2023年4月1日土曜日

『まんがホーム』2023年5月号

 『まんがホーム』2023年5月号、発売されました。表紙は『らいか・デイズ』。コンパクトカメラを手に、ベストショットを狙うらいかです。で思い出したんですが、この漫画の登場人物、カメラから名づけされていたりしてましたね。ライカ、マキナなどなど。小西とかもそうですね。すっかり忘れてしまっていましたよ。そして他にも『ヲトメは義母に恋してる』のふたりはスマートフォンで自撮り、『独りじゃない一人暮らし』は、これフィルムの一眼レフかな? そして『孔明のヨメ。』は、猫を抱いた月英を撮影している孔明です。

『孔明のヨメ。』

火計の策を成功させるべく曹操群に入り込まんと船を出した龐統と月英。しかしここにまさかのイレギュラー! 孫尚香がついてきちゃった!

行き先もわからないのに勝手に船に入り込んできてと、まったくもって危機管理のできてない姫なのですが、周瑜と黄蓋の関係を改善したいと思う気持ち、それは本当にまっすぐで素晴しい。いや、ふたりの演技、策にまるっきり騙されてるわけなんですけどね。このまっすぐな姫に本当のところを教えたらどうなるか。瞬時に駄目と判断する月英の回転のはやさ。そしてまるで頓着せず騙しきると決めている龐統。ほんと、ふたりの対応、その結論こそは同じでも辿る回路がちょっと違うのが実に面白かったです。

しかし、この結果云々をいっていられる時期は過ぎました。船が曹操軍に拿捕されてしまった。バレたら死ぬぞ、江東も丸焼けだと釘を刺された姫、嬉々として兵卒に身をやつし、かくして三人が引き立てられたのが曹操の御前。

ここからの龐統の大芝居。なにゆえ曹操のもとにやってきたかを、つらつら述べてみせる豪胆さ。曹操の圧に押されながらも、決して負けないその態度。凄みもあらば、真に迫って、凄みある名場面でした。

しかしここからどのように動くのか。いずれはここを出なければならないわけだけれど、そのあたりどうなるんだろう。このわからないということが、実に楽しみとなっています。

『天国のススメ!』

草間、この漫画において便利すぎるキャラになってる感がありますね! 美少年、人柄もいい。しかし残念! オカルト大好きが先に立ちすぎて、見た目はいいのにこの趣味、性格がためにちょっと距離を置かれちゃう。

でも本当にいいやつなんですよね、という今回。太一から託された見習いキューピッドという不思議なやつを育てるべく、しばらく一緒に過ごすというのですけど、キューピッドの力を自分の欲のために使おうとしないその善良さ! かと思えば、キューピッド見習いに心配されるほどにヤバい言動もちらほら、いや、結構な量飛び出したりして、いやもう七人ミサキはやばいって! というか、キューピッドも七人ミサキ知ってるんだ。日本の風物に詳しいんだなあ。

考えて考えて考え抜いた草間がキューピッドに願ったこと。それがね、幼ない頃の草間を救った恩人ともいえる人。オカルトやお化けを扱ったラジオ番組に出てらした水森先生に会いたい。遠めに見るだけでいいという、その欲のなさ、控え目でけれどそれゆえに感じとれる思いの深さが素晴しかった。

ええ、今回は、今回も? 草間という人の魅力がよくよく出ていたと思います。キューピッドがほだされるのもわかります。

『ヲトメは義母に恋してる』

なんだろう、ちょっと方向性が違ってきている。この漫画のはじまった頃は、父と結婚するかも知れない人、寿々に憧れを超えた感情を抱く鈴、という感じだったのが、今や寿々が自分の感情に迷い、悩み、その変化に気づきはじめている。みたいな、なにか始まろうとしている感があって、そっちか!? そっち方面にいっちゃうのか! 大歓迎だよ? みたいになってしまっているのです。

今回は寿々と鈴、ふたりが一緒に映画にいきます。寿々の同僚が、都合がつかなくなったため代わりに映画にいってほしい。入場者特典目当てで、初日でないとなくなっちゃう。ぜひ、ひとりといわず誰かと一緒に、入場券は差し上げるから。というわけで、ふたりが映画にいくことになったというのですね。

自分と一緒より友達といきたいかな? なんて遠慮が出てしまう寿々に対し、ぜひとも寿々といきたい鈴。そのやりとりがとてもよくて、切実さ感じさせる表情ににじむ鈴のいじらしさ。その様子に打たれ、胸のときめきを覚える寿々!

なにか始まろうとしている!? だ、大歓迎だよ!?

いやもう、深まるふたりの関係。とてもいいと思います。

そしてまたよかったのは、冒頭カラーページの寿々さですよ! 鈴コーディネート! よくやりました、鈴さん! いやもう素晴しい。最高です。

2023年3月31日金曜日

『まんがタイムきららキャラット』2023年5月号

 『まんがタイムきららキャラット』2023年5月号、昨日の続きです。

『ササエルの中には誰もいない』

まさか、あの姉が小依にごちそうしてくれるという。これ絶対なにか裏があると思ったら、やっぱり! 案の定! 虫取り網と虫カゴが用意されていて、ササエルにオオクワガタを捕れという。いや、今どきオオクワガタって換金できるんですか? いや、オオクワガタの換金が目的じゃなく、天河のアピール! ああなるほど、そうでした、ササエルは地元名産笹かまぼこをアピールするだけでなく、この土地の魅力を伝えるご当地キャラでしたね。

と思ったら、やっぱり換金する気満々なんじゃん! ところが、これこそがまさにフェイクだったというのですか。

今回は、なかなか普段は表に現れにくい参加者の本音がきれいに表現された、いいお話だったと思います。参加者は我らがササエルに、青羽未萩。そして危険な稲井茅。いや、稲井はいつだって本心丸出しだろう。とは思うんですけどね、小依姉にお化けで脅された稲井がですよ、お化けは怖いけどササエルに会える特別な日だからって殊勝な表情見せるわけですよ。そうしたらもうササエルも未萩もいちころですよ。

この稲井のポテンシャル、素晴しいものがありました。というか、普段からそうしていたらササエルもそこまで警戒せずにいてくれるものを!

そして素直な本音、まずは未萩。ササエル、というか小依のこと大好きなわけですが、その気持ちをいつもなら誤魔化してしまうところが、今回はササエル大好き稲井さんがいるわけです。ついつい張りあっちゃう気持ちが、1時間半かけてササエルに会いにきたんだと未萩の口からいわせてね、ああ、かたい握手だ! ええ、もっと接近するがいいのです。

最後に、これが本命! ササエルの本音ですよ。どっきり仕掛けた姉の手に落ちた未萩と稲井の仇をとるべく、本気で打って出たササエルの大事な友達発言! ああー、ササエル、本当にいい子じゃあ。この思わぬ告白に、ちょっと照れちゃう未萩がとてもいい。ええ、ふたり、まずは友達から、そしてステップアップしていくのがいいのです。

『RPG不動産』

ラスティーレとサトナの悲劇を回避すべく、過去の世界にやってきた琴音たち一行。メイドに扮したアリスと、お気楽琴音たちと二組にわかれて、それぞれに行動していくのですが、琴音サイドは本当に結果オーライですね! 疲れたからと豪華なベッドでみんなして寝ていたら、ラスティーレとの秘密の謁見がかなってしまいました。

アリスはアリスで、メイドの仕事をしくじり倒して戦力外通告受けたと思ったら、モスカちゃんを発見。邪険にされながらも食い下がってみたら、アリスの母に目通りすることがかないました。

それぞれに、ラスティーレとサトナとの良好な関係を続けるよう働きかけるのですが、ラスティーレも同じ望みを持っていながら、生贄となる運命を避けがたいものとして受け入れてしまっている。そしてアリスの母からは、サトナがただ生まれ落ちただけで生じた惨事が語られて、ああ、この悲劇的な関係は不可避なのでありましょうか。

琴音たちがこれまで見てきた、裏切られた果てのサトナの作り出した未来は、まさにこの避けえないと思われた運命の先に待っているものなのでしょう。ということは、ここで琴音たちはまた別の道筋を辿るべく、運命を変えていかないといけない!

