいろ頑張るそこに、これまでのキャラクターのその後がちらほら垣間見えるのでありますね。ひとつの時代、彼女らの生徒であった時間は過ぎてしまったけれど、こうしてまだ終わらない関係が続いているという、その描かれ方、たいへんよかったと思えるものでありました。

『キミにカケル!』、ゲストです。漫画をきっかけに話すことになったクラスメイト、ふたりが漫研に入ろうという漫画。ヒロインは榎本カケルと黒澄つぐみ、第1回ではつぐみの方が状況を主導していましたけど、タイトルからしたらカケルがメインになっていくのかな? 残念ながらあんまり絵がうまい方ではないカケル。けど、すごく楽しそうに絵を描く、そんなお嬢さん。少しクールなつぐみと出会って、そして漫画に取り組んでいきましょう、その関係を作りあげていこうとするところ、その展開は丁寧でよかったなと思うのですね。そして漫研。八百板幸、吾妻凜という先輩とともにどんな部活をしていこうというのか、それは実にこれからであります。

ところで、絵の本描ける、がヒロインの名前の由来だと思う。黒澄は黒墨なんだと思う。じゃあ、先輩はヤオイと、ええと、あづまってなんだろう……。いえ、ただ気になったってだけです。

メロ3』、最終回でした。ポン太が引っ越してしまう……? それがきっかけになって、女子三人の仲が悪くなってしまった。そんな状況を受け入れられない木ノ子が振り返る、ころな、スズメとの出会いの時。失いたくない友達であること意識させられて、そして話は大団円へと向かうのですが、この最後の劇的状況を作り出した発端がただの勘違いと判明して、まったくのもとの黙阿弥。でも、このことをきっかけに、よりいっそう三人は仲良くなって、そしてずっともっとポン太のこと好きになって、ええ、ポン太の何気ない一言、それが実に効いていたと思います。面白かった。好きな漫画、というか好きな作家ですよね、終わっちゃったのは本当に残念です。

My Private D☆V、鈴城芹であります。きっとこれがくるだろう、予測していたわけですが、おおう、それ第二の要素でありますか! 第一におでこがくる。第二に眼鏡、そしてワンピース。それがセットで成立するのか! でも実際こうやって例示されると、そのとおりであったなと納得させられるものありまして、でも自分は眼鏡にしか着目していなかった……。駄目なやつであります。しかし、この三点セットのお嬢さん、数名が描かれているのですが、それぞれ個性を違えて、そしてみなが魅力的。ああ、確かにこれらは素晴しいものであるのだな、実感させられるのでありました。

  • 『まんがタイムきらら』第8巻第8号(2010年8月号)

2010年7月8日木曜日

ふたご最前線

 ふたご最前線』、終わってしまいましたね。辻灯子は好きな作家。この人は、そんなに長く連載を引っ張るタイプの人ではない、そんな印象があるのですが、それでもなぜか『ふたご最前線』だけは別だと思っていたんですね。幼稚園に通っていた南帆と北斗が、普通に小学生にあがって、低学年から中学年、高学年へと進級、そしてついには中学に入って、高校、あるいは大学までいったりする? いや、そこまで思ったことはさすがにありませんが、けど、ずっとふたりの成長を見守っていけるのかなあ、って漠然とながら思ってた。だから、終わると聞いたあの時、すごく寂しくなって、ああお別れかと、しんみりしてしまったのでした。

第6巻では、南帆と北斗、ついに幼稚園を卒園して、小学生になりました。ただでさえませた子らが大きくなって、知恵も体力もつけて、ほんと小学生ともなれば抑えがきかないなあと、最近うちに出入りしている幼稚園児の数年後を思って、げんなりしました。いえね、南帆、北斗が幼稚園児だったころには、こんな風に具体的にというか、リアリティもって、子供のこと思ったりしなかった。それが時間を経て、子供を身近に知ることとなって、そうなれば南帆、北斗に対してもまた違った見方するようにもなって、こうした読む側、自分自身の変化も含めて楽しく読めた漫画であったなあって思います。

