2018年4月30日月曜日

『まんがタイムきららキャラット』2018年6月号

『まんがタイムきららキャラット』2018年6月号、一昨日の続きです。

『ネコじまにゃんだフル』。猫島に住む全員を登校させないと解雇ですよとタイムリミットとともに示された寧々子。最後のひとりとなったチワに会いにきたのだけど、いや、これ、ハードすぎやしませんか? 立て籠っている神社、その領域に踏み込むと容赦なく矢を射掛けられるんだ。おもちゃのネズミを射貫く精度だっていうの、これ、ちょっと寧々子には無理ゲーですよ。シロが手助けしてくれたんですね。というか、この神社の周囲の罠、シロは知らされていたんだ。チワにとって、シロは理解ある仲間と思われてた。けれど、裏切り者の名を受けてでも、先生をチワのもとに届けたのは、きっと、学校に通うことがチワのためになる、そう信じたからでしょうね。そして先生の大失敗。チワの振り回した薙刀、刃を素手で握っちゃった! 血が出たっていって驚いてますけど、これ、下手したら指を落としてたよ!? 先生パニック、チワもパニック。うん、チワ、本当は人を傷つける気とかないんだなあ。寧々子の誤算。けれどこの失敗、チワの狼狽あって、あるいは次の展開に繋がるのかも知れませんね。

『恋する小惑星』。新学期になりました。そうか、みら、宿題、溜め込んじゃってたんだ。ともあれ、学校に来たら、なんか宙吊りになってる怪しい子がいる。イノ先輩いわく、新聞部の伊部ちゃん。同じクラスで仲良しらしいけど……。伊部ちゃん、自称イヴなんだ。新聞部後輩にしてあおのクラスメイト、宇佐美さんによればスパイごっこ。いやさ、地学部を偵察していたとのこと。宇佐美さん、イヴ先輩のやること、賛同はしてないけど、なんか面白いからってのっかってる感じですね。これは大物かも知れん。イヴ、地学部の会報が新聞部の新聞より人気あるのが面白くないんですね。桜先輩のイヴ評、みらよりアホの子っていうの、面白い。今回、イノの活躍、実によかったですね。過激に走ろうとするイヴとは違い、地味に小さなできごとを拾い上げていくイノの活動。観察眼。これ、いろんなことに興味をもって、よくよく見ているからこそだよなあ。そうしたイノの興味、これまでずっと抑えてきた学内地図活動、このリミッターがはずされたところとかね、ほんと、とてもいい。この漫画に出てくる子たちの、趣味に、興味に後押しされて気持ち高揚させてる様子とか、ほんとに魅力的だと思うんですよ。ほんと、イノさん、輝いてました。

『ふじょ子とユリ子』。今回は海にいきます。なぜか? かめかめ最新話で亀太郎とピエールが海にいったから。チョロい! チョロいマニアだ! 岡本さん、もう名前を訂正しようとするのも諦めた感がありますね。彼女の家のプライベートビーチにお招きされたわけですが、サプライズのために現地集合とか、ここにくるまでの間、ふじょ子とユリ子、ふたりきりでいられたでしょうとか、いろいろユリ子をもてなす工夫見せてくれて、でも、あんまり実ってないのがいい感じです。基本、この漫画、ユリ子の空回りを愛でるみたいな感じありますよね。三神の資料写真、ふじょ子やユリ子の写真の使われ先が、身の程をわきまえない女モブとか、こういう黒いところもおかしくて、このなんともいえないコミュニケーション、花がないというか、でもふじょ子は嬉しそうだからいいんでしょうね。ふじょ子作のピエール像。どこか禍々しいこれが、海辺に放置されて悲しそうな描写。なんだろう、このセンス。不思議なおかしさだと思います。なんだか不憫にも思えてくるのがおかしいんですよね。

まちカドまぞく』。ミカンの呪い問題、解決に向かいそうですね。ミカンの夢に入って、呪いのもととなっている存在の説得を試みる。そのため桃は、さっそく闇堕ち薬を服用するんですが、いや、待って、そのでかい瓶いっぱい全部飲み切らんといかんの? それ、ハードすぎん? ミカンについてる呪い、ウガルルという名前で呼ばれてたんですね。メソポタミアの怪物だそうで、けれどさすがに本物ではないだろう云々、ご先祖、役にたつなあ! 夢の中で見たミカン。その周囲に渦巻く黒い霧、それが呪いなんでしょうね。すでにかたちを失っていて、そのため言葉も通じない。はたしてこれをどうするかっていう時に、シャミ子! すごいな、ずるい武器、天沼矛を作りだして、って、かたちは泡立て器! なんでもいいのか。シャミ子が、それが棒状のものだ、これが天沼矛だって認識すれば、なんでもいけるのか。ほんと、ずるい武器だわ。ともあれこれでかたちをなしたウガルル。言葉は通じるようになったけど、魔力使いはたしてシャミ子がリタイア。交渉役は桃にスライドしたわけですが、はたしてこの子で大丈夫なんだろうか。とりあえず、お菓子でもって交渉の入り口を開くことには成功して、ここからどう粘るか。なんか一筋縄ではいかない予感がしますよね。

  • 『まんがタイムきららキャラット』第14巻第6号(2018年6月号)

2018年4月29日日曜日

『まんがタイムオリジナル』2018年6月号

『まんがタイムオリジナル』2018年6月号、一昨日の続きです。

『カントリー少女は都会をめざす!?』。今回は八重とみなの出会いの頃など語られて、いや、しかし、八重がおかしいですよ。八重が親切にしてくれたっていうみなに、その時のマイブームが困ってる人に声をかけるだったという八重。そんなマイブームがあるのか……。優しい都会人代表に見えるよう、イメトレしてたんだ……。変わらんのだな、八重ちゃん。そうか、さらに田舎から引っ越してきたみなにとっては、こちらの子たちがキラキラして見えたんだ。八重なんかも、まさにキラキラで、すっかり腰が引けてるみなのこと、八重がひっぱってくれたんですね。というか、毎時間、休みごとか! 八重の都会シミュレーションの洗礼受けて混乱してるみながおかしかったですよ。ティッシュ配る人って! でもって木村さんの犬。コタロー。おかしいなあ。ほんと、あんまりにおかしくて、みなちゃん、混乱しながらも、悩みもろもろふっとんでるよね。ほんと、変わった子たちです。でも、それでもすごくいい子たち。なんだろう。いい仲間なんだよなあ。

『スズちゃんでしょ!』。職場の奥様からのあたりがキツいことに悩んでいるスズちゃん。突然どうしたのだろう。特段なにか変わったわけでもないのに。そう思ってたら、おおう、外部要因か。若社長がなにかと心配してくれてた。それが奥様に知られて、結果あたりが強くなってたっていうのか。これ、難儀だなあ。放っておいてくれた方がスズちゃんにとってはいいのかな? あるいは気にかけてもらってた方がいい? とはいえ、独居老人への気遣いレベルらしいんですが、この、色気があるのかないのかわからん話のまわし方。独特というか、この作者っぽいというか、いい塩梅でありますよ。

『ウチが古武道宗家』。なんか好きなんですよ、この漫画。もうタイトルがすべてを物語っている。ウチが古武道宗家。父の教えが身について、なにかあればすぐさま武道の構えが出てしまう。そんな薫の様子がおかしくって、いや、でも、ほんと、大好き。飛来したボールに反応して、暁天!! 技を発動、回避してみたりね、いいじゃん、役にたってるんじゃん! 今回は棒術に挑戦です。いや、父にほぼ無理矢理やらされるんですけど、ほんと、なんだろうな、この流派。キメの構えがかっこわるい。でも薫、ついつい体が反応してって、おかしいわ。父のいう、戦国の時代云々という説明に、計算があわないと厳しくつっこむ薫が素敵です。父が突然棒術やりはじめたの、天井裏にネズミが出るようになったからなのか! オヤジ、ネズミが怖いんだ! でもって、薫の大奮闘。この開きなおったところ、最高でしたよ。

『ゆとりの町長』。選挙戦も最終盤。選挙運動最終日になったというのですが、この日はゆとりの誕生日。ついに25歳になって、これで被選挙権を獲得です。ここからのゆとりですよ。最後の演説で語りかけたこと。それがもうね、感動的といっていいと思う。誰に入れてもいいから、とにかく投票にいってほしいと訴えて、さらには町役場の広報車に乗り込んでまで、皆に投票をうったえる。これ、ゆとりには不利になるんだぜ? 現職派の今野からしたら、むしろゆとりの行動が自分たちを利するわけで、でもこうやって思ったことに真っ直ぐに進むゆとりの姿勢、すごく輝いてた。選挙の結果がどうなったか、それは次回になるまでわからないのだけど、もしかしたらゆとりにも可能性が!? そう思わせる要素も見せてくれての次回に続く。どう転ぶかはわからないけれど、最後の一連のナレーション、ト書き、あれは本当に感動的でありました。

『部屋にマッチョの霊がいます』。これももう感動的でしたよ。明後日から働いてる書店でイベントがはじまる。そんな時期に木葉はいろいろ抱えていて、涼さんのことが心配で、さらには同居してるマッチョ霊も姿が見えない、声だけになってるしでと、こうしたところに、ああ、あの迷惑客、諦めてなかったのか! アッコが安心できるくらい強くなることを思っていた木葉なのに、男に部屋に押し入られるとなると、恐怖のあまり声も出ない! うわ、うわ、やばいよ、これ、めっちゃ怖いよ。木葉、大丈夫なの!? どうかなったら許さないからね。そう思って、ハラハラのしどおし。どうやってこの状況を脱するのかって時に、アッコの精一杯のサポート。これにもうやられちゃって。そこからの木葉の堰を切ったように動きだす、その様! これまでの、アッコと一緒にやってきたこと、励まされて、教えられて、頑張ってきたことが、ここにこうして結実して、ああ、ピンチを脱しましたよ。もう、これ、すごいよ。木葉、頑張った。ほんと、無事でよかった。木葉の部屋から姿を消したアッコだけど、木葉が聞こえた気がしたというその言葉には、もう本当に揺さぶられて、いやもう、たまらないわ。本当に素晴しかったです。次号、最終回!

  • 『まんがタイムオリジナル』第37巻第6号(2018年6月号)

2018年4月28日土曜日

『まんがタイムきららキャラット』2018年6月号

『まんがタイムきららキャラット』2018年6月号、発売されました。表紙は『アニマエール!』。初夏のさわやかさ感じさせるいい表紙ですね。こはね、ひづめ、宇希の三人が、青いチアユニフォームに青いポンポン持ちまして、えいと左手あげて応援しているその様子。とてもいい。こはねの笑顔が目をひきますよね。三人、右足の動き、ちょっとずつ違うの、蹴る動作をそれぞれわけて描かれてるようで、こうしたところにも動きの感じられる、いいイラストだと思います。背景の幾何学的な模様、これも三人の動き、勢いの向かう方向をすっきり見えるようにしてくれていて、印象を深めていいですよ。

『ゆず35歳@中学生やってます』。ゆず35歳の秘密がバレてしまう!? なずな絡みでゆずをうとましく思っている茉莉花よもぎが、不審なゆずの動きに気づいてしまった。夜な夜な出歩くゆず。その後をつけるのですが、まさかの援助交際!? と思ったら違った。警官に夜歩きを注意されるも、なぜか警官が謝りだすという、この不可解。はたしてなぜなのか!? って、まあ、成人してることがわかって、誤解したこと謝ってるだけなんですが、まあ、なずなには、ゆずは中学生という先入観がありますからね。そうか、先入観があると、ここまで真実に気づきにくくなるのだな……。R18なBL本も買えてしまうゆずです。さらには謎の集会において中心的人物となっていて、洩れ聞こえるのは、布教や神といった文言。ああー、教祖扱いされちゃったよ。と、その前に、これ、飲みの席じゃんか。危ないな。飲酒が見とがめられなくてよかったですよ。けれどこのゆず、夜道でちょっとした危機に遭遇して、ああ、なずな、助けてくれたんだ。でもってその後のゆずとのこと。ゆず、はたしてその行為の真意とは!? 誰と勘違いしたっていうのか。謎だけど、とりあえずなずなはゆずにとっての安全牌になったっぽいですね。

『mono』。今回は山梨の名産、ワインについて知ろうといった具合ですよ。例のバイクの走行動画公開してるカコがですよ、春乃を見事に焚き付けて、と、それはいいのだけど、車でいって大丈夫? 帰りの運転はどうするの? 疑問に思いながらも、まずはワイングラスについてです。入り口でビビる春乃に親近感ですよ。ええ、自分もガラス製品のお店、怖いんですよ。なんかのはずみで、ガシャーッ! ってやっちゃったらどうしよう、なんて不安があって、いやもう、これ、自分だけなのかなとか思ってたら、よかった、こうして同志に出会えました。安いものから高いものまで、グラスを見てまわったり、でもってコルク抜きも見てまわったり。あんまりそこまで突っ込んだ描写はないんですけどね、ちょっとずつ知って、興味の広がる、そうしたところなんかは、本当、面目躍如といった感じでありましたよ。

『アニマエール!』。大会を終えて翌日。今日は練習もお休みですよ、っていうんだけど、こはね、忘れていたね? 宇希の家に突撃しちゃって、というか、部屋にまで通っちゃうくらい親密なんですね、ふたりは。宇希の弟、暁音にサプライズでこはねをけしかける姉が凶悪でした。というか、弟はそれはそれで喜んでそうだよな。だって、サッカーの練習終わったら、こはねお姉ちゃんに会いたい一心で走って帰ってくるんだぜ? さて、夏休みの宿題をやろうということになったわけですが、優秀さきわだつひづめと花和ですよ。でも、花和は自分の優秀さを悔いるという……。いや、その前に、自分のこと優秀っていっちゃうんだ。うん、そういうところもチャーミングだと思います。今回は、こはねのチアをはじめることになったくだり、それが思い返されて、そのきっかけを作ったひづめや、背を押すこととなった宇希、皆への感謝語られるなど、いやはや、いい話でありましたよ。でもってその周辺に、重すぎる宇希のこはね愛とか、やっぱり重い花和のひづめ愛とかちりばめられて、実に面白かったです。

『RPG不動産』、ゲストです。連続ゲストの第1回目なのですが、主人公の紹介を後回しにして、まず街での物件探しを開始させるというところ、よかったと思います。RPG不動産。賃貸、計画、案内の頭文字とってRPGなんですね。ともあれ、主人公琴音がこの店を訪れた理由。この街で働くことになったから部屋を探すという、これね、最後にここでいっていたことが全部ひとつにまとまるの、ちょっとの工夫で意外な展開作って、印象的なスタートになったと思います。さて、今回のメインとなっていた部屋探し。家賃300G以下という琴音の希望、これ、予算不足で難有り物件ばっかりピックアップしちゃってるのか。その難有りをひとつひとつ明らかにしていく過程で、この漫画の舞台となる街や世界観がわかるようになってるのもいい感じ。タイトルにRPGとあるように、国産RPGの要素盛り込んだファンタジー世界であるわけですね。あの、冒険者に部屋を解放するのが入居の条件という部屋、あんまりに酷すぎて、ほんと、確かにあのゲームの冒険者、こんなだよなあ。見るだに酷い。家賃安くても住みたくない部屋筆頭って感じでしたよね。主題となる部屋探しを通して、主人公はじめ登場人物やこの世界のいろいろを伝えて、最後にきっちり状況を整理して落ち着かせるという構成。紹介、説明が作業っぽくならずにうまく展開したところなども大変よかったと思います。

  • 『まんがタイムきららキャラット』第14巻第6号(2018年6月号)

