2021年5月31日月曜日

『まんがタイムきららキャラット』2021年7月号

 『まんがタイムきららキャラット』2021年7月号、昨日の続きです。

『またぞろ。』

またなんで、こんなことになってしまっているのか!?

のっけからバンジーに直面していることちゃんですよ。普通、なかなかこんなことないよね。いったいなにごとかと思ったら、ひきこもってたことを巴がほぼ無理矢理に引っ張り出して、川にいこうぜ、って嘘じゃあないんだけど、目的地は川の上じゃん! 渓谷にかかる橋の上。詩季&巴プロデュースで、ことと楓をバンジーするしかない状況に追い込んでいくんですけど、もうお金は払ってある、キャンセルしてもいいけどキャンセル料は巴持ちだからって、断ったら悪いみたいな雰囲気を作り上げていくところ。うまいよなあ。

これ、こういう雰囲気に弱いからこそ、この子たちの今があるように思うんですよね。よくわかってるんだねえ。実際、ずっとぐずぐず嫌そうにしてた、ぎりぎりまで無理無理っていってたことも、無事ちゃんと飛べました。いやあ、飛んだ後にやたらテンションあがった楓とは対照的に、妙にぐったりしてるんですけどね。こういうとこに個性出るのも面白かった。

このバンジー大会。ただの思い付きの突発イベントとかじゃなくて、ことの意識を転換させようって、そういう目論見だったんですね。こういうところもよくわかってるのかも知れない。帰りの電車での会話。わっとしたにぎやかさから、しみじみとした話しあいに転換する、その様子が鮮烈でした。

そして、ひとりになったこと、ああ、楽しかったんだね。それはよかった。でも帰宅したらまさかの待ったなしの状況に!? ほんと、今回はことにとってやたらと慌しい日ですよ。

『しずねちゃんは今日も眠れない』

夏が近づいてきて、だんだん寝苦しくなってきます。それで冷感抱きまくらの導入を考えるしずね。おおっと、ねねにとっては死活問題ではないですか。自分の存在意義を失いたくない一心で、冷蔵庫で冷やしてください、無茶な提案してくるの。ほんと、今回はねねの活躍? いや必死さ、大変さが際立って面白かったです。

すごいインパクトある展開、コマがあったんですよね。あの、しずねが眠りやすいようにうちわで風を送ってくれるシーンとか、これ、すごくいい情景だと思うんですけどね、翌日日中に天日で干されちゃったりね! そうか、まくら状態でも暑いのはあかんか。でもって翌晩も徹夜でしずねを扇いでくれて、翌朝のあの酷い状態! 絵のインパクトがすごかったよなあ。

そして朗報といいましょうか、ねねの存在、お母さんにバレちゃったんですね。ほんと、急転直下でハッピーエンドじゃないですか。これでもう堂々と人の姿でいられる。あの、下校したしずねが目撃した、お母さんの手伝いしてるねねの姿ね、すごく仲良くて素敵な感じなの、でも、びっくりよね。なにはともあれ、丸くおさまりました。その幸いな感じ、素晴しいです。

『ニチアサ以外はやってます!』

あかね、ついにスーツアクターとしての第一歩を踏み出すんですね。

博見の指令でアクションの特訓をすることになったあかね。場所は人気のない体育館裏! というんだけど、いろいろ動くのに人の目を気にしなくていいからなのか、更衣室使えないから外で着替えさせる必要があったからなのか。どっちなんだろう。いずれにしても、スカートでアクションしてみせる博見にあかね。やっぱりこれは人のいない場所でやって正解でしたね。

というか、体操着に着替えるという発想はなかったんだ。いや、着替えはいずれ発生するから、わざわざ中間形態を経由する必要なかったってことかな?

しかし驚きといっていいのでしょうか、博見、普通にバク宙できちゃうんですね! 驚くあかねに失礼だなあっていってますけど、普通そんなにほいほいできるもんじゃないと思うんですよね!? いやもう、いきなりなかなかの意外性を見せつけてきて、博見、やってくれました。

今回はアクション回ということで、見せ場も多かったですよね。軽く動いて見せるあかねのアクション、その見映え! いやもう、のびやかでいいですよね。かっこいいというよりも軽快、可愛い、そういう印象が強いわけですが、それが後半でスーツ着込むと雰囲気が違ってくる。

いや、でもちょっといかつい特撮スーツが、できましたバク宙とかいって、ちょこんと中腰になってるの、これはこれで愛嬌あったんですけどね。

スーツを着ると動きが制限される。マスクをかぶると視界が狭くなる。特撮ゆえの大変さ。ただアクションができるだけでは不充分というのが語られたの、特撮についての知識を段階踏んで深めていく、そんな意図が感じられてよかったですよ。実際面をつけると視界が悪くなって、下手すると事故るっていうの、能なんかもそうらしいですよ。柱にぶつかったり舞台から落ちたりするのだそう。だから状況を身体全体で把握する。そうした話。特撮も同じだ!

ええ、のっけからバリバリ動けたあかねだけど、周辺状況把握しきれず博見に一撃見舞ってしまうのは、気の毒だけど面白かったです。

2021年5月30日日曜日

『まんがタイムきららキャラット』2021年7月号

 『まんがタイムきららキャラット』2021年7月号、一昨日の続きです。

『RPG不動産』

連れ去られたファー。ノームの洞窟の奥、一室に囚われてはいるのだけど、拘束されているわけでもないし酷い目にあわされてるわけでもない。むしろ大切に扱われていて、ここはさすがに王とあがめられるだけはありますね。

ここで、アリスの姉から彼女らの置かれている状況についてファーに語られることになるのでしょうか。だとしたら、ここでファーが同情、琴音たちに情報が伝播、状況改善に向かう流れなどできたりしないだろうか。なにかただ人間サイドが善、魔族サイドが悪という単純な図式にはならなさそうって思えてくるんですよね。

さて、琴音サイドです。ファーの行方、おそらくノームの洞窟だろうという予測はたっても、入り口が作り替えられていたりして、先に向かえない。そんな八方塞がりの中、不動産にやってきた不思議な絵描きさんの残していった島のスケッチ、これが解決の道筋を作ろうという流れが面白くて、このひとつの出来事が別件でもたらされた情報やアイテムでもって解決に向かうというのが、RPGでもある問題解決の流れに似て、いいなあって面白いなあって思うんですね。

この解決の流れに琴音とファーのいつぞやの会話、それがからんでくるのもとてもよかった。ファーとの思い出が彼女への手掛かりを導くんですね。

『恋する小惑星』

みらとあお、ふたりの休日? ふたりで一緒にプラネタリウムにいくのだそうですけど、あおがものすごく意識してるんですよね。みらとの距離もそうだし、そしてみらの振る舞いも? みらがちょっと子供っぽいというか感情のままに動くというか、それがあおにはちょっと恥ずかしい。でもね、こういう素直さ? これこそがみらの魅力だと思うんですよ。ええ、めちゃくちゃ可愛いですよね。拍手のくだりとかもね、あのやりきった感! めちゃくちゃよかったですよ。

今回はみらとあお、ふたりの関係描きながら、プラネタリウムで解説された星の一生、そろそろその寿命を終えようとしているベテルギウスの話題から、すべてのことは永久不変ではないと語られた。その変わっていく寂しさをふと思うあお、この子、やっぱりちょっとメランコリック気質ですよね。みらとの暮らしも地学部もいずれ変わる、いずれ終わる。

自分もそういうタイプだからわかるんだけど、これ、損な気質ですよ。今の楽しさよりも先の不安を思ってしまう。今が楽しければ楽しいほど、いずれくる終わりを思い憂鬱が胸のうちに兆してしまう。

ほんと、このみらとあおのタイプの違い。みらはぱっと発想が開いて、けれどその瞬間だけで後に引かない花火のような感情の動きをする。あおはしっとりと心の奥に感情をいだいて、よいものも悪いものも樹々のように育てていく。似てないからこそふたりの関係はよりよいものになってるんじゃないかな。そんなこと思わされたエピソードでした。

そうそう、以前ショッピングモールで宇宙についての催しやってた時に、私も買いましたよ、缶入りパン! アイスも買いました。冷たくないんですよね。でもって、パッケージそんな感じなの! なつかしい。なんか買っちゃいますよね、宇宙食。実際のものじゃないっていいますけど、それでもついつい買っちゃう、そんな魅力ある物品です。

『mono』

まじか、春乃、アニメ化勝ちとったんか! と思ったら違いました。友達の漫画家、イスズスズ子の漫画がアニメ化なんだそうですよ。というか、この人、ホラー漫画家の友達多いな。クロクマ先生だけじゃなかったんか。

リモートでしゃべってるの、今風でいいですよね。でもってこのスズ子が癖ある人で、いやこの漫画、癖のない人がまあいないわけですけど、まあいいや、スズ子さん、褒められるとあかんタイプなのか。適当に虐げられてないと描けない。鬱屈をバネにするタイプ? でも逆境に活路を見出す! とか、そういう熱いタイプではないっぽいから難しい。陰鬱な気持ちで、澱のように溜まる感情を原稿に振り向けてるっぽいんだけど、大丈夫!? 病んだりしない!? いや、志摩の景色がそんな彼女を癒してくれるのか。よかった、鬱屈の果てに潰れてしまうようなことはないんですね。

春乃、スズ子、クロクマ先生3人の漫画家トーク? ホラー感についてとか、原稿中のBGM/BGVどうしてるとか、素直に面白い。これ、作者の実体験だったりするのかな? でもってアニメ化したらどうなるか、忙しくなりますか? みたいなのも、ああ、これ作者の実体験だったりするんかな!?

単行本の売上が増えるから年収が一気に増えて税金が大変なことになりますよっていうのがリアルでよかった。平均課税、これ、重要らしいですよね。などなど実務的な話をしてきた果てに、ほんとかうそかわからん胡乱な話で終わるっていうのがこの漫画らしくって、ええ、こうであってこそ! そんな味わいがさすがでした。

2021年5月29日土曜日

『まんがタイムオリジナル』2021年7月号

 『まんがタイムオリジナル』2021年7月号、一昨日の続きです。

『敷金礼金ヤンキー付き』

町内で空き巣多発。姫子が注意喚起にやってきたんだけど、のっけから疑われる七恵。大家さん、酷いよ! でも酷いがデフォルトだからあんま酷いとは感じないな。むしろ慌ててる七恵がちょっと可愛かった。すまん。

空き巣と聞いて血が騒ぐ大家に店子たち。いやもうめちゃくちゃ面白い。武装してパトロール。さらには警告のビラから張り紙から思いつく手をありったけ試してみるんだけど、あの釘バット持ってのっしのっしと練り歩いてる絵面、すごいな。いやもうほんと、出会ったら最後血を見ないことには収まらない状況。

たえの感想が笑う。治安が悪化した。うん、捨てられたビラが風に舞う情景。想像以上に荒廃した雰囲気かもしだしてる。なんか西部劇とかに出てきそうな雰囲気感じましたよ。

さて、皆がここまでやって対策したけど、結局は常識人たえによる目撃からの通報、警察に委ねられての解決を見て、いやあ、ですよねー! とはなったんだけど、住民たちにとっては不完全燃焼だろうなあ。でも事件にならなくてよかった。いやね、住民から傷害で逮捕者が出たりとかいやじゃないすか! ねえ、ほんと、ちょっと釘を刺される程度ですんでよかったですよ。

『通勤通学クエスト』

お子さんを学校に送り出すお母さん。下の子、アカリはまだ一年生だからお姉ちゃん、メイが守ってあげてね。そういってるそばからチョウチョを追って走り出しちゃうアカリちゃん。ああ、メイちゃん、大変だ。これ、結構困難なクエストですよ!?

アカリはおちつきがない。お母さんもいってるけど、実際小学一年生だとこんな感じよね。見たもの、興味持ったものに、まっすぐ向かっていっちゃう。実際アカリもそんなタイプで、白い石を拾ったら地面にお絵描きしないではおられない! 学校にいかないと、そういっても全然聞く感じではなくって、重荷だよなあ、メイはどうするんだろう。そう思ったら、石蹴り! ナイスアイデアやわ。目的地を学校にしたら、もう後は蹴っていくだけやもんな!

と思ったら、速攻で犬に興味が移るのか! お母さんじゃないけど心配よなあ。いやもう、本当大変なクエストでした。でも、ちゃんと学校について、事故もない、寄り道もなかった、ああ、大成功! ほっと安心、いやもう、小さなクエスト? いやいや、子供ふたりの安全がかかってる大大クエスト。これ、実際ハラハラのシチュエーションですよ。

『オネェの恋のはじめかた』

うお、サービスシーンからの幕開けだ。時宗、バスケ部の助っ人に駆り出されていたんだ。さぞや活躍したようで、本人もいろんな意味で楽しんできたようではあるんですが、そうか、目的は別にあったのか。なるほど、更衣室から桜子の部活、弓道部の射場が見えるんだ。好きな子の道着姿を遠くから眺める。時宗的にはこれ、陰から見守ってるのだそうですが、でも実際のところ、翔人がいうようにヘタレ、すなわち腰が引けちゃってるんだろうなあ。

こうやって翔人と時宗がふたり恋愛についての姿勢、話してたらですよ、窓から桜子が顔出して聞いてるんね。うお、これ、どこから聞いてたんだろう。それこそ時宗、桜子に気持ちをそれとなくバラすチャンスだったんでは!?

そう思ったら、この恋バナ、翔人と時宗男同士の秘密とな! 察してくれてで察する桜子。このくだり、ほんと面白かった。翔人との関係を疑われて、時宗にとっては事故みたいなもんよなあ。でも桜子相手には自信持てなくて自分を卑下した時宗に、当の桜子から嬉しいこといってもらえたじゃないですか。

いろいろいわれたりもする? そんな時宗のこと、こんなにもまっすぐに曇りなく見てくれてるんですよ。ほんと、時宗、あとは勇気出すだけじゃん! となりそうなもんですが、それでも勇気はそうそう出ない。こういうとこに、なんだろう、人の情の機微? みたいなもの感じて、面白いといったら悪いよね、共感とかそういうの、感じて微笑ましく思ってしまうんですね。

2021年5月28日金曜日

『まんがタイムきららキャラット』2021年7月号

 『まんがタイムきららキャラット』2021年7月号、発売されました。表紙は『RPG不動産』。ヴィネット風の情景の中、枝振り立派な木に腰かける琴音が魅力的。この木には花が咲いて、実がついて、キノコが生えて、さらには家が建ってるのね。2階の窓を飛び出さん勢いで元気よく開いてるちいさなファーが可愛い。木の根本で家を? 琴音を? 見上げるルフリアとラキラも可愛らしくて、すごくいいですね。ジェファンちゃんに乗ってるアリスもすごくいい。これ、誰かが実際にヴィネットとして作ったりしないかなあ。きっとすごく魅力的な世界になると思います。

今月は新規ゲストが2本です。

『みちくさステップ』

すごくいい手応えある漫画ですね! 部活をサボった主人公。いつもとは違う、まだ日の高く明るい帰り道。後ろめたさ感じながらの帰路だったのが、道端にしゃがみこんでなにか食べてる子と出会って、一気に状況が変わってくる。この転換、すごくよかった。さらに、このキイチゴ食べてる子、不思議と自由で、部活抜け出してきてるっていうんだけど、全然悪びれない。むしろ部活よりも、自分の興味、好きなことを優先して、たとえしかられようと、今日のみちくさの方が大切だ!

