2023年4月24日月曜日

『まんがタイムきららフォワード』2023年6月号

 『まんがタイムきららフォワード』2023年6月号、発売されました。表紙は『ももいろモンタージュ』。本編よりもももいろ感が抑えめだ! 欄干の向こうに広がる水面。ライトアップされた空には満開の桜であります。散る桜、水に浮かべて花いかだ。前景には浴衣姿のヒナがみたらしだんごを手にして、そして空いた手をこちらへと伸ばしている。そこにはきっとモネがいるんでしょうね。しかし花よりだんご? あるいは花よりも恋心、そんな表紙なのかも知れませんね。

今月は新規ゲストが1本です。

『いつか大人になる君へ』

お嬢様に懐かれている使用人。ひとり寡黙に孤独の時間を楽しむタイプのヒバリに、元気で賑やかなモニカがさかんに介入してくる。そんな時、ヒバリはモニカをわずらわしく思うのか。あるいは、かつて本ばかり読んでいた子供の頃に、こうした子が側にいてくれたらどんな自分になっていただろう。

なにをどう思おうともう過ぎてしまった時は取り戻せないし、確定してしまった事実は覆ることはない。それでも思い悩んでしまうのは、今の自分とは異なる自分という可能性に心ひかれるところあるからなのでしょうね。きっとこうした感情は誰にでもあって、あの時、あの人にもっと親切にできていたら今は違ったんじゃないか。あの時、誘われるまま身をまかせてみればなにか違った道も開けていたのではないか。などなど。ヒバリもそうした、今の自分が決して嫌だとはいわない。でもそれでも、今とは違ったかも知れないなにかにふと心を向けてしまうことってある。

そんな話のように感じたのでした。

ヒバリに無条件の好意を示してくれるモニカ。モニカが興味を持っていたヒバリの読書。もっとヒバリのことを知りたい、その一心に応えて、子供の頃に読んでいた本の翻訳書をモニカに贈るのですね。この選択が引き起こしたこと。はたして未来は変わるのか。あるいは今この瞬間の、いずれは過ぎさり思い出になってしまう小さなできごとに留まるのか。それはわからないけれど、ここでこういう選択を、かつて自分の側にいなかったモニカの影を追い求めるのではなく、今まさに自分の側にいるモニカに目を向けようと思った、そのことに意味が、可能性が生じてくる。そうした話のように感じました。

0 件のコメント: