2011年7月31日日曜日

チェリーブロッサム!

 見よ、単行本表紙のこの威力! いえね、綱島先輩も大倉山先輩も、そりゃもう魅力的な女の子なんですけど、ここまでキャッチーな表紙になってくるとは思いもしてなくて、最初、単行本の広告ですね、見たときには、おおう、すごい、なんだこれは、強烈なインパクト、見事にやられてしまったのでした。はつらつとした綱島先輩、片や目元も涼しく艶やかな大倉山先輩。素晴しいな、その上カラーとなれば格別だな、そう思ってたら、表紙めくったところ、中表紙にてもう一度やられた。これまで見た、どの絵ともまた違う雰囲気、華やいで、素敵だな、そう思えるイラストだったのですね。

さて、『チェリーブロッサム!』。久しぶりにゲスト掲載の頃、冒頭ですね、読んでみて、そのあたりはやっぱり今と随分印象が違ったなということを再度確認しましたよ。絵柄がずいぶんとなまめかしい。なんというのだろう、身体の持つ生々しさというのを濃厚に押し出してくる、そんな感じがあって、当時はちょっと苦手に思ったものでしたが、読んでいるうちに慣れたのと、それから表現が大人しめに変わっていったのと、その両方でしょう、うまくマッチングした、そんな感覚があるのですね。

園芸部を舞台にした漫画です。先輩ふたりからセクハラをうける新入部員、大咲が主人公。健康そのもの、あるいは脳筋の綱島先輩は意図せずに、対し大倉山先輩は言葉も駆使して、あれこれ大咲を困らせるんですが、ふたりとも見事な脱ぎっぷり。大咲の前であっても、下着姿になることを躊躇しないところがありまして、こりゃ、いったいどういう人たちなんだ!? とにかくお色気で押してくる、そんな漫画なのかと思っていたら、いやいや、コメディとしてもよくできています。だんだんとキャラクターがこなれていくというか、会話やボケ、ツッコミなど、やりとりがどんどんうまくまわるようになっていきまして、時にはコミカルに、そして時にはちょっとシリアスに、キャラクターの魅力、コミュニケーションの面白さが描かれるのです。

しかし、ほんと、その魅力というの、すごいですよね。ヒロインにスポットライトが当てられる。えっと思わされるような意外な表情、思いもしなかった反応が描かれる、それがもう強烈に働きかけて、ああ、なんてこの人は可愛いんだろう。いや、その威力たるや半端なものではありません。脳筋、はつらつ、大雑把、そんな印象のあった綱島先輩なら、ちょっと気弱で怖がり、健気な様子。はすっぱな言動の目立つ大倉山先輩だったら純情など、本当に意外、なんと、実際はこういう人だったのか。これまでの印象との落差もあるのでしょうが、強烈な可愛さを生み出して、これはものすごいな、絵や設定じゃない、キャラクター間のコミュニケーションの上に成立する説得力ある可愛さ。見事であるのです。

登場人物は、大咲、綱島先輩、大倉山先輩だけでなく、園芸部顧問の新丸子先生に、幼なじみの菊名つばき、そして妹の咲野。皆それぞれに魅力的で、しかし大咲はもてますね。どちらかといえば朴訥な少年、けれど彼のそうした人柄があるから、ヒロインの魅力がよく引き出されるのかな。ええ、実際そうなのだと思います。

あ、そうそう。冒頭の描き下ろし漫画、あれは、なかなか、なるほどでした。見られることに頓着しない、けれど純情な先輩、あの人のそうした性格はこうした背景あってのものであったか、実に納得させられるものがあったのですね。しかも、サービスあり。ええ、絵の魅力、シチュエーションの魅力、それらをしっかり盛り込みながら、別の要素、メインの流れにうまく繋げていく。こうしたうまさが、この漫画の支え、土台となっていると感じさせられます。

  • 茶菓山しん太『チェリーブロッサム!』第1巻 (まんがタイムKRコミックス) 東京:芳文社,2011年。
  • 以下続刊

2011年7月30日土曜日

『まんがタイムきららキャラット』2011年9月号

『まんがタイムきららキャラット』2011年9月号、一昨日の続きです。

ねこのひたいであそぶ』は、目覚めたら雪ですよ。ものすごくハイになってる美紀は、実際、子供代表なのかも知れません。いや、雪の朝なんていったら、大人でもちょっとハイになってしまうものですけど、路面凍結を怖れたり、心配ごとがあるからなあ。ああいう風に、心底楽しみだけでいられる美紀、いいなあって思います。そして朝6時に苗の家に押し掛ける。えらい迷惑だな、というか、苗、いつもの格好じゃないと、ものすごく女の子っぽいな。登校、雪掻き、この流れはオーソドックス、そう思えるものだったのですが、その先に塩化カルシウムについての説明に自然にいきつくなど、いや、いいですよ。こういう、好き、面白い、興味が知的好奇心に隣接している、そうしたところ、この子らの、というか苗かな? の性質よく表していると感じられて、とてもいいんですね。

『セカイ魔王』は、前回出てきた魔物、先代魔王の頃の生き残りですね、そいつが接触してきた。マオはアルシャを先にいかせ、違和感をともに迫ってくる魔物を待ち受ける。なかなかに緊迫の展開? と思ったんですが、いやいや、普通にほのぼの、楽しい感じだなあ。いやね、この魔物、ニッカというんですが、彼女が別に人間に敵意を持ってるとかない、というか、魔物自体、もともとそういうものなのか、そうした性質によるものなんでしょうね。そしてニッカは、マオの力で、人と違っていた耳を人のものと同じにしてもらう。うん、普通に交流して、ちょっと仲良くなったりしてるよね。ええ、やっぱりちょっと一般にいう魔王と勇者、魔王と魔物の関係、それは望めない。そして、そうしたところが面白いです。

『エタ研』、ゲストです。永遠の命を求めていろいろ研究している麻菜と高校で再会した実柚は、その体格、低い背、小柄な体型から、アンチエイジングの秘訣があるとみなされ、エタ研 — エターナル研究会に引っ張りこまれる。 研究対象にされるわけですね。エタ研には他に、麻菜のことが好きな葉子や、不老不死にただならぬ興味を持っている顧問があって、こうした人たちに実柚は振り回されてしまう、そんな感じの話なのですね。けれど、不老不死の実験体、そうしたところよりも、勝手に葉子に嫉妬されて、尋常じゃない目で見つめられるといったところなど、気持ちの微妙に通じない、そんな不全な交流に面白さを感じました。

  • 『まんがタイムきららキャラット』第7巻第9号(2011年9月号)

2011年7月29日金曜日

『まんがタイムオリジナル』2011年9月号

『まんがタイムオリジナル』2011年9月号、一昨日の続きです。

『いえめし』、ゲストです。カルビさんというわんこと一緒に暮らしているお嬢さん、ええと、名前がわからへん。関西弁のヒロインであります。ひとり暮らしのご飯事情。結構マメかと思いきや、意外とどんくさい。いろいろやってみよう、ちょっと調子にのっちゃう? そんなお嬢さんなんですが、失敗したらしょぼんとしぼむ。あのいいわけとかね、可愛いわあと思います。しかし、基本的にひとりごと。でも、カルビさんがいることで、別におかしくない。ひとりで充足している、そんな雰囲気もいいなって、なにか楽しそうって思えて、ほのぼのですね。

『恋は地獄車』の後藤さん、一向になびく気配がないのがすがすがしいな。なびかない女、はるなと滝くんとの関係ともまた全然違ってて、いや、なんていうか、はるなは当座便利で面白いから使ってやってる、けど全然興味なんてないから、って感じの冷たいあしらいなんですけど、後藤さんは完全に面倒ないし怖れてますよね。徹底的に面倒ごとに巻き込まれたくない。そのわりに万里子さんを無視できなかったり、この人自体が面倒なところある、そんな風に思われてなりません。ところで、お医者ですが、えらい気のきいたことやりますね。おもしろお茶目なおじさんだと思います。

『うわさのユーレイちゃん』、なんとユーレイも暑いのか。しかも、付属品(?)のヒトダマが暑い。これは暑さに弱いユーレイには致命的ともいえそうですね。いや、すでに致命の後なんですが。しかしこれで、ヒトダマが落ち込んだり、気を使って離れていったり、それでユーレイが落ち込んだり、まさかこういうところでこういうドラマをやってくれるとは思いもしませんでした。いいですね、ユーレイちゃん。ゆったり、長く読んでいきたい、そう思える漫画です。

『お茶の間クエスト』、おお、シモン・ベルモントっぽい。けど本編はいつもどおりというか、節電で暑い、その対策にホラーゲームで涼をとる。けど慣れたゲームは、なにがどこでどう出るか、完全に把握してるから怖くない。それで新作、百物語っぽくゲームする。ナンセンスなんですけどね、だって、そもそも涼しくなってないし、百本やるというのもなしになってるし、出てきたゾンビもどうでもよくなってるし、とにかくゲームが面白ければそれでいい。ゲームに熱中して、暑さもどうでもいい、みたいになってるぽいですね。けど、それでいいんだと思う。そのふたりで楽しんでる、それがすごく、勝手なんだけど、この人ららしいよねって思えるんですね。

  • 『まんがタイムオリジナル』第30巻第9号(2011年9月号)

2011年7月28日木曜日

『まんがタイムきららキャラット』2011年9月号

『まんがタイムきららキャラット』2011年9月号、発売されました。表紙は、おお、『キルミーベイベー』、アニメ化ですよ。やすなが中央に扇子を手にして立っている、その扇子には祝の文字が見えて、いや、なんといいましょう、快挙といいましょうか、喜ばしいことだと思います。さて表紙のデザインはアメコミ風、といいますか、リキテンシュタインぽい。いや、アメコミ風にドットを強調した絵を見たら、なんでもリキテンシュタインと思うのは、悪い癖だと思います。

Aチャンネル』、我が目を疑いました。おおおお、ユタカがなんだかいつもと雰囲気違うぞ。いやね、この子、コンタクト忘れちゃった云々いってたことあったでしょう。だから、自宅では眼鏡なんじゃないかって思って、けどその姿を見る日はこないのだろうなあ。なんて思ってたのに、なにこの、冒頭から、狙い撃つかのようなサービス展開。いや、ほんと、なんて可愛いの、この子。ミポリンのこと、どんだけ好きなのか。そして、ユタカ、やればできるんだ。ほんと、なんて素敵なの。そして彼女らは放課後、トオルの家にいくことになって、あの一連の流れも面白かったなあ。あのエントラスだよのところとか、で、ここで靴脱いじゃったから、トオルの家の中では裸足になってるの。いやいや、ユタカがいかに素敵な女の子か力説してる場合じゃなかった。いえね、今回のエピソード見てね、いずれくる上級生組の卒業。トオルが三年になった時のこと。なんだかすごく寂そうな光景思っちゃうわけですけど、その時、トオルのそばにちゃんと友達はいるよってことが改めて確認されたようで、ええ、なんだかいいなって、安心するようなね、そんな気持ちだったのですね。ほんと、素敵な話でした。終始静かなトオルだったけど、気持ちまで静かだったわけじゃない。そんな雰囲気感じさせるラストも素敵でした。

けいおん!』、まいったな、めちゃくちゃ面白いよ。部員、設備、いろいろ足りてなかった軽音部に、まずは部員が集まり、そしてドラムが入り、ええ、だんだんに部ができあがっていく様子、すごくいいと思うのですね。そしてフォーカスは謎の一年生、奥田さんに移って、あの子の名前、直っていうんですね。いや、あの名前の明らかになったコマの奥田さん、なんて可愛いの! っていうのはいいとして、不器用、ちょっと変わりものの彼女が、自分にできることってなんだろう、いろいろ模索しているというの、あれは面白かったです。努力家、地味な作業をコツコツできる人。だんだんにキャラクターも見えて、彼女らの場もできあがっていきますね。ほんと、すごくいい感じです。また直の直面した理論家の限界なんてのも、すごく面白かった。というか、これまで割と気軽に人に楽器触らせてた梓が怖れてるのね。あれもいいわあ。気持ちよくわかる。そして、憂はギター(ストラト!?)、菫はドラムとパートが決まっていって、しかし直はどうなる? 絶望とともに辞めていこうとする彼女に、さわ子先生の提示した解法、これが見事でした。あの、音が出た時の彼女の表情の変化、自分に与えられた可能性に高揚する、そんな気持ちが見えるようで、本当にいい表情だった。ぐっときて、そしてほろりとする、そんないいエピソードであったと思います。

ところで、菫さん、とてもいいですね。ええ、とてもいいですね。お嬢様で苦労なさってるんでしょうか。本当、最高だと思います。

うらバン!』は、千夏先輩の引退が見えてきて、ところどころ切なさつのります。さて、合宿ですよ。離島で一週間の合宿。今度は島なんですね。OGるりの実家、片付けすること込みで割安で利用できるようになった、というんですが、以前金賞をとった時の思い出の合宿所でもある。けど、正直、ここで練習したから再び金に手がとどくか? といわれたら、それはちょっととか思っちゃうのも本心で、でも彼女らがその頑張りや思いに見合うだけの結果、成果を手にして欲しいと思うのも人情で、ほんと、これからの展開には不安まじり、期待まじりでありますね。そして、あの夜の千夏と冬美の会話。ちょっと台無しにはなったけど、でもあれは愛嬌ですよね。ほんと、これまでに積み上げられてきたもの、それがしみじみと感じられて、いいシーンになっていました。

『ぱわーおぶすまいる』、新連載、っていうのはいいのですが、ちょっと時間を巻き戻したのですね? ちょっと混乱しました。幼なじみの宗馬とまゆ、ふたりの入学式の朝の光景、そこから話はスタートして、ほんと、仲がいいなあ。そして虎道環と出会って、なるほどこの出会いから環はまゆに固執することになったのか。入学式にまで戻った皆の関係、そこからゲスト時代の時点まで進んで合流するのかな? いや、まったく違う設定にはなるまい。そう思うのですが、実際どう展開していくかはこれからですね。ええ、楽しみにしています。

