2021年5月30日日曜日

『まんがタイムきららキャラット』2021年7月号

 『まんがタイムきららキャラット』2021年7月号、一昨日の続きです。

『RPG不動産』

連れ去られたファー。ノームの洞窟の奥、一室に囚われてはいるのだけど、拘束されているわけでもないし酷い目にあわされてるわけでもない。むしろ大切に扱われていて、ここはさすがに王とあがめられるだけはありますね。

ここで、アリスの姉から彼女らの置かれている状況についてファーに語られることになるのでしょうか。だとしたら、ここでファーが同情、琴音たちに情報が伝播、状況改善に向かう流れなどできたりしないだろうか。なにかただ人間サイドが善、魔族サイドが悪という単純な図式にはならなさそうって思えてくるんですよね。

さて、琴音サイドです。ファーの行方、おそらくノームの洞窟だろうという予測はたっても、入り口が作り替えられていたりして、先に向かえない。そんな八方塞がりの中、不動産にやってきた不思議な絵描きさんの残していった島のスケッチ、これが解決の道筋を作ろうという流れが面白くて、このひとつの出来事が別件でもたらされた情報やアイテムでもって解決に向かうというのが、RPGでもある問題解決の流れに似て、いいなあって面白いなあって思うんですね。

この解決の流れに琴音とファーのいつぞやの会話、それがからんでくるのもとてもよかった。ファーとの思い出が彼女への手掛かりを導くんですね。

『恋する小惑星』

みらとあお、ふたりの休日? ふたりで一緒にプラネタリウムにいくのだそうですけど、あおがものすごく意識してるんですよね。みらとの距離もそうだし、そしてみらの振る舞いも? みらがちょっと子供っぽいというか感情のままに動くというか、それがあおにはちょっと恥ずかしい。でもね、こういう素直さ? これこそがみらの魅力だと思うんですよ。ええ、めちゃくちゃ可愛いですよね。拍手のくだりとかもね、あのやりきった感! めちゃくちゃよかったですよ。

今回はみらとあお、ふたりの関係描きながら、プラネタリウムで解説された星の一生、そろそろその寿命を終えようとしているベテルギウスの話題から、すべてのことは永久不変ではないと語られた。その変わっていく寂しさをふと思うあお、この子、やっぱりちょっとメランコリック気質ですよね。みらとの暮らしも地学部もいずれ変わる、いずれ終わる。

自分もそういうタイプだからわかるんだけど、これ、損な気質ですよ。今の楽しさよりも先の不安を思ってしまう。今が楽しければ楽しいほど、いずれくる終わりを思い憂鬱が胸のうちに兆してしまう。

ほんと、このみらとあおのタイプの違い。みらはぱっと発想が開いて、けれどその瞬間だけで後に引かない花火のような感情の動きをする。あおはしっとりと心の奥に感情をいだいて、よいものも悪いものも樹々のように育てていく。似てないからこそふたりの関係はよりよいものになってるんじゃないかな。そんなこと思わされたエピソードでした。

そうそう、以前ショッピングモールで宇宙についての催しやってた時に、私も買いましたよ、缶入りパン! アイスも買いました。冷たくないんですよね。でもって、パッケージそんな感じなの! なつかしい。なんか買っちゃいますよね、宇宙食。実際のものじゃないっていいますけど、それでもついつい買っちゃう、そんな魅力ある物品です。

『mono』

まじか、春乃、アニメ化勝ちとったんか! と思ったら違いました。友達の漫画家、イスズスズ子の漫画がアニメ化なんだそうですよ。というか、この人、ホラー漫画家の友達多いな。クロクマ先生だけじゃなかったんか。

リモートでしゃべってるの、今風でいいですよね。でもってこのスズ子が癖ある人で、いやこの漫画、癖のない人がまあいないわけですけど、まあいいや、スズ子さん、褒められるとあかんタイプなのか。適当に虐げられてないと描けない。鬱屈をバネにするタイプ? でも逆境に活路を見出す! とか、そういう熱いタイプではないっぽいから難しい。陰鬱な気持ちで、澱のように溜まる感情を原稿に振り向けてるっぽいんだけど、大丈夫!? 病んだりしない!? いや、志摩の景色がそんな彼女を癒してくれるのか。よかった、鬱屈の果てに潰れてしまうようなことはないんですね。

春乃、スズ子、クロクマ先生3人の漫画家トーク? ホラー感についてとか、原稿中のBGM/BGVどうしてるとか、素直に面白い。これ、作者の実体験だったりするのかな? でもってアニメ化したらどうなるか、忙しくなりますか? みたいなのも、ああ、これ作者の実体験だったりするんかな!?

単行本の売上が増えるから年収が一気に増えて税金が大変なことになりますよっていうのがリアルでよかった。平均課税、これ、重要らしいですよね。などなど実務的な話をしてきた果てに、ほんとかうそかわからん胡乱な話で終わるっていうのがこの漫画らしくって、ええ、こうであってこそ! そんな味わいがさすがでした。

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