『まんがタイムきららフォワード』2020年10月号、昨日の続きです。
『ちょっといっぱい!』
これ、ちょっとしたカオス回ですね。エリカがバイト仲間に加わり、これまでにないテンション、これまでにない展開が見られるようになった。きっと今回もエリカがなにかやらかすんだな……、とか思ってたら、違いました、やらかしたの真澄でした。これも現実逃避の一環なのでしょうか。高校生たちに触れて、自分も高校生になりたいと。そういって制服持ってきて着てるっていうんですよ!
めちゃくちゃなハイテンション! けど困ったな、めちゃくちゃ可愛いな。わりと乱暴狼藉、結構なやりたい放題。ここで明かされる真澄と店長の長いつきあい。ということは、人に知られたくないようなこと、いわゆる黒歴史も熟知している仲というわけで、店長の隠したい過去をバラすぞと脅して、無理矢理に中学の頃の制服を店長に着せるっていうんだから真澄さんったらもう鬼畜。さすがの店長も涙目、というか、やっぱりサイズに無理がありすぎっすよ!? とか思ったら、真澄にエリカが超のつくくらいのハイテンションだーっ!
なんだろう。今回、いつにないカオス回だったと思う。
けれどこの騒動。ちゆりの制服から、自分の意思をもって将来を選んでいこうという話に展開していったところ、さすがだと思いました。なにかね、やりたい放題真澄さんの笑顔が安心させてくれる、そんなところあって、ええ、やっぱり人生の先輩として見せられるもの、語れるものがあるのだなって思ったりなんかして、いやわりと反面教師だったりする? ともあれ、この年長者ふたりの辿ってきただろう道のり、それがこれから将来に向けて歩みを進める若い人たちに感じさせるものあるというの、いいなあって思えるもの多々ありましたよ。
『スローループ』
ちょっとした番外編ですね。今回はひよりたちから離れて、大人組? 宮野楓と一花がカワハギを釣りにいくっていうショートエピソードだったのですが、気の置けない仲? それだけにちょっとずけずけいっちゃうみたいな距離感が新鮮? 面白くて、釣り人の習性みたいにいわれていたマウントとりたがる? 負けず嫌い? そういう側面を押し出してくるところとか本当におかしかったです。
一緒に釣りして、数で、大きさで相手を上回ろうって躍起になってるのがね、意外なもの見せられた! って感じがあったんです。楓がとりわけそうでしたね。あんなにムキになるって、思いもしない要素でした。
釣りあげたあとは、ふたりで一緒に調理してというのですが、このノーサイド感がまた面白い。おいしいもの食べると気持ちが落ち着く? ふたりしてニコニコしながら食べてるのがすごく魅力的な情景で、さらにはお酒の力ですか? 歴史的和解をしてみせるっていうんですね。
この、仲がいいから競ったり、どこかわかりあってるような様子見せてくれたりというのが面白く、そしてなにか羨ましくも思える関係でありました。
『観音寺睡蓮の苦悩』
前回からの続きだ! 風邪をひいておかしくなった睡蓮。あの事件が椿と紫陽花を仲違いさせてしまっていたというのですか。学校に復帰した睡蓮の前に広がる凄凄とした情景。椿を避ける紫陽花に、紫陽花をこばむ椿ですよ! 自分が引き起こしてしまった事態に怖れおののき、その罪に身をふるわせる睡蓮。というか、このタイミングで煽りにやってくる牡丹がすごいな。でも全然睡蓮にダメージ与えてないのもすごいな。うん、牡丹さんが一生懸命話してるんだから、せめて話だけでも聞いてさしあげて、睡蓮さん?
今回のわりとやりたい放題な感じも面白かったです。なんかいろいろおかしくなってるよね? 途中、睡蓮の絶望が連載を終わらせそうになってしまっていたり、そして睡蓮の介入が椿、紫陽花をふたたびもとのとおりに仲直りさせてめでたしかと思ったら、果てがあの大ゴマからのSSR表示で駄目押しの大ゴマ本性睡蓮か! この勢い? ドライブ感? は、かなりノッて描かれた結果なのではないか、そんな仕上がってる感ありました。
ところで、SSRコマのふたり、椿、紫陽花のカップリングが表紙イラストのそれと逆になってるんですな。おお、おお、リバだ……。ええ、睡蓮さん、いい仕事をなさいました。
『夢喰いメリー』
いやもう、これまでずっと見せられてきた絶望的な状況。なにをやっても白儀「本能」には敵わないのか? 幻界、現界にわかれて白儀と戦うメリー、夢路のふたり。そのふたりがともに白儀「本能」に圧倒されて、まるで攻撃の通らないメリーに、攻撃する暇さえ与えられないままいいように弄ばれる夢路。これ、どこに逆転の目があるのか?
と、そう思ったところに差し挟まれたエンギと由衣の関係を描いた描写。夢魔と人、異なる世界に住まう、そんな存在が今こうしてともにあるということ、それがふたりを強くしているということ、これが続く展開を導くことになろうというのですね。
ふたりの言葉を受けたかのように先を続けるメリーですよ。そうか、これ、白儀「本能」の失策だな。「理性」を失ってるから自身の気持ちの昂り、それを抑えられないのか。自分が徐々に窮地に追い込まれつつあることに気づいていない。いわばその隙をメリーに付け込まれて、あの逆転に繋がった。メリーの渾身の一撃からの乱打、そして人と夢魔のこれからを占うかのような前向きに開かれた言葉。これまでのメリーの経験し積み上げてきたものすべてがここに結実したのだと、そう実感させられた瞬間でした。
そして夢路に託されるキボー。ええ、いよいよ正念場ですね。
- 『まんがタイムきららフォワード』第14巻第10号(2020年10月号)
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