ああ、主人公の閉じていた心が開かれた、これまでこの子の中には存在しなかった、新しい価値観、思いもしなかった生き方が示されて、これ鮮烈でしたね。

絵が愛らしい。沈んだ気持ち、楽しそうな様、そうした多彩な表情が豊かに描かれて、そして今回の目的であるキイチゴもとってもチャーミング。

今日の出会いとキイチゴ、自然に触れたことをきっかけに、とらわれていた心が少し自由になった。その目が開いていく様に、興味をともに惹きつけられるものありました。よりみちの子と同じ園芸部に入ると決めた、その決意がなにを引き起こすのか、どうした変化をもたらすのか。次のよりみちに加え、これらもまた楽しみであります。

『魔界に天使がやってきた』

悪魔の私の前に突如あらわれた天使の女の子。

主人公のエリナは名前以外の記憶を失って、さらには記憶喪失の悪魔は災いをもたらすという言い伝えのために、孤独な学生生活を送っている。もともとの人(悪魔?)づきあいの苦手さもあるっぽいけど、それ以上に悪い噂がこの子から人を遠ざけて、とにかく不遇。都合よく使い走りさせられても、避けられなかっただけましと喜ぶほどに孤独が身に沁みているっていうんですね。

そんなエリナの前に現れたのが天使リリア。悪魔の学校にいる。制服を着ているということは生徒? しかしリリアもまた記憶を失って、名前以外なにも覚えていない。しかし、たとえ同じ記憶喪失でも、悪魔と天使では状況が全然違う。天使を嫌う悪魔につかまったら大変な目に!

それでリリアを助けるっていうんだから、エリナはお人好し? いや、親切なのですね。

と、そこにエリナの友達がほしい、そうした願望のあらわれてくるところ。ちょっと自信がない彼女が、友達になってほしいといわれて喜んだリリアを見てね、安心して、ちょっと自信もついて? それでちょっと調子にのってしまうところ、この子の自然なふるまい、素直なところ見えて、とてもよかったです。

しかしこのふたり、揃って記憶喪失とか、さらにはなにか過去に関わりのありそうなところ? 謎があると感じさせてくれて、いろいろ気になりますよね。

2021年5月27日木曜日

『まんがタイムオリジナル』2021年7月号

 『まんがタイムオリジナル』2021年7月号、発売されました。表紙は『ラディカル・ホスピタル』、山下さんがビアジョッキ片手に、ぬぬぬ、ウェディングドレス!? これ、メインはウェディングドレスか。ジューンブライド、季節にあわせたトピックなのでありましょう。他に『らいか・デイズ』らいか、『小森さんは断れない!』しゅりのドレス姿が表紙を飾ります。この山下さんのビアジョッキ、『ひとりで飲めるもん!』ドラマ化と特別編掲載あわせなんでしょうね。しかし、こんなにジョッキが似合う花嫁ってはじめて見たかも知れません。

『おしかけツインテール』

俊郎のこと気にしている花梨。あ、自分の見てるアニメに興味を!? そう思って布教にいく俊郎と、気を使って話をあわせてくれる花梨。ああー、年少の子に気を使わせちゃあいけませんよ。

花梨が気にしていたのは天気予報? 明後日の天気が気になるというんだけど、その理由、後に判明するの、ああ、俊郎と一緒にいく花火大会、一緒に見にいこうと約束していた花火。雨天だと中止になっちゃう。だから、ずっと晴れてほしいと願っていた。ええ、気にしていたのは天気と、そして俊郎だったんですね。

雨の中、浴衣でふたり会場に向かう情景。俊郎は気まずさ感じたりしてるけど、八重がいってたこと、花梨はただ花火を見たいわけじゃない、俊郎と一緒に出かけたかった、そういう情感、傘のうちの花梨、しみじみ伝えてきて、たまらないものありました。花梨たちとの暮らし、その終わりを俊郎が思っていたように、花梨も花梨で思うところあるんでしょうね。

そして最後にあがった花火! 素晴しいじゃないですか。果たされたふたりの約束。遠くふたりを思う八重。最高だったと思います。

『Dr. こよりの美味カルテ』

今回は食事の話! いいですね、参考になりますよ。夜勤やなんやらでどうしても生活が不規則になりがちなこよりに同僚のゆうき。食べても太らないこよりが羨ましい、いや、恨めしいか! 物騒なこというゆうき、これ、ダイエットしてるからこその発想ですよね。

ここでのこよりの解説、これがためになったんですよ。たとえ生活が不規則でも、食事のタイミング、回数を普段どおりにする方がいい。なるほどなあ、ダイエット目的で食事を抜くと逆によくないっていうのは聞きますけど、生活のリズムが変わりがちでも、食事のリズムは変えない方がいいんだ。

そんなこよりの健康的な食事環境構築、ほんと面白い。デスクの引き出しが冷蔵庫!? 引き出しに入る冷蔵庫とかあるのん!? この意外性。そこまでやっちゃう感。でも、それだけ手をかけたからこそ得られる充実の食事! あのふたりの表情! いやもう、実に重厚に語りかけてくる、そんな勢い、説得力が見事でした。

『となりのフィギュア原型師』

お、おお、これ前回の続きではないのか。入手した3Dプリンタを駆使してなにを作ってるかというと、おこめ畑工房オリジナルミニチュアゲーム? ああ、最近ボドゲはやってますもんね! と思ったら、ルールが雑いのか。あまりの理不尽さに半藤、ムカっぱらやん。

これね、斉藤ひいては企画担当氏の助力を得て、シンプルながらも楽しく遊べるゲームができたみたいですけど、これをよりブラッシュアップさせてイベントで販売してみたらいいのでは!? オリジナルのルール。オリジナルのミニチュアセット。売れる! でも、はぐちゃんのコマ、ヤバすぎん!? これ、怖いわあ、人を選ぶやつやわ。

代表と半藤ね、はぐちゃんにけしかけられてふたりで食事にいくでしょう。これ、恋愛的なアシストだったはずなのに、実際には簡易セットでまだゲームやってるっていうのね、ほんと面白くって、この人たちらしい! ええ、やっぱりこれ、ブラッシュアップして売りましょう。きっといけますよ。もしこれが本当にあったら、自分なら買ってしまう系のヤツです。

『カントリー少女は都会をめざす!?』

大河さん、テストあかんかったんか。でも盲目的に八重は褒めてくれる。さすがの大河もバカにしてるっ!? って納得いかない様子ですが、しかしここのくだり、どんだけ八重が大河のこと好きなのか、入れ込んでるのか、よくわかろうものでして、というかもうちょい踏み込んだらストーカーとかそのへんのアレになってしまいそう……。

みなもテストあかんかったんですね。対して亜紀は結構いい点とれたみたいで、って、亜紀ってテスト頑張る系なの!? と思ったら、違うんか。好きなアニメの周辺情報、背景もろもろがっつり調べてたら、それがたまたまマッチしたっていうんか。これ、アニメや漫画で勉強が進む系の話、昔からありますよね。フランス革命を知るのにベルバラとかそういうのん。で、これがきっかけで、まずはみなから、続いて八重や大河にまでアニメが広がっていくのが楽しかった。

いやね、基本クールな亜紀がめちゃくちゃテンションあげてくるじゃん。そこまで!? そこまで盛り上がっちゃうものなの!? いや、でもすごくよくわかる。推しアニメを布教できるチャンス、それがアガるし、自分の好きなものに友達が興味持ってくれる! それもめちゃくちゃ嬉しいじゃん。

日頃は八重の都会推しがメインとなるこの漫画。今回ばかりは亜紀がもっていっちゃいましたね。

2021年5月26日水曜日

『まんがタイムきららフォワード』2021年7月号

 『まんがタイムきららフォワード』2021年7月号、昨日の続きです。

『ねことちよ』

好奇心に負けてちよ幼少期のアルバムを見てしまったふみ。勝手に見てしまったこと、ちゃんとちよに詫びるんですね。でもちよ、全然気にしてなくて、ああ、よかった。それどころか、ちよと一緒に映っていたねこ似の女性。その正体もあっさり教えてくれまして、ああ、ちよのお母さんなんですね! って、そうなの? 親しいお姉さんで、その娘がねこなんだと思ってた。ちよのお母さんなら、ねこはちよの娘なの? いや、そうじゃないよね。え? 実はそうなん?

ふみ、気になっているちよとねこの関係、聞こうとしたらタイミング悪くねこがきちゃいましてね、聞きそびれてしまいました。でも、それでよかったみたいですね。関係こそわからなくとも、ふたりが仲良く元気ならそれでいい。そう思えるなにかがあったわけですね。

しかし、大きな物語にはならない。謎というのもささやかなものでしかない。なのにこんなにも面白いのはすごいなって思う。今回も、そのささやかな謎に近づきながらも、踏み込むことなく遠ざかって、でもそのふみの決断が意味あるものと感じられて、ええ、こういうところがこの漫画の見どころ、よさなのだと思います。

『あいらいく俳句』

終わった! ハッピーエンドだ! なにはともあれ帰還を果たしたあいの父。10年間不在だった父を前に、大きな声を出してしまうあいの母だけど、その身にはあいの父グッズがいくつもあしらわれていて、というか、パパの顔面ネックレスとかパパスリッパとか、ちょっと尋常じゃない。でもそれだけの愛、あるいは執着、肝心の父には届いてないのか! どんだけコミュニケーションに問題があるの!? なかなか素直になれないお母さんも悪いのかも知れないけど、自信なさすぎる父も父で、その駄目さがゆえに出奔することとなったのかなあ。

最終回は、その父の自爆芸がこれでもかと披露されましたよ。うさこがイベントで出会った子と気づいて、娘の前で出しちゃあいかんタイプのDVDを出してみたり、またなにやら怪しいノートもうっかり見せてしまって、このうっかりというかなんというか、尋常じゃない。またこの10年の暮らしについて聞かれて、普通に答えられることやってないからなにも答えられないっていう悲しさ!

あいたちが父にあう仕事を考えるくだり、あれよかったですよね。演劇部のバイト先で働くの、大賛成です。きっといけると思います。

最後の最後にね明かされた父とわびさび部の関係。OBだったというのですが、ああ、やっぱりラストにはいい感じのエピソードでしめますよね、と思ったら、おにぎりがなにやら疑惑を提出しそうになってますよ……。

ええ、なかなかいい話になりづらい、そんな漫画でしたけど、その残念感が面白みで、そしてそんな中に、ああいい話かもなあって思えるものがあるのが好きでした。今回もそう思えるところいくつもあって、これまで描かれてきたものの集大成ともいえるエピソードの連続、その果てに主要メンバー勢揃いでしょう。ああ、演劇部、この子好き。そして演劇部の兄、輝夜の恋実るのか!? 九曽先生も冤罪が晴れたようでなによりと、こうして多方面に細やかなフォロー、心配りしながらの大団円。本当に喜ばしいと思います。

2021年5月25日火曜日

『まんがタイムきららフォワード』2021年7月号

 『まんがタイムきららフォワード』2021年7月号、昨日の続きです。

『スローループ』

狩猟を見学しているひより。キジを撃って、そして捌く。さっきまで生きて動いていた鳥が、もうこうして皮と肉になっていくその様子に、なかなかにハードなもの感じたりしましたが、ひよりはわりと平気そう。以前もちょっといってましたが、これが魚だったら大丈夫とか、鳥、哺乳類と、だんだん自分に近い存在になるにしたがって忌避感が強くなるとか、そういうこと考えさせられて、いや、普段、鳥でも動物でも肉は食べてるわけなんですよ。それをこうして苦手と感じるのは、どこかで思考を切断処理して、考えないようにしているのかも知れませんね。

今回は、こうして狩猟を描いて、そこからフライフィッシングへの興味に繋いでいく。以前にひよりのいっていたこと、鳥獣を獲り、その羽毛を使って疑似餌を作り魚を捕る。そうした狩猟と釣りの繋がりに興味をかきたてられたという楓です。こうした発想の繋がり、思考のめぐる様見ると、ひよりは、そして楓も、思考の切断をしていなんだなと思う。自身の関わることにまっすぐ向きあって、ないがしろにせず、ちゃんとリアルに受け取って自分のものにしているんだ。そうした感情持ったのでした。

さて、今回ひよりが見つけ楓が獲ったキジは、マテリアルとして恋の店で売られます。それをひよりが買いにきて、これ、この子にとっての特別なんだな。その感覚が眩しい、そんな風に思われて、ええ、あの狩猟見学はいい体験になったみたいですね。そして、これ、大晦日の毛鉤作り大会に使用するんだ! 大事にしまいこんでおくとか、そういうことは考えません! ええ、堅実で健全だと思いましたよ。

『球詠』

面白いなあ。深谷東方の投手松岡。マウンド上で光のフォームを自分のものにしようと、いろいろ試していく。リリース、踏み込み、そうした動作にとどまらず、球威、ノビにまで変化は及んで、これは刺激的だ。実際、こういうことできる人ってどれほどいるんでしょう。刻一刻と変わりゆき、成長していく。そういう様は魅力以外のなにものでもないでしょう。

でもって、光の投球を取り入れようとしてるのに気づいた希! すごい、なんだその爛々とした表情。この子もこの子で相当な意欲ありますよね。しかしこうして舌舐めずりしそうなまでに前のめりに打ちにいく様子見れば、完全に復調しましたね。素晴しいわ。ほんと、わくわくさせられる。

松岡の成長、まさに今対戦している新越谷の皆が体感しているっていうのがとてもいい。5分前とはもう別人、一年後が計り知れない。このたぐいまれなる投手を前にして、今のこの試合こそは勝てたとしても、次にまみえた時にはどうなることか。そうした危険な可能性感じさせてくるのが、しびれますよね、面白い。脅威でもあるし楽しみでもある。

投手松岡と打者光の真っ向勝負はみものでした。残念ながら光は打ち取られてしまうわけですが、次こそはどうなる? こうしたところにも楽しみは生まれてきて、わくわくはとどまるところを知りません。

『観音寺睡蓮の苦悩』

中等部の生徒が高等部の見学に訪れます。それで睡蓮、最大限の警戒モード。そうか、林檎か、紫陽花の妹。睡蓮が苦手にしているこの子。どれほど苦手なのか。挙動のおかしい睡蓮に声をかけてきた四葉。そこで、一度●されかけてるとか、えらい物騒なことおっしゃるのね? 林檎さん、誤解されちゃいますよ!?

