『まんがタイムオリジナル』12月号、発売されてます。表紙にはカニを食べる山下、その表情がもうやたらめったらしあわせそうで、見てると私もカニを食べたくなってくるくらいですが、でも実はそんなにいうほど、カニは好きじゃなかったりして。そして、師長。なにされてるの? 今号表紙は鍋とお酒がテーマなのか、ふたりで鍋をやっているらいか竹田組があれば、ひとり酒を飲んでいる榊、なんか色っぽいのはいいけど、むしろ危険な感じがするカナさん。って、髪まとめてるのカニじゃないか。あれは飾りなのか、飾りと見せて確保しているのか、いずれにしても後ろからは見たくない姿だと思います。
『ささきまみれ』、いつぞや笹木まみのバイト探しスキルの高さが羨ましいだなんていってましたが、けれどそれは運がいいとか要領がいいとかいう話ではないんだなというのが今回わかって、なんと毎日面接に落ち続けられる人、それが笹木まみであったというんですね。そうかあ、簡単に見付けられるのではなくて、失敗を怖れず、失敗してもくじけない、それが笹木まみであったのだなあ。雑草みたいだけれど、そうした生存にかかる意識の確かさ、それはちょっと羨ましく思います。というか、見習わないとな。
『今日から寺バイト』、やっぱりあの奥さんは可愛い。で、この奥さんの常識人であるところ、あるいは寺の娘としての意識がいわせてるのかも、不幸が仕事になる、それを喜ぶかのような反応は駄目だよと、夫に、そして弟にきつくいってきかせる、その態度の凛々しさ。素晴しいですね。ところでこの弟、かなり駄目なんじゃ……。奥さんの可愛さだけがいいってわけじゃなく、それこそお寺、僧侶の仕事のひとつである葬儀においての風景描いて、雰囲気を重くさせず、けれど葬儀のしめやかさも少し感じさせて、など。悪くなかったです。
あ、思い出した。私、女性のどんな格好が好き? って聴かれたら、喪服って答えるような人間でした。そりゃ、奥さん、魅力的なわけですよ。あの、記帳お願いしているところの表情、大変に素晴しかったです。
『開運貴婦人マダム・パープル』は伸子大活躍。微妙に能力の高い伸子、相変わらず味わい深いキャラクターだと思います。そして、まさかの反魂香。こんな展開になろうだなんてちっとも思わず、やられました。でも、ゾンビになって返ってくるだなんて、ちょっとした『猿の手』展開ですね。
『恋は地獄車』。後藤さん、素晴しいな。社内一のモテ子かどうかは知らんが、私はああいう女、大っ嫌いでありまして、それを後藤さんったら、流石だ。けど、私はああはいわん。ああいうこというと、女子の派閥に巻き込まれかねんからな。しかし、この漫画に出てくる人、男も女もろくなのいないなって感じなんですが、そのろくでなしどもがこんなにもおかしくて、こんなにも愛おしいと感じられるのはなぜなんでしょうか。とりあえず、万里子は魅力的だと思う。それで、高橋君。彼のことちょっと好きになってしまいそうです。まあ、身近にいると困るタイプなのは確実なんですけども……。
『ただいま勉強中』。良い子が好きです。あの掃除中の上だけジャージ姿、旅行代金差額についての疑問呈するところなど、素晴しく魅力的であります。さて、本編、修学旅行のいきさきの疑惑なんですが、よくこういう展開にしてみせたもんだという、ナンセンスなんだけれど、それをぎりぎり現実的なラインに置いて、あっちにこっちにいったりきたりさせられるような感じがよかったです。しかし、理事は面白い人だなと。この人がでると、ありえない、ありにくいラインがありえると思えてしまう。そうしたところが最大限に発揮されたと思わせる落ちでした。
『たまき恋愛妄想族』。四コマ誌にまたも眼鏡ヒロインが増えました。芳文社って眼鏡強化年とかに入ってるの? 失恋をして、男を避けようと異動を希望したヒロインが配属されたベビーブランド、そこは男だらけだった。しかもいい男ぞろいという。恋愛体質のヒロインは我慢できるのか? そんな話であるみたいです。
『ハッピーエンドではじめよう』は、いわゆるコレクターといわれるような人には共感できる話のように思えて、ええ、私もこの主人公の思ったようなこと、時に思うんです。自分は過ぎ去るものを、過ぎ去るままに送ることに耐え切れなくて、ものを手放せずにいるんですね。記念物型のコレクターなんだと思います。失われること、損われることがつらくて、けれどいずれすべてを手放す日がくるってことはわかってるんですね。今までためこんだもの、それだけでももう消費、観賞しきれないのに、まだまだ増えていくだろうという、この無意味。この虚しさに気付きながら、捨てられないのは弱さなんでしょうね。解放。この漫画では生まれ変わりがあることになっているから、死んで解放でいいけれど、現実にはそんなことないんだから、だから、死んでから解放では遅いんです。わかっちゃいるんです。わかっちゃいるんです。
『L16』。おおお、千本兄弟の運命が動き出したのか? きっと芽は出ないだろうって思うんだけど、どうなるんでしょう。基本はふたりだけで充足している姉妹。それがためか、千本兄のアプローチにはちっとも気付くことなく、だからもしかしたら次回は上司同伴とかか!? スムーズに運ぶにしても、とんだひっくりかえしがあるにしても、どちらにしても面白そうです。