はたしてどのようにしてそれを叶えるのか。今、この状況において彼女らになにができるのか。まだ見えない道の先ですけれど、なにか変化をもたらすきっかけ、それが見つかることを期待してしまいます。

2023年3月30日木曜日

『まんがタイムきららキャラット』2023年5月号

 『まんがタイムきららキャラット』2023年5月号、一昨日の続きです。

『紡ぐ乙女と大正の月』

素晴しいエピソードといっていいのか、それともヤバいというべきか。女学校に出没した、見るからにあやしいカメラ男。あまりの危険な雰囲気に、速攻で初野をけしかける旭さんですよ。というか、腕ひしぎ十字固めはいけません! 案の定、喜ばせてしまっているじゃあないですか!

この男、雑誌『少女の煌』の編集長なんですか。趣味と実益を兼ねた仕事なのか? 学内での撮影許可がおりてるどころか、学校紹介のための取材なのだそうです。ということで、なにもあやしくなかった(ほんとに?)。かくして、さきほどの狼藉をお詫びすべく、紡たちをモデルに編集長氏の求めに応じるままの写真撮影とあいなったのでありました。

実際、ここからの撮影風景。とてもいいんですよね。初野さんがご活躍あそばしたのもそうですが、皆のセーラー服姿とかね、そうそう見られるもんじゃありません。和気あいあいと、時に近しく、仲よさそうにむつまじい皆の様子は、本当に見ていて心やすらぐよさがありました。

と、ここからまさかずっと気掛かりだったことに紡が気づくことになろうとはまるで予想もしませんでした。未来の世界から持ち込んだ謎の写真。最初は真っ暗だったそれが、以前、皆での集合写真に変わっていた。その集合写真が、まさに今回のエピソードにて撮影されたものだったとは。ああ、ここからどういう繋がりが見つかろうというのか。しかし問題の写真を探しに部屋に戻った紡が目にしたものは、以前見たものとはまるで異なるもの。廃墟と化した東京の様子なのです。

ああ、紡よ、気づくのです。あと数年の猶予しかありません。大正12年9月1日正午に発生する大惨事。紡よ、心覚えはありませんか。防災の日ですよ。学校で避難訓練とかしたでしょう? 今ここ大正の御代にて日々を暮らす皆の未来を、紡さん、あなたは握っているのですよ。

『ばっどがーる』

うわあ、すずちゃん、とばっちりだ。

とある休日、朝寝坊を決め込んでいた優が見たもの、それは我が家のリビングにて母と語らう亜鳥の姿。あまりのことに、見たものをそのまま信じられずにいる優。まさかの四国方言まで飛び出すほどの動揺具合です。

そんな優に試練が。母が出掛けねばならない。帰るまで、優の部屋で待っていてと言い残していくのですが、優の部屋、とうてい亜鳥を招き入れられるような状況ではない! 大量の亜鳥抱き枕! はいいとして、禁パイに放パイってなんだそりゃ! どこぞの方言なのか、新語なのか、それはわからないのだけど、この状況を亜鳥に見られるわけにはいかんと、窓から見えるすずの部屋に緊急退避!

それでも残った亜鳥グッズを隠すべく繰り広げられる優の無茶な誤魔化しから、亜鳥に憑いてる謎の存在にまで言及があって、ほんと、今回はなにがおこっているの? そして最後にすずちゃん、とばっちり! いやもう、なんだろう、このカオスな展開。本当、いつにないドタバタ感がすさまじかったです。

というか、なにが一番驚くかって、この抱き枕、本当に売られてるのね。ほんと、驚きでした。

『恋する小惑星』

美術の授業で、好きなものの絵を描くことになったチカ。画材は自由というので、そちらでも自分の好きを追求してみたい。

岩絵具! いや! いやいや! やめておいた方がいいよ!? 岩絵具めちゃくちゃ高いし、ものによっては毒性あるから! と思ったら、まさしくその方面から話が展開していって、しかし画材のために自分の鉱石コレクションをすり潰さんとするチカの勢い!

や、やめとこう! もったいないって! ほんと!

古い知りあいが日本画やってまして、まさしくこの岩絵具使って絵を描いていたんです。膠を溶かしてとかね、実際やってるところ見てました。あれ、夏場とか腐るんよね……。で、筆がめっちゃ減るんだそうで、なんせ砕いてすり潰した岩を使ってるわけだから、サンドペーパーに絵を描いているようなもの。とにかく金がかかるという話。

だから、今回のチカの大変さ、よくよくわかる。思いついてはみたものの、美術の秋山先生の好意で体験させてもらって、それでさすがに無理っぽいと岩絵具は断念。

けれどそこでまるっきり全部諦めるのではなく、地学のトピック、剥ぎ取り標本からヒントを得て砂絵に到達。ひとつの方向性にこだわるのではなく、視野を広くもって、ヒントを得て、そして現実的でかつ充分魅力的な解に辿り着いたところ、大変に素晴しかったです。

また、砂絵を描くだけでなく、そこに鉱石をコラージュしていくなど、発想がさらに異なる発想に繋がっていく。この連想もまた素敵でした。

2023年3月29日水曜日

『まんがタイムオリジナル』2023年5月号

 『まんがタイムオリジナル』2023年5月号、一昨日の続きです。

『夏っちゃんはととのわせたい』

週刊誌に取り上げられて、熱波師をやっていることが周囲に認知されてきた夏々。友達にも知られ、熱波とはなにかと話しかけられたりするのだけど、夏々、緊張しちゃって説明がおぼつかない! 知ってもらいたい気持ちはあるけど、なかなか思いどおりにはいかないんですね。

そんな夏々に、サウナのお客さんにして後輩の白桜が動画サイトを勧めてくれたんですよ。けれど全然乗り気じゃない夏々。炎上が怖いんだ! うん、わかる、わかるよ、その気持ち。炎上までいかずとも、変に悪目立ちしちゃっても困るもんね。とにかくネガティブに振れる夏々です。でも、熱波師のかおりも熱波動画を配信してると知って、ちょっと前向きになるんですね。

しかし夏々、本当に意識しちゃうと駄目なんですね。撮影してない時は自然な感じでうまく熱波を送れているというのに、いざカメラを回すとガチガチになっちゃう! ああ、これ、こっそり気づかれないように撮るしかないのでは? でもどうしても緊張しちゃうから、これを逆手にとってビビりすぎな熱波師として配信。ちゃんと話題になって、熱波への興味を持つ人も出てきてと、よかった! いい循環しそうじゃないですか!

と思ったら、この1件で夏っちゃんの動画活動は終了しちゃうのね! あのたった1件の投稿っていう落ちがめちゃくちゃ面白くて、なんといったらいいのかな、わかる! そんな感じがよかったんですね。

『カントリー少女は都会をめざす!?』

今日はエイプリルフール! というのですが、八重にとってはネガティブな印象があるのですか。かつて父にウソをつかれた経験が、この子の心に傷を残してしまった。というか、お父さん、明日から東京になるって、どんなウソなのか。というか、八重は幼少の頃から都会大好きだったんですね。

エイプリルフールの過ごし方について話してるのが面白かったんですよ。断固拒絶の八重とは違い、亜紀は企業がこの日のために用意するイベントを満喫すべく一日まるまる費すっていうんです。ああー、この数年は随分落ち着きましたけど、それ以前はすごかった。ひとつの企業サイトだけでも手にあまるくらいの規模がいくつもあって、まわり切れない、探し切れない、有志の報告による情報まとめを頼りに、あっちへこっちへと巡回しながら、時間が足りない、まだまだ見落しがありそうと、半ば諦めの境地であったこと思い出したりしましたよ。

でも亜紀は諦めるでもなく、本腰入れてエイプリルフールに取り組んでいるんですね。楽しみには前向きな、アグレッシブガールです。

八重は八重でエイプリルフール企画を楽しんでますというところ。目が 3 3 になってる八重は実に可愛かった。はいいとして、いつものようにどこかしら方向性のおかしい八重の主張を楽しんでいたらですよ、そこに用事があったはずの大河が登場。ああ、用事があるというのがウソだったんだ。八重を驚かすべくやってきた大河を前に、喜びを露にする八重、ほんと、可愛い子だと思います。