実際、四葉が誤解しちゃったわけですけど、ともに睡蓮打倒を持ち掛けたらいじめっ子と認識されちゃった!? うん、林檎が正論だ。この子はこの子で睡蓮のこと好きなんですね。それが明言されたの、結構ポイント高いように思います。

今回といっていいのか、いつもといっていいのか、睡蓮の認知の歪み、それが見事に炸裂していました。牡丹に案内されて椿に会いにいく林檎。そこにやたら危機感覚える睡蓮だけど、牡丹は余裕そのものじゃないですか。当たり前なんですけどね、それでダメージ受けてる睡蓮がおかしい。でもってこの人の尺度、常に自分基準! 牡丹の器の大きさに圧倒されてますけど、別に牡丹はそんなんじゃないから。自分の妹分いっぱいでお姉ちゃんポイント高まったのが嬉しいだけなんだけど、睡蓮はそんなこと思いもしない。

ほんと、睡蓮は自分の考えに自信があるんだなあ。紫陽花、椿に百合の関係を見る、その発想は万民共通のものだと思っている。だからこそ、その自分の当たり前が揺らぐことで自分自身にもダメージが入るんだ。それゆえに林檎は天敵で、その考えの強固であるがゆえに牡丹が自身の思考の埒外に生きているとは思わない。

いやもう、睡蓮さん、苦悩の根源、だんだん見えてきたように思いましたよ。

2021年5月24日月曜日

『まんがタイムきららフォワード』2021年7月号

 『まんがタイムきららフォワード』2021年7月号、発売されました。表紙は『アネモネは熱を帯びる』。コミックス発売直前ということもありましょう。見事表紙と巻頭カラーを飾りまして、しかし見映えするいいイラストであると思います。淡く明るい髪色の凪紗と黒髪の茉白。互い違いの巴に顔を寄せ合うその構図、上側に髪の黒い茉白が位置することで、その重みがしっかりと凪紗を押さえて安定を生み出しているんですね。その表情の違いもまた、笑顔を見せる茉白と戸惑い浮かべる凪紗、対照的で、受け身と見える凪紗に、身を凪紗に向けて積極的な働き掛け感じさせる茉白と、この上から下へと、あるいは奥から手前へ向かう力の流れが生じているところ。その力はおのずと読者へと向かうわけでしょう? 実にいいと思ったんですね。

今月は新規ゲストが5本です。

『お召し遊ばせ』

うおお、ヤベえお姉さんの話だー。服が好き、でも幼女のほうがもっと好きです。なんてことゆうてるお姉さん。女の子じゃなくて幼女と表現する、その語彙があかんよな! この人にとって服屋はある意味天職で、お客として訪れるお子さんの好みを聞き出して、その子に似合う服をおすすめしてと大活躍。後輩からの信頼も厚い! でも、これ、本心、正体を知られたらあかんやつや。

このあぶないお姉さんのもとに現れた女の子。ドストライクな幼女であるその子の望み、自分のための服を作ってほしいという、その希望を叶えようとするのだけど、本来この店ではこういうことはやっていない。だから秘密。秘密でその子を事務室に通して、秘密で服を作る、その背徳的な愉しみ! でも、これがただこの人からの一方通行ではないということがわかる終盤、その子とお姉さんの知らずして確立するにいたった共犯関係。それがある意味、お姉さんのヤバさを免責して、お似合い? そんな関係にしていたと思うのですね。

いやしかし、お姉さんフルスロットルすぎる。逮捕されかねん、そんなヤバさにしびれます。

『大家ちゃんとお姉さん』

これもおねロリ!? 大家さんは和装の似合う女の子。家族をはやく亡くし、ひとりでアパートを切り盛りしている。そんな子が、餃子を買う金もない店子のお姉さんを誘って、一緒に餃子を食べましょう。かくして皮から手作りする、そんなちょっとした特別感ある食事の情景が描かれて、あの餃子をつくるところとか、実際とても魅力的。ええ、誰かと一緒に作る、そして食べるご飯の楽しみ。丁寧な筆致で描かれる、その様子はふたりの心情もよく表現して、たいへんよかったと思います。

しかし、こういう漫画を読むと、このレシピを参考に自分でも作ってみたいとか思っちゃいますよね。それだけおいしそうに描かれていたから、またそしてふたりの食事の様子、感じいるところあったからだと思うのですね。

餃子というチョイスもよかったのかも知れない。ありきたりで馴染みがあって、でも皮から作るとなるとちょっとしたイベント感も出てくる。そんな普通と特別の合間に興味、気持ちが引き込まれるように感じたのでした。

『君と僕との美味しい時間』

好きになにかを買って食べる、そんなことすらも禁止されている箱入りのお嬢様。そんな彼女のちょっとした冒険でありますね。主人公のバイトするたこ焼き屋に、姿を偽って現れた。皆も食べているたこ焼きを食べてみたいという一心で。誰かにバレないようにと、慣れない下手な変装をした彼女の身の上を聞いて、現金を持たない彼女のために自分のまかない、取り分からたこ焼きを食べさせる主人公。ええ、これは少女の冒険とボーイ・ミーツ・ガール。一緒に食事をとる、その触れ合いをきっかけに孤独から脱却していく様が描かれるのです。

知らない世界に踏み出す、その勇気というか思い切り。これ、この子にとっては冒険であり、そして自分を取り巻く窮屈な世界への叛逆ですよね。御仕着せの価値観に甘んじるのではなく、自分独自の価値観を模索すべく行動をはじめた。そんな時期ゆえのまぶしさとあやうさが同居しているように感じます。

『まどろみのアトリエ』

いい話だった。

高校3年のあの日。働きたくないという同級生の女の子から、画家になれ、ポーズモデルとして私を雇え、そういわれたのがきっかけで? そのまんま画家としてデビューしてしまうっていうの、のっけからいいテンポだったんですが、この元同級生同士が、つきあうでもなく、でもどこか魅かれながら、ふたりだけのアトリエで絵に向きあっていくコメディ。だらけてるだけに見える女の子が、実は絵に打ち込む主人公のことずっと好きだったとかね、基本主体性持って動かないのに、主人公が落ち込んだりしたらはげましたり、ちょっとした言葉の綾でどぎまぎさせたり、そうしたふんわりとくすぐってくるところ、とてもよかったと思います。

基本、小エピソードの積み重ねです。見開き2ページで構成されるエピソードは、コマ割り漫画だけど最近主流のゆるくストーリー作っていく四コマのような感触あって、読みやすさ、話の広げていき方、絵の見せ方、それらがマッチして魅力的にふたりのキャラクターを描き出していったと思うのです。

だからこそでしょう。あのラストに繋がるエピソード。落ち込む主人公のこと、くすぐるでもなく、ごまかすでもなく、心の奥底から心配して、自分のことよりも主人公の気持ちを大切にしようとしてくれた、あの瞬間、あの表情には、完全に心持っていかれてしまいました。素晴しかったです。

ゆるくて、ふんわりと軽いコメディ。けれど、そこに一瞬踏み込みをともにウェイトをかけてきた。その山場を作り出すために流れを作って、ここぞというタイミングに調整してくるうまさがあったと思います。

『メイドファイターくるみ』

思い切りのいい漫画ですよ。数日前に雇われたメイドのくるみは、なにをやらせても駄目。掃除が駄目、炊事も駄目。粗忽でなにごとにおいても雑。なぜこんなメイドが雇われたのか。

早々に疑問は解消するのですけど、なるほど、屋敷を襲撃者から守るため! 戦闘メイドだというのですね。で、その襲撃者というのが一工夫ですね。まさかの婚約者。屋敷を破壊して、住む場所を奪った上で、自分の屋敷に住まわせようというんだ。なんとまあ、ほんとに婚約者なのかい? 普通に考えて、ならず者の思考ですよ。この世界には法も秩序もないというんでしょうか。

でもこの思い切りがいいのは悪くなかったですよ。荒唐無稽っちゃあ荒唐無稽。無茶なんですけど、無茶だからこそのおかしさ、面白さがあったと思います。その無茶さでもって、最後の最後、RPGとガトリング対決に入る前に、もういくつか無茶なのぶち込んできてくれてもよかったと思いました。

この漫画で一番気にいってるの、婚約者の野ばらに付き従う家政婦の秋葉。見た目は常識的に見えるこの人が結構お嬢様を焚きつけてるのね。ほんと、法も秩序もない。そこに味がありました。

2021年5月23日日曜日

『まんがタイムきららMAX』2021年7月号

 『まんがタイムきららMAX』2021年7月号、昨日の続きです。

『六条さんのアトリビュート』

このみの悩みに六条さんが答えます。

子供の頃に描いていた絵、それをそのままずっと続けていたらもっとうまくなれていたのだろうか、なにか違う境涯に辿り着けていたのだろうか。

くよくよと考えてもしかたのないことなんですけど、こういうこと考えがちではありますよね。わかります。自分もわりとこのみタイプなので。これ、自分からしたら、このみくらいの年齢ならいくらでも取り返しがつくんじゃないかなって思えるんですよ。でも、今、まさしく迷いの只中にいるこのみにとっては、そんな言葉、気休めにもならないんだろうなあ。たとえわかっていたとしても、もっとはやくはじめていたら、そんな考えが拭えないんでしょうね。

このみに答える六条さん。その説明が具体的で、昔の子供の置かれた状況とかね、それから印象派から遅咲きの画家をピックアップしてみせたりね、なんか面白いんですよ。でも、そうかあ、ルソーは下手かあ。このみの目指したいものとかけ離れてるんだろうな。あんまりな物言い、そしてその表情に、思わずわらってしまいましたよ。

ジョージ・エリオットがいってますでしょう? 「なりたかった自分になるのに、遅すぎることはない」ってやつ。六条さんがいいたかったこと、そういうことだと思うんですけど、いつかこのみがこうやって思い切れる日がくればいいなって。でも六条さんの言葉で、ちょっとこのみも前向きになれたみたいで、ほんとよかった。ひいてはこのアパートにはいったこと、このみにとって本当によいことだったんだなって思ったんですね。

『初恋*れ〜るとりっぷ』

すっかりりんね意気消沈? あれだけ部長と素敵な思い出を作りたいって、一緒に過ごせる時間を大切に大切にしたいといっていたこの子なのに、皆と、先生と一緒にいて楽しそうにしている部長を見れば身をひくしかない。そういって、すっかり元気なく……、してまではないですね?

こたつ舟でも密着していこうって前のめりだし、なにより楽しそう。でも、自分のいなくなった後のことを気にしているりんねに、そんなこと気にしてるんですね、そういった部長の言葉に本格的に落ち込んじゃって、そうか部長は自分と離れても寂しくないんだ、お別れに胸を痛めてるの自分だけなんだって、この言葉と気持ちのかけ違い。普段明るいりんねだからこそ、あの涙をこぼす姿は切なさ感じさせてたまらなかったです。

でも誤解だったんですよって、ええ、きっとそうだろうと思っていたから心配はしていませんでしたよ。ふたりの思いに違いがあるとすれば、別ればかりを考えていたりんねと、これから先まだふたりの時間の続くことを確信している部長、その一点。部長は自分の卒業で離れる、その別れを一時的なものとしか思ってなくて、でも、まさか同じ大学にこいってね! ほんと、ここで進学先まで決められてしまったりんね、これ大丈夫なの? この子の希望とか、そういうのは斟酌しないんですか、部長!?

でも、これ、りんねにとっては嬉しかったことに違いなくて、ということはこれから必死の受験勉強がはじまる!? いやはや、りんねさん、これからが正念場ですね。この子ならやりきりそうな気がしますよ。

『今日の授業は恋愛です!』

体育祭、いよいよ本番当日です。ところがちょっとしたアクシデント。エントリーにミスがあって、予定とは違う競技に出場しないとならなくなった。というわけで、いきなり水着で走らされるさがりですよ。でも最初は恥ずかしがってたのに、空気抵抗的に有利なのでは? 実利優先で恥ずかしさふきとばしちゃうんだもんなあ。そういうクールさ? ドライといった方がいいかもな! 実にこの子らしさを物語る小シーンだったと思いましたよ。

体育祭の勝敗で、さがりのこれからが決まっちゃうんですよね。恋愛科と普通科、勝った方がさがりをゲットだぜ! って、無茶だよね。楽しそうの一言でしらべが軽く受けちゃった勝負なんだけど、この話に教師が乗っかっちゃったせいでさがりの移籍を賭けての勝負、本当になっちゃった。

しらべが結構責任を感じちゃってるんですね。なにがなんでも勝たなきゃいけない。覚悟のほどは、切腹も辞さないレベル!? このサムライスタイル、可愛いよね。すごく似合ってる。もっとしっかり見てみたい。

普段クールで、あまり必死にならない印象のある子なんだけど、責任感じてプレッシャー受けちゃったり、さらには今日のために睡眠削って走り込みしていたりと、そうかあ、この子、人に隠れて努力するタイプなんだな。別に気にしなくていいというさがりへの返答からもこの子の人となり感じられて、勝負の発端になったことよりも、さがりがいなくなっちゃうことの方を重く感じちゃったりね、ああ、情の厚い子だなあ!

ほんと、クールに見せて、全然そうじゃない。そうしたしらべのことがよくよくわかったエピソード。まさしく今回のクライマックスとなった借り物競争でもね、しらべの意外性? いや、ここまでこの子のいろいろを追ってきた読者には意外ではなかったかな? いや、でもまさか大切な人というお題に、さがりのみならず、なとせ、りっか、こみねも一緒に連れていっちゃうとかね! ああ、今この場所、この時間、一緒にいる友達、それがこの子にとってどれほど大切であるかがよくわかりましたよ。

勝てて安心、さがりも守り通せて一件落着。けれど、そうなったらしらべいつもの調子を取り戻してね、でもクールさ回復させたのはいいけど、しれっと負けても普通科についていくから大丈夫だったとかいっちゃって、いや、これ本気だな。うん、この子のクールさを支えているもの、それは確固とした思い、その強さのためなんだなあ。ええ、揺るぎない。そんなしらべがすごく魅力的でしたよ。

2021年5月22日土曜日

『まんがタイムきららMAX』2021年7月号

 『まんがタイムきららMAX』2021年7月号、昨日の続きです。

『いのち短し善せよ乙女』

おおう、えらいことになった。可愛い乙女が、可愛い乙女が、男の子になってしまった! これは、これは、Twitterに棲息するTS好きどもに共有せねばならない!

一日限定で男子になってしまった乙女。アホ毛とかのパーツ、服装も基本いつもと一緒なのに、随分雰囲気違いますよね。でもってエリカが振り回すことったらね! 恋人気分で一緒にお祭りとかやってるのはいいとして、たかりまくったり、でもってやってみたかった迷惑シチュエーション再現したりと、いつも以上に? やりたい放題だっていうのに、それでも乙女、今日はなんか楽しいのか!?

やべえ、男ってチョロいのか。見た目美少女だったらなんでもいいのか? エリカでもいいのか? いやほんと、とかいってたら、杏エリカのつきまといまで出現して、待って? 待って? 見た目美少女だったらなんでもいいのか? エリカでいいのか? ほんとにいいのか!?

でも今回見ていてね、男気見せた乙女がえらいことエリカに利用されたか今後も利用されるのか、それはわかりませんけどね、なんだかんだでエリカのこと気になっちゃったんですね。女の子乙女に戻ったらそうした恋心? ドキドキはなくなったのかな? それとも残っちゃったりしてるのかな? 残っててもいいんですよ? むしろそのまま恋人気分継続でいいんですよ? なんて思ったんですね。思ったんですよ。

『ちなはきょうも幸福です。』

うわ、見事してやられました。不幸体質の染野ちな。自分に憑いた貧乏神から距離とられてるの気にしてるんだけど、その相談にのってくれたクラス委員長、チロノタちゃん。チロノタってあだ名なのかな? 漢字を分解してる? ともあれ、この子、気の利くクラスの人気もの。この子が元気のないちなのこと心配してくれて、しかもお祓いしてくれるとかゆうてくれて、清酒と塩でお清め。あ、でも貧乏神といっても神には違いないんだから、酒に塩はむしろウェルカムなのでは? と思ったら、あかんか! 祓われてしまいそうか。

これね、この段階で、チロノタは貧乏神のこと気づいてるな。なるほど霊能者とかそいう類だな。貧乏神カガシが見えてるから、からかい半分で祓ってくれようとした口なのかな。みたいに思ってたら、いやもう、ほんとに予想外!

