『まんがタイムきららMAX』2021年7月号、昨日の続きです。
『六条さんのアトリビュート』
このみの悩みに六条さんが答えます。
子供の頃に描いていた絵、それをそのままずっと続けていたらもっとうまくなれていたのだろうか、なにか違う境涯に辿り着けていたのだろうか。
くよくよと考えてもしかたのないことなんですけど、こういうこと考えがちではありますよね。わかります。自分もわりとこのみタイプなので。これ、自分からしたら、このみくらいの年齢ならいくらでも取り返しがつくんじゃないかなって思えるんですよ。でも、今、まさしく迷いの只中にいるこのみにとっては、そんな言葉、気休めにもならないんだろうなあ。たとえわかっていたとしても、もっとはやくはじめていたら、そんな考えが拭えないんでしょうね。
このみに答える六条さん。その説明が具体的で、昔の子供の置かれた状況とかね、それから印象派から遅咲きの画家をピックアップしてみせたりね、なんか面白いんですよ。でも、そうかあ、ルソーは下手かあ。このみの目指したいものとかけ離れてるんだろうな。あんまりな物言い、そしてその表情に、思わずわらってしまいましたよ。
ジョージ・エリオットがいってますでしょう? 「なりたかった自分になるのに、遅すぎることはない」ってやつ。六条さんがいいたかったこと、そういうことだと思うんですけど、いつかこのみがこうやって思い切れる日がくればいいなって。でも六条さんの言葉で、ちょっとこのみも前向きになれたみたいで、ほんとよかった。ひいてはこのアパートにはいったこと、このみにとって本当によいことだったんだなって思ったんですね。
『初恋*れ〜るとりっぷ』
すっかりりんね意気消沈? あれだけ部長と素敵な思い出を作りたいって、一緒に過ごせる時間を大切に大切にしたいといっていたこの子なのに、皆と、先生と一緒にいて楽しそうにしている部長を見れば身をひくしかない。そういって、すっかり元気なく……、してまではないですね?
こたつ舟でも密着していこうって前のめりだし、なにより楽しそう。でも、自分のいなくなった後のことを気にしているりんねに、そんなこと気にしてるんですね、そういった部長の言葉に本格的に落ち込んじゃって、そうか部長は自分と離れても寂しくないんだ、お別れに胸を痛めてるの自分だけなんだって、この言葉と気持ちのかけ違い。普段明るいりんねだからこそ、あの涙をこぼす姿は切なさ感じさせてたまらなかったです。
でも誤解だったんですよって、ええ、きっとそうだろうと思っていたから心配はしていませんでしたよ。ふたりの思いに違いがあるとすれば、別ればかりを考えていたりんねと、これから先まだふたりの時間の続くことを確信している部長、その一点。部長は自分の卒業で離れる、その別れを一時的なものとしか思ってなくて、でも、まさか同じ大学にこいってね! ほんと、ここで進学先まで決められてしまったりんね、これ大丈夫なの? この子の希望とか、そういうのは斟酌しないんですか、部長!?
でも、これ、りんねにとっては嬉しかったことに違いなくて、ということはこれから必死の受験勉強がはじまる!? いやはや、りんねさん、これからが正念場ですね。この子ならやりきりそうな気がしますよ。
『今日の授業は恋愛です!』
体育祭、いよいよ本番当日です。ところがちょっとしたアクシデント。エントリーにミスがあって、予定とは違う競技に出場しないとならなくなった。というわけで、いきなり水着で走らされるさがりですよ。でも最初は恥ずかしがってたのに、空気抵抗的に有利なのでは? 実利優先で恥ずかしさふきとばしちゃうんだもんなあ。そういうクールさ? ドライといった方がいいかもな! 実にこの子らしさを物語る小シーンだったと思いましたよ。
体育祭の勝敗で、さがりのこれからが決まっちゃうんですよね。恋愛科と普通科、勝った方がさがりをゲットだぜ! って、無茶だよね。楽しそうの一言でしらべが軽く受けちゃった勝負なんだけど、この話に教師が乗っかっちゃったせいでさがりの移籍を賭けての勝負、本当になっちゃった。
しらべが結構責任を感じちゃってるんですね。なにがなんでも勝たなきゃいけない。覚悟のほどは、切腹も辞さないレベル!? このサムライスタイル、可愛いよね。すごく似合ってる。もっとしっかり見てみたい。
普段クールで、あまり必死にならない印象のある子なんだけど、責任感じてプレッシャー受けちゃったり、さらには今日のために睡眠削って走り込みしていたりと、そうかあ、この子、人に隠れて努力するタイプなんだな。別に気にしなくていいというさがりへの返答からもこの子の人となり感じられて、勝負の発端になったことよりも、さがりがいなくなっちゃうことの方を重く感じちゃったりね、ああ、情の厚い子だなあ!
ほんと、クールに見せて、全然そうじゃない。そうしたしらべのことがよくよくわかったエピソード。まさしく今回のクライマックスとなった借り物競争でもね、しらべの意外性? いや、ここまでこの子のいろいろを追ってきた読者には意外ではなかったかな? いや、でもまさか大切な人というお題に、さがりのみならず、なとせ、りっか、こみねも一緒に連れていっちゃうとかね! ああ、今この場所、この時間、一緒にいる友達、それがこの子にとってどれほど大切であるかがよくわかりましたよ。
勝てて安心、さがりも守り通せて一件落着。けれど、そうなったらしらべいつもの調子を取り戻してね、でもクールさ回復させたのはいいけど、しれっと負けても普通科についていくから大丈夫だったとかいっちゃって、いや、これ本気だな。うん、この子のクールさを支えているもの、それは確固とした思い、その強さのためなんだなあ。ええ、揺るぎない。そんなしらべがすごく魅力的でしたよ。
- 『まんがタイムきららMAX』第18巻第7号(2021年7月号)
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