  • 『まんがタイムきららキャラット』第7巻第9号(2011年9月号)

2011年7月27日水曜日

『まんがタイムオリジナル』2011年9月号

『まんがタイムオリジナル』2011年9月号、発売されました。表紙のテーマ、水着ですよね。水遊びかも知れないけど。赤いビキニの山下さんは、榊先生と撃ち合ってるんでしょうか。と思えば、師長が古典芸能的に水芸やってますね。他には、浮き輪にのったらいか、ビーチボールで遊ぶ『オトメシュラン』のふたり、って、ヨウさんは遊んでないか。そして『いえめし』のヒロインが水着で素麺食べてます。

今回、新作多めであります。伴い終了したものもそこそこあるのですが……。

『おかん』、小坂俊史の新作です。サツキのお母さんの話ですね。サツキ本人はしっかりした娘らしいけど、というか、このお母さんのもとで育ったから、しっかりせざるを得なかったのか? いや、お母さんだけじゃないな、両親というべきか。このおおらか、ダイナミックなおかんと、振り回される娘。面白いですよ。もしかしたら、誰もが思ったことのあるかも知れない、そんな大人の、おかんについてのもろもろが、これでもかって濃縮されている感じ。ちょっと迷惑? いや、けどこれ面白いですよ。

『あねぐるみ』、『ゲンセンカラン』の作者、森繁拓真の新作ですね。同じおもちゃメーカーに勤める姉弟の話。姉が上司、傍若無人、弟振り回される。そんな感じ。面白いです。姉さんがさっぱり、きっぱり、竹を割ったよう? 元気でね、存在感あってね、実力もあってね、振り回される弟からしたらたまったもんじゃないだろうけど、見ている分には、なんだかいい姉弟だなって思えて、いいんですね。弟、困ってはいるけど、抑圧されてるっぽさはない。それがいいなって思いましたね。

『ハコぺけ』、最終回! って、ええーっ、前回とかすごく面白かったのに。と、すごく残念に思っています。告げられる活動休止。ヘコむ面々、って、ヘコんでるのはてんこさんだけか。しかし、本当にてんこさん、ショックだったんだなあ。あの溜息とか、見てるだけで切ない。ああ、だからこそか、皆が心配しただけのことはある。そして、残党集まって、また場を準備してというの。うん、公民館なら、要件満たせば、そう苦労せずに場所借りられますものね。私は読者としてこの先を読むことはできないけれど、まだてんこさんたちの活動は続くんだと思うと、ちょっと嬉しくも思える。そんな最終回でした。

『深読みコミュ』、ゲストです。これ、面白いなあ。先月も載りましたけど、今月はそれ以上に面白い。考えすぎる人たちの物語。そして失敗してしまう人たち。いや、必ず失敗するわけでもないけど、でも悩んだ、考えたことがあさってに向かっちゃってるよね。その外した! って感じ、やっちゃったね! って感じ、面白くてたまりません。というか、ちょっと他人事じゃないなあ。そう思うのは、私も彼ら同様に考えすぎて外してしまうひとりであるからに他なりません。土下座の彼なんてね、非常に私っぽいと思う。あの、土下座までせねばならん状況にいながらも、自分の土下座にほれぼれとしている。本当に反省してるの? そんな感想さえもわくところあたり、実に共感します。いや、謝意がないわけじゃないんだけど、ちょっとずれてるのね。あの、自分を客観視してるというの、ああいう局面では、なぜかあんな風に冷静になっちゃうっていうのが、ああ、あるある! って感じでして。いや、この漫画が、いわゆるあるあるものなのかどうかは疑問であるのですけれどね。

  • 『まんがタイムオリジナル』第30巻第9号(2011年9月号)

2011年7月26日火曜日

『まんがタイムきららフォワード』2011年9月号

『まんがタイムきららフォワード』2011年9月号、先日の続きです。

『聖アベリア女学院』は、常夏が皆の家へ泊まりにいくというんですが、なるほど、桃子の家の事情。桃子の置かれている状況、その理由もなんだかわかった気がして、いや、だからってそれがいいとは思わないんですけど。しかし、お母さん、桃子にそっくり。まさか、お母さんがお父さんで、お父さんがお母さんとかないよね、など、いらぬこと思ったりしたのでした。しかし、家族仲がよくていいよね。そして常夏は椿の家、撫子の家へといって、なんだか撫子の家の状況が不穏で、いったいこれはなんだろう。お母さんがなにか抱えちゃってるっぽい。そして、明かされる撫子の秘密。というか、驚いた。それこそ、常夏の妄想で終わるのだと思ってた。しかしどういう方向に向かうのだろう。ちょっと目が離せないですよ。

少女素数』。有美ちゃんがですよ、普段自分の感情を抑えている、そんな感じのお嬢さんがですよ、感情を露にすると、ああなるんだ! 妹ですよ、奈美ですよ、お姉ちゃんってやっぱりああなのか! しかし、有美ちゃん、設定では普通なのかも知れないけど、この人も美少女の部類だと思うんだけど、それが、それが。ええ、もっと好きになりました。しかし、切ないですよね。アップダウンする気持ちの奥には、不安や怖れがあって、だからああした余裕を失う、そんなことになっちゃったのかなあ。そして、本編はまだまだ終わらない。ああ、けれどこの時点でコメントをしたくない。細切れに感想を持ちたくない、そんな思いがあって、だから気持ちを持続させたままに、次回に続く。いや、もう、有美ちゃん、ヒロインだなって思います。

『一年生になっちゃったら』、今回はちょっと私の好きな展開でありましたよ。秘密のヒーローの構図ですね。誰にも知られず戦わないといけない、そんなヒーローの正体がついに知られてしまうことに! というやつなんですが、ただばれるというだけでなく、ここで変身しないと、大切な誰かが傷ついてしまう。しかし当然正体がばれてしまう、という葛藤を乗り越えて変身するっていうんですね。ええ、こういうのが大好きなんですよ。といっても、この漫画は最近変身ヒーローものっぽくなっただけで、ずっとずっとこれをやってきた、積み上げてきたわけじゃないんですけど、でもそれでもよかったですよ。あのランドセルが飛ぶところ、そして変身しながら現れるところ。ええ、これこれ、これだよ。そう思うものがあったですよ。

2011年7月25日月曜日

Obi of yukata, taken with GR DIGITAL

Summer greeting cardああ、もう月末なのか。というわけで、GR BLOGのトラックバック企画であります。今月のテーマは「涼」。いや、けど、最近涼しいですよね。こないだの台風の影響だっていいますけど、朝夕などむしろ寒いくらいで、けど私が子供の頃は、夏といえどこんな具合だったように思うんですね。午前中など、結構涼しかった。ちょっと懐かしんでいるのですね。というのはいいとして、トラックバック企画「涼」に参加します。

2011年7月24日日曜日

『まんがタイムスペシャル』2011年9月号

『まんがタイムスペシャル』2011年9月号、一昨日の続きです。

『早乙女寮別館ものがたり』、面白いなあ。お父様の恋心をばっちり把握していた勝少年。しかも皆の前で曝露。あのばれてしまった理由、あれは面白かったなあ。いつも夢に見てるんだ。そして、このふたりはあきらさんの秘密を知らないんだ。ちょっと意外、というか、なんで松子はあきらさんの秘密を知ることになったんだっけ。あまりに普通に知ってたから、当然寮の皆は知ってるのだと思っちゃうんですね。さて、勝くんの作戦。なるほどこれはうまい。しかしあきらさんはそれ以上にうまいよね。相手を傷つけない断り方を熟知してる。こういう物腰もろもろ見ても、素敵な女性だなって思いますよ。そして、勝くんが恋に落ちる。ああ、ああ、あれは素晴しく魅力的。ほんと、素敵な女性だと思います。

『踊る!アントワネットさま』、ゲストです。タイトルにあるとおり、マリー・アントワネットがかかわってくるお話。ということは、ヒロインは実在の人物か? そう思って調べてみたんですが、確かに同名の画家はいた、けれど時代が違ってた。フィクションってことでいいのかな? というわけで、ヒロインは絵に夢中の女の子、マリー・ボヌール。ヴェルサイユの宮殿で絵を描いていたところ、宮殿を抜け出したマリー・アントワネットと出会うのですね。どちらも、ちょっとお転婆、自由を愛するお嬢様、って感じです。絵柄が貴族の娘のエレガントさを表現するのに向いていて、素敵。このふたりの友情ものになるのでしょうが、その行く末こそは悲劇かも知れないけど、多分そこまでは描かれまい。だとしたら、なかなかに楽しそうなものになりそうに思います。

放課後のピアニスト』はピアノコンクール。なるほど、確かにレミはコンクール荒らしとして怖れられてました。で、それはいいんですが、シド先輩がちょっと意外。初登場なのはいいとして、この人はそれこそ圧倒的な存在なんだって思ってたんですが、そういうわけでもないのか。なるほど、この子たちは、ある種現実的な存在なんだって感じですね。そして、コンクール本番。おお、ソラくんが凄い。コンクール慣れなのか、実力なのか、シド先輩を上回るんだ。そして、彼女らの熱闘熱演が芸術への支援者を力付けるとかね、なるほど、よりよい実演家とは、ただ支援を受けるだけでなく、支援する、そんな存在でもあるんだな、そう思わせられるいい話。みんな、自分の力で、自分の場を切り開いてるんだなあ。楽なことなんてないんだ。力付けられる、そんな話でした。

『強風記』、最終回でした。いや、驚きました。なるほど、この話はいわば白鳥が死んだその時に完結を内包していたのですね。白鳥のそばで、ずっと鬱屈していた烏山の存在、そのものがすなわち白鳥の才能を物語っていたというのですね。そして、烏山はあいかわらずとはいえ、白鳥について書いたこと、それで名をあげた。その内容は、これまでの漫画に描かれたこと、それなのかもなあ。うだつのあがらない作家志望の喘ぎがその骨子であったのでしょうね。そして琴江の消息も知れて、そうか、死んでしまったのか。白鳥、烏山の小説を読んでいた、その晩年を知らされて烏山はなにを思ったものか。それは直接には描かれなかったけれど、彼にはひとつの意味ある出来事として刻まれたのだろうなあ。なにか一種の感慨ある漫画でした。気になる、そんな類でもあって、これまでずっと楽しみに読んできた。面白かったなあ、しみじみと思うところある、そんな漫画でした。

  • 『まんがタイムスペシャル』第20巻第9号(2011年9月号)

2011年7月23日土曜日

『まんがタイムきららフォワード』2011年9月号

 『まんがタイムきららフォワード』2011年9月号、発売されました。表紙は、水着のお嬢さん、3人揃い踏みですね。エンギさん、えらいこと堂々としてらっしゃる。対してソナー・クリオネさんは妙におどおどしてて、いや、でも、普段の衣装の方がずっと露出してませんか? ほら、あの、胸元からお腹にかけてとかさ。そして最前面にメリーさん。ああ、この人はいつもどおりだ。屈託ない笑顔を見せてくれる、そういうところ、本当に魅力的なお嬢さんですよ。

夢喰いメリー』は、由衣とナオですよ。楽器店に寄って、そして少し話して、昔のことですね。吹奏楽部にはいった頃のこと。新歓での演奏を聴いて、ナオががーっとその気になってるの。そして、付き添いだったはずの由衣もその気になる。スイッチとか、面白いですよね。ほんと、お姉さんに任せなさい! とか、昔からいつでも、誰にでもいってるのか。ほんと、いい子だと思います。しかし、この回想は強く訴えました。部活をはじめよう、そして部をもりたてていこうという気持ち、それが描かれたから、それもあるけれど、それだけじゃないですよね。日野先輩との交流、彼女の人となりがわかった、それが大きかった。そうか、この先輩の夢、それが壊れちゃったんだ。これまではただの情報だったことが、実感を持ったものに変わったんですね。だからこそ、ナオの気持ちも一層に響いてきて、ああ、これまでナオどうなっちゃうんだろうかと危ぶんできた、その私の不安も乗せて、物語は疾走するのですね。この展開、素晴しかった。不安、日常の風景を重ねながら、ゆっくりと進んでいたこれまでの展開が、一気に動に転じた。これは見事。私の気持ちを掴んで、そのままに疾走していきます。

となりの柏木さん』。ムリって、どんなにさわやかなんだ、桜庭くん。けど、そんな君が好きよ。さて、この人の怖れているもろもろ。断わられるのがこわい。下心を見透されたくない、っていうのは、実際そのとおりだろうなあ。ある程度したら、下心もそれっぽくコントロールして、なんてことなく見せちゃったりできるわけだけど、彼にはきっと無理だろうなあ。なんて思った今回。うん、そんな君が好きよ。そして、自宅での柏木さん。あの色気のないトレーナー姿ね、あれ、可愛いよね。ポニーテールとかじゃなくて、そっけなくただ後ろにまとめてるだけの髪、あれも素敵よね。さて、そんな色気もそっけもないふたりのクリスマスですよ。お互い別々に過ごして、特に恋愛的盛り上がり、なんてのもなくて、けどさ、ふたりともにプレゼントを用意してた。大げさなものじゃない。ちょっとした心づくし。でも、互いに相手のことを思っていたっていう、それがいいイベントになって、ちょっと素敵なクリスマスですよ。ええ、いいじゃん。これきっと心に残るよね。ええ、とてもよかったです。

