『まんがタイムきららキャラット』2022年8月号、一昨日の続きです。
『RPG不動産』
サトナのもとで、いいように使われているルフリア。サトナに憧れるあまり、なにを命じられようとも疑うことなく従ってしまうの、いや、でも今ルフリアが得ている情報を考慮すればこれもしかたないのか……。
これ、サトナが隠そうとかごまかそうとか思わなかったからなんとかなっただけで、そうでなかったらルフリアは最後までサトナについていきましたよね。これまで、自分の目的を遂げるため、王国の皆を騙してきたサトナにしてはうかつでは? そう思ったものの、いや、それだけルフリアが軽く見られているのか。抗うような子ではない。これまで憧れでつき従ってきたように、これからは恐怖で従わせればよい。
その状況のがらりと変わるところ、当惑や混乱から一気に不安と後悔、恐怖に転じるルフリアの心の変転。その様はまさしくルフリアの試される、そんな局面で、ああ、ずっといい子でいたこの子は今この状況においてなにをどう判断し決断していくことになるのでしょうか。
琴音たちはというと、セレニアと琴音たち、二手にわかれて、サトナ討伐のために動いている。この子たちの動向がルフリアの決断に呼応する、そんな未来もあるのでしょうか。この離れているという状況こそが、危機を打破するための鍵となってくれるのではと期待しています。
『mono』
360度カメラを車載する! そのために法律を調べたり、安定して固定するための方法模索したり、試行錯誤する様子。DIYらしいといっていいのかな? アイデア出して、けれどこれはよくない、よりよい方法がないかと考えて、実際に試していいカメラ位置を確認してと、こういう行為こそが面白いのだけど、最善に辿り着くまではいろいろ不安もまじってもどかしさ感じさせてくれるんですよね。
車外に取りつけるには心許ないアタッチメント。アームが壊れたら? あるいは外れたら? 何万もするカメラがすっとんでいってしまう! いい解決策が見つからないでいたら、たまたまやってきたさつきがいいアイデアくれたりしてね、こうした知恵や知識を持ち寄って問題解決していくの、文殊の知恵的な面白さ、あるいは皆で解決する協力プレイ的な楽しさあって、実によかったです。
しかし、本当に車載カメラでの撮影まで漕ぎ着けましたね。ほんと、どんな世界を見せてくれるのか。また深夜に雨からの早朝集合、その意図とは!? きっとなにかアメージングなものが見られそう。本当、楽しみです。
『恋する小惑星』
地学オリンピックに取り組むナナチカちゃん。現地で仲良くなったユイがぐいぐい距離つめていくんだけど、この遠慮のないように見せて、細部にまで目を配り、そこからチカの意図を汲んでいくところなど、なかなかに有能さんではありませんか。
チカのブレスレット、カイヤナイトとタンザナイトからチカの自立したいと願う気持ちを読み取って、ナナにそっと教えてくれる。チカの思い詰めたような雰囲気、その理由に辿りつける? いや、これだけじゃ難しいか。けれど、チカが自分を変えたい、そのきっかけとして地学オリンピックに懸けている、そのことをはっきり意識させるには充分だったようですよ。
しかし、ナナ、いろいろ考えすぎでは? 自分がなにか邪魔をしていた? 思い出される桜先輩のメッセージに対するチカの反応に、あるいはユイの策略!? 考えすぎて筆記試験に身が入らないのはよろしくないなあ! 対しチカはというと、試験の答に姉を思い出させる要素があればそれを積極的に選ばないようにしている様子がうかがえて、ああ、この子の自立したいと思っているの、姉からなんですね。姉に頼ってしまう自分を変えたいんだ。
でも、試験中、姉との思い出に助けられることもあって、それがチカに抱かせた思いたるやいかなるものなのか。
チカも考えすぎのように思うんです。姉との関係、姉に助けられたり頼ったり、そうしたことに対する反発心。それは自分の力を発揮させ自立を志向させる思春期の頃にはどうしても抜きがたい思いではあるのでしょうが、時に助けられ、時に自分が助ける側になる、そうした関係もまた自然であると気づける日もくると思うのですね。
でもチカはまだその時ではないのでしょう。変わらぬ目標に向け努力しているナナもまた眩しくて、そんなチカの見出さんとするもの、まだはっきりと輪郭を持たぬ思いや夢の明らかとなるその日、その瞬間に思いをいたしながら、見守りたくなる。そんな子ですね、チカさん。
- 『まんがタイムきららキャラット』第18巻第8号(2022年8月号)