エイプリルフールを拒否していた八重も、なんだかんだで満喫しましたね。来年からは、八重も素直にエイプリルフールを楽しめるようになりそうで、よかったですね。

『敷金礼金ヤンキー付き』

今回は真夜メインだ。自分を変えるべく日本一のヤンキーを目指す彼女。本来は臆病で、学校では真面目そのものといったスタイル。いや、実はこの学校スタイル真夜、好きなんですよ。可愛いですよね。でも、真夜はこうした自分像から脱したいんだな。アイデンティティの模索、それが真夜の大切なテーマなんですね。

さて、今日もアイデンティティの模索を続ける真夜。思い切って学校をサボってみる! というんですが、途端に不安になっちゃうの。ああ、ああ、向いてないんだよ。無理しないのが一番だよ、と思うのだけど、それでも自己認識を変革すべくサボりは継続。ある意味初志貫徹で、こういうところにも真面目な性分っていうのが顔を出してるように感じたんですね。

七恵との会話が面白かったですよ。ふたりともに学生なのに、学校いくのが当たり前の真夜。七恵はというと、自分が学生という認識さえあやうくなっている! 筋金入りだな、七恵。そう、これだよ、これが無理しないってことなんだよ、真夜さん。

ふたりでゲーセンへと向かう道すがら。補導されたらどうしよう、学校に通報されたらどうしよう。ずっと不安を感じている真夜の様子。臆病な気質がよくよく現れていて、でもその格好で、しかも七恵と一緒なら別に心配いらんのでは? 七恵についても、サボりを楽しんでるとか真夜いってますけど、いや、これはサボりを楽しんでるのではなく、七恵の普通の生態なのでは? サボってるとさえ思っていないのでは? そう、これが自然体ってことだよ、無理しないってことなんですよ、真夜さん!

ずっと不安や迷いにとらわれ続けている真夜に、大家がしてくれたアドバイス。グレたはいいが、内心ずっとビビっていたという大家の言は申し訳ないけど本当に意外で、そんな大家との会話に救われた真夜。ああ、この感覚が大家も救われたという仲間との連帯。まさに大家が、先輩であり仲間であったということなのでしょうね。

しかし、最後にわかるんですが、学校サボった時の真夜、ちゃんと休むとたえに伝えてたんだ! ほんと、なんだかんだ真面目な子です。その真面目さゆえに、道から逸れることのできない自分自身に息苦しさを感じているのかも知れませんね。そしてこれは真夜ならずとも、多くの人が抱えている感情なのだと思います。

『通勤通学クエスト』

こうし好きがきっかけとなって知りあったカゲヒトとヨーコの関係。互いにリスペクトのある、理想的なものなのではないでしょうか! 細やかで気がきく大人の男性。ヨーコにはカゲヒトがそう見えているんですね。きっと26歳くらい、18歳で子供の自分は相手にされないって、さらに深くつきあうことなんて考えられないっていう感じであるんですね。

対し、カゲヒトからのヨーコ像。これがすごく対照的で、困ってる人を放っておけない、ヒーローみたいな女性! ひったくりを取り押さえてるのはほんとすごいな! とは思うんだけど、実際こうした姿を見せられたら、かっこいい人だって思ってしまうのは納得です。

で、カゲヒトはカゲヒトで、きっとヨーコは26歳くらいで、34歳の自分なんておじさんすぎて相手にされないよ……。

お互いに自分のこと低めに見積もっちゃって、それで踏み出せないっていうんですね!

これ、自分を卑下してる側面もあるにはあると思うんですが、それ以上に相手のことを大きく感じちゃってるんでしょう。見事なリスペクト精神! いやもう、理想的なふたりだと思いましたよ。

2023年3月28日火曜日

『まんがタイムきららキャラット』2023年5月号

 『まんがタイムきららキャラット』2023年5月号、発売されました。表紙は『紡ぐ乙女と大正の月』。なんと、大正時代ではありえない、そんな格好で登場された蜂須賀初野嬢と一条雪佳様でありますよ! ふたりともに腹も露に、ミニスカートのチアスタイル。それでも屈託なくいい笑顔を見せる初野嬢、対照的に恥じらいのあまり怒ったみたいな表情になっている雪佳様。髪色の違いもそうであるように、コントラストあるふたりの存在感が非常に映えたよい表紙だと思います。伸びやかはつらつ元気そのものの初野嬢と、緊張から縮こまる雪佳様、そんな対比も悪くない。ええ、好対照であります。

今月は新規ゲストが2本です。

『ユメガタリの魔女』

新しい学校で、普通の子として振る舞おうと心に決めている転校生、語部小白羽。けれどそんな彼女に一番に話しかけてきたのは、クラスでも浮いている奇抜な子、結虹。一緒に世界をひっくり返さないかと誘ってきたのだけど、あくまでも普通でいたいこはねにとっては一大事。ゆにと一緒にいたら、普通に過ごして普通に友達に囲まれるような学校生活は望めない!

それでゆにのこと、避けて、避けて、避けまくるんですね。

でも、なにかやろうとしているゆにのこと、へんな子だからと距離を置く皆を見て、そしてゆにの言動の大本となっているのが、こはねも読んでいた本、『ユメガタリの魔法』と知って、それでちょっとずつ思いを変化させていくんですね。

ここからの展開が素晴しかったです。普通でいたいこはねと、普通でないことに憧れるゆに。いつか本に出てきた魔女みたいになるんだと語るゆにの言葉に、押し殺していた自分の本音をついに口したこはね。そこで明らかになる、こはねの秘密。実は魔女だったというこはねの、けれど夢をなくしてもうなにもできなくなっていた。けれどゆにがいてくれたらきっと違う。ゆにの思い描く夢を、こはねの魔法が現実に描き出す!

この、それぞれが持っているもので足りないなにかを補いあって、ひとつの目標に向かおうと決まった瞬間、これまで夢物語のようにあやふやだったものが、かちりと確かな輪郭を持ったと感じられたのでした。ゆにが思い描く夢が、こはねの魔法でただの夢ではなくなる。そこに感じられる躍動に、わくわくと気持ちの浮き立つ思いがしたのです。

『学園マスケラータ』

仮面着用を義務づけられている謎の学校、パラテノ学園。仮面のみならず偽名の使用も認められてる、一風どころか相当に変わった学園なのですが、それゆえに悪い噂は後を絶たず、かくしてその実態を探るべく、公安警察官、犬童桜が生徒に身をやつし潜入捜査することとなりました。

しかし、この桜さん、わりと頼りない? 仮面で素顔を隠し、かつ名もイヌワラチヨダと偽ってみたものの、顔をかくして銃器かくさず!? いや、スカートの下に隠してはいたんだけど、そんな長いスカートなんてと知りあったばかりの女生徒、ネコラネネに裾をまくられて即バレからの、警察官としての身分も、その目的である潜入捜査についてまで知られることなってしまいました!

展開がはやい! ともあれこうして捜査に協力してくれることとなったネネ。この子もこの子で、またなにか秘密を隠していそうですよね。初回は、状況の説明、そして相棒となるふたりの紹介といった様子。この学園の実態ないし謎については、次回以降に期待であります。

2023年3月27日月曜日

『まんがタイムオリジナル』2023年5月号

 『まんがタイムオリジナル』2023年5月号、発売されました。表紙は『ラディカル・ホスピタル』。先輩後輩がテーマ? いや、仲間とかチームとかなのかも。メインには、白衣すなわち仕事姿の山下ナースと大ちゃんがアイコンタクトにて互いの意思を確認しています。『らいか・デイズ』は、らいかを先頭に、クラスメイトから年少の子までがずらりと並んでおそろいのポーズでばっちり決めて、そして『小森さんは断れない!』しゅりはというと、いつになく百合な雰囲気をかもしだしておりますよ。

『おしかけツインテール』

いよいよ花梨たち母娘の引っ越し準備も佳境にはいり、どんどん進む荷造り。お母さんはちょこちょこサボったり、俊郎は俊郎で、なにかと花梨に現金持たせようとしてみたり、こうしてあちこちにコミカルな要素ちりばめられるのは、普通に真面目に描いたら、別れのつらさ、寂しさが強くなりすぎてしまうからかも知れません。

かたくなに現金を断る花梨。いや、現金はやりすぎだろうとは思うんですが、その花梨の気持ち、これまでの三年間、多くのものを貰ってきた。それ以上は求められないという心情にあやうくホロリとさせられそうになったかと思ったら、俊郎が花梨の置き手紙を読んで思ったこと、ふたりが去ろうとしている今、荷物もあらかた片づいて、けれどモノがなくなって寂しくなったかと思いきや、それ以上のものをこれまでにたくさん貰っていた。

ふたりともに、互いが与えてきたものに思いを馳せているというんですね。

次回、いよいよ最終回だそうです。この別れの先にあるもの。確認せねばなりませんね。

『おだまき君の道草ごはん』

小麦を自宅に招く苧環。今日は誰もいないから、なんて意味深なこといっちゃって、いやもうそりゃ小麦も意識してしまいますよね。なにか恋愛的なイベントが!? と思いきや、苧環はいつもどおりといいますか、うっかり大量に解凍してしまったタラの芽を消費するのを手伝ってほしい。

まったくもって、恋愛的な機微にはうとい、ないしそういう方面への発展性を持たない男ですよ!

と思ってた。思っていたんです。それがまさかですよ。棘のあるオダラから小麦を守りながらふたり一緒の台所仕事。まさかそこで、夫婦みたいだねって! って! いや、それ、メダラ、オダラのことなのかい! でもこれ、ほんとに苧環、意識しないでやってるの? 小麦の反応を楽しんでるとかじゃないのん!?

えらい疑惑抱きながら見ていたらですよ、棘のささった苧環の介抱をすべく手をとった小麦に赤面苧環くん! マ、マジかーっ! 苧環くん、君にそういう恋愛回路があるとは今の今まで思ってなかった。しかもこの表情を、小麦のみならず、妹に、父に目撃されてしまって、よっしゃーっ! って、なにがよっしゃーかわからんけれど、いやもう、これはよっしゃーでしょう。

ここから小麦、あんたのターンだよ!

『となりのフィギュア原型師』

造形イベントに着ぐるみ装備で参加するえにぐまちゃん。いや、いやいや、その格好で現場までいくのん!? ああ、案の定警察に呼び止められてるやん! しかたないので変身前の姿で会場に向かえば、えにぐまちゃんが! におが! もう限界だ!

もう、ほんと、今回はのっけからハラハラさせられる展開でした。

イベントがはじまりました。お客さんの反応に直に触れられて、えにぐまちゃんも嬉しいんだ! ものすごいテンション上げてきて、よかったなあ、えにぐまちゃん。半藤とも遭遇。そして会場をぐるり巡ってみたりもして、よかったなあ、えにぐまちゃん、イベントを満喫してる!

と思っていたのに、ああ、そうか、そうだよな、着ぐるみは暑いよな。それで熱中症になっちゃって、座り込んじゃって、おこめ代表が見つけてくれたものの、着ぐるみから出るの断固拒否!?

どうにもできない代表! 半藤に助けを求めるも、半藤はどこにいるのか。ああ、ヒーローの出番ですよ。日頃、鍛えている身体は今日のこの日のためだったんだ!

次回、半藤は間にあうのか。刮目であります。

『おひとり好きの富士宮さん』

鷹祭プロデュースのお花見。まさかの富士宮の参加もとりつけたというのですが、裏で糸を引いていたのが胡桃。やり手だよな。自分の望みを叶えつつ、鷹祭に費用を全部持たせる。素晴しい。したたかどころか、暗躍、狡猾、最高に魅力的ってやつですよ。

しかし、鷹祭の、というか胡桃の好み、全然富士宮向けじゃないのね。ホテル最上階を貸し切り。豪華そのものではあるのだけど、富士宮はこういうのよりも、もっと庶民的、素朴だったり当たり前だったりすることに価値を見出していくタイプ。実際、今回も眼下に望む屋台への思いに焦がれて、しかもそこに本日限定タコ2倍たこ焼きの情報がもたらされたものだから、もうたまらない。

こっそり会場を抜け出してしまうっていうんですね。

富士宮がいないと騒ぎになりかけてしまったその時、駆け出していった内山。オフの富士宮を知っているのは自分ひとり。降り出した雨の中、オフスタイル富士宮の前に現れた内山、富士宮さんと名を呼ぶも、富士宮は内山を認識していない!? どうなの!?

ともあれ、ずっと一方通行だった内山の感情が、ここにきて双方向に!? これはまさしくクライマックス。これまでの関係、状況が一気に変わる、そんな山場に差し掛かって、いやもうこれは先が気掛かり。面白くなってきましたよ。

2023年3月26日日曜日

『まんがタイムきららフォワード』2023年5月号

 『まんがタイムきららフォワード』2023年5月号、昨日の続きです。

『アネモネは熱を帯びる』

宇田と凛理とのデートの様子が描かれます。のっけからやたらと緊張している宇田ですよ。ああ、これはなにか悪い方向に働いたりしちゃうのではないか!? 不安を感じたりもしながらも、凛理と落ちあってからは興奮が緊張に勝るのか、とりあえずは大丈夫そうですね。いや、張り切ってるのは変わらない。それからちょっと空回り気味! 凛理を楽しませるべくいろいろ調べてきたというのですが、ちょこちょこしくじっては自己嫌悪に陥りそうになったりと、感情もろもろが忙しい宇田ちゃんです。

けれど水族館での凛理の様子などね、苦手はありつつも充分に楽しんでいるようで、これはよかったのでは? 実際ふたりの様子、雰囲気もたいへんによい感じで、ふたりで一緒にキーホルダーを買うところとかね、すごくしあわせそうな宇田の笑顔に、よかったねと思わないではおられませんでした。

それだけに、最後の観覧車でのこと。観覧車に緊張する凛理の隣に座ったところまではよかったのに、そこからの会話、凛理から聞かされる好きな人のこと。宇田は明るさの中に嬉しい気持ちも切ない思いも全部隠してしまって、凛理のことをただただ応援しようとつとめる。そのいじらしさに、胸苦しさ覚えるような心持ちになったのでした。

ええ、宇田ちゃん、切ないですね。報われない恋なのか。たとえそうだとしても、凛理の恋の破れることなど願えるわけもなく。ええ、切ないのです。

『異世界サウナへようこそ!~ルナちゃんはととのいたい~』

熱波師として鍛錬を積んできたスラー一世一代のロウリュイベントがはじまります。

スライムとしての特性を生かしつつ、ただタオルで扇ぎ熱を送るだけではなくなっているスラーのロウリュ。細やかなコントロール、気配りを欠かさないその姿勢には余裕さえ感じさせられて、こうして利用者ひとりひとりとコミュニケーションをとりながらサウナの場をしっかりまとめていけるようになったの、本当、修行の成果ですよね。こうしたところに感じられるスラーの成長、と思ったら、ここからさらにもう一段あがっていくところ、実によかったです。

サウナの熱さにまいることなく、たっぷりの水分を補給しその先のステージに向かおうとする心意気。ああ、この子は本当に熱波師としてだけでなく、スラーその人としてもひとまわり大きく成長したんだ、ひとつの山を越えたんだと強く感じさせてくれる名場面だったと思います。

そしてスラーの熱意にあてられたのでしょう、ルナもやる気を奮いましたよ。ここ異世界サウナにて従業員として働くことを決めて、かくして制服を着用したルナの姿。これからどんな活躍をしてくれるのだろう。その働きに期待ですね。

『花唄メモワール』

大正時代にて、幼ない頃の曾祖母イネと出会った梅。藤野に懐くその様子を見れば、これから藤野の身に起こることにどれほどのショックを受けるだろうか。そう思えばこそ、梅の活躍に望みを託すばかりなのでありますが、それはそうと、時代を行き来している梅のこと、知るのは梅ひとりではなく、このイネもまた令和の世においては事情をしっかり把握していますよね。ということは、やっぱりこの大正の世にて必要になる知識、技能を梅に教え込んでいたイネの思惑。それは梅が困らないようにということでもあるけれど、やはり最終目的は大好きな藤野の運命を変えることなのでは?

いろいろ状況もわかってきた今回。梅のもとに戻ってきた梅花をあしらった髪留め。その由来が判明。曾祖母、イネから貰ったものというのですが、そのもともとの持ち主はイネの母。イネを産んで亡くなった母の形見だったというのですね。

イネが壊してしまった大切な形見。それを女将にいいだすことができず、ずっと胸のうちにしまっていた。さらには嘘までついてしまっていて、けれどそれを藤野たちが一芝居打ってくれて、そして梅もイネの背を押すことで、女将に正直に話すことができた。

母の形見である髪留めを、後に梅に贈ったのは、この大正の世で梅が身につけていたことを知っているから? アイスクリームが好きなのも、この時のことがあったから? 後に宿に残る記録を見て、トンカツのことなど、自分の見知らぬことへも対応できるよう仕込んだ?

ええ、今回のできごとには、この物語を理解するための大切な情報が詰まっていたと感じたのでした。

『追風のジン』

かつてグレンたちとともに天叢雲を結成したフブキの口から語られた過去の事実。自分たちの身に宿る力のこと。妖怪を退治するために錬磨し、天叢雲を結成したこと。そして妖怪の大将、百夜丸に迫ったこと。

そしてこの戦いの顛末。

裏切り者として伝えられるグレンの真実。本当に裏切ったものが誰だったのか。なぜグレンが裏切りものの汚名を着ることとなったのか、すべてが語られてそして物語は、これ、終幕に向かっていますよね?

ジンが、ココロが探し求めていた答が全部ここに揃いました。カエデの復活をかなえんがために、百夜丸を蘇らせようとするフブキ。そのためには風魔結晶と、そしてココロの血が必要となる。ついに正体を現したフブキ。

いよいよフブキとの対決がはじまる!?

本当、この戦いで終わらなかったらおかしな邪推してごめんなさい! でもほんと、唐突のクライマックス感。フブキの思惑が通るか、ジンたちが阻止するか。戦いの行方に注目です。

2023年3月25日土曜日

『まんがタイムきららフォワード』2023年5月号

 『まんがタイムきららフォワード』2023年5月号、昨日の続きです。

『高瀬さんはドル活に夢中です』

ああ、本当にうまくいかないものですね! 高瀬に購入させるつもりだったドールのヘッドを、予想外の争奪で入手できないという番狂わせ。まさかこんなはずではなかったと思うのは江田ひとりで、高瀬をはじめとするドール愛好家の中では江田すなわちPOPの認知は予想以上だった模様です。

購入戦に負けたふたりの帰り道、そこで交わされた会話が面白かったです。拡散もいいねもさほど多くないPOPのSNS。けれどこれ、購入者視点からすれば、評価が増えて拡散も増えれば多くの人目に触れ、結果ライバルが増えてしまう! なんとかして知られないよう、そっとマークしておきたい。そんな気持ちがあるっていうの、わかる! わかるわ! いやほんと、実際争奪戦になりそうなものは、認知度上がって欲しくないもんなあ。とはいえ、自分が知っていて欲しいと思うようなものは、アンテナ感度高い人は当然知っていて、ゆえに争奪戦にて出し抜けるなんてことはまるでないんですけどね!

作家としての自己像の修正を迫られる江田です。きっといつか必ず高瀬にヘッドを届けられるように、欲しい人の手元に届くようにと、より一層の奮起をする、そうしたポジティブな変化があると思えば、発送や製作のための時間を確保するために高瀬との時間を減らしてしまうことに!

あの、ドールショップめぐりの申し出を断わられた時の高瀬の顔! よほどのショックなのだとわかるけれど、江田はまるでそちらに目が向いていなくって、ああ、なんでこうもうまくいかないのだろう!

このジレンマそのものの状況。いずれまたふたたび、もとのふたりの関係に戻る日を待たないではいられません。

『球詠』

日本一の合宿を終えて、野球部はシーズンオフ、活動は基礎的なものにとどまっているんですね。かくしてちょっと野球から離れた皆の様子描かれて、初詣にいったり、クラスマッチ? 百人一首と将棋とeスポーツと麻雀で競いあう学校行事なの? 球技大会の文化版? でも麻雀があるのは面白いな。というか、皆普通にルールもわかってれば駆け引きもできるんだ。レベル高いな! 自分はいまだに点数計算できないですよ!?

野球から離れていたのは、これくらいですよね。もちろん野球部の活動は続いていて、過酷な体力増強メニューをこなしていく部員たち。そして卒業のシーズンが過ぎれば次は新入生たちがやってくる春。となれば、野球のシーズンもいよいよはじまり、待ちに待ったとテンション高めの野球部員たち。小河台相手の練習試合で、皆がそれぞれに自分の力量の変化した様を実感していくところ。この描写など実に面白く読みまして、なるほど、球威が上がれば送球なんかの勘も違ってくる。こうした変化を意識し、いろいろ試しながらその変化に対応していくのが、こうした練習試合の役割だったりするわけですね。

春、ちょっとした環境の変化にも戸惑いながら、いよいよ新たな一年がはじまります。岡田たち上級生組にはこれが最後の一年となる。そして迎える新入生。どんなメンバーが加わるのか。一部にはレギュラーから外れる不安なんかもありながら、それでもチームの層が厚くなるのは確実でしょう。その変化もまた楽しみであります。

『ちょっといっぱい!』

最終回を迎えました。前回は、苦難を乗り越えるための秘訣をこはる屋立ち上げメンバーたちから聞かされたりして、これからのもみじが経験するだろうことに思いを馳せたりもしたものでしたが、今回はこれからもみじとともに居酒屋立ち上げの大仕事に立ち向かわんとする若い人たちの希望にあふれた会話がメイン。そこには現実的な苦労よりも、夢や期待、まだ見ぬ未来の姿への憧れなどが示されて、そのフレッシュさにページをめくるたびにわくわくさせられるものありました。

しかしその途中でね、居酒屋もみじってエリカがいうじゃありませんか。それ見て、ええっ!? すずめ亭じゃなくてもみじって店名になるの? いや、エリカがそういってるだけで、そうなると決まったわけじゃないですけど、そうか、てっきりすずめ亭でいくものだと思っていたから、店名が変わる可能性とかまるで考えもしていませんでした。

居酒屋開店にかかる苦労話などは、あえて前回に大人組メインですませておいて、最終回は明るく前向きな、これから開かれていく若い人たち中心の話にしてくださったんでしょうね。もしかしたら時間が一気に過ぎて、すずめ亭あるいは居酒屋もみじの様子など描かれたりするかもとも思ったのですが、具体的な未来の姿はエリカの絵による想像のものに留められたのが、逆にきっとこうなる、こうなって欲しいと願う彼女らの、そして読者の思いを将来へと導いてくれるようでした。確定しない未来だからこそ、こうなって欲しいとより強く願う、そんな気持ちにさせてくれたのですね。

終始明るくポジティブに、そして少しの涙もあったけれど、苦しみやつらさによるものではなく、自分に向けられた優しさに対するあたたかな涙。きっとこの子たちは大丈夫だと、たとえ未来に荒波が立とうときっと乗り越えていくのだろうと、そんな期待をともに閉じられた物語に、けれど心はその先へ先へと向かうがごとく開かれていきました。

『スローループ』

扉絵の恋先生、素晴しいな。さて、今回はいつもの皆で屋上でお昼。恋のお弁当のおかずをわけてもらうイベントが発生してるんですが、うきうきそわそわしながら卵焼きをもらうひよりの様子に、咲良さん、なにか思うところがおありのようですよ。

今回は釣りよりも学校の友達との交流メインなのかな、と思ったらさにあらず、これからはじまる釣りへの導入回! なんと、修学旅行の舞台、沖縄にてマグロ釣りをすべく小春が許可を得てきたっていうから大変です。確かに修学旅行とか、自由に行動決められる時間とかあると思うけど、それを使っての船釣りか! 考えるところからそうだけど、それをためらわず行動に移す小春のダイナミックさよ。素晴しいわ。というか、それほどにマグロ釣りに憧れていたの!? 確かに以前そんな話もしてたよね。恋の弟をマグロに見立ててなんかやってたりもしてたよね。

それがまさかこのタイミングで再浮上してくるとは思いもしていませんでした。

で、話題はもうひとつ。甘い卵焼きが好きなひよりさん。恋の作る卵焼きが甘いこと、なぜ知っていたのかという、そのエピソードが後半に語られるんですが、子供のころ、両父に連れられて恋といった渓流釣り。そこでの思い出話、というんですが、全然卵焼きまで辿り着かんじゃん! ポイントの見極めとキャスティングの話しか出てきてないよ!?

しかし幼ない恋とひより、両父じゃないけどめちゃくちゃ可愛いですよね。そしてラストの、内心そっとツッコミ入れてる咲良と美月、話のあらましわかってるからか若干覚悟してる風の恋など、こうしたちょっとしたところも大変に面白かったです。

2023年3月24日金曜日

『まんがタイムきららフォワード』2023年5月号

 『まんがタイムきららフォワード』2023年5月号、発売されました。表紙は『球詠』。キャプテン岡田が真ん中、その左右に藤原、光がごろりとともに芝生に寝転んでいる情景です。3人の身のまわりにはボールが転がったりしていますが、穏やかな雰囲気、春の日射しに照らされている、そんなのどかでなごやかな様子に見ているこちらもつい笑顔を誘われるようなよさ持っています。しかし、藤原の笑顔がなんかいいですね。なんか妙に緩い。味のあるいい表情。のびやかな光も素敵です。

今月は新規ゲストが2本です。

『オンラインゲーム仲間が隣の席の怖い女の子だった話』

同じクラス、隣の席の女の子。いつも険しい顔をしていて、とっつきにくそうな印象のその子が使っていたペンが、自分もやっているオンラインゲームのグッズだったという意外性。まさかこの子も同じゲームやってるの!? 驚いてゲーム内のフレンドに話したことがきっかけで、隣の席の子、黒沢がゲーム内の友達、レッドビーンと判明していくそのくだり。よくあるパターンといっていいのかわからないけれど、それでも定番シチュとなるだけのよさがありました。

でも、読み進めていったらわかるんですが、この時点ですでに黒沢は、ゲーム内の友人、リョータが隣席の白井だと知ってるんですよね。わりと白井は黒沢について酷いこといってるんですけど、それも全部わかってる。それどころか、あえてペンでプレイヤーであること匂わせたりしてたのも、全部が全部、白井に気づかせる、興味を持たせるための振りだったと考える方が自然!

ええ、この状況、常に主導権を握ってるのは黒沢だったって最後にわかるの、すごくよかったです。

オンラインゲームで一緒にプレイしていたフレンドが、実はリアル知りあいでした系のお話はたくさんありますけど、偶然だった、世界は狭いね、みたいな展開もある中、この漫画は、たまたまなんかじゃないよ、むしろ白井のSNSアカウントバレからはじまっていたんだよ! という流れもまたよくって、そうなんですよ、黒沢が白井にコンタクトを取った、最初の最初から情報の格差は存在していて、だからこそゲーム内で仲を深めて、現実でも誤解が解かれて、そしてふたり仲良くなってという動線も納得感高く、読み切りの一話で充分無理なく読ませるものになったと感じています。

クライマックスの、レッドビーンの正体を知った白井の葛藤から、まさかの黒沢からの謝罪も意外性あって面白く読みました。白井も黒沢も、好感持てるキャラクターだったところもとてもよかったです。

『なんだ来てたの』

いい漫画ですね。大学の2年生。すでにはじまっている就職活動にどうにも乗り気になれない堀内綾が、一冊の本をきっかけとして出会った水谷貴子とだんだん友情を深めていくストーリー。最初の出会いこそは、貴子のあまりの強引さに驚かされたものですが、いやね、いくら自分が好きなマイナー作家の本を探している人がいたとしても、自分の大事な場所、隠れ家みたいな書庫にそのまま引き入れるとか、もし綾が悪いやつだったらどうするの!? ほんと、心配したんですが、その後の貴子の言動もろもろ見ていけば、ああ、この人はブレーキがついてない系のオタクだ。自分の思いそのままに突っ走る。そんな貴子が、綾との出会いに、この人は手放してはいけない人だと思ってしまったからこそ、この物語は動き出したんだなと納得させられるものあったのでした。

なんせ、貴子さん、ものすごい。自分の蔵書、読書空間確保するために倉庫一室借りている! 費用、どう捻出しているの!? 書店バイトしてるのはわかってるけど、バイト代で倉庫代賄えるものなの!? もしそれが可能なら、自分もやってみたい!

そんなこと思ってしまうくらい、貴子の行動はオタクにとっての理想形を描いていて、ある意味夢を叶えたオタクですよね。かくありたい。だが、現実には難しい。だからこその、貴子の生き方、そして綾との関係の深め方には、あたかも美しい夢がそのままかたちを成したかのような魅惑があったのだと思うのです。

自分の理想的な空間。わかりあえる、感性の近い友人。自分の大切にしている価値を認めてくれる誰かがいて、時にともに語りあい、時に同じ場所でそれぞれ違う本を手に自分の時間を過ごしている。この距離感の心地よさが伝わる。それだけに、こうした関係を望ましく思う人にとっては、これだ! と膝を打つようなわかっている感がある漫画だと思ったのでした。

そして本がつなぐ関係、本に囲まれたふたりの隠れ家。それが綾に与えたもの。そして綾がこの場に求めたもの。それらが総括された終盤とそこからはじまる彼女の変化。気づき、そして現状を乗り越えていく活力をこの場所から、貴子との関係から得ていたのかも知れませんね。

憂鬱で重苦しい現実から逃避できる場所があってもいい。時に現実に向きあわざるを得ないにしても、疲れたときにはふたたび戻れる場所があるって素晴しい。そうした心の保養地を互いに持つふたりの関係。それはやはり理想形だと、うなづかずにはおられませんでした。

2023年3月23日木曜日

鉄道にっぽん!路線たび

 Nintendo 3DSとWii Uのeショップ閉店を来週に控え、駆け込みでよさそうなソフトを買いまくろう! と思っていたのですが、思わぬ誤算がありまして、私は一足はやくリタイア、ソフト探求の旅は終わりを告げることとなりました。誤算とはなにかといいますと、3DSの容量不足であります。3DSには32GBのmicroSDカードを入れていたのですが、当初は到底使いきれる気のしなかったこの大容量も、ちょっと本気を入れてダウンロードソフトを買うとあっという間に満杯になってしまいました。というか、『鉄道にっぽん!路線たび』が悪い! 各ソフト6,380円がまさかの100円、6,280円引きという暴挙に出ている。どんなゲームか知らないけれど100円ならどんな出来でも腹は立つまい。必要容量を確認したら、4862ブロック以上。5千として7本で3万5千ブロック。残り5万ブロックはあるな、と思ったのが大きな勘違い。ええ、この前提が間違っていたんです。

私が確認したのは「叡山電車編」だったんですよ。なんせ京都生まれ京都育ちですから、鉄道をずらりと並べられたらどうしても身近で馴染みのあるのを開いちゃうじゃないですか。それで必要容量5千弱。確認もせず、他の鉄道も同じくらいと思い込んでしまったのが運の尽き。

実際に購入して、「長良川鉄道編」のダウンロードを開始した時に、あ、これはやばいと気づいたんです。長良川鉄道の必要容量、13011ブロック以上! やばい。初っ端から1万超えてきた! これ、ちゃんと全部ダウンロードできるのか? たまたま長良川鉄道だけ大きいとかだといいのだけれど……。

わずかな希望は続く鹿島臨海鉄道に打ち砕かれて、鹿島臨海鉄道、必要容量14801ブロック以上!

もっとデカくなった!

やばい、これはやばい。たまたま叡山電車だけ小さかったのか。この調子でどんどんデカくなっていくとダウンロードできないぞ。せっかく買ったのに、遊ぶこともなくなにかしらを削除しないといけない、ダウンロードしないままに諦めないといけない。

いや、それは嫌だな。消すなら『THE 歩兵』かと思うも、そんなに大きなゲームじゃないからなんの足しにもならないよ!

続く近江鉄道も1万ブロックを超えました。けれど、ゆいレールは路線も短いからきっと容量も小さいはず! 頼む、叡山電車以下であってくれ! と願うも、まさかの6290ブロック以上!

ここでほぼ絶望でした。まさか、容量見積りに使った叡山電車がシリーズ最小容量だったなんて思いもしていませんでしたよ。この後、無事上毛電気鉄道も1万ブロックを超え、最後の会津鉄道で容量不足を告げられダウンロード不可となりました。

でも、運がよかった。消せるソフトがあったんですよ。

それは体験版! 3DSの体験版は起動回数が30回に設定されているから、記念や思い出目的で残しておく以外に意味がないんです。ある意味、思いきりよくすっぱりと削除できるわけでして、脱出アドベンチャーシリーズの体験版を全削除。『メイド イン ワリオ』の体験版も削除。さらに『毛糸のカービィ』、『名探偵ピカチュウ』の体験版を削除して、ようやく『鉄道にっぽん!路線たび』全7本のダウンロードがかないました。

いや、ほんと、ラッキーでしたよ。とりあえずこれで購入したソフトは全部ダウンロード完了。後は遊ぶだけという状況。microSDの残容量は1500ブロックほどあるので(まだ消せる体験版が2本ほどある)、セーブデータ作るのに必要な容量くらいは充分確保できてるだろう。

ほんと一安心です。

『鉄道にっぽん!路線たび』はまだ起動さえしていませんが、ざっと見てみれば評判もよい模様。遊ぶ日を楽しみにしています。

2023年3月22日水曜日

今日は休みます

今日は休みます。

2023年3月21日火曜日

Fish Eyes 3D

 Nintendo 3DSとWii U向けのeショップが来週にもサービス終了してしまう! ということで駆け込みで、これは買っとこう! というゲームを探しては買っているのですが、こういう時にありがたいのが閉店目前セール。これだ! という決め手がなくとも、あ、こんなゲームがあったんだ、しかもこんなに安くなってるんだと、ほいほい、ついつい買ってしまう。そんなサイクルに入ってしまっているのです。

さて、これまでもたびたび行われていたセールで、気にはしていたけど買わずにいたゲーム、『Fish Eyes 3D』を買ってしまいました。これまで買わなかったのは、釣りなら『Real VR Fishing』があるからなあ。いくら3DSの立体表示に対応しているとはいっても、VRゴーグル内で展開される全天映像に比べれば、小さな画面、小窓から覗く景色は迫力に欠けるといわざるを得ないでしょう。

でも、『Real VR Fishing』が気にいっているといっても、さすがに遊びすぎたといいますか、最高難度にしても難しくなくなってしまって、またどの魚がヒットしてもあまり違いがないものだからちょっと単調に感じてしまってることもあり、違う釣りゲームで遊んでみてもいいかもなんて思っていたのです。

ということから、試してみる気になった『Fish Eyes 3D』。実際遊んでみると、かなり面白かったです。とはいえ、自分が知ってるのは現実の釣りではなく『Real VR Fishing』というゲームでしかないので、『Fish Eyes 3D』が表現している釣りがどれくらい本当らしいかはわかりません。ですが、『Real VR Fishing』ではあまり感じることのできない魚の元気さというのがこのゲームではより強く表現されていて新鮮な感覚がありました。

針がかかってすぐは引きも強く、かなり暴れる魚が、ラインを切られないよう巻いて緩めてを繰り返しているうちにバテてきて、あまり引かなくなってくる。そうやって魚を御していく感覚は『Real VR Fishing』にはなく、同じ釣りを題材としたゲームでもアプローチや表現の方向性はこうも違ってくるんだなと思わされました。

釣り場はまだ5つくらいしか開放できていませんが、滝があるステージもあって、ということは水の落ち込む場所とかには魚が集まりやすいとか、あるいはあの右手にある影になってるところにも!? みたいに思ってわくわくしていたんですが、どうも他の人のレビューを見てみると、そういうギミックはないみたいです……。

このゲームにはクエストがあって、特定の魚を釣ってこいみたいな課題が与えられるんです。魚種ごとの好みにあわせてタックルを変えることで魚の釣りわけもできるんですが、どうせならそこに加えて、魚によって違う集まりやすい場所を選んで狙うみたいなのもできればより面白かったり、あるいは本当の釣りっぽくなったりしたんじゃないかなあ、みたいなことを思いました。

とりあえず今はセールで1,935円が480円。ただし、22日、明日の午前9時59分まで。興味のある人にこのセールの情報が届けばいいなと思います。

2023年3月20日月曜日

『まんがタイムきららMAX』2023年5月号

 『まんがタイムきららMAX』2023年5月号、昨日の続きです。

『リリカお嬢様に振り回される!』

アルールが太ったと思ったら、こっちでは永野が太ってる!

リリカの気まぐれで、せっかく買ってきたケーキが無駄に!? このままじゃ全廃棄になってしまう、ということで責任を持って全部ひとりで処理してみたら、見事に太ってしまいました。

というんですが、人相まで変わってしまっとらん!? ふくよかになったねとかいうレベルでない。あの愛らしかった永野はどこに!? と戸惑うほどの太り方してしまって、ああ、このままではいけないと永野のダイエットがはじまります。

間食を我慢してランニングにいそしむ永野がその途中で出会ったマイちゃん。スリムでキレイ、いや実際、この2段抜きの立ち絵、めちゃくちゃ可愛いんですけど、やせる秘訣など教わってみればですよ、貧乏だからと返ってくるわびしさ! いや、こうなる予感はしてました。

で、まさかここから昆虫食に話題が移って、さすがマイちゃん。マイちゃんといえば昆虫食。永野はこの子と一緒に虫とりするはめになって、ああ、永野も昆虫食デビューか! とわくわくしてたら、さすがに遠慮しましたか。しかし、永野は虫とりでカロリー消費、マイちゃんは食料調達と、ふたりともに恩恵のあるこの理想的関係! この虫とりが縁で、ふたりの関係もより深まったのでは!? と思ったら、ああ、ふたり抱きしめあって、なんと素晴しい関係でしょう。さらなる発展を願う気持ちでいっぱいになりました。

さて、今回の落ちですよ。途中途中で描かれたリリカの行動。ああ、これはリリカが太るなと思ってたら、やっぱり案の定そのとおりの結果となって、いやしかし、リリカも見る影なくなっちゃったな! あの愛らしかったリリカはどこに!? と戸惑うほどの太り方しています。

『ギャルとネクラの吸血関係』

ヴァンパイアハンターの出現をきっかけに、いよねの家に生活拠点を移したまくる。仕事で不在がちな親に代わって家事にいそしむいよねに依存しそうな勢いなんですが、悪いことに肝心のいよねが体調不良でダウン! 触れてみれば発熱している模様。

困った挙句、姉に助けを求めるのですが、姉はまくるよりいろいろこなれてますよね。特に慌てることもなく、風邪だろうと。寝てれば治るだろうとアドバイスしてくれて、かくしてまくるの看病が始まるのですが、いろいろ不安がありますよね。この子、常識ないものなあ。

風邪の対処法をネットに求めるまではいいのだけど、身体を冷やしましょうというアドバイス、まさか水をぶっかけたりしないよね!? めちゃくちゃ心配したものの、よかった添い寝だった! けれどまったく効果は得られず、ここで無力感に苛まれるまくるの様子、切なげでたいへんよかったです。

自分がいよねにできることはなんなのか。考えあぐねて、まさかのヴァンパイアハンター、アクアに助けを求めるという暴挙に! 危険を押して天敵ともいえる相手のもとに駆け込んだその献身的態度には切実さ感じさせられて、この子の本気の度合いもわかろうものですが、でもアクアはアクアで非常識というか、本当に頼って大丈夫なのかな!?

いやもういよねもまくるも心配になる展開。アクアが頼りになるのかどうなのか。そこも気になるところです。

2023年3月19日日曜日

『まんがタイムきららMAX』2023年5月号

 『まんがタイムきららMAX』2023年5月号、昨日の続きです。

『瑠東さんには敵いません!』

高永先輩は本当に言葉のチョイスが駄目ですね! 瑠東と和村、ふたりを前にして、唐突に瑠東のこと好きじゃない宣言ですよ。さすがにショックを受ける瑠東。いったいどういうこと!? と思ったら、文美から瑠東ファンと思われて懐かれている。けど本当は瑠東ファンじゃない、というのを高永流に表現すると、瑠東のこと好きじゃない。

語弊がありすぎやしませんか!?