『恋愛専科』、杏打倒に手を組んだ京と茜。この展開、いいなあ。ものすごく面白い。共通の敵ができて結束が強まる、ではないですけど、一時的にまとまってるんじゃなくて、本当に仲良くなってるっぽいってところがですね、いいと思うんですね。しかし、この漫画は女の子たちにフォーカスがあたって、彼女らの人間関係、それが見えてくるほどに面白さも増した。今回のことも、そうだなあって思ったんですね。杏にしても、願掛け? なにか思うところがあるみたい。最後のこころの拾った財布。あれの意味するところとか、なんだろう。気になりますよね。ええ、どうしても次回読まねば、そう思わせる展開の連続です。

『かっぱ・イズ・デッド!』、ゲストです。不思議な漫画です。ヒロイン? シロミが朝起きると、頭にカッパが生えていた。むむむ。意味がわからないでござんすよ。でも、これ、意味がどうこういうもんじゃないな。だって、ページめくったら、いきなり松崎シゲルだものな。ノリで読んでいくのがよい。変わった女の子たち。モカ、いづる、しらび、シロミたちの、ちょっとぐだぐだっぽいやりとりを楽しむ、そんな感じの漫画です。しかし、モカが可愛いな。お嬢様っぽい見た目なのに、貧乏なのか。ちょこっと癖のあるキャラクターが、うまくはまったら、かなりいける、そんな漫画だと思います。

引用

2011年7月22日金曜日

『まんがタイムスペシャル』2011年9月号

『まんがタイムスペシャル』2011年9月号、発売されました。表紙は『恋愛ラボ』ですね。海の風景。青空の下、リコ、マキ、ふたりの水着姿がまぶしい。そんなイラストなのですね。本当に印象的な表紙。肩寄せあって、屈託なく笑うふたり。本当に魅力的。しかし、ちょっとスタイルよさめに描かれてる、そんな感じがします。そして表紙右下には『シュガービーチ』の4人のイラストあって、これ、単行本の表紙イラストから、みたいですね。へろへろで可愛いです。

『シュガービーチ』、面白いなあ。今回は、ビーチバレー部の顧問が登場して、なんか残念な人かと思ったら、なんだ、可愛い人じゃん。思えば、この漫画の登場人物は、部長を筆頭にそんな可愛い人ばかりでした。クールかと思ったら乙女っていうね、いや実際先生もそんな感じで、それまでがそれまでだっただけに、がつんとくるものがありました。まあ、めんどくさい人なんだそうですけど。さて、本編はほぼ海で遊びですね。夏の炎天下、もう駄目だ、海にでも飛び込まないではやってられない、という感じで海に入るのですが、同様に海に遊びにきてる一般生徒を見て、部員が増えた気になってたとか、謎の生徒会裁判とか、小ネタが実に利いていました。あの、奈子のSPふたりもね、あれ、海に入ろうと水着になってる、とはとってもらえなかったのか。で、これがちゃんと後の展開に関係してるというのですね。海の苦手なエミなど、めずらしいものも見られて、楽しい、面白い、いい回でした。

少女カフェ』も海のエピソード。というのですが、それより前に日傘の思い出が印象的。女子力高いアイテム、というのでお母さんのじゃないと断定されるのですが、つくしとお父さんのやり取り、面白かったなあ。そして昔の思い出ですよ。マチコさんは元気で、明るくて、ちょっと振り回され気味のお父さん、一郎さん、その関係がいいよね。そう思っていた、そこに、あの会話、ああ、切ないなあ。誰も、あんな未来が待ってるだなんて思いもしない。思い描いたものは、ただただ普通の、当たり前の願いだったのに — 。まさしく胸を締め付ける思いですよ。いや、ほんと、お父さん、お父さんは泣いていい。そして最後に葉月さん。ああ、葉月さんはきれいだなあ。類友かも知れないけど、そんな葉月さんが最高に魅力的です。

『丸の内!』。少女社長とか、今となってはありきたりにも思うのだけど、面白いなあ。前回のことで本郷のことを気にいった社長。それで会いにいくんだけど、まさかの座敷わらし認定。そして社長に対する辛辣トークの直撃をうけるのね。で、丸の内のいう社長のイスというの、すっかり忘れてました。そういえばそんな話ありましたよね。そして本郷がまさかのロリコン認定。けど、なおさら覚えめでたくなって、よかったじゃん。ええ、悪くない読後感です。

『カメラせんぱい』、ゲストです。記者見習いの女の子、なぎさがヒロイン。で、彼女のカメラがしゃべるというんですね。新聞記者の先輩、水原先輩が取り憑いている? いや、違うか。別に死んだわけじゃないんよね。カメラと一緒に海に落ちて、カメラと合体してしまったというんですね。それ以来、なぎさは先輩と同居。先輩はカメラになってもめげることなく、というか、結構のりのりで、いろんなもの撮ってみたりして楽しんでる。そして一緒に取材に出て……。絵柄は可愛く、けれど話はまだまだこれからですよね。実際に取材に出てみたらどうなるのか。それが楽しそうだなって思うんですね。

  • 『まんがタイムスペシャル』第20巻第9号(2011年9月号)

2011年7月21日木曜日

『まんがタイムきららMAX』2011年9月号

『まんがタイムきららMAX』2011年9月号、一昨日の続きです。

ラッキーストライク!』、前回の続きですよ。あの、レンとつきあうとかいってた女の子、のっけから登場してきて、扉ですよ、扉。小柄、若干の上目使い、可愛いなあ、と思ったら、後ろ手に持ってるのはボールか。見事、ボウリング表紙でありますね。そして本編、リンが王子なんだ。部長がよく知っているみたい。レイもリンも面白がってる。リリス。前回のボウリング場の娘。そして実力者。約束のスコア100を軽く超えちゃってるんですね。しかし、面白かったです。有名人、リンはサインもらってるし、レイは写真撮りまくってるし、けどそれ以上にあの両手投げでしょう。へー、ああいう投法、オッケーなんだ。驚いたりもしたのですけど、その投げようとする時の表現の、コマも狭しと前に出てくる、そんな勢いには私も思わず魅せられてしまったのでした。そして、リリスの語る部長のこと。ふたりの間になにかあったのだろうか。なにか深刻なことがあるんじゃないか、それは以前から思ってきたことでありましたが、少しずつ、あきらかになっていく。もしそれが、馬鹿馬鹿しい話であってもいい。きっとがっかりはしない、そんなことを考えてるのは、つらい話でなければいいな、そう思う気持ちがあるからなのではないかと思います。

『ふわふわ科学』、今回は浮力ですね。というか、プールが、水着がメインなのかも知れませんけど、いや、そういえば今回は科学トピックが少なめだったようにも思います。浮力とはモノの密度によって違ってくる。そうした基本を説明して、濃い塩水では金槌カホだって浮く。水銀なら、本物の金槌も浮く。そうしたトピックを、泳げない、またスイカの塩などで繋いでいくのは、うまかったと思うのですね。あ、そうそう、ホースの話。あれ、実際そうなんですってね。陸側から圧力かけて、空気を送ってやらないといけないっていうんだそうですね。こういう、語りきらないけど、その向こうにはまだ語れそうなものを残してる、そんな感じも気に入っています。

『LSD — ろんぐすろーでぃすんたんす』、部活以外のスポーツ、授業でフットサルなんてするんですね。と、ここで私はフットサルとセパタクローを混同していたことを理解しました。準備運動中のおしゃべりに垣間見られる家族関係がいいですね。ゲーム中の、柘植さんのパスを、見事にナイスアシストにした浅見さん、すごくいいですね。レクリエーションとしてのスポーツの面白さ、必死になるような本気さはなく、けれどいい加減でもないっていう、そのバランスがいいと思ったのですね。そして、やっぱり最後の椿と、高山、浅見ふたりとの差。なるほど、こんなに違うのか。ずいぶん体力ついたように思ってたけど、それでもまだまだ違うっていうの、そうか長い道のり。こういうのに、なにか面白さ思っちゃうんですね。

『あわーちゅーぶ』はスキューバダイビング。それで、海中の生物と交流するっていうんですが、これ面白かったですよ。あの欄外の註がですよ、ただの解説に留まっていない。一歩踏み込んだ詳細知識。あるいはつっこみ。ラブカに対する愛情とか、スベスベマンジュウガニの名前についてとか、本当に面白かった。本編は、ウニを衝撃波で吹き飛ばすなど、いつものごとくケレン味たっぷりなんだけれど、註に起因する面白さあり、キャクターの面白さあり、派手な見せ場あり、多様多面、豪華な漫画でありますよ。

  • 『まんがタイムきららMAX』第8巻第9号(2011年9月号)

2011年7月20日水曜日

『まんがタイムファミリー』2011年9月号

『まんがタイムファミリー』2011年9月号、一昨日の続きです。

『ひめごとノート』は少しずつ登場人物を増やしてますね。文芸部の幽霊部員。夏目豊なる男が姫の昔の知り合い。ゆーくん。なんと、姫という名前にコンプレックス感じるきっかけを作った張本人。けど、これが好きだからいじめちゃいましたという類で、しかも今なお好きな気持ちはなくなっていない。それで、いい加減、そうした気持ちを素直に伝えられるようになればいいのに、どうにもツンデレをこじらせたような性格に育ってしまっていて。この恋は実るのかなあ。多分、実らないような気がするなあ。この気持ちの空回り、裏目に出るというのも基本の展開に入ってきそうですね。

『はなとふたば』、ユキが相変らず魅力的だ。あの弟の鬱陶しさは、読んでいるこちらにも充分以上に伝わってきて、いやほんと、ユキひいては女子は、暑くともあんな格好でぶうぶう文句いうとか無理なわけで、きっちり服着てるユキに対しあの言動とか、この弟は鍛錬が足りませんな。で、そのだらしない格好をユキの友達葉子に見られるとかさ、のどかの前でも奇行を見せるとかさ、ほんといいところがない。けど、そんな情けない弟のこと、ユキは放っとけないのか。この人は屈折している。個人的には、姉の弟に対するそういう感情とか理解しないけど、もしユキが私の姉であったらと思うと、なにか夢のようだなあ。そんなこと思います。まあ、私には実姉がおりますが、そのへん具体的に考えるのは、ちょっとノーサンキューな感じであるのですけどね。

『よめヨメかなたさん』はお弁当の話。もちろん平成のかなたさんが作ります。乙人の分、秀人の分、そして昭和のかなたさんの分も作って、それで昭和かなたさんが窮地に陥るという。基本形といえば、そんな気もしますけど、めちゃくちゃ面白かったです。というか、頑張らないとと発奮したり、焦ったり、見栄はったり、その都度見せる表情、それが実にキュートなんですね。プライドがある、それで素直になれない。けど、一番の解決はその素直になること、正直になることだっていう乙人のアドバイス、いやほんとにその通りだと思います。今回はそうした昭和かなたさんの右往左往も面白かった、加えて平成かなたさんのブログとか活躍も面白かった。あの、作家はサボる口実をみつけるというのもね。細かなところまで意識のいきとどいた、見事な回だったと思います。

『くらドル』、結構気にいっています。朔也君の元気がない。それで男らしい振舞いにポイントを与えることにした、つまり特訓ですね。けど、なんでそうなるのかという展開が、どうも独り善がりで不明なあたり、この女の子たちも残念なんだよな。けど朔也は朔也でがんばってると思うのね。女の子に対する苦手意識を克服するとかじゃなくて、また男らしくあろうというのでもなくて、よい人であろうとすることについて前向き。そんな彼の頑張りは嫌いじゃない。多少空回りでもね、この人が評価されるようになっていくと嬉しいな、そう思いながら読んでいます。それで今回のラストですが、朔也にとっても残念な結果に終わって、ああ、朔也も駄目なのか、と思ったら、ああそうだ、これって成績別クラスでしたよね。なるほど、納得のラストでありました。

  • 『まんがタイムファミリー』第29巻第9号(2011年9月号)

2011年7月19日火曜日

『まんがタイムきららMAX』2011年9月号

『まんがタイムきららMAX』2011年9月号、発売されました。表紙は『きんいろモザイク』。夏らしいイラストですね。画面中央に忍とアリス。輪になるように座っている彼女ら、それぞれが思い思いのくつろぎかたしていて、風に吹かれているカレン、本を読んでいる綾、寝ている陽子。けれど、綾の目は陽子に注がれているなど、趣きのあるいい表紙だと思います。そして忍、この子が不思議と大人びていて、いいお嬢さんだなって、そんなことを思って、そしてアリス。カーディガンを脱いだからでしょう、その小柄さ、華奢さがこれまで以上に際立つ、そんな魅力にまいっています。

ひろなex.』。濡れてしまっためぐみ、なんだけれど、この上さらに酷い目にあうっていうのね。田んぼに落下、良心回路。これ、実際にこんなにきれいにわかれるってことはないだろうけど、左右の落差が見事で、見るほどに面白かったです。気持ちに余裕がないからか、ひとにらみでひろなを威圧するとかね、ほんと、今回のMVP。いい働きしています。そして、マンションのオートロック。雷の網膜の、そういう風に見るっていう想像力、それが面白く、まためぐみのつっこみ、それもいいアクセントになっていました。しかし、今回はめぐみ踏んだり蹴ったりの回。秘密がばれたのがみおだったのは不幸中の幸いっぽいけど、結局探検の意味がなかったというの見ても、落ちた甲斐、なかったなあ。ええ、やっぱり踏んだり蹴ったりです。

『おにさん、こちら』はプール回。プールは知らないのに、イスタンブールは知っているもみじ。なんという偏った知識だろうか。さて、プールで際立つ変わりものたちの行動。この漫画の登場人物、それこそ変わりものオンパレードであるなあ。そしてその変わりものたちの中、気付けば普通にまじって遊んで楽しんでいるもみじの姿。隠さなければならないはずの、けれど楽しいあいだは気にならない。そんな雰囲気、よほど楽しかったのだろうと思わせてくれるものがあって、面白かった。後に怪談になる。その真相を知ってる人間がいるというのも面白いと思うのですね。

