2009年10月27日火曜日

レンタルきゅーと

 はじめまして、こんにちは! お馴染みの人もこんにちは!! 『レンタルきゅーと』が出ましたよ、というわけで買ってまいりました。なんだかすごく懐かしい。思えば、『ROM-レス。』と『レンタルきゅーと』が、この人の出世作というか、お目見えだったんですよね。代理原稿だったかゲストだったかとか、そういうことは覚えていませんけど、なんだか印象に残る、そんな漫画で、気付けば単行本も巻を重ね、そしてついに『レンタルきゅーと』も出版されました。やれ、ありがたいことであるなと思って、しかしこの漫画は他のに比べてもずいぶん毛色が違ってるなと思います。底にあるものは一緒、風合いもそう変わるところはないんだけど、けれど開けっ広げな面白さというのが最大限に発揮されているように思います。

中盤くらいから、アクセルの利きがよくなったというか、これは!? というようなネタがばんばん出てくるようになった『レンタルきゅーと』。いや、もともとから、ちょっと狙い目、際どい目のネタが多めの漫画だったように思うんだけど、一気にそうした傾向が加速したと感じられる時期がありまして、あの首輪とかさ、もう思いもしないもんが思いもしないように突き付けられて、笑わずにはおられない危険さです。これ、ちょっと人前では読めないなって、我慢できずにきっと笑ってしまうから、そんな具合なんです。で、カバーをとった下、恒例の解説ですが、それを見ると、加速したと感じられるところ、そのあたりで連載になってるんですよね。それまでがちんたらしてたみたいなことは決してないのですが、連載になってからのノリはそれまで以上に前向きにテンポよくなって、ああ、このテンポのよさはよいなと思ったりするのでした。

さて、レンタル・キュートっていうのは、ヒロインらびたちが働いているお店の名前です。この世界には、ハーフペットという人と動物の合成種が存在していて、彼ら彼女らとの交流を求める人たちのところへ、らびたちハーフペットが派遣されるという、そうしたサービスがなりたっているんですね。うさぎのらびや、犬のポチ、ほかにも猫、インコ、狐とあって、彼ら彼女らが中心となって活躍するってわけなんですが、その活躍というのも、種の能力を生かしたものあり、あるいは幼さや世間知らず、あるいはただただその当人の個性発揮するものありといった多様さで、ちっとも飽きさせない。むしろ、個性の見せ方、立たせ方がうまいものだから、種の特性なんてものも個性に溶け込ませるようにして自然に見せて、ただこんな能力持ってます、ってだけに留まりません。ええ、面白いです。ポチとらびの確執に発する大喧嘩、ちまの恋心、などなど、そこにはもととなる動物のらしさが描かれ、ハーフペットという設定にもとづいた展開が見られ、そしてそれらをキャラクターの魅力が包み込んで、ほかのなにでもない『レンタルきゅーと』の面白さを作り上げているんですね。ぴりりと辛かったり、ほろりと苦かったり、けれどとてもスイートな、そんな味を楽しませてくれるのです。

悪ノリっぽいもの含めて、すごく面白くて、けれど最初の数年は、これがこうして連載化するなんて思ってなかったし、ましてや単行本になるなんて夢のようだって思います。いや、ほんと、ありがたい。こうしてまとめて読めば、想像以上の破壊力。気楽に読めるのに、気付けばぐいぐいと引き込まれてしまってる、そんなところがある漫画であります。

あ、そうだ。こないだの『MAX』で一話扉と見比べてみようっていう話ありましたよね。見比べましたよ。いや、なんだ、どちらも悪くないですよ。笑うなんて、ありえません。今の絵の方が目が縦に大きくなって、こころもち可愛さが強くなっているって感じなのですが、じゃあ昔はどうだったんだっていわれたら、ちょっとお姉さん風、これはこれですごく魅力的と思えます。いや、悪くないですよ。これはもう好みの問題で、今がいい、昔がいい、両方いい、ちまがいい、いやほんと、悪くないです、よかったです。

  • 白雪しおん『レンタルきゅーと』第1巻 (まんがタイムKRコミックス) 東京:芳文社,2009年。
  • 以下続刊

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