2022年6月21日火曜日

『まんがタイムきららMAX』2022年8月号

 『まんがタイムきららMAX』2022年8月号、昨日の続きです。

『妖こそ怪異戸籍課へ』

人虎であることを隠し、人の世界で暮らしてきた帝華。しかし、その秘密が山ン本によってあばかれてしまった。人虎の能力を目の当たりにして、恐怖にかられた帝華の友人たち。その様子にショックを受け、その場から逃げ出してしまった帝華。

帝華がいなくなってしまうかも知れない! でも、皆が自分たちにできることを考え、動き出す。そのくだり、もう半ば人の社会で暮らすことを諦めていた帝華を押しとどめるべく、情報を集め、それを伝え、帝華のもとに人の友人たちを導いていくくだりは、人の社会、妖怪の社会、そのふたつが二分されるのではなく、互いにその力をひとつの目的のために集めていく。そこに両者の共存というテーマもまたよく表されていたと思ったのでした。

山ン本のもとで働く潤も、なにが帝華にとって大切なのか、それを一番に考えていてくれた。自分の身を危険にさらすことになるかも知れないというのに、それでも帝華を優先した。そうした情の深さにも強く打たれました。

山ン本の思惑こそあれ、人と妖怪のともにある世界の道筋。それは明るいのではないか、そう思わせてくれるエピソードでした。

『ハコイリクリエイト』

函入ハイルが自分の名刺を作ります。

社会人の必須アイテム、挨拶時の必需品というんですが、ハイルは作ってなかったから誰かと会っても名刺交換できずにいた。というので凛々にアドバイスしてもらいながら名刺を作っていきます。基本はもうできているので、自分の名前を入れるだけ。というんですが、ただ文字を流し込んで終了ってことはなく、ちゃんと調整していくんですね。

カーニング、文字ヅメってやつですね。ハイルの名前、イとルの間だけ広く見えてしまうのを、文字間をツメていくことで均等に見えるよう調整する。この説明に結構な分量とってくれてるんですが、これ、わかりやすいな。

この漫画、こうやってデザインに関するいろんなことを紹介していくことになるんでしょうか。あんまり、漫画で学ぶデザイン! みたいになってもどうかと思うけど、そもそもが自分がこういうの大好きなので、いやもうすごく刺さりそうな予感がします。いやはや、学習まんがで育ったものでありまして……。

少しずつデザインについて学んでいくハイル。そして凛々や環奈との仲も深めていく。今回は凛々と名前で呼びあう関係になりましたね! こうした仕事上の成長と人間関係の深化、それを見せてくれそうなのもまた楽しみにさせてくれました。

『桔香ちゃんは悪役令嬢になりたい!』

手芸クラブの美咲ちゃん。桔香のシモベにカウントされてるんですが、できれば抜けたい。そう思いながらもきっぱりいいきれないこの子の損な性格。やんわりと拒否するんだけど、桔香にはまるで通じないというか、むしろシモベの特訓させられるとか、もうめっちゃ裏目!

うん、なんでもきっぱりいわんといかんよ?

しかし、シモベの特訓。なんともいわれん大変さあって、とりわけツナギがヤバい。かと思ったら、アオイちゃんも結構なもんだな。そんな中、イトちゃんひとりがマイペースというか、シモベ云々に真面目に取り組んでるわけじゃないの伝わってくるのおかしくて、もう完全に自分の読書タイム確保するのが目的じゃん。でもそんなイトちゃんが好きです。

桔香悲願の悪役令嬢クラブの設立。その申請書を処分してしまえばクラブに入れられるの、回避できるのでは!? そう考えてからの美咲の葛藤? 悪魔の美咲より天使の美咲の方が悪質なの、典型的なコメディパターンだけど面白いよなあ。完全犯罪をそそのかしとる。でも、そんな美咲も桔香が不出来ながらも頑張って作ってくれた折り紙細工、これ見せられては絆されないではおられんかったんやね。

たしかにデキは悪い。でも美咲の好きなものがなにか考えて、喜ばせようと思っていてくれていることは伝わってきたんですね。こうした誰かを思う気持ちの通じること、ちゃんと気づけること、それが本当に素敵なエピソードだったと思いました。

それだけにあの落ち! あらあら、ほんと、あっちもこっちもなかなか思うようにはいかんものです。

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