『まんがタイムきらら』2018年5月号、発売されました。表紙は『スロウスタート』。冠を包みこむようにしている栄依子、ふたりの距離の近さ感じるその様子。これ、紺色の背景も手伝って、まるで夜空に浮んでいるような、ふたり星を眺めるようでもあって、慈しみ語り合うようでもあって、美しいイラストだと思います。紺地に映える金のラインも、またシックでいい趣味だと思います。
『スロウスタート』。今回はふにもちの話。ふにもち? 今日はふにもちの特別販売だというのに町内会の会合とかぶってしまって買いにいけない。あまりに落ち込む志温ちゃんにかわって、花名が買いにいくことになったっていうんですが、途中、万年さんが合流。現地では榎並先生、そして冠のふたりに出会う。すごいよ、新機軸だと思った。榎並先生がいて栄依子がいない。冠がいるのに、栄依子がいない! マジかーっ! しかも栄依子、冠から足手まとい、戦力外通告を食らっているという。ほんと、これ、なにごとかと思った。この、榎並先生と話してる時に、そっと他人のふりしてしのいでる万年さんがおかしくて、そして兆野さんと出会った花名、その背後でそっとモブになっていく万年さん。ほんと、これ、おっかしいなあ。他人のふりする万年さんにこころなしかいつもより厳しめの花名。けど、その真意は、万年さんのこと惜しいって思ってたんだなあ。花名が万年さんのことそう思うのもいいことだけど、そうした気持ちを態度で示せるくらいになってることもうかがえて、それもまたよかったなって思ったのでした。
『棺担ぎのクロ。 — 懐中旅話』。ああ、いよいよクライマックスなのですね。魔女と出会い、ついに倒れたクロ。これね、クロと先生の関係や、はたしてクロにとって棺はどういう意味を持っていたのか、まさに核心ですよね、踏み込んできているって感じさせられました。そしてニジュクとサンジュの役割といっていいのでしょうか。クロの中のくろいもの、それをニジュク、サンジュに押し付けることになるのか? いや、そうではないんだ。これまで一緒に旅をしてきたこと、クロの荷物を自分たちも持てるよ、そういうふたりの様子はあたかも天上のもの思わせて、そしてクロにかけられた呪いをともに消えていった? あるいは、いつか戻ってくるのか。センのいう、あんなものとはなんだったのか。謎を残したまま、次号最終回。この上にどういう決着を見るのか、ただ後日談を語って終わるとは思えない。しあわせな結末が用意されていたらよいなあって思いますよ。
『がんくつ城の不夜城さん』。まさかの水着回。プールどころか、自室から一歩も出ないで水着回。いや、こうした展開は先達がいますけどさ、今回の状況を引き起こしたのは白仙だったっていうのがおかしくて、白仙自身も水着、不夜城さんの水着を買ってきて、ほぼ無理矢理に着せたのも白仙。で、今回のテーマは水着回。カラーページを貰えたら、狙ってやるといいと思うってね、なるほど、確かに今回は巻中カラー、それで水着回だったっていうわけか……。この、漫画について語られるいろいろと、実際に漫画として展開することがリンクするという構造、この漫画特有というのか、またしてもやってくれたー! ってな面白みがありますね。ところで白仙ちゃん、私みたいなのなんていってますが、それは違いますよ! 白仙ちゃんに好みがあるように、それは人様々なんですよ! とお約束のようなつっこみいれておいて、この漫画終盤に、安易な水着回というか無茶を押し込もうとする不夜城さんの手法にお怒りの羊ケ丘さん。自己言及みたいになってるって思っていいのかな? なんか、変におかしいんですね。
『ゆりどる☆プロジェクト』。アイドルものであります。星咲プロダクションに所属する花森ゆいと音無藍。崖っ縁のふたりにプロデューサーが告げたのは、百合アイドルとしてユニットデビューするというもの。けど、これ、プロデューサーの好み、押し付けてるだけじゃ!? ともあれ、トップアイドルになりたいという藍だけど、この子、歌もダンスもしゃべりも、全部ダメなんじゃないか! よくこの子をユニットに抜擢しようと思ったな! 対してゆいはというと、こちらはなんでもできるのか。でも、門限18時。仕事より、時代劇の再放送を優先する。これ、ふたりともに問題ありなんですね。解雇せず、チャンス与えようと思ったの、温情なのかも知れないなあ……。百合で推すために、いろいろ強引に演じさせるの、ちょっと不憫かもって思ったりもしたけれど、この子らがこのチャンスをものにすることができるならありか? というか、その前に、藍が雰囲気に負けてしまいそうな感じでありますね。
- 『まんがタイムきらら』第16巻第5号(2018年5月号)
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