そして、それは描き手にとっても同じだったのかなって思ったりしたのです。後書きによれば、『ふたご最前線』はデビュー作なのでしょうか、S-1グランプリという勝ち抜き式の企画? で4ページを勝ち取り勝ち取り続けてきて、ついに十年というその息の長さ。十年ですよ。五年かければ人は顔立ちも変わるといいます。ましてや十年。思うことも変われば、環境だって変わってしまう。その変化をうけて、かつては思わなかったことや気付かなかったこと、それらが盛り込まれるようになっていったろうと思っているのです。

読む私が変わり、そして作者も変わっていき、そうした変化を、子供たちの成長を通じて感じとり、楽しんでいくことのできる漫画であったと思っています。そして、この先も変わっていくだろうということを、子供たちの変化によって知っていけたらさぞ仕合せだろう、そう思っていたのでした。

けど、第6巻、最終巻。いつもどおりに見えて、最後、子供たちの変化、自意識の変わっていくところ描かれて、ああ、こうして子供たちはだんだんに子供から大人になっていくのだろう、その一歩とでもいいますかね、なんだか感慨深かったんです。まだ小さな子供たち、まだしっかりしてるとはいえない両親。皆が人生の途上、変化しながら歩んでいる。その歩みは、ささやかで素朴で、けれど私だって歩む身です、まるで一緒に旅するようで、ゆえに愛おしく思えた。ええ、ふたごが、両親が、あのおばあさんが、友人たちが、従姉妹もその両親も、皆が愛おしかった。それは、この漫画に描かれる世界そのもの、すべてを愛おしく感じていた、そういいかえても間違いではありません。

最後の最後に、南帆と北斗、それから両親のその後が垣間見られたこと、すごく嬉しかったです。ああ、大きくなったねと、久しぶりに会った子供たちの変わりよう、すごく嬉しくなりました。いつまでも、元気でいてね、そんな気持ちになりました。

  • 辻灯子『ふたご最前線』第1巻 (まんがタイムコミックス) 東京:芳文社,2003年。
  • 辻灯子『ふたご最前線』第2巻 (まんがタイムコミックス) 東京:芳文社,2004年。
  • 辻灯子『ふたご最前線』第3巻 (まんがタイムコミックス) 東京:芳文社,2005年。
  • 辻灯子『ふたご最前線』第4巻 (まんがタイムコミックス) 東京:芳文社,2007年。
  • 辻灯子『ふたご最前線』第5巻 (まんがタイムコミックス) 東京:芳文社,2008年。
  • 辻灯子『ふたご最前線』第6巻 (まんがタイムコミックス) 東京:芳文社,2010年。

2010年7月7日水曜日

『まんがタイム』2010年8月号

本日は七夕、『まんがタイム』2010年8月号の発売日でもあります。表紙は『おとぼけ課長』を中心に、夏の食事でありましょうか、焼きイカ、焼きそば、トウモロコシにビール、かき氷もあって、冷たいものがビールとかき氷だけというのが意外でありました。屋台の食事。夏に出歩くことのなくなった昨今、なかなかに口にする機会がありません。

『おしかけシスター』、ゲストです。アキタコウという人。でも、この絵には見覚えがあるぞ。なんだろう、どこで見たろうか。このパーマの具合、そして目の表現、すごく覚えがある。調べてわかりました。『あいらぶ日和』の人か! いい漫画です。好きでしたよ。

さて、『おしかけシスター』。なんか、ぐうたらなお姉ちゃんが、弟を頼って田舎からやってきた。しかも、おしかけというだけあって、引っ越してくるっていうね。とにかく弟大好きといったお姉ちゃんで、見た目に可愛く、行動表情その他もろもろも可愛く、そしてただ弟ラブラブってわけじゃない。弟の好みを見抜き、あわよくば結び付けようとしてくれている? 大きなお世話に思える。けれど、それがなんだか肉親の情みたいなものを内包していて、面白い、あるいはぬくぬくと安心できるような、やすらぎめいた感情を得るのでした。久しぶりに読んで、やっぱりいい作家だなあって思います。

