『まんがタイム』2023年4月号、発売されました。表紙は『ローカル女子の遠吠え』。いよいよはじまる新生活を応援、ということで学生服着て応援団の装い。しかしりん子さんがこんなに熱血風でいいのでしょうか。本編ではいつもどおりにクールなのに、パブリックイメージが一変する表紙です。『まほろば小町ハルヒノさん』も学生服着て、こちらは大太鼓を叩いているんですね。対照的にチアガール姿が可愛いのが『この契約は恋まで届きますか?』の八千代さん。『花丸町の花むすび』結は素朴に体操服着て、メガホン片手に応援です。
今月は新規ゲストが1本です。
『あおはるコラージュ』
工業高校のデザイン科に入学した新芽兎理。無駄に自信に溢れた兎理。デザイン科ってからにはアーティスティックだろうからとかいって、制服なんかもいろいろアレンジしてみせたりする。ああ、微妙に勘違いしてる系のお嬢さんっぽいですよ。
工業高校のデザイン科ってことは、多分工業デザインを手掛けるんですよね。だから兎理が考えてるのとはちょっと違うんだと思う。そんな兎理のライバルになりそうな子も登場して、里寿夢リア。ふたりともに、クラスで一番絵がうまいと自信持ってて、でも、絵がうまいに越したことはないだろうけど、おそらくは絵のうまさはそこまで求められないんだろうなあ。
とか思ってたら、案の定!? 最初の課題は箱のデザインを100案考えよう。パッケージデザインをやることになって、箱の表に描く絵やなんかじゃなくて、箱のかたち、開け方などなど、そういうの。即、絵のうまさ関係ないと落ち込むふたりが面白かったんですが、でもここでアイデアに優れる兎理と、それをわかりやすく絵に落とし込めるリアと、役割分担して課題に当たったところ、これがとりわけよかった。ライバルかと思わせて、ともに学び取り組む仲間になるという、その展開は実に好みでした。
『ローカル女子の遠吠え』
今回は東伊豆の稲取が紹介されました。地元情報誌の編集をしているハッチの取材にりん子と雲春が同行して、稲取名物げんなり寿司と残念石について学びます。いや、げんなり寿司は学びとかじゃないな。普通においしくいただいてました。
なんでそんなネガティブな名前なのかというの、量が多すぎてげんなりするのが由来って、ほんまに!? しかもお祝いの日の料理だというのに!? 驚きの連続。でも金目鯛のそぼろのお寿司って、それだけでもうおいしそうですよね。海辺でげんなり寿司を食べてすっかりファンになってる雲春が実にいい味を出していました。
残念石に関しては、稲取では築城石や畳石と呼ばれて、残念とはいわれていない。なるほど、これは学びってやつですね。
今回のよかったのは、ブラック企業経験のため目から光が失われたハッチがですよ、りん子、雲春と過ごした稲取が楽しかったと、少し目に光を取り戻すんです。ええ、こうして回復していくといい。ちょっと嬉しい展開でありました。
『秘密のお姉さん養成ノート』
蛍の素敵なお姉さんになるための活動。その根本となる理由に立ち返りましたよ! すずらんちゃんの憧れのお姉さんになりたいからだった! そうだ、そうだった、忘れてた。なんか網タイツからこぼれる腿肉がムチムチとか、そういう癖に没頭する漫画だと勘違いしてた。
蛍が周囲のお姉さんたちに、子供の頃、憧れのお姉さんいましたかと聞いていくんですね。そして語られる素敵なお姉さんの思い出。って、待って、なんかやっぱりむっちり系のオンパレードが予想される。ええ、やっぱり本編は熱いむっちり推しが連続して、さすがだな、ブレないな。やっぱり蛍の素敵お姉さん化計画はなかなか進まないっぽいですよ。
と思ったら、ついにすずらんちゃんに憧れられるにいたった蛍さん! なるほどペンまわし。いやいや、ほんと、ちょっとしたことでもすごい! と思われれば勝ちみたいな話になってきました。ただ問題は、この憧れや感動がどんだけ持続するかですよね。
『スーパー恋愛タイム~現場でドSな彼女は自宅でデレる~』
同棲する俳優の卵アツシと人気モデルのリナ、ふたりの共演することになった特撮番組では、恋愛御法度との噂があります。かくしてふたりは現状の恋愛関係を解消せねばならないのか、あるいは秘めた恋として誰にも内緒にし続けることとなるのか。
主役を演ずるアツシが、まるで嘘のつけない性格なんですね。なので葛藤がものすごい。演じる役も曲がったことと嘘が嫌いな熱血漢。なのに自分はリナとの恋愛という秘密を抱えて、いわば皆に嘘をついている!
これで葛藤できるというの、主役のキャラにまさしくばっちりマッチしてるってことですよね。
プロデューサーに確認することとなりました。ふたりはつきあっている。同棲もしている。この恋愛関係もドラマも諦めたくないんです! 熱い思いを伝えるも、ぜんぜんピンときてないプロデューサーがいいですよね。
なるほど、恋愛御法度とかこの現場ではないんですね! かくしてふたりはピンチをまぬがれて、でも番組的にはヒーローと悪役の中の人が恋仲とバレるのは好ましくない。プロデューサーの公認得られはしたものの、秘密にせねばならないとう状況は変わらず! でも、バレたら降板かもというプレッシャーがなくなったのはいいですよね。読者としても、そこまで怖れず秘密のカップルコメディを楽しめそうです。
『瀬戸際女優!白石さん』
真島監督が略奪愛をテーマとした映画に爽太を抜擢。先輩の恋人を略奪する役でありまして、爽太という好青年キャラが略奪だなんて意外性があって面白いだろう。なんてこと考えてる真島ですが、爽太は真島とつきあっている白石にモーレツアタック中!
いやはや、まさに映画の配役に肉薄する、そんな状況にあるもんだからいろいろ大変なことになりそうでハラハラです。
しかし今回なにが面白いって、爽太を知るために一緒に食事をしながら話していた真島がですよ、爽太の真摯な振る舞い、自分に向ける気持ちにグラッときちゃったりしましてね、さらにはアイドルとしての爽太を知るために見にいったライブでですよ、思わぬワイルドさ、アグレッシブに歌い踊るその躍動に触れ、さらには略奪愛をテーマに歌うその表情、仕草、雰囲気に驚かされたところに、真島に気づいた爽太が微笑んでみせたからさあ大変。
笑顔のプレゼントが真島に大刺さりして、た、大変だ、白石さん! 真島監督が爽太に略奪されちゃうよーっ!
最高でした。
爽太の白石に向ける気持ちを真島は知っているけど、真島と白石の関係について爽太は知らない。この非対称的な状況が真島によって解消されようとするラストシーン。はたしてここにシリアスが投げ込まれるのかどうなのか。いやもう、ハラハラは続きます。
- 『まんがタイム』第43巻第4号(2023年4月号)
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