『まんがタイムきららMAX』2012年8月号、発売されました。表紙は『カレーの王女さま』。さすがカレーだけあって、見事な黄色であります。最前面にヴィッキー。見事に乙、そして見事にたわわな、いや、以前飛んだボタンを安全ピンでとめている、その豊かさ、見事にど真ん中です。そして後ろには乙カレー! を決めているつかさ。なんだかシュール、けどそれが実にこの漫画にはマッチしている。ええ、見事に仏さんじょ的であります。
ところで、ページめくったところ、プレゼントのC、『カレーの王女さま』のコミックス表紙、あれは本当なのか!? これ、どう見てもタイトル『乙カレー!!』だよね。いやほんと、これは大丈夫なのか? そう思うと同時に、よくぞやってくださった、そんな感動に打ちふるえます。
『ご注文はうさぎですか?』、扉を見れば、おや? 新キャラ? いえいえ、チノちゃんの友達、マヤとメグであります。学校からの帰りが遅れたココアとリゼ、彼女らの穴を臨時で埋めてくれていたっていうんですね。ココアにはメグが、リゼにはマヤがそれぞれ懐いて、あのココアの株のもりもり上がるところ、チノが後ろで青い顔してるのが、もう本当に面白かったですよ。さてさて、チノの友達が出てきて、チノが取られた気分になってココアが寂しがる、そんな展開を予想したら、逆か! ココアとリゼがふたりと仲良くなって、なんだか寂しがるチノが可愛くて、いや、でもわかりますよ。こういう気持ち。いつでも誰かの一番、それはさすがにないとしても、それでもやっぱり気持ちが他の誰かに向いてるの見るのは寂しいことです。こうした気持ちを持て余してしまうチノ、そして同様に自分の知らないチノを彼女らは知ってるんだって寂しさ感じるココア。でも、ココアの方が落ち着いてる、これはそれだけココアがお姉さんってことなんかも知れないですね。そして、あのラスト。チノを取り巻くラビットハウス、そして学校での様子。みな、チノをちゃんと見てくれていて、ちっとも置いてけぼりなんかじゃない。チノもまたちょっと成長していることが感じられて、大変よいものでした。ところで、青山さん、すごく意味ありそうな感じ。楽しみ、なんて思うけど、あんまり話が進んで欲しくないな、ゆっくり進んで? みたいに思ったりもするんですね。
『LSD — ろんぐすろーでぃすんたんす』は文化祭当日ですよ。うん、扉、大変可愛らしい。可愛い衣装と、おいしいあんみつ。人気の店に椿のお父さん、妹来店ですよ。あのお父さんの娘大好きっぷり、大変よいですね。椿を狙うカメラを椿を狙う浅見さんが阻止する。いやほんとよいですよ。菫のお姉ちゃんばかりじゃなくて私も気にしてというアピール、あれも実に効いていました。さてさて、他の出しもの、軽音部、アクアリウムっていうのは考えすぎ? となると占いは……? そして最後に晶という子が登場。陸上部なのでしょう。安食先輩がこちら側という、その真意はわからないけれど、今後ライバルになっていったりするのかな? これは期待されます。可愛いし、ショートだし、ショートですし。
『ワンダフルデイズ』が最終回! ああー、きららMAX創刊号からずっと続いてきた、そのタイトルが終わりを迎えて、これはひとつの節目なのかも知れないですね。最終回といっても、これまで準備されてきたこと、それがきっちり消化されたとでもいうべきでしょうか。皆の来し方、それが語られ、今や今後の展望が語られて終わった。それは大きな盛り上りこそなかったけれど、落ち着いてしみじみと読んだ、そんなラストでありました。新作も予定されてるということ。それは嬉しいなあ。なにしろ私は、この人の漫画があったから『まんがタイムきらら』及びその系列誌を読むようになったんです。きっとまた読める、それがありがたいです。
『今いる世界をログアウト』、ゲストです。2回連続の第1回。コンピューターに不慣れなヒロイン睦がSNSやBlogやりたいと、詳しい友人に頼んでPCを選んでもらった。したらそれがやたらとごついもので、ハイスペックなそいつをもって、友人しはせは睦をネトゲに引き込もうという魂胆だったというんですね。友達作るのが苦手、でも睦がいればなんとかなりそう、そんな理由。けど、睦は睦で楽しそうだから、あんまり振り回されてる感じがない、それがいいですね。新人だからルールやマナーを知らない。それで生じるトラブル。けどその物怖じしない性格、しはせもいってますけど、こうした性格が友達作るには重要なんでしょうね。さて、導入を終えて、次回、睦はいかなる活躍してくれるか。楽しみに待ちたく思います。
『ふわふわ科学』は、科学の力で犯罪捜査。ドラマを見てその気になったミソラがいろいろやらかしてくれる回でありますよ。お母さん、美人だなあ。さて、私のイチゴまみれケーキが消えた、その犯人を探そうというミソラ。いつもの面々、次々とらえて犯人扱いしてみせて、ちょっと悪ノリ。それでウソ発見器やら足跡写し取るシートとか、って、このシートは知らないなあ! 指紋を採取したりなど、こうした捜査にて定番? いろいろなことが楽しくて、思えば小学生の頃購読していた科学雑誌の特集、これが科学捜査だ! みたいなものにわくわくさせられたものでした。懐かしい気持ち、思い出させてくれますよ。科学のトピックにからめてレイナやサツキのキャラクター、うまいこと対比させられたり、チエの秘密兵器によってミソラが追い詰められたり、その表情のいろいろなど、大変面白かった、楽しかった。わくわく含めて、ほんと、よかったです。
『グレーゾーン』、これはすごいぞ! 『もっかい!』の4224氏ですよ。かつて怪物退治をしていた家の末裔エミリちゃんが、怪物退治やってみたいとホオズキちゃんに持ち掛ける。ちょっとファンタジー? そう思わせる内容ですが、いやいやそれ以前にですよ、すごいね、この誌面。最初、扉だけがこうなんかと思ってた、いやいや、違うねん。ページめくってびっくりした。本編がまるまるそうなんだ。コマ割りのない四コマ漫画。シームレス、ひと続きに繋がったイラストレーションが四コマのテンポで進行する絵物語として機能しているのですね。いや、もう、これは驚いた。すごい労力なんじゃない? 日頃読んでいる四コマ、それらと同じように読むのは難しい、すたすたするするとは読めないんだけど、この絵のかもしだす雰囲気、魅力は特筆すべきものがあります。思えば、こうした絵で見せる漫画、漫画というより絵物語といいたいようなもの、昔はいろいろ見た、読んだこともあった。しかし、そうしたものを今また、しかも四コマ誌にて読めるとは、本当に驚き、しびれました。これは読み切りとあるけれど、本当に一回こっきりなの? 毎月の連載ともなると死にそうな気がするけど、でも、これ、とてもよかった。ハシラもない、アオリもない、次回の予告も、地底ちゃんのつぶやき載せるスペースもない。まさに破格で、しかしその破格のうちに四コマの流れ、テンポを抱えている、それが破格ながらも様式を尊重している、そんな風にも思われて、大変によかったです。
- 『まんがタイムきららMAX』第9巻第8号(2012年8月号)