『まんがタイムきららフォワード』2021年7月号、昨日の続きです。
『スローループ』
狩猟を見学しているひより。キジを撃って、そして捌く。さっきまで生きて動いていた鳥が、もうこうして皮と肉になっていくその様子に、なかなかにハードなもの感じたりしましたが、ひよりはわりと平気そう。以前もちょっといってましたが、これが魚だったら大丈夫とか、鳥、哺乳類と、だんだん自分に近い存在になるにしたがって忌避感が強くなるとか、そういうこと考えさせられて、いや、普段、鳥でも動物でも肉は食べてるわけなんですよ。それをこうして苦手と感じるのは、どこかで思考を切断処理して、考えないようにしているのかも知れませんね。
今回は、こうして狩猟を描いて、そこからフライフィッシングへの興味に繋いでいく。以前にひよりのいっていたこと、鳥獣を獲り、その羽毛を使って疑似餌を作り魚を捕る。そうした狩猟と釣りの繋がりに興味をかきたてられたという楓です。こうした発想の繋がり、思考のめぐる様見ると、ひよりは、そして楓も、思考の切断をしていなんだなと思う。自身の関わることにまっすぐ向きあって、ないがしろにせず、ちゃんとリアルに受け取って自分のものにしているんだ。そうした感情持ったのでした。
さて、今回ひよりが見つけ楓が獲ったキジは、マテリアルとして恋の店で売られます。それをひよりが買いにきて、これ、この子にとっての特別なんだな。その感覚が眩しい、そんな風に思われて、ええ、あの狩猟見学はいい体験になったみたいですね。そして、これ、大晦日の毛鉤作り大会に使用するんだ! 大事にしまいこんでおくとか、そういうことは考えません! ええ、堅実で健全だと思いましたよ。
『球詠』
面白いなあ。深谷東方の投手松岡。マウンド上で光のフォームを自分のものにしようと、いろいろ試していく。リリース、踏み込み、そうした動作にとどまらず、球威、ノビにまで変化は及んで、これは刺激的だ。実際、こういうことできる人ってどれほどいるんでしょう。刻一刻と変わりゆき、成長していく。そういう様は魅力以外のなにものでもないでしょう。
でもって、光の投球を取り入れようとしてるのに気づいた希! すごい、なんだその爛々とした表情。この子もこの子で相当な意欲ありますよね。しかしこうして舌舐めずりしそうなまでに前のめりに打ちにいく様子見れば、完全に復調しましたね。素晴しいわ。ほんと、わくわくさせられる。
松岡の成長、まさに今対戦している新越谷の皆が体感しているっていうのがとてもいい。5分前とはもう別人、一年後が計り知れない。このたぐいまれなる投手を前にして、今のこの試合こそは勝てたとしても、次にまみえた時にはどうなることか。そうした危険な可能性感じさせてくるのが、しびれますよね、面白い。脅威でもあるし楽しみでもある。
投手松岡と打者光の真っ向勝負はみものでした。残念ながら光は打ち取られてしまうわけですが、次こそはどうなる? こうしたところにも楽しみは生まれてきて、わくわくはとどまるところを知りません。
『観音寺睡蓮の苦悩』
中等部の生徒が高等部の見学に訪れます。それで睡蓮、最大限の警戒モード。そうか、林檎か、紫陽花の妹。睡蓮が苦手にしているこの子。どれほど苦手なのか。挙動のおかしい睡蓮に声をかけてきた四葉。そこで、一度●されかけてるとか、えらい物騒なことおっしゃるのね? 林檎さん、誤解されちゃいますよ!?
実際、四葉が誤解しちゃったわけですけど、ともに睡蓮打倒を持ち掛けたらいじめっ子と認識されちゃった!? うん、林檎が正論だ。この子はこの子で睡蓮のこと好きなんですね。それが明言されたの、結構ポイント高いように思います。
今回といっていいのか、いつもといっていいのか、睡蓮の認知の歪み、それが見事に炸裂していました。牡丹に案内されて椿に会いにいく林檎。そこにやたら危機感覚える睡蓮だけど、牡丹は余裕そのものじゃないですか。当たり前なんですけどね、それでダメージ受けてる睡蓮がおかしい。でもってこの人の尺度、常に自分基準! 牡丹の器の大きさに圧倒されてますけど、別に牡丹はそんなんじゃないから。自分の妹分いっぱいでお姉ちゃんポイント高まったのが嬉しいだけなんだけど、睡蓮はそんなこと思いもしない。
ほんと、睡蓮は自分の考えに自信があるんだなあ。紫陽花、椿に百合の関係を見る、その発想は万民共通のものだと思っている。だからこそ、その自分の当たり前が揺らぐことで自分自身にもダメージが入るんだ。それゆえに林檎は天敵で、その考えの強固であるがゆえに牡丹が自身の思考の埒外に生きているとは思わない。
いやもう、睡蓮さん、苦悩の根源、だんだん見えてきたように思いましたよ。
- 『まんがタイムきららフォワード』第15巻第7号(2021年7月号)
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