『まんがタイムスペシャル』2011年9月号、一昨日の続きです。
『早乙女寮別館ものがたり』、面白いなあ。お父様の恋心をばっちり把握していた勝少年。しかも皆の前で曝露。あのばれてしまった理由、あれは面白かったなあ。いつも夢に見てるんだ。そして、このふたりはあきらさんの秘密を知らないんだ。ちょっと意外、というか、なんで松子はあきらさんの秘密を知ることになったんだっけ。あまりに普通に知ってたから、当然寮の皆は知ってるのだと思っちゃうんですね。さて、勝くんの作戦。なるほどこれはうまい。しかしあきらさんはそれ以上にうまいよね。相手を傷つけない断り方を熟知してる。こういう物腰もろもろ見ても、素敵な女性だなって思いますよ。そして、勝くんが恋に落ちる。ああ、ああ、あれは素晴しく魅力的。ほんと、素敵な女性だと思います。
『踊る!アントワネットさま』、ゲストです。タイトルにあるとおり、マリー・アントワネットがかかわってくるお話。ということは、ヒロインは実在の人物か? そう思って調べてみたんですが、確かに同名の画家はいた、けれど時代が違ってた。フィクションってことでいいのかな? というわけで、ヒロインは絵に夢中の女の子、マリー・ボヌール。ヴェルサイユの宮殿で絵を描いていたところ、宮殿を抜け出したマリー・アントワネットと出会うのですね。どちらも、ちょっとお転婆、自由を愛するお嬢様、って感じです。絵柄が貴族の娘のエレガントさを表現するのに向いていて、素敵。このふたりの友情ものになるのでしょうが、その行く末こそは悲劇かも知れないけど、多分そこまでは描かれまい。だとしたら、なかなかに楽しそうなものになりそうに思います。
『放課後のピアニスト』はピアノコンクール。なるほど、確かにレミはコンクール荒らしとして怖れられてました。で、それはいいんですが、シド先輩がちょっと意外。初登場なのはいいとして、この人はそれこそ圧倒的な存在なんだって思ってたんですが、そういうわけでもないのか。なるほど、この子たちは、ある種現実的な存在なんだって感じですね。そして、コンクール本番。おお、ソラくんが凄い。コンクール慣れなのか、実力なのか、シド先輩を上回るんだ。そして、彼女らの熱闘熱演が芸術への支援者を力付けるとかね、なるほど、よりよい実演家とは、ただ支援を受けるだけでなく、支援する、そんな存在でもあるんだな、そう思わせられるいい話。みんな、自分の力で、自分の場を切り開いてるんだなあ。楽なことなんてないんだ。力付けられる、そんな話でした。
『強風記』、最終回でした。いや、驚きました。なるほど、この話はいわば白鳥が死んだその時に完結を内包していたのですね。白鳥のそばで、ずっと鬱屈していた烏山の存在、そのものがすなわち白鳥の才能を物語っていたというのですね。そして、烏山はあいかわらずとはいえ、白鳥について書いたこと、それで名をあげた。その内容は、これまでの漫画に描かれたこと、それなのかもなあ。うだつのあがらない作家志望の喘ぎがその骨子であったのでしょうね。そして琴江の消息も知れて、そうか、死んでしまったのか。白鳥、烏山の小説を読んでいた、その晩年を知らされて烏山はなにを思ったものか。それは直接には描かれなかったけれど、彼にはひとつの意味ある出来事として刻まれたのだろうなあ。なにか一種の感慨ある漫画でした。気になる、そんな類でもあって、これまでずっと楽しみに読んできた。面白かったなあ、しみじみと思うところある、そんな漫画でした。
- 『まんがタイムスペシャル』第20巻第9号(2011年9月号)
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