2021年5月8日土曜日

『まんがタイムきらら』2021年6月号

 『まんがタイムきらら』2021年6月号、発売されました。表紙は『星屑テレパス』。これ、本当に美しい表紙ですね。寄り添うように隣り合って座る海果とユウ。ふたり揃いのドレス。ユウのドレスにはラベンダー、海果のはスズランの柄があしらわれていて、若干の色違い、けれどそれがすごくマッチしてきれい。肩にかけたレースのショールも素晴しく美しい。ユウが見るのは、夜空の向こうに輝く星でしょうか。そして自分の脚を抱き込むようにして身を丸めた海果が見せたその表情。こちらに視線をくれて、微笑みを浮かべているのがこの上もなく印象的で、ああ、とてもいい、とてもいいです。本当に美しい、この子のこの笑顔の向こうに広がる気持ちが見えるかのよう。その目に引き込まれるように感じます。

今月は新作ゲストが3本です。

『黒百合クロニクル』

女の子同士の絆を察知し、その記憶を奪いにくる危険な生命体、クロユリ。姿こそは植物のそれだけど、大きさが違う、いきなり地面から伸びてきて、雄蕊に似た器官でもって記憶を奪いにくる。かくして記憶を奪われてしまったヒダカ。普通は記憶の断片が失われる程度なのに人格まるごとやられちゃってるっていうの、ほぼすべての記憶がお相手、幼なじみのさららにまつわるものだったからっていうんですね。やべえな。この子の人生、ほぼ幼なじみでできとるんか。

幼なじみカップルの危機に駆け付けたのが、初瀬イザサ。ユリ神から力を託されてクロユリ退治をしている子なんですが、さららとヒダカの関係に若干ひいてます。そしてユリ神も登場。人格を奪われて空っぽになったヒダカに憑依してるんですが、ユリ神とさららのファーストコンタクトですよ、さららがやばいの。なんとまあ、やばいのはヒダカだけじゃなかったんだ。ふたりともに充分にやばい、ある意味お似合いのカップルだったんですな。

かくしてクロユリ退治の力を得たさらら。バケツを武器にクロユリを殴打しまくるんですが、この絵面が妙に面白いですね。とりあえずやばい。さららのやばさの前にユリ神も圧倒されて、これ、さらら最強ですね。きっと誰もこの子には勝てないやつです。

『バス停のお姫様』

帰りのバス停でいつも見かける女の子。お姫様のようにキレイなその子に心惹かれて、仲良くなりたい……。でも、そういってる小蜜は人見知りなのか。クラスの自己紹介で自分の名前をかみまくるレベルで緊張してしまう。そんな小蜜の頑張りですよね。

同じクラスで幼なじみ? 中学時分からの友人、茜に相談。一緒にバス停までついてきてもらって、しかしこれからどうしよう。まったく動けない小蜜に発した茜のせりふ、小蜜より先にバスが来ちゃうぞ! これ、すごくいい。声に出して読みたい日本語ってやつだ。こういう気の利いた台詞回し、好きですよ。

そしてビビりの小蜜が思い切って、バス停のお姫様に声をかけるところ。ああ、突然降り出した雨が小蜜の背を押しましたね。茜は傘を持ってる、自分も持ってる、でも例の子は傘を持ってなくって、これは大変と考えるより先に体が動いてしまった。そこに、この子の、困ってる人を放っておけない性格が垣間見えたように思えまして、いい子なんだなあって、勇気がわく瞬間、この子の場合、それは誰かを助けたい時なんだなって思えたのでした。

かくしてふたり知りあうことがかないました。これからふたりの関係、どのように進展してゆくのでしょうね。ここから始まってもいい、でもここで終わってもいい。そんな広がりとまとまりの感じられた一本でした。

『サカナフライ!』

扉絵、可愛いですね。クラスで飼っている魚に餌をやるのも日直の仕事。というので、宇見人手と卯未入歌、ヒトデとイルカのふたりが一緒に魚の世話をやります。

といっても、餌やってるのはヒトデで、イルカは横で魚のせりふをアテレコしたりして面白がってるだけかな? でもこの一連の描写で、真面目でピュアなヒトデ、お調子者で楽しいことが大好きなイルカ、ふたりの個性がよく見えていたと思います。

飼われている魚、名前はないんですね。それでふたりで名前をつけようというんですけど、いろいろ考えた結果、あさっての方向にいっちゃって、それでいつかお話できたらなあ、とかいってたら、なんと空中に飛び出してそのまま空を泳いじゃってる!

なるほど、それでサカナフライ。これ、ここからどんな展開があるのだろう。最後の最後に事件が起こって、まさにこれからどうなるの!? そんな飢餓感をかきたててくれました。

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