わー、この子自身が福の神だってのかーっ! この展開、本当に予想もしてなくて、やられた、やられましたよ。カガシを殲滅しようとバケツで清酒+清め塩をぶちかましてくる本気仕様にも驚いたけど、まさか神様が普通に学校通ってたとかね。貧乏神と出会う以前からの知り合い、そこに神がいるだなんて思いもしなかったなあ。

でもこれ、貧乏神と福の神、両方に繋りができましたね。カガシと一緒にいられることを喜んだちなだけど、チロノタとも縁ができたことで不運体質からの脱却叶ったりする? これ、今後この子がどういう選択するのか、あるいはカガシ、チロノタがどう働きかけてくるのか、こうしたところにも広がりができたと感じられて、いやあ面白くなってきましたよ。

それにしても、キャラクターもいいですよね。チロノタ、ただただいい子ってわけじゃない、ってのも気に入ったところです。いや、人というか神様ですけど。思った以上に人がお悪い。むしろカガシの方が素直なタイプっぽいですね。

『のむラリアット!』

一回戦を勝ち抜けられたら、自分たちの負けはもうどうだっていいのですか!? 桃と海音、さっきの試合の失態、全然タッグとして機能せずに負けちゃったっていうの、少しは気にして欲しい……。と思ったら、やっぱりみるくは真面目というか、試合としては勝ったけれど、それはチームとしての勝利ではない。星がひとりで勝っただけ。

この心の内のもやもやを、しっかり星に伝えにいったところ、ああ、立派やって思いましたよ。それも頼られなかったこと、自分が試合に加われなかったことを悔やむだけでなく、もっとタッグの力になりたい、星とともに戦えるようになりたい、前向きな意見をぶつけていくじゃないですか。いい子やわ。みるくの見せたまっすぐな気持ちと、その思いを今はわからないながらも理解しようとつとめる星。これがまたいい。最後にありすが思い悩む星に声をかけるでしょう。ここも本当によかった。

この漫画、正統派の展開を見せるのがみるく、星のふたりなんだなっての、そして桃、海音ははちゃめちゃにとことん破滅的、破壊的にいくんだなっての、理解できたように思います。桃も海音もほんとにそれでいいんか!? そう思ってやきもきさせられる、その分をみるく、星がちゃんと受けとめてくれる。なるほど、そうなら、桃、海音は見事その破滅的なスタイルを押し通して、その果てに自分たちのプロレスを掴みとって欲しい! そんな気持ちにもなろうものですよね!

対照的な姉妹、対照的なチーム。その対照もまた面白みだな。ええ、わかってくればより一層に楽しいねえ! 桃も海音も、いきあたりばったりでいい、思いっきりやってくれい!

2021年5月21日金曜日

『まんがタイムきららMAX』2021年7月号

 『まんがタイムきららMAX』2021年7月号、昨日の続きです。

『桔香ちゃんは悪役令嬢になりたい!』

いつもだけれど、桔香ちゃん、めちゃくちゃ可愛いよなあ。敬愛してならない悪役令嬢マリー。その声をつとめる声優の粟野ミユがやってくる! それでもう喜んじゃって、それこそ震えるレベルですか。

当然イベントにいくことになるんですけど、服装に髪型、ばっちりマリーにあわせてきたんだ! でも似合って可愛いからいいよなあ。桔香のイベントに向ける思いの強さ、ひしひしと伝わってきます。ただ夢見すぎというか、キャラと演者の混同ですよね? 両者をあまりに同一視しすぎてて、これあとでがっかりするんじゃないかなあ。

うん、見事がっかりしましたね。敬愛する悪役令嬢の要素をこれでもかと粟野ミユに投影して、カワイイ禁止、妖精、パフェ、うさぎなどカワイイ要素も全部禁止。それらが全部裏目に出るの、桔香ちゃんだなあって思う。でも、こういうの、多かれ少なかれアニメファンは経験してきたことなんじゃないかなって。いや、アニメファンには限らない。役のイメージを役者に投影して、けれど現実にはそうじゃないというのを知ってちょっと寂しくなるみたいな感覚ね。きっと誰にもあったことだと思う。

そのがっかりを桔香が一身に背負ってみせるその様子。ああなんて痛ましいの! 登場で出端をくじかれたかと思えば、続いてまさかの禁止要素が畳み掛けてくる。見る見る追い詰めらていく桔香ですよ。あんまりにしおれちゃって、いたたまれなさに退出しようとするんだけど、そこを呼び止められちゃって、そうしたらこの子、落ち込みの極致みたいな発言するでしょう?

これ、結構なアクシデントだと思うんだけど、役者さんは嬉しかったんじゃないかなあ。自分の演じたキャラクターにここまで入れ込んでくれて、純粋に夢抱えてここまでこうして期待いっぱいできてくれた小学生の女の子。きっとがっかりさせたままで帰したくなかったんだと思う。だからこその爆発力あるあの展開。魅せられますよね。ほんと涙ながらに喜ぶ桔香の様子、扇子のポーズこそはわからんけれど、きっとこの場にいた誰にとっても嬉しいと思えた瞬間だったんじゃないかなあ。

場の一体感含め、いい盛り上がりを見せて、桔香にとってもいい思い出になったんじゃないかと思える素敵な情景でした。しかし、この子の業は深まった気がします。

『ぬるめた』

ちあきの髪を切っているさきな。ちあきはもうちょっと切ってくれてもいいというんだけど、さきなは頑としてこの長さを譲らない。なぜか。そうか、ロングのちあきが好きだからか! 秘密をくるみにバラされて怒るさきなだけど、こっそり自分の髪を意識してるちあきが可愛かったです。うん、自分がさきなを魅了しているポイント、自覚しちゃいましたね。

ちあきの散髪を見て、自分もやってもらいたくなったくるみ。髪を伸ばしてくれっていうんだけど、そういってすぐに伸ばせるのはすごいよなあ。ロングヘアくるみ! 大威力! しゆきに効果は抜群だ! しゆき、変質者っぽい言動して見せて、おお、おお、危険人物かよ。でもってここからくるみのファッションショー? ちあきとお揃いヘア、これがやっぱり一番でしたよ。あと、アニメで死ぬお母さん。

今回は、可愛いだ魅力的だと褒めに褒められて赤面したり嬉しくなったり、なんだか意識しちゃったり、そういう様子が愛らしいお話でした。くるみもそうだし、ちあきもそう。ラストの髪いじって、伸ばそうかとさきなにいうとことかね、もう素晴しかった。たまにこういうの盛り込んでくるからこの漫画あなどれません。もう、がつんとやられてしまいます。

『しょうこセンセイ!』

おお、グランドフィナーレですよ。ということで、7年がたちました。すっかり大人になったしょうこ先生、と思ったらまだ16歳。これでやっとこさ生徒とほぼ同い年になるわけか。なのに教師歴8年。元気でにぎやかな新入生を前にしても余裕ある対応、さすがのベテランでありますね。

というか、小夜に奈央も大きくなりましたね。一緒に仲良くして育ってきた友達がこうして生徒になるっていうの、ちょっと不思議な気分? 翔子の気持ちもちょっと知りたいところ。とか思ってたら、お姉ちゃんと呼んでくれとかゆうたはりますよ?

副担任の久坂先生。この先生は新任なんですかね。すっかりアガっちゃって、気持ちの余裕もなくなっちゃってて、ああ、すっかりしょげかえっちゃってますね。けれど、翔子を手本に、また翔子を支えた人たちの応援を受けて、よい教師となるための第一歩踏み出していきましたね。

思えば、あの頃はまだ翔子自身が新米で、いろいろ困難に立ち向かいながら成長していった。それに対して、今の翔子は、後進を励まし導く、そんな先輩としての姿も見せてくれるというのですね。

これもまた成長なのでしょう。生徒とともに成長し、そしてまた同僚教師とともに切磋琢磨していく。そうした翔子のこれから、それはどれほどに希望に満ちているのでしょう。きっとそこにも育まれるもの、新しい経験があって、そしてもちろんドラマチックな展開も! 16歳になった翔子の知る世界! 眩しいと、あこがれに似た気持ちを抱いてしまいます。

2021年5月20日木曜日

『まんがタイムきららMAX』2021年7月号

 『まんがタイムきららMAX』2021年7月号、昨日の続きです。

『こみっくがーるず』

創作者にもいろんなタイプがあると思うのですが、自分のしあわせをおすそわけするように作品にのっけていくタイプがあれば、まったく逆に自分の鬱屈から絞り出すようにして作っていくタイプも。琉姫は完璧に後者ですよね。ふたりで話しあって部屋をわけることに決めた琉姫と翼。翼はわりとすぐにひとり部屋に適応したんだけど、琉姫は全然慣れなくて、寂しい、悲しい、その末があの鬼気迫る濃密仕事モード!

めちゃくちゃ面白かった。ここにいたるまで、寮生友人を散々振り回した琉姫だけど、実際寂しさには耐えられない子なんだろうとは思うんだけど、それでも仕事に打ち込んでる時のセリフですよ。「私やっぱり孤独だと筆がノるみたい」。あ、やっぱりっていってる。薄々というか、実はちゃんとわかってたな。いやもう本当に面白くって、仕事から離れたプライベートの女の子琉姫と、仕事に全力の漫画家琉姫のこのギャップ! 素晴しかった。

でも、本人はイヤだっていってますけど、仕事に一心不乱な琉姫、かっこよかったですよ。

『瑠東さんには敵いません!』

今回は千紘の友人、小守文美にスポットが当たりますよ。本当にいい子。自分の当番でもないのに、担当の子がサボるっていってたの聞いて、図書委員の仕事を自ら買って出るという。でも千紘よ、そりゃあ泣くほどなのかい?

図書室にいったら瑠東とばったり。文美がめちゃくちゃテンションあがるのおかしいですよね。なるほど、そんなに好きなのか。でもって千紘と文美の瑠東さん談義。それぞれの抱いている瑠東像が全然違うんな! いやまあ、瑠東は千紘にしか見せてない顔があるものなあ。あくまでも果てしなく美しい文美の瑠東像に対して、やたらおちゃめな千紘のそれ。どっちがいいかは人それぞれだけど、千紘よ、あんたは本当に特別な子なんだね!

今回、瑠東と一緒に仕事のできた文美。ものすごく喜んでいますけど、これは文美にとってのご褒美だったのかな。いつかもっと近しくなって、親しくなれたらいいですね。でもそうしたら文美の瑠東像が壊れちゃう!? これ、どっちがいいんだろう!?

『妖こそ怪異戸籍課へ』

饗子さん、いいところ持っていくなあ!

機械いじりの才能を生かしてオートショップをやっているシュタイン博士ですけど、どうにも評判がよろしくない。サービス精神旺盛で、客が求める以上の過剰能力を付加しちゃうせいで、クレームに。客離れが進んじゃってるっていうんですね。

この状況を打破すべく風船くばって店の宣伝するというんですけど、こうやって頑張っても、自転車でちりんちりんって商店街を流しながら愛想ふりまく饗子には勝てないのか。おお、おお、ぬらりひょん、最強ではないのか。ぬらりと警戒心を解いて人の懐に滑り込んでいく、そんな饗子の宣伝活動。おお、おお、これ、夏生プロデュースであったのか。

今回は、加減を知らない危ない博士と、そこに犯罪の臭いをかぎつけた夏生。うん、こればっかりは睦子も擁護不能か! そこからの展開、夏生の隠されたスキルがオープンにされたり、そして子供の危機に思わず飛び出していく心優しい人たちの姿。いろいろ悪そうなこといっちゃうシュタイン博士もいいやつなんだよっての、ほんとよくわかる話で、でもやっぱり頼りになるのはフランケンか! ってのもまたよくわかって、ええ、これ、フランケンがいなかったら本当に危なかったです。

事故を防げたこと、夏生が本当に感謝していることがわかるの、バルーンアートでの協力だけでなく、饗子にも宣伝を頼んでっていうところに、ちょっと素直じゃなくて、けれど性根の真っ直ぐな夏生の人となりがよく感じられてとてもよかったと思ったのでした。

でも、饗子はこの宣伝でなにかしら提供を受けたりしたんでしょうか。なんか、それなりにご馳走になってそうな感じしますよね。

2021年5月19日水曜日

『まんがタイムきららMAX』2021年7月号

 『まんがタイムきららMAX』2021年7月号、発売されました。表紙は『私を球場に連れてって!』。ついに完結、ということで見事表紙を飾るは、青空の下、揃いの応援ユニフォームを着たタマとレオナのふたりです。バットを手に、予告ホームラン? 空を指して見せるレオナは晴れ晴れとしたいい笑顔見せていて、その隣にいるタマもまたいい表情。野球さえあれば今日も明日も元気、そんな彼女らのエネルギーを感じる、とてもいいイラストであります。

今月は新規ゲストが2本です。

『猫だってキスをする』

これは猫を擬人化して見せているタイプの猫漫画ですね。

雨の公園に捨てられていた子猫。拾われていったお家は先住猫のふたりいるご家庭。ふたりともに性格も出自も違っていて、まりあ(本名スカーレット・ルイーズ)は血統書つき、ちとせ(別名ふきつ)は外猫から家猫にクラスチェンジ。なので、新参のミミはちとせと同じような経緯でやってきたわけですね。ちょっと違うとすれば、ちとせは自活していた時期があるというところ。こうした来し方の違いが、飼い主、その鳴き声から猫たちからカワイイと呼ばれてる人間に対する態度の違いになってる、そんな感じがするんですね。

先輩猫たちの教えてくれること。ごはん食べるとこ! 寝るとこ! バリバリするとこ! って、ソファが傷だらけだ! ちとせは怒られることちゃんと理解してるけど、まりあは本能に抗えないっぽいですね。その天真爛漫さ? それも育ちのよさゆえなのでしょうか。

かくして猫たちの共同生活。猫の猫らしい振る舞いが人の姿で描かれて愛らしい。でもって、引きの絵ですよ。人の姿のまま猫サイズというのが、ちんまり感を強調して素晴しい。ええ、寄りの絵だと人のイメージが強いけど、ああ、猫なんだ! そういう感じを強く与えてきますね。カワイイ、飼い主ですが、が帰ってきた時の猫たちの様子も、キャットタワーの上に退避してたり、ソファで背を向けていたりと、その身の小ささが印象的でした。

これ、人の姿での描かれようもいいけれど、たまに猫の姿そのもので描かれたりしてもいいかも知れない。そんな感触も得ましたよ。人の姿でも、猫の実描写でも、きっとどちらも可愛いだろうと思います。

『JSリトルスターズ』

これは人に、女の子になりたい天使の物語。水泳の授業に出るために、ひとりトイレの個室で水着に着替えてたところ、駆け込んできた同級生に見られてしまった! さあ大変、背中の翼を、頭上の輪を見られてしまった!? 天使ミカエルが神から与えられた試練、それは人に天使ということを知られずに、百の徳を積めというもの。しかし、ここにこうして天使の姿を見られてしまったとなれば……。

どうする、どうなる天使ミカエル!