高永にとって瑠東は、自慢のかわいい後輩なのだそう。このへん厳密な区分がありそうで、けどなかなか他人にはわかってもらえなさそう。

ともあれ、このことを文美に告げようにも瑠東のこととなるとテンションがものすごくなってしまってどうにもいい出せない。なので瑠東と和村に相談したってわけなんですが、残念ながら解決は見ませんでした。どころか、文美の熱量のものすごさを再確認させられたって感じですよね。

高永の気にしてること。文美の自分に向けてくれる視線、笑顔、それが失われるのではないか、そういう不安があるっぽい? また、瑠東の話をする時の文美の笑顔。自分を前にしながらも、その笑顔が向けられてるのは瑠東になんだ。そう気づいてもやもや? でも、文美にとって高永も特別だということが示されたあの瞬間。高永の世界はちょっと変わったのかも知れませんね。

でも、ほんと、文美ちゃん、めちゃくちゃいい笑顔。ずっと可愛かった。ものすごい可愛かった。いやほんと、高永がよろめくその気持ちもわかろうものです。

『コンビニ夜勤のあくまちゃん』

季節は秋。秋というとスポーツだ読書だ食欲だといろいろあるわけですが、コンビニとしては季節限定商品の秋!? 秋スイーツがどかんと展開されて、今年の秋はさつまいもづくし!? からの、大量に入荷してくる新商品!

これ、全部売らなあかんの? 多田の誤発注を売り切ってきたの、全部販売実績としてカウントされてるんだ。そのせいでどばどばどばどば発注させられる。やばい。これいつかショートするやつだ。いくらなんでも無茶すぎるやつです。

秋スイーツをはやく食べたいと気もそぞろな多田にアルール。売り切れないだろうかと心配するも、バックヤードには尋常でない量の在庫が! あの、信じられないほどの在庫ってのを復唱するところ、めちゃくちゃ面白かった。ほんと、めちゃくちゃな量、仕入れさせられてるんだな。

今回はこれをいかに売り切るか、みたいな話にはならないんですね。むしろ売り切るのは規定路線だからな。ということで、漫画の参考、資料にと、ねねから資金提供受けた多田とアルールが新作スイーツを食べまくるという展開になるんですが、ああ、これは太るな。そう思ったら案の定だ! アルールはモチ度があがった感ですが、多田はなんかやばい雰囲気があるな。ほんと、なんだかんだ悪魔なので人とは違う方法でウエイトコントロールできてしまうアルールと違い、多田は一朝一夕に痩せるとか無理なわけです。服のボタンも飛ぶほどの太りよう。仕事終わりにジムに寄るとかいっちゃいまして、いや、それ、死にかねない案件なの!?

いやほんと、コンビニの闇もちらほら織り交ぜながらの、天高く多田肥ゆる秋。これもまた季節の風物詩でありますね。

『ぬるめた』

さきなが書いた小説、こごめに読ませたら散々だった。シブい? 地味? きっとこれ、情緒とか人間模様とか、そういうのに欠けるタイプの文章なんだな。あるいは才走りすぎてるとか、そういうのんかも知れん。

これまでずっとちあきからは好評だったもんだから、あまりの不評に納得いかないさきな。他の皆はどんな感想持つのだろうと、次々読ませてみては不評に苦しむ、その様子や面白く、いやほんと、人によって興味の向き先も違えば着眼点も変わってくるというの、しっかりばっちりわかっちゃって、これ、さきなの小説の感想を通じて皆の個性やらが浮き上がってくる面白さありました。

そしてついには村川にまで読ませることとなり、真摯にしっかり読む子だなあ! でも感想より以前に、一緒に文芸部に入らないかと誘われて! さあ入るのかどうなのか? と思うまでもなく、さきなはそういうの嫌だよねー! ですよねー! といった落ち。その場にいた村川、ちあき、ふたりともにその感情ありありと理解してるのもまた面白かったです。

ええ、今回は顔に出るさきなの感情もろもろ、そのバリエーションこそがテーマだったんでしょうね。

2023年3月18日土曜日

『まんがタイムきららMAX』2023年5月号

 『まんがタイムきららMAX』2023年5月号、昨日の続きです。

『マグロちゃんは食べられたい!』

人の姿になったマグロたちと人間との交流、その心情が描かれて魅力的と感じています。

今回はさしみとクロマグロの日常生活。眠らないといわれるマグロなのに、ぐーたら朝寝を決め込んでるクロマグロ。人とマグロの立場を適宜使い分けるところ、いいですよね。したたか、屁理屈、微笑ましいんだけど、いざ自分がされたら腹立つやつ! さしみさんは大人ですよね。あきれながらも怒ったりはしない。しっかり起こして、おやつをエサに家事にチャレンジさせることに成功するんですよ。

炊事洗濯掃除。さしみと一緒にクロマグロも分担するのですが、掃除は体力もたない、洗濯はおやつのアジを日乾し。しかも取り込んでからの片づけは、うまくおだててさしみにやらせるの。ええ、クロマグロはやっぱりしたたか、策士の印象です。

家庭菜園に出掛けて、さしみ一家の作物に対する姿勢に魚だった頃の自分を育ててくれていた飼育員のこと思い出したり、そしてさらには、魚だったころは考えもしなかった可能性に思いをいたすラストなど、細やかな情緒が感じられて大変よかったです。

厳密かちこちのさしみと、緩く鷹揚なクロマグロ。ふたりの性格、バランスとれて相性すごくいいですよね。魅惑のふたりです。

『ラスボスは逃げ出した▽』

魔王城の面々、普通に街に出てバイトやらなんやらやっとんのか。パン屋で働く妖狐。八百屋で価格交渉している魔王。財政難ゆえの苦肉の策というのですが、こんなに普通にふらふら出歩いていて大丈夫なんかな。ほら、こうして勇者と出食わして、これ結構なピンチでは?

と思ったら、魔物にさらわれてしもうとるやん! 同行している堕天使は注意散漫でまるで役に立たないし、魔王を助けるべく魔物を追う勇者という、実にわけわからん状況が生じてほんとこの漫画の魔王と勇者は不思議な関係です。

最初はですね、魔王がさらわれるの、いわゆる狂言誘拐、しめしあわせた上でのことなのかと思ったりしたのですが、どうもそうではないようですね。勇者を排除するため、罠へと誘き出すために子供をさらった。って、これ魔王誘拐が目的じゃないどころか、さらったのが魔王だってことに気づいてない可能性あるよね!?

策があたって勇者を追い詰めることに成功した襲撃者たち。でも魔王をさらったのが運の尽きというか、本気の妖狐を引き寄せることになってしまった! 魔法封印領域内なのにかまわず狐火を放ってきたの、それ魔術じゃなく妖術だから封印無効だったりするの!?

ともあれ、次回はガチ戦闘が期待されますね! でもってこの事件が魔王側と勇者の和解なり歩み寄りなりのきっかけとなるかも知れませんね。

『エイティエイトを2でわって』

連載にあたり、『ニブンノハチジュウハチ』からタイトルが変わりました。

ピアノの縁で結ばれた寮生4人のお話。決してうまくはないけれどピアノが大好き美弦と、挫折以来ピアノから離れていた奏のふたりを軸に、楽器経験豊富なゆずと楽器未経験だった来夢を加えた4人組。ピアノの楽しさだけでなく、苦しさつらさなんかも描かれることになったりするのかな? と思いながらも、作者の持ち味、やたら個性的なキャラクターのおかしな振る舞いにすっかり引き込まれてしまって、ゲスト掲載時からすっかり魅了されています。

さて今回は、つまらない基礎練習はサボっちゃう美弦に対し、厳しく指導を入れる奏さんですよ。指の練習は? っていうとこの奏、こわいよねえ! けどそこからのふたりのやりとり、なんだかんだ面白くて、ごほうびシールで釣ろうとする奏がお母さんみたいになっとるよ?

また気になったのが、奏がピアノに触れた時の描写。この子、挫折以来やる気を失ったどころか、ピアノを弾くこと自体に恐怖を感じてしまっているのか。自分でも意識していなかった変化。鍵盤に触れようとすると指が震えだす。

一瞬の戸惑いの後に、凄まじい圧でもって美弦との連弾に持ち込んだ奏。ナイスリカバー! ではあるのだけど、奏の異変や一体!? さすがに異常に気づいた奏、これ、後々まで残るテーマになっていきそうですね。