『ほのかのほ』、かがみふみをの新連載です。内気な女の子、薄羽ほのか。この子が、唯一の友人あかりの他に友達を、それも男の子の友達を作っていく、ってそんな感じであるのでしょうか。ほのかの個性、これ、まさにかがみふみをらしいと思わせてくれるものでありまして、かがみふみをファンならがつんとくるんじゃないかなあ。ええ、私は好きです。

『ウルトラ金ちゃん』、最終回でした。この漫画は、なんか見てるだけでほっとして、安らぐようで、子供たちの可愛さもありますが、最後の最後の「ありがとう」がそうであるように、子供たちとともにある自分を振り返り、そして思ったことが語られる、そうした言葉の胸にしみるところ、それがよかったのでした。当たり前と思って、それをいい加減にするんじゃなくて、その当たり前こそが貴重で素晴しい瞬間の連続なんだよと、そう語りかけてくれるような、ともすれば忘れがちのことを思い出させてくれる、ええ、こうしたところが好きだったのでした。新作は、実話系に移って続くみたいですね。でも、『ウルトラ金ちゃん』はこれにて終わり。おつかれさまでした。こうして読めて、いろいろと思うことがあったこと、とてもよかったと思っています。

  • 『まんがタイム』第30巻第8号(2010年8月号)

2010年7月6日火曜日

つるた部長はいつも寝不足

 先日、書店の新刊コーナーに棚差しされていた、その背表紙にぐっと引き付けられまして、手にしてみたのでした。『つるた部長はいつも寝不足』。絵の具に汚れた、セーラー服のお嬢さん。この人がヒロインの鶴田さんなんですが、どうもいつも寝不足らしい。なんでか? そのヒントは帯にありまして、えっちんぐ!? いんぐ!? 進行形!? えっち進行形!!? もう、いったいなにをおっしゃってますか!? 表紙に見える、儚げな美少女像はページをめくるまでもなくガラガラと崩壊して、そして私は、ひとしきり考えた末にこの本を読もうと決めたのでした。

しかし、鶴田部長、美術部部長であるのですが、この人、決して絵がうまいわけでなく、なんとなく漫然と部活を続けている。そんな風にも感じられる人であります。しかし特筆すべき点があるのですね。非常に想像力が豊かなんです。しかも、なにをどうこじらせたものか、エロ方面いっぱいに偏っているっていうのですから強烈です。ちょっとしたきっかけで、膨らんだ妄想が頭をいっぱいにしてしまう。いやいやまずは落ち着こうよ、だから人の話をよく聞こうよ、私はそうやってつっこみながらも、鶴田さんの妄想内でエスカレートしていく事態に苦笑しないではおられない。これは面白いわ。なかなかに気にいったのですが、なにがいいといいましても、この鶴田さんの妄想っていうのが、あんた男子か! といいたくなるような類のもので、でも女子でもこういう妄想したりするのかなあ。作者は男性、私も男性、そのあたりの現実味はわかりませんが、かつて男子だった私としては、鶴田さんの妄想エンジン、そのかかりのよさには、にやりと笑って、なかなかと納得させられてしまうものがあるのでした。

しかし、鶴田さん、あんまりものを知らない。ために誤解してしまう。それが冒頭のエッチングであったりするわけですが、確かにエッチングでエッチのうんぬんっていうのは思いました。ただ私がエッチングを知ったのは、まだ性交渉をエッチと表現しなかった時代だったから、鶴田さんのようには考えなかった。でも、もし私が今の時代に鶴田さんと同じ年代を過ごしていたら、うん、きっと同じこと思ったろうと思います。でもさ、そこでその妄想にロックされちゃって視野狭窄おこしちゃうのが鶴田さんなんです。他の可能性に対し、目をつむってしまう。もう、エッチ進行形しか頭にない。鶴田さんの妄想エンジンは唸りをあげ、かくして彼女は悶々と夜も眠れず、保健室にて相談しては先生にまで誤解を振り撒き、そして美術室にて知らされる現実にうちのめされる。深く恥じ入り、自己嫌悪することとなるのでありますね。

