『まんがタイムオリジナル』2023年5月号、一昨日の続きです。
『夏っちゃんはととのわせたい』
週刊誌に取り上げられて、熱波師をやっていることが周囲に認知されてきた夏々。友達にも知られ、熱波とはなにかと話しかけられたりするのだけど、夏々、緊張しちゃって説明がおぼつかない! 知ってもらいたい気持ちはあるけど、なかなか思いどおりにはいかないんですね。
そんな夏々に、サウナのお客さんにして後輩の白桜が動画サイトを勧めてくれたんですよ。けれど全然乗り気じゃない夏々。炎上が怖いんだ! うん、わかる、わかるよ、その気持ち。炎上までいかずとも、変に悪目立ちしちゃっても困るもんね。とにかくネガティブに振れる夏々です。でも、熱波師のかおりも熱波動画を配信してると知って、ちょっと前向きになるんですね。
しかし夏々、本当に意識しちゃうと駄目なんですね。撮影してない時は自然な感じでうまく熱波を送れているというのに、いざカメラを回すとガチガチになっちゃう! ああ、これ、こっそり気づかれないように撮るしかないのでは? でもどうしても緊張しちゃうから、これを逆手にとってビビりすぎな熱波師として配信。ちゃんと話題になって、熱波への興味を持つ人も出てきてと、よかった! いい循環しそうじゃないですか!
と思ったら、この1件で夏っちゃんの動画活動は終了しちゃうのね! あのたった1件の投稿っていう落ちがめちゃくちゃ面白くて、なんといったらいいのかな、わかる! そんな感じがよかったんですね。
『カントリー少女は都会をめざす!?』
今日はエイプリルフール! というのですが、八重にとってはネガティブな印象があるのですか。かつて父にウソをつかれた経験が、この子の心に傷を残してしまった。というか、お父さん、明日から東京になるって、どんなウソなのか。というか、八重は幼少の頃から都会大好きだったんですね。
エイプリルフールの過ごし方について話してるのが面白かったんですよ。断固拒絶の八重とは違い、亜紀は企業がこの日のために用意するイベントを満喫すべく一日まるまる費すっていうんです。ああー、この数年は随分落ち着きましたけど、それ以前はすごかった。ひとつの企業サイトだけでも手にあまるくらいの規模がいくつもあって、まわり切れない、探し切れない、有志の報告による情報まとめを頼りに、あっちへこっちへと巡回しながら、時間が足りない、まだまだ見落しがありそうと、半ば諦めの境地であったこと思い出したりしましたよ。
でも亜紀は諦めるでもなく、本腰入れてエイプリルフールに取り組んでいるんですね。楽しみには前向きな、アグレッシブガールです。
八重は八重でエイプリルフール企画を楽しんでますというところ。目が 3 3 になってる八重は実に可愛かった。はいいとして、いつものようにどこかしら方向性のおかしい八重の主張を楽しんでいたらですよ、そこに用事があったはずの大河が登場。ああ、用事があるというのがウソだったんだ。八重を驚かすべくやってきた大河を前に、喜びを露にする八重、ほんと、可愛い子だと思います。
エイプリルフールを拒否していた八重も、なんだかんだで満喫しましたね。来年からは、八重も素直にエイプリルフールを楽しめるようになりそうで、よかったですね。
『敷金礼金ヤンキー付き』
今回は真夜メインだ。自分を変えるべく日本一のヤンキーを目指す彼女。本来は臆病で、学校では真面目そのものといったスタイル。いや、実はこの学校スタイル真夜、好きなんですよ。可愛いですよね。でも、真夜はこうした自分像から脱したいんだな。アイデンティティの模索、それが真夜の大切なテーマなんですね。
さて、今日もアイデンティティの模索を続ける真夜。思い切って学校をサボってみる! というんですが、途端に不安になっちゃうの。ああ、ああ、向いてないんだよ。無理しないのが一番だよ、と思うのだけど、それでも自己認識を変革すべくサボりは継続。ある意味初志貫徹で、こういうところにも真面目な性分っていうのが顔を出してるように感じたんですね。
七恵との会話が面白かったですよ。ふたりともに学生なのに、学校いくのが当たり前の真夜。七恵はというと、自分が学生という認識さえあやうくなっている! 筋金入りだな、七恵。そう、これだよ、これが無理しないってことなんだよ、真夜さん。
ふたりでゲーセンへと向かう道すがら。補導されたらどうしよう、学校に通報されたらどうしよう。ずっと不安を感じている真夜の様子。臆病な気質がよくよく現れていて、でもその格好で、しかも七恵と一緒なら別に心配いらんのでは? 七恵についても、サボりを楽しんでるとか真夜いってますけど、いや、これはサボりを楽しんでるのではなく、七恵の普通の生態なのでは? サボってるとさえ思っていないのでは? そう、これが自然体ってことだよ、無理しないってことなんですよ、真夜さん!
ずっと不安や迷いにとらわれ続けている真夜に、大家がしてくれたアドバイス。グレたはいいが、内心ずっとビビっていたという大家の言は申し訳ないけど本当に意外で、そんな大家との会話に救われた真夜。ああ、この感覚が大家も救われたという仲間との連帯。まさに大家が、先輩であり仲間であったということなのでしょうね。
しかし、最後にわかるんですが、学校サボった時の真夜、ちゃんと休むとたえに伝えてたんだ! ほんと、なんだかんだ真面目な子です。その真面目さゆえに、道から逸れることのできない自分自身に息苦しさを感じているのかも知れませんね。そしてこれは真夜ならずとも、多くの人が抱えている感情なのだと思います。
『通勤通学クエスト』
こうし好きがきっかけとなって知りあったカゲヒトとヨーコの関係。互いにリスペクトのある、理想的なものなのではないでしょうか! 細やかで気がきく大人の男性。ヨーコにはカゲヒトがそう見えているんですね。きっと26歳くらい、18歳で子供の自分は相手にされないって、さらに深くつきあうことなんて考えられないっていう感じであるんですね。
対し、カゲヒトからのヨーコ像。これがすごく対照的で、困ってる人を放っておけない、ヒーローみたいな女性! ひったくりを取り押さえてるのはほんとすごいな! とは思うんだけど、実際こうした姿を見せられたら、かっこいい人だって思ってしまうのは納得です。
で、カゲヒトはカゲヒトで、きっとヨーコは26歳くらいで、34歳の自分なんておじさんすぎて相手にされないよ……。
お互いに自分のこと低めに見積もっちゃって、それで踏み出せないっていうんですね!
これ、自分を卑下してる側面もあるにはあると思うんですが、それ以上に相手のことを大きく感じちゃってるんでしょう。見事なリスペクト精神! いやもう、理想的なふたりだと思いましたよ。
- 『まんがタイムオリジナル』第42巻第5号(2023年5月号)
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