『まんがタイムきらら』2023年5月号、昨日の続きです。
『Vドルあーかいぶ!』
ヒカリとユメがコラボをしますよ! 喜ぶヒカリと拒否するユメ、その見事な対照が美しく、しかしなぜユメはそこまでヒカリを拒絶するというのか。
コラボはオフコラボ、どちらかのリアル家にて配信することとなるのですが、ヒカリの家は回線不調。ということでいきおいユメの家に決まるのだけど、決定にいたるまでの紆余曲折。ユメが無茶な理由で抵抗した挙句、ごちそうするといわれて即陥落した理由もちゃんと後に明かされることとなって、これがもう面白い。
ユメの住まい、ボロいアパートなんですね。そうか、見られたくなかったんだ。愛媛から出てきて一人暮らしをしている。苦学生なんだ。でもこの困窮状況には自業自得の側面もあって、バイト先のメイド喫茶で客にキレてクビになったり、それで家賃払えなくなって住んでた家を引き払わなければならなくなったりと、いや、自業自得といっていいんだろうか。自分も理不尽相手に暴れたい。なかなかできないことだけれど、ユメいやさひなの気持ちはわかります。
鍋パーティをやりますよ。料理をはじめるヒカリですが、お約束の料理ベタなんていう展開はみじんもなく、自らいうように実際料理が得意なんですね。でもユメの注文が多い! ネギの青いとこは食べられるので捨てないでください。にんじんの皮も、えのきの根本も、キャベツの芯も! 細かい! と思うけれど、それだけ食について切実なんだろうなあ。あまりにシビアな現実が配信にも滲み出たようで、じゃんじゃん投げ銭いただけて、いやもうユメの食いつなげる発言から、ヒカリの浅ましすぎるよコメント、なんだろう、いろいろ振り切った面白さがありましたよ。
いろいろあったけど、このコラボを通して仲を深めたふたり。面白かっただけじゃなく、情感に訴える、そんな結末もいいじゃありませんか。ほんとふたりはいい友達になれそうだよね、みたいにいい雰囲気で終えるかと思いきや、まさかの炎上エンド! もうラストまでめちゃくちゃ面白かったです。
『蜂も刺さずばうたれまい』
文化祭がはじまりました! というわけで、朝からメイドのコスプレをさせられるすずめなのですが、露出ひかえめのクラシカルなメイド衣装、めちゃくちゃ似合っていますよね! 蛍先生の見立て、確かな眼力、感服いたしましたよ。
蛍、咲姫に朱音一行も加わってさらに賑やかさを増したすずめの周辺。そこでのなんでもないような会話がね、これからファッションショーのランウェイを控えている咲姫に静かに働きかけていたというその流れ、とてもよかったです。思い切って違う自分になりきってみる。いつもの自分ではない、異なる側面、違った顔。すずめの実践を自分の糧として消化し、堂々とランウェイに立った咲姫のその姿。観客からも好評で、いや実際、素晴しかったです。
咲姫にとっては、特別な時の特別な自分だったんでしょうね。ステージを終えて戻ってきた時にはいつもの咲姫に戻っていたのですが、それでもなにか彼女の内に残るものはあったんだろうなあ。それは自信かも知れないし可能性かも知れない。こうした積み重ねが、人を変え、成長させたりするのかもですね。
- 『まんがタイムきらら』第21巻第5号(2022年5月号)
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