『まんがタイムきらら』2023年7月号、発売されました。表紙は『スロウスタート』。花名と冠がふたり手を繋ぎあって登場です。ふたりともに、黒のボトムス、上は白のゆったりとした衣装に、モノトーンのリボンをあしらって、可愛いながらもシックな装い。表紙イラスト全体が色味抑えられていて、それだけにカラフルな『スロウスタート』の文字、そして黄色で大きくあしらわれた連載10周年! の文字が映えますよ。そうですか! 連載10周年! それは大変めでたいこと。ええ、もうそんなにたつのですね。
今月は新規ゲストが1本です。
『ミコトエクメーネ』
今日からはじまる高校生活。希望を胸に登校するミコトの前に広がる不思議な情景、まわりの生徒たちの頭に見えるのは動物の耳。コスプレ? と戸惑いをみせるミコトですが、そんなイベントあっただろうか、不安におそわれながらもよくよく見れば生徒だけでなく、普通の町の人たちもケモミミ。中学時代の友達の鹿子には鹿の耳がついていて、触らせてもらうにどうも本物の耳っぽい。
知らないうちに、ミコトを取り巻く世界がすっかり変わっちゃっていたというんですね。
学校につけばそこはケモミミ天国。そんなミコトに突如ふりかかったトラブル、ツノをつけた子にチャージされてしまったというのですが、その子、やけに気が弱く、友達ができるかずっと不安に思っていたのだそう。その子とミコト、友達になって、そしていろいろ聞き出すのですが、ミコトこそがこの異変の元凶なのではないか?
気になることが生じてしまったんですね。
この状況、はたしていったいどうなのか。ミコトが迷ったのか。なにかしらの変転に取り残されたのか。わからないながらも、この先があるなら、その原因などに触れられること期待したくなる導入でした。
『スロウスタート』
ホテルのプールに皆で繰り出しました。生徒会のメンバーに榎本先生組と、そして遠くには別行動する志温と万年さん。知らない人に囲まれるのはつらかろう、人見知りの万年さんに配慮して、あくまでも見知らぬ間柄、別グループとして行動しようという話に落ち着いていたというんですね。
でもどうしても出てしまう知りあい感。というか、そりゃ知りあいだもんな。そして万年さん、ふにもちの歌をきっかけに人見知りも克服!? 直接の知りあいではなかった綴とも打ち解けて合流。ほんと、心配なんてする必要なかったんですね。
プールの後はスイーツビュッフェ。冠と先生の会話がめちゃ面白いな! 花名のりっくりっくも可愛いです。と思ったら、そこにつっくんが合流。甘味で疲労回復をという配慮だったのに、つっくんはプールに入るつもり満々でしたか! いやあこの気持ちと配慮のすれ違い。なかなかに難しいものでありますね。
『星屑テレパス』
ああもう、驚いた。夜、山の中、ただただ土を掘る海果の切実そのものといった表情。な、なにがあったの!? なにか埋めてるの!? そう思ったら、違った、掘り出しているんだ! 隕石が座標の場所に埋まっているのかも知れないと、そう思ったらもうとまらない。素手で土を掘りはじめて、そしてそこにやってきた瞬たちも同じ結論にいたっていた!
ええ、この意図せず気持ちが同じ方向に向かっていること、ぐっとくる展開でありました。
対し、ひとり落ち込んでいるユウ。海果のことを傷つけてしまった。自分は悪い宇宙人なんだ。そう思い詰めているユウに、約束を守ると語りかける海果。そして瞬の、遥乃の言葉が続く……。ここに、これまでユウがやってきたこと、それが結実していたと思わされて、胸に迫りますね。今ここにいる4人の仲間は、ユウが、海果が、行動してきた結果なんだ。たまらないものありました。
そして再度の交信。ラジオは人のための媒体にすぎず、この交信の本質はテレパシーだったのか! 遥乃の祖父のことや、そしてユウの知ろうとしたこと。そして決意。ずっとユウのうちに渦巻いていた苦しみや不安は、もうすっかりそそがれたのだと知らされて、それだけに立ち直ったユウはすっとその身も足取りも軽く、そして本来の自由さ、しなやかさを取り戻していると感じさせられたのでした。
ああ、これからはじまるのはユウの心の物語なのかも知れません。ユウの自分自身を巡る旅路がはじまるのかも知れません。
- 『まんがタイムきらら』第21巻第7号(2022年7月号)
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