『まんがタイムきららフォワード』2023年8月号、一昨日の続きです。
『球詠』
一年生たちの様子を見る練習試合。それぞれの個性や強み、弱点を検分しながら、今後の対策を考えていく上級生たちも面白い。その対策にもまた個々の個性が垣間見えて、そしてさらに先を見越しているものもいる模様。その三者三様が実に魅力的なんですね。
さて、捕手をつとめる一年生、渡邉詩織が面白い。冷静無難との評を得ていますが、点を取られても動ぜず、むしろ失点を前提とした組み立てをしている。最終回のサヨナラ本塁打に、思い通りと気持ちを漏らした詩織に気づいたのは珠姫ひとり? いや、野球怪人芳乃もきっと気づいているんでしょうね。
練習試合の経験を次に生かすべく、反省すべき点は反省し、そしてより一層の基礎づくりに励む一年生たち。そしてその結果はふたたびの練習試合で検証されることになるのでしょう。とはいえ今度の試合はベストメンバー、一年生たちは先輩たちのプレイを見守り学ぶ立場にあるのですが、その時、希に対して見せた小町の勝負したい欲! ああ、ほんとこの子は面白い。投手としては致命的なのかも知れない。けれど、こうした勝負したい、そして勝利したい、そうした気持ちは伸びるのに必要と思うんですよね。今はまだ弱点のこの性格、いかに変えていくのか、変わっていくのか。あるいは、これこそが強みになるのか。これからの一年生の変化に目が離せません。
『追風のジン』
完結しました。
ジンとの対決の果てについに倒れたフブキ。いよいよ年貢の納め時かと思ったその時、自身をすでに妖怪であるといい、スパナから奪った風魔結晶の力をココロの血でもって解放しようとしたその真意。はたしてこれは最後の悪足掻きだったのか、あるいは身も心も妖怪となり果てて、その上で討たれようと思ったのか。
後者と思われてならんのですね。ココロの忍法、その力を解き放たせ、その技の前に倒れたフブキ。最期の言葉は、グレンとフウカ、かつての仲間への思い、そして次なる者たちに送る、グレンの封印を解くための情報。こうして罪を償うとともに、次代へと思いを、やるべき仕事を託さんとあえてこのような決着を望んだのでしょうね。
フブキとの決着はなりました。風魔結晶の謎についても語られました。そしてハッピーエンドに繋がる可能性が残されました。そのいつかくる明日に向けてふたたび歩みはじめるジン、ココロ。今回の決着こそはビターでありましたが、いずれこの苦さをそそぐ、そんなしあわせな結末が彼らの旅路の果てに訪れることを願うばかりです。
『花唄メモワール』
桐喜と和奏の別れ。この日、この時をもって過去を過去とし、ふたりはそれぞれの未来に向けて進みはじめる。といった雰囲気でありましたのに、和奏さん、普通に花瀧屋に出入りしてますのね? 今回も当たり前みたいに味噌づくりに参加していて、ああなんか楽しいな。堅物に見えていろいろしたたか。融通きかなさそうで、椿を抱き込むために袖の下、少女誌を都合するなどなど。このやり手感、いいですね。ぐっと魅力が増しますね。
さて、今回は藤野と梅に焦点が当たりますよ。女学生への憧れを口にする藤野に、なんちゃって女学生に扮して町に繰り出そう。梅が提案してみれば、おお、藤野もその気になったみたいですね。着物に袴、髪型も女学生風にしあげて、その姿、実に可憐。表情には、梅とのお出かけを楽しみに高揚する藤野の気持ちが表れて、いや実にいい情景でありました。
町では能楽を見物。その後はお買い物にお食事に。あ、味噌田楽は令和の梅が食べていた、そのお店のものなのかな? ぺろりと一皿たいらげて、対し藤野は初めての経験にわくわくと。そして帰途にて、意外やおてんば? 藤野の思わぬ一面垣間見て、こうして同じ時を過ごし互いを知っていく経験や麗し。
知るばかりでなく、こうした時間の積み重ね、大切な誰かと一緒に過ごした大切な思い出、それが藤野を救うことになるかも知れないと、梅のうちに兆した希望。それもまた麗しいと感じた一幕でした。
そして最後に登場した眼鏡さん。この人は前回ラストに登場した人ですね。この人はどのように梅ないしは花瀧屋に関わることとなるのか。ええ、素敵女史です。期待ですね。
- 『まんがタイムきららフォワード』第17巻第8号(2023年8月号)
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