『まんがタイムきらら』2018年5月号、一昨日の続きです。
『城下町のダンデライオン』。文化祭に向けて、劇の準備に頑張っているアンジェたちですよ。クラスの皆と親交を深めていくアンジェの様子は、見ていてとても喜ばしいものあって、この子にとってはこういう生活や友達が大切なのだということ、こうして序盤にしっかり描いてみせたのは、ああ、終盤の展開のためなのですね。トラブルで、台無しになってしまった背景大道具。翌日、朝から皆で直そう。しかし間に合うだろうか……、という局面でアンジェの能力が使われるのですが、ああ、壊れたはずの大道具、すっかり元通りになって、けれどこのことをアンジェが自分がやったといわなかったの、能力を隠すためだと思ったら違ったんだ。どんなモノも元に戻すことのできるアンジェの能力は代償として思い出を失ってしまう。この代償のせいで、修復したということも忘れてしまったのか。出てこない劇のセリフ。また親しくなっていたノリとの距離も少し広がっているという、その状況。はたしてアンジェはどれだけのものを失ったのだろう。もうアンジェには、なにを失ったのかということさえわからないということが、なにより悲しいことでありますね。
『三者三葉』。大変だ。ただでさえ天使のような葉山ちゃんが、お姉ちゃんのためになることをしたいだなんていいだして、ああ、受験に頑張ってる姉をねぎらいたいのだなあ。なんていい妹。前回などは、葉子様の成長を描いていたわけですが、こうして葉山ちゃんや、いずれは双葉のことも描いていくことになるのかも知れませんね。さて、今回は葉山ちゃんが姉のために夜食を作ることになるんですが、それで双葉に相談したら、カツ丼とかカツカレーとか、めっちゃ重いのが提案されるし、むしろ今回は薗部の提案の方がまともだっていうんですよ。ココア。マシュマロ浮かせればどうですかって、いかにも葉山ちゃんの好きそうなの出してくる薗部、さすがやわ。今回の、葉山ちゃんが料理できないと思われてるところとかに顕著なんですけど、この子たち、ほんとぎりぎりの危険球を投げあってるみたいな対話するんですけど、それが気の置けなさ、親しさを感じさせていいんですよね。そして最後、ココアを用意する葉山ちゃんの失敗、嬉しそうにして、そのまま自分で飲んじゃったりして可愛い。姉にココア持っていって、感謝されて、しみじみ思いを噛み締めてるところなんかも素晴しい。とても美しい姉妹のエピソード、最高でした。
『放課後すとりっぷ』。人間関係、広がっていきますね。白石さんと秋映先輩が中学からの知り合いでした。それで一緒に勉強をしようって話になったりね、というか、秋映先輩が勉強苦手で、白石さんに教えてもらうのだね。でも、わからない時に後輩相手にでも教えを乞えるというのは、とてもいいことだと思う。こんなとこで変にプライド守ろうとして頑なになってもしようがないですもんね。この勉強会に林檎もどうかと誘われて、ああ、林檎は秋映との関係、うまくいってなかったんだ。でも、これをきっかけに仲良くなりたいって、ええ、人間関係が広がっていきますね。次回、勉強会がどうなるか、楽しみでありますよ。
『ぽんこつヒーローアイリーン』。アイリーンが火星に帰るって決めちゃったんだ。アイリーンをダシに、地球に入り浸っていたマリーヌにとっては一大事、っていうんですが、それより問題はメロンですよ。せっかく仲良くなったんだよ? そのアイリーンとお別れしちゃっていいの? ああーっ! とめないんだ。むしろ背を押すんだ。自分は悲しい、別れはつらい、でもアイリーンの決定を尊重して涙の別れですよ。あばっば、もうね、つらい、悲しい。明るくふるまおうとつとめるメロンの、その笑顔が切ない。火星に帰ること、それがアイリーンの悲願であること、わかってたからなんだろうな。そしてアイリーンの火星に帰ろうと決意した理由。前回アイリーンが見た夢、そこで昔の自分に、立派にヒーローやってるよっていえなかった、このためなんだ。でも、そんなアイリーンに、地球でやってきたことは無駄なんかじゃないんだってマリーヌがいってくれたこと、これ、泣けるよなあ。ほんと、アイリーンの頑張ってきた証しであるストーンの数々。いつかアイリーンが、立派にヒーローやってるって昔の自分にも誇れるようになれればいいって、そしてまたメロンとあえたらいいって、願わずにはおられないエピソードでした。
- 『まんがタイムきらら』第16巻第5号(2018年5月号)
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