『(仮)アイドル!』。やっぱり往年のアイドル白井さくら、社長じゃん! 元タレントという経験ゆえか、それとも能力なのか、リアクションについて実演してみせる社長。そしてカラオケ。ところで、私、思うんですけど、社長に関しては、アイドル時代よりも、今の方がずっと魅力的じゃあないかって。まあ、好きな女性の格好はって聞かれると、フォーマルなスーツって答える人間ですからね、私は。そりゃ、社長の姿の方がいいっていうのも、当たり前かも知れません。
『マチルダ! — 異文化交流記』。バードコールだけど、これ知らない人いそうだな。思い立って製作。柱を削ったら、家の強度が下がっちゃうじゃんか。しかし、やりたい放題のマチルダだけど、悪気がどうもなさそうというところがいいのか、見ていて嫌な感じはしないです。肌スコープから鳥の餌。そして肌の拡大写真。ナンセンス、確かにナンセンスなんだけれど、そのナンセンスさがすごく好きです。
『アトリエZOOへようこそ!』、終わっちまうのかと思ってハラハラしました。いや、ゲストか。いずれにしても怖ろしいな。次号最終回と告げられてモチベーションを低下させる先生。テンションさがるのはなんだかよくわかります。けどアシスタントがはげまそうとがんばってくれたりするところ、人望はあるんだ。そして、悪事の告白。これ、めちゃくちゃ面白いな。対応しきれなくなってる、その様子が電話ごしにありありとわかる。めちゃくちゃ面白かったです。基本的には空騒ぎ。けれど、空回りにはなっていなくて、読んでいてすごく楽しいです。
『おかまん研』、だんだんまとまりがよくなって、すっきりしていって、読みやすくなったのはいいけれど、最初のあの混沌としたノリも捨てがたい。キャラクターは可愛くて、岡山という土地がそうなのかどうかはわからないけれど、地味に落ち着く、そうしたところも悪くないです。がんばろうという姿勢を見せて、けれどぎらぎらとしていない、そうした塩梅がどうも気にいってるみたいです。
『ひよりすと』。この弟、妹は、どんだけお姉ちゃんのことが好きなんだろう。目がクリっとしてショートヘアで小さい子が好きよ
、って、これだけだとなんだか凶悪だな。でも、このお姉さん、扉絵のとおりなら、ただちんまくって可愛いわけじゃないんだと思う。普通に、あたりまえに可愛いのだと思う。だもんだから、そりゃ弟があんなに怒るのもわかる気がします。愛する相手なら、吐瀉物もしっかり受け止めるがよいよ。
『先生のたまご』、やったぜ、連載だ! お昼ご飯をめぐる騒動。というか、弁当忘れて財布も忘れる化野先生がわるいのか。というか、ボールが出てくるってどういうシチュエーションなんだろう。大学の先輩のお家が、高校の食堂を経営してるんだけど、こんなに皆が食べてくれるんなら、さぞ商売としてはおいしいだろうな。大きく発展したりはしないと思うけれど、つつましく生活するにはよさそうだな、なんて思ってしまった自分がちょっと悲しいです。しかし、食事に関してのことはどうも人間を本気にさせるところがありますよね。この間、職場で注文した弁当の配達が遅れたんですが、そのときの皆の絶望感思い出して、だから化野先生も保取先生も、あの落胆、そしてあの幸福感、大げさでもなんでもないなって思いましたよ。しかし、シンプルな騒動。楽しくっていいですね。ああ、こんな学校なら、私も働きたいくらいです。
『そこぬけRPG』、困った社長だな、相変らず。こういうわたくしと経営をごっちゃにするような会社は危ないと思います。って、そうか、だからか……。ところで、妻と姑の話。私は母に、もし自分が結婚することがあったら、あんたは間違いなくその相手を悪し様にいうに違いないから、自分は妻の人の味方をするよと、絶対あんたの味方はしないよと既に宣言してあります。でも問題は、当面結婚の予定がないところだな。それどころか相手もいないところだな。
悲しくなってきた……。というわけで、また来月! とはいきません。もうちょっとがんばる。
『花咲だより』の卓上コンロは、この作者の真骨頂だと思います。こういう無茶、思い付いてもやらないこと、それどころか思い付きそうもないこと、しかしやろうと思えばできること、それを絵にしてくれる。このシンプルに絵で笑わせるという基本がすごくいいと思っています。そして鍋奉行ならぬ鍋独裁者が登場して、けれど失脚。子供っぽい、そんなお姉ちゃん、実にこの人の味が出ていて面白かった。ところで、コーンフレークだけれども、プレーンすなわち味のついていないものなら、そんなに酷いことにはならないように思います。どうなんだろう。絶対試したくない。だからその答を知る日は私にはきっとこないと思われます。
- 『まんがタイムオリジナル』第28巻第12号(2009年12月号)
引用
- 魔神ぐり子「ひよりすと」,『まんがタイムオリジナル』第28巻第12号(2009年12月号),112頁。
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