『こずみっしょん!』は、自称宇宙人の臣美。この人が一番おかしなこといってるはずで、それこそトラブルメーカーでもよさそうなところが、実際はいつも被害をこうむる、そんな立ち位置というのが面白い。そしてトラブルメーカー、鈴子。これは便所飯ってやつなのか。侘しいというか、衛生面とかまずいだろう。しかし、いろいろ駄目な子、地味に臣美の社会生活にダメージ与えていて、極めつけは先輩だったのだけど、ほんと臣美は不憫。けどこの不憫さが面白いです。

『三種のジンギ!』。新宮いろはって、五六八でいろはと読ませるのか。さて、前回登場の三人に加え、吉野蓉子が登場。眼鏡のお嬢さん。地味な見た目をなんとかしたいと思っているのだけど、なかなかうまくいかない。そんな彼女を三人よってたかって改造しようという、そんな回。面白かったです。最初は、小さく、少しの変化で雰囲気を変えていく、そんな感じだったのに、だんだんと変更点、増やしていって、それこそ盛り過ぎ、そんな結果になったというのね。けど、これ、漫画だったら普通というか、これでも地味めよね。えらい可愛いじゃん、そう思うんだけど、現実だったらやりすぎなんだろうかなあ。この、可と不可の線引き、常識を失ったものにはなかなかに難しい問題です。

お願い神サマ!』、面白い。聞かれるつもりじゃなかった、聞くつもりもなかった、そんな言葉にお互いにドキドキして、そのあまり口もきけなくなってというふたり。こうした危機的状況に現れる良心の天使と悪魔ですが、これ、天使も悪魔もどっちも変わらないなー。悪魔実優、めちゃくちゃ可愛いな。で、良ズリキョ、悪ズリキョ、ほんとにどっちも違わない。それだけお嬢様、純粋ってことなのかも知れませんね。そして雪崩れこむ、柚梨子TMクルーズ。どうでもいいけど、あれ、あんな組体操みたいのだったっけ? もう本当に、とにかく、面白かった。ふたりの問題も解決して、想像妄想、ステルスクール水着。ふたりの、旅行の楽しみに思っている様子、あの高揚した感じも見事でした。

  • 『まんがタイムきららMAX』第8巻第9号(2011年9月号)

2011年7月18日月曜日

『まんがタイムファミリー』2011年9月号

『まんがタイムファミリー』2011年9月号、発売されています。表紙、メインは『ぽちゃぽちゃ水泳部』ですね。しかし、なぜサンバ衣装なのか? Dancingとかアミーゴとか書かれているから、おそらくはお祭りや踊りがテーマになってるのでしょうね。というわけで『教師諸君!!』西名先生も踊っていて、ええと、これは佐渡おけさ? と思ったけど阿波踊りでしょうね、きっと。そして『うのはな3姉妹』は、浴衣の3姉妹。金魚すくいの戦果、手にする桜と、姉ふたりであります。

『博士の白衣女子攻略論』、これやっぱり面白いです。博士が、須藤さんのこと太ったと指摘するときの様子ですよ。この人は、ただ単純に自分の観測した事実を話しているだけなんだろうな、それこそ僕の観察力すごいだろうといいたいだけなんでしょうけど、うやむやにしようと思ってるに違いない須藤さんの気持ちとか、そのあたりはまったく斟酌することないってのがね、ちょっと困った人ながら、面白いなって思うんです。まずいこといってしまった、それで女子連中に不評を買って無視されてもめげない、というか、気付いていない。神経質は無神経に勝つことは決してできない、みたいなこと思いましたよ。そしてキュウリの話。これ、らしいですね。以前、これを知らされた時には私もびっくりして、で、こういうことに嬉々としてしまうおっさん。ああ、いい味だしてますよ。基本というか、子供の部分を大きく残してるんだろうなあ。ちょっと羨ましくも思ったりするんですね。

『ひなたフェードイン!』が終わっちゃいました。この漫画、独特のゆったりさがあって、ひなたの個性なのかなあ、好きだったから、これで終わりというのはちょっと残念です。さて、本編。みのりがひなたの家に泊まった話からなんですが、びっくりのおもてなしじゃないですか。なかなかここまではできない。この相手をおもんぱかる気持ちが、無理してるとかじゃないのがひなたらしさで、いいと思うんですね。そして、この最後の最後に、ひなたの思い人、相葉さんの秘密が真木さんからもたらされて、なんと、そうしたことであったかと、こうした決着が見られたの、とてもよかったと思います。

教師諸君!!』。扉の絵はメソポタミア文明かな。本編でもシュメールの衣装とか出てくるから、そのあたりだと思うんですけど、ちょっと自信がありません。さて、今回も今泉先生、そして岩瀬先生ですよ。西名先生がプライベートで岩瀬先生と会っている? そんな疑惑に右往左往する深沢先生、城先生。このふたりは西名先生をどう見てるのか。そして、なぜそんなに焦ってるのか。まだ若くてギラギラしてるというのかなあ。このふたりのそうした気持ちが描かれたから、なおさら西名先生の枯れた様子、いや、社会性に問題があるといっていいくらいか? その落差が見えて面白いんだろうなあ。落差といえば、今泉先生の社会性に優れているところ、それもうまく対照されていたと感じます。コミュニケーション力がすごいというこの人が、授業が下手というのは不思議な気もするけど、こうしたわかりやすい欠点のあるところが、強みになってたりもしそうな気がするんですね。しかし、人の世なんてものは、結局人付き合いであるのだから、社会性に優れた人は大きなアドバンテージを得られそうだなあ。そんな思いを強くしました。

『マリアに礼っ!』、これ不思議な感じです。ずぼらお嬢様マリアが柔道部のマネージャーをやっている。今回は合宿ですね。早起きしてご飯つくって、けど部員がなんだかやる気がない。ってのはいいとして、「本気」ですよ、「本気」。サッカー部員の男ふたりが、自分たちはキツイ練習してるのにマネージャーは飯や掃除だけでいいよなとかいってやがんの。なんじゃそりゃ、そんなふざけた言説、許されんぞ。そんなにマネージャーがいいなら、お前がマネージャーやれよ。なんて思っちゃって、申し訳ない、気持ちが穏かでありません。で、マリアなんですが、この柔道部の様子みてると、そうした嫌な感じはなくてですね、仲がよいからかな。選手と実質下働きであるマネージャーとの間に、階層的なものがないように見えるからかな。その和気あいあいとした感じなのか、一緒に取り組んでいるといえ感じなのか、よかったなって思えたのですね。

そしてエッセー企画。『夏休み宿題対策っ!』。描いた人は井ノ上ふき、駒倉葛尾、春日ゆら、さと、そしてあろひろしです。自由研究あり、読書感想文あり、そうかと思えば大学の夏休み。夏だろうと実質休みなんてない、研究に打ち込んだ(打ち込まざるを得なかった?)っていうのが描かれてて面白い。理系なのかな。理系は、本当に実験ばかりだっていいますね。美術の大学のこともありますが、そうか美大は宿題なんてあるんだ。そして、最後にあろひろしが光っていました。これまでは出た宿題の話だったけど、出した宿題についてですよ。この、他のエッセーの内容を予測し、違う視点からのを用意しましたよっていうの、これはうまいなと思って、しかも出す方も大変なんだっていうんですね。ああ、こういうの知ると、期日を遅れて出したとか、申し訳ないことしたんだなって気持ちになりますね。この最後にしっかりとしめられた、その感覚が見事でありました。

  • 『まんがタイムファミリー』第29巻第9号(2011年9月号)

2011年7月17日日曜日

『まんがタイムきららミラク』Vol. 3

『まんがタイムきららミラク』Vol. 3、昨日の続きです。

『メラン・コリー』、面白いなあ。西瓜さん、殉職! と思ったら、まあ無事だったんですが、あの割れた破片を拾ってるシーンね、以前読んだ中島らもの本に出てきた、夜中の病室で自分の脳みそがばらばらに飛び散った妄想にとりつかれて、泣きながら拾ってた人のエピソード、それを思わせるものがありまして、そして次のメラン・コリー、新しいスイカよ! っていうの。これ、改めてそのコンセプトのシュールさを実感させられました。まあ、これは夢なんですけど、その夢が実現するところとか、なんともいえぬ味。これ次回にはなにもなかったように回復してるのか、それとも持ち越されるのか、それが微妙に楽しみです。ところで、メラン・コリーの制服姿、驚きの可愛さでした。しかし、背負ってる花がスイカ。さすがです。

『福33三色パンチ』、本格的に授業ですね。しかし、大学の授業は遅れていってなんぼだと思うのですが、最近は違うのでしょうか。いや、もちろん間にあうにこしたことはないんですけど。美大における授業の数々。やっぱり専門にかかわらない授業に関してはやる気微妙なのか、みたいのが感じとれて、どこもかしこもこの手の大学は同じなのだろうか、そんなこと思った回でした。学科にやる気を出さない学生のいるというのも経験的によくわかる。だから、これら描写は結構なリアルさを持ってるんじゃないのかな、なんて思うのですね。けど、ただリアルな大学風景描いてるだけではないというのはポイントで、ヒロイン三人の個性の出し方、それが大きいなあ。そう思います。ところで、うちの大学の語学の教師は、こんなやる気のないのじゃなくて、特にドイツ語なんてやたら厳しかったから、落とす学生多かったなあ。ええ、いろいろ思い出したりもして、懐かしい。また学生やりたいなあって思いますよ。

『びぎなーず9』、部員募集が続いています。他の部からぶんどってくるとか、まあこういうのもありだろうなって思うんですが、思い切れないたまちゃんは心やさしい、というか、真面目というか、このメンタリティでこの先やっていけるのか、ちょっと心配です。そして陸上部からの移籍。あの展開は面白かった。それが続かないというのもまたよかったですよ。陸上部からきた川瀬マキ。意気揚々と投げたのに全然とか、これはよかった。で、ここからはじまる投げ方講習。なるほど、ああいうふうにするとよいのか。こういうことは、今ではなく、子供の頃に知りたかったなあって、遠くまで投げられなかった私なんかは思うんですね。

  • 『まんがタイムきららミラク』Vol. 3 (『まんがタイムきらら』2011年9月号増刊)

2011年7月16日土曜日

『まんがタイムきららミラク』Vol. 3

『まんがタイムきららミラク』Vol. 3、発売されました。表紙は『リリィ』です。久美、ひとりの表紙。背に羽をつけて、妖精のよう、幻想的な姿です。しかし白い表紙、ハイキー気味といっていいのかな、そうした表現が光に溢れている様子、あるいは彼女が光を放ってる? そんな感じを与えてくれて、なかなかに素敵な表紙だと思うのでした。しかし、コピーの字配りも凝っていて、見せてくれる表紙でありますよ。

『桜Trick』、驚きの展開でした。女の子、高山春香と園田優、このふたりがキスしまくる話。と思ってたら、おおう、このふたりだけじゃないというのか。今回第3話においてメインのふたりはちょっとさがって、かわりに前に出てきたのが野田コトネと南しずく。で、このふたりもえらい関係になっていって、おおう、この漫画の女の子たちはみんなこうなのか。仲違いから仲直り、そしてキス。うん、それはいい。すごくいい。で、その様子を見て、春香と優もキス。って、いやほんと、なんか大変なことになってる。そんな展開にくらくらです。

『tune!』、新連載です。この段階で新作とかくるのか。扉にギターのネックをチェックするお姉さん。なるほど、ギターものか。そう思ったら、ギターものはギターものでも、演奏する側の話ではなく、それを修理する人の話ですね。主人公はロッカー志望の少年、シュンタ。ロックスター目指して彼の入手した中古のギター、これがはなっから故障品。修理しようと持ち込んだ店で知り合ったお姉さん、アリサ、なんですが、これが可愛い女子高生。彼女に一目惚れ? したシュンタが、怒られたりしながらも、押し掛け弟子になった。これから、このふたりの関係はどうなるんだろう。そんな感じなんですが、なにぶんはじまったばかり。本当にこれからって感じです。しかし、まったく知らないジャンルの話でもないから、思うところがちょこちょこあって、そうした気持ちが素直に読むのを邪魔します。

『となりの魔法少女』、こちらも新作です。魔法を使える羽根井あき。彼女の高校生活を描く、というのですが、人付き合いの苦手な魔法使いの女の子が、ちょっと変わり者の女の子たちと仲良くなるコメディなのかな? そう思っていたら、なんの、ちょっと違うっぽいな。全体に、ちょっとネガティブな感覚が流れてる。魔法を隠すために、人と距離をとっている? いや、それも違う。ええ、後半の展開にはやられました。思ったよりも重い! けど、これはきますね。魔法を便利に使っていた子供時分。魔法があってもなくても、自分は自分、変わらないよ。そう思っていたら違ったというそこがですね、現実の厳しさ、いやむしろ過酷なものを感じさせて、ああこれはきましたね。第1回、見せるところをしっかりきめて、これは期待したい。ヒロインの罪悪感含め、今の状況、そいつのきっと好転していく、その様を見たい。そう思える初回でした。

  • 『まんがタイムきららミラク』Vol. 3 (『まんがタイムきらら』2011年9月号増刊)

2011年7月15日金曜日

まりかちゃん乙

 うざ可愛いっていうのがはやりですな。『日常』のゆっことか、『Aチャンネル』ならユタカとか、やること、なすこと、いろいろうざいんだけど、それが可愛いの! みたいなキャラクターですね。さて『まりかちゃん乙』。ヒロインはまりかちゃん。この人もいわゆるうざ可愛いキャラクター、といいたいんですが、読んでてなんだか違うな。そんな疑念がむくむくと湧いてきましてね、じゃあなにが違うのか。そう、この人はうざ可愛いんじゃない。可愛い女の子がうざいんだ! なるほど、我ながら納得いったのでした。

しかし、この漫画、まとめて読んだら半端じゃなく面白いな。ヒロインは九鬼まりか。いろいろ奇行が目立つお嬢さんなんだけど、でも、なんだかちょっと共感できてしまうところがありまして、あのね、自分が人からどう見られてるかとか、めちゃくちゃ気にしちゃってるじゃないですか、まりかちゃん。それで目立ちたくないとかいいながら、目立つ行動ばかりとってるっていうの、ああ、自分もそうだったかもって、非常に読んでいてつらい。いたたまれないっていうかさ、あの、わざと嫌なこといったりして、相手の気をひこうとしたりしてね、でちょっとでも機嫌そこねちゃったら、すごく気にして謝りたおしたりね。愛されたい人なんだろうなあ。そして常に、愛されない自分を意識してる、嫌われることを怖れている人なんだろうな。あの奇行、特にゆなに無理をいったり、せいらに酷いことしてみたり、ちょっかいを出すとかいいますね、あれらはきっと愛を確認する行動なんだろうなあ。なんて思えて、ちょっといろいろ痛々しかったりもするんです。

まりかちゃんのちょっかいないしはうざい行動。これがだんだんに広がっていって、最初はゆなやせいらといった、作中の人物に向けられていたものが、ついには読者まで対象にするようになって、これは面白かった。人によっては嫌いかもなあ、なんて思うんですけど、作中の人物でありながら、この漫画なんていいだして、いや1巻で一番過剰にやらかしたのはゆなですけど、こういう、本来まもられてしかるべき枠を踏み越えてくるのは最高にうざいよね。けど、一度踏み越えながらまたその枠内に戻っていったりと、その立ち位置の定まらなさとか、変に新鮮で、面白かったんですよ。ええ、許せましたね。ちょっと振り回されてる感じに、いいじゃんかと思ってしまったんですね。

まりかちゃんは可愛くて、けれどうざい。ゆなも可愛くて、けれど辛辣で、せいらは可愛くて、実は本性ががっかり。こんな、がっかり美少女たちの四コマ。ちょっと癖になる面白さです。土下座とか、ほんとにもう! あ、そうそう。あとがきには騙された!