2018年4月27日金曜日

『まんがタイムオリジナル』2018年6月号

『まんがタイムオリジナル』2018年6月号、発売されました。表紙は『ラディカル・ホスピタル』。これは探検ですか!? サファリスタイルの山下ナース、いやあ、めちゃくちゃ似合ってますよね。ぐいっと段差乗り越えてきましたよってな雰囲気、こちらにその前向きの気持ちがぐいっと乗り出してくるかのようで、いい表紙でありますなあ。『らいか・デイズ』らいかもですよ。双眼鏡手にして、遠くを指差し叫んでいる。なにか見つけたのかも知れないですね。ええ、この見つける、発見がテーマなのでありますね。『妹のオシゴトは時給2000円』、『おしかけツインテール』、移籍連載スタートの告知カットもございます。

ラディカル・ホスピタル』。なんか今回、いつもとはちょっと違う雰囲気、女医さんたちを押し出して、そのやりとり面白く見せてくれました。医療雑誌の取材がきましたよ。それで写真を撮るっていうんですが、形成外科の村越先生が嫌がっちゃって、かといって赤坂先生がノリノリってわけでもない? そのやりとり、上迫先生やヨネ先生も加わってわいわいやるんですが、みんなちょっと普段は見せないような様子、表情見せてくれて、なんだか妙に愛らしい、面白い、魅力的でした。そうした楽しいやりとりの中に、形成外科の専門領域とか、乳がん治療のトレンドの変化とか、医療の話も盛り込んで、この幅広い面白さ。さすがの一言でありましたよ。

『予行恋習カノジョ』。はすみんと恋香。ふたりの和解でありましたね。自分のことを避けているはすみんに恋香が問い詰めたわけですが、それではすみん泣いちゃって、自分の好きな人が恋香のことを好きだって気づいてしまった。だから恋香のこと邪魔に思っちゃってっていうんですが、はすみん、なんか思いつめるタイプ? 恋香いわく火サス思考だそうですが、習志野さんさえいなくなれば……。危ない! 危ないよ! 漫画のジャンルが変わっちゃう! 自分の考えの危険さ、人の心の危うさ、それを知って、自分自身に幻滅、葛藤しちゃってたんですね。でもこうして話して、ええ、ここからのやりとり、よいじゃないですか。恋香、ほんとにいい子だなって、そう思えるいい話でした。雨降って地固まるではないですが、これでふたり、より一層に仲を深めた感がありますね。ええ、それでいいのだと思います。晃二にはせいぜい嫉妬させておきましょう。

『少女Switch』。アプリで中身が入れ替わり。仕組やらなんやらは謎のままではありますが、その入れ替わりで生じること、面白かったです。うっかり再び入れ替わってしまったふたり。翌日まで戻りません、というので、それぞれの家に帰るのですが、慣れない人の家、知らない家族との暮らしに、憧れたり、やたら盛り上がったり、けどそれぞれの家が抱える事情、それにも触れてしまって、ええ、うららと父の関係知って、マコ、黙ってられなかったんだなあ。マコの直情。時に軽率であやうい子だけど、こういう時には頼もしいですよね。うららと父の関係、ちょっと改善なのではないですか? というか、マコの威圧感、すごいのか。そしてうららはうららで、マコの家族のために料理作ったりしててね、ええ、それぞれが足りないものをもって補って、めでたしめでたし? というか、ちょっとマコがずるいこと考えてるっぽいの、ええ、マコの直情ですよ。この子、実にいいと思います。

『北斎のむすめ。』、最終回です。画業に打ち込む栄ですよ。でも、辰やら絵師仲間やら、さらには親父まで、次々話しかけてきて、邪魔すんなあって、この空気を読まない感。いやあ、近くにいたらさぞ鬱陶しいでしょうけど、見ているぶんには面白くってグッドでありますよ。先の大火を受けて、人の儚さに思いをいたした吉之助。後悔はしたくないと、画業一本でいこうと思ったのか。栄は栄で、自分の無力さを思った。あの火事で知った遊女たちのいろいろ。それを絵にこめて表現しようと、ひたすら打ち込む。ええ、皆があの出来事に、自分のうちにあるなにかを開花させたのだなあ。高尾は身請けを断ったんだ! しかも方言隠さなくなって、ミステリアスだった高尾とはまた違った魅力見せつけてくれますね。ところどころにおかしみ盛り込みながら、皆が自分の思いを持って、自分の人生を生きようとする、そうした姿描いた最終回。力量たっぷり、余韻も嫋嫋。しっとりと読み手の心のうちに跡を残して、さらりと気持ちのよい。そんなよい終わり方に、いやあ、いいもの見せていただいた。晴れやかさ感じつつ読み終えることできました。

  • 『まんがタイムオリジナル』第37巻第6号(2018年6月号)

2018年4月26日木曜日

『まんがタイムきららフォワード』2018年6月号

『まんがタイムきららフォワード』2018年6月号、昨日の続きです。

夢喰いメリー』。学校、大パニックですよ。白儀が引き入れた銘無しに、次々食われていく生徒たち。かつて夢魔に関わりを持たなかったものには干渉できない、そう思っていたのに、無差別に人を襲うようになって、はたしてなぜなのか。メリーがいうんですね。幻界が現界を食べ始めたからだって。銘無しに食われた人間がどうなるか、それはメリーも知らない。もう圧倒的に不利、後手に回ってしまった状況で、なんとか被害を最小限に止めようと奮闘する夢路サイドの夢魔関係者たち。アルビレオ、本当に死んだりしたら嫌だよ? そしてこの幻界と現界が混ざった場所においては、器なしに夢魔たちは実体化できるというのですね。ええ、エンギが、ジョンがその姿を現して、これはなかなかに期待できそうなシチュエーション! そう思ったらですよ、ヤエの暗闘、すさまじい。この人、いったい何人いるのか。白儀の側にあったかと思えば、制服ヤエはガスを散布するし、そして昇降口にて待ち構える凛々しいヤエ。現時点では、ヤエが完全に場を支配していること、これでもかと見せつけて、いやもう憎いですね、これ!

『江波くんは生きるのがつらい』。江波くん、生きるのがつらいっていってますけど、結構マシな学生生活だったりするんじゃないの!? なんて思ったりした今回。いやね、小説書こうとしてなかなか前に進めない江波。今回の彼の課題は女性の描写。どのように表したらよいのか、それがわからず、困ってしまって、取材をしようとするのはいいけれど、なんだこの誤解の連続! でも、今回はあんまり江波は悪くないよね。むしろ宇家、この人が早合点。意を決し取材を敢行しようとする江波のただならぬ様子に、これは告白だ、告白されるんだ! と思い込んで、そこからの会話がもうあかん。それほど思わせぶりでもないよね、江波の話。でもどんどん恋愛の、いや違うな、性的な方面に勘違いしていく宇家がおかしくて、いや、ほんとにおかしいよ? この漫画、おかしいのは江波だけじゃなかったんだ! 新たな発見だったと思います。しかし、宇家、この人、なんだかんだで真面目ですよね。もし宇家の誤解してるとおりのこと江波が聞いてきてるんだとしたら、とんだセクハラ野郎じゃないですか! でも宇家は、戸惑いながら、赤面しながら、なんとか答えようとしてくれて、誤解したままに、なんだかいいアドバイスもしちゃったりして、ええ、宇家、この人も不器用で空回りしながらも一生懸命なタイプなんだなあ。しかし最後の最後、これ、誤解とけたと思っていいんですかね? というか、宇家、見事な置いてけぼり。ほんと、無駄にカロリー消費しちゃいましたね。

『まんが家cherry!』、最終回でした。そうか、終わってしまったのかあ。桜井春香の漫画への取り組み。なりたい自分にどうやってなるか、それを漫画に落とし込むことで、ひとつの物語を作り出していこうという流れ、実によかったと思います。パティシエ志望のヒロインは、春香自身の反映ですね。そして春香をとりまくいろいろなこと、場所、そして人を漫画のエッセンスとして活かしていく。こうやって自分の経験したことを、自分の漫画、物語として編んでいくことを、春香が感謝の気持ちだと、これまでいろいろ教えてくれた皆への感謝の気持ちだと言葉にしたあの場面、本当にいいシーンでありました。石刈場との打ち合わせの様子も、面白いと好評を得ながらも、さらによいものにしようとディスカッションしていく。そして結果が出た時のスタジオの様子。皆が、漫画を軸にして、春香とともにいてくれたんだ。春香と一緒に頑張ってくれる人があれば、よい結果の出たことを自分のことのように喜んでくれる人があって、ええ、こうした人のつながり、関係をこそ描いてきた漫画だったんだなって、改めて思わされたのでした。そして最後に、漫画家志望の女の子を迎える春香ですよ。独り立ちした春香の姿、実によく、割烹着、今も着てるんですね。スタジオはむサンドで得た多くのものが、今もちゃんと受け継がれているんだよって、なんだかそんな風に思わされたラストシーンでありましたよ。

2018年4月25日水曜日

『まんがタイムきららフォワード』2018年6月号

『まんがタイムきららフォワード』2018年6月号、昨日の続きです。

ゆるキャン△』。ついに、なでしこひとりキャンプに出立です。お姉ちゃんが許したのがびっくりですよ。でも、あの見守りアプリをそっとインストールしてるところとかね、ああ、やっぱり心配なんだなあ。だろうなあ、心配だろうと思うよ! 電車でもって富士宮入りするなでしこ。その報告を見ながら車を出すお姉ちゃん。ああ、これ、そっとなでしこを見守るのですか!? ですね!? そう思ったら、違う? 違った!? 奥山梨に向かったしまりんがなでしこの姉、桜と遭遇するんですね。これ、桜の行動を垣間見るチャンス? しまりん、桜に急接近? どうなるのか、これ、面白そうだなあ。しかし今回も、なでしこ、しまりんがそれぞれ訪れた土地を、眺めや食をとおし、多様に楽しむその様子。本当に魅力的でした。なんでしょうなあ、空気感とでもいえばいいのでしょうか。それが実にいいんですね。

『球詠』。本当に面白い。圧倒的に格上の相手、梁幽館野球部を相手に、いかに戦うのか。相手の初球を、春の大会の傾向から予測して、いきなり打ち込んでいったかと思うと、続く2番では堅実にバントで走者を二塁に送る。流れをみれば、新越谷のペースで運んでいるように見えるけれど、策をたてる芳乃の苦悩、それが描かれるものだから、読んでるこちらもやたら緊張させられるっていうんですね。はたして策は当たるのか? 球場は完全にアウェイの雰囲気。選手たちの緊張もかなりのもので、いやいや、稜、頑張ったじゃないですか。こうして、少しずつでもできるところを見せて、観客の応援を引き出していくところなんて、すごく魅力的な展開だったと思います。そして、魅力的といえば、やっぱり本編大筋、4番希の大勝負。ここという球をしっかり叩いて、おっと長打が出たか!? 三塁にまで進んでいたタマが帰れば先制点だ、というチャンスを見事に潰すファインプレーですよ。策が当たる面白さあれば、それがまた阻まれるというスリルあり、そして最後には5番怜がしっかりその仕事を果たすという、このアップダウン! いやもう、魅せられます。

『なでしこドレミソラ』。これまでにないシリアスな展開、重い描写が心にしっかり残りましたよ。文化祭の準備に余念のない美弥たち。なんとしても成功させたいと練習に練習を重ねて、でも、まさかここで美弥にストップがかかるんですね。ああ、弾きすぎたか。右手に痛みがある。それでもなお練習を続けようとする美弥を陽夜がとめる。恵真から、とめるよういわれてるんだ! 絶対無理して腕を壊すタイプって、見事に見透かされていて、さらにはあわゆき、香乃からも気をつけてっていわれてたって、ほんと、美弥、皆から愛されてるなあ。闇雲に弾くのではなく、いろいろ知ることも大切だってアドバイス、これはいいですね。でも、まさかこれが次の展開引き起こす振りになるとはまったくもって予想外で、三味線の、伝統芸能のいろいろ、図書館に調べにいこうっていう流れは、すごく自然だったじゃありませんか。でもって、図書館で佐々木と出会う、これもまたありえそうなことで、ええ、自然にこの出会いをもたらして、そして美弥の勇み足を引き起こす。この、自分が時を誤ったことを悟った美弥の、自身に向ける厳しい言葉。その激しさに、美弥の悔恨の深さがにじんで、実にいたましく思ったのです。

2018年4月24日火曜日

『まんがタイムきららフォワード』2018年6月号

 『まんがタイムきららフォワード』2018年6月号、発売されました。表紙は『はるかなレシーブ』。7月からスタートするTVアニメに期待、といった気迫? みなぎっておりますね。表紙には、遥、かなたのふたりが、ボール、一緒に持ってましてね、ふたりともに凛々しい表情! チームとなったふたりのやる気や気迫といったもの、よくよく伝わってくるいい表紙。ええ、とてもよい感じであります。

『はるかなレシーブ』。全国大会への進出を決めたはるかな。目指すは成美、彩紗ペアとの対決であるわけですが、まさかこの対戦を大幅に前倒ししてくるとは予想外でした。いわば前哨戦といった感じでしょうか。あるいは、成美、彩紗ペア、なるあやの顔見せ。雑誌の企画でやってきたふたりと、撮影が目的とはいえ、急遽試合することになったはるかな。そこで示される、なるあやのスタイル。隙のなさ、オールマイティに戦えるふたりの強みというものが描かれて、ああ、序盤こそはいい勝負ができていたはるかななのに、中盤からじわじわと広がっていく点差! これが遥、かなたのふたりが向き合わなければならない壁なのだと、そして超えなければならない相手なのだと、しっかり見せつけてきたというのですね。しかし、はるかな、ただ圧倒されるばかりじゃない。しっかり食い下がっていくという、その様子に、はたしてどこまでいけるのか! その伸び、期待させられてしまいます。

『スローループ』、ゲストです。変わり者? 趣味に、好みに独自性発揮させていた父の薫陶を受けて育った女の子、ひより。海釣りでフライフィッシングをするという父の影響で、同じくフライフィッシングをするようになったのだけど、その父はもう亡くなっていて……、という、ちょっと切ない出だしでありますよ。人づきあいを苦手にしているこの子の、今日のちょっとした憂鬱。それが溶けていく様がとてもよかった。海が珍しいと興奮する女の子、こはると出会って、釣りの話、魚の話。あまりに屈託ないこはるに引っぱられるようにして、釣りのこと、フライフィッシングのこと、見せて、知ってもらおうとする、そのひよりの様子に、父と自分のことを釣りを通してこはるに伝えようとしているかのような感覚を得たのですね。この街に引っ越してくることになったというこはるの、その理由が、ひよりの落ち着かないという理由と重なって、そしてふたりは家族になるという、この出会いの面白さ。予想もしないところに落ちたふたりの縁、面白く、楽しく読むことができましたよ。なにより、ふたりの関係が広がっていこうとする、そうした伸びやかさがよかったです。

『アニマル・トイ』、ゲストです。流れ星にかけた願いがかなったという女の子の話です。その子、純の願いというのがおかしくて、大切なぬいぐるみのポチとお話できますように。しかし、そのポチ、ぬいぐるみのまま話ができるようになったのかと思いきや、なんと人の姿に変身できるようになったっていうんですね。ポチ、朝起こしてくれたり、結構有能じゃないですか! 純に褒めてもらいたい一心でそうしてるみたいなのですが、この、屈託なく純に愛情を向け、また応えてもらうことを望んでいるポチは、純真そのものとでもいいましょうか。その真っ直ぐさは実に魅力あるものだったと思います。そしてちょっとトラブル。ポチのことが他の誰かに知られるとさすがに問題あるだろう。友達の前では人の姿にならないでと釘を刺していたんですが、どうもその約束、守ってもらえないような予感? 純の友達、舞の前で、人の姿をとってしまったというのですね。これ、なぜそんなことになったのか。舞に純をとられちゃうと思った。思いあまって、抑えがきかなかった。純のことが好きで好きで、そうした気持ちと、思うところに真っ直ぐに向かってしまう、そうした性格、ここにもよく表れていたと思うのですね。素直な気持ち、素朴な愛情。そうしたものがよく感じとれて、ちょっとくすぐったく、ほのぼのと暖かい。愛らしくチャーミングな漫画でした。

