2011年7月10日日曜日

『まんがタイム』2011年8月号

『まんがタイム』2011年8月号、先日の続きです。

『華園の微男子』、終わっちゃいましたか。最初はちょっと感情移入しにくかったのが、段々によくなってきて、これいいじゃない、そう思えるようになっていたものだから、この終了は残念です。男子があまりに酷い扱いうけている、けどそこからだんだんに権利を回復させていく、みたいな展開が最終回にきたのが遅かったなあというのは、正直なところです。これ読んでいて気付かされたのは、私は比較的男子が女子に酷い扱いうける、そんな漫画が好きですけど、それは特定の女子と男子の関係性ゆえに生じる力関係、だからよいのかもