『まんがタイムきららキャラット』2020年10月号、昨日の続きです。
『アニマエール!』
いい最終回だったと思います。これまで誰かを応援したいという気持ちを大切に取り組んできたこはねたちのチア。その活動が、思いが、こんなにも多くの人を結びつけて、ここに実を結ばせた。
明日体育館が全面使えるから大会用のプログラムを記録しよう。部活激戦区の体育館がまるまるあいているという不自然。これ、たまたまなんかではなく、これまでチア部に応援されてきた皆が、今こそそのお返しをする時と、示しあわせて場所を提供してくれたんですね。
おひろめ会の横断幕まで用意して、チア部のくるのを待っていてくれた。応援された、その気持ちが、今ここにチア部を応援したいという気持ちになって返ってきたというのが嬉しくて、この子たちにとっては、大会で結果を出すよりももっと価値のある成果であったのではないかなんて思わされて、ええ、いい最終回でしたよ。これまでの、誰かのためにという気持ちが、まわりまわって自分たちを支えてくれるにいたった。その皆への感謝の気持ちと、よりふくらんでいくチアへの思い。広がりある、そんないい終わり方だったと思ったのでした。
『あやしびと』
自分がすでに人ではないと知ったアヤ。その翌日、ふたたび校長にあって、気になっているということを聞いてみるんですね。人間の世界で知られる妖怪たち。誰がその存在を人に知らせたのか。そこから、アヤにとってひとつの希望となりうる情報を得るためのやり取り、退屈そうな風でいて、突如核心に迫るべく校長にくいついていくサカサがすごい。相手の気持ちまでは読めないものの、相手の言葉の真偽を見抜くことができる。その能力をもって、校長の巧妙に濁している事実を引き出していくくだり、実にスリリング。でもって、サカサのアヤに対する気持ちのまっすぐにあらわされるそのシリアスさ。素晴しかったです。
しかし、この展開も校長の掌の上なのか。というか、そういうことも見抜けちゃうんだね、サカサ。そしてここからちょこちょこいじられていくサカサ、その可愛さが実によかったです。ダイレクトにほめられたり感謝されたりするとここまで照れるのか。ほんと、皆が皆、いやみぞれだけノーダメージだけど、ちょっと気恥ずかしい思いをした今回の騒動。でも、この気恥ずかしさもまたいい経験だと思わされた好エピソードでした。
『またぞろ。』
中間試験を翌週にひかえ、緊張を隠せない一年生の教室です。そんな中、余裕を見せているのが留年組。一年生にとってははじめての高校のテストだが自分たちは昨年すでに経験している! と思ったら、あれーっ!? 去年一度も受けてないのん? こと、一学期の中間試験の時期にはすでに不登校だったのか。結構なハードモードだな。とりあえず2周目のアドバンテージがないってのはことにとってはかなりまずそう。いや、普通どおりといえば普通どおりか。でも、ただでさえ留年を気にしているこの子ですよ、余計に気に病みそうで心配です。
というか、 留年組も3人いるし、仲良くしてる非留年生もいるし、それなりに乗り越えていけそうなんですけどね、と思ったら、さっそく自尊心削られたりして、ほんと、あの見る見る表情を失っていくところなど、いやはや心配心配。先生も気にしてくれているわけですが、うん、心配になる気持ちもわかります。
メインの4人以外の一年生との交流もちらほら描かれたところ。これ、部活組がテストで暇ができたからこその光景なのか。こうやっていろんな人とのやりとり見られるの面白いので、またいろいろ見せてもらえると嬉しいです。
『しずねちゃんは今日も眠れない』
しずねの部屋に居着いているマシュマロおばけさん(仮)。夜寝る時にしずねのベッドに、ねねと黒うさも入り込むもんだから、ベッドはぎゅうぎゅう詰め。なんとか快適な睡眠をと考えたしずねのアイデア、ふたりにぬいぐるみに戻ってもらうってわけですか。というか、これが本来の姿だよな。ぬいぐるみ2体に挟まれて眠るしずねの怪しげな笑い。なるほど、こうしてまた眠れなかったりするんでしょうか。
今回は、しずねとしずね母が出掛けた留守宅での抱き枕たちの過ごし方が描かれまして、自堕落なのかな? 好き放題なのかな? と思ったら、しずねの快眠のために部屋の掃除をしてくれていたりと想像以上に献身的。でも、それなりに自分たちの楽しみも追求していて、リビングでテレビ見たりね、そしてそのまま眠ってしまったりと、この危機意識のなさ! でも、このふわふわこそが彼女らの持ち味でありますよね。その分、しずねがしっかり注意してくれているから安心なんですが、でもそう遠くないうちにバレそうな予感もしますよね。
- 『まんがタイムきららキャラット』第16巻第10号(2020年10月号)