2021年5月11日火曜日

『まんがタイムきらら』2021年6月号

 『まんがタイムきらら』2021年6月号、先日の続きです。

『星屑テレパス』

ユウを訪ねて灯台を訪れた海果。しかしそこはもぬけの空で、夜になっても戻ってこない。灯台に入ってみれば電気もつかず、ランタンも航海日誌もなくなって、まるで最初から誰もいなかった、なにもなかったみたいになってしまって……。

ぽつり灯台にひとり座り込んでいる海果の姿、そのものがなしさ。自分が酷いことをいってしまったからユウはいなくなってしまった。その悲しみを絞るかのように泣く様は胸苦しくなるほどに痛切で、それだけにこの子の心の底から願ったこと、その言葉のほとばしりにはたまらないものがありました。

しかし、ユウという子は、本当にこの世界に存在するのでしょうか。海果にだけ見えているわけじゃない。他の皆とも交流をしているユウだけれど、もしかしたら宇宙に居場所を求めた海果の生み出したイマジナリーな存在なのではないか。そんなことさえ考えてしまった。

帰ってきたユウ。海果との対話、その切々と思いと思いをやりとりする姿はいじらしく、そして少しずつ強くなっていく海果。その思いがつのるほどに、この子は前へと進んでいくのだと思わされたのでした。

ユウの思い出したという故郷の歌。これも前進でしょうか。ふたりの結びつき、そのしっとりと強くしなやかなる姿。見つめあう目と目、その向きあう先にあるもの、その確かさが素敵でした。

『しあわせ鳥見んぐ』

遠征、翼とすずだけじゃないのか! ひなに岬も加わってのにぎやかな出立。最初はそのテンションについていけてなかったっぽい岬も、オジロワシトークをきっかけに普通に馴染んだっぽいですね。うん、やっぱりオタクの類は好きなこと語らせたら一発だ。

今回の目的地は宮城の伊豆沼。マガンのねぐら入りを狙おうっていう、その理由、早起きできない人もいるからなのですか……。山形から宮城への移動、隣県ですけど、日本海側から太平洋側に出ることになるから、結構大変だったりするのかな? 今回はトンネル通ってますけど、京都でいえば京都市から舞鶴にいくみたいな感覚? 正直隣府県の大阪や滋賀に向かう方が近いと感じる……。もし夜明けを狙って移動するとなると深夜発どころか前日から夜にかけての移動みたいになるのかもですね。

今回描かれた鳥はノスリと、そしてマガンでした。人の手が加えられた環境を好むというノスリ。人の姿が見えないよう、ゆっくり車で近づくとわりと大丈夫だというそうした翼の説明。人と野鳥との距離に悩みを覚えていたすずには、大きく響いたみたいですね。そしてマガンはというと、狙われる側だからかな? ノスリ以上に警戒を見せて、少し距離をとってみよう。こうやってちょうどいい距離感をさぐっていくところ、これもすずにはいい経験となったみたいですね。

目的地の伊豆沼は次回ですね。ねぐら入り、そこで出会うこと、もの、それがなにか、すごく楽しみ。すずに、そして皆にとっていい思い出になればいいなって思います。

『一畳間まんきつ暮らし!』

今回は猫視点でみちかを追うという趣向。はぐれものの鮭吉。見た目も凛々しい、いや厳つい? そんな渋い猫の旦那が、頼りない下僕の身を案じて猫カフェを抜け出してはみちかの監視をしているっていうんですね。

これ、みちかからしたら鮭吉は世話しているお店の猫ちゃんで、でも鮭吉からしたらみちかは放っておけない子分なんですな。鮭吉がみちかの頼りなさを回想するところ、みちかはひとりで餌もとれないっていってますけど、違うよね! あの、ぎゃーっ! って叫んでる顔、いい表情してました。

下校時にみちかの向かった先、そこには知らない猫の縄張りで、なんだよ浮気しやがって……、傷心の鮭吉のひとり場を去るその背中の悲しさよ! でも、こうして一度は失った信頼がその後回復するところ。鮭吉の思い出と、そして新しい仲間を迎え入れるそのくだりはほっとさせられるようなよさありました。

こうしたあたたかみ。これこそは、猫カフェ猫夢庵の空気で、そしてみちかと猫たちの信頼感なのだろうなあ。ええ、いいお話でした。

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