2018年4月23日月曜日

『まんがタイムスペシャル』2018年6月号

『まんがタイムスペシャル』2018年6月号、一昨日の続きです。

『ちんまり経理のヒメ先輩』。ヒメの誕生日というので大変めでたいのですが、ヒメの挨拶が創業記念日思わせるようなものだったり、お父さんが、よほど嬉しいんでしょう、今年から酒が飲めるんだっけかだの、ついこないだまでおしめしてただのと、大変に要領得ない話ばかりしましてね、酔っぱらいはしかたないなあってなもんですが、それでもここに父の気持ちみたいなの、見え隠れしていいですね。いや、おしめとか、年頃の娘さんには嫌な話でしかないでしょうけどさ。そしてヒメの小さい時分の話になりまして、人生ゲームならぬマイライフゲームで盛り上がる親戚の子供たちの中、ヒメは銀行やってる若林の膝の上で、お金の管理するのが楽しくなったみたいなんですねえ。ああ、そうかあ、こうして仕事のお手伝いして、みたいなヒメの性格、ここでつちかわれたのかもって思える話でありましたよ。

『なごみ先生は職場のお医者さん』。お酒を飲まないようにしてるなごみ先生。飲めない体質なのかな? と思ったら、ああー、飲むと大変なことになるんだ。間違えて飲んだウーロンハイ。少ししか飲んでないのにすっかり酔ってしまって、そうなるともう大変。診察しまくるようになるんですな。診察、それからパワハラ禁止のパトロール、いつもの仕事の延長なんだけど、これ、なごみ先生の仕事熱心さと、そしていつもはもしかして抑えてるの? っていうの伝えてくれて面白かったです。しかし、この先生、酔って診察しまくるかと思えば、山田に私を診察してくださいって、いやもう、あかん、あかん、間違いがおこりますよ! と思ったら、部長にさっそく見つかって、セクハラしてんじゃないかってね。ほんと、これ、大変だ。しかし一番大変なの、翌日のなごみ先生でしょうね。そうか、酔っても記憶はしっかり残るタイプなのか。ええ、これ、たしかに酒はやめておこうって戒めになりますよね。

『偏食女子は恋でおなかを満たしたい』。移籍第一回目にして、いや、なんだ、これ、重いな。職場の飲み会。偏食いっぱいのアキが涙目なんですが、運が悪かったなあ。不機嫌を人ではらすタイプか。溜池というおっさんに絡まれましてなあ、アキが嫌いなものいっぱいなの知っててさ、わざと嫌いなものばかり注文して、自分は食べない、アキに食べろと強要する。アキ、可哀そうに。けど、この子、嫌いなものに挑戦してきただけあって、なんとか食べてみせて、でも、おっさん、これ、あかんで。ほんま、アキ可哀そうに。そしてフラッシュバックする子供時分のこと。ああ、お母さんが酷い。そして学校の給食の嫌な記憶。ほんと、これ、ちょっとハードすぎる。でも、給食の居残り、最近はこういうのさせないようになってきてるって聞きますけど、これね、嫌だったっていう子、たくさんいたんですよね。そうかあ、アキもかあって、ほんと、これ、ちょっとつらすぎるエピソードオンパレードでしたよ。

『あの日の海と16歳の夏休み』。さきが受けた予約。メモにはタチアナとあって、ロシアの人? じゃあロシア語であいさつしようと、店長、さきとふたりして調べて、ズドラーストヴィチェ! とお迎えしたら、タチアナならぬ立花さんでした。って、なんだこれ、ほんと、おかしいな。立花さん、美容室が苦手だそうです。緊張しちゃう。どうしたらいいかわからなくなってしまう。そうした立花の告白に、さきも過去に美容室で感じた嫌だったこと、それ思い出しましてね、店長は、まさかーって思うんだけど、立花も同じようなことあったって、ええ、一度苦手意識できあがっちゃうと、なかなか抜けるもんじゃないですよね。でも、どうしても髪は伸びちゃう。美容室にはいかざるを得ない。って、ほんと大変だ。立花さん、よかったですね。この美容室の店長、あたりもやわらかで、立花のペースに沿って、立花のよいようにとはからってくれた。ええ、こうしたそっと寄り添う姿勢。最初の店でこういう対応あったら、立花も、それからさきも、嫌な記憶にしばられることとかなかったのかも知れませんね。

  • 『まんがタイムスペシャル』第27巻第6号(2018年6月号)

2018年4月22日日曜日

『まんがタイムきららMAX』2018年6月号

『まんがタイムきららMAX』2018年6月号、一昨日の続きです。

『はんどすたんど!』。いい雰囲気の会、頑張ってますよ。段違い平行棒、いよいよ真打登場というのですが、いちごがそれでオエーっていっちゃってね、大丈夫かな。失敗して落ち込んだりしないかな、ほんと、心配していたら、おお、開き直った。もうすっかり膨らんじゃって、気合い充分。それで演技も、よいしょー、やりましたね、いつも以上に動けてるんじゃないでしょうか。蹴上がりの成功にはじまって、ラストまできっちりしっかり演技しとおして、でもそれで気力使い果たしちゃったんだ。でもわかる。なんか集中力が限界超えて、消費しきっちゃうとね、こんな風になんかおかしくなっちゃいますよね。自分も、集中してなんかやった時、こんな風になることありますよ。でも、いちごほどではないかな? そうか、自分はいちごほど頑張れてないってことだな。そして平均台。おお、ななみ、いいじゃないの! 今回こそは落ちないって誓ったわけですが、難しいところもなんとか切り抜けて、豚の丸焼きにもならずにすんで、ほんとよかった。あの、グラっときたところを、ジャーンと切り返すのね。面白要素っていわれてますけど、後方ブリッジでいいのかな? あのリカバー、ジャーンっていうの、いいよ、いいよ、なんだかかっこいいよ。この絵、大きく引き伸ばして飾りたいくらい好きです。そして平均台本命のひなた。やっぱり上手だっていうのね、絵でもって伸びやかな演技、その美しさ、ちゃんと見せてくれるの、とてもいい。で、最後に経験者組。ゆかにあやにまい、三人がいい雰囲気の会の皆の演技見てね、ほのぼのと語りあっている。それがまたすごくよくって、ええ、初心者の伸びゆく様、その魅力があるんだってね、よくよく伝わってきましたよ。

『JKすぷらっしゅ!』。今月号も裏表紙に広告ありますが、『はるかなレシーブ』がテレビアニメ化。よく考えたら、これって、毎回が水着回だな。そう思ったところで、『JKすぷらっしゅ!』、考えてみればこれもそうだ。毎回が水着回。しかも、この漫画はさらに際どく踏み込んでみせて、ああ、今回なんかはまさにそうでしたね。体調崩したという澪花ですよ。遅れて登校してきた彼女を見れば、なんといつもはつけてる水着がない。ということは、裸にセーラー上を羽織ってるだけか! 前、がら空きやんか! これは、これは、なに回といったらいいのか。半裸回か。いや、半裸は毎回そうだったような気がする。今回、澪花とかなた、ふたりの関係、それが深まってきたこと、改めて確認される、そんな回でありましたね。水に入るのが怖いかなたに、澪花が水に慣れるよういろいろ工夫してくれた。それがいつしか抱き合うようになって……、と、こうした関係の変化もろもろ描いて、ああ、そして大きく変化していたの、澪花の気持ちもまたそうだったというのですね。というか、今さらなのですか! 澪花の体調の不調、かなたへの恋煩いだっていうんですが、あれー、そんな段階だったっけ君たち!? ちょっと混乱しましたが、そうか、そうだったか。しかし今回ね、こうしたふたりの変化描かれたわけですが、かなたの危険性、それもよくよく描かれていて、あー、この子も遠くまできたのだなあ。そう思わされておかしかったですよ。

『TCGirls』。もうすぐクリスマス。しみじみ語るシオン、マナに相談があるのと切り出した、それ、アンの解雇と思っちゃった!? マナさん、あんまりだーっ! クリスマスパーティをやりますよ。場所はアスター。アンが自分に都合のいいことばっかり、欲深なことばっかりいってますけど、あー、そうだ、そうだった、シオンはいわば前科があった。金銭感覚がちょっと無茶だったよな。クリスマス会、ツリーの天辺に取り付けられてるのが星ならぬ手だったりね、あー、あの人だ、マナさんだ、なんか怪しいオブジェですよ、これ……。プレゼント交換もおかしい。シオンのプレゼント、きっとものすごいはずってアンが欲深な考えおこしましてね、でもってアンの手元にやってきたの、またマナのか! また手か! でも、最初はがっかりしたアンだけど、カード置きになると聞かされて、さらに音声ギミックつきと知らされて、そうしたらもうこんなに喜んで、チョロいのか? 君はチョロいのか? シオンに渡ったアンのプレゼント。これもまたすごいですよね。闇天フォーマット変化の軌跡だっていうんですが、ちょっとずつのデザイン違い、はあー、こういうのあるんだ。マニアなら、これで何期とかわかっちゃったりするのかな。また、何期かで価値が違ったりとかあったりするんでしょうか。そして、最後に大きな展開ですよ。昔の約束ちゃんと守ったアンにです、シオン、自分の決断の正しかったこと確信して、そして渡される店長小柴の名札! ああ、来年は受験生だというシオンたち、それで店長をアンに託そうというのですか。これ、大きな展開ですよ。そして次号最終回! 店長アンの手腕が描かれるのか、その一年が過ぎてからのことが描かれるのか。もうね、なにがきてもきっとよいものになると信じています。

『ゴスロリJK無人島漂流記』。最終回でした。これ、ほんと、不思議な漫画でした。ぺむぺむに乗って島を脱出した皆。2年がたって日常に復帰している彼女らの様子が描かれるのですが、そうかあ、大学生になったんですね。帰ってすぐのインタビュー、これがおかしかった。姫野が語る語る。ゴスロリが幸いした。ゴスロリは精神によい。これ、知恵もちょっと面喰ってますけど、ほんと、聞いてた人たち、どう思ったろう。無人島での暮らしが彼女をここまで追いつめて……、みたいに思われたりしたんじゃないかと心配したら、おやおや大丈夫か、というかめっちゃ食い付いてるやんか! しかもそれでデザイナー兼モデルとしての道が開けたとかね、ええ、ナイスガッツ、ナイスバイタリティーですよ。知恵は学者になるつもりでいるんですね。もう一度あの島にいきたいというんですが、わけもわからず漂着するのではなく、しっかりと目的意識持って訪れようという、その気持ち。この子もずいぶんしっかりとしたのですよ。すずもそうですね。高校生活は大変だけど、無人島生活に比べるとそれほどじゃない、って、まあ、そうだよなあ……。この子たちの、帰ってきてこそ際立つ、そういっていいでしょうか、この仲のよさ、気の置けなさ、まさに苦楽をともにした仲間って感じがありますよね。飾らない率直な言葉、あの島を経験した同士だからこそ伝わる気持ちみたいなのもね感じとれまして、と、そこで三森さんからの招待状! こんなラストがくるだなんてね。いやあ、まったくもっての予想外ですが、この子たちらしい! なんだか嬉しくなるラストでしたよ。

  • 『まんがタイムきららMAX』第15巻第6号(2018年6月号)

2018年4月21日土曜日

『まんがタイムスペシャル』2018年6月号

『まんがタイムスペシャル』2018年6月号、発売されました。表紙は『恋愛ラボ』。もう初夏! 衣替えを描きましてね、強くなりはじめた日射し、木漏れ日を受け、風に髪なびかせる藤姫様、マキの美しさであります。『おにいちゃんと呼ばないで』心も夏服ですよ。『大家さんは思春期!』チエも夏服です。『おにいちゃんと呼ばないで』は移籍新連載の告知カットでもありますね。

『年上の物理女子は可愛いと思いませんか?』。朝永くん。すっかり先輩のこと意識しちゃったんですね。それで、在原業平の和歌に共感してみたり、けど、そうしたもろもろ、湯浅部長が理解しない。いや、そうらそうか。途中まで声に出してたわけじゃないもんな。面白い展開になってきました。先生から、全国高校生ロケット大会に出てみないかといわれて、こういう大会は本当にあるのかな? 打ち上げたモデルロケットから、卵をパラシュートで降ろす大会だっていうんですね。これは卵が割れないように保護材を工夫するとか、そういう方面でのアプローチもありなのかな? さて、この大会、レギュレーションに5名で参加というのがあって、さあ困った。物理部は2人だから、あと3人必要です。でも、ふたりともに誘えるようなどころか、名義貸しを頼めるような友達もいない、って、君ら、ハードな学生生活送ってるな! なるほど、それでこれまで物理部として依頼を受けてきた、その展開が効いてくるわけか! 陸上部の坂田さんにお願いしました。いや、いいですね。この子、いいですよ。また出てくれて嬉しい。ともあれ、陸上部部長に反対されたり、心配されたりという展開。面白かったんですけど、一番よかったの、湯川部長が陸上部部長をやりこめるところですよね。かっこよかったですよ。すかっとしますよ。

『ローカル女子の遠吠え』。うわー、のっけからなんかわかる、わかってしまう。今川義元が再評価されています。静岡の武将なのに家康ほどには人気がない。そうしたことに疑問抱く雲春に、秋津いわく、そんな今川氏だから興味を持ったの。りん子のいう、いますよね、あえて不人気のところを推したくなる性分の人。ああ、いるよね。いますよね。うん、すごくわかるわ。自分は秋津タイプだわ。なんというのだろう、人気が出ていよいよ磐石となりはじめると、ちょっとずつ離れていったりしてね、なんだろうねえ、この性格。いや、これは自分のことで、秋津さんのことじゃあありませんよ。今回、今川義元についていろいろ触れて、けどそれがやっぱり愛知との取り合いになるっていうの、おかしかった。なんでもかんでも、取り合わないではおられないのか。東海三県の話も面白かったです。そうなんだ、東海三県は愛知、岐阜、三重なんだ。関西だと、天気予報で三重が含まれてるから、どうも近畿の印象があるんですけど、そうじゃないんだ、東海なんだっていつも意外に思うんです。ここで雲春のいった伊豆みたいな感じでしょうか。今回のラストの、江戸城にリスペクトのない雲春と、静岡に一切リスペクトのない桐島。このあたりも、もう鉄板のネタになってきてますね。いや、よかったですよ。

『穂積くんは猫に勝てない』。こりゃあ、いいな。シェアハウスの同居人、今日は皆でかけていて、穂積くん、憧れの先輩とふたりきりになるのん!? と思ったら、あら、倉木先輩もおでかけですか。それで猫たちの面倒頼まれることになるんですけど、その奮闘ぶりがおかしくて、いや、穂積からしたら必死だよな。倉木からは、猫のお世話ノートを渡されて、猫の名前も個性も好き嫌いも、ちゃんとわかるようにはなってるんだけど、けど全然それを活かせないっていうのが、あー、そうだよなあ、知識がそのまま役に立つことってないんだよなあ。なんせ、その上、猫だもんなあ。いきなりの緊急ミッション、猫が吐いちゃったの片付けるんですけど、どいてくださいって敬語使ってるのいいよなあ。また猫のケンカにも翻弄されて、開始5分でもうくじけそう。ブブに助けを求めてもそっぽ向かれるし、先輩に連絡しようにも、ブブが電話を隠しちゃう。なんだ、このハードモード。穂積にとってはハードを超えて難易度ナイトメアだろうなあ。慣れないながらも、必死に頑張った穂積、いやあ、もう素晴しかったですよ。熱出るほど、いや、燃えつきて灰になった? いや、でも、ナイスガッツでした! 私は評価しますよ!

『バイトの面接』、ゲストです。いろいろと連載の幅広げるべく、模索しているのでしょうか。バイトというけど、普通の店とかなんかじゃなくて、雪山にて大きな犬を世話する仕事? 求人にはかわいいワンちゃん達の散歩と世話とあったから、いわゆるペットシッターかと思ったら、思ってたようなのと違った。しかも犬じゃない。狼だそう。さらにはクマまで出てくる。サーカスを引退したクマで、人に慣れて、むしろおとなしすぎるくらいのクマ。こうした慣れない動物にかこまれて、世話しようという漫画。でもこれ、主人公が翻弄されてるの、動物たちっていうよりも、仕事の依頼人、ウィスって人ですよね。むしろ動物たちは素直で、すぐにも懐いてくれるという。ええ、このバイトで大変なのはウィスの相手なのだと思います。

  • 『まんがタイムスペシャル』第27巻第6号(2018年6月号)

2018年4月20日金曜日

『まんがタイムきららMAX』2018年6月号

『まんがタイムきららMAX』2018年6月号、昨日の続きです。

『こみっくがーるず』。かおすちゃんのもとに届いた「くりパのおしらせ」。くりパ? クリスマスパーティか。そうかもうそんな季節なんですね、ってしみじみかおすがいうものだから、すっかり劇中では冬かと勘違いしてしまったけど、いやいや、かおすちゃん、あんた半袖で出歩いてるやん。しかもセミの声とかゆうてるやん。なるほど、くりパとはくりすパーティ。クリスマスではなかったのですね、って、のっけからすごいテンションやな、君! 自分でイベント発生させていくタイプとか、冷静な翼の観察面白く、そして美姫の心情、その複雑さも面白い。さらに、突発デッサンパーティ。琉姫がくりすのスタイル、絶賛して、それ聞いた小夢がショック受けるのね。これ、タイミング抜群だな。テレビアニメで今週やったところを受けてるんじゃないですか。翼がコスプレで勇者を期待して思わずヒロインの衣装着ちゃうハプニングとか、デジタル派のかおすちゃんがダメージ負っちゃうとか、楽しく読んだその果てに怖浦先輩登場。そうだよ、ふーら先輩抜きじゃ駄目だよ、って、この一コマだけか! 新登場人物の個性際だたせて、ちゃんとこれまでのメンバーも押し出して、バランスよく見せてくれるの、大変よかったと思います。

『ぼっち・ざ・ろっく!』。ぼっちちゃん、毎回なんかヘコんでるんだな。でも、憂鬱な月曜日。わかる! 学校はしんどい、いきたくない。わかる! 私も仕事いきたくない! エブリデイ憂鬱! そんなぼっちが学校で友達を作りました。いや? 友達? 喜多ちゃん。ギターを弾く人らしい。華やかな場でたくさんの人に囲まれているその姿に気後れするぼっちだけど、あの窓から覗いてるとこね、うらめしぼっちって、なんだそれ! 勇気出して話しかけたらヒューマンビートボックス。それに、ぶんつくぱーつくって応えてくれる喜多さん、いい人やも知れないですね。途中でうっすらわかってたんですが、この人が例の逃げたギター。弾けるって嘘ついてバンドに入った。ギターのことまるでわかってないってこと見せつけるあの一連の描写、あれはすごかったです。メジャー? マイナー? 野球の話? って、レベル高いわ! しかし、これで喜多さん、逃げたバンドに戻ってきちゃうことになったわけですが、弾けるって嘘ついてたの、ここでばらすのかな? あるいは、あ、あれだ、合体ギタリストだ! いや、普通にギターとボーカルをふたりでそれぞれ担当すればいいのでは? ともあれ、喜多の秘密知ってしまってるぼっち、次回は結構じたばたしてくれそうな予感がありますね。

『ももいろジャンキー』。この漫画、はなちゃんがどんどんキャラクターの幅を広げていって実にいい。はなちゃんはぁ、またふとったからブタのブタやさん。ちいさな妹にそんなこといわれて、しっかりきっちり怒るんだけど、もも、全然こりてないな。話のはしばしにぶたやが登場するのおかしくって、美耶にもブタが好きなのかって勘違いされてしまうとかね、さらになんでブタなのかって理由を美耶、卯月から聞かれて、全然太ってないよって、気にしなくて平気だよって、せっかくそういってもらったのに、まさかの暗黒面。はな、底知れぬ深み感じさせる女でありますね……。今回は、一番まともに見える卯月とか、いたらぬ自分に泣いてしまう美耶とか、見どころいっぱい。そしてしまいには、なんか居酒屋の研修みたいになっちゃうっていうのね、善意からとはいえ、かなりの迷走。★みんな!!ありがとう — !! とか、ほんと、あまりのことに笑わないではおられない、そんな威力ありました。

『私を球場に連れてって!』。まさかのプール回に驚き! この子ら、野球以外の遊びもするんだ、と思ったら、レオナがやっぱり野球にネタを引き戻して、さすがだわ、レオナさん。レオナが野球ならタマは食べ物。流れるプールが流しそうめんに変換されてしまうとか、さすがだわこの子。プールに遊びにきてるのに、レオナの持ってきたボールが野球の硬球とか、プール回、水着回でもやっぱりどこかに野球があって、というか、本当に野球ネタ尽きないなって感心するくらい。猫子の海が苦手な理由が打球を押し戻す海風とかね、あと対岸も埼玉というつっこみとか、本当、野球を軸に展開していくエピソードの数々が、この子たちにとっての野球というもの、その大きさをよくよく感じさせてくれて、そうかあ、決して離れられない、そんな絆めいたもの思わされたのですね。けれど、野球のこと忘れてみんなで遊ぶところもありました。こうやって多様な姿、趣味や嗜好や傾向が見られるの、皆のキャラクター、その奥行きや膨らみ感じさせてくれるもので、実によいと思いました。ラストのくだりもまたよかったですよ。

  • 『まんがタイムきららMAX』第15巻第6号(2018年6月号)

2018年4月19日木曜日

『まんがタイムきららMAX』2018年6月号

『まんがタイムきららMAX』2018年6月号、発売されました。表紙は『こみっくがーるず』。外でスケッチする翼とかおすちゃん。遠くの景色見ている翼の袖を引いてるかおすの見ているもの、あ、手前にどうもワンコがいるっぽいですよ。あの、可愛いもの見つけたかおすの表情。嬉しそうで、その嬉しさ翼にも共有してもらおうとするかのような行動もまた愛らしい。ええ、かおすちゃん、ちょっとのことで、画面にストーリーが生まれて、これは実にいい感じです。

今月は新規ゲストが3本です。

『つばめしーく!』。一人暮らしをはじめることとなった須藤飛鳥。彼のもとにやってきたのは、アニマロイドと呼ばれる人と動物の特徴をあわせもったロボット、だというのですが、あの暗い部屋でひとり正座して待ってるの、しかも怪しいかぶりものしてっていうの、味わいあっておかしいな。というか、それかぶりものなんだ。鳥型のアニマロイドだっていうのですが、見た目に人と違うところがわからないくらい。家事一般なんでもサポートしますっていうのだけど、飛鳥が有能で、ツバメ型アニマロイド、ルゥの説明ききながらでも、てきぱき家の仕事をかたづけていっちゃうの、実に頼もしい。今の男の子は、家事できるの、普通になってきてるというの、こういう漫画にも反映されていると思っていいのかな。虫が出てきて、ルゥ、苦手だっていうんですが、おや、意外。ツバメは虫をとって食べるのに。全体にあんまり役にたってなくて、むしろお色気で飛鳥の気持ちを揺らすのが仕事といった具合。ちょっと得意の荷電粒子砲、撃ってみてもらいたいですね。

『あくまにラブソングを!』。教会で暮らしているまりあ。教会暮らしの仲間が増えますよ、っていうのですが、その篠ヶ瀬凛華というお嬢さん。どうも中二病ってやつなのですか? まりあのことをルシフェルだって、前世からルシフェルのことを知っているとかね、わけのわからないこといいだして、しかし、これ、まさかラストで本当だったって明かされるのね、えーっ、こっち方面、前世や悪魔っていうのがメインだったんだ! ちょっと驚かされました。まりあ10歳の誕生日、夢を見るんですね。ルシフェルとして覚醒したまりあが、凛華をはべらして、いよいよ快進撃!? と思ったら、愛情過剰に寄せてる凛華のこと、気持ち悪!! って、この展開は面白かったな。でもってしかも、せっかく覚醒したルシフェルなのに、シスターに抱き締められて、愛してるわって、キスされたりなんかして、それで見事に負けちゃうんだ! うん、どうもこの漫画のルシフェル、あかんたれっぽい。この妙に駄目っぽいところ、悪くなかったですよ。

『小町とひとり飯!』。漫画家やってる日暮ひとりは、炊いたご飯を駄目にして、まるごと処分しちゃうような駄目なお姉さん。そんな彼女のもとにやってきたお米の精霊小町。もっと食べ物を大事にしてとお願いするのですが、この小町もたいがい食べ物無駄にしちゃったよね? 米の大切さを説くためにきたというこの子、いざ料理してみるというのだけど、料理の知識とか皆無なのか。粥も炊けない。味付けの概念さえない模様? そんな小町の頑張って作っただし入りの梅粥。あ、これはおいしいってなるのかな? そう思ったら、あかんのか! 塩加減、酷いのか。最近はやりのご飯漫画かなって思ったけど、だいぶテイスト違っていて、このあたり意図して外してきてるのでしょうか。それっぽい、ちゃんとすればおいしくできそうな調理風景描いておいしくしないの、いい差異化だったと思います。

  • 『まんがタイムきららMAX』第15巻第6号(2018年6月号)

2018年4月18日水曜日

DEVILMAN crybaby

 このあいだから、ちょくちょく話題に出しているNetflix。『超高速!参勤交代』を見たのもNetflix。『震える舌』もNetflixでした。最初のうちは、Netflixを利用するつもりではなかったのですよ。なんせHuluに入ってる。dアニメストアも利用している。この上、まだVODサービスを増やす必要があるかね。ええ、あったんですね。あったんですよ。

それは、Netflixオリジナルのアニメーション。どうしても見たい。これを見ないことにははじまらない。もう矢も盾もたまらず、公開開始直前にNetflixの利用を開始。全話が一度に公開されたそのアニメーションを、二日かけて見通して、おおお、これはすごい。ものすごいぞ。圧倒されるにまかせて、見終えたその時にはもう魂が抜かれたようになっていました。

そのアニメとは『DEVILMAN crybaby』。永井豪の漫画『デビルマン』を原作ベースでアニメ化したものなのですが、なんといっても監督が湯浅政明でしょう。この人、アニメ『四畳半神話体系』を作った人。『夜明け告げるルーのうた』と『夜は短し歩けよ乙女』を2017年に公開して、それで年明けすぐに『デビルマン』。もうね、期待するしかないじゃありませんか。この人、ちょっと他にはないようなアニメを作ります。独特の感性が支える世界観に、絵が動いて面白い! という、アニメーションの楽しみの根幹を思い出させてくれるような動画を見せてくれる稀有な才能。これは、『デビルマン』もすごいことになるぞって、もうずっとずっと楽しみにさせられてきて、そしてやっぱりすごかった。ちょっと、こういうの、なかなかほかにないよね。そう思わされるすごいものだったと思います。

1972年に連載の開始された『デビルマン』を、2018年にアニメ化するにあたり、スマートフォンやSNSなど今を感じさせるいろいろを盛り込み、しっかりアップデートしてきたその手腕。さすがのひとことでしたよ。物語がどのように推移していくのか、その基本は原作から外れることなく、しかし湯浅政明の色もしっかりとつけてきているというのもまたすごい。びっくりしましたよね。ラップですよ。ええ!? マジ!? なにこれ!? 最初こそさすがに戸惑いまくったものの、次第に慣れたか自然と受け入れてしまっていて、ラップに託し語られる心情、ちょっとね、あなどってたかも知れない。こんなに揺さぶられるものだとは予想もしませんでした。そして、終盤においての彼らの存在感。したたかに打たれましたね。ええ、『デビルマン』の物語は、人間性の所在を問うものだ、そのように考えている私にとって、社会から排除され、偏見の目を向けられながらも、それでも自身の拠って立つ位置を誤らなかった彼らの存在は大きいものと映りました。

そして、牧村美樹。彼女の存在も大きかった。もちろん、原作においても美樹がどれほど明にとってかけがえのない、大切な人であったか、これでもかと描かれていたわけですが、crybabyにおいては、美樹自身が世界に対し語りかけ、働きかけることで、その変革に寄与することとなる。より一層の主体性を持たされることとなった、そういってもいいでしょうか。美樹が物語上の重要性を増すことで際立つ悲劇性。彼女の行動、そこに浮かび上がる人の心のあり方、共感し理解し、許し合い、受け入れる、そうした強さが鮮やかであればあるほどに、押し寄せるように投げかけられる無理解、偏見、悪意、人の心の影もまた色濃くなって、ああ、こうしたものを日々私も目にし、身近なものとして触れている! ゆえに、crybabyは、今を生きる私たちのための『デビルマン』! まさしく今現在に生起し脈動する『デビルマン』なのだ。そうした思いを強めることとなったのでした。

さすが湯浅政明です。個性的なアニメーション。癖が強いともいいます。好き嫌いもあるでしょう。どうしても、これ受け入れがたい、そういう人もあるでしょう。ですが、よほど嫌いというのでなければ、ご覧いただきたい。そうして、是非圧倒されていただきたいと思うのであります。

2018年4月17日火曜日

震える舌

 一度見てみたいものだ、長くそう思ってきた映画がありました。ネットで話題、ネットで人気のタイトル。やれ鬱映画だトラウマ映画だといわれている映画。ある日、突然自分の娘が破傷風にかかってしまったら……。数日前まであんなに元気だった娘が、日に日に状況を悪化させていく、その様に圧倒させられる一種の恐怖映画。その名は『震える舌』。1980年公開の日本映画です。

一種の恐怖映画というの、どうも公開当時にそういう売り方されていたみたいな話もあるようで、破傷風という、名前こそは知っているけれど、詳しく知っているわけではない病気。そいつに感染するとどんな症状が出て、どんな経過を辿るか。それを、どうだ、これでもか、これでもかと見せつけてくれるんですが、いやもう、映画の中の登場人物、お父ちゃんもお母ちゃんも、どんどん消耗していくのがものすごくって、そして同時に見ているこちらもじわじわと消耗していくというのですね。ええ、これ、単純に怖いというんじゃなくて、こういう状況に立たされてしまった時、いったいどうやって冷静を維持し、苦境を乗り越えればよいのか。いろいろ考えさせられる映画であるんですね。

