『まんがタイムきらら』2021年6月号、昨日の続きです。
『しゅーしゅーまにあ』
クールビューティー朝霧さんが、実はシリカゲル収集家であったと知った牧野。しかし、なんでまたシリカゲルなん? そう思ったら、やっぱり牧野もそう思ったか。なんでシリカゲルなんだ? おお、よくぞ聞いてくださった。疑問に思うよねえ!
この漫画、こんな具合に話題が、会話が展開していくときに、やっぱそこ気になるよね! みたいなしっくりとくる納得感があるのがよかったのですよ。例えば、なんでシリカゲル? 特異なキャラクターを演出するためにシリカゲルなのかい? と思ったら、多くの子供が好きで集めたりするビーズ。透明でキラキラして綺麗なもの。それが朝霧にとってはシリカゲルだったというの、おお、これ、なるほど納得ですよ。一気にこの漫画の地盤がしっかりと固まってきた、そんな感触得たのでした。
きれいだったから集めはじめたシリカゲル。でも好きで集めてるだけあってその用法、機能についても詳しくなってる朝霧がまたいい。でもってこうして朝霧の好きの理由がわかれば、次は牧野の番。なぜシールを集めるようになったかのきっかけが妙に物悲しいのも面白いんだけど、最初はただパンについてくるおまけ、いわば余分でしかなかったものが、アルバムに整理してみたら世界が一気に変わったっていうのがね、ちょっと感動的といいましょうか、すごく印象的でよかったんですよ。
なんでもなかったものが、一気に価値あるものになった瞬間。この子の価値観が引っくり返った、それも見るも鮮かに! いやもう見事だったと思ったのでした。
かくも納得感にあふれたこの漫画。登場人物の感情がわかる、共感性があるというのは、それだけでもう随分なアドバンテージだと思います。それに加えて、好きなものを語る、その感情の高ぶりもいい味出していて、いやもうキラキラだ! 心ひかれてやまない、そんな魅力がありますよ。
『ウサうさ! —Rabbit To Bunny—』
急に外の世界が怖くなってしまった!? 脱走を諦めてしまったミスターR。いったいなにがあったのか。その原因の描かれるくだり、すごく面白かった。
いつもは小屋の中で暮らしているうさぎたち。けれど昨日は小屋から少し外に出ることができて、でもそれがRにとっての恐怖体験になってしまったっていうんです。
そうか、道徳の授業で動物との触れ合い学習みたいなのあるんだ。うさぎは抱っこがあまり好きではありません。抱っこができても立ち上がらないように。などなどうさぎの扱いについて先生から注意があったんだけど、子供たち、まるで頓着してないですね! 我先にと手を伸ばしてくるからうさぎたちには恐怖そのもので、しかもRときたらやんちゃな男子に追いかけられてね、ほんとみんな先生の説明、聞いちゃあいないな! でもってR、囲い飛び越えていよいよ脱走成功か! と思いきや、えらい表情の先生にとっつかまってしまってね、いよいよ恐怖が限界に達してしまうんですね。
今回の面白さ、先生の注意したやってはいけないこと、それを子供たちが次々やっちゃう様子がテンポよくって、まるでドミノ倒しみたい! ほんと、このあかん行動の連鎖。見事でした。
My Private D☆V
『ゆめぐりっ!』のいしいゆかです。
D☆Vポイント、いい感じにちりばめられていますね。うるうるな瞳で見つめる女の子、それがメインにありまして、そこにロングヘアーのツインテールとかやわらかいふとももや女の子の身体のラインといった細かいポイントが付加されて、具体性が高まっていく、そんなスタイル。そうして描かれた女の子は、『ゆめぐりっ!』の印象とはちょっと違って、あの漫画は時々メランコリック、けれどいきつく先はいつも晴天! みたいな晴れやかさがあるでしょう。対してこちらはちょっとしんみり? 悲しすぎたり痛ましかったりはしないですよ。ちょっと気持ちが揺れ動いて、涙も浮かんでしまいました。そんな感じがあるんです。
今回のD☆Vポイント、そのメインであるうるうるな瞳でっていうの、ただうるんだ目が綺麗とか可愛いとかだけじゃなく、その瞳の向こうに見え隠れするこの子の感情、そこに魅力があるのだと思いました。この子は今なにを思って、なにを感じて、それがどうしてこの表情にゆきついたのだろう。そうしたことを思わせてくれるところがあって、なるほどこれが魅力です。うるうる瞳はただの要素ではなく、この子のうちにあるものに思いをいたらせ、その奥行を広げる、そんな入り口になるのだと思わされました。
- 『まんがタイムきらら』第19巻第6号(2021年6月号)
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