  • ユキヲ『まりかちゃん乙』第1巻 (まんがタイムコミックス) 東京:芳文社,2011年。
  • 以下続刊

2011年7月14日木曜日

ももかコミカライズド

 ももかコミカライズド』、2巻が出ましたよ。漫画家志望の女の子、ももかの迷走漫画家入門。少女漫画家志望だったのに、間違えて萌え系漫画誌に持ち込んでしまった。しかも結構うけてしまった。で、そこから迷走してしまうのですね。萌え漫画ってなんだろう。男の子にうけるにはどうしたらいいのだろう。自分なりにリサーチして、いろいろ試してみる、その前向きさ、気にいられようと一生懸命、読者が喜んでくれたら嬉しいという気持ちはいつだって真っ直ぐで、けれどその思いが自分を追い詰めるのですね。1巻ラストにて告げられた打ち切り。そう、『ももかコミカライズド』2巻は打ち切りを告げられてからのももかの奮闘を描く。まさにここからが本編といっていい展開が待っているのですね。

さあいよいよ1巻にも増して過酷なももかの苦闘が描かれるのか、そう思って読んだものだから驚きました。いえね、もっと地べたを這うような試行錯誤、七転八倒が描かれると思っていたのです。いや、確かに苦しんでるんですけど、思った以上に内省的で、打ち切りのショック、つらさ悔しさが描かれて、そうした気持ちに一区切りつけられたかと思ったら、今度は自分自身に向き合うフェーズに入って。自分はなにを描きたいのだろう、なにを表現したいのだろう。それがわからない。それを見付けだそうと、自分自身を見つめる。ああ、これって表現しようという人、皆がそうなのかな。もう何年も、自分は空っぽだなあと思ってきた私にとって、今ももかの向き合っている問題は、まさに私の問題に重なるものであって、そうか、皆がそうなのかも知れない。わからない。なにもつかめない、そんな状況で、もがいて、もがいて、苦しんで、それでなにかを掴んでいくものなのだろうか。そう思ったら、不安や怖れでさえも、それはそのままでいいんだと思えてくる。ええ、ももかというヒロインは、作り手であろうと思っている人間、それを代表しているのだ、そう思えてきたのですね。

そして、ももかひとりが苦しむ、そんな話ではないのですよ。1巻ではむしろ孤立無援であった。けれど2巻では、ヒントを与えようとしてくれる人がひとりふたりと現われて、そして五十嵐臣、彼とももかの関係も少しずつ変わってきて、ええ、臣という人。この人が、ももかとともにあろうとしてくれる。ももかは自分がなにをしようとしているか、それを明かしはしないのだけど、かわりに臣の抱えている問題。それにも触れないという約束で、ともに考え、ともに自分自身を見つめようと、ひとつひとつ思いついたことを確認していく。ええ、いい相棒だなって思ったんですね。ひとりでは気付けない、ひとりではつかめない、けれど臣となら見付けられる。違った個性、違った意識で、自分たちの気持ちの底にあるものをひろっていく。これは、今は主にももかの物語として動いているけれど、おそらくは臣にとっての物語でもあるのだろう。その双方の意識、気持ちの底が見える日はいつになるのだろう。そうした、漫画家ものでありながら、恋愛ものであり、そして人が自分自身をとらえ、乗り越えていく、そんな物語としても読める多面性が、また魅力となっているのですね。

また2巻では、臣の妹が出てきたのですが、彼女、いいキャラクターだと思います。兄大好きの妹、最近のはやりでありますが、みのり、ちょっと過剰でちょっと過激で、いいキャラクターだなあ。なんか作者には申し訳ないんですが(なんで?)、結構好きなタイプであるやも知れません。で、みのりちゃん、この子がいることで、深刻に思い詰める、そんな方向にいきすぎてしまうかも知れないなんて思ってしまう、ももかと臣のふたりの模索試行のシリアスな面、それが緩和されるようにも思うものでありますから、なおさらいい味、重要な役割を担ってるなあ、なんて思うのでありました。

あ、そうそう、懐かしいふたりにも会えて、これはちょっと嬉しかった。そして、最後の編集長のいわんとするところ。それはなんなのだろう。ももかにとってチャンスとなる、そんな展開が用意されたらよいけれど、そう思いながらも不安ぶくみ。これは、3巻を心待ちにさせる、ええいい感じに緊張感高まってきています。

2011年7月13日水曜日

『まんがタイムジャンボ』2011年8月号

『まんがタイムジャンボ』2011年8月号、昨日の続きです。

『すいーとプロミス』、終わりましたね。椿が光介に結婚をせまる! というんですが、好きだから、とかそういうんじゃないのか? 宿題やなにかもろもろ、手伝ってくれる人が欲しいだけなのか? それが口実、照れ隠しだったらなって思うんですが、どうも本気でいってるぽいな。で、兄弟になりたいんだ。その文字を見て、弟でいいのか? と思ったら、ほんとにそのつもりでいってるんだ。でも、兄妹と修正されて、で、それがプロポーズに転換される。うん、この展開はなんとなく期待していました。ちょっといろいろ、ちゃんと考えてみよう、そんな光介の真摯さと、けれどそれが裏目に出るというのね。この展開、ありえる、予測できておかしくなかった、そう思ったんだけど、私にはまこと意外で、やられました。面白かったです。というか、光介は年貢をおさめてしまった方がしあわせになれると思います。

『江戸川スイートエージェンシー』。そうか、時代は今、軽薄短小なのか。でも実際、重厚長大よりも軽薄短小が好まれるのは事実だなあ、と思いながら、これを女の子に当てはめた場合、軽や薄、そして小はわかるとして、短はなにに適用するのだろう……。ああ、気が短い? いや、このお嬢さんにはマッチしてるけど、気は長い方がよろしいなあ。

『はなな大増刷』は、漫研部誌の制作ですね。原稿を集めて印刷所に持っていく、のはいいといて、先生が描いてるっていうの、これいいですよ。もう、すっかり先生が学校サイドのメインヒロインって感じ。そっと手をあげる4番とか、もう最高でした。各人の漫画も描かれて、千花の以下次号とか打ち切りっぽい終わりとか、これは実際にもやっちゃいそうな話ですよね。決まった紙数で終わらせる構成力がない、そんな話と思えば、けっこうリアルなあるあるネタかも知れません。あるあるネタはノンブルとかもそうですね。そして原稿は無事印刷所にわたって、これで次はできあがってくるわけですね。少しずつ、着実に進んでいってる。その様子がいいですよ。

『輝け☆星の川高校自由形』は、普段水着だからこそか、今回の水着優位号においては可愛い私服をどーんと押し出して、おおう、これ翼なのか。おおう、しかも扉が開くのか。最初辟易してた雷音がですね、一発で陥落する。その時、横にいた香宇先輩の表情、目が、口がしてやったりといっていて、最高でした。で、これより後も面白かった。雷音の翼に対する態度。そして、あの決めの台詞。ああ、やる時はしっかりやるんだ。私、この人を見直しました。これは翼にしても同様だったのでしょう。そしてラストのドボーン。この人はむくわれないようにできてるみたいですね。

『交換留学生ルーシー!!』好きでした。最終回です。いなくなったルーシー。黙って帰ってしまった!? 光希もショックをうけていて、この、口では嫌いといいながら、でも本当は嫌いじゃないっていうの。素直じゃない、そんな様子が光希らしくてよいなあ。そしてルーシーの帰還。ちゃんと光希と仲良くなってる、その親しさ、進展の様子。いいラストだったなって思います。

『ちくちく!』、ゲストです。手芸部の男子部員、佐条くんが主人公。なんでも作る。女子制服を作り、猫耳を作り、リフォームだってお手の物。お弁当のダミーなんかも作ってと、このなんでも作っちゃうというのは面白いのだけど、全体にこの、作っちゃいましたネタで押してくる感じが強いのが、逆に持ち味を弱めてるかなと思いました。なんというか、全部必殺技で戦ってる感じ。絵柄は児童書の挿絵っぽい、といったらちょっと昔の印象をひきずりすぎてるように思いますが、こういう絵柄も嫌いじゃないです。いい漫画家になってくれるといいなと思いました。

  • 『まんがタイムジャンボ』第17巻第8号(2011年8月号)

2011年7月12日火曜日

『まんがタイムジャンボ』2011年8月号

『まんがタイムジャンボ』2011年8月号、発売されました。12日発売。ああ、この日に戻ってきたのですね。しかし、4日発売の頃は12日だっけ? と混乱し、12日になったら4日だっけと混乱する。そんな予感がしてなりません。さて、表紙ですよ。『レーカン!』がメインです。天海さんと井上さん。夏ということで、水着でありますよ。天海さんは白のワンピース、井上さんは明るい緑のビキニですね。いや、このイラスト、もっとちゃんとしっかり見たいな。水着カットは他にもいろいろ、『じょしもん』から美々、羽子。それから『おねがい朝倉さん』。ついでにいえば、今月の『ジャンボ』は水着エピソードがやたら多いです。

『炊飯器少女コメコ』、これなかなか面白いじゃないですか。見た目から行動から、なんだかいろいろ可愛いコメコ。炊飯器なんだけど、尊自身はちっともなんとも思ってないのに、幼なじみアユカは意識しまくりとか、コメコはコメコでアユカにちょっぴりやきもち焼いてるぽかったり、なんだか変に面白いと思うのですよ。これ、この先、期待したい。そう思うくらいいい感じに面白くなってきてます。

『でり研』、人気なのかしら。『Ohでりしゃす!』が復活したりさ、いや、ほんと嬉しいんですよ。『でり研』では雪くまを調査して、なんと南部長と大仏くんがいい感じやぞ。いつもちょっと余裕見せてる、そんな部長なのに、それなりに切ない過去も抱えてるんだ。そうしたところ描かれて、ああ、なんだろう、すごくよかった。ちょっとセンチメンタル、でもそれがやわらかに沁みてくる。とてもよかったです。そして『Ohでりしゃす!』ではいがまんじゅう。知らないなあ。しかし大宮さんが可愛い。いや、ほんとに可愛い。また、以前みたいな四コマのスタイルのも見てみたいなあ。

エッセー企画「僕の私の青春の1ページ — あの頃の部活悲喜こもごも」。幸宮チノ(吹奏楽部)、みなづき忍(アニメ漫画部)、黒八(剣道部)、枕辺しょーま(写真部)の思い出であります。って、いきなり鮮血ときたか! 私の経験では、あそこまでの流血はなかったなあ。しかしあの先輩後輩ふたりの風景、なんかわかる感じです。なんかこういう突っ走ってる感のある、まあどんな部活でも本番直前とか締め切りぎりぎりとか、そんな感じだろうと思うんですが、あの疾走してる感はいいですね。そして写真部。なんだかがっかりな落ちが用意されてるけど、実際写真の面白さ、それはどうだったんだろう。ちょっと懐かしい面々、『さくらいろスナップ!』、ああまた読めるなら読みたい。なんてことちょっと思いました。

『あゆみさんは心配性』、いいですね、面白いです。これまで、ずっとなにかにびくびく怯えてるようなところがあったあゆみさんだけど、ちょっと開きなおったっぽいというか、したたかなところ、強く出る場面なんかも描かれるようになって、ぐっと魅力が増した、そんな風に思うんですね。あの「友達」なんかもね、おたおたうろたえるんじゃなくて、しっかりと受け止める、そんな様子、あれはいいよね。どんな慰めよりも、共感だとか、なにもできないことへの謝罪だとか、そうしたもののほうが強いよな。ええ、あれはいいエピソードでした。委員長の誤解なんてのも面白かったし、日記のダミー、ええ、いいですよ。続くほどに、読むほどによくなってると感じます。

  • 『まんがタイムジャンボ』第17巻第8号(2011年8月号)

