『まんがタイムきららキャラット』2023年5月号、一昨日の続きです。
『紡ぐ乙女と大正の月』
素晴しいエピソードといっていいのか、それともヤバいというべきか。女学校に出没した、見るからにあやしいカメラ男。あまりの危険な雰囲気に、速攻で初野をけしかける旭さんですよ。というか、腕ひしぎ十字固めはいけません! 案の定、喜ばせてしまっているじゃあないですか!
この男、雑誌『少女の煌』の編集長なんですか。趣味と実益を兼ねた仕事なのか? 学内での撮影許可がおりてるどころか、学校紹介のための取材なのだそうです。ということで、なにもあやしくなかった(ほんとに?)。かくして、さきほどの狼藉をお詫びすべく、紡たちをモデルに編集長氏の求めに応じるままの写真撮影とあいなったのでありました。
実際、ここからの撮影風景。とてもいいんですよね。初野さんがご活躍あそばしたのもそうですが、皆のセーラー服姿とかね、そうそう見られるもんじゃありません。和気あいあいと、時に近しく、仲よさそうにむつまじい皆の様子は、本当に見ていて心やすらぐよさがありました。
と、ここからまさかずっと気掛かりだったことに紡が気づくことになろうとはまるで予想もしませんでした。未来の世界から持ち込んだ謎の写真。最初は真っ暗だったそれが、以前、皆での集合写真に変わっていた。その集合写真が、まさに今回のエピソードにて撮影されたものだったとは。ああ、ここからどういう繋がりが見つかろうというのか。しかし問題の写真を探しに部屋に戻った紡が目にしたものは、以前見たものとはまるで異なるもの。廃墟と化した東京の様子なのです。
ああ、紡よ、気づくのです。あと数年の猶予しかありません。大正12年9月1日正午に発生する大惨事。紡よ、心覚えはありませんか。防災の日ですよ。学校で避難訓練とかしたでしょう? 今ここ大正の御代にて日々を暮らす皆の未来を、紡さん、あなたは握っているのですよ。
『ばっどがーる』
うわあ、すずちゃん、とばっちりだ。
とある休日、朝寝坊を決め込んでいた優が見たもの、それは我が家のリビングにて母と語らう亜鳥の姿。あまりのことに、見たものをそのまま信じられずにいる優。まさかの四国方言まで飛び出すほどの動揺具合です。
そんな優に試練が。母が出掛けねばならない。帰るまで、優の部屋で待っていてと言い残していくのですが、優の部屋、とうてい亜鳥を招き入れられるような状況ではない! 大量の亜鳥抱き枕! はいいとして、禁パイに放パイってなんだそりゃ! どこぞの方言なのか、新語なのか、それはわからないのだけど、この状況を亜鳥に見られるわけにはいかんと、窓から見えるすずの部屋に緊急退避!
それでも残った亜鳥グッズを隠すべく繰り広げられる優の無茶な誤魔化しから、亜鳥に憑いてる謎の存在にまで言及があって、ほんと、今回はなにがおこっているの? そして最後にすずちゃん、とばっちり! いやもう、なんだろう、このカオスな展開。本当、いつにないドタバタ感がすさまじかったです。
というか、なにが一番驚くかって、この抱き枕、本当に売られてるのね。ほんと、驚きでした。
『恋する小惑星』
美術の授業で、好きなものの絵を描くことになったチカ。画材は自由というので、そちらでも自分の好きを追求してみたい。
岩絵具! いや! いやいや! やめておいた方がいいよ!? 岩絵具めちゃくちゃ高いし、ものによっては毒性あるから! と思ったら、まさしくその方面から話が展開していって、しかし画材のために自分の鉱石コレクションをすり潰さんとするチカの勢い!
や、やめとこう! もったいないって! ほんと!
古い知りあいが日本画やってまして、まさしくこの岩絵具使って絵を描いていたんです。膠を溶かしてとかね、実際やってるところ見てました。あれ、夏場とか腐るんよね……。で、筆がめっちゃ減るんだそうで、なんせ砕いてすり潰した岩を使ってるわけだから、サンドペーパーに絵を描いているようなもの。とにかく金がかかるという話。
だから、今回のチカの大変さ、よくよくわかる。思いついてはみたものの、美術の秋山先生の好意で体験させてもらって、それでさすがに無理っぽいと岩絵具は断念。
けれどそこでまるっきり全部諦めるのではなく、地学のトピック、剥ぎ取り標本からヒントを得て砂絵に到達。ひとつの方向性にこだわるのではなく、視野を広くもって、ヒントを得て、そして現実的でかつ充分魅力的な解に辿り着いたところ、大変に素晴しかったです。
また、砂絵を描くだけでなく、そこに鉱石をコラージュしていくなど、発想がさらに異なる発想に繋がっていく。この連想もまた素敵でした。
- 『まんがタイムきららキャラット』第19巻第5号(2023年5月号)
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