2023年3月18日土曜日

『まんがタイムきららMAX』2023年5月号

 『まんがタイムきららMAX』2023年5月号、昨日の続きです。

『マグロちゃんは食べられたい!』

人の姿になったマグロたちと人間との交流、その心情が描かれて魅力的と感じています。

今回はさしみとクロマグロの日常生活。眠らないといわれるマグロなのに、ぐーたら朝寝を決め込んでるクロマグロ。人とマグロの立場を適宜使い分けるところ、いいですよね。したたか、屁理屈、微笑ましいんだけど、いざ自分がされたら腹立つやつ! さしみさんは大人ですよね。あきれながらも怒ったりはしない。しっかり起こして、おやつをエサに家事にチャレンジさせることに成功するんですよ。

炊事洗濯掃除。さしみと一緒にクロマグロも分担するのですが、掃除は体力もたない、洗濯はおやつのアジを日乾し。しかも取り込んでからの片づけは、うまくおだててさしみにやらせるの。ええ、クロマグロはやっぱりしたたか、策士の印象です。

家庭菜園に出掛けて、さしみ一家の作物に対する姿勢に魚だった頃の自分を育ててくれていた飼育員のこと思い出したり、そしてさらには、魚だったころは考えもしなかった可能性に思いをいたすラストなど、細やかな情緒が感じられて大変よかったです。

厳密かちこちのさしみと、緩く鷹揚なクロマグロ。ふたりの性格、バランスとれて相性すごくいいですよね。魅惑のふたりです。

『ラスボスは逃げ出した▽』

魔王城の面々、普通に街に出てバイトやらなんやらやっとんのか。パン屋で働く妖狐。八百屋で価格交渉している魔王。財政難ゆえの苦肉の策というのですが、こんなに普通にふらふら出歩いていて大丈夫なんかな。ほら、こうして勇者と出食わして、これ結構なピンチでは?

と思ったら、魔物にさらわれてしもうとるやん! 同行している堕天使は注意散漫でまるで役に立たないし、魔王を助けるべく魔物を追う勇者という、実にわけわからん状況が生じてほんとこの漫画の魔王と勇者は不思議な関係です。

最初はですね、魔王がさらわれるの、いわゆる狂言誘拐、しめしあわせた上でのことなのかと思ったりしたのですが、どうもそうではないようですね。勇者を排除するため、罠へと誘き出すために子供をさらった。って、これ魔王誘拐が目的じゃないどころか、さらったのが魔王だってことに気づいてない可能性あるよね!?

策があたって勇者を追い詰めることに成功した襲撃者たち。でも魔王をさらったのが運の尽きというか、本気の妖狐を引き寄せることになってしまった! 魔法封印領域内なのにかまわず狐火を放ってきたの、それ魔術じゃなく妖術だから封印無効だったりするの!?

ともあれ、次回はガチ戦闘が期待されますね! でもってこの事件が魔王側と勇者の和解なり歩み寄りなりのきっかけとなるかも知れませんね。

『エイティエイトを2でわって』

連載にあたり、『ニブンノハチジュウハチ』からタイトルが変わりました。

ピアノの縁で結ばれた寮生4人のお話。決してうまくはないけれどピアノが大好き美弦と、挫折以来ピアノから離れていた奏のふたりを軸に、楽器経験豊富なゆずと楽器未経験だった来夢を加えた4人組。ピアノの楽しさだけでなく、苦しさつらさなんかも描かれることになったりするのかな? と思いながらも、作者の持ち味、やたら個性的なキャラクターのおかしな振る舞いにすっかり引き込まれてしまって、ゲスト掲載時からすっかり魅了されています。

さて今回は、つまらない基礎練習はサボっちゃう美弦に対し、厳しく指導を入れる奏さんですよ。指の練習は? っていうとこの奏、こわいよねえ! けどそこからのふたりのやりとり、なんだかんだ面白くて、ごほうびシールで釣ろうとする奏がお母さんみたいになっとるよ?

また気になったのが、奏がピアノに触れた時の描写。この子、挫折以来やる気を失ったどころか、ピアノを弾くこと自体に恐怖を感じてしまっているのか。自分でも意識していなかった変化。鍵盤に触れようとすると指が震えだす。

一瞬の戸惑いの後に、凄まじい圧でもって美弦との連弾に持ち込んだ奏。ナイスリカバー! ではあるのだけど、奏の異変や一体!? さすがに異常に気づいた奏、これ、後々まで残るテーマになっていきそうですね。

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