しかし、考えさせられるのはいいのですが、これ、当時の医療現場って、ほんとにこんな感じだったのかなって思えてきてしまって、いえね、破傷風って感覚の刺激が大敵だっていうんですよ。光が駄目、音も駄目。感覚の刺激が痙攣性の発作を引き起こして、あまりに酷いその痙攣のために脊椎を折って死にいたるケースもあるというんです。うわー、怖い病気だなあ。で、ここまではいいんですが、その破傷風にかかった子の病室ね、なんでそんなセンシティブな患者なのに、普通にお子さんが廊下を行き来したりするような棟に入院させちゃったの? しかも、わりと近くにお子さんたちのいっぱいいる大部屋があったりね、待って? もうちょっと、ほら、こう、隔離病棟みたいなの、あったりしないの? わかんないんですけどさ、もしこれが当時の医療のスタンダードだったのだとしたら、あんまりにまずくない? 途中の遮光カーテンが風でひらひらっていうのも、待って? 窓開けてたの? つうか、あれか。この当時、エアコンがなかったから、夏は熱くて窓閉め切っていられないのか……。

わかんないこといっぱいなんですけど、これが当時の医療の状況だったら、さぞ患者の身内は消耗しただろうな、そう感じさせられて、看護に家族が泊まり込んだりね、今だと無理なんじゃないかな。家族の負担が大きすぎるといいますか、実際、睡眠とらずにいたことで、どんどん精神を消耗させていく。恐怖の妄想に取り憑かれて、もう終わりだって、もう駄目だって、ただでさえよくない状況が、なおさら悪くなっていく。やっぱり人間、ちゃんと寝て、ちゃんと食べないと駄目だなって。精神の均衡を保てず、まともな判断ができなくなってしまうんだなって。そういった教訓も残してくれている映画だと思います。

しかし、この映画、本当に怖いのは、破傷風という病気、かかれば今でもこんななんでしょうか。子供の頃は、泥遊びしてるところで傷作ったりしたら、破傷風が怖いからよく洗いなさいみたいにいわれたの、今でもきっと変わらないと思うのですが、治療の状況とかはどうなんでしょう。今でも、この映画に描かれたのと大きくは違わないのだとしたら、ほんと、冗談じゃないな、怖ろしいなって、ぞっとさせられる。そんな映画であったのですね。主人公家族がそうだったように、いつ自分が当事者になるかわからない、そうしたこと思わせてくれる恐怖があったというのです。

  • 三木卓『震える舌』(講談社文芸文庫) 講談社,2010年。

2018年4月16日月曜日

ガニー軍曹のミリタリー大百科

なんか君、ミリタリー関連のばっかり見とるなっていわれそうですが、いやいや誤解です。たまたまですよ、たまたま。Huluで見ていて面白いのがヒストリーチャンネルのドキュメンタリーです。面白いものはないかなと、適当に映画やらドキュメンタリーやらを眺めていて、これちょっと面白そうじゃないかなと立ち止まってみれば、決まってといっていいくらいヒストリーチャンネル。今日とりあげる『ガニー軍曹のミリタリー大百科』もヒストリーチャンネルのプログラムなんですが、様々な兵器を取り上げて、その進化の様を順にたどって見せてくれるのが面白くって、本当にいいプログラムでした。このプログラムの案内人は、ガニー軍曹ことR・リー・アーメイ。ええ、『フルメタル・ジャケット』でハートマン軍曹を演じてみせた、あのR・リー・アーメイであります。

ハートマン軍曹というと、いかにも気難しそうで、なにかと怒鳴りちらして横暴、理不尽なおっさん、罵詈雑言のボキャブラリーがやたらと豊富でものすごい。そんな印象であったわけですが、ではそれを演じていたR・リー・アーメイとはどんな人なのか垣間見ることのできるようなシリーズでもありました。

いかにもアメリカの保守派といった感じのおっさんですよね。国に誇りを持っていて忠誠を尽くしている、そんなおっさん。兵器の威力に酔いしれ、これこそがアメリカだ! アメリカを守る威力、これこそが兵器だ! と極めてあっけらかんと国への愛を謳い上げる。武器、兵器を手にすれば試さずにはおられないトリガーハッピーぶりが豪快にして爽快で、大量のスイカをぶっとばしてみたり、車を破壊、建物も爆破といった具合に、そこまで、そこまでやっちゃうんだ! と、見てればだんだんおかしくなって笑えてくるんですね。底抜けに明るく、実に楽しそうなR・リー・アーメイ。見てるこちらもどんどん巻き込まれていって、もっと、もっとやってくれ! 過激にやってくれ! エスカレートしちゃうんですね。

このプログラムを見ていると、アメリカのすごさというのを実感させられます。国家としてのすごさというより、個人のすごさといってもいいのかも知れません。番組内で紹介される武器、兵器の数々は、軍が所有しているものもありますが、古いものとなるとたいていが愛好家によって保存、メンテナンスを受けているものとなり、しかもそれらが動態保存されてるものだから、撃てる! 走る! って、ちょっと待って!? 個人で戦車所有してるの!? それが許されてるの!? わけがわからないよ、アメリカ!

こういう番組は、日本じゃきっと作れないなあ。だからちょっとアメリカの豪快さがうらやましくなったりします。兵器を紹介するということは、実際に使ってみるということだ。ターゲットに向けて照準定めたら、後は撃つだけ! その武器というのが、個人所有品から軍のものまで多岐にわたって、って、ちょっと待って!? 軍の備品をテレビプログラムのために動かして、どかんどかん撃っちゃうんだ! 最新鋭中の最新鋭、機密に触れちゃうみたいなものはさすがに登場しないのでしょうが、結構新しいシステムまで紹介してくれて、コンピューター制御の砲撃とかね、ばんばんその威力を見せつけてくれて、これを見たかったんだ! ガニーが本当に楽しそう。しかも、ガニーに兵器のレクチャーする兵士たちも生き生きしてまして、こういう様子も日本のテレビじゃきっと描けないよね。

なににつけてもアメリカ最高! とはいきませんけど、この番組には、アメリカの自由とでもいえばいいのでしょうか、ざっくばらんとして陽気で快活、楽しそう。そういうものが見てとれて、実に面白く兵器の歴史、来し方を知ることができるのですね。素朴なものから精巧精緻な最新鋭までを、ちょっと駆け足でたどっていく。兵器の進化する、その様子に、なるほど、いろいろ感じるものあってよい番組です。

2018年4月15日日曜日

決断

 いい時代になったと思います。HuluやNetflix、dアニメストアといった、定額見放題サービスがいくつも乱立するようになって、ちょっと興味がある、試しに見てみたかった、そういった動画を視聴する機会が格段に増えました。私はレンタルビデオを利用したことがないので、その変化のインパクトは絶大で、家にいながらにして、なんか面白そうなのないかなーって探して見始めるというの、テレビというものの常識がひっくりかえるほどに強烈な体験でした。さて、私がHuluの利用を開始した理由です。ずっと以前から気になってたアニメがありまして、機会があれば一度見てみたいものだ。けれど放送に乗ること、ちょっとないだろうなあ。そう思ってたのが、なんとHuluに入っていた! うおお、これはちょっと1ヶ月のお試し期間利用して見てみようじゃないか。ええ、それが今日とりあげるアニメンタリー『決断』です。

『決断』についてはネットで知ったのです。太平洋戦争についてドキュメンタリータッチで描いたアニメーション。オープニング冒頭のナレーションが奮っていて、引用するとこんな具合。

人生で最も貴重な瞬間、それは決断の時である。

太平洋戦争はわれわれに平和の尊さを教えたが、また生きるための教訓を数多くのこしている。

第1話「真珠湾奇襲」を皮切りに、主要な海戦、陸戦を取り上げ、最後にはポツダム宣言の受諾、敗戦までにいたります。エピソードは、日本が華々しい戦果をあげるものがあらば、逆に手痛くやられてしまうものまでわりと多様にあって、けれど事前に予想していたよりも、勇ましく武功を讃えるものが多かったという印象でしょうか。

これ、1971年のアニメです。生まれる前か! さすがに映像としては古くて、最近のアニメを見慣れた人には魅力的とは映らないかも知れません。ですが、昔のアニメ基準で見ると、かなりの力作であることが見てとれて、これ、もしかしたらスタッフに実際の兵器、艦船、航空機など、見て知ってる人もまだいた時代ならではなのではないか。その偉容、用いられる様、また人物の感情などもろもろ、一種生々しさ感じるところなどある、そんな雰囲気が今となっては新鮮で、そらもう、戦後まだ30年たってませんからね。戦地を経験した人もたくさんいるし、そこそこ若い人でも戦時下の空気を知っている。子供でも、大人から当時のことを聞かされたり、あるいは戦記もの、物語として触れていたりもあったでしょう。

そうした状況あって『決断』のタッチも成立したのではないか。そんな風にも感じられて、また逆にそうした状況であるからこそ、ある種武勇伝に近いものにもなりうるかも知れないな、などと思ったりするところもあって、こういった雰囲気もろもろ含めて、昭和という時代の空気なのかも知れないなんて、そんな思いで見ていました。ある意味、戦争の頃がまだ肌に感ぜられる、そうした社会だったのでしょう。もうこりごりと身に沁みていたり、そうした反面、戦地で活躍する兵士たちへの憧れを禁じえなかったりと、アンビバレントな感情が沸々とわきたっているように感じられたアニメでした。粗野にして率直な感情に後押しされて語られる物語であり、それゆえの生々しさがあった。そんな風にもいえるかも知れません。

2018年4月14日土曜日

ARMS

 ARMS』は、当初からそういう予定があったのかなあ、追加要素がずいぶん多くって、ファイターの追加こそは予想の範囲ではありましたけど、パーティジャックという、スプラトゥーンでいうフェスみたいなもんですかね? そいつが突然開催されるようになったり、またつい最近、4月11日にもダッシュボードという機能が追加されたり。発売後も、どんどん変化、進化しているのであります。

追加された新要素に関しても、実際の状況、使われ方など見て、必要ありと判断したらすぐさま改善を試みようとする、そんな姿勢が見てとれます。それはパーティジャックに顕著なのですが、パーティジャックというのはピックアップされた2ファイターの人気を競う、そういう体裁をとっているイベントです。例えばまさしく今日開催されているパーティジャックではミェンミェンとDNAマンがピックアップされていて、このふたりを使っていると対戦して得られるポイントが1.5倍されます。イベント終了後にファイターごとの勝率が出て、勝ったファイターを応援していた(使ってた)プレイヤーは嬉しい、とこういった感じになってる。当初はこれだけだったのですが、前々回くらいからでしたっけ? ルームごとの勝率を出して、負けているファイターを選ぶとポイントを2倍するようになりまして、人気の偏りがなくなるような工夫、いろんなファイターやアームを使ってもらおうという運営の意思というものが感じられるつくりになっているのですね。

また、多彩なファイター、アーム(武器)を使わせようというだけでなく、プレイヤーのスキルの底上げをはかろうとしている節もあって、このたび追加されたダッシュボード、これに戦術を紹介するコーナーがあったりして、基本のテクニックから、一歩上達するためのTips、そしてファイターごとの特性を活かす戦い方が、動画つきで紹介されているんですね。さらにはこれまでの大会の試合映像も収録されていて、見て学ぶことができるわけですよ。ああ、これはすごい、ありがたい。

こういうのスプラトゥーンでもやってくんないかな。自分でYouTubeでもニコニコでも探せばいいじゃんかって話でもあるんだけど、自分のスキルの底上げもしたいし、他のプレイヤーのスキルもあがって欲しいし、そのためには外部サイトを頼るのではなく、基本的なところはソフト内で完結してほしい、とここまで考えたところで、基本スキルを知るにはヒーローモードが最適というのを思い出したんですが、あれ、やらない人はまったくやらないんですよね。基本的な動きとか紹介されてるから、ひととおりやってみたらっていっても、やらない人は頑としてやらないんですよね。うん、動画があろうと、説明があろうと、見ない人は見ないわ……。

スプラトゥーンとARMSのイベントが同日に開かれるの、勘弁してくれよってずっと思ってましたが、同様の声が多かった? 今回は別日にしてくれてありがたかったです。正直、スプラトゥーンのフェスとARMSのパーティジャックなら、ARMSの方が飽きずにできると感じていて、それは15分ごとにボーナスアームが変更されたり、ポイント2倍や3倍のボーナスタイムがあったりと、単調にならない工夫があることと、ルームに集められたプレイヤーは退出しないかぎり固定されているので、プレイヤーの個性、戦い方の癖みたいなものが掴めてきて、対処法工夫しながらリベンジマッチに熱くなったりできるからじゃないかなあ、なんて思ってます。

スプラトゥーンのフェスは、とりわけソロは、2になって一期一会感が強くなりすぎたから、プレイヤーの個性をつかんで、アシストするとかサポートするとか、そうした結果仲良くなるとか、そういうのなくなっちゃったからなあ。

そういう点では、スプラトゥーンの1にあった楽しみをARMSは残していて、私はそれを楽しみにしているのかも知れません。

2018年4月13日金曜日

超高速!参勤交代

 こないだ見たんです、『超高速!参勤交代』。せっかくNetflixと契約してるんだから、なにかしら見ないとね、そう思っていたところ、たまたま見たいテレビもないからと、前々から目をつけていたこの映画を流してみたら、これがまあ面白い。ノリがいい、テンポがいい、笑える、楽しい、いい映画。もう娯楽に全振りですよね。いかにもなわかりやすい悪役作りまして、ふっかけられた無理難題を知恵と工夫と根性で乗り越える、そんな感じの時代劇であるのですが、なにこれパロディ満載じゃん。ベタな展開だってどんとこいですよ。ほんと、映画ってのはこれくらい気楽に見られて面白おかしいわかりやすいでいいんじゃないかって思わされました。

タイトルが奮っていますよね。お前の藩の報告に疑義があるゆえ、早急に江戸へ参勤せよ。5日以内! って、そんな無理やで。という、その無理をなんとかかんとかして乗り越えようという話。ゆえに『超高速! 参勤交代』。基本、この説明で物語のほぼ全部をカバーしてるくらいにシンプルな話なんですが、シンプルであるがゆえにわかりやすく、途中途中のエピソードもぽんぽんと小気味よく展開して、飽きさせず、最後まで楽しませてくれるって感じの映画だったんですね。

最初、これは史実がベースなのかな? とか思ったんですが、そういうわけではないみたいですね。原作は小説? 原作もかなり面白いみたいなんですが、映画にあったパロディみたいなのとかあるのかな?

