この漫画、連載の誌面、読むたびにですね、なにかわくわくとさせてくれるものですから、本当に好きで好きで、楽しみでしかたがないんですよ。なんにゃかの『ねこのひたいであそぶ』。中学生の女の子4人が、町で、学校で、自然の中で遊ぶ、その様が本当に楽しそうで、見ていてたまらないんですね。その遊びというのも、いつかどこかでやったことがある、そうしたものが大半で、だからこそでしょう、懐かしくって懐かしくって、ああ、昔、子供のころ、自分もこういうの、いろいろ遊んだものだったっけなあ。ざりがに採って、昆虫とって、星を見て、探検して、ダンボールで草すべりして。ほんと、苗たちの遊ぶその姿、見てるとどんどん気持ちが昔にもどるようで、ああ、またこうして遊んでみたいなあ、そんな気分になってしまうのです。
メインの登場人物は、最初にいったように中学生の女の子なんですが、けれど彼女ら、まるで男の子みたい、っていうか、ほんと、冒険大好き、探検大好き、マインドは男の子そのものといってよさそうな感じなんですね。ちょっと理系な中学生・苗、スポーツの成績(とノリ)だけはいイイ実紀 、本の世界にどっぷりな綾音、ファインダー越しに世界を見つめる羊子
。女の子っぽいのって綾音だけかな? と思ったら、何考えてるか分からない
とかいわれちゃってる羊子が意外に、といったら失礼か、思った以上に女の子で、ほんと、普段の様子だけでは判断しきれないこの子たちの個性にやられてしまうこともしばしばで、描かれる遊びで楽しみ、彼女らの個性、キャラクターで楽しみ、といった具合なのですね。
しかし、みな元気で、見ていてすごく気持ちのいい漫画であります。ほんと、どの子もすごくいい子で、みんな大好きなんですけど、とりわけ好きなのは苗かなあ。ちょっと理系と紹介されてる子ですね。冒険とか観察とかチャレンジとか実験とかが好きって感じなのでしょうか。この漫画のテーマというか魅力というか、それを一番に体現してる子であると思います。どんなものにも驚きや楽しみを見いだす、アイデアを出し、そして実行する、そんなマインドに溢れた子です。もちろん、こうしたマインドは苗だけでなく、他のみなも持っていて、誰かの発案がその日の遊びを決定するのだとしても、ひとりひとりで異なるスタイルがですよ、それぞれのやりかたで楽しみを深めていくことに繋がって、実に素晴しいのですね。みな、ひとりひとりが遊びの主体となって、それぞれのアプローチを見せてくれる。これがわくわくとする感じを盛り上げてくれるというのですね。
そういえば、先生、この人もいいんですね。苗たち4人を見て、まっすぐ育ってと願っている。その気持ちが嬉しいじゃありませんか。そして、この先生もまたいいキャラクターしてまして、楽しみに対してまっすぐだっていうところ、花咲先生もそうなら、種山先生もそうですよね。ほんと、見ていてすごくいい。かくのごとく、この漫画に出てくるのは、そろいもそろって、みなホモ・ルーデンスな人たち。遊ぶ人の魅力、それが満載されているのですよ。
- なんにゃか『ねこのひたいであそぶ』第1巻 (まんがタイムKRコミックス) 東京:芳文社,2011年。
- 以下続刊
引用
- なんにゃか『ねこのひたいであそぶ』第1巻 (東京:芳文社,2011年),帯。
- 同前,13頁。
0 件のコメント:
コメントを投稿