2009年10月11日日曜日

いもうとデイズ

 私は、篠房六郎のために『アフタヌーン』を買っています。それはつまりいいかえれば、『百舌谷さん逆上する』が終われば、購読をとりやめるということにほかならないのですが、けれど『百舌谷さん』しか読まないということもまたないわけで、ええ、全部読んでるわけじゃないけど、気にいって読んでる漫画も結構あるんですね。たとえばそれは『友達100人できるかな』で、そして今日とりあげる漫画『いもうとデイズ』であります。今、気にいってる漫画といったらこのふたつが双璧かなあ、なんて思います。

『いもうとデイズ』は、ホストやってる兄さんが、当然できた妹と同居するという話です。妹は、父親の再婚相手の連れ子。しかもフィリピン人ときたものだ。なかば押し付けられるように託された妹。全然乗り気でなかったのに、それでも無下にできない、そんな兄さんの人のよさがなんだかいいんです。複雑な家庭事情から、ちょっと荒んでしまっていた兄さんですが、妹ディアナと暮らすようになって、だんだんとやわらいでいく。面倒見よく、自分も仕事たいへんなのに、睡眠時間削ってディアナの勉強みてあげたりする。

最初、この漫画がはじまった当初は、可愛い外国人の妹ができました。ほら、可愛いでしょ? というような漫画かと思っていたのに、この勉強のエピソード、学校で孤立しかねないディアナの境遇につらいななんて思っていたら、それを兄さんが少しでもなんとかうまくいうように支えてくれてるように感じられたものだから、もうなんだかじんときちゃってさ、いい漫画だなって思ったんです。

兄さんのホストとしての生活や、それからディアナを取り巻く環境もろもろ、全体にやさしげで、苛烈な現実の厳しさというようなものは克明には描かれないけれど、現実の重さに疲れてしまっているような人には、逆にそうした甘さが嬉しいかも知れません。ホストの兄さんは、ディアナがきたのをきっかけとして、これまで避けてきた近所付き合いをするようになって、交友範囲を広げていったかと思えば、ディアナのクラスメイトの女の子にちょっと惚れられてしまったりとか、そういったところ、ちょっと面白い。実際、この人、不安定な仕事で、しかも成績もそんなによくないときているけれど、人のいいところとか、やさしいところとか、家庭人としてはむしろ当たりだよなって思うんですね。そうした、完全でないところ。けれど、それでもまわりから受け入れられていくところ。いいなって思いながら読んでいます。

ところで、単行本のおまけ漫画。ディアナの想像がちょっとブラックで、いや、この娘のことだからきっと悪気なんてまったくないと思うんだけど、それだけになおさらブラックで、面白かったです。本編ではちょっと見られないかも知れないディアナ、なんだかよりいっそう好きになってしまったのでした。

  • 田中ユキ『いもうとデイズ』第1巻 (アフタヌーンKC) 東京:講談社,2009年。
  • 以下続刊

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