映画にはニンジャが出てくるんですが、これがまあベタな忍者で、江戸へと急ぐ一行を妨害してくるその時々に、死して屍拾う者なし、死して屍拾う者なし、って、これ『大江戸捜査網』か! とまあ、こんな具合にパロディ要素があったりして、きっと気づいてない小ネタの類、いっぱいあるんだろうなあ。映画とかドラマとかね、好きでいろいろ知ってる人ならもっと楽しめるのかも、なんて思うところたくさんありました。

でも、こうしたパロディ要素を知らなくても充分に面白くておかしいのが大変よかったです。参勤交代を大幅にはしょりながらも、それらしく装う工夫がもうコミカルで笑わされたりね、きっとこうするんだぜ、って思ったのがそのまんま絵になって見せられたら、やっぱりね、笑っちゃうんですよ。きっとこうなる、そう思ったのをどんと受け止めて、ほら見たいもの見せてやるよ! ってな具合に見せてくれる面白さがあった。演出とか演技も効いてるんでしょうなあ。ちょっと無茶めの展開も悪くない。悪ノリといってもいいのかも知れない、そんな大仰さ、やりすぎ感もありながら、変に感動させようとしたり深刻ぶったりすることがないから、ノセられるままに最後まで一緒に駆け抜けることができた。そんな感触が悪くない映画でしたよ。

2018年4月12日木曜日

『まんがタイムきらら』2018年5月号

『まんがタイムきらら』2018年5月号、昨日の続きです。

『ちっちゃなピアノ教室』。ゲスト掲載はこの3話で終わり? 友達の前以外ではピアノが弾けないつばめの、おともだち帳作戦。うまいこと機能していますよね。双木小乃葉という子がピアノを弾いてほしいといってやってきたのだけど、おともだち帳に記入してないから無理、すなわちこれ会員制? 年会費はいくらなのかという話から、つばめが友達料を請求されてると勘違いしちゃうって流れ、見事でした。つばめの友達、都成梨奈が、つばめの友達づくりの手伝いすべく、暗躍してくれてるんですね。それで小乃葉がやってきた。つばめとの相性もいいみたいで、つばめもリラックスして弾けたようで、でもそれで人がいっぱい集っちゃってというの、まさかロッカーに逃げ込むとか! あの、ひぃ…まだ見てる!? って悲鳴、実におかしかったです。けど、こうして友達またひとり増えましてね、ピアノを習いたいというその子を先生に紹介してって、この一連の描写、つばめと先生の間に信頼関係がちゃんとできてるっていうのも見えて、実によかったです。

『おとめサキュバス』。まさか、今までそんなことになっていたとは、まったく思いもしていませんでした。風の日、ひらりとめくれたスカートの下を垣間見たみちるの一言、なんでパンツはいてないの? なるほど、サキュバスであるふたりにはパンツを履くという文化がなかったわけか。しかも、これだけ人の世界に順応しておいて、その存在さえ知らないという。みちるから説明受けて、キュリアが大ダメージ。対してまるで気にするそぶりさえ見せないルナ。この対照、いい感じでしたね。結局買いにいくことになりました、というのはいいんだけど、パンツ履いてない状態でいきなり下着屋さんって、その前に適当なの買ってしのぐ、とかじゃないんですね。知らないうちはなんでもなかったのに、知ってしまえばもう以前には戻れない。重装備になってるキュリアですよ。下着店での、全然乗り気でないルナの様子も面白かった。乗り気じゃないけど、みちるの悪意にはピンとくるんだ。キュリアと涼香ペアの様子もとてもよくて、ナイスカップリング反応ですよ。ほんと、このふたり、なんか独自の世界を展開するようになりましたね。実によいと思います。

My Private D☆V、『全裸.zip』のみやこです。ということで、イラストも全裸。D☆Vポイントも裸、自然がイチバンときましたよ。しかし、痩せぎすの体、首からかけたタオル。かたわらにはギター、ポータブルプレイヤーで音楽を聞いているのですが、自然がイチバンというとおり、これとなにかを協調するでもない素気なさが悪くない感じでありました。基本、いやらしさがないんですよね。イラストに描かれた子も、中性的といいましょうか、少年のようといいましょうか、さらっとした感触が結構好みであります。

  • 『まんがタイムきらら』第16巻第5号(2018年5月号)

2018年4月11日水曜日

『まんがタイムきらら』2018年5月号

『まんがタイムきらら』2018年5月号、一昨日の続きです。

城下町のダンデライオン』。文化祭に向けて、劇の準備に頑張っているアンジェたちですよ。クラスの皆と親交を深めていくアンジェの様子は、見ていてとても喜ばしいものあって、この子にとってはこういう生活や友達が大切なのだということ、こうして序盤にしっかり描いてみせたのは、ああ、終盤の展開のためなのですね。トラブルで、台無しになってしまった背景大道具。翌日、朝から皆で直そう。しかし間に合うだろうか……、という局面でアンジェの能力が使われるのですが、ああ、壊れたはずの大道具、すっかり元通りになって、けれどこのことをアンジェが自分がやったといわなかったの、能力を隠すためだと思ったら違ったんだ。どんなモノも元に戻すことのできるアンジェの能力は代償として思い出を失ってしまう。この代償のせいで、修復したということも忘れてしまったのか。出てこない劇のセリフ。また親しくなっていたノリとの距離も少し広がっているという、その状況。はたしてアンジェはどれだけのものを失ったのだろう。もうアンジェには、なにを失ったのかということさえわからないということが、なにより悲しいことでありますね。

三者三葉』。大変だ。ただでさえ天使のような葉山ちゃんが、お姉ちゃんのためになることをしたいだなんていいだして、ああ、受験に頑張ってる姉をねぎらいたいのだなあ。なんていい妹。前回などは、葉子様の成長を描いていたわけですが、こうして葉山ちゃんや、いずれは双葉のことも描いていくことになるのかも知れませんね。さて、今回は葉山ちゃんが姉のために夜食を作ることになるんですが、それで双葉に相談したら、カツ丼とかカツカレーとか、めっちゃ重いのが提案されるし、むしろ今回は薗部の提案の方がまともだっていうんですよ。ココア。マシュマロ浮かせればどうですかって、いかにも葉山ちゃんの好きそうなの出してくる薗部、さすがやわ。今回の、葉山ちゃんが料理できないと思われてるところとかに顕著なんですけど、この子たち、ほんとぎりぎりの危険球を投げあってるみたいな対話するんですけど、それが気の置けなさ、親しさを感じさせていいんですよね。そして最後、ココアを用意する葉山ちゃんの失敗、嬉しそうにして、そのまま自分で飲んじゃったりして可愛い。姉にココア持っていって、感謝されて、しみじみ思いを噛み締めてるところなんかも素晴しい。とても美しい姉妹のエピソード、最高でした。

『放課後すとりっぷ』。人間関係、広がっていきますね。白石さんと秋映先輩が中学からの知り合いでした。それで一緒に勉強をしようって話になったりね、というか、秋映先輩が勉強苦手で、白石さんに教えてもらうのだね。でも、わからない時に後輩相手にでも教えを乞えるというのは、とてもいいことだと思う。こんなとこで変にプライド守ろうとして頑なになってもしようがないですもんね。この勉強会に林檎もどうかと誘われて、ああ、林檎は秋映との関係、うまくいってなかったんだ。でも、これをきっかけに仲良くなりたいって、ええ、人間関係が広がっていきますね。次回、勉強会がどうなるか、楽しみでありますよ。

『ぽんこつヒーローアイリーン』。アイリーンが火星に帰るって決めちゃったんだ。アイリーンをダシに、地球に入り浸っていたマリーヌにとっては一大事、っていうんですが、それより問題はメロンですよ。せっかく仲良くなったんだよ? そのアイリーンとお別れしちゃっていいの? ああーっ! とめないんだ。むしろ背を押すんだ。自分は悲しい、別れはつらい、でもアイリーンの決定を尊重して涙の別れですよ。あばっば、もうね、つらい、悲しい。明るくふるまおうとつとめるメロンの、その笑顔が切ない。火星に帰ること、それがアイリーンの悲願であること、わかってたからなんだろうな。そしてアイリーンの火星に帰ろうと決意した理由。前回アイリーンが見た夢、そこで昔の自分に、立派にヒーローやってるよっていえなかった、このためなんだ。でも、そんなアイリーンに、地球でやってきたことは無駄なんかじゃないんだってマリーヌがいってくれたこと、これ、泣けるよなあ。ほんと、アイリーンの頑張ってきた証しであるストーンの数々。いつかアイリーンが、立派にヒーローやってるって昔の自分にも誇れるようになれればいいって、そしてまたメロンとあえたらいいって、願わずにはおられないエピソードでした。

  • 『まんがタイムきらら』第16巻第5号(2018年5月号)

2018年4月10日火曜日

『まんがタイム』2018年5月号

『まんがタイム』2018年5月号、一昨日の続きです。

『ウレ漫とガケ漫』。落ち込む白井っち。それ見て心配してくれる女子高生、春日ちづる。けれど、年頃ゆえでしょうか、きっと失恋したんだって決めつけちゃって、そこからのすれ違いいろいろ、面白かったです。白井は、連載会議の結果、連載を勝ち取れなかったってそれで落ち込んでるんですが、茜の漫画見てね、こういう漫画に憧れるけど、なかなかうまくいかないなんて意味深なこといっちゃうから、ちづるのみならず、茜からも、担当編集瀬戸からも失恋だって思われちゃいましたよ。そこから、やたら気を使われるの、おかしくて、ひとり白井だけ状況わかってない。って、まあわからんよねえ。でも、誤解だってわかってからも、こうして皆が心配してくれたことが白井を元気づけてたっていうのがね、なんかよかったなって思ったんですね。

『瀬戸際女優!白石さん』。白石さん、出演した映画が好評で、15kg増量して臨んだっていう役ですが、その増量も含め、すごい根性だって評価されてるのに、当の白石はというと、太った自分にすっかり慣れちゃって、ダラダラ生活してるっていうのがおかしかった。加えてこの状況をマネージャーさんからも不安視されてるっていうのもおかしかったです。白石、惚れっぽいんですよね。監督の真島のこと好きになっちゃってて、一緒に出掛けることになって喜んでみたりね、でも、真島はそういう気はないみたい。おかしかったの、真島の眼鏡ですよ。眼鏡はずすと、目が3 3になっちゃうんだ! そのギャップにやられてる白石ですが、ほんと、好きになったらあらゆることが評価ポイントになるんだな。でもって、白石、最後には減量成功ですけど、これ、結局恋愛はうまくいかなかったのかな? 次へと移っていくことになるんでしょうなあ。

『はこいり良品』。今回は迷信がテーマですね。マキが財布にヘビのぬけがらを入れていて、お金が貯まるとかいいますよね。これ、いわばお姉ちゃん、お爺ちゃんから迷信いろいろ聞かされてきた、エリート教育の結果であります。日常生活に迷信が紛れこんでた。そういうマキだけど、おかげでいい子にしてたというの、よかったじゃないですか。道踏み外さなくてすんで、迷信様々です。商店街で小さなトラブルが起これば、運気の低下を思い、おはらい、神頼みとくるんですが、いや、ちゃんと体制の見直しとかも検討してるんだから、人事を尽くして天命を待つってやつですよ。マキのいうように、この科学の時代、結局気持ちの問題でしかないのだけど、それで収まるものがあるというのなら、無意味ではないって思うんですよね。今回の話でも、迷信、縁起と理解しながら、ゲンを担いでみたり、ほこらを大切にしてみたりと、そういう気持ちのもっていきよう。うまくバランスとれた、いいエピソードだったと思います。

  • 『まんがタイム』第38巻第5号(2018年5月号)

2018年4月9日月曜日

『まんがタイムきらら』2018年5月号

『まんがタイムきらら』2018年5月号、発売されました。表紙は『スロウスタート』。冠を包みこむようにしている栄依子、ふたりの距離の近さ感じるその様子。これ、紺色の背景も手伝って、まるで夜空に浮んでいるような、ふたり星を眺めるようでもあって、慈しみ語り合うようでもあって、美しいイラストだと思います。紺地に映える金のラインも、またシックでいい趣味だと思います。

スロウスタート』。今回はふにもちの話。ふにもち? 今日はふにもちの特別販売だというのに町内会の会合とかぶってしまって買いにいけない。あまりに落ち込む志温ちゃんにかわって、花名が買いにいくことになったっていうんですが、途中、万年さんが合流。現地では榎並先生、そして冠のふたりに出会う。すごいよ、新機軸だと思った。榎並先生がいて栄依子がいない。冠がいるのに、栄依子がいない! マジかーっ! しかも栄依子、冠から足手まとい、戦力外通告を食らっているという。ほんと、これ、なにごとかと思った。この、榎並先生と話してる時に、そっと他人のふりしてしのいでる万年さんがおかしくて、そして兆野さんと出会った花名、その背後でそっとモブになっていく万年さん。ほんと、これ、おっかしいなあ。他人のふりする万年さんにこころなしかいつもより厳しめの花名。けど、その真意は、万年さんのこと惜しいって思ってたんだなあ。花名が万年さんのことそう思うのもいいことだけど、そうした気持ちを態度で示せるくらいになってることもうかがえて、それもまたよかったなって思ったのでした。

棺担ぎのクロ。 — 懐中旅話』。ああ、いよいよクライマックスなのですね。魔女と出会い、ついに倒れたクロ。これね、クロと先生の関係や、はたしてクロにとって棺はどういう意味を持っていたのか、まさに核心ですよね、踏み込んできているって感じさせられました。そしてニジュクとサンジュの役割といっていいのでしょうか。クロの中のくろいもの、それをニジュク、サンジュに押し付けることになるのか? いや、そうではないんだ。これまで一緒に旅をしてきたこと、クロの荷物を自分たちも持てるよ、そういうふたりの様子はあたかも天上のもの思わせて、そしてクロにかけられた呪いをともに消えていった? あるいは、いつか戻ってくるのか。センのいう、あんなものとはなんだったのか。謎を残したまま、次号最終回。この上にどういう決着を見るのか、ただ後日談を語って終わるとは思えない。しあわせな結末が用意されていたらよいなあって思いますよ。

『がんくつ城の不夜城さん』。まさかの水着回。プールどころか、自室から一歩も出ないで水着回。いや、こうした展開は先達がいますけどさ、今回の状況を引き起こしたのは白仙だったっていうのがおかしくて、白仙自身も水着、不夜城さんの水着を買ってきて、ほぼ無理矢理に着せたのも白仙。で、今回のテーマは水着回。カラーページを貰えたら、狙ってやるといいと思うってね、なるほど、確かに今回は巻中カラー、それで水着回だったっていうわけか……。この、漫画について語られるいろいろと、実際に漫画として展開することがリンクするという構造、この漫画特有というのか、またしてもやってくれたー! ってな面白みがありますね。ところで白仙ちゃん、私みたいなのなんていってますが、それは違いますよ! 白仙ちゃんに好みがあるように、それは人様々なんですよ! とお約束のようなつっこみいれておいて、この漫画終盤に、安易な水着回というか無茶を押し込もうとする不夜城さんの手法にお怒りの羊ケ丘さん。自己言及みたいになってるって思っていいのかな? なんか、変におかしいんですね。

『ゆりどる☆プロジェクト』。アイドルものであります。星咲プロダクションに所属する花森ゆいと音無藍。崖っ縁のふたりにプロデューサーが告げたのは、百合アイドルとしてユニットデビューするというもの。けど、これ、プロデューサーの好み、押し付けてるだけじゃ!? ともあれ、トップアイドルになりたいという藍だけど、この子、歌もダンスもしゃべりも、全部ダメなんじゃないか! よくこの子をユニットに抜擢しようと思ったな! 対してゆいはというと、こちらはなんでもできるのか。でも、門限18時。仕事より、時代劇の再放送を優先する。これ、ふたりともに問題ありなんですね。解雇せず、チャンス与えようと思ったの、温情なのかも知れないなあ……。百合で推すために、いろいろ強引に演じさせるの、ちょっと不憫かもって思ったりもしたけれど、この子らがこのチャンスをものにすることができるならありか? というか、その前に、藍が雰囲気に負けてしまいそうな感じでありますね。

  • 『まんがタイムきらら』第16巻第5号(2018年5月号)

2018年4月8日日曜日

『まんがタイム』2018年5月号

『まんがタイム』2018年5月号、発売されています。昨日発売で、昨日買っていたのだけど、感想を書けない理由があって、一日遅れとなりました。さて、表紙は『おとぼけ部長代理』がメイン。旅館の呼び込みでありますね。法被着まして、手にはタイム旅館の旗。バンザイお出迎え! 楽しい仲間が増えた! との言葉のとおり、他誌から何作も移籍してきましたよ。『銭湯の女神さま』、『おねがい朝倉さん』、『レーカン!』、『モンスターだってうまい飯がたべたい!!』、『軍神ちゃんとよばないで』。移籍タイトルの告知カット、ずらりと並んで壮観です。

『コスプレ先生の絵画教室』。ななみの教室は、一般の美術愛好家のための教室といった感じがあったわけですが、今回は美大志望の高校生を迎えることとなりまして、それ受けてまなが、ガチ勢が来た! って、いや、そうなんだけど、なんか唐突で意外で面白かったです。この教室には石膏像とかない、というのでななみがやっぱりコスプレするんですけど、おお、美大受験しようという人は着眼点が違うというべきか、衣装の素材の描き分けが課題なのでは、なんていってくれちゃって、ななみさん、ほんとにそれ意図どおりでした? ともあれななみの教室は、美大志望の人にとって、気分転換、リフレッシュすることのできる、そんな評価を得たみたいで、この初心に返るというの、実際大切かも知れないなあって思わされたエピソードでした。

『さわらせてっ!あみかさん』。あみか、太ったのか!? というか、筋肉が落ちたのか。これまで入らなかったスカートが入るようになったって喜んでたら、かがりからめりこんでるよって……。やわらか脂肪系のあみかと、しなやか筋肉系のシフォン先生。この対比とか面白かったですね。で、発揮される沙織の変態性。まあ、いつもどおりといえばいつもどおりなんですが、これ、ほら、ゆっくりと右肩上がりでありますでしょう? 初期の沙織と比べたら、もう、とんでもない欲望系女子になってますよね。シフォン先生おすすめの水泳。それはいいんだけど、水着を着るには体形が問題、っていうのでそのための筋トレやってみたりと、今回はほんとあみか迷走系でありましたね。でもって、このあみかの迷走にいろんな人が振り回される。というか、主に沙織か。あの水着のチョイス、欲望に忠実だ! そしてバス子。この人、発想が痴漢のそれだよ! ええ、そのビンタは罰だとお思いなさいね!

