2020年8月22日土曜日

『まんがタイムきららMAX』2020年10月号

 『まんがタイムきららMAX』2020年10月号、昨日の続きです。

『旅する海とアトリエ』

中間ポイントですね。りえが日本に帰ると聞いて自分も帰国すると決めた海。自分自身を振り返るきっかけができたんですね。写真の海を見つけることができればきっとなにかが得られる、そう思っていたけれど、実際には違うのではないか。むしろ今なにも持たず、なにも知らずにいる自分自身について気づかされることとなって、ああ、海にとってこの旅は自分という人間を知るための大切な機会と時間になっていたのですね。訪れた街、出会った人たち。そして経験したできごと。それらが海に多くを語りかけていた。私はその語りかけに応えるなにかを手にしていない……。

海は、そう思ったのかも知れませんね。

いつも明るく、能天気でさえある海の内心のモノローグが沁みる。そんな回になりました。そしてふたりは日本の地を踏み、空港でお別れ。しばらくは、それぞれひとり自分の時間を過ごすことになるのでしょう。その時間が育むもの、それはなんなのか……、なんてしみじみ思ってたら、あれー!? なんか思いがけないことになっとるよ!?

エマとマリア? あれ? 日本で落ち合う約束とかしとったっけ!? 驚く海と、海の様子に疑問感じてるエマ、マリア。その反応の違いに、え!? どういうこと!? 私もまた驚きでありますよ。

『社畜さんと家出少女』

おおう、タイムリーな時事ネタかと思って警戒しちゃいました。ナルさん、体調不良ですよ。悪酔いしたっていうんです。でも、今は飲んでないですよね? 真っ赤な顔したナルの体温計ってみたら、あれまあ、熱があるではありませんか。この人、発熱あって、くらくらしてと、そんな症状出ればすぐさま悪酔い、ふつか酔いを疑うっていうの、どんだけ酒に親しんでいるのでしょう。

冷蔵庫の臭いに苦しむアイス枕のくだり。あれ、面白かったですよ。というのも、暑さに耐えるため夏場はアイス枕使ってるんですが、冷蔵庫臭いといって毎年使いはじめはヘコむんですよね。まあ、自分は体調に問題ないからいいものの、これが風邪だのなんだので弱ってるときなら、なおさらの打撃でありますよ。うん、ナルさん、その苦しむ気持ちはよくわかる。

弱ってるナルと、かいがいしく看病するユキ。ひとり苦しんでるナルを見過ごせなかったか、ぬいぐるみのキューちゃんをそっと添い寝させるところ、あれよかったなあ。弱ってはじめて素直に出せる感情もあるのでしょうか。ユキの手を求めて眠るナルのその心情やいかに。この人の、誰かを、ユキを頼りにしたい、そんな気持ちなど感じとれるように思われたのですね。

『ななどなどなど』

小町ちゃんがえらいことに……。最近、ずっと美少女度高めだったのに、今回はすっかりこの世のものではなくなってしまっていて、そうか、そうですか、球技大会にプール、リア充イベントが小町の生命のエネルギーを消費させつくしてしまいましたか。でも、この気持ちはわかる気がする。自分も自宅にこもる、休息? 充電? そんな時間が必要なタイプ。きっと小町もそうなんでしょうなあ。

と思ったら、るるもこの世のものではなくなってるし! ほうほう、全種コンプリートしていたカード、イベント限定品を取り逃がしてしまいましたか。わかる。めっちゃわかる。これ、ヘコむだろうなあ。自分も今やってるゲーム、コンプリート状態を維持してるのですが、もし復刻なしイベントとかの限定ユニット取り逃がしたりしたら立ち直れないかも知らん。うん、このるるの深い失望? 落胆? これは共感できるって人、多いのではないでしょうか。

さて、今回、皆でゲームをやりますよ。MMORPG。いろいろゆがんでる小町ちゃんの発想は置いておいて、オンラインだとやたら活発になる小町、るるペアが素晴しい。でもって小町を置き去りにしてしまうるる、それから萌もか、ふたりの熱中度? 入れ込みようがすごい。というか、小町ちゃん、ゲームとかやっても金で解決したいタイプ、スキル高めたり周回したりあくせくするのは嫌って感じなんですね。うん、いろんなプレイスタイルがあっていいと思うんですよ。だから小町ちゃんも元気になってほしい。

今回のエピソード。ただ皆で一緒にオンラインゲームして遊ぶだけかと思いきや、けっこう重要なイベントだったりしますよね。萌にしてもるるにしても、この人たちのことなにも知らないって小町が気づくんです。これ、ふたりのことをもっと知りたい、そんな気持ちに繋がるんでしょうか。距離を縮めたい。もっとより深く知り合いたい、そんなことになれば素敵だなって思ったんですね。

ああ、そうそう。やたら貢がれてるruru*さん。名前から女の子と思われて……、みたいなこと描かれてましたけど、姫貴族は、これ、絶対中身おっさんだと思われてるな! その自意識の見え隠れするところ、ちょっと遠巻きにされているんじゃ? なんて思われて、だとしたらMMOの世界も小町ちゃんには軽くハードモードなんかも知れませんね。うん、小町ちゃん、強く生きて……。

『妖こそ怪異戸籍課』

妖怪の戸籍を管理する怪異戸籍課で働く山本睦子。この仕事の難しさが描かれた今回。だってのっぺらぼうの見分けとか、なんというハードミッションなのか……。体つきとか雰囲気とか、あと声? そういうので見分けたらいいんですかね? 目鼻がついてても判別あやしい自分のような人間には、到底つとまらない仕事なのではないか。そんなこと思わされる導入でした。

今回は大きな事件などは起こらず、怪異戸籍課の仕事について、ざっくり知らせてくれる。そんな雰囲気ありました。なんといいますか、お仕事日常回みたいな感じ。昼食につらら女のお店にいくんですが、なるほど、この店、熱いメニューがないのか。基本、麺類のお店なのかな? そばもうどんも冷たいメニューに変更されるというの、うん、夏じゃなきゃきつい。冬場は確かに不入りになりますな。こうした妖怪の性質によって生じる大変さ? 生き方のスタイルみたいにいってもいいのかな、そういうの描くことで、彼らの暮らしぶりや個性の現れよう、そうしたものが見えてくるの、面白くて魅力的と感じます。

そして、そうした妖怪たちの暮らしを支える戸籍課の仕事。睦子への感謝などなど、そうしたものも描かれて、ええ、仕事で失敗してヘコんでた睦子ですけど、こうして報われることがあるというの、実にいいなあって思ったのでした。仕事と人と社会、それらが関わりあい、繋がりができることで生まれたり、動いたりするものがあるということ、それがなによりの魅力になっていると感じる漫画です。

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