2022年6月27日月曜日

『まんがタイムオリジナル』2022年8月号

 『まんがタイムオリジナル』2022年8月号、発売されました。表紙は『ラディカル・ホスピタル』。テーマは、もはや夏、ならばカレー! といった具合で、カレー一色でありますよ。山下さんは、大きなナンを手にして本格的なカレー。『小森さんは断れない!』しゅりは、サリー姿で大きなカレーライスを運んできてくれるところです。ウェイトレスというと『ミッドナイトレストラン7to7』織作も、本業ですよね!? ライスとソースポットを運んできてくれています。そして『らいか・デイズ』らいかは、カレーパン食べてしあわせそう。この表情、なんともいえないよさありますね。

今月は新規ゲストが1本です。

『貧乏神はポイ活中』

ポイ活? ということは、ポイントを集めてるってことですか。運の悪さに見舞われ続ける主人公、井上のもとにやってきた貧乏神。徳を溜めれば福の神になれる、というので業にまとわりつかれる井上の願いを叶えるべく、わざわざ出向いてきてくれた。というけど、井上の願いって、浮気されて罪なすりつけられて結果別れることになった相手への恨みを晴らしたい、ですよ?

ともあれ、婚約者と別れてからは不運続き。あまりのことに、貧乏神から見ても不自然、なにか悪いものに憑かれているのでは? といわれる始末。その不幸の源がなにかまでは明かされなかったものの、押し掛け押し売り貧乏神に、心底人の世を呪っている井上と、どう見ても双方ともに自分本位。決して円満とはいえないふたりの関係が、これからどうなるのか。そもそも継続するのか、そうした不穏なスタート。序盤はなかなかに足取りも重くなりそうです。

『となりのフィギュア原型師』

めっちゃいい話……。

次のおこめ代表の対戦相手は、バーチャル原型師のえにぐまちゃん。人前に正体を明かさない、メーカー担当者ですら実在の確認ができてないとかゆうてますけど、大丈夫なんか!? モデラーの世界ではわりとこれで普通なんか!?

この原型師対決イベントの開始時、紹介されたえにぐまちゃんを見て、なるほど、中身はおっさんだな! あの黒子が中身だな! いや、だって、そう思うじゃないですか! みんなもそうでしょう? 絶対そう思いましたよね?

それが全然違っていて、しかもこれ、すごくいい話では? えにぐまちゃんの中身は、早蕨にお、部屋から出られなくなった女の子。そんな妹のために、3Dモデリングという可能性を与え、原型師としてのキャリアをスタートさせるきっかけを作った兄。なんだよ、黒子、めちゃくちゃいいヤツじゃん……。自分のプライベートもなげうって、妹のために奔走してるんだ。そしてまた妹は、そんな兄への感謝を抱き、期待に応えるべく原型制作に情熱を燃やす。

この兄妹の関係が終始素晴しかった。僅差でおこめに及ばなかったえにぐまちゃん。しかしその負けを受けてなお妹を励ます兄、ネガティブになりがちな妹を鼓舞すべく、あえてポジティブに徹するの兄の愛よ! そしてこの負けが、部屋から出ることのできなくなっていた妹に、外へ出る勇気を与えたという流れ。もう泣く。よほど悔しかったのだろう。そして同時に、自分を上回ったおこめの原型、その出来、技術に対する興味、ひいては向上心が背を押したのだろう。

原型展示会場でのあの情景もまた素晴しかった。今回、解説役のモブだといわれてた半藤が、ここにきていい仕事をしましたね。えにぐまちゃんの原型に惜しみなく賞賛をおくる半藤。その言葉に、驚きと感動と満足と自信を得るにお。この知らずかわされたやりとり、ここにも救いがあって、本当にこのエピソードは素晴しかった。うつむきうずくまっていたにおに、ふたたび広い世界を取り戻させるきっかけとなったこのイベント。最高だったと思います。

『おしかけツインテール』

花梨のプチ家出、その余波、学校編でありますよ。一日ぶりに登校した花梨。たった一日の欠席、母が病欠の連絡をしてくれていたおかげで特に波風たつこともなかったのだけど、それでも友人たちの話題についていけない。この感覚を俊郎、理解して思いやっているのが印象的。俊郎にもこうした経験があるのでしょうか。そしてこの感覚を俯瞰的にとらえている様子など、この人もまた立派な大人、しっかりした保護者なんだと思わせてくれたのでした。

今回の重大トピックは由利でしょうか。テストで92点! 花梨と同点! やればできる! まさしく、女子一日会わざれば刮目して見よ! ですよ。

人も状況も刻々と変化していくこと。自分がいなくても、なにごともなくまわっていくこと。そうした事実が花梨に突きつける思い。でもその寂しさをごまかして飲み込んでしまうのではなく、素直に口にできた花梨、わがままだっていってますけど、これ、花梨の成長でもあるのだと思います。自分のわだかまりをしっかり理解して、受けとめて、きちんと整理したうえで処理できている。そしてこの花梨の寂しさを受けとめてくれる友達の存在それもまた素晴しい。

ええ、変化するものしないもの、そうしたもの感じさせてくれた今回。そして由利×花梨の可能性も。彼女たちのこうしていられる関係は、学生の間だけなのかも知れないけれど、きっとなにかしら残るものはあるのではないか。そんな希望の灯ったエピソードだったと感じたのでした。

『カントリー少女は都会をめざす!?』

八重ちゃん、カントリー少女なのに虫あかんのん!? きれいな星空を見ながら優雅に読書をしましょう。はいいんだけど、窓開け放ったらめっちゃ虫はいってこない? ともあれ、目下の問題は虫の声。秋でもないのにギーギーとうるさい。あまりのさわがしさに、八重ちゃん打って出るんですが、いや、それは多勢に無勢よ? たとえどう抗おうと、大量に隠れ潜んでいる虫を黙らせるなんて無理な話よ。

面白かったのはここからですよ。千秋にせがまれて、鳴いてる虫のこと調べることになるんですね。でも八重ちゃん、しぶしぶ。そうか虫を見たくないんだね。まあ虫が嫌いな人にとっては当然ですよね。鳴き声の特徴から、コガタコオロギ? そこまで辿り着くんですけど、そこから先に進めない! と思ったら、千秋がポチー! もうほんと、八重にとっては災難そのものだけど、ほんとおかしかった。

しかし八重ちゃん、田舎暮らしなのに虫が駄目って、いろいろキツいですよね。いっぱいいるでしょ? 都会じゃ見かけないようなデカいのもいそうじゃん。ええ、八重の田舎暮らし、結構大変そう。都会への憧れに、こうした要素も少なからず関与してそうな気がしましたよ。

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