『軍神ちゃんとよばないで』。なんだ、これ、アニメのOPかい!? ともあれ、川中島3回目。今回は柿崎が打って出るんだけど、とにかく発想が脳筋、真っ直ぐ、一直線。それでどーんと選んだのが、一番男らしいと判断した相手。罠だといって止める部下を制して現場につけば、いきなり名乗りをあげて一騎討ちを所望する。めちゃくちゃ面白かった。鎌倉時代か! 部下のつっこみも切れがいい。敵方の将、保科正俊も脳筋で、一騎討ちを受けるわ、影武者であることバラしちゃうわと、敵味方問わず飛び交うつっこみの数々がおかしく、しかも本陣に詰める宇佐美定満も遠くからつっこみ。ほんと、テンポよくって、ダイナミックで、脳筋ふたりが一騎討ちにて大立ち回り、豪快で愉快な話だなあ。そう思っていたら、終盤、あの展開でしょう。敵の策に落ちていたことを理解して交渉に持ち込んだ柿崎、これ、ただなんの考えもなしに動いてるわけじゃないのか! って、一気に柿崎の評価が変わった瞬間でしたよ。

『見上げればいつも妹が。』。兄の誕生日。それで遥がプレゼントを用意するっていうんですけど、その過程、大学で友人? の久我さんから同棲している彼氏がいると勘違いされたりね、職場では大杉がやっぱり暴走気味だったりと、こうしたいろいろ面白く、そして遥の選択ですよ。おー、プレゼントいっぱい! って、エプロン、下着に靴下って、日用品いっぱいで、けどこれツブテ嬉しいんだ! とり肉とブロッコリーも嬉しいんだ! こうしたところ、本当に面白い兄さんだなあ。でもね、前回も、そして今回も、遥の様子見てたらね、ツブテのこと、本当に兄とか、でもって弟とか、そういう気持ちでいるって思っていていいんだろうか!? そんな疑問のわく瞬間が多くてですね、いやいや、なんともわかりません。ツブテはもう完全にお兄ちゃん気分でいるみたいなんですが、ふたりのこうしたいろいろ、ギャップ? 今後、より鮮明になっていったりするのかも知れませんね。

  • 『まんがタイム』第38巻第5号(2018年5月号)

2018年4月7日土曜日

ゴールデンカムイ

 アニメになるんだってね、『ゴールデンカムイ』。それで集英社さんがご厚意で、100話だけ無料で読ませてくれるよっていうんで、読みだしたらこれがまあ面白い。母にもね、心暖まるいいお話だよっていってすすめたら、毎日もりもり読んでるからね。ほんと、北海道を舞台に血湧き肉踊る活劇あらば、野趣あふれる山の幸川の幸海の幸を堪能できるグルメ展開までありと、本当に面白くって、そうなんだ、今日は本当は『まんがタイム』の発売日で、当然雑誌を読んで感想書いてってやるはずでいたんだが、買うだけ買って、まだ読めてない。もうどうしようもないので、『ゴールデンカムイ』が面白いということだけ書いて、今日の分にしてしまうしかなくなってしまったんだ。

無料配信期間は4月9日23時までです。

みなもぜひ読もう!

私は当然アニメも見る予定でいます。

  • 野田サトル『ゴールデンカムイ』第1巻 (ヤングジャンプコミックス) 集英社,2015年。
  • 以下続刊

2018年4月6日金曜日

『まんがタウン』2018年5月号

『まんがタウン』2018年5月号、昨日の続きです。

『新婚のいろはさん』。いろは、始と、颯斗、3人でバーベキューですよ。そこでの颯斗、微妙にめんどくさいのがいいですね。そうか、料理する姿を人にみせびらかすのが目的なんだ。しかもその目的、実に徹底していて、それがほんと面白かったです。そして始の新連載。作風が変わったって、日和っただ、意味がわかるようになっただ、評価もいろいろなんですが、そうか、この変化をもたらしたのは、いろはさんとの生活なんですね。無駄を排した潔癖ともいえるこれまでの漫画と、余計なものは大事、必要ないものは要る、そんな考えをするようになった今の始の漫画。ほんと、いろいろを知ることで変わったんですね。いろはから与えられたもの、新しい生活に気づかされたもの、それがこうして描かれ、語られるの、すごく自然でありながら、とても深く沁みいるものありましたよ。

『小春さんずれてない?』。妙なこだわりが充満している小春の自室に冬樹が駄目出しですよ。大量にある海の生物グッズは時におどろおどろしげで、おすすめ映画もとてつもないB級感あふれるものでという、このなんともいえないセンス。とにかくなんとか改善しようとするんだけど、そうしたら冬樹の部屋の家具もろもろと、小春のものがほぼそっくり入れ替わるっていうね、小春もそうだけど、冬樹もほんとにそれでよかったのでしょうか。だって冬樹、小春の荷物、怪しいぬいぐるみに囲まれて、三角座りしてるんですよ? 全然くつろげてないじゃん! さらにここに小春も入り浸るっていうんですが、ほんと、入れ替えた意味がない! このおかしさ、というか、この小春って人に対処できるの、冬樹くらいしかいないって! もう、このふたりがつきあえばいい、その結論に達しないの、なんか冬樹があえて気づかないようにしてたりするんじゃないか、そんな気がしてくるんですよね。で、小春は天然で気づいていないんですよね、きっと。

『俺の生徒は神メイド』。いつになくアンニュイな知世子。はたしてなにか問題が? なんと、メイド喫茶に困った客がくるっていうんですね。ああー、夏川はストーカーと決めつけてますけど、これ、きっと、くっきー先生よね? くっきー先生でした。夏川といいあいして、知世子から叱られる先生。そして、前回学園祭でも若干迷惑客だったブロガー、篤志がまた加わって、ああ、ちょっとした混迷だこれ。あまりのメイド愛に引かないではおられなかった夏川とかね、でもってあまりにくっきー先生とブロガー篤志が意気投合して、大きな声でしゃべるから、それが正直迷惑だったと……。今回、夏川、大活躍でしたよね。この子がいてくれたおかげで、これまでいうにいえなかったことを、ふたりにちゃんと告げることができた。でもって、この正直うるさかったと遠い目する知世子ね、メイドのちょこるんではない姿を、ふたりに見せるようになってる。それって距離が近づいてるってことかもですね。いや、メイドラブのふたりにとっていいことかどうかはわからんのですけども。

『あいたま』。ひよこと一緒に帰ることになったバニラ。念願かないはしたけれど、あいと蓮も一緒と知らされて、あ、ショックだった? お、そうじゃないんだ。むしろ嬉しそうにしてる、ここにもバニラの変化、しっかり見てとれていい感じです。皆でコロッケを食べにいくっていうんですね。ここでも、バニラ、念願かなってる。ほんと、この子、いろいろやりたいこと、増えていってるんですね。そしてコロッケを注文する蓮ですよ。コロッケ4つ注文するのはいいけれど、それ、全部自分の分なんだ! しかも晩ごはんもちゃんと食べるっていうの、どんだけ食べるのかって話ですけど、でもたくさん食べること自体は悪くはないですよね。いや、太るのか……。それはあかんな。バニラと一瞬結ばれた友情が、瞬間で瓦解するくだり、最高でした。コロッケ食べて、デザート食べにカフェにいってと、食欲のとどまるところを知らない蓮に、ちょこちょこ入る細かなつっこみもおかしくて、しかもこのつっこみにバニラも参加してるというのがおかしいやらほほえましいやら。もう、みんなすっかり仲良くなったんだって思わせられたエピソード。最後の、約束するでもなく皆で一緒に走ることになるところなんかもね、とてもよかったと思ったんですよ。

  • 『まんがタウン』第19巻第5号(2018年5月号)

2018年4月5日木曜日

『まんがタウン』2018年5月号

『まんがタウン』2018年5月号、発売されました。表紙は映画『クレヨンしんちゃん 爆盛!カンフーボーイズ』でありますね。ラーメン手にしたしんのすけが、カンフーさながらポーズを決めています。他に『野原ひろし昼メシの流儀』、『新婚のいろはさん』、『鎌倉ものがたり』のカットもありますが、これらは新規ではありません。また、『青少年アシベ』と『踏切時間』、単行本発売にアニメ化を受けてのゲスト掲載を告知するカットもございます。

『踏切時間』。今期、アニメになるというので、ゲスト掲載されました。こないだ今期のアニメをざっと調べて、とりあえずタイトルだけ把握していた漫画です。踏切を舞台としたオムニバスもの。毎回、登場人物は変わります、というの、これはきっと叙情を重視した漫画だな! そう思ってたものだから、いやまあ、意外でした。思いっきりコメディ志向ですよ。今回のゲスト作でも、踏切の向こうとこちらとで、女の子ふたりがなんか面白そうなことやってる。いかにも構って欲しそうな女の子が、相手の行動、マネしてみたりしましてね、それを発端とした物真似合戦? 最初はめんどくさそうにあしらってた子が、最後に大失敗しちゃうのね。落着きなくたわむれる感じがおかしいですね。

『ようこそ!スマイリーバーガーへ』。たまこ、たまたま見た強盗を撃退したコンビニ店員のニュース。感化されたわけじゃないけれど、自分もそういうのできないといけないのかなって思ったりして、いやいや、いやいやいや、そんな覚悟されても困っちゃうってやつですよね。必死でとめるオーナーがよかったです。今回はいろいろなお客さま、といったところでしょうか。強盗をお客に数えていいのかどうかはわからないけど、お酒に酔って騒いじゃうお客さんとかね。陽気なのはいいのだけど、大きな声が他のお客さんの迷惑になってる。たまこ、注意したいけど、どうしたらいいかわからない、というところで南町田さんに頼っちゃって、ああ、すずちゃん、勇気振り絞ったなあ。車イスのお客さんにどう対応するかというのも、それぞれに違ったやり方があって、あ、梅ちゃんのやり方の方がいいっぽい! なんて思ったりね、でも、本当にそれぞれなんだよっていうのが、いい結論だったと思います。どうしても、こうしないといけないみたいに思いがちですけど、こうと決めつけすぎる必要はないんだっていうの、ちょっと気持ちも楽になりますね。

『恋するヤンキーガール』。アヤメちゃん、普通の格好です。って、ナギよ、そこは可愛いっていってあげなよ。実際、そう思ってるくせによう。今回、ふたりのデートの様子が描かれましてね、アイススケート、アヤメちゃんは初めてのスケートで、まったく滑れないっていうんですが、なんでそんなに覚悟決めて男前な台詞なの。ナギに手を引かれてリンクに出てからがおかしくて、密着してるカップルとか見てね、堂々と抱きついても許されるんだ! って、いやいや、別にここじゃなくても許されてるんじゃない!? ほんとやる気を出したというか、殺気みなぎるというか、ギラギラとしたアヤメちゃん。ギラギラしすぎて、ついには自力で滑れるようになってしまって、ほんと、目的不達成じゃん! でも、あのついつい滑れてしまってるアヤメちゃん、自然体でなんかよかったな。ここでハプニング。ひょんなことから目的以上のことを成し遂げてしまうというんですね。押されて倒れて、意図しないキスでありますよ。アヤメちゃんはそうと確信持てずにいるのですが、ナギは完璧意識しちゃってますよね。小さなことじゃん、気にすんなって! とはいかないんだろうなあ。これ、ギクシャクするのか、この一歩を成果としてさらに前進するのか。ううむ、少なくとも後者は想像つかないですね。

『青少年アシベ』。これは特別再録。なるほど、コミックスが出るので、タウン読者にもぜひ知っていただこうというわけですね。高校生になったアシベたち。私は『少年アシベ』はちゃんと読んだことがなく、登場人物の把握もままならないので、たとえばアシベとスガオの関係に妄想ふくらませている女子、この子が誰なのかとか、ちょっとわからないんですけど、ともあれひとつの可能性の提示、みたいな感じですよね。アシベがゴマちゃん運ぶときに腰を痛めてしまっていたりとかね、これ、本編でもそういうのあったのかな? って思ったけど、本編は小学2年生。この事故は小学5年生のとき、ということは、この漫画独自の設定と考えていいのでしょうか。なんだか独特のタッチの絵柄、ネパール帰りのヒーリングってとこ、あの動きの描写とかなんか面白い。スガオのかつての思い出のネパールの情景とかね、チットちゃんの献身とか、なんともいえない味わいありますね。情の深さ、感情の強さ、思いつめるでもなく、ただただスガオの回復を望んで身を削るようにして寄り添う。そうした気持ち、この子、チットちゃんだけでなく、他の皆にも少なからずありそうに思わせるエピソードでした。

  • 『まんがタウン』第19巻第5号(2018年5月号)

2018年4月4日水曜日

人類滅亡 - LIFE AFTER PEOPLE -

 最近はこれを見ています。『人類滅亡 - LIFE AFTER PEOPLE -』。人類がこの地上から去ったあと、人類の作り出したもの、文明はどのようになるのか。そうした興味は誰しもあるんじゃないかと思います。最近、人類の文明が終焉を迎えた後の世界を描いたフィクションに好評はくするものがいくつも出ています。ポストアポカリプスというんですってね。人類が長い時間をかけて築きあげてきたものが、脆く崩れさる。それは文明であり、都市であり、社会のモラルやルールでもあり、そうした異常な状況において、残された人間はいかに生きるのか。と、ここまで書いておいてなんですが、『LIFE AFTER PEOPLE』はちょっと趣向が違います。なんといっても、人類はもういないんですね。社会もモラルもへちまもなく、人っ子ひとりいなくなった世界にて人類の築いたものはいかに消えさるのかに焦点をあてたプログラムであります。

ようこそ地球へ。人口はゼロ。

毎回のプログラム開始時にアナウンスされるキャッチフレーズなんですが、結構かっこよくって気にいっているんですよ。オリジナルは Welcome to Earth. Population Zero. なんですね。直訳なんだ。こういう短いフレーズで、はっと見るものの心をつかむの、本当、うまいと思いますよ。