この漫画は、そうした鶴田さんの妄想全開ぶりがいい仕掛けになっていて、楽しいは、面白いは、笑わないではおられないは、実によく引き込んでくれるのですが、しかし気になる男子、瀬戸くんに刺激されて、美術に対する意欲や楽しさを知っていく、こうした側面もあるから、ただ笑っちゃうだけの漫画じゃないんですね。瀬戸くんには瀬戸くんのドラマもあるようですし、また鶴田さんにも鶴田さんのドラマがある。ただ妄想してるだけじゃないのよ。なにかに打ち込んで、恋にどきどきして、そして自分自身を知り一歩一歩踏み出していこうとする、そんな時代の光景がまぶしいなって思える、まさに青春の漫画であるのですね。この多面的であること。実にいいなと思った。笑えて、そしてまぶしさに目を細めて、胸がいっぱいになる。魅力的な青春のスケッチである — 、なんて思える一冊でした。

  • 須河篤志『つるた部長はいつも寝不足』第1巻 (MFコミックス フラッパーシリーズ) 東京:メディアファクトリー,2010年。
  • 以下続刊

引用

2010年7月5日月曜日

『まんがタウン』2010年8月号

『まんがタウン』2010年8月号、発売です。表紙は『かりあげクン』と『はいぱー少女ウッキー!』であります。海に潜る、そんな様子。けどただ潜るだけじゃなくて、宝箱引きあてちゃったりして、でもってその周囲に集まる魚、涼しげな表紙であります。

『偽装男子』、東屋めめ、ゲストです。はやりの女装男子ものといいましょうか。実は、こういうネタこそこの人の本領発揮だと思っているんです。だから期待して、けどまだ全開って感じじゃない。ゲスト初回は、男の子をひとり変態にしてしまった、そこで留まってるって感じ。でも、続いて調子が上がってきたらわからないぞ、と期待してもいいのかもと思える、そんな話であります。もうほんと、やりすぎなくらいにやっちゃっていただきたいです。

『RIRIKA☆ビューティフル』、おお、進展しました。この漫画は、あんなに格好いい凛々花さんが、佐々木さんの前ではあんなに奥手になっちゃって、という、そのパターンを引っ張り続けると思っていたものでしたから、なかなかに意外で、けどあのまっすぐな佐々木さんの言葉と、それを躊躇なく受けて応える凛々花さんの関係、ああやっぱり素敵な人じゃないかと思ったんですね。ふたりの真面目なところ、素朴そうなところ、善良そのものといったところ、すごくいいなと思っているのでした。で、これからのふたり、いったいどうなるんでしょうね。

『サチエでGO!』、ゲスト? です。一癖ある主婦ロボットと彼女が引き起こす騒動。どたばたのギャグといった感じですが、このいちいち対処がめんどいサチエさん、このキャラクターになじんで、愛着みたいなの感じるようになったら、ぐっと面白くなったりするのかな。なんて思いました。

『みねちゃんぷるー』、これは意外といいますか、まさかそこまでいっちゃうとは思ってもいませんでした。だってさ、友達としての雅がガミガミに取られちゃう! だと思ってたんです。実際、雅もそう思ってた。でも、峰はさらに一歩踏み込んで、というか突っ切って、なるほど、そういう展開にくるのか。この勢い、見事で、とても面白かったです。でも、話は簡単にぽんぽん進まない。最後に峰を引き止めようとする雅の発言。実際そのとおりなのだろうな、そう思う。そして、この発言、指摘がどのように受け止められて、今回のどうこうを決着させるのか、それがすごく気になります。

ところで、峰から好意をぶつけられて戸惑う雅の可愛いこと。やっぱり、この人は真正面からの押しに弱いっぽい、そんな風に思ったのでした。

  • 『まんがタウン』第11巻第9号(2010年8月号)

