『まんがタイムきららキャラット』2020年10月号、発売されました。表紙は『まちカドまぞく』。魔族と魔法少女、4人が揃っていい表情見せていまして、皆でそろってブイサイン? いえ、数字の2ですよ。TVアニメ『まちカドまぞく』の第2期が制作決定したのだそうですよ。だからせーので指で2を作ってるんですね。しかしにぎやかな表紙。背景が真っ赤なのがすごいですよね。強烈な赤、けれどその赤に負けてない4人が力強いです。
今月は新規ゲストが3本です。
『キャットアンドチョコレート』
理由をつけて学校をサボりたい女子高生、千夜子。気持ちはよくわかる。けれど、この駄目人間まっしぐらの千夜子を正道に戻そうとするものがいたというんですね。猫のにゃー子。長く人に飼われて、ついに人の姿に化けられるようにまでなったというんです。ご主人様思いのいい子なんですが、手厳しさがちらほら垣間見えますな。長年生きて化け猫に進化したんだそうでして、その話を聞いてる千夜子の想像していた進化の図式。ケモがレア度星2で美少女化すると星4にあがるってやつ、こういうの、見せ方含めて面白かったです。
話が展開するにつれて面白みも増していったと感じるのは、千夜子とにゃー子のやりとり、それがどんどんはずみをつけていくからでしょうか。にゃー子がいいですよね。間違いなく千夜子のことを考えてくれていて、でもそれが千夜子にはわずらわしい。なんだかんだと理由つけて楽な方、楽な方へいきたいところが、にゃー子がとにかく手厳しい。ほんと、このにゃー子のキビキビとして、言葉も達者、明るく元気でほがらかな様、とてもいい。目的のためには手段を選ばないところとかもね! 千夜子を逃がさないために首輪つけるとか、人の社会の常識がないからなのかな? そのへんはよくわからないけど、悪気がないというのはよくわかる。善意100%で動いてるにゃー子の魅力がよく感じられたのでした。
『くぅべるちゅうる』
先輩みるくと、自分に自信がいまいち持てないチョコのやりとり。皆には模範的なみるくなのに、チョコ相手となると途端に気持ち悪くなるという。そのみるくの欲望最前面の言動がなかなかに面白い。チョコの肌にさわりたいというの、なぜかと聞いた時の受け答えとかね、語らずにはいられないみたいなそんな切迫した情念の高ぶりみたいなの感じさせたんですね。
チョコが自信をいまいち持てていないというのはもういいましたね。着たいと思った服でも、似合わないんじゃないかって思うと手が出ない。そんなチョコに、なかば無理矢理に白いニーソックスを履かせて、しかも似合ってるといったみるく。みるくは自分の欲望に忠実なだけなのかも知れないけれど、結果的にチョコに自信を与え、好きなものは好きといっていい、その勇気を与えてみせたところ、とてもよかったと思うんです。そして、みるくのチョコに与えた勇気が、真正面からみるくに返ってくるところね。ええ、いい打ち返し。きっかけが与えられて動き出した感情が再びきっかけに帰っていく。いい展開の流れができていたと思います。
『ちぐはぐ*るーむしぇあ』
高校生でルームシェア、ふたりで暮らしてるまひるとあさひ。名前があさひなのに朝起きられないとか、そこもまたちぐはぐなんでしょうか。一緒に暮らして、けれど一緒には起きられない。起こしても起こしても起きてこないあさひに手を焼いて、しかたないからそのままひとりで登校するまひる。なんかここだけ見ると、あさひがどうしようもない子に見えちゃうけど、お昼のお弁当はあさひが用意してるんですね。朝は起きられないので、前日夜に用意してる。その間まひるはなにをしてるかというと、FPSやって遊んでるんですね。
この、ちゃんとしてるようでどこかちゃんとできないふたりの、それもまたちぐはぐなのでしょう。互いにできることをやり、できないことを助けてもらい、でも完全にはサポートしきれてないんだけどさ、でも一緒に暮らすその空気感はなかなかにいい感じ。学校が終わって帰宅する時の会話とかね、一緒に帰ってこれるのっていいね、そんなあさひに、朝は一人で登校だけどね、こういうちょっと皮肉まじりの応答できるのも、ふたりの気の置けない距離感思わせてくれるのです。
そして夜の情景。はやく寝ないといけないなとか、こんな時間にお菓子食べると太るとか、わかっていながらもふたりして楽しいことに流れていっちゃう、その感覚がまた悪くなかった。どうしよっかなあって悩んでるあさひが、駄目なことだってわかってるから、まひるを誘って罪悪感の軽減をはかってるよね! でもってまひるも、その誘いにのって同じく罪悪感を軽減してる! ちょっとした共犯関係、それが魅力的。でもって、きっとあさひは明日も起きられないのでしょう。
- 『まんがタイムきららキャラット』第16巻第10号(2020年10月号)
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