番組は、人類がいなくなってから一日たった世界はどうなっているか。一週間ならどうなっているか。といった具合に、時間、日数を少しずつ進めていきながら、いかに人の痕跡が失われているかを説明していきます。それは例えば巨大なビルディングで、家畜など人の文化が作り出した生き物で、とりわけ印象的なのは人が永続を夢見て作り上げたモニュメント。もう、毎回これでもかと人の営為の痕跡が消失していく様がプレゼンテーションされるのであります。

各回ごとにテーマが決められていて、例えば第1回は「残された死体」。死体? そんなの、すぐに腐敗して崩れさって終わりじゃないのん? 見る前まではそう思っていたのですが、いやいや、そんなもんじゃありませんでした。死体といっても特別な死体です。ミイラや、あと特別に防腐処理のほどこされた指導者たちの遺体。これらもある意味、永続を求めた末のモニュメントといえるのだと思うのですが、これらが、まあ、どんどん朽ちる様を見せてくれます。けれど、ただ消え去る過程ばかりを語るのではなく、もしかしたらなんらかのかたちで残るかも知れないという可能性、化石になるとかね? そこまで言及してくれるから面白い。

テーマごとに描写されるタイムスパンは違ってくるのですが、都市や建築物となると、もうかなり遠い未来まで視野にいれてくれるんですね。それこそ100万年みたいな先の可能性まで検討して、けれどそれでわかるのは、よほど特別なものでないかぎり人類の痕跡は残らない。まず、跡形もなく消え去るものだということです。そして同時に、我々が堅牢と思っているもの、都市でも建物でも、それらは実際にはかなり脆くて、思っていたよりもはやく機能を喪失、壊れていくものだと思い知らされます。

この番組、廃墟ファンにもおすすめなんですよ。毎回、都市や建物がどのように崩壊していくか、その実例を紹介してくれるんです。第1回は日本の長崎でした。ほら、軍艦島ですよ。人の手が入らなくなった建物は、このように壊れていくのだという実例ですね。なぜ人がその地を去ることになったのかは毎回違うのですが、産業構造が変わって鉱山が閉鎖されたからとか、あるいは環境破壊とか、いろいろ。海辺の町、砂漠の町といったように、シチュエーションもいろいろ。立地、環境が変われば、ウィークポイント、壊れ方も違ってくる。潮風に晒されて金属やコンクリートがぼろぼろに崩れるケースがあれば、凶悪な外来植物に覆い尽くされ、壊されていくということもある。そのバリエーションよ! 実に刺激的でありますよ。

人の作ったものはこんなにもはやく壊れていく。それこそ、都市を維持しているシステムの喪失が、都市を一気に破壊の方向に向かわせる様など見せられると、揺るぎも危なげもなく存在し続けそうにさえ思える都市の脆弱さを思わずにはおられません。あるいは、都市にしても、町にしても、多かれ少なかれ自然なありかたに逆らって無理矢理成立させているものなのだと、改めて実感させられるのですね。排水し続けないとすぐさま水に漬かってしまうとか、水の供給が断たれると砂漠に戻ってしまうとか、そうした例が示されるたびに、想像以上に街というものは人為的なのだと、メンテナンスを怠れば簡単に機能不全に陥るのだと、都市や社会を維持するコストの高さ、要求される労力を思うとともに、日頃当たり前に思っているものはちっとも当たり前なんかではないのだよと、諭されているようにも感じるのでありました。

2018年4月3日火曜日

『まんがホーム』2018年5月号

『まんがホーム』2018年5月号、昨日の続きです。

『広島さん、友達になってください』。キミちゃんの広島に順応していく様。今回は方言ダジャレっていうんですが、キミちゃんのツボるポイント、難しいなあ! 陽気な広島の県民性。そういった矢先に、日陰広島人を自認する霞晴子を投入してくる。なるほど、父広島人、母は東京出身。言葉は母寄りなんですね。かくして、自分を半端者だといってみたり、他にもいろいろネガティブなこといっててね、いや、紅たちのいうように、これ遠回しの自慢? いや、そんなまわりくどいことする子じゃないっぽいですよね。でも、なんかいろいろ屈折した子です、霞さん。うん、すごく好み。半端者、自分のことそう卑下しながらも、広島が好きな気持ちはよくよく伝わってくるし、それに不器用なのかエキセントリックなのか、その不思議なコミュニケーション。面白かった、よかったです。そして最後、キミちゃん、タミちゃんのわからなかった広島ことば。いらうって通じないかー! ここで過剰に心配してしまうキミちゃんの様子も面白かったです。

『マツ係長は女ヲタ』。今回は慰安旅行の話題です。タケ専務がね、皆のよろこぶ旅行先を決めるよう、皆に通知して消えたのですが、それでもう皆の好みがちっともまとまらない。それを、マツ係長が島根がいいんじゃないかと、島根なら皆の要望、うまく応えられるって、見事なプレゼン披露してくれたんですね。だけど、なぜかヲタ顔。これ、自分の表情、わかってるから、皆に背を向けてるんだ。さすがだな、マツ係長。さて、なぜ島根か。可能性はふたつですよね。その時期に島根でカラワンのイベントがある。もうひとつは、しろたんの出身地。後者でした! 説明の途中で突然歌いだすマツ係長、最高でした。そしてウメ君、これは心の叫び? 最近土日は上司に連れ回されてるっていうの、でもこれ、好きとかどうとか、恋とかどうとか、まるで関係なくて、ヲタ活動だものな! 今回、ウメ君の本音を聞いて、自分の提案を引っ込めたマツ係長。この人、こうやって自重できるの、これいいよなあ。で、それでウメ君、がっかりしたんだ! そうか、そんなにカラワンに、しろたんに入れ込んでるんだ、ウメ君! って、違うよね!? でも、マツ係長との旅行が実現します。これでなにかが進展したりはしないんだろうなあ。

『マチ姉さんの妄想アワー』。最終回かあ。けれど内容はいつものとおりですよ。通常営業という意味でいつもどおり。また、いつもどおりキレキレの内容。しょっぱなから最後まで、本当に面白かったです。「やさしい世界」、最高でしたよ。マニアだからこそわかるマニアのツボみたいなネタで、この理解者と出会えた喜びにうちふるえる男性、その姿よ、最高でしたね。他のも面白くって、ほんと終わるのが惜しいですよ。赤ずきんの「無茶ぶる孫」、これもね、すごい。そして最後の昔話は白雪姫のお妃がつとめて、この人、いいキャラだったよなあ。自分のこと善人じゃないっていってるけど、なんのなんの、人間味ある憎めないアイツって感じでしたよ。妄想アワーはこれにて終了。ハズレのない、素晴しい漫画でした。

『うちの秘書さま』。サービス回だ……。自宅の風呂が故障したというので、七瀬提案で銭湯にいきますよ。無理矢理連れていかれる庭師の田中さんとか、そしてやたらゴージャスはじめの荷物とか、のっけから面白かったんですが、騒いで子供から諭されるはじめとか、気の効いたネタ多くて、いい感じ。七瀬の失礼な言動もいい感じ。でもって、銭湯だから、お風呂だから、裸だからといっても、特段いやらしかったりしないのも好感触。といいながら、メイドの彼女、髪が濡れてストレートになるとこんなにも雰囲気が変わる! いつもとは違う場所で、いつもとは違う雰囲気、様子を見せてくれた今回、なんだかいろいろと嬉しく思えるものですね。そしてはじめは結構ないつもどおり。ああー、男湯にひとり、誰も助けてくれないとこうなっちゃうか。これ、銭湯に慣れてないっていうのもあるんだろうなあ。そういう時はまずは番台に相談するんですよ。

  • 『まんがホーム』第32巻第5号(2018年5月号)

2018年4月2日月曜日

『まんがホーム』2018年5月号

『まんがホーム』2018年5月号、発売されました。表紙は『らいか・デイズ』らいかがメイン。髪をちょっといじってる? おしゃれが気になる季節なのでしょうか。春、ちょっとした気持ちの変化などあるのかも知れませんね。そして、新連載4作品、他誌から移籍してきたタイトルが、どーんと4点、告知カットを並べています。『シロクマはシェーカーを振れません』、『広島さん、友達になってください』、『ちっちゃい先輩が可愛すぎる。』、そして『ふみのさんちの大黒柱』。ホームでも人気になるといいですね。

『スナックあけみでしかられて』。面白かった。桜の季節、休日に桜まつりがあるというんですが、そこに出店する屋台、病欠したお店の代役で、あけみママの店も出るっていうんですね。桜色のシャンパンをふるまうお店ですよ。あけみさんも、いつになく素敵なドレス着てましてね、うわ、なんだ、すごいな。ほんと、まったくもって印象違ってきましたよ。でも、このドレスの顛末、裏を知ると面白いですね。カラオケ大会に飛び入り参加できないかなって考えた上での、ステージ衣装(予定)だったんだ。屋台が繁盛してカラオケどころじゃなくなったからいいけど、ほんと、あぶないところだったんですね。お店を切り盛りしてる人だからこそでしょうか、繁盛するとテンションあがる。さらに、もっと売れる可能性があるとなると、品揃え、増やしていこうっていうのね。このとめどない商いの探究心、これがなによりよかったですよ。

『孔明のヨメ。』。徐庶の周辺がいろいろきな臭くて、ああ、悲しい出来事がおこりそうな予感がする……。曹仁の軍を退けられた。それはよいのだけど、これまでとあまりに違った戦い方に、郭嘉の手のものが徐庶の周辺に探りをいれていて、ああ、徐庶、偽名使ってるもんな。あまりに情報少ないから、素性探るのも困難なのか。でも、バレてしまった。襄陽に帰って、実家に顔を出したところをしっかり見られて、それが弱点かと悟られて……、ああ、徐母よ……。この先を読み進めるのが怖いですね。さて、今回描かれた徐庶と孔明の対話。ここに孔明の非凡な才が示されて、徐庶もできる男だけれど、孔明はさらに深く読んでくるのだと実感させられます。そしてその深い読みは曹操のもとにいる郭嘉も同様と見せつけて、いやもう、不穏な予感しかしない。これからどんどんつらい話、増えていくのかなあ。

『ちっちゃい先輩が可愛すぎる。』。移籍してきましたね。簡単に人物紹介しながら、高瀬たちの様子、描いてみせて、雨の日、うねる癖毛、可愛いもの好きの駒井先輩に、見た目こそ怖いけれど実はチャーミングな課長などなど。人となり、知らせるだけでもしっかり面白かったです。そして仕事のこと。雨の日に、売れ残り物件の契約をまとめてきた野見山チーフ。まだこの後も内見があるっていうんですが、雨の日に内見、雨なのに、じゃないんですね。雨だからこそという着眼点。なるほど、これは納得でした。不動産の仕事のノウハウってだけじゃなく、家や部屋を借りる、買う側にも役立つ知識でしたよ。高瀬も、今回はすぐ成績に結び付いたりはしなかったけれど、後に続きそうでよかったですね。

『おんなのおしろ』。なるほど、猫は飼うことにして、あの男は無事リリースでありますか。でも、七海の好みは猫よりもむしろ犬だった。それでもちゃんと飼おうと、必要なもの揃えていこうというくだり。なんとも苦笑させられるようなやりとりあったりしましてね、おかしかった。病院にもつれていくんですが、猫の名前を聞かれて、咄嗟に思い付いたのがノラ。人形の家のヒロインと一緒だ、というのはいいとして、これ、今後もノラでいくんでしょうか。猫に必要なもの、相談している相手、友人かと思ってたら、例の男の姉でもあるんですね。ゆえに辛辣。そうか、あの男との関係を断っても、姉との付き合いは続くんですね。なんか面白い。けど、こうしてあの男とのつながり、まったく完全に切れてないというところに、今後、またなにか関係の修復されたりしそうな可能性などうかがわせられますね。

  • 『まんがホーム』第32巻第5号(2018年5月号)

2018年4月1日日曜日

弟の夫

 先日、NHKでドラマになったのを、遅ればせながら見ました。『弟の夫』。漫画が原作で、その冒頭は読んでいたのですが、いやあ駄目ですね、いつでも読めると思ってしまうと、ついつい後回し、積んでしまうのは悪い癖です。結末はドラマで知ることとなってしまったわけですが、どうなるんだろうと思っていたドラマ、丁寧に作られていて大変よかった。把瑠都の演技も、自然で、人情味溢れていて、相撲取りとは仮の姿だったのか……!? マイクの雰囲気、よくよく体現なさっていたなあと、あらゆる方面に感心しきりのドラマでした。

このドラマ、BSだけでやっていたんですけど、なんでなんだろう。総合でやってくれたらいいのに。もっと多くの人に見てほしい、そう思えるドラマだったんですね。

タイトルに違和感を感じる人もいるんじゃないかと思います。弟の夫。普通 — 、弟には夫はいない、そう思ってしまいがちですよね。つまり、これは弟がゲイであるということ。かつてそのカムアウトを受けて、以降どう弟と接していいかわからなくなってしまった兄が、カナダからやってきた弟の夫と交流を深めることで、自分自身に向きあっていく、そうしたストーリーといえばいいのでしょうか。言葉にすれば簡単なのだけど、それをこうまで真摯に描いてみせたことがとてつもない。知らず共感を覚えて、弟の夫マイクが、兄弥一が、そして弥一の娘夏菜が、親しい友人であるかのように感じられる。だから、それだけに、マイクに向けられる偏見が描かれた時には、なんて酷いんだと憤慨する気持ちがふつふつと沸いておさまらない。けれど、そうした偏見に、劇中でこっぴどくやり返して溜飲さげたりすることはないんですね。ただただ、自分自身の心情を、思うところを語るばかり。声高にはならない。それだけに、胸に静かに言葉も感情も通ってくるのかも知れません。

この物語でなにが悲しいかといえば、もう弟が亡くなっているってことでしょう。この物語は、弟が亡くならなければ始まらなかった。あるいは、こうした展開もなかったのだろうと思われて、だからなおさら兄の気持ちが思うほどにつらい。

死者との対話は、つねに後悔がともにあるのだろうか。ああすればよかった、こうもすればよかった、あるいは、なぜあんなことしてしまったのだろう。今、あの時の失敗を悔いたとしても、もう取り返しはつかなくって、弥一よう、やっと弟のことを理解できたというのになあ。弟も兄との関係がギクシャクしてしまっていたこと、悔いていた。もっとこうしておけばよかったのかもと弟も思っていた。けれどそれを今知ったとしても、もうどうにもならんのです。時間さえ許せばきっとわかりあえただろう兄と弟が、その機会を持たないままに別れねばならなかったというのは大きな大きな不幸で、ずっと凍っていた感情が溶けたかのように涙を流す弥一の姿に、もう胸をしめつけられる思いがした。たまらんドラマでした。

それだけに弥一とマイク、夏菜がたどりついたところ。離れていても家族だという、その言葉に救われる思いがしたのでした。ええ、弥一にとって弟もそうだというのが、彼の気持ちの整理がついたように思えて、かたく蓋のとじられていた弥一の心も開かれたのだろうなと思わされて、人はこうして悲しみに折り合いをつけながら、その心に大切なものを同居させていくのかも知れない。また私にも、いつかそういう日がくるのかも知れない。なんてことを思いながら、なら私は後悔する前にわかりあう努力をしなければいけないのだろうな、などと考えたりもしたのでした。

  • 田亀源五郎『弟の夫』第1巻 (アクションコミックス) 双葉社,2015年。
  • 田亀源五郎『弟の夫』第2巻 (アクションコミックス) 双葉社,2016年。
  • 田亀源五郎『弟の夫』第3巻 (アクションコミックス) 双葉社,2016年。
  • 田亀源五郎『弟の夫』第4巻 (アクションコミックス) 双葉社,2017年。