2010年7月4日日曜日

『まんがタイムジャンボ』2010年8月号

『まんがタイムジャンボ』2010年8月号、昨日の続きです。

『あまぞねす?』、やっぱりこれ大好きです。先月受注したピースラビット社のカードゲーム、今もなお社内で流行していて、しかもエスカレートしているというところ。打ち合わせにくる先方待ち受けて、勝負挑んじゃうところ。もう最高。きょとんとする小山さん。その上、自分の部下さえも! でもね、思うのですが、こうして自社の商品を楽しんで遊んでくれているというところ、また部下にしても、自分たちの売ってるものを心の底からいいものと思っているところ、理想的だよなって思うのですね。だって、よくないと思ってる商品を売らなければならない、さもよさそうに紹介しなければならないって、なんだかいやーじゃないですか。だから、この案件はいい方向に進んじゃったりするんじゃないかな、なんて思うのですね。しかし、こうして楽しく仕事、してないけど、できるっていうのは、いい職場だなあって思います。

Boy’sたいむ』、最終回であります。変装をやめたので、男ひろむから眼鏡はずした格好になってるのだけど、衣装が違うからか、ちゃんと女の子に見えますね。でもって、和解とでもいったらいいのでしょうか。作ってしまっていた距離を、氷解させた。寮長がいいこといいましたよ。でもって、男ひろむ女の子風味で再登場して、そして置島、やったじゃないか! けど、一度取り戻した自信をすぐさま失ったみたいだけど、むしろそうやって格好悪いところも知られてる相手の方が、あとあとのこと考えると、きっといいと思うのさ。誠実さで勝負したまえよ。あの、まだひろむが女と知られてなかった頃に、身を挺してでも守ろうとした、あの気構えで頑張りたまえよと、なんだか最終回になってもまだ置島を応援してしまう私であります。

単行本に描き下ろし分が追加されたりするのかな? だったら嬉しいなあ。って、どうも私は別れを惜しんでいるようです。ええ、楽しかったですからね。いいラストながらも、ちょっと寂しい気持ちはいなめません。

『さくらいろスナップ!』、モノクロで暗室作業も自分でやってみようなど、意外と本格的な方向に進むのかな? 今はまだ撮ることに躊躇する、そんなヒロインですが、いずれしっかりと撮っていける、そんな風になるんでしょうか。写真ノウハウを紹介みたいにはならないみたいですけど、楽しく写真に取り組んでいく、そんな雰囲気が感じとれるように思うから、このままふくらんでいけばいいなと思っています。

  • 『まんがタイムジャンボ』第16巻第8号(2010年8月号)

2010年7月3日土曜日

『まんがタイムジャンボ』2010年8月号

『まんがタイムジャンボ』2010年8月号、発売されました。表紙は『じょしもん』がメイン、すいかを食べる美々であります。今月号表紙は夏の冷たいお菓子であるようで、『おねがい朝倉さん』、『秘書メロ♪』、『天使な小悪魔』、そして『ひめとりものがたり』、氷菓、氷菓、氷菓。涼を感じさせてくれるアイテムでありますね。

『パドラーズハイ』、柱にいわく、ラフティングの世界大会があるらしいですね。7月13日から18日にオランダでやるらしく、でそれはいいんだけど、日本からは試合の状況見たりできるものなのかなあ。いえね、この漫画読んで、ラフティングというスポーツに興味が出ているみたいですよ。

さて今回はラフティングを外れて、試験勉強であります。途中、劇中の経過時間がまだ一ヶ月少しと言明されて、わおそうだったのか。これまで振り返ってみれば、確かにそれくらいかなって感じ。ゆったりの時間経過、展開が慌しいと感じなかった理由はこれなのでしょうね。試験勉強の現場は汐の家だったのですが、汐のお母さんがもう可愛くて、そっくりだな! でもって、娘のついぞ見たことのない表情様子を見てしまうお母さん。これは恥ずかしい。そして、勉強の取り組み方からも人となりが見えてくる。好きなことに一生懸命のゆーゆ、天才肌のあいちゃん。いいですね。違う個性がひとつのことで仲良くなっていく。魅力的と感じます。

今回、話としては結束の再確認といった風で、けど再確認のプロセスはスポーツもののそれっぽくはない。のりとしては、文化系風、いいテイストだと思います。でもって、しおっちの袖のリボン、あれ可愛いですね。いいワンポイントでした。

