『まんがホーム』2023年8月号、発売されました。表紙は『らいか・デイズ』。連載20周年達成!! の文字が踊ります。いやほんと、もう20年たつのですか。びっくりですよ。それだけの期間、安定して続いていることもまた驚愕で、めでたい、すごい、なかなか達成できない数字に圧倒されています。ということで今回はお祝い。らいかは焼きサンマに大根おろしで20thと書いていい笑顔。『天下分け目の小早川くん』は大きなクラッカーでお祝い。『俺と式神の主従契約』は祝と書かれた風船を浮かべて、『孔明のヨメ。』は獅子舞と桃でお祝いです。
今月は新規ゲストが3本です。
『星乃くんのハートはモフモフに埋もれてる』
高校生の星乃くんは俳優としても人気。学校でも当然のように大人気なのだけれど、その実態は消極的な内向きボーイ。ぬいぐるみのベア吉にしか心を開いていないというのだけれど、ベア吉相手に会話してきたことが演技を磨いて、子役時代から評価を得ている。
そんな星乃は、周囲の人たちと接するために、常に爽やかな王子キャラを演じているのだけど、困ったことに星乃が気になる温井さんを前にすると、その演技力が発揮されずぶっきらぼうボーイになってしまう。
この思いと行動のうらはら。なんとか好感のある振る舞いをと思いながらも、ついつい地が出て誤解されてしまうという悲劇。しかし、ある日見られてしまった星乃の秘密。ふところからハンカチを出すつもりで間違えたベア吉。それを見た温井は走り去ってしまうのですが、それはなぜ?
次号、理由判明だそうですよ。このアクシデントが星乃に対する温井の誤解を解くきっかけになるといいですね。
『真琴さんは定時で帰って○○したい』
ソーシャルゲームを運営する会社にてインフラエンジニアとして勤めている岩清水真琴。システム保守部門の管理職に抜擢されたのはいいものの、本人としては仕事に生きるタイプではない、むしろ定時で帰りたいがために必死で頑張っていただけ。なのに思わぬ評価を受けてより重責を担うこととなってしまって、これはまさしく痛し痒しの状況でありますね。
そんな真琴に訪れた苦境。運営しているソシャゲの1周年イベントがはじまるとともに発生したアラート。充分にキャパシティをとったはずが、想定以上のアクセスでキャパオーバーしてしまった!
からの、サーバの負荷を減らすためアクセスを制限し、さらに余剰機器を流用しての設備増強。
こうして徹夜仕事となってしまい、定時に帰るどころではなくなってしまったのでありました……。
って、つらいな、つらい漫画だな。なんか痛ましいな。最近はサーバを自前で構えるのではなくクラウドで展開することが多いと思うのですが、それでもインフラ保守の仕事は大変でしょう。皆が普段普通に楽しんでいるゲームの裏で、こうして大変な目にあってる人がいる……。いやもう、つらいな……。真琴の最後の叫びには同情を禁じえませんでしたよ。
『魔女の隣人』
うちの隣には魔女が住んでいます。というの、その子の思い込みなのかなって思ったんですよ。だってその根拠が、枯れない花壇とか、ペットが黒猫とかね、ガーデニングに手をかけてるだけの普通のお隣さんなんじゃないのかな? と思ったら、ああー、こりゃ魔女だ。空飛ぶホウキに乗って通勤されてるのね!?
ええ、その子の見間違いとか思い込みなんかでなく、正真正銘の魔女でした。でも善良で、ちょっとおせっかいで、そしてうっかり屋さん? ゴーヤのグリーンカーテンの相談を受けて、魔法でちょいと手助けしてくれたんですが、その加減が効いてない! 泣いてる赤ちゃんをあやすため、黒猫をカエルに変身させたのはいいけれど戻すのを忘れてる。
などなど、人懐こくておっちょこちょい、愛すべき隣人といった感じであるんですね。
そんなお隣さんが越していって、空家となったお隣のおうち。庭もすっかり荒れてしまって、というのが最後には元通りになるというそのくだり。ちびっ子の、それと知りながら誰にも秘密している、そうした気持ちが繋ぐ縁のようなものもまた魅力と感じる漫画でした。
『孔明のヨメ。』
曹操に対抗すべく動いている人たちの活躍。それがいよいよ結果を出そうとしているのですよ。これを見て興奮せずにいられるだろうかという話。ええ、一度は距離を置かざるをえなかった徐庶までもが加わっての大作戦。これは本当に大きな山場へと向かう、そんな動きを感じさせるものでありますよ。
今回は曹操を前にした軍議での徐庶の大活躍が見どころでした。動きを見せる孫権の軍を陽動とまでは見抜いている曹操陣営。しかし万が一のことを考えると放ってもおけない。合肥を、都を守るべくいくらか兵力を割くことになるのですが、手柄を立てられないだろう都の守りに手をあげるものなどおるまい。
と、そこに徐庶が手をあげることで、曹操に徐庶の内心を誤解させるにいたるというのですね。
徐庶が、そして龐統が、それぞれに曹操の考えに働きかけることで、慢心を誘うというこの一連の策。結果、龐統が南郡功曹の職につかざるをえなくなってしまったわけですが、それもまた策のため。かくして仕込みは充分になされ、あとは仕上げと結果とあいなるわけでありますが、もうこれからは毎回がクライマックスみたいな勢いかも知れませんね。
そして月英と孫尚香の帰還です。月英の帰りを待ち侘びていた孔明の様子は感涙もので、そして孫尚香の帰りを待っていた魯粛の涙! いやもう、とんでもない心労だったでしょうね。もしものことがあればって、ふたりともに同じ思いでありましたでしょうけど、魯粛、死んでしまいかねないほどの心労だったと思います。いやもう、おふたりともお疲れさまでした。
- 『まんがホーム』第37巻第8号(2023年8月号)