『まんがタイムオリジナル』2023年6月号、先日の続きです。
『敷金礼金ヤンキー付き』
サンライズ荘にライバル出現!? なんと近所に新しいヤンキーアパートができたのだそう。しかも噂によると、そっちのアパートの方がずっと悪そうという話。
いや、良し悪しをどう評価するって話ではあるけど、そっちが悪いなら、住民にとってはサンライズ荘のほうが住みよくて好物件なんじゃないの? と思ったら、ああ、やっぱり悪さでもって競いあうんだ。うちの方が悪くないってなると沽券にかかわるんだ。わからん! この価値観、なかなかわからんなあ!
たえと一緒に敵状視察に出向いた大家。話題の物件、エクリプス荘、ええと漢字で書くと江苦裏伏荘なんだそうだけど、大家の東風美桜矢は香緒里のことを知っていて、なんというか、ファンなの? サンライズ荘が羨ましくってヤンキーアパートはじめたって、もうガチでフォロワー、ファンムーブじゃんよ!
けれど、それでも争わねばならないのがヤンキーのサガなのですか。ヤンキーアパートはふたつもいらない。いや、ひとつもいらん気もするんですけど、コンセプトアパートが乱立しまくってるならまだしも、ふたつくらいなら問題ないのでは!? しかし美桜矢の煽りに香緒里は過剰に反応し、反面冷静なつっこみを入れ続けるたえの大物感よ。でも、たえでは香緒里はとめられないんですよね。
かくしてはじまるタイマン勝負。相手は香緒里のこと、ばっちりリサーチ済みだったみたいですね。喧嘩になること折り込んで、それなりの準備もしっかりすませていて、けれどまさかここで窮地に陥った香緒里のミラクル。雨に打たれる猫ちゃんの姿に、七恵の、佳の昔を思い出し、そして「雨の中で猫を救うヤンキー」コンボを完成させるに至ったんだーっ!
って、なんだこの展開。というか、この周辺住民、結構ヤンキーアパートのこと好きだろ。なんかみんなノリノリで、思いっきりエンターテイメントとして消化しちゃってる!
でもまあ、なんとか元祖ヤンキーアパートの沽券を守り通した香緒里です。それもよかったんだけど、同時に家庭環境に恵まれなかった七恵や、行き場のなかった佳を受け入れられる安全区。そうした彼女らの落ち着ける場を作ろうとした香緒里の心意気には、思わず涙をさそわれてしまいました。
『カントリー少女は都会をめざす!?』
八重、不調とかあるんだ! 流行りの動画、東京コントなるものを大河が紹介してきてくれているというのに、どうにも気乗りしない? なんかふにゃふにゃしてて、か、かわいいな……。はいいとして、なんか会話に身が入らないんですね。
あ、あれか? 五月病とかいうやつか!? 色めき立つのは亜紀とみな。いつもなら即流行に飛びつくだろう八重が後でとかいってるの見て、ここからまさかの積み本に話題がシフトする!
そうか、大河さんは積み本を知らんのか。健全でいいな。でも亜紀はたくさんありそう。みなちゃんもか。積んでるうちに忘れて同じ本買っちゃったって! うん、普通にやるよね。なんなら積んでるうちにどこにあるかわからなくなって、調達せざるを得なくなることさえある。本に限らずゲームでも積む。電子書籍でも積む。いうならば動画のサブスクでも、マイリストに突っ込んどくだけ突っ込んで見ない、積みサブスクなんてことになってしまってる!
しゃあないのよ、興味に対して時間がないのよ。やりたいことはあっても、可処分時間が足りないのよ。
とまあそんな話からさらに多方面に話題が広がっていくのも実にいい。流行に追いつく追いつかないみたいな話。亜紀の、後からハマってリアルタイムの反応を知りたかった! というの、自分はアニメの感想まとめみたいなサイトの記録で補完したことあったわ。うん、懐かしい。というか、自分は亜紀とみなに共感すること多い気がしますよ。
そして今回の八重の不調。大河の紹介しようとしてくれていた動画、すでに前夜に夜更ししてまで見てしまっていたっていうんですか!
すなわち寝不足。ほんと、なかなかに珍しい八重でしたけど、この子、寝不足になるとあんな感じにぽわぽわになるんですね。うん、可愛かったです。
『通勤通学クエスト』
ヤナギとタケちゃんの推しの話! 最近、推し活とかいいますよね。誰にでもなにかしらの推しがあって、応援したりその活動追い掛けたりするのも珍しくない時代です。とはいうものの、ヤナギの推しはアイドルのきらびやか君。対しタケちゃんの推しはというと、保育園の先生! そうだよ、この子、そうだよ。保育園の時の先生と、ずっと交流保ってたよこの子。
ほんとのほんとに先生のこと好きなんですね。
しかし子供時分からの憧れが今もなお、みたいな話なのかと思ったら、もう単純にこの先生がすごいのね!? 音楽の天才っていうの、子供のタケちゃん視点からの話かと思ったら、学校で習った曲、映画のテーマ曲、そんなの作ってらっしゃるっていうんだからこりゃもうびっくりじゃんよ!
たまにありますよね。全国レベルで歌われてる合唱曲が、学校行事とかのために先生が作ったのが広まって、長く歌い継がれて、ついには国民的愛唱歌みたいになって、みたいな流れ。ツツジ先生も、そういうのだったのかも知れませんね。いや、もう単純に先生がものすごいってだけなのかも知れませんけど。
ほんと、タケちゃんが憧れるのもわかる気がする。そんな素敵なエピソードでした。
『オネェの恋のはじめかた』
時宗、やらかしてしまった!? というか、これ時宗は悪くないよ。なんでスマホが椅子の座面に置かれてるのよ! とはいえ、翔人のスマホを壊しちゃった事実は事実として認めなければならない。
いやもう、翔人、以前も風呂で水没させてましたし、スマホに関してはついてない男だよなあ!
なんて思ったら、これ最後に明かされるんですけど、猿渡のイタズラだったんですか! 命知らずな男だなあ。美術の授業で作ったオブジェ。思いのほかうまくできたからと、時宗にいっちょう仕掛けてやろうとしたってわけで、ほんと、なんという命知らずなのでしょう!
結果的に、よかった、壊れた翔人のスマホはなかったんだ、という安心案件であったわけですが、安心するまでの紆余曲折。時宗の動揺から、桜子の翔人に対する信頼。そして凪さまの裏腹トーク。どれもが本当に面白かったのだけど、やっぱり一番素晴しかったのは、過失とはいえ翔人の大切なものを壊してしまったことに対する時宗の誠意でしょう。
私の身体を好きに使ってちょうだいと、ああ、なんと潔い素敵な男なのでしょう!
でもほんと、少しは翔人も喜んでほしかった。翔人さん、こういう時は素直におなりなさいましね?
- 『まんがタイムオリジナル』第42巻第6号(2023年6月号)