2023年3月25日土曜日

『まんがタイムきららフォワード』2023年5月号

 『まんがタイムきららフォワード』2023年5月号、昨日の続きです。

『高瀬さんはドル活に夢中です』

ああ、本当にうまくいかないものですね! 高瀬に購入させるつもりだったドールのヘッドを、予想外の争奪で入手できないという番狂わせ。まさかこんなはずではなかったと思うのは江田ひとりで、高瀬をはじめとするドール愛好家の中では江田すなわちPOPの認知は予想以上だった模様です。

購入戦に負けたふたりの帰り道、そこで交わされた会話が面白かったです。拡散もいいねもさほど多くないPOPのSNS。けれどこれ、購入者視点からすれば、評価が増えて拡散も増えれば多くの人目に触れ、結果ライバルが増えてしまう! なんとかして知られないよう、そっとマークしておきたい。そんな気持ちがあるっていうの、わかる! わかるわ! いやほんと、実際争奪戦になりそうなものは、認知度上がって欲しくないもんなあ。とはいえ、自分が知っていて欲しいと思うようなものは、アンテナ感度高い人は当然知っていて、ゆえに争奪戦にて出し抜けるなんてことはまるでないんですけどね!

作家としての自己像の修正を迫られる江田です。きっといつか必ず高瀬にヘッドを届けられるように、欲しい人の手元に届くようにと、より一層の奮起をする、そうしたポジティブな変化があると思えば、発送や製作のための時間を確保するために高瀬との時間を減らしてしまうことに!

あの、ドールショップめぐりの申し出を断わられた時の高瀬の顔! よほどのショックなのだとわかるけれど、江田はまるでそちらに目が向いていなくって、ああ、なんでこうもうまくいかないのだろう!

このジレンマそのものの状況。いずれまたふたたび、もとのふたりの関係に戻る日を待たないではいられません。

『球詠』

日本一の合宿を終えて、野球部はシーズンオフ、活動は基礎的なものにとどまっているんですね。かくしてちょっと野球から離れた皆の様子描かれて、初詣にいったり、クラスマッチ? 百人一首と将棋とeスポーツと麻雀で競いあう学校行事なの? 球技大会の文化版? でも麻雀があるのは面白いな。というか、皆普通にルールもわかってれば駆け引きもできるんだ。レベル高いな! 自分はいまだに点数計算できないですよ!?

野球から離れていたのは、これくらいですよね。もちろん野球部の活動は続いていて、過酷な体力増強メニューをこなしていく部員たち。そして卒業のシーズンが過ぎれば次は新入生たちがやってくる春。となれば、野球のシーズンもいよいよはじまり、待ちに待ったとテンション高めの野球部員たち。小河台相手の練習試合で、皆がそれぞれに自分の力量の変化した様を実感していくところ。この描写など実に面白く読みまして、なるほど、球威が上がれば送球なんかの勘も違ってくる。こうした変化を意識し、いろいろ試しながらその変化に対応していくのが、こうした練習試合の役割だったりするわけですね。

春、ちょっとした環境の変化にも戸惑いながら、いよいよ新たな一年がはじまります。岡田たち上級生組にはこれが最後の一年となる。そして迎える新入生。どんなメンバーが加わるのか。一部にはレギュラーから外れる不安なんかもありながら、それでもチームの層が厚くなるのは確実でしょう。その変化もまた楽しみであります。

『ちょっといっぱい!』

最終回を迎えました。前回は、苦難を乗り越えるための秘訣をこはる屋立ち上げメンバーたちから聞かされたりして、これからのもみじが経験するだろうことに思いを馳せたりもしたものでしたが、今回はこれからもみじとともに居酒屋立ち上げの大仕事に立ち向かわんとする若い人たちの希望にあふれた会話がメイン。そこには現実的な苦労よりも、夢や期待、まだ見ぬ未来の姿への憧れなどが示されて、そのフレッシュさにページをめくるたびにわくわくさせられるものありました。

しかしその途中でね、居酒屋もみじってエリカがいうじゃありませんか。それ見て、ええっ!? すずめ亭じゃなくてもみじって店名になるの? いや、エリカがそういってるだけで、そうなると決まったわけじゃないですけど、そうか、てっきりすずめ亭でいくものだと思っていたから、店名が変わる可能性とかまるで考えもしていませんでした。

居酒屋開店にかかる苦労話などは、あえて前回に大人組メインですませておいて、最終回は明るく前向きな、これから開かれていく若い人たち中心の話にしてくださったんでしょうね。もしかしたら時間が一気に過ぎて、すずめ亭あるいは居酒屋もみじの様子など描かれたりするかもとも思ったのですが、具体的な未来の姿はエリカの絵による想像のものに留められたのが、逆にきっとこうなる、こうなって欲しいと願う彼女らの、そして読者の思いを将来へと導いてくれるようでした。確定しない未来だからこそ、こうなって欲しいとより強く願う、そんな気持ちにさせてくれたのですね。

終始明るくポジティブに、そして少しの涙もあったけれど、苦しみやつらさによるものではなく、自分に向けられた優しさに対するあたたかな涙。きっとこの子たちは大丈夫だと、たとえ未来に荒波が立とうときっと乗り越えていくのだろうと、そんな期待をともに閉じられた物語に、けれど心はその先へ先へと向かうがごとく開かれていきました。

『スローループ』

扉絵の恋先生、素晴しいな。さて、今回はいつもの皆で屋上でお昼。恋のお弁当のおかずをわけてもらうイベントが発生してるんですが、うきうきそわそわしながら卵焼きをもらうひよりの様子に、咲良さん、なにか思うところがおありのようですよ。

今回は釣りよりも学校の友達との交流メインなのかな、と思ったらさにあらず、これからはじまる釣りへの導入回! なんと、修学旅行の舞台、沖縄にてマグロ釣りをすべく小春が許可を得てきたっていうから大変です。確かに修学旅行とか、自由に行動決められる時間とかあると思うけど、それを使っての船釣りか! 考えるところからそうだけど、それをためらわず行動に移す小春のダイナミックさよ。素晴しいわ。というか、それほどにマグロ釣りに憧れていたの!? 確かに以前そんな話もしてたよね。恋の弟をマグロに見立ててなんかやってたりもしてたよね。

それがまさかこのタイミングで再浮上してくるとは思いもしていませんでした。

で、話題はもうひとつ。甘い卵焼きが好きなひよりさん。恋の作る卵焼きが甘いこと、なぜ知っていたのかという、そのエピソードが後半に語られるんですが、子供のころ、両父に連れられて恋といった渓流釣り。そこでの思い出話、というんですが、全然卵焼きまで辿り着かんじゃん! ポイントの見極めとキャスティングの話しか出てきてないよ!?

しかし幼ない恋とひより、両父じゃないけどめちゃくちゃ可愛いですよね。そしてラストの、内心そっとツッコミ入れてる咲良と美月、話のあらましわかってるからか若干覚悟してる風の恋など、こうしたちょっとしたところも大変に面白かったです。

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