あおいちゃんとヤマトくん』、おお、やりますな! かえでの状況の報告、驚きの変化でありますが、他に香澄さんの妊娠など、大きな話題てんこもりにして、最後の最後、ヤマト再浮上!? と思わせて、なにーっ! これはやられました。ここで無難に落ち着けるのかあ、そう思ったものだからなおさらでした。しかし、この状況、いじわるな見方したら、ヤマトをとられそうになったら急に惜しくなった、みたいな感じでもあって、ああ、ああ、あおいさん、タイミングを失したねと、そうした感想。これは実によかったです。

『すいーとプロミス』、しびれます。一歩間違えたらストーカーかそれに近いなにかになってしまいかねないお姉ちゃんが最高で、非常にやばい。なんか、ざわざわする。そのざわざわが素晴しいんですね。光介がどこかで選択を誤ったら、血の惨劇! みたいな展開に陥りかねない姉ですけれど、きっとそうはならない渡辺志保梨の味がいいです。毎回の綾姉の畳み掛けには参りっぱなしで、あんな素敵なプロポーズとか、もう! かと思えば妹椿も素晴しく、思ってたより小さくてビックリしたよ。もう最高。素晴しかったです。

『コミカプ』、面白かったです。ういちゃんとチーちゃん、同じ雑誌で描くことになって、そして見えてくるふたりのアプローチの違い。情報を集め分析するチーちゃんと、あっぷあっぷしないよう情報を断って、自分の描けるものをただただ描いたういちゃん。こうした結果できてきたものの、出来の差。そして市場の評価。漫画としての出来はチーちゃんの方がよかった。けれど市場の評価はそのようにはならなかった。これ、面白いなあ。普通に有り得ることで、こういったことは語られてきたし、耳にもした。そして、そうなのではないかと、実感として感じてきたことでもあった。だからこそ面白かったです。しかし、チーちゃん、潔いいい男だなあ、ほれぼれしますね。

  • 『まんがタイムジャンボ』第16巻第8号(2010年8月号)

引用

  • 渡辺志保梨「すいーとプロミス」,『まんがタイムジャンボ』第16巻第8号(2010年8月号),53頁。
  • 同前,51頁。

2010年7月2日金曜日

『まんがホーム』2010年8月号

『まんがホーム』2010年8月号、発売です。表紙はもう完全に夏、『らいかデイズ』、『東京!』、『恋愛ラボ』とヒロインたちの水着が披露されて、そして『夫婦な生活』は焼きイカとかき氷だ。いいなあ、このマイペースっぷり。それでもって、『うのはな3姉妹』も右肩に、って、これは新規に描かれた絵なのかな? なんか見覚えある気がします。

恋愛ラボ』、素晴しいな。なにが素晴しいといっても、エノさんですよ。車に乗ると使いモノにならないとか可愛すぎる。二ヶ月に一回吐く程度とか、もう、キュートすぎる! しかし、ほんと、あかん子やなあ。でも、その駄目なところが魅力です。しかし、スターダストくんですよ。スターダストくんが狙ってるのはマキさんですが、でもどちらかというとスズに接近していて、でもってスズを助けるために踏み付けたダンボール箱。抗議しながら現れるナナが可愛くって、ってなんかそんなことばっかりいっていますな。

星見会、この日のために用意されたゲーム、これは楽しそうだなあ。こういうイベントあったら、参加してみたい。『ベガ』が目当てとかじゃないですよ? こういう星のイベント、次回、面白そうに描いてくれたりしたら、プラネタリウムいきを企画してしまいそうです。

『あなたなんか大嫌い』、これを見ると、いかにも今はテンプレートの時代であるなと思うわけです。舞台は女子高、ヒロインは木原もも高校一年生。彼女の友達、高峰ちきり、この子は男だ。というわけで、女装男子と美少女の、ちょっとあやしい関係が描かれるわけですが、けどこのちきりという子が、なんで女装までして、女子高に通っているのかという説明はまるでなしなんですね。男が女装して女子高に通う、女子寮に入る、あるいはその逆、そういったパターンは過去にもいろいろあったわけですが、普通は最初に、なんでそういうことになったのか、なるのかが説明されるものでしょう。ですが、この漫画はそういった説明をまったくしないのですね。すなわち、この漫画は女装美少年と美少女のいちゃいちゃ関係を描くことに注力するために、背景についての説明はテンプレートのかなたに押しやってしまった。ええ、ここに物語や劇的構造は消し去られて、中心となる人物の関係だけを浮き上がらせようというわけです。