というような話なのですが、天使ってことは両性具有だよなあ。名前だってミカエルだし。そのへんどうなっとるんだろう。だって、トイレで着替えてる時、ばっちり全裸状態だったでしょう? ってことは、翼と輪以外にも見えてるところがあったのでは? とか思っとったらですよ、ほんまにちゃんと両性だった! しかもそれ、隠せないんだ。翼と輪は意思でもって消せるというのに!?

いやもうこの漫画、そちら方面のバレが問題だったわけですね。天使とバレてはいけない。しかしクラスメイトの神代きららに見られてしまって、神に気づかれたら終わりだ! でも女神様はまだ気づいてない、ぎりぎりセーフ? というの、これ、天使バレじゃなく、男の子と思われてるからオッケーってことなのかい!?

思わぬバレと誤解と、きららの怖るべき包容力。面白い。これ、誤解を解くわけにはいかない。そしてきららにもあるという秘密? 次回後編にもいろいろ放り込んできそうな予感に打ち震えますよ。

『私を球場に連れてって!』

あと一勝でクライマックスシリーズ勝ち抜け、日本シリーズに手が届く。そんなキャッツの天王山。6対4で臨んだ最終イニング。はたしてここから逆転するというのか。

前回いってたじゃないですか。普通ならここから優勝、グランドフィナーレに雪崩れ込んで大団円。でもこの漫画だとどうなるかわからないなあって。ええ、1点返して、もう1点という状況。はたしてどうなる。固唾を呑んで見守る気持ちは、タマやレオナたちと同じだったかも知れない。それだけに、その気持ちの消沈していく様、ショックでした。え、ほんまに? え? 負けたん? いや、そうとしか読めないけど、そう……、負けたん……。

そこに追い討ちをかけるかのようなタマの青ざめた顔。ああ、こうして今年の彼女らの野球は終わったのか。レオナの涙、猫子の涙、さらに加えてタマも泣いて、この終わり情景。まさかの負け、しかもファル子からまりんまできっちり煽ってくるという、いつもどおり? そんな様子見られて、でもなんだろう、不思議とやりきった感があったのが不思議でした。

そして、ここからがよかった。今年は負けたけど野球はまだまだ続く。そうしてずっと野球に関わり、好きなチームを応援し続けている彼女らのその後が、そのまま描かれるの、すごくよかった。ああ、大きくなってる。しかもここで今年、2021年に接続するんだ。猫子がもう中学生、ということは8歳のあの頃は4年前とか5年前のことだったのか。この感覚の意外性。ああ、これまで見てたの過去の彼女たちだったのか、というのに加え、一気にこの子らの存在感が具体性を持って迫ってきたと感じられて、これはすごいな。最後の最後に、えらいものぶち込んできたもんだ。

ああ、そうか、彼女らは今もどこかで推しのチームを応援しているんだな。野球について見聞きするごとに、遠くどこかにいる彼女らに思いを馳せることになりそうと、そうした実感がしっかり残ったのです。

2021年5月18日火曜日

Plague Inc.

感染症を変異させながら人類根絶を目指すとんでもないゲーム『Plague Inc.』について書いてからほぼ1年が過ぎました。正直、こういう悪趣味な楽しみは世の中がある程度健全であったからこそみたいなところがありまして、いえね、今みたくガチ感染症で世界が世界が大騒ぎ! みたいな状況で楽しむのはいかがなものだろう……。いや、やってみたらやっぱり面白いんですけど……。さて、このゲームに感染症に立ち向かうThe Cureモードが追加されて半年くらいたちました。よかったですね、これで後ろめたさなく『Plague Inc.』を楽しむことができますよ!

The Cureモードが追加されていることには、随分前に気づいていたものの、遊ばないまま今まで放置してました。いえね、なかなか時間がとれなくてですね。でも今になって遊んでみたのはなぜかというと、Twitter上に、ウイルスは人間との共生を図るため、変異しながら弱毒化していくものだ、みたいな意見を言い募る人が結構いることを知ったからなんです。

いやいや、進化はそんな都合よく意図的に方向性が決められるもんじゃないですよー。宿主を速攻死に至らせるようなヤバい病原体は、次の宿主に感染するよりはやく自身の運び屋である今の宿主を殺してしまうため、自身のコピーを増やすことに失敗しやすく、結果的にマイルドなやつに遅れをとってしまうってだけで、そこに意図とか選択性とかありませんから。

みたいなことを話していた時に、『Plague Inc.』遊んでみたらわかりやすかったりしないかな? いや、でもこのゲームは意図的に変化の方向性を決められるからな。そうだ、Tue Cureモード遊んでなかったな。

こんな具合で遊んでみる気になったのでした。

The Cureモード。これ、感染症広げるよりも難しくないですかね!? 一番最初の病原体タイプ、バクテリアでしたっけ? をハードまでクリアしてみたんですが、これがもうぎりっぎり。

感染症の広がってる地域に検査官を派遣して、新規感染症の発現を確認すればゲームスタート。じわじわと広がる感染症に対応すべく、ロックダウンや国境封鎖を指示。他地域への伝播を抑制しながら手洗いの奨励や医療資源の確保をしていくのですが、これら行動にはそれぞれ予算が必要になるんですね。

このゲームのよくできてるのは、やみくもにロックダウンや国境封鎖を行うと住民間に反感が広がっていって、指示を聞かなくなっていくんです。そうなるといくらロックダウンかけようと感染拡大を止めるのは困難になるので、ほどほどでロックダウンを切り上げたり、経済支援等を実施することで反感を抑える必要があるんです。

これ見ましてね、あー、日本で緊急事態宣言やら蔓延防止やら、いろいろやっても効果が薄かったわけだよ。全然人出が減らないとかいわれるの、反感が広がっちゃってるんだよ。

とか思ったんですが、残念ながら政府はどーんと給付金を大盤振る舞いしたりはしてくれません。

ぐぬぬぬ。うまくはいかんもんだな……。

The Cureモードは、最終的にワクチン開発がはやいか感染症蔓延がはやいかのスピードレースになります。なので可能なかぎりワクチン開発にリソースを投入したいのですが、そうなると感染症対策がおろそかになる。すると感染症が広がる。死者も増える。死者が増えると当局の権威がごりごり減っていって、いよいよ市民はいうことを聞かなくなってしまう。

このジレンマ!

だよなあ、現実世界でも専門家とかへの攻撃、めちゃくちゃ増えとるけど、こういうことかよ! いやもう、社会動向のシミュレーションとして、シンプルながらも気の利いた、あと皮肉も利いた、妙にリアリティあるゲームでありますよ。

面白いので、興味おありのかたは遊んでみられるといいのではないかと。短時間で一戦終えられるのも悪くない感じですよ。

2021年5月17日月曜日

今日は休みます

今日は休みます。

2021年5月16日日曜日

Good Job!

 Nintendo Switch Onlineの加入者特典にいっせいトライアルというのがあります。期間中、対象ソフトを遊びたおせるという心の踊るサービス。まあ、私の場合、他にやりたいものがあるとかそもそも時間がないとかでほぼ利用できずにいたんですが、まあ、それは置いておいて、『Good Job!』ですよ、2021年4月のいっせいトライアルにピックアップされたこのソフト、いっぺん遊んでみたいと思っていた! ええ、これを機会にちょいと試してみたというわけです。

『Good Job!』は、カテゴリーとしてはパズルになるのかな? 会社での仕事を効率的にこなすとGood Job! 高ポイントが得られるというゲーム。たとえばプロジェクターをプレゼン会場まで持っていくとか荷物をトラックに積み込むというように、ステージごとに設定されたミッションをこなしていくことになるのですが、普通に運んでもいいし、勢いよく窓や壁をぶち抜いて最短距離を狙ってもいいという、解き方の自由さとはちゃめちゃさが売りで話題になったゲームです。

これはプレイ前から知っていたのですが、備品や施設を破壊すると損害が発生するものの、評価されるポイントは主にタイムなので、時間かけて丁寧に運ぶより派手にぶっ壊しながら迅速にやっつけた方が高得点を得られます。いったいどういう社風なのか、いくらなんでも乱暴すぎる。でもプレイ動画を見ると、自分も一度社屋をぶっ壊してみたい……。

ええ、遊んでみたかったゲームなのです。

実際に遊んでみたところ、はちゃめちゃにやるにも、それなりの才能が必要なんだなということがよくわかりました。

意外と効果的にぶっ壊すのって難しいんですよ。破壊のスイートスポットみたいなのがあるのかな。電気のケーブルを使い、パチンコみたいにして機材をすっとばし、壁をぶち抜いてやるのですが、思ったように壊せないし、距離も出ないんですね。他にもフォークリフトの操縦、こいつがなかなか難しくて、思った場所に運ぶだけでも結構手間がかかる……。慣れの問題だろうとは思うのですが、単純に大暴れすればいいゲームじゃないな。通れる場所、通せる場所、それらを把握して、うまいこと動線を組み立ててやってはじめて理想のぶっ壊しが可能になる。そんな感触。むしろ、ここうまいこと通れない! 挟まって詰まって抜け出せない! みたいな感じでやきもきすることの方が多かったです。

そしてこれはゲームの本質から外れたところへの感想なのですが、プレイヤーキャラ、普通の新入社員じゃなくて社長の息子とか孫とかそういうやつなんか! 最初に流れるムービーでそうしたバックグラウンドがさらっと示されるのですが、これはちょっと興醒めだなあ!

いや、だってね? 普通のなんでもない社員が、時間効率一辺倒で損害かまわずむちゃくちゃやってもOKなイカれた会社! みたいなゲームだと思ったら、社長の身内が権威を笠に着てむちゃくちゃやってるだけなんですよ。意味合いが全然違ってくるじゃないですか。前者だったら、効率重視すぎ社会の異常さを楽しむみたいな風刺的悪趣味さが味わいになるけれど、後者だとアンタッチャブルなやつがめちゃくちゃやるのを社内の誰も止められない、そういう抑圧の匂いが出てきてしまう。

この設定はない方が楽しかったと思うなー。

なんてところがちょっと惜しいゲームでした。

2021年5月15日土曜日

あん

 久しぶりに映画『あん』を見ました。つい先日、5月11日ですね、NHKで紹介されていたのに触れて、見たいという気持ちが無性に高まってしまったのでした。NHKで取り上げられたのは、らい予防法の国家賠償訴訟勝訴から20年がたったことを受けてでした。現在も講演活動をなさっている上野正子さんとともに、彼女をモデルとした登場人物の出てくる映画、『あん』について語られて、ああ、いい映画だったな、映画館に見にいって、またテレビでやっていたのも見たなと、しみじみ思い出した。ええ、時に思い出しては見たくなる映画、それが『あん』です。

以前、この映画についての感想を書いたのは2015年、もう6年になるんですね。読み返してみれば当時はまだソフト化されておらず、見たければ劇場にかかるのを待って足を運ぶしかなかった。ですが今は動画配信サイトがあります。入っててよかったNetflix、好きなタイミングで自宅に居ながら視聴することができる。本当にありがたいことだと思います。

この映画は、たとえどんな時、どんな状況で見たとしても名作であることに違いはないと思いますが、今、新型コロナによって社会とともに人々が疲弊している状況で見れば、また違った感慨もあって、見てよかった、今だからこそ見てよかった、そんな思いでいっぱいになっています。

移動の自由が制限されている。それは緊急事態宣言といった外部からの抑制だけでなく、自身外出を避けようと思う内面からの抑圧もある、そんな不自由を感じる状況。またあるいは、コロナ対策のしわよせを受け生活が変わってしまった、悪く、より厳しい状況に追いやられてしまった人もあろうかと思います。よりマシな場に移りたい、そう思ってもそうそういい場所なんてものはない。つらいと、しんどいと鬱屈しながらも、今の状況に足踏みし続けている今、生きるということはなんなのだろう。こんな思いをしながら生きなければならない自分の生とはいったいなんなのか。そうした疑問を飲み込みながらあくせくと日々を過ごしている時に、この物語は共感をともに触れてくるのではないか、そう思うのです。

ただ、なにもなくとも生きてるだけでいいんだよ、そうした優しげで空虚ななぐさめを与える物語ではないということは肝に銘じておきたいところです。この物語は、もっと強い、前へと向かおうとする思いが描かれている。思いこそは強くとも、それが閉じ込められてしまっている、不自由にされている時に、いかにその思いに向きあえばよいのか。いつも望みがかなうわけではない、むしろ逆風の吹きすさぶことさえままある人生に、それでも生きよう、生きた、生きねばならなかったということの意味こそが照射されている、そのように思うのです。

久しぶりに樹木希林さん、市原悦子さんにお会いした、そんな気持ちになれたのはすこし嬉しかった。そしてこのことがはからずも命の、世の無常と、映画のうちに生き続ける永遠というものを思わせて、時間あるいは見るものの思いにより、映画の描き出すものは変化、深化していくのだと、あらためて感じさせられたのでした。

  • ドリアン助川『あん』(ポプラ文庫) 東京:ポプラ社,2015年。
  • ドリアン助川『あん』東京:ポプラ社,2013年。

2021年5月14日金曜日

『まんがタイムきらら』2021年6月号

 『まんがタイムきらら』2021年6月号、昨日の続きです。

『しゅーしゅーまにあ』

クールビューティー朝霧さんが、実はシリカゲル収集家であったと知った牧野。しかし、なんでまたシリカゲルなん? そう思ったら、やっぱり牧野もそう思ったか。なんでシリカゲルなんだ? おお、よくぞ聞いてくださった。疑問に思うよねえ!

