2009年10月29日木曜日

『まんがタイムきららキャラット』2009年12月号

『まんがタイムきららキャラット』12月号、買ってます。表紙は『GA — 芸術科アートデザインクラス』、カートゥーンっぽい表現と、日本漫画の表現が折衷されたような絵はちょっと面白く、リキテンシュタイン思わせる網点表現あり、けれどトーンワークっぽくもあるという、この見せ方、とてもいいと思います。ちょっとコントラスト強めでめりはりのある色彩、躍動感のある構図。白黒原稿と彩度の低い背景は地味といってもいいくらいだというのに、その地味さが如月を浮かび上がらせて、動きはあるけど派手でなく、落ち着いた雰囲気だというのにビビッドでもあるという、やっぱり面白い表現になっている表紙であると思います。

GA — 芸術科アートデザインクラス』、本編ははがきの話。絵はがき作ろうという話であるのですが、その前段として如月がお婆さまと絵手紙文通やってるというエピソードがあって、しかしそこにちょっとした謎を持ってくるのがらしくてうまいです。白いはがき。それが伝えるのはなんなのか。そこに自分はなにを見ようというのか。観賞という行為は、対象を仲立ちとして自分に問い掛ける、そういう営為であるのだなあと思わせる展開はとても素敵で、そして表現とは伝えたいものをかたちにする行為であると再度確認させられる。そんな展開は、伝えたい思いと、感じ読みとりたい思いの反響するそこに芸術という営為は成立するのだという、ものごとの基本に立ち返らせるものであったと思います。

で、落ちまでおいしい。いい漫画です。

CIRCLEさーくる』は軍人将棋を紹介して、これ昔、スーパーのおもちゃ売り場で見て、欲しくて、やりたかったんだけど、買わずじまい、やらずじまいで今まできてしまいました。軍人将棋の問題は、プレイヤーふたりに判定役ひとり、三人必要ってところなんですね。その後、ファミコンのソフトで『帰って来た!軍人将棋なんやそれ!?』というのが出ましてね、やっぱり欲しかったんですけど、普通の軍人将棋も買えない子供がファミコンソフトなんて買えるはずがない。だから、こんな風に部活でわいわい遊べるっていうのはちょっと羨ましいなって思います。やっぱりボードゲームは、人とやるのが楽しいですよね。

『チェルシー』。友人がバイトしているとわかると、皆で押し掛ける、これは基本だと思います。私も高校の時分、やったもの。喫茶店でバイトしている先輩をひやかしに、四人くらいでいったんかなあ。それはそれで集客になるからいいんだろうけど、また、あんまり酷いことすると復讐されるから、おとなしくしてましたね。懐かしい。しかし、『チェルシー』の面々は、おとなしくしてるとはいえ、やっぱりちょっとわいわいとして、華やかでいいなあ。そう思います。でもさ、友人から突然大声とか出さないでと釘さされるっての、いろいろ問題のあるお嬢さんだなあと思います。

キルミーベイベー』は、めずらしくソーニャちゃんが劣勢で、やせがまんするなんて、らしくないなって、けれどなんかいつもと違う様子がよかったです。というか、やすなのパンチってそんなに効くのか。あるいは、ソーニャちゃんって鍛え方たりなかったりする? まあ、筋骨隆々のソーニャちゃんとか見たくないので、そのままでいて欲しいと思います。ところで、マジ泣きやすな、ちょっと可愛いなあ。可愛くて面白い。ああいう、やりすぎて泣いてっていうの、子供そのもので、見てて本当に楽しいです。

ひだまりスケッチ』、巣立ちの話。ナイーブななずなと、ちょっと荒っぽい乃莉と、ちょっとふたりがいい感じ。ゆっくりでも、変わっていける。そういう気持ちの描かれて、なんだか悪くない雰囲気でした。

『アクアリウム』、連載になったようです。きっとなるんじゃないかなって思ってました。これまで目立っていたのはヒロイン、熱帯魚店の娘と、そしてなんか不調法な男子。けどそこに、それぞれの友人、関係の輪を広げていくという様子がうかがえて、ちょっとこれは面白そうだぞと、そんな気分になっています。私はまだこの漫画のテンポにのりきれていないのだけれど、うまく歩調があうようになるといいなって思っています。

うらバン!』、劇中でもいわれてたことだけど、この時期から新部員募集するんだ。ちょっと驚きました。そして、なんだか非常識な新キャラの気配をさせて、いやいくらなんでもスカートは忘れんだろう。いや、作中でも非常識と認定されてるから、これはこれでありです。しかし、今回の見どころは、ちゃんと授業やってるところ。それは冬美、コハルもそうだけど、そう、黒目先生ですね。やっぱりこの人、音楽の教員だったのか。出鱈目な大人といわれてるけど、ちゃんとするときにはちゃんとしてるんだなあ。その意外な側面、といっちゃあ失礼だけど、ちゃんとしたところもいいなって思って、ええ、なおさら好きになりました。

そして、新部員。ケースからしてトロンボーン? はじめての中音域? いいじゃん。アンサンブルとしてのかたちができていきそう。なんかわくわくさせる展開でありますよ。今回のばたばたとしてにぎやか、楽しい雰囲気に、ちょっとした期待させてくれる要素が加わって、これからどうなるんだろう。いい回だったなって思います。

『アイノテ』。ネガティブな女の子が、田舎に転校してきた話でしたね。学校では起きられないけど、好きなアニメなら起きられる。その気持ちはわかります。最近、アニメでは起きられなくなってる私ですけど。だらだらとして覇気のない、そんな娘がヒロインだけど、新しくできた友人につれられて、あちこち、お寺など見てまわって、それは事件というのでもイベントというのでもない、そんなささやかな体験だけれども、ささやかなことにもささやかながらの楽しみや面白さがある、そんな雰囲気に私も楽しさ面白さをおぼえる思いでした。

『ラッキー・ブレイク』。不況から芸大中退を余儀なくされたヒロインが、バイト先での出会いをきっかけに仕事を決めた。はたしてその会社とは? デザイン会社でした。ところで、この漫画の舞台、大阪みたいなんですけど、ってことは大芸大? と思ったけど、名前からすると京都精華大? まあ、そんなことはどうでもいいや。はじめての職場、はじめての仕事に、戸惑ったり舞い上がったりする様は、なんかいいですね。憧れた職業といってもいいのか。そうした現場に立って、技量を発揮していくところはすごくいい。そんなヒロインに嫉妬を感じる人もいる、そうしたところもすごくいい。嫉妬だけではあかんけど、けれど嫉妬や悔しさがないのもあかん。そう思います。天真爛漫なヒロインの思った以上の能力の高さ。そいつを目の当たりにして、このちゃこという人はどう対していくんだろう。

まあ、人の能力に嫉妬したり、落ち込んだりすることはあるんだけどさ、それでも自分にできることをできるようにするしかないわけで、不器用なら不器用の、歪ならいびつのありかたを見付けるのがいいんだろうなって。そうした話になったらいいななんて思って読みました。

かくしてここで力尽きて、残りはまた明日。最初からわけるつもりだったから、全部にコメントしようと思ったけど、やっぱり無理。明日はとびとびにします……。

  • 『まんがタイムきららキャラット』第5巻第12号(2009年12月号)

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