『はじめ×くろす』はまんがライフWIN - livedoor デイリー4コマにて連載されている四コマ漫画でありまして、サイト名にあるように、デイリー、日刊なんですね。毎日、1本ずつ四コマが掲載される。ちょこっとずつ毎日読める、はいいんですが、一本ずつだとものたりないから、ある程度たまった頃あいに読みにいったりしています。その『はじめ×くろす』が単行本になりました。というわけで、購入しまして、読みまして、ああこれは習慣の問題なのでしょうか。画面で読むよりも単行本の方がより面白いと感じられました。加えてカバー下、冒頭、各話合間のおまけなんかも実に面白くて、ええ、裏表紙側カバー下など、もう最高でありましたよ。
さて、『はじめ×くろす』。これは、最近はやりの、なんていっちゃっていいものでしょうか。女装男子ものの一バリエーションであります。とはいえ、この手の女装させられてお嬢様のおつきになるとか、女装して女子寮に入るみたいなのって、少女漫画なんかでは定番だったりするような気もして、だから男の娘ものというよりも、伝統的女装少年のバリエーションといった感覚が強いです。
女装するのは、というか、させられるのは、一宮家に代々つかえてきた榊家の息子、一であります。一宮のお嬢様、ほのか様を護衛するべく女装することになった。いや、ほのか様、女子寮に入っておいでなので、御側に寄るには女装するしかない。って、そうかな、ほんとにそれしか手はないのかな!? って思うのですが、どうも一宮の当主と榊のお父上の間ではそういう取り決めになっちゃってるみたいで、かくしてはじめはお嬢様おつきの家政婦に身をやつして、女子寮にはいることになったのでした。
でも、面白いですよね。お嬢様はとことん無邪気で、はじめの秘密を知ってるのは従姉で担任の祥だけ。時にほのかの父からもたらされる無茶な指令をこなしながら、女の子として振る舞い続ける、そんなはじめが不憫で不憫で、実にいいんですね。そしてお嬢様、ほのかも、ちょっと寂しがりやといいますか、はじめのことすごく気にいってて、この懐きようがなんともいえないんですね。はじめをドキドキさせればコメディとしての面白さを強め、またしみじみと友情など感じさせれば、お嬢様の健気な気持ちがクローズアップされる。この多様性がたまりません。ほのか様、本当にはじめのこと信頼なさってるんだなあ。その気持ちの素直さ、それがお嬢様を女の子として意識してしまうはじめに追い討ちをかけているように思えます。ほんと、こんなに純粋なお嬢さんにこんな邪な思い抱いたらだめだっ! そうした葛藤に、やっぱり純粋な少年のハートを感じちゃって、いやあ、はじめくん、すごくいい。この好きになっちゃいけないっていうシチュエーションで、でも好きにならずにいられない。あくまでも自分は護衛・使用人であるということを忘れず、けれど気持ちは動いてしまうのよっていう、そうした感覚がいいのだと思うんですね。
そして脇をかためる人たち、それもいいんですね。ほのかを狙うお嬢様、雪はちょっとわがままで、はじめには敵意あらわにするけど、でも本当に心底嫌い憎んでるって風でもないし、可愛い人だと思うわけです。そして、雪についている使用人、正宗、ほんと、素敵! はじめに恋しちゃったって、もう、ほんと素敵! あの最後のページなんて、もう、転げまわりそう! いや、あちこちにこうした気持ちの種がまかれてるって感じがしましてね、ほんといいのですね。
というわけで、私は藍さんのよき友人っぷりが大好きです。
- 寺本薫『はじめ×くろす』第1巻 (バンブーコミックス WIN SELECTION) 東京:竹書房,2011年。
- 以下続刊
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