この漫画、こんな具合に話題が、会話が展開していくときに、やっぱそこ気になるよね! みたいなしっくりとくる納得感があるのがよかったのですよ。例えば、なんでシリカゲル? 特異なキャラクターを演出するためにシリカゲルなのかい? と思ったら、多くの子供が好きで集めたりするビーズ。透明でキラキラして綺麗なもの。それが朝霧にとってはシリカゲルだったというの、おお、これ、なるほど納得ですよ。一気にこの漫画の地盤がしっかりと固まってきた、そんな感触得たのでした。

きれいだったから集めはじめたシリカゲル。でも好きで集めてるだけあってその用法、機能についても詳しくなってる朝霧がまたいい。でもってこうして朝霧の好きの理由がわかれば、次は牧野の番。なぜシールを集めるようになったかのきっかけが妙に物悲しいのも面白いんだけど、最初はただパンについてくるおまけ、いわば余分でしかなかったものが、アルバムに整理してみたら世界が一気に変わったっていうのがね、ちょっと感動的といいましょうか、すごく印象的でよかったんですよ。

なんでもなかったものが、一気に価値あるものになった瞬間。この子の価値観が引っくり返った、それも見るも鮮かに! いやもう見事だったと思ったのでした。

かくも納得感にあふれたこの漫画。登場人物の感情がわかる、共感性があるというのは、それだけでもう随分なアドバンテージだと思います。それに加えて、好きなものを語る、その感情の高ぶりもいい味出していて、いやもうキラキラだ! 心ひかれてやまない、そんな魅力がありますよ。

『ウサうさ! —Rabbit To Bunny—』

急に外の世界が怖くなってしまった!? 脱走を諦めてしまったミスターR。いったいなにがあったのか。その原因の描かれるくだり、すごく面白かった。

いつもは小屋の中で暮らしているうさぎたち。けれど昨日は小屋から少し外に出ることができて、でもそれがRにとっての恐怖体験になってしまったっていうんです。

そうか、道徳の授業で動物との触れ合い学習みたいなのあるんだ。うさぎは抱っこがあまり好きではありません。抱っこができても立ち上がらないように。などなどうさぎの扱いについて先生から注意があったんだけど、子供たち、まるで頓着してないですね! 我先にと手を伸ばしてくるからうさぎたちには恐怖そのもので、しかもRときたらやんちゃな男子に追いかけられてね、ほんとみんな先生の説明、聞いちゃあいないな! でもってR、囲い飛び越えていよいよ脱走成功か! と思いきや、えらい表情の先生にとっつかまってしまってね、いよいよ恐怖が限界に達してしまうんですね。

今回の面白さ、先生の注意したやってはいけないこと、それを子供たちが次々やっちゃう様子がテンポよくって、まるでドミノ倒しみたい! ほんと、このあかん行動の連鎖。見事でした。

My Private D☆V

『ゆめぐりっ!』のいしいゆかです。

D☆Vポイント、いい感じにちりばめられていますね。うるうるな瞳で見つめる女の子、それがメインにありまして、そこにロングヘアーのツインテールとかやわらかいふとももや女の子の身体のラインといった細かいポイントが付加されて、具体性が高まっていく、そんなスタイル。そうして描かれた女の子は、『ゆめぐりっ!』の印象とはちょっと違って、あの漫画は時々メランコリック、けれどいきつく先はいつも晴天! みたいな晴れやかさがあるでしょう。対してこちらはちょっとしんみり? 悲しすぎたり痛ましかったりはしないですよ。ちょっと気持ちが揺れ動いて、涙も浮かんでしまいました。そんな感じがあるんです。

今回のD☆Vポイント、そのメインであるうるうるな瞳でっていうの、ただうるんだ目が綺麗とか可愛いとかだけじゃなく、その瞳の向こうに見え隠れするこの子の感情、そこに魅力があるのだと思いました。この子は今なにを思って、なにを感じて、それがどうしてこの表情にゆきついたのだろう。そうしたことを思わせてくれるところがあって、なるほどこれが魅力です。うるうる瞳はただの要素ではなく、この子のうちにあるものに思いをいたらせ、その奥行を広げる、そんな入り口になるのだと思わされました。

2021年5月13日木曜日

『まんがタイムきらら』2021年6月号

 『まんがタイムきらら』2021年6月号、昨日の続きです。

『そらコミュニケーション』

お正月の情景、いいですよね。のっけからお餅。焼き餅はおいしいよね、と思ったらカレー&プリン餅とか混入してるのか。予告なしでいきなり地雷を口にしてしまったテンペスタ、お気の毒でした。はっ、おみくじの凶とはすなわちこのことだったのでは!?

璃野と那由多、朔の晴着姿もとてもいい。素直に朔のことを褒めないテンペスタが見事ツンデレ認定されてるのもいい感じ。ええ、この子についてはこの評価で間違いなしですね。

初詣でのお願い、せんりのそれは両親との再会だったのですが、ソラがかなうっていうんです。神様の伝言だっていうんですが、これ、きっとかなう、そんな気持ちにさせられますね。そして家に帰れば千十星が酔い潰れている! 夢の中であかりと再会している、これははたして夢なのか、それともつい先ほどまでの現実なのか、みたいなこと思ったりもしまして、ええ、これが正夢となればいいなって思える、そんないいお正月でした。

『トールさんの通り道』

トールのそばにいた彼が魔王だった。アーティの祖母の魔法によって、ブリから離れた魂が魔王の姿を取り戻して、向かうはサイドのもと。魔王の責任としてサイドを止めるという彼に、なおもブリちゃんと呼び続けるトールの寂しげな笑顔が忘れられません。

しかし魔王復活から急転直下ですよ。サイドの粛清。命の危機に直面していたライムも生存を確定させ、さらにはサイドを人間に戻した上で魔族としての記憶を封印、誰も死ぬことなく解決したというんですね。

そうそう、誰もが皆無事。これ、ブリちゃんにとってもそうだっていうんです。人形から再び離れた魔王の魂はブリに戻り、ああ、目を覚ましたブリを見るトールの嬉しそうな様! トールと一緒に暮らしていた時間が、ブリに、魔王にとっても心地よく、楽しいものだったんだろうなあ。そう思わされた場面でした。ええ、ブリちゃんもすごくいい表情見せてくれましたよ。

かくして漫画は終わりを迎え、人と魔族の共生も視野に入ってきて一件落着ではないですか。サイドの目指したものとは違う、多くのものがしあわせになれる世界平和への道筋がつきつつある、そんなラストは優しげで、この漫画に似合ったものだと思いました。

『ゆえに、アイドル革命!』

こちらも最終回。そうか、CHU♥IN GAMの目標、ファン100万人の達成も目前というところまできたのですね。かくして異世界でのラストライブとあいなって、見事CHU♥IN GAMの皆は目標達成、日本への帰還もかなうことになったのですね。

これでお別れとなれば悲しいのはユメですよね。地下アイドル時代からの熱心なファンですよ。それがこうして推しの成長に関わることになり、夢の達成にまで立ち会うことができた。ファンとしては満願成就といっていいのでは? いや、ファンとしての立場を超えた越権とでもいうべき過ぎた場所にまできてしまったのかな。ええ、ユメの思い、気持ち、それをもっと知りたいなあ。そう思うのは、一番近く感じた人物、それがユメだったからなのかも知れません。

これでお別れ。CHU♥IN GAMの3人は日本での再出発。けど以前とは違い、異世界での経験、それが彼女らを支えてくれることでしょう。でもってまさかのユメ、リリノアとの再会ですよ。不思議なサイリウムの力でもって、異世界との行き来が可能なんだ! ええ、これは大盤振る舞い。ユメ、よかったよなあ!

これ、すなわちCHU♥IN GAMの異世界&日本の同時制覇みたいな展開がこの先あったりするのかもですね。けれどそれはまた別のお話。彼女らの躍進に立ち会えないのが残念でならない。そんな思いの残って寂しい最終回でした。

2021年5月12日水曜日

『まんがタイムきらら』2021年6月号

 『まんがタイムきらら』2021年6月号、昨日の続きです。

『むすんで、つないで。』

七色、どんどん可愛くなる。今回はつなぐからじっと見つめられて、私を美しくする気ですか!? いやいや、より以上に美しくなってしまいますよ、七色さん。ほんと、この子、普段は伏し目がちで、なんかテンパっててぐるぐる目で、その正体、真価を隠してしまっているけど、実は目なんてきらきらで、ちょっとぽっちゃりかも知れないけど、はっとさせる美しさがあるじゃありませんか。今回はその美しさ、あちらこちらで発揮されて素晴しかった。

でも、この子、自信がないから、美しさを押し出してくるの、自分の妄想内だけなんですよね。今…、私のこと見てたでしょう?

ぎゃーっ! めちゃくちゃ美しいじゃん! 七色、最高じゃん。

この構図、つなぐも一緒ですよね。自己評価が低い。学校でもみんなから疎遠にされてる、人づきあいもうまくないって思ってるけど、あー、後者は決して嘘ではないか。でも皆が遠巻きにするの、あまりにつなぐの輝きが眩しすぎるから! 皆の憧れるきらきらつなぐさん。その輝き今回も健在で、でもつなぐは自分で気づいちゃいないんだよなあ。もったいないなあ。

そんなつなぐから七色へのアプローチ。ななと、もっと仲良くなれたらなって思って。

うわーっ! なんだこれ、少女漫画の一シーンみたいだーっ!

七色はぽかんとしてしまってますけど、ほんと、素晴しい。さあどう受ける七色。ライフで、ライフで受けろ!

『推しごとびより』

ライブの成功を受けての打ち上げの情景、これがライブ後とは思えないのが彼女ららしいと思えておかしかったです。だってさ、即売会の戦利品交換とかね、待って待って、これってイベント後のサークル打ち上げじゃないよね? ってな具合になってるのがほんといい感じにマイペースさ、自分の好きを追求してる様子を見せてくれていたのです。

さて、そんな現場に現れたふたり組。カラフルリウムのファン? ではないなこの感じ。あまりに可愛いと心町がえらいテンションになっていますが、この子たち、動画サイトメインで活動するアイドルユニット、ロゼだというんですね。

ダンスに優れる鶴川茜。音楽の才に長ける生田ましろ。このふたりから、練習もせず遊んでばかりと叱られて、さらには近々開かれるライブイベントの出演枠、それをかけての対決を挑まれたものだからもう大変。カラフルリウムの皆も、その勝負受けたんですね。いやもう、一気に緊迫の度合いも増す、そんな展開じゃありませんか!

と思ったところが、あまり緊迫しないのがこの子たちなんですよね。ほんとマイペースで、筋肉痛で動けないのもあるんだけど、ついつい動画をはしごしちゃったり、いや、これはトレンドの調査、対決相手のリサーチだからセーフですよね!? でも明らかに実力に勝る相手にどう向き合うか。さすがに緊張感、出てきましたよ。

好きの追求を通して輝きを増してきた、そんな彼女らのこれまでと、ライバル出現を受けて走り込みなどする彼女らのシリアスな活動と、どういう差が出てくるのか、楽しみですよ。

『ぎんしお少々』

一瞬、違う漫画かと思いましたよ。塩原さんに会えると、カフェへと駆けていく高校二年生。ところが彼女を迎えた塩原さんは、塩原は塩原でも塩原違い。もゆる、妹の方だったっていうんですが、ボヤっとしてるって酷いよお姉さん!

この押し出しの強い子、まほろファンの子、若葉谷セツナ。以前、しろの塾での先輩、風花かなめって子がいましたが、この子のクラスメイトなんですね。セツナに追いついてきたかなめがもゆるのこと霊感少女ゆうてみたり、でもってまほろのこと口にしたことから、しろとの関わりが明らかになってきたりと、これ、人間関係がいろいろ錯綜してきましたよ。まほろとの繋りを確保せんともゆる攻略に舵をきったセツナとかね、さらにはもゆるに伴われたしろとかなめの再会? 池を眺めながら親交を深めるの巻?

新たな個性が加わってきて、なにが起こるんだろう。きっとなにか面白くなりそう、そんな風に思わせてくれる。というか、セツナがなにかやらかしてくれそう。一種、もゆるを超える逸材のように思います。

2021年5月11日火曜日

『まんがタイムきらら』2021年6月号

 『まんがタイムきらら』2021年6月号、先日の続きです。

『星屑テレパス』

ユウを訪ねて灯台を訪れた海果。しかしそこはもぬけの空で、夜になっても戻ってこない。灯台に入ってみれば電気もつかず、ランタンも航海日誌もなくなって、まるで最初から誰もいなかった、なにもなかったみたいになってしまって……。

ぽつり灯台にひとり座り込んでいる海果の姿、そのものがなしさ。自分が酷いことをいってしまったからユウはいなくなってしまった。その悲しみを絞るかのように泣く様は胸苦しくなるほどに痛切で、それだけにこの子の心の底から願ったこと、その言葉のほとばしりにはたまらないものがありました。

しかし、ユウという子は、本当にこの世界に存在するのでしょうか。海果にだけ見えているわけじゃない。他の皆とも交流をしているユウだけれど、もしかしたら宇宙に居場所を求めた海果の生み出したイマジナリーな存在なのではないか。そんなことさえ考えてしまった。

帰ってきたユウ。海果との対話、その切々と思いと思いをやりとりする姿はいじらしく、そして少しずつ強くなっていく海果。その思いがつのるほどに、この子は前へと進んでいくのだと思わされたのでした。

ユウの思い出したという故郷の歌。これも前進でしょうか。ふたりの結びつき、そのしっとりと強くしなやかなる姿。見つめあう目と目、その向きあう先にあるもの、その確かさが素敵でした。

『しあわせ鳥見んぐ』

遠征、翼とすずだけじゃないのか! ひなに岬も加わってのにぎやかな出立。最初はそのテンションについていけてなかったっぽい岬も、オジロワシトークをきっかけに普通に馴染んだっぽいですね。うん、やっぱりオタクの類は好きなこと語らせたら一発だ。

今回の目的地は宮城の伊豆沼。マガンのねぐら入りを狙おうっていう、その理由、早起きできない人もいるからなのですか……。山形から宮城への移動、隣県ですけど、日本海側から太平洋側に出ることになるから、結構大変だったりするのかな? 今回はトンネル通ってますけど、京都でいえば京都市から舞鶴にいくみたいな感覚? 正直隣府県の大阪や滋賀に向かう方が近いと感じる……。もし夜明けを狙って移動するとなると深夜発どころか前日から夜にかけての移動みたいになるのかもですね。

今回描かれた鳥はノスリと、そしてマガンでした。人の手が加えられた環境を好むというノスリ。人の姿が見えないよう、ゆっくり車で近づくとわりと大丈夫だというそうした翼の説明。人と野鳥との距離に悩みを覚えていたすずには、大きく響いたみたいですね。そしてマガンはというと、狙われる側だからかな? ノスリ以上に警戒を見せて、少し距離をとってみよう。こうやってちょうどいい距離感をさぐっていくところ、これもすずにはいい経験となったみたいですね。

目的地の伊豆沼は次回ですね。ねぐら入り、そこで出会うこと、もの、それがなにか、すごく楽しみ。すずに、そして皆にとっていい思い出になればいいなって思います。

『一畳間まんきつ暮らし!』

今回は猫視点でみちかを追うという趣向。はぐれものの鮭吉。見た目も凛々しい、いや厳つい? そんな渋い猫の旦那が、頼りない下僕の身を案じて猫カフェを抜け出してはみちかの監視をしているっていうんですね。

これ、みちかからしたら鮭吉は世話しているお店の猫ちゃんで、でも鮭吉からしたらみちかは放っておけない子分なんですな。鮭吉がみちかの頼りなさを回想するところ、みちかはひとりで餌もとれないっていってますけど、違うよね! あの、ぎゃーっ! って叫んでる顔、いい表情してました。

下校時にみちかの向かった先、そこには知らない猫の縄張りで、なんだよ浮気しやがって……、傷心の鮭吉のひとり場を去るその背中の悲しさよ! でも、こうして一度は失った信頼がその後回復するところ。鮭吉の思い出と、そして新しい仲間を迎え入れるそのくだりはほっとさせられるようなよさありました。

こうしたあたたかみ。これこそは、猫カフェ猫夢庵の空気で、そしてみちかと猫たちの信頼感なのだろうなあ。ええ、いいお話でした。

2021年5月10日月曜日

『まんがタイム』2021年6月号

 『まんがタイム』2021年6月号、先日の続きです。

『お天気おねえさんの晴れ舞台』

朝のお天気コーナー。出番が終わった琴音に声をかけると、ごめんなさい! すごい勢いで謝ってくるんです。そうか、真由のこと、牧と勘違いした。というか、牧さんいないんだった! 怒られない! って、ぴかぴかの晴天笑顔になる琴音もすごいですね。牧さん、どれだけプレッシャーになってるんだろう。まあ、なにかしら失敗しがちな琴音が怒られる原因作ってたりもするんですけど、でもプレッシャー感じながらも、どーんといっちゃう琴音の勢い、こいつがいいんですよねえ。

とはいえ、牧の存在感ですよ。一週間不在というのだけど、ちゃんと放送はチェックしてるからとおしかり、いやさ励ましの電話がかかってきます。牧の表情険しいけれど、なんだかんだで琴音のこと気を配ってくれていますよね。そんな牧のこと琴音もちゃんと頼りにしてて、最初は牧がいないから怒られない! っていってたのが、電話がこないって落ち込んじゃって、この離れてわかる大切さみたいなの、よかったなって思ったのでした。

そんな牧も、今回は琴音からおしかりですよ。最初は心配から、牧さんも寝てください、その言葉に心安らいでる牧もいい感じ。そう思ったら、琴音がメッセージで駄目押ししてくるっていうね! この互いに心配しあってるところもまた素敵でしたよ。

『テレパス皆葉と読めない彼女』

皆葉くん、気もそぞろ! 澄花と一緒にマフラーのお礼の買い物にいきます。それであんなに緊張しまくって、澄花も怪訝そう? 一緒に寄り道はじめてじゃないよね? 夕飯買うのとは訳が違う。このやりとりに、笹本と桐谷が心の中でそろってつっこみいれてるの、おかしかったです。

しかし、皆葉、澄花のこと気にしてますよね。他の男子と話して笑ってる澄花を見て気持ちが落ちつかない。自分の心も読めないんだな皆葉くん。そしてふたり買い物にいった先で、なにを贈ったら澄花は喜ぶだろう、考えて迷って、その末に選んだのがリボン。プレゼントして、それを澄花が髪に飾る、その場面。丁寧に皆葉の心の動きを描いてみせて、素晴しかった。澄花が喜んでくれるだろうか、気にいってくれるだろうかと不安に思って、緊張して、安堵して、本当、皆葉は今この澄花との関係を通じて、これまで知らずにきた、不安をともに探りさぐり相手の気持ちをおもんぱかって、正解に辿りつこうとする行為、人づきあいというものを知っていっているんですね。

自分の感じている不安を口にした時に、澄花も同じだったと告げられて、これ、皆葉には意外だったりしたのかな。自分だけが気持ちを揺らしているわけじゃないんだよ。と、そこでまさかの皆葉不調? 思考のノイズに屈み込んでしまって、皆葉の身に起こったこと、これがいったいなにをもたらすのか、今後の展開の予想しえなさに私もドキドキしますよ。

『おちゃんぴぃ ちゃ美』

いいな、この漫画。ちょっと昔風っていったら申し訳ないんだけど、猫のちゃ美の心の台詞がね、書き文字で表現されてるの、その文字の雰囲気に描き慣れてるなってベテラン感を感じましてね、加えていえば扉絵背景の壁に貼られたポスターなんかの雰囲気ね、ああ、なんだろう、懐かしさがある。かつての少女誌や、そこからもう少し年長向けの雑誌に載ってたりしそうなんて思ったのですよ。

キャラクターの描きようもすごくうまいですよね。猫のちゃ美の表情、すごく豊かで、しかも顔だけじゃなく全身でその気持ち、感情を表してくる。これは猫だけでなく人においても同様で、飼い主の徳川課長、この人の職場の同僚、部下たちも、すごくのびやかに動く。まあ、一番に動くのはちゃ美ですけどね。ほんと、嬉しい顔、お怒り顔、不満顔からおすまし顔。魅力的だと思いました。

2021年5月9日日曜日

『まんがタウン』2021年6月号

 『まんがタウン』2021年6月号、先日の続きです。

『君と銀木犀に』

これは、葉介と泉、ふたりがなにものかに出会い、知り、世界を広げていく話なんだなあということを、あらためて実感させてくれるようなエピソードでした。

葉介の参加したイングリッシュキャンプ。学校の行事なんだそうですが、葉介はいきたくない。シナリオコンクールに応募するお話を書き上げたい、そう思ってるんだけど、大人ってこういうのを尊重してくれないでしょう? そんなこといっていた葉介が、夜、キャンプから泉に電話をかけてくるんですよ。いったいなにごと!? 書いてたお話、原稿用紙、捨てられるとかしたの!?

違ったんですね。お話を書いてたら集合時間に遅れて怒られちゃった。でも、キャンプにインストラクターとして参加していた大学生が、脚本のことを聞いてくれて、舞台になったら見たいから教えてほしいって、そういってくれたことが葉介にはどんなにか嬉しかったか、という話。

これは、葉介、泉の暮らしている世界の外部にいる大人の存在、それを知る、そういう話でもあったのかも知れません。大人って、そういってふたりは大人のことを決めつけがちであるけれど、そうじゃない大人だっているんだ。あるいは、まだ大学生だから? いや、そうではあるまい。自分たちの知らない大人がいるということを知ったふたり、それは世界の広さや、あるいはいずれ自分たちも大人になる、そのロールモデルとなりうる人に出会えたと思ってもいいのでしょうか。

このふたりが大人になった時、子供のやってることを興味持って受け入れて、それを評価してくれる、そんな大人になれるのか。それはわからないけれど、そうなれる可能性に彼らが開かれた、そんな気がしたのでした。

『立ち呑み布袋でもう一杯』

めっちゃ怖い話。

私は記憶が飛ぶほど飲んだことはないんですが、飲んだせいでやらかしてしまったことはまああるわけです。でも覚えているから後からいくらでも反省もできる、お詫びもできようものだけど、そうか、白瀬さん、やらかした上に忘れてしまった。やらかしたことさえ覚えておらず、布袋の店長さんから、あれから大丈夫でした? 聞かれてなおなんのことだかわからない。

こわー。ほんと、なにをしでかした? 常連たちと盛り上がった、そこまでしか覚えてない。店長と舘の様子を見るに、結構なやらかしですかい? 龍泉寺の言葉、いつでもいーよ、気長に待ってるってのも意味深で、いったいなにをやらかしちゃったの?

ほんと、怖ろしい話でした。

しかしなにが一番怖ろしいといっても、龍泉寺と布袋スタッフふたり、気を利かせてね、なんでもない話にしてくれた。白瀬が気に病まないようにっていうんですけど、つまり……、いったいなにやらかしたの!? それが最後まで明かされないまま終わっちまうっていうんですが、ほんと、白瀬さん、なにやらかしたの!? このわからないまま安心してしまう白瀬に、人間関係に恵まれましたね! そうした気持ちになりながらも、ほんとなにがあったのかと落ち着かない気持ちのぞわっと残る落ち。これを見事といわずして、なにを見事といおうか。すっかりしてやられた気分です。

『食欲しか勝たん!』

水着での写真撮影があるので体を絞らないといけない。なのについつい食べてしまったピザですよ。そうか、フラフープがマルゲリータに見えてしまいましたか、こころん。でもマルゲリータってそんなにカロリー高いの? ピザ生地は薄めで、カロリー高いものといったらモッツァレラチーズくらいでは? と思って軽く調べてみたら1枚で340キロカロリーくらいから。ああ、こころん、ラッキーだった。そこまでヤバいカロリーじゃなかった。

と思ったら、宅配ピザだとMサイズで1000キロカロリー超えてきたりするのか! やべえ。Sサイズでも750とかだよ。

フラフープの輪っか→丸い→ピザと連想しちゃうのはまだいいとして、うっかり頼んじゃってるっていうのがすごいよね。食べたいとなるともうとまらないのがこころん。しかも生地を厚めのものにしちゃった!? それをひとりでペロリ? いやもうこれ大変。というか、こんなの見せられたらピザ食べたくなるから、こちらもやばい。おそろしい漫画ですよ。とりわけ夜読むと危ないやつです。

今回、体を絞るといっていたこころん。結果はどうだったかというと……、おおちゃんと体形整えられたんですね。おおお、これが若さか、これが基礎代謝の力か。

2021年5月8日土曜日

『まんがタイムきらら』2021年6月号

 『まんがタイムきらら』2021年6月号、発売されました。表紙は『星屑テレパス』。これ、本当に美しい表紙ですね。寄り添うように隣り合って座る海果とユウ。ふたり揃いのドレス。ユウのドレスにはラベンダー、海果のはスズランの柄があしらわれていて、若干の色違い、けれどそれがすごくマッチしてきれい。肩にかけたレースのショールも素晴しく美しい。ユウが見るのは、夜空の向こうに輝く星でしょうか。そして自分の脚を抱き込むようにして身を丸めた海果が見せたその表情。こちらに視線をくれて、微笑みを浮かべているのがこの上もなく印象的で、ああ、とてもいい、とてもいいです。本当に美しい、この子のこの笑顔の向こうに広がる気持ちが見えるかのよう。その目に引き込まれるように感じます。

今月は新作ゲストが3本です。

『黒百合クロニクル』

女の子同士の絆を察知し、その記憶を奪いにくる危険な生命体、クロユリ。姿こそは植物のそれだけど、大きさが違う、いきなり地面から伸びてきて、雄蕊に似た器官でもって記憶を奪いにくる。かくして記憶を奪われてしまったヒダカ。普通は記憶の断片が失われる程度なのに人格まるごとやられちゃってるっていうの、ほぼすべての記憶がお相手、幼なじみのさららにまつわるものだったからっていうんですね。やべえな。この子の人生、ほぼ幼なじみでできとるんか。

幼なじみカップルの危機に駆け付けたのが、初瀬イザサ。ユリ神から力を託されてクロユリ退治をしている子なんですが、さららとヒダカの関係に若干ひいてます。そしてユリ神も登場。人格を奪われて空っぽになったヒダカに憑依してるんですが、ユリ神とさららのファーストコンタクトですよ、さららがやばいの。なんとまあ、やばいのはヒダカだけじゃなかったんだ。ふたりともに充分にやばい、ある意味お似合いのカップルだったんですな。

かくしてクロユリ退治の力を得たさらら。バケツを武器にクロユリを殴打しまくるんですが、この絵面が妙に面白いですね。とりあえずやばい。さららのやばさの前にユリ神も圧倒されて、これ、さらら最強ですね。きっと誰もこの子には勝てないやつです。

『バス停のお姫様』

帰りのバス停でいつも見かける女の子。お姫様のようにキレイなその子に心惹かれて、仲良くなりたい……。でも、そういってる小蜜は人見知りなのか。クラスの自己紹介で自分の名前をかみまくるレベルで緊張してしまう。そんな小蜜の頑張りですよね。

同じクラスで幼なじみ? 中学時分からの友人、茜に相談。一緒にバス停までついてきてもらって、しかしこれからどうしよう。まったく動けない小蜜に発した茜のせりふ、小蜜より先にバスが来ちゃうぞ! これ、すごくいい。声に出して読みたい日本語ってやつだ。こういう気の利いた台詞回し、好きですよ。

そしてビビりの小蜜が思い切って、バス停のお姫様に声をかけるところ。ああ、突然降り出した雨が小蜜の背を押しましたね。茜は傘を持ってる、自分も持ってる、でも例の子は傘を持ってなくって、これは大変と考えるより先に体が動いてしまった。そこに、この子の、困ってる人を放っておけない性格が垣間見えたように思えまして、いい子なんだなあって、勇気がわく瞬間、この子の場合、それは誰かを助けたい時なんだなって思えたのでした。

かくしてふたり知りあうことがかないました。これからふたりの関係、どのように進展してゆくのでしょうね。ここから始まってもいい、でもここで終わってもいい。そんな広がりとまとまりの感じられた一本でした。

『サカナフライ!』

扉絵、可愛いですね。クラスで飼っている魚に餌をやるのも日直の仕事。というので、宇見人手と卯未入歌、ヒトデとイルカのふたりが一緒に魚の世話をやります。

といっても、餌やってるのはヒトデで、イルカは横で魚のせりふをアテレコしたりして面白がってるだけかな? でもこの一連の描写で、真面目でピュアなヒトデ、お調子者で楽しいことが大好きなイルカ、ふたりの個性がよく見えていたと思います。

飼われている魚、名前はないんですね。それでふたりで名前をつけようというんですけど、いろいろ考えた結果、あさっての方向にいっちゃって、それでいつかお話できたらなあ、とかいってたら、なんと空中に飛び出してそのまま空を泳いじゃってる!

なるほど、それでサカナフライ。これ、ここからどんな展開があるのだろう。最後の最後に事件が起こって、まさにこれからどうなるの!? そんな飢餓感をかきたててくれました。

2021年5月7日金曜日

『まんがタイム』2021年6月号

 『まんがタイム』2021年6月号、発売されました。表紙は『おとぼけ部長代理』。『まんがタイム』創刊40周年。これを受けて部長代理が大きなメダル首から下げまして、ええまさにあんたが主役! であります。これ、前身の『おとぼけ課長』、タイム創刊とともに連載開始してましたよね。となりますと、連載40周年ということでもありますか。これはすごいことですよ。ということで、『花丸町の花むすび』花子と『秘密のお姉さん養成ノート』蛍が花を持ってお祝い、でありますよ。

『良倉先生の承認欲求』

今回は良倉、上枝回でありますよ。良倉宅を訪問する上枝。良倉がパンケーキアートに挑戦するとかいってる、その手伝いなんだそうですが、手伝うのパンケーキ焼くのでも撮影するのでもなく、作ったパンケーキの片づけ、すなわち食べる係として呼ばれたっていうんです。

ほんと、この扱われ様といいましょうか。でも上枝に対して良倉が見せる遠慮のなさ、これ、不思議と距離の近さ? 良倉が上枝のこと親しく感じてるから、みたいにも見えるんですよね。それだけに今回も実によかった。ほんと仲のいいふたりに見えましたよ。

しかし今回めちゃくちゃ面白かったの、上枝の挑戦したパンケーキアート。擬人化良倉だーっ! いや、擬人化じゃないか。このパンケーキの写真をSNSに公開しようとする上枝を良倉が必死にとめる理由。同棲匂わせ投稿と思われたらどうするのかと、すごい剣幕! めちゃくちゃ面白い。ほんと、炎上要素全部良倉側と指摘する上枝の冷静さも面白さに輪をかけていました。

でも、このSNS投稿を制止しようとしたもうひとつの理由、その本心が最後に描かれるの、もうたまらんかったですね。承認欲求モンスター、良倉には上枝のポテンシャルがわかってる! これ悔しいだろうなあ。でもなんだかんだで認めてるんだから、屈折はしてますけどね、こういう点は立派ですよ、良倉先生。

『茨城ってどこにあるんですか?』

千葉代表、染谷アカリン、めっちゃ元気ですよね。多恵のストーカー、いやさファン、加藤さんのこと好きになってしまったこの子。次いつくるだろうか、ウキウキしながら仕事してたんだけど、加藤ったら横浜住まいだもんなあ、そうそうこないよなあ。かくしてアカリン、一週間もたてばモチベーションも落ちてしまって、どころかまともに稼動できなくなっちゃってるよ!