雛型というのは、別に今の時代に特有なんてわけなくて、それこそ昔からあって、それこそいつだって便利に使われてきたわけですが、それでもかつては物語が期待されていた。ですが今は、物語よりふたりの関係、仲間、友達間の関係を描こうという、そちらの方がずっと求められてるんだろうな。あるいはキャラクターの可愛さ、それが主眼となっているのだろうな。そして、四コマというフォーマットこそ、こうしたものを表現するのに向いている。そういったことを、あらためて思ったりしたのでした。なんだか、こんなこと思うのも懐しいです。

  • 『まんがホーム』第24巻第8号(2010年8月号)

2010年7月1日木曜日

『まんがタイムきららMAX』2010年8月号

『まんがタイムきららMAX』2010年8月号、続きです。前回は6月21日。ちょっと日にちがあいてしまいました。

ぐーぱん!』、思いもしなかった展開があって、とその前に、舞台は体育祭であります。運動苦手でやさぐれる赤城さん。素敵! 基本的には未理のはずれっぷりが魅力ですが、ユーコさんや唄子の活躍など、見どころたくさんあって、そしてまさかの赤城さん、未理との和解ですよ。別にこれまで仲違いしてたわけじゃないけど、どちらかといえば酷い目にあってばっかりだった、そんな彼女がひどい目にあいながらも、念願の一位を勝ち取って、よかったなあと、そんな気分になったのでした。でも、まあ、それでもやっぱりひどい扱いなのは変わってない。ポジションは同じなんだろうなと思われるところ、ちょっと不憫です。

『SUNNY SIDE UP.』、転校生加奈子のだんだんクラスに馴染んでいこうとするように、読者にも登場人物の個性もろもろ、だんだんに伝わってくる。人となりがわかることで、愛着や親しみやすさも感じられるようになってきて、そして意外性が面白いのですね。主にメレニア、メレンゲです。ニュージーランド出身で文系得意、英語が苦手という、こういうところ面白い。英語苦手を告白した時の照れ顔、また日本史得意でダディがニンジャというところ、めちゃくちゃ可愛いじゃないか! メレニアも結構場をかきまわすタイプのお嬢さんみたいですが、朝顔ともまた違う個性が見えて、なんだかちょっとお気に入り。きっと、読むほどに好きになるのだろうと思います。

ねこにゆーり』は、前回の状況になんだかものすごく不穏な展開が待っているのではないだろうか、不安になったりしたものでしたが、いやいや、そんなことはありませんでした。むしろ前向きな展開であった、そんなところに少しほっとして、そしてゆーりのみならず、皆が自分の状況に決着をつけ、あるいは先を見て、歩き出そうとする、そんなところにじんとしました。次回グランドフィナーレ。切ないなあと思いながら、けれどこうした区切りを越えていくのが人生なのだろう、この漫画自体がそれを告げているように思えます。

表色89X系』、最終回でした。あの時から一年がたって春。昨年、留年した葵が再び留年の危機というのもお笑いですが、みんなで課題に取り組む、それがどうも珍しい美術実習の風景、ああ、そういえばそうだ、この漫画の印象って、可愛い男の子とか、鎧きた兄さんとか、そんな印象ばっかりだ。でも、最後の最後で美術の情景描いて、そして葵の最大の弱点、方向音痴をなんとかする策略なんかもあって、この一年、それが報われてると思える最終回でした。

で、報われない人がひとり。なるほど、こうして皆が同級生になるわけか! って! 最後の最後に面白いことになって、わあ、なんだかもったいないって感じです。

好きな漫画だったんですよ。お疲れ様でした。

  • 『まんがタイムきららMAX』第7巻第8号(2010年8月号)