チーちゃんは魔女です。大きな帽子に黒マント。髪をまとめるのはジャック・オー・ランタンときたもんだ。学校ではまゆり、魔法有効利用研究会に所属して、有効利用どころかトラブルばかり引き起こす。けれど自宅、極楽堂では、その丁寧な仕事振りでもって、顧客に愛される薬屋として活躍していているんですね。しかし、そんな彼女がなぜトリガーハッピー? まゆりでは錬金術やら薬品作りやら、あるいは召喚術だとか、そういうのしかやってないし、極楽堂でも薬を作ってばかりいて、どこにもトリガーな要素ないじゃない? そう思っていたら、おお、ちゃんとトリガーハッピー! かくして『トリガーハッピーウィッチ!』、チーのトリガーハッピーぶりを刮目して見よ! なのであります。
キャラクターがいいですよね。ミニマム、もちもちな魔女チーは、元気で明るくて、お年寄りに大人気だし、チーの弟子、メイも、気立てがよくてムチムチで、お年寄りに大人気。チーの狼藉を取り締まる、生徒会長五十嵐五十鈴もその立ち居振る舞いのエレガントさでもって、お年寄りに大人気だっていうんです。それと、もうひとり表紙にいる子がフレンド、ぬいぐるみ使いのモモ。あ、そういえば、五十鈴、表紙、カバー表には登場してない! ああ! 五十鈴の危惧がこうして現実のものになっているのかー!
この漫画、『まんがタイムきららフォワード』で連載されておりまして、連載では当然、もう少し先まで進んでいます。今、こうして頭から読み返してみると、おおー、当初から綿密にいろいろ準備されていたのだなあ、そうしたことがよくわかるんですね。例えば、今一番ホットな彼女、メイがそう。湯気が仕事をするシーンで、彼女のつぶやいたことの意味。また手癖の悪さ、豪胆さなんかも、今から思えば、なるほどなあ、でありました。他にもムラマサの台詞にも、なるほど、そう思わせる要素があるし、他の登場人物についても同じ。ということは、すっかり影が薄くなってしまった五十鈴嬢、彼女のあの因縁感じさせるアレ。今後に期待しちゃっていいんだろうなあ、そう思わされる第1巻でありました。
実際、第1巻は楽しくて面白くて、キャラクターの魅力、そのアクティビティにぐーっと引っぱられて、あれよあれよと楽しく読んじゃう。そうしたところが強くって、けどこのテイストは維持しながらも、より一層に波乱感じさせる、またシリアスな表情も見せたりするこの先の展開を思うと、いよいよああした描写は登場人物のお披露目であり、物語としてはまさしく序盤、いろいろを用意しながらのランディングであったのだなあ、そうした思いを新たにするのでした。そして加えて、序盤であんだけ楽しかったんだから、この先はどれほどのものになるだろう。わくわくさせられるのですね。
といったわけで、『トリガーハッピーウィッチ!』を是非! チーのトリガーハッピーぶりは実に見事なものでありましたよ。
- 流圭原作,ほた。作画『トリガーハッピーウィッチ!』第1巻 (まんがタイムKRコミックス フォワードシリーズ) 東京:芳文社,2014年。
- 以下続刊