気分屋といってもいいのかなあ。あるいは自分の思いに素直。後者のような感じがしますね。基本陽気でいい子。それだけに落ち込んでる? 調子落としてるの見ると、なんとかしてあげたいと思う。多恵もそんな感じだったんかな? それで、たまたま仕事でこちらにくる加藤にあわせてあげよう。そんな話になるんですね。

鈴子の作戦、めちゃくちゃ笑いましたよ。加藤を呼ぶにしても、その習性を利用する。霞ヶ浦総合公園の風車を自撮りの背景にいれて、それで呼び出そうっていうんですね。いや、この作戦、多恵の発想か。でも見事に加藤、多恵の策に応えてくれて、かくしてアカリン、加藤と感動の再会! 気を利かせたか多恵と森戸は姿を消すんですが、ほんと、このノリノリ加減。絶対楽しんでるよね。

みたいに思っていたら、多恵のアカリンに対する心情、これがね切実さ感じさせてくれまして、それだけに加藤が多恵のこと大好きだってアカリンにバレてからの落ち込み。もう本当に深くて、なんてったって、罵ってくれ森戸ですよ。これだけでもいい子だってわかる。とことん策略とか向かない子です。

でも、アカリン、めっちゃタフです。その翌日にもう別の人が気になってしまってる。ええ、恋多き女。罪な子でありますよ。

『瀬戸際女優!白石さん』

白石、恋の予感!? 出演したCM、その製薬会社の社長から食事に誘われた白石に、社長が聞くんですよ。恋人はいるんですか? 慣れた感じの口説き文句、そう思ったら、途端に赤面して、またお誘いしたくてなんていう。その垣間見せた純朴さ? 一気に白石の気持ち持っていっちゃってね、これ、今度こそつきあうまでいけるのかな?

この後、真島とあって話した時もね、その社長さん、紳士なうえに金離れも悪くない。真島視点から見てもいい男っぷりで、まあ真島は面白くないから絶対褒めたりしないんですけどね。でも白石が社長とつきあったら、こうして一緒に話す時間がなくなるなって、そんなこといっちゃう真島もズルいよなあ。これまでもこうやって意味深なこといって、白石の気持ち惑わせてきたじゃん。真島は白石のことどう思ってるんだろう。ただ気のあう友達なのか。それともそれ以上のなにかがあるのか。

ちょっと白石のためにもはっきりしてほしいなあ、みたいに今回ばかりは思っちゃいましたよ。

2021年5月6日木曜日

『まんがタウン』2021年6月号

 『まんがタウン』2021年6月号、発売されました。表紙は『SUPER SHIRO』がメイン。どーんとでっかく、スーパーシロが描かれていまして、このシンプルな造形、逆に存在感感じさせるのがすごいですよね。ちょっと離れた点目が、表情をこれと伝えてこないことで奥深い? そうした感情をもよおさせるように感じます。この他には『部長と2LDK』、最終回の告知カットがございます。さらには『ルナナナ』、小坂俊史の新連載告知カットもございます。

今月は新連載が1本です。

『ルナナナ』

表紙のカットを見て、どんな漫画だろうと思った、その意表を突くような設定、展開。なんだこれ、SFだ!

アポロが月探査を終えて以降、その試みが継続していたらどうであったかを描こうというかのような、ありえたかも知れない月の情景。地球から見えないのをいいことに、各国が極秘に月の裏側にコロニーを建設、開発を続けていた。開発開始は当然昭和の昔。かくして主人公たちが住み込むことになったアパートいやさドミトリーは、月面コロニーといった近未来感など微塵も感じさせない昭和の建物そのもの。しかも主人公たち3人は、高収入バイトに応募したらまさかの月世界行き。この舞台と設定と登場人物、それぞれに見えるちぐはぐさ。おお、小坂俊史だ、小坂俊史テイストだ。

もうこれだけで楽しくなってきますよね。

勤務地が月だなんて聞いてないとかね、そういって求人広告見返してみたら「月で働ける」の文言、これひと月契約でなくて勤務地のことか! みたいなのがねしびれますよね。また時給3千円も、まさかの月円、重力6分の1だからお金の重みも6分の1。やってくれる。人が悪い。契約破棄のペナルティもヤバくて、月地球間の往復交通費が自腹になりますとかね、ほんとこの発想よ。もうめちゃくちゃ面白かったです。

初回の一番は「5メートル」でしたよね。あれ、ほんと面白い。言葉少なに伝えてくる面白さ。最高でした。しびれます。

『部長と2LDK』

最終回でしたよ。部長、感情大暴走ではないですか! 風呂で聞いた女子トーク、菜々に気のある男の影ですよ。もう、部長、見事に落ち着きなくして、西さんにはまだはやい。さらに加えて、菜々がちょっと意味深な反応してみせたせいで、おお、本格的にショック受けてますよ。

温泉出てからの宴会の席で、部長が問題の男子、青山を問い詰める問い詰める。好きな人いるの? にはじまって、もっと褒めろだの、それ以上は駄目だの、結構な無理難題では!? それもこれも酒のせい? 自分を失ってますよね。これ、酒のせいかな? 嫉妬が発端かな? いずれにしても酒にやられて、菜々は自分のもの宣言、さらに加えて大大大大大好き宣言までやらかしちゃって、最高でしたね。もう、こんなの見られる日がくるだなんて、感無量も感無量でした。

自分の失態に落ち込みながらも、菜々との同居生活の終わりを考えたら寂しいって、自分の気持ちを菜々に吐露してね、そこからのふたりの様子、素直な部長! 菜々の包容力! ほんとよかった。

部長にとってはとんでもない大曝露になってしまった、そんな旅行でしたけど、結果的にふたりの距離、さらにさらにぐっと近くなった。ラストに見せたふたりのやりとりなんてね、ほんと素敵だったじゃないですか。ちょっといたずらっぽく笑う菜々に、照れもなく真面目そのものに受ける部長、その様子。ええ、ふたりの暮らし、これこそが今のふたりのホームであるのですね。

『新婚のいろはさん』

早倉哲子ってソクラテスだったのか! いや、劇中ではたまたまですよってことになってたけど、作者の命名はソクラテスからだったのか! いや、偶然たまたま後から気づいてネタにした、とかだったらどうしよう。いや、別にどうもしなくていいですね。

早倉さんの名前の秘密、これ、小学生の頃には気づいていたけど、誰からも指摘されないまま今まできてしまった。親しい友人がずっといなかったからだ、そういっていた彼女に立て続けに、ソクラテス由来なのかと聞く人が出てきて、ひとりはいろはから、そしてもうひとりは、夏に一緒に海にいく約束している友達から。ああ、このことだけで早倉の身に起こっている変化というのがわかります。

小学生、中学生の早倉哲子にはいなかったという親しい友人、それがもう今の哲子にはいるんですよ! 学外にも、そして同級生にも、親しく話せる、そんな友人がいるんですよ。ああ、早倉哲子はもう一人で自在に泳げるのだ。

今回、早倉哲子の魅力もまた濃密でしたね。この子の魅力、それは内省的であるところだと思うんですよ。自分になにが足りないか、それを思って自ら課すトレーニングミッションとか、さらにはついつい見栄? を張ってしまう自分に対する外部的視点を持ってるところなどなど、こうしたところが、面白みでもあるのかも知れない、けれど同時に誰しも経験する、したことのある、そうした心の動きに、早倉哲子という人物を親しく感じることのできる、そんな描写になっていたと思うのですね。

内省的な哲子さん。けどそれがほどほどで、それゆえに人間的で、可愛いと思える。ええ、人はかわいい、かわいいものなのです。

2021年5月5日水曜日

今日は休みます

今日は休みます。

2021年5月4日火曜日

今日は休みます

今日は休みます。

2021年5月3日月曜日

『まんがホーム』2021年6月号

 『まんがホーム』2021年6月号、昨日の続きです。

『歌詠みもみじ』

ママさんの5月の憂鬱。そうか、母の日ってこんなに大変なのか。うちでは誰も気にしてないイベントだけど、最近のお家だとそうもいかないのかな。それこそ、今回のエピソードで触れられたみたいに、夫の母に対する妻の気づかい、この苦悩! これが毎年恒例のイベントになってるのなら、こうなるのもわかります。

これ、大変なのは、実母ではないってところなんでしょうね。今回描かれたのは母の日だったけど、人によっては誕生日だったりするのでしょう。なにかしら贈り物をしないといけない。変なもの送れない、しかも一番の当事者であるはずの夫が全然協力的でない。いやほんと、夫のこの態度は妻激おこでもしかたないシチュエーションだと思いました。

今回のとりわけ面白かったの、実母に贈った日傘、同じものにしたらかちあった時に大悲劇じゃんよっていう指摘。ああー、ここまで考えないといかんかあ。こうしたところにリアリティ感じさせられて、すごく面白かった。ママさんのこだわる理由、最初の贈り物が好評でどんどんハードルをあげていくことになったというのもまたリアルさ感じさせてよかったです。

今回のママさんの憂鬱。なんとかうまく乗り切って、でもさらにハードルあがってと、簡単にめでたしめでたしとはいかんのが難しいところ。この苦労をなかなか理解してもらえないところも、ママさんの受難といった感じでしたね。

『うちの秘書さま』

どうも調子のよくないメイドさん。派手に食器を引っくり返しちゃって、それ見たはじめが七瀬の仕業と勘違いするのね。メイドさんは平伏、七瀬はお怒り。はじめ、見事にしくじっちゃいましたね。

メイドさんが不調というの、屋敷の皆がそれぞれの視点から指摘するそのポイントが面白かったです。メイド連からは仕事の内容にもとづく指摘、うん、これはすごく納得できる。はじめからは自分の失敗をフォローしてくれない、庭師の田中さんからはおやつが出ない。だんだんなんか面白くなっていくんですね。

メイドさん、この屋敷を離れることになるというのですかい!? この漫画の登場人物で一推しなのがこのメイドさんなんですよ! やめて! はじめ様、お父様にかけあって! そう思っていたものだから、あの、だっと駆け出すはじめを見てね、ああご両親にかけあうのね! すっかり早合点しちゃって、そうかあ、ただ逃げただけなのかあ。はじめ様にはがっかりですよ!

でも、ここまではじめに惜しまれるメイドさん。はじめにとっては母のような姉のような存在なんですかね。というか、ずっと老いないメイドさん、すごいよね。この人のはじめ愛と、はじめからの思慕、それが見えたところは好ましく、それだけにラストの派遣期間が3週間と判明するところ、安定のメイドさん! 最高だったと思います。あの反応見るにメイド連は3週間って知ってましたよね。

2021年5月2日日曜日

『まんがホーム』2021年6月号

 『まんがホーム』2021年6月号、昨日の続きです。

『天国のススメ!』

またも太一に相談です。住宅関係? なんでまた、と思ったら、そうなんですよ、幽霊物件。本気で嫌がる太一がですね、霊感あったってこわいもんはこわい、切実さ感じさせてくれて、だよなあ、わかるわ。いや、霊のことでわかるわけじゃないよ? 対照的にわくわくしてしまう草間とのギャップも定番の面白さ。でも今回は草間の出番、ここで終わりです。

今回は橘案件でした。不動産やってる叔父に頼まれたとのこと。霊障? を疑われる現象のせいで入居者が居着かない物件を成約前にお祓いしておきたい。それで天狗の柘榴さんまで同行させるの、太一にしても家に憑いた霊はよほど手強いのかもなって思わせてくれて、そして出会った霊が、また違ったパターンで相当な祓いにくさ!

家族に会いたい一心でここに居憑いている女の子なんかーっ!

みんながみんなその子のいじらしさに打たれて祓えないっていってるのがお人好しなのかなんなのか。でもってこの子の来歴聞いてみて、さらに泣いちゃう。

この家を買いたいといっていたお客さんが、この子の兄だったんですね。お祓いをしようとしている、そう聞いて血相を変えたその理由。妹がこの家で待ってるかも知れないとの思いから、この家を買おうとしてたんですね。草間みたいなオカルトマニアなのでは? とか思ってごめんなさい。でもこの兄妹の再会、本当によかった。いやもう、太一じゃないけど泣いちゃいますよね。こういう人の情の機微をうがつ描写のうまさですよ。見事に、見事にやられてしまいました。

『ちくちく推して』

ラメ入りブルゾン、ついに完成したんですね。裏地が裂けて裏地レスになっちゃったとかトラブルもあったけれど、見た目は結構しっかりしたものができました。ポケットは飾りで使えませんっていうんですけど、見た目重視、デザイン優先の衣装の場合、使えない飾りポケットも当たり前にあるから問題ないですよね。しかし頑張りました。冒頭のえりかの表情も、達成感! やりました! って感じがして、ほんと魅力的でした。

えりかとゆみち、アイドルショップに寄ってから、カラオケ店で鑑賞会やることに決めました。ここから本当に面白くって、アイドルショップで写真を選んでたら、いつのまにかえりかがいなくなってて、知らず自分の生徒、増沢愛菜に話しかけてしまっていたゆみち。

愛菜さん、いいですよね。なんか変にクールで。かと思ったら、ラメ衣装で外出してるえりかのことね、度胸がすごいとかいってるの、本当に感心してたんだ! こんなキラキラの着て恥ずかしくないですか。愛菜の素朴な問に対するえりかの答がですよ、好きなもの着てしあわせ、気分もあがるっていうの、もう見事ですよね。カッコいいって、愛菜の尊敬獲得しちゃったよ!

ゆみちは自分の生徒との学外交流に冷や冷やしてますけど、えりかはまるで頓着しないで、鑑賞会にこない? とかいっちゃって、愛菜に三沢マイ、ほんとにカラオケ店まできちゃう? 何度か穏便にこの流れを阻止できそうなポイントあったのに、絶妙なえりかのアシストがそのチャンスを潰していくのね!

これ、ゆみちとしては困るよな。特定の生徒と一緒にカラオケ店とかね、なんか問題になったらどうしよう。すごく気を揉んでるのが伝わってくる。なにごともありませんように! そう願わないではおられません。

2021年5月1日土曜日

『まんがホーム』2021年6月号

 『まんがホーム』2021年6月号、発売されました。表紙は『らいか・デイズ』をメインに、野球がテーマでありますね、ユニフォーム姿で右手にバット、左手にドリンク持ったらいかが振り向いて笑みを見せてくれていますよ。『キャバ嬢とヒモ猫』はボンちゃんがボールになって投げ上げられていますね。『ヲトメは義母に恋してる』寿々と鈴が揃いのユニフォーム。『孔明のヨメ。』は夫妻が野球の特訓中? 月英がバットを持って、その後ろからコーチしてるのが孔明? なんだか面白い図になっています。

『孔明のヨメ。』

孫権との同盟を得るために柴桑にやってきた孔明。さっそく街に出て、市場など散策してるのがらしいといいましょうか。でもこれ、ただの散策ではない、重要な調査なんですよね。市場にていろいろお店をめぐりながら店主と話す、その内容は普通の世話話や扱ってる品についての質問もろもろにしか聞こえないのに、そこからもばっちりこの土地、この国の情勢を読み取っていくんですね。

今回は月英も同道しているのですが、月英も相当なやり手だというのに、孔明はなおも上回ってくる。月英には読めなかった戦支度の動き、それを説明されて驚くその様。いやもう読者も同様ですよね。まったくもって見事の一言。またこの調査、魯粛から得た情報の裏付けも兼ねてたんか。いやもう、この一連の描写。充実でした。

宿舎に帰ってきてからも充実ですよ。見知らぬ人物がいる! すわ刺客か、一気に緊張が高まるものの、おお、ここにいたのは孔明の兄、諸葛瑾。兄弟の再会から今は孫家に仕える兄からも情報、情勢を聞き取る機会となりまして、ああ、魯粛が劉備のもとに向かい帰ってくるまでの間にここまで切羽詰まった状況にまで追い込まれていたというんですね。

いよいよ曹操のもとにくだるのか。しかし孔明には、この状況から開戦に結びつけるべく説得しうる案がいくつかあるという。いくつか!? ほんとにこの状況への対応力、驚かされます。その案とはいかなるものなのか、それは次回を待つしかない。いやもう、なにを見せてくれるのか。これ、見せ場間違いなしですよ。