2021年5月19日水曜日

『まんがタイムきららMAX』2021年7月号

 『まんがタイムきららMAX』2021年7月号、発売されました。表紙は『私を球場に連れてって!』。ついに完結、ということで見事表紙を飾るは、青空の下、揃いの応援ユニフォームを着たタマとレオナのふたりです。バットを手に、予告ホームラン? 空を指して見せるレオナは晴れ晴れとしたいい笑顔見せていて、その隣にいるタマもまたいい表情。野球さえあれば今日も明日も元気、そんな彼女らのエネルギーを感じる、とてもいいイラストであります。

今月は新規ゲストが2本です。

『猫だってキスをする』

これは猫を擬人化して見せているタイプの猫漫画ですね。

雨の公園に捨てられていた子猫。拾われていったお家は先住猫のふたりいるご家庭。ふたりともに性格も出自も違っていて、まりあ(本名スカーレット・ルイーズ)は血統書つき、ちとせ(別名ふきつ)は外猫から家猫にクラスチェンジ。なので、新参のミミはちとせと同じような経緯でやってきたわけですね。ちょっと違うとすれば、ちとせは自活していた時期があるというところ。こうした来し方の違いが、飼い主、その鳴き声から猫たちからカワイイと呼ばれてる人間に対する態度の違いになってる、そんな感じがするんですね。

先輩猫たちの教えてくれること。ごはん食べるとこ! 寝るとこ! バリバリするとこ! って、ソファが傷だらけだ! ちとせは怒られることちゃんと理解してるけど、まりあは本能に抗えないっぽいですね。その天真爛漫さ? それも育ちのよさゆえなのでしょうか。

かくして猫たちの共同生活。猫の猫らしい振る舞いが人の姿で描かれて愛らしい。でもって、引きの絵ですよ。人の姿のまま猫サイズというのが、ちんまり感を強調して素晴しい。ええ、寄りの絵だと人のイメージが強いけど、ああ、猫なんだ! そういう感じを強く与えてきますね。カワイイ、飼い主ですが、が帰ってきた時の猫たちの様子も、キャットタワーの上に退避してたり、ソファで背を向けていたりと、その身の小ささが印象的でした。

これ、人の姿での描かれようもいいけれど、たまに猫の姿そのもので描かれたりしてもいいかも知れない。そんな感触も得ましたよ。人の姿でも、猫の実描写でも、きっとどちらも可愛いだろうと思います。

『JSリトルスターズ』

これは人に、女の子になりたい天使の物語。水泳の授業に出るために、ひとりトイレの個室で水着に着替えてたところ、駆け込んできた同級生に見られてしまった! さあ大変、背中の翼を、頭上の輪を見られてしまった!? 天使ミカエルが神から与えられた試練、それは人に天使ということを知られずに、百の徳を積めというもの。しかし、ここにこうして天使の姿を見られてしまったとなれば……。

どうする、どうなる天使ミカエル!

というような話なのですが、天使ってことは両性具有だよなあ。名前だってミカエルだし。そのへんどうなっとるんだろう。だって、トイレで着替えてる時、ばっちり全裸状態だったでしょう? ってことは、翼と輪以外にも見えてるところがあったのでは? とか思っとったらですよ、ほんまにちゃんと両性だった! しかもそれ、隠せないんだ。翼と輪は意思でもって消せるというのに!?

いやもうこの漫画、そちら方面のバレが問題だったわけですね。天使とバレてはいけない。しかしクラスメイトの神代きららに見られてしまって、神に気づかれたら終わりだ! でも女神様はまだ気づいてない、ぎりぎりセーフ? というの、これ、天使バレじゃなく、男の子と思われてるからオッケーってことなのかい!?

思わぬバレと誤解と、きららの怖るべき包容力。面白い。これ、誤解を解くわけにはいかない。そしてきららにもあるという秘密? 次回後編にもいろいろ放り込んできそうな予感に打ち震えますよ。

『私を球場に連れてって!』

あと一勝でクライマックスシリーズ勝ち抜け、日本シリーズに手が届く。そんなキャッツの天王山。6対4で臨んだ最終イニング。はたしてここから逆転するというのか。

前回いってたじゃないですか。普通ならここから優勝、グランドフィナーレに雪崩れ込んで大団円。でもこの漫画だとどうなるかわからないなあって。ええ、1点返して、もう1点という状況。はたしてどうなる。固唾を呑んで見守る気持ちは、タマやレオナたちと同じだったかも知れない。それだけに、その気持ちの消沈していく様、ショックでした。え、ほんまに? え? 負けたん? いや、そうとしか読めないけど、そう……、負けたん……。

そこに追い討ちをかけるかのようなタマの青ざめた顔。ああ、こうして今年の彼女らの野球は終わったのか。レオナの涙、猫子の涙、さらに加えてタマも泣いて、この終わり情景。まさかの負け、しかもファル子からまりんまできっちり煽ってくるという、いつもどおり? そんな様子見られて、でもなんだろう、不思議とやりきった感があったのが不思議でした。

そして、ここからがよかった。今年は負けたけど野球はまだまだ続く。そうしてずっと野球に関わり、好きなチームを応援し続けている彼女らのその後が、そのまま描かれるの、すごくよかった。ああ、大きくなってる。しかもここで今年、2021年に接続するんだ。猫子がもう中学生、ということは8歳のあの頃は4年前とか5年前のことだったのか。この感覚の意外性。ああ、これまで見てたの過去の彼女たちだったのか、というのに加え、一気にこの子らの存在感が具体性を持って迫ってきたと感じられて、これはすごいな。最後の最後に、えらいものぶち込んできたもんだ。

ああ、そうか、彼女らは今もどこかで推しのチームを応援しているんだな。野球について見聞きするごとに、遠くどこかにいる彼女らに思いを馳せることになりそうと、そうした実感がしっかり残ったのです。

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