2011年7月11日月曜日

放課後のピアニスト

 『放課後のピアニスト』をはじめて見た時、お、ピアノものか。また音楽ものが増えてきたな。そう思ったものでしたね。高校のピアノ部を舞台に、部員4人が好きなピアノを弾く。天才を感じさせる女の子響レミ。かと思えば天才そのものの黒木志土。この学校普通校なのに、なんでこんなに天才肌の子らが集まってるのか? なんて思ったら、その点ちゃんとフォローがあって、なるほどレミはライバル山田曽良を追って、シドは経済的な事情から、音高ではなく普通校を選んだわけか。ピアノ部部員、皆かなりピアノを弾く。けど、優れたものがあればどこか抜けていたりもする。そんな彼女彼らの放課後、ピアノをめぐるエピソードがほのぼのだったり、楽しかったり。そうした様子に、ほどなく好きになっていったのですね。

しかし、4人いる部員、ピアニスト、それぞれに違ってる個性、これが面白いなって思うんです。花野羅々、ララ先輩こそは普通の人。で、ここからがすごい。本気を出せば天才的で、けど練習は散々なレミがいたかと思えば、レミとは対照的に完璧の上圧倒的に弾いてみせるシド先輩。けど、その完璧がために、次々ライバルの自信をなくさせてしまうのが玉に瑕とかね。そして、うまいことはうまいんだけど、レミやシドのような輝き、もう一歩を得られないソラ。彼らの設定がいいと思うのは、あながち無茶苦茶でもないってことなんですよ。練習では間違いだらけのレミは、失敗から学んでいるっていうし、体力がなくて常に本気、全力投球できないみたいな話もあって、ああこれはレミに共感するピアニスト、多いんじゃないかな。ええ、私もそういっていいかも知れません。ピアノじゃないけど、体力面の弱さから、断念したことあったものなあ。

とはいうけれど、断然共感覚えるのはソラですよね。そつなく、ミスなく、ちゃんと弾ける。けど上手であって素敵じゃない。この人、器用貧乏ってやつみたいなんですね。ピアノ以外の楽器もできる。勉強もできる。お菓子も上手に作れる。すごいな、そう思うんだけど、おそらくは彼はそうしたところに悩みを抱えていて、なんでもできるが、そのどれもが抜群にできるわけではない。なら、とりわけ大事なピアノのこととなればどうだろう。ええ、悩むだろうと思いますよ。だからこそ、あの時の台詞がよりいっそう重みを増すのでしょう。

おまえはなれて当たり前じゃない ピアノのためならほか全部捨てられるだけなんだ

これが好きだ、このために他のなにが犠牲になったってかまわない。そういわんばかりのレミの様子に、自分は覚悟が足りないと反省したソラがですね、よかったなって思ったんですね。彼の、ピアノで成功できるかどうか、自信はないし、確証もないけど、逃げないって決めた。その決心にはたと打たれた思いだったのですね。

と、こういうところばかり抜き出しちゃうと、なんだかハードなピアノ根性漫画(ピア根?)みたいに思われそうだけど、もちろんそうじゃなくて、最初にいったようにほのぼのとした暖かみ、それが持ち味。ピアノ部の皆も、個性的、ちょっとしたたか、けどすごくいいやつ! そんなでしょう。読んでいて楽しく、面白いのですね。レミやソラの家族だって、すごく暖かい。これはピアノに打ち込む少年少女の漫画であると同時に、家族や友人たちとの暮らしの風景、そこにうかがえる生活感、おかしみ、人のよさ、そうしたものを描いたものでもあるのですね。

そうだ。作者十野七は、『アフタヌーン』の四季賞、『すみれの唄』で大賞とってるんです。これ、合唱ものなんですが、すごく面白かったの。で、『放課後のピアニスト』の人、『すみれの唄』も描いてたんだよって後から知って、えーっ、そうなのか。なんか納得しましてね、ええ、音楽もの、ちょっとリアルな実感を盛り込んでくる。そうしたところがうまい人だと思うのでした。

  • 十野七『放課後のピアニスト』第1巻 (まんがタイムコミックス) 東京:芳文社,2011年。
  • 以下続刊

引用

2011年7月10日日曜日

『まんがタイム』2011年8月号

『まんがタイム』2011年8月号、先日の続きです。

『華園の微男子』、終わっちゃいましたか。最初はちょっと感情移入しにくかったのが、段々によくなってきて、これいいじゃない、そう思えるようになっていたものだから、この終了は残念です。男子があまりに酷い扱いうけている、けどそこからだんだんに権利を回復させていく、みたいな展開が最終回にきたのが遅かったなあというのは、正直なところです。これ読んでいて気付かされたのは、私は比較的男子が女子に酷い扱いうける、そんな漫画が好きですけど、それは特定の女子と男子の関係性ゆえに生じる力関係、だからよいのかもなってことでした。つまり、学校という機構、制度において男子が差別されている。そこで学ぶものとして、女子と同様の待遇を受ける権利があるはずの彼らが、その権利から疎外されている。こういう、関係性の生じるまでもない最初の基本の段階で、あらかじめ差別されている。これは違う、私の好きな構図ではないな、そう思ってしまったんですね。

けどだんだん面白くなってきたのは、山吹ケントと羽衣まりか、ふたりやその周囲の皆との関係が描かれてきたから、なのでしょうね。でも、こうした特別の関係は、男子全般にはゆきとどかず、ゆえに差別されている感覚は拭えなかった。そんな風にも思ったんです。この状況、男女逆転させれば、女子のおかれている環境、おかれてきた環境が理解できるかも、そんな風に思ったりもしましたが、もちろん作者は差別やら逆転やら、そんなことを思って描かれたわけではないでしょう。これから女子男子の歩み寄りなんてのも期待できそうに思ってたものだから、この最終回はやっぱり残念に思っています。

『となりの原始人』、これ、めちゃくちゃ面白いです。私のとなりの家には原始人が住んでいます、とかいうんですけど、この人、格好がいい加減なだけで、実態は在宅SE。室内にはコンピュータがいっぱいあって、なのにとなりの女子高生からは原始人と勘違いされている。なにやっても原始人的行動と思われる。あの貯金とか、その発想がすごいよね。さみしいなうから全滅の流れなんかも、決しておかしなことはいってない。けど、女子高生の質問に対しては的確で、さらに深まる誤解。いや、これやっぱり面白いです。

『ほのかのほ』も最終回でした。人見知りのほのかの話。友達つくるのも大変、そんなほのかの成長もの、といったらそうなのですけど、ほのかの友達、あかりの成長も描かれた。それが面白かったなって思うのですね。誰かを頼りにしてしまう、それも依存なら、誰かに頼りにされる、それも依存、なんていってもいいのでしょうかね。そういう、一件問題なく見える人だって問題を抱えていたというのは、とてもよかったと思うのです。というわけで、ふたりが抱えていた問題、それをふたりで乗り越えて、一緒にちょっと自立した。そうしたラスト、地味なんですけど、けどよかったなって思います。

『ハードボイルドになりきれない』、これも面白いです。探偵もの。やたらとしぶいおじさま、吾妻橋蔵前。けど、ちょっと見掛け倒しなところがあって、人見知り、苦いコーヒー駄目、健康にも気をつかってる。繊細な人ですよね。けど、ハードボイルド気取っていて、けど些細な出来事にでも心を揺らし、狼狽をあらわにしてしまう。かわいい人だと思いますよ。そのギャップ、というか、憧れに追い付けてない探偵の胸中はいかに、そうしたところを思うとより面白い、そんな風に感じるんですね。

  • 『まんがタイム』第31巻第8号(2011年8月号)

2011年7月9日土曜日

『まんがタイムきらら』2011年8月号

『まんがタイムきらら』2011年8月号、昨日の続きです。

『箱入りドロップス』は体育の授業、ということで、雫が陽一の庇護下からはずれる! その結果、とんでもないめちゃくちゃな嘘に右往左往させられる雫。騙したのは、澄田純。見た目には大人しそうな人。けど実際は、人をからかったりして楽しむ、とんでもない人。ちょっとした小ネタに驚く雫に味をしめ、ボールが爆発するなんていう嘘をつく。そんなのに騙される雫も雫ですが、見て同様に楽しんでる萌もたいがいだ。しかし、陽一だけはなんか落ち着かないようで、いい兄さんだと思います。陽一と雫、ふたりの頼りに思ったり、ほっとけなかったり、そんな様子が好きですよ。

『くれいじーラボラトリー』、ゲストです。学校の科学部もの? 人以外のものを擬人化してしまう薬が犬にかかってしまって、さあ大変。ええ、犬耳少女になっちゃって、柄は大きくなってるのに、いつもの調子で人に飛び付いて吹っ飛ばすとかね、なかなかこういうの面白かったです。こういう擬人化とか見てもわかるように、現実的な科学を扱うんじゃなくて、完全なコメディ、ギャグにふれているマッドサイエンティスト系漫画ですね。アンドロイドも出てくる。擬人化まっくすが遊ぼうとするんだけど、それを拒んで、けど気持ちは移ってという、こういうのベタなんですけど、嫌いじゃないですよ。絵柄は可愛く、わかりやすく、これもとてもよかったと思います。

『遮莫 — それならそれで、しかたがない』、このタイトルなんて読むんだと思ったら、さまらばれ、ないしは、さもあらばあれ、なのか。たしかに扉にサモアラバアレと書かれてますね。ゲストです。テンション高めの学園もの。School Guardian Circle、SGCに所属する娘さんたちがヒロイン? 下着泥の出没に、日本刀手に飛び出していくほの。そしてレッド。役にたつのかたたないのかわからない、そんな女の子たちで構成されるSGCと、SGC撲滅をもくろむ生徒会長。基本的にベタなんだけど、これはそういったよくある展開、設定をあえて選んで、それを外部から眺める、ベタな展開にベタとつっこみいれるようにして潰してみせる、などなど、ギミック強めの作風。これ、好きな人はきっとものすごく好きになる、そんな印象がありますね。

『だいすき♡』、扉がすごくキュート。シルクハット、燕尾服、レオタードの三つ揃い。ショーダンサー? 本来ならセクシーになりそうなこの格好で、可愛さが押し出されてくるのが実にいいと思うんです。すっきりとして、いやらしくない、そんなよさです。で、本編は家庭科でお裁縫。作業が遅れてるから、一緒にやろうという千夜と香乃子。千夜が香乃子をうちに招くのですが、最初はすごく不安、けど香乃子を見れば不安は消え去って、今度は兄貴が寂しそうとかね、これは面白いですよ。兄貴、いろいろ問題だよな。そして語られる香乃子の秘密。なぜ志津のことが好きなのか? ええと、前世か……。香乃子さん、すごく可愛いのに、そうか、前世か。志津も、香乃子のきていることに気付いて逃げるように帰るとか、いや、逃げたのか。ほんと、すごい強烈なキャラクターが登場してきたものだと、わくわくさせられますよ。でもこの人の痛い言動。それが痛いということを自分でも気付いている、それがいいなって。普段はそうしたところを見せないよう気をつかってるのに、千夜が受け入れてくれるとわかって、リミッターはずれてしまうなど、こういうの、すごく面白いと思います。

そして、My Private D☆V。こちらもリサリサであります。獣耳、パッツン前髪、ツリ目の美少女。こ、これは素晴しいな。なるほど、私は獣耳への嗜好はないのですが、前髪ツリ目とか、素晴しい。ほんと、なるほど、これはいいですね。なるほど、『PONG PONG PONG!』は、まさに作者の愛のほとばしりであったのだな。私、この人の絵も話のつくり方も大好きです。応援します。

  • 『まんがタイムきらら』第9巻第8号(2011年8月号)

2011年7月8日金曜日

『まんがタイムきらら』2011年8月号

『まんがタイムきらら』2011年8月号、発売されました。表紙は『あっちこっち』。白基調といっていいんでしょうか。背景が白地、そこに白衣の真宵、白ブラウスのつみき、姫が、どーんと画面前面を占めるから、やっぱり白の印象が強くて、けれどその印象が、中央にぎゅっと寄ってる三人をぐっと押し出すように思われるのですね。コントラスト高めに、女の子が押し出されてくる。また、姫の表情もキュートで、なんともいえぬ好感触表紙です。

けいおん!』、まいったな、面白いよ。今回はムギさん回で、扉の紬お嬢様、あれこれとバイトに思いをはせている、その様子から素晴しい。本編においてもハイテンション。バイト情報誌を集めてくる、しれっと嘘をつく。律にチョークスリーパーきめられて嬉しそう。と、ここまでが嬉しい紬。で、ここからはちょっと悲しい紬になって、あの不安そうな表情からうるうる目まで、もう最高だな。素直で純粋で、そして強力な一撃! 紬さんの魅力がこれでもかと表現されて、あとの魅力は高校編で間接的に描かれることを期待しよう。しかし、ムギさん、好きだわ。これまでのもろもろが彼女に与えた影響、それもしっかり見てとれる今回。実にいいエピソードであったと思います。

『チェリーブロッサム!』、今回は幼なじみの女の子、つばきメインのエピソードですね。走る、バテる、綱島先輩と出会う。いやあ、綱島先輩、すごくいいよ。アスレチックコースに誘うんだけど、ものすごい運動性能。前世は猿なんだ。そしてターザンロープで事故。あのすっとぶコマに溢れる勢い、ほれぼれするな。綱島先輩は、この勢い、ちょっと無茶なところに加えて朗らかで前向き、こうしたところが魅力であるな、そう思わされて、そしてつばきにもいい影響あたえて、これは今後面白くなりそう。つばき、本格的に大咲にアタックしていく? いずれにしても、関係の変化は生まれそうですよね。いいですよ、ドラマです。

『はるまきトラップ!』、ゲストです。作者はノブヨシ侍。これ、めちゃくちゃ面白いよ。思春期妖怪現る。いかがわしい本を少年少女に見せて、その様子を眺めるという妖怪、春撒き姫、って、よくそんなキャラクター考えついたものだ。で、狙われる女の子、襟元ナオ、この子もすごい。いやらしい本に興味がないわけではない。そして非常などじっこ。けど、それくらいなら普通だよなって思ってたら、なんかものすごい要素が飛び出してきて、なんだあの、ビリヌゲフェチって。ものすごい威力でもって迫ってきましたよ。テンポよく、これでもかこれでもかと立て続けに押し出されてくる笑いのポイント。見事でした。ほんと、この人の漫画、大好きです。

三者三葉』はお裁縫。葉子様のつくろい。ああ、昔は靴下にしてもなんにしても、つくろって使ったよね。それは社会全体が貧しかったからなのか、今具体的に貧しい葉子様を見て、そうした昔を思い出したんですね。しかし、貧しくとも心は錦だな。あの笑顔、見事じゃないか。清々しい。高貴でさえあるじゃないか。で、つくろいものできる程度の技術が、服作る役にたつわけないじゃないかっていう、この厳しい現実。荒井チェリーの漫画は、こうした高い技術要求されることに対して、全然舐めてないというか、非常にシビアな見方があるのが素敵です。そして、ネクタイ縫い付ける双葉。ああ、なんて可愛いの。葉子様針仕事に難色示す山Gの乱心、あれも実に見事でした。

  • 『まんがタイムきらら』第9巻第8号(2011年8月号)

2011年7月7日木曜日

『まんがタイム』2011年8月号

『まんがタイム』2011年8月号、発売されました。表紙、メインは『おとぼけ課長』であります。うなぎをつかんで奮闘している。なるほど、夏を乗り切る食べ物ってテーマでしょうか。『おっさんデイズ』では鰻丼らしきもの食べてますね。『タマさん』はというと、ええと、これはなんなのだ。いわゆる原始肉、マンガ肉というやつを運んでいる杏とタマさん。タマさんは恐竜、杏は原始人コスプレで、なるほどこれもひとつのスタミナ食であるのですね。そして『わかば先輩未満』。こちらは、ボクササイズ? 別テーマのカットです。

『極小刑事ミニさん』、ゲストです。今回はミニさんの同期、椹木ってのが出てきて、最初はいけすかないおっさんなのかなって思ってたら、なんのなんのなかなかいいキャラクターで、かつての活躍っぷり。すごく息はあってるんだけど、なんか微妙におかしくて、この昔のふたりをクローズアップしても面白そうだなあと思わせるものでした。しかし、ミニさん、昔は普通のサイズだったんだ。なんだかちょっと意外でした。

『にこかみ』、なんと最終回。ゲスト掲載の最後ってことですか。一人前の幸福神になるため、あかりのもとにやってきたニコ。幸せのスタンプで星集めするというの。その光景がすごくほのぼのとしていて、結構好きだったんですね。そして最終回。ひとときの休息に、心休めたあかり。ついに星みっつが出てという、いえね、この時点での最終回なので、さすがにはやいと思わないでもなかったのですけど、でもこうした、もう出ちゃうんだ! という感覚、それはこの漫画らしかったと思います。神様として成長したニコ、なおさら可愛いなあ。続いたらよかったのになあ。そう思います。

『まだまだ浅野さん』、『Fever!! — 貧乏レイジの同居人』を描いてた城戸みつるの新作ですね。小学校の先生をやってる浅野さんが主人公。なんかちょっと陰気で、なんかちょっとおかしな行動が目立つお嬢さん。全体にローテンションで、じわじわくるんだけど、面白さに引き込む力はちと弱いかも、そんな感じです。けど、『Fever!!』なんかもそうだったんですけど、この人の漫画はある程度読むことで面白さが浸透する、そんなところがあるから、もうしばらく読んでみたいところです。しかし今回のでは、デッドボールセンター、あれはすごかった。絵面も強烈で、これは高インパクト。最高でしたね。

教師諸君!!』、おっとまさかのゲスト掲載。扉の西名先生、エレガントだなあ。今回の話は、すごくバランスよかった、そう思うんですね。ええと、教科的にもといったものか、笛田先生に誘われてハス見学。花の魅力あり、意匠の歴史、地理的広がりについての説明あり、そして栽培あり。ふたりの多面多様な興味の現れるところ、すごくいい。ものごとを知り、深め、またその範囲を広げていこうというようなところ。生涯学習の面白さとでもいいましょうか、そういった知と実践の楽しみを描いていると思うのですね。で、教頭先生。この人も、立場があるから交わらないだけで、本質は西名笛田組にそう違わない人だと思わされました。そして、二階堂先生。結局没収されたのか。けれどもその後、皆で仲良くバーベキューしてる。この和気あいあいとした感じ、こういうのもやっぱりこの漫画の魅力と思うのですね。

  • 『まんがタイム』第31巻第8号(2011年8月号)

2011年7月6日水曜日

ゼルダの伝説 時のオカリナ 3D

 ニンテンドー3DSは『ゼルダの伝説 時のオカリナ 3D』のために買った、みたいな風にいっていましたが、本体購入より前に『閃乱カグラ』の予約が完了していたというのは、また別のお話。さて『時のオカリナ』はもともとNINTENDO 64用のゲームで、オリジナルは1998年発売、10年以上前のタイトルですね。しかし、その10年以上前のゲームに対し、これが最高峰、これを超えるゲームに出会ってない、それくらいに評価する人がいたのです。とにかく面白いからとすすめられて、ああ、じゃあ一度プレイしみるか。サントラも貰えるっていうし。そんな具合にして買ったゲームだったのですね。

これめちゃくちゃ面白いですね。まだプレイ途中なんですが、8割ほど進んでるのかな? 迷宮をギミック作動させながら探索し、ボスを倒してクリア。その繰り返しなんですが、迷宮それぞれに個性があって、攻略の鍵となるギミックが違ってるから飽きないんですね。最初の方はシンプルで、ひとつ攻略するごとにできることが増えていく感じ。だから、後半になるにしたがって、クリアに必要とされるアクションは増えていく、つまりより複雑になるのですが、理不尽な難しさや、やたらいじわるな仕掛けはないから、たとえ途中でつっかえても、これかと理解したら容易に先に進めるようになる。逆にいえば、アクションの技術を駆使して、ぎりぎりを擦り抜けるようなゲームではないんですね。アクションは、簡単ではないけれど、難しくもないという感じ。仕掛けにしても、またボスも含む敵にしても、ちゃんとヒントが示される。あるいは、ナビィというお供の妖精が教えてくれる。極力行き詰まらないように作ってある、そんな親切設計です。

とはいえ、行き詰まったんですけどね。先週末くらいからかな、数日ほどなにをやったらいいかわからなくなってしまっていて、ナビィはどこそこにいけって教えてくれるんだけど、そこでなにをしたらいいかわからなくて、えらい困った。そういう場合は、シーカーストーンってやつにヒント映像見せてもらえばいいんですが、けど自力で解かないことには気がすまない。なので、ぐるぐるぐるぐる、あっちいったりこっちいったりして、大体はわかってるんだけどなー、悩んだけれど、気付けばすぐだった。大体こんな感じですね。迷宮の中でも、大体はわかってるんです。ただ、キーとなるなにかが欠けている。それは必要となるアイテムをまだ見付けられてないとか、あるいは鍵となるアクションに気付けていないとか、そんな具合なんですね。だからキーにこそ気付けばその先は驚くほどスムーズに進める。ああ、いいバランスだなって思うのでした。

『時のオカリナ』は3DS用にリメイクされて、画面が3Dになったというのもあるのですが、ジャイロセンサーに対応したのも大きな変更みたいですね。矢やパチンコなど、本体を動かすことでこれらの照準を定めるのですが、これはすごく便利、すごくやりやすいんですね。微調整するのは簡単ではないけれど、素早く大まかに狙いをつけたい場合は、パッド使うよりもはやく、確実です。これはいいわ。よくできてる。ほんと、そう思わさせる出来でした。

謎解きのバランスがよくて、時の経過とともに変わっていくもの、そんな世界の様子がちょっと切なくて、そして操作系がよくできてる。直接の攻略には関わらない遊びの要素もいろいろあって、なかなかしっかり楽しめそう。ほんと、これはプレイしてよかったゲームであると思いました。

2011年7月5日火曜日

『まんがタウン』2011年8月号

『まんがタウン』2011年8月号、発売されました。『新クレヨンしんちゃん』メインの表紙。水着で海、でありますね。他には『少年アシベ』、『はいぱー少女ウッキー!』があって、そして『鎌倉ものがたり』のカットもございます。

『ケイくんとアヤメさんがルームシェア』、ボマーンの新連載です。12歳の少年ケイと29歳アヤメ、ふたりが同居する話です。といっても、恋愛ざたとかあるわけでなく、ちょっとだらしないお姉さんと、しっかりもの少年の、でこぼこルームシェア、なかなかに面白い。いい感じの第1回でした。この、ちょっとぐーたら、気さくでフレンドリーなお姉さんの造形、それが素晴しいと思います。で、ケイくん、可愛いよなあ。思春期だったり、で、お姉さんがちゃんとそういうことわかってるっぽいのもいいなって思います。

光の大社員』、コンバッ太の訴え、これはなんかちょっとわかります。思ってもいなかったのに、そうだと決め付けられるのは心外。けど、結構あることと思います。で、面白かったのが「受け身ストヤワラ太郎」ですよ。伊達もえッと絶句する。そんなアプリなんですが、間を置いて描かれる、受け身でピンチを回避する様子、最初のもそうだけどさらに有り得ないと思わせるシチュエーションで、これは面白い。こんなアプリあったら、入手してしまいそうでまずいです。で、プールですずなさん。ああ、この人はやっぱりなんのかんのいって可愛いなあ。かっこよく沈んでいく、あのコマ、実にナイスでした。

『かしこみっく』、実にいい感じ。おいなり神社のふたり、ちとせとその父がうまいことかしこみ神社にとけこんでいってるようで、扉のちとせの表情とかね、すごくいいと思うんです。ヒミコに対し、いい感じのお姉さんとして振る舞ってる。この人の気さくな感じ。これはすごく魅力的と思います。あとプライドとか、可愛いお嬢さんだなって思います。そしてもちろん他のネタも面白く、地デジカ、あれも妙におかしかった。この人は本当、うまいなって思います。

『かりあげクン』は、昔ながらの、時代を選ばない、流行に左右されない、そんなネタが基本なんだけど、アヒルぐちみたいな、思いがけない最近流行のネタ、去年あたりのブームですかね、そういうのも取り上げるんだからすごいな。そう思わされます。で、それをきっちりからかう、そんなところが『かりあげクン』の魅力だよなって。ただからかってるっていうよりも、これで可愛く思われようという、そういう心理を見透すみたいなところがうまいと思わせるところなのでしょう。

  • 『まんがタウン』第12巻第8号(2011年8月号)

2011年7月4日月曜日

少女公団アパートメント

 素晴しいな、『少女公団アパートメント』。ほんと、他にどういいあらわしたものか。『少女公団アパートメント』、素晴しいです。都会の学校に通うことになったので、田舎から出てきた女の子ちさ。おばさんの家にお世話になるのですが、それが団地。お隣さんに同い年の女の子ろかがいて、そして上の階にはなつみ、さくらの姉妹がいる。この4人が集まって楽しそうにしている風景、それがもう本当に魅力的で、ひとりひとりの個性、それが生き生きとして、見てる、それだけで充足するのですね。

思えば、第1話の扉絵、カラーがすごくきれいで、よさそうだなあ、そう思っていたところに、第2話のバランス釜がとどめをさしたんでしたっけ。ああいう給湯器があるというのは知っていた。けど、シャワー使うなら湯を張りなさい、そうじゃないとというのがね、わあ、そうなんだ、けどそれって構造的欠陥ってやつじゃないの!? と驚いて、こうした団地についてのレクチャーや、登場人物の個性が見えていく展開が、ああ読み進めれば、きっともっと好きになるって思わせたのでした。そして、この予感は間違ってなかったのですね。

なつみが面白いですよね。お姉ちゃんの服を勝手に借りて、お姫さまみたい! って、どんなに可愛いの! で、汚しちゃって、やぶいちゃって、それをなんとかしようと奮闘する3人。ちさ、ろか、なつみの努力と失敗が光ってましたよ。なつみのすぐ泣いちゃうところとかね、しかも、ぎゃーんっとか、最高だと思う。で、いつも被害にあうお父さんのとっておきとか、こういうの、もう本当に面白くて、繰り返されるネタにもしっかり気持ちがいきとどいてるから、まだ見ぬ神代家父と娘との関係、どうなんだろうとかね、すごく想像しちゃって、ええ、描かれてることだけじゃないんです。描かれてることのはしばしに、描かれてないことへの入り口が開いている。ほとんど、4人の女の子だけで完結しているお話が、彼女らを取り巻く家族、学校、地域をこんなにも感じさせて、こんなにも豊か。彼女ら皆の暮らす世界の確かに存在しているという息衝きが、たまらないのですね。

と、世界を感じるのもいいのですが、やっぱりここはちさ、ろか、なつみ、さくら、彼女らの一緒にあって、楽しそうで、ちょっとさくらが暴走気味で、そんな様子を眺めていたいのです。華やかなお嬢さんたち。ひとりひとりにいいところがあって、ちょっと駄目なところがあって、けどちょっとの欠点も魅力ですよね。本当、すごくキュートで、読んでいて飽きるところがありません。彼女らの心の動きの描かれようも素晴しく、本当に大切な一冊です。

残念なところがあるとしたら、連載時にカラーだったページが白黒収録されてしまってるところでしょうか。これ、カラーで収録されるなら、価格があがってもかまわない、ではなく、コスト分支払うからカラーページも収録してください。そう思ってしまうくらいカラーがきれいなんですね。当然表紙もすごくきれい。本当に最高です。

2011年7月3日日曜日

ニンテンドー3DS

 先日のこと、ニンテンドー3DSを買いまして、ええ、つまり、これ買おうかなあどうしようかなあ、と迷っていた気持ちに区切りをつけたというわけです。しかし、なぜこの時期に決断がなされたのか。それはですね、3DSはいずれ買うだろうという予感があったこと、まずそうした前提があったのが重要で、そしてぜひとも今買っておきたいソフトがあった、ええ、このソフトが背を押したのですね。『ゼルダの伝説 時のオカリナ 3D』ですよ。これ、できがすごくいいっていうじゃありませんか。それに7月末までに買うと、サントラがもれなく貰えるっていうじゃありませんか。もう、買うしかない! って思いましたね。

で、買うとなったら色を決めないといけません。3DSは好みの色がなかったんですよ。白とか、それに近い色が欲しかった。けどブルーとブラックしかなかった。買うなら黒かなあ。そう思っていたところに、よし新色がきた! 白あるかな? って思ったら、赤しかなかったっていうね。あー、もう、こりゃ黒だなあ。と思って、けど実際に買ったのはアクアブルーでした。いえね、実機を見ましたら、黒はちょっと重厚すぎるなあ。そう思ったもので、また青も悪くないなって思ったのですね。

立体視は個人差があるので、人によっては頭痛や疲労が酷かったり、あるいは立体に見えないというようなこともあると聞いていました。けど、私はちゃんと確認していまして、これはたまたまなんですけど、先日日本橋にいく用事があった時に、3DSの試遊をしてたんですね。この時はまだ買うつもりではなかったんですけど、問題なく立体視できるということがわかっていた、これも購入に踏み切らせる要素のひとつでありました。

さて、立体視でのゲーム、これはやっぱりなかなかに新鮮で、けど3Dボリュームを最大にするとかなりしんどい。中間くらいが私にはいいみたいです。でも、これでも長時間プレイしてると目がくらくらしてきて、筋肉が疲れてくるのでしょうか、画像が分離してきて、すごくしんどくなるんですよ。なので、そうなったら3Dボリュームを最小、つまり3Dをオフにして遊んで、ここぞというところだけ3Dをオンにする。そんな具合で遊んでいます。

こんな様子からもわかるように、目への負担はかなり大きいです。すごく疲れる。それどころか、最初のうちは、3Dでない画面、コンピュータやなんかですね、を見る時に、なぜか像が分離する現象がおこって、いやあ困りましたね。ゲームは一日一時間ではないですが、長時間立体視でゲームしちゃいかんなと思ったんですが、いえいえ、まあ慣れました。ちゃんと切り替えできるようになったみたいで、また目の疲れも多少ましになったみたいで、けど疲れないわけではないから、やっぱりほどほどにしないといけない、そんな感じです。

3DSは、本体だけでも遊べる、使えるというところがよくできていると思います。3Dカメラになる。カメラで取り込んだ顔を敵にして戦うシューティングとかが最初からはいってる。3Dで遊ぶということ、またジャイロセンサーで遊ぶということ、新インターフェースを本体だけで充分に体感できるようになっているのは、すごくうまいと思うんですね。そして、先日のアップデートでWebブラウザも使えるようになりまして、これ、結構便利で、これまでコンピュータ使わず手元でwebを見たい時にはPSP使ってたんですけど、すっかり3DSに置き換えられてしまいました。文字入力がタッチパネル使うなど、手元見ずに文章書いたりなどはできませんけど、まあそれで充分です。予測変換も結構いいできでしたし、twitterするくらいならこれで充分ですよ。ほんと、ゲーム以外にも使える、そんな印象なんですね。

スリープ時の挙動、これもよくできてます。スリープ時には歩数計になります。すげえ! とはいうけど、私、これは持ち歩いてないからあまり意味ないんですね。そしてもうひとつ、スリープ中にコンテンツの配信をうけることができるんです。任天堂からのお知らせや、ダウンロードできるソフト『いつの間にテレビ』の番組などが、スリープ中に配信されているんです。なるほど、これよくできている。ガラパゴスなんかで、朝になったら新聞や雑誌が配信されています、っていうのが売りになっていましたが、その感触、実感することができまして、いや実際これは便利だな。そう思わされたのですね。

3DSは、まだそこそこにしか売れてない? みたいに聞いてますけど、今後、これというゲームが出たらどっと売れたりするのでしょうか。異常な売れかたはしないでいいから、売れてくれたらいいなって思います。やっぱり、一緒に遊べる人が多いと嬉しいですから。

2011年7月2日土曜日

『まんがホーム』2011年8月号

『まんがホーム』2011年8月号、発売されました。表紙、テーマは水着みたいですね。南国っぽい柄の水着きたらいかをメインに、妙に子供っぽく見える『夫婦な生活』みえこさん。そして、椿さんなんですが。わあ、ナイスバディ! って、なんだこの適当コラージュは。こうしたときにあえて見せない。そうしたところに椿さんのらしさが感じられて、いいですね。

『まりかちゃん乙』は期末試験の話。一日目が終わって、最初は余裕を見せてたまりかが、答あわせの進むにつれてだんだんに追い詰められていくところとかね、いやあ、面白い。面白いんだけど、なんか昔を思い出して切ない。ええ、私は彼女にそう違わないタイプであります。今回は、できてないっていってできてるゆなに軽くつっこんでみた後に、せいらをとことんバカにするっていう。この怒ったせいらが可愛いなあ。全裸にして校門に吊るすぞ!! とか、しびれる文句であります。しかし、まりかちゃんは駄目な子だな。嫌なことは先送り。でも、これは私も同様でありまして、つまり私はこの漫画の主人公に、自分の姿を見ているのかも知れません。今度、単行本が出ますね。まとめて読んだら面白そうだな。今から楽しみにしています。ああ、これがKRコミックスならカラーの描き下ろしが期待できるところなのに。最近はタイムコミックスでもそう思う漫画が増えてきています。

そして特別企画。『まりかちゃん乙』発売記念とあって、なんで? と思ったら、なるほどお題が『私のトンデモ友達』。まりかちゃんがトンデモな友達ってことか。執筆者はユキヲ、安堂友子、木村和昭、辻灯子、櫁屋涼、以上5名。で、安堂友子の友人って、あの天子様のモデルになったという人か。カレシができたらオマエなんかポイといいきる、そんな人。この怖ろしいほどの割り切りは、ほんと見事だと思います。っていうか、牛乳が嫌いだからといって酷いこという。この気を使わないのは、よっぽど仲がいいからか? ともあれ、理解しあえなくとも友人になれるという結論は大変よかったと思います。でもって辻さんの友人Y子さんもいい味出してる。こんなこといったら偏見なんですが、漫画家という仕事を選んでしまった人のまわりには、やっぱり面白い人が多いように思います。面白く描いている、そういうこともあるのかも知れませんけど、あえて一般的な道を選ばなかった人の友人。類友ではないけれど、なにかそういう引合せがあったんじゃないかなって思ったりするんですね。

『東京!』が夏休み、小金井公園に3人でいきました、という話。で、小金井公園ってどのあたり? 調べたら、なるほど武蔵小金井駅が最寄り。なるほど、彼女らの地元なんですね。で、桜の名所にあえて春をはずすムサコ。で、いきついた先は江戸東京たてもの園、なんか楽しそう。江戸時代から昭和初期まで、なのか。高橋是清邸とかも面白そう。こういう、ちょっと知らない名所を教えてくれるのっていいなあ。で、ずっとぶるぶるしてるたまが可愛すぎ。ムサコが蕎麦食べてるの見てると、蕎麦、食べたくなりますね。

『ももかアンコール♪』は、ももかの休日ですね。友達と一緒にお出かけ。アイドルものであるんですけど、あんまりアイドルっぽくない、普通の女の子っぽいところが好きだったりして、いや、普通の女の子よりもずっと素朴で、ちょっとこんなお嬢さんいないよね、っていうくらいいい子。で、発想が面白い。あの本日休業とか。そしてお風呂のエピソードも、お母さん、娘が溺れてるって思ったんだろうなあ。ちょっとしたエピソードが面白い、ちょっとキュートっていってもいいのかな、そんな感じがして好きなんですね。あの最後のパーマとれちゃったっていうのも、え、それいいのんか? みたいなの、いいですよね。

  • 『まんがホーム』第25巻第8号(2011年8月号)

引用

  • ユキヲ「まりかちゃん乙」,『まんがホーム』第25巻第8号(2011年8月号),76頁。

2011年7月1日金曜日

「自殺社会」から「生き心地の良い社会」へ

 先日、twitterで自殺についての考察、といっていいのかな? そういうのがちょっと流れてきましてね、それで私もいろいろ思うこと書いてたら、おすすめの本があるよと教えてもらったのです。その本というのは『「自殺社会」から「生き心地の良い社会」へ』。NHKで自殺に関する番組を作っていた人が、有効性のある自殺対策とはなにかと考えた末、退職。自殺対策に取り組むNPOライフリンクを起こした。清水康之氏ですね。この人と文化人類学者上田紀行氏による対談本であります。

この本は、タイトルにもあるように、年間3万人を超える自殺者数が問題となって久しい日本の状況、人を自死へと追いやる、そんな社会から、生きていて心地の良い、そんな社会に転換していくにはどうしたらいいか、そうしたテーマを扱っています。また内容も、データがばりばり出てくる、数字や表、グラフが山ほど出てくる、といったようなことはなく、対談という形式もあって、ものすごく読みやすくなっています。

序盤は自死遺児についてのエピソードからはじまるのですが、これは意外でした。なにせ自殺の本ですから、自殺をする、自殺をしそうな人、当人とその人を取り巻く環境の問題がメインと思っていたからなんですね。けれど、それが自死遺児から入っていくというのは、著者である清水康之氏の自殺問題に関わっていった、そのプロセスをなぞっているのでしょう。なぜ氏が自殺問題に興味を持ったのか。そのきっかけは自死遺児の問題だった。親が自殺したといえない、いってはならないという社会風潮の中で苦しんでいることや、また自分はなぜ親の自殺をとめられなかったのだろう。あるいは自分は見捨てられてしまったのか、などなど。このあたりは、本当に読んでいてつらかったです。涙なくしては読めない、そんな痛ましさに満ちていて、けれど読まずにはいられない。そして対談は、追い詰められ、自殺にまで追いやられていく当人の問題にうつっていって、そしてこれもまた悲しい話であるのですね。

この本のいわんとすることは、自殺はともすれば個人の問題ととらえられがちだけれど、そうではないんだということです。自殺は、自殺者を取り巻く社会の問題であり、ひいてはその社会を構成する私たちひとりひとりの問題であるということ。人を自殺に追いこまない社会、それはどういうものであるか、いろいろな文化や取り組みの事例を紹介しながら、それは生きづらくない社会だ、生き心地の良い社会だと説くのです。日本社会の意識や構造について、失敗すること、立ち止まることについて異様にネガティブなとらえ方のされることが、ドロップアウトに対する強烈な恐怖を感じさせるにいたり、限界まで頑張るよう追い込んでしまう。はたして、それは正しいことなのか、それはいい社会なのか? 人生の途上で立ち止まり、自身を振り返れるような、そんな時間を持つことも許されない社会。それは仮に経済的に成功したとしても、しあわせと感じる、そうした価値観からしたら決して成功とはいえないのではないか。これまで日本は、経済的成長や金儲けといった刹那的な幸福感情ばかり求めてきたけれど、そうではない、持続的に感じられるしあわせについて考える社会に変わっていくべきじゃないか。

こうしたことが語られているのですね。

私は以前から、この国の再チャレンジのしにくい社会構造について不満で、それこそ日本に必要なのは人生ゲームにある開拓地、一発逆転も可能というチャンスがあるということなんじゃないか、などと思ってきました。また、年中無休、24時間営業も珍しくなくなった、そんな社会に対しても、それこそ自分の子供時分がそうだったように、正月になると店がぜんぶ休みだった。盆もそうだった。夜なんて、どんな店も早々に閉めてしまってた。それは不便だったかも知れないけど、それでも皆それを普通として暮らしてた。しかし、今はなんでそう思えないんだろう。疑問に思ってきて、ネットで買い物すれば翌日翌々日には届く、そんな社会の便利を当然のようにうけながらも、もっとスローでいいのに。もっと穏やかな社会でいいのに。そう思っていました。

だものだから、この本は私には共感をともに読み進めることのできるものでありました。苛烈さよりも穏やかさ。仕事や生活に追われるばかりでなく、家族や友人など、大切な人とともにあれる時間を大切にできたり、またひとりゆったりと休める、そんな社会に憧れる人間にこそ、読んでしっくりとくる本であったと思います。そして、そういう穏やかな社会は、自殺者も生みにくいかも知れない。それはつまりは、自殺するまでもなく普通に暮らす人たちにとっても、暮らしよい社会なんじゃないか。自殺者について考え、その対策を練るということは、自分たちの社会をよくするということに他ならないのではないか、そう思わせられるのですね。

自殺というと、人によっては自分には縁のないものと思うかも知れないけれど、そうじゃないんだ。彼ら彼女らの死を思い、続く被害者を生まないよう取り組むことは、自分自身の生活を豊かにするということであり、また、いつか自殺に追いこまれるかも知れない自分自身や身近な誰かを支え助けるということなのだ。そうした意識を強く実感しました。

最後に清水康之氏のNPO、自殺対策支援センターライフリンクと、その活動のひとつであるいのちと暮らしの相談ナビ、これらを紹介しておこうと思います。特に後者は、自殺しないにせよ、失職したり病気になったり、人生に起こりうる大変な状況、それらに直面してしまった時の助けになってくれるサイトであると思います。今は大丈夫、そう思ってる私も、いつか頼るかも知れない。それは、やはり自殺問題は他人事ではなく、自分の問題であるということなのだろうな。そう思わされるのですね。