2018年4月18日水曜日

DEVILMAN crybaby

 このあいだから、ちょくちょく話題に出しているNetflix。『超高速!参勤交代』を見たのもNetflix。『震える舌』もNetflixでした。最初のうちは、Netflixを利用するつもりではなかったのですよ。なんせHuluに入ってる。dアニメストアも利用している。この上、まだVODサービスを増やす必要があるかね。ええ、あったんですね。あったんですよ。

それは、Netflixオリジナルのアニメーション。どうしても見たい。これを見ないことにははじまらない。もう矢も盾もたまらず、公開開始直前にNetflixの利用を開始。全話が一度に公開されたそのアニメーションを、二日かけて見通して、おおお、これはすごい。ものすごいぞ。圧倒されるにまかせて、見終えたその時にはもう魂が抜かれたようになっていました。

そのアニメとは『DEVILMAN crybaby』。永井豪の漫画『デビルマン』を原作ベースでアニメ化したものなのですが、なんといっても監督が湯浅政明でしょう。この人、アニメ『四畳半神話体系』を作った人。『夜明け告げるルーのうた』と『夜は短し歩けよ乙女』を2017年に公開して、それで年明けすぐに『デビルマン』。もうね、期待するしかないじゃありませんか。この人、ちょっと他にはないようなアニメを作ります。独特の感性が支える世界観に、絵が動いて面白い! という、アニメーションの楽しみの根幹を思い出させてくれるような動画を見せてくれる稀有な才能。これは、『デビルマン』もすごいことになるぞって、もうずっとずっと楽しみにさせられてきて、そしてやっぱりすごかった。ちょっと、こういうの、なかなかほかにないよね。そう思わされるすごいものだったと思います。

1972年に連載の開始された『デビルマン』を、2018年にアニメ化するにあたり、スマートフォンやSNSなど今を感じさせるいろいろを盛り込み、しっかりアップデートしてきたその手腕。さすがのひとことでしたよ。物語がどのように推移していくのか、その基本は原作から外れることなく、しかし湯浅政明の色もしっかりとつけてきているというのもまたすごい。びっくりしましたよね。ラップですよ。ええ!? マジ!? なにこれ!? 最初こそさすがに戸惑いまくったものの、次第に慣れたか自然と受け入れてしまっていて、ラップに託し語られる心情、ちょっとね、あなどってたかも知れない。こんなに揺さぶられるものだとは予想もしませんでした。そして、終盤においての彼らの存在感。したたかに打たれましたね。ええ、『デビルマン』の物語は、人間性の所在を問うものだ、そのように考えている私にとって、社会から排除され、偏見の目を向けられながらも、それでも自身の拠って立つ位置を誤らなかった彼らの存在は大きいものと映りました。

そして、牧村美樹。彼女の存在も大きかった。もちろん、原作においても美樹がどれほど明にとってかけがえのない、大切な人であったか、これでもかと描かれていたわけですが、crybabyにおいては、美樹自身が世界に対し語りかけ、働きかけることで、その変革に寄与することとなる。より一層の主体性を持たされることとなった、そういってもいいでしょうか。美樹が物語上の重要性を増すことで際立つ悲劇性。彼女の行動、そこに浮かび上がる人の心のあり方、共感し理解し、許し合い、受け入れる、そうした強さが鮮やかであればあるほどに、押し寄せるように投げかけられる無理解、偏見、悪意、人の心の影もまた色濃くなって、ああ、こうしたものを日々私も目にし、身近なものとして触れている! ゆえに、crybabyは、今を生きる私たちのための『デビルマン』! まさしく今現在に生起し脈動する『デビルマン』なのだ。そうした思いを強めることとなったのでした。

さすが湯浅政明です。個性的なアニメーション。癖が強いともいいます。好き嫌いもあるでしょう。どうしても、これ受け入れがたい、そういう人もあるでしょう。ですが、よほど嫌いというのでなければ、ご覧いただきたい。そうして、是非圧倒されていただきたいと思うのであります。

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