2023年4月6日木曜日

『まんがタウン』2023年5月号

 『まんがタウン』2023年5月号、昨日の続きです。

『あの世で猫になる』

朝倉さんとタマの暮らすアパートに新たに入居することとなった八木さんとペットのハムスター(悪霊入り)。そのハムスターが、いわくつきながらもやたら面白いのがすごいです。

虐待されているといって逃げてきたハムの話をよくよく聞けば、虫を食べさせられるところだったとか云々。ハムスターの普通の餌なんですね。でも中身は悪霊とはいえ元人間。そうか、食文化に関しては人の感性を残しているのだなあ。となれば虫はキツかろう。なんといってもイモムシ。しかも生。うん、キツいよね。

ハムの飼い主、八木さんは普通の人なんですね。霊とか見えない、感じない。だから朝倉さんとタマの関係、猫がいるごっこと思ってしまって、これでちょっと感情を曇らせる朝倉さん。ああ、よほどタマのこと大切に思っているんだなあ。そして吉井さんとシロの関係を見て、エアペットが流行ってる! それで自分もエア彼氏を試してみるところなど見るに、八木さん、結構柔軟な人なのかも知れませんね。

でも、その様子を見て不安になって逃げ出すハム! 君、悪霊のわりに気が小さいね? ほんと、ハム、実にいいキャラクターだと思います。

『ルナナナ』

月の人たちは刺激に飢えてるんだなあと改めて思わされた今回のエピソード。急にはやりだした部活。なにかこれという目標があるわけでもなく、ただただ部活をやるために部活をやるような状況が生じてしまっているのがおかしいのですが、それはそれで楽しそうにやってるのはいい感じ。

これ、ありし日の青春よふたたび、みたいなノリですよね。だから他の部と練習場所取りあったり、先輩風吹かせてみたり、そういうことこそを楽しんでいる。そんな雰囲気に、ちょっと屈折した意識を感じたりしたのですが、いや実際屈折してたんでしょうね。だから、ストイックごっこが楽しい時期が過ぎてしまえば、楽しいばっかりの部に人は流れていってしまう。ええ、これは当然のことだと思います。

いつもなら悪ノリするリコが意外や大人しかったり、反面ナオが潜在ニーズを掘り起こして結構な大所帯を形成したりと、まさにナオの面目躍如といった今回。とりあえずやってみたかったことやってみようぜ、みたいなノリの行き着いた先がくだらんことで大規模デモという、平和なのかひとつタガが外れれば危険なことになりかねない危うさはらんだ活動になってしまっていて、ええ、やっぱりナオはただものじゃありませんなあ。

今回の共感大賞ははるかでしたよ。わかる、その感覚。でも、自ら動かないと駄目ですよ。というのはちょっと自戒かも知れません。ええ、はるかは自分に似ている感じがするんですよ。ゆえに共感大賞です。

『恐竜とカッパのいる図書室』

薬師堂の伯母、あゆみが語って聞かせた恐竜とカッパの物語。その原型は、薬師堂と卸町ふたりの通う学校の図書室に勤める司書、ユキとの関係にあったのですね。

学生時代、ふたりいつも一緒にいたユキとあゆみ。親友だった。ひとりぼっちになりたくなかったというユキにとって、自分のもとに駆けよってきてくれるあゆみは救いだった。この感情、孤独をまるで怖れない薬師堂にはどうもピンとこないみたいですが、卸町にはかなり理解できるものみたいですね。

そしてこの伯母あゆみの抱えていた感情。それが今回ラストで露になったその瞬間、まさかと、意外と感じたのでした。ひとりになるのを怖れたユキがあゆみを求めていたのではなく、むしろユキに依存していたのはあゆみの方だったんだ。大学への進学を考えはじめたユキに対して、離れたくないと、同じ大学にいこうというあゆみの表情は鬼気迫るものがあって、ああ、これがふたりの紡いできた物語を決定的に変質させるきっかけになったというのですか。

それが恐竜が生まれた瞬間。ユキがいうには、ふたりで考えた部分は恐竜が出てくるより昔の部分。この恐竜が生まれるにいたったその時をもって、ふたりの関係は決定的に破綻したのか、あるいは違うのか。これから語られる部分、なかなかの覚悟がいりそうな予感がしています。

『もくもくもくのキャン』

いよいよ原田と木野、ふたりは出会ってしまうのだろうか! 木野のテントに近づいていく原田。木野がキャンプを楽しむことを原田が知ることで、なにか変わってしまうのかどうなのか。緊張の瞬間! と思ったら、すんでのところで原田が思い直して、ああ、ニアミスに留まりました。まだまだふたりそれぞれの個別キャンプは続きそうです。

しかし、今回は驚きの連続でしたよ。最初は木野だけだと思っていたキャンプ趣味が、原田もいつしか楽しむようになり、そして今回はふたりの働くスーパーの店長もキャンプやっていると判明! と思ったら、さらに加えてもうひとりのパートさんも息子さんと一緒にキャンプ!

後にスーパーで顔をあわせた4人が、それと知らず同じキャンプ場で立て続けにキャンプを楽しんでいたというミラクルが面白くて、しかもそれを互いに知らずにいるというのがまたよかったです。この関係、いつか交差する日がくるのか。きても面白い、こなくても面白そう。なんかそれぞれが秘密を持ってるみたいな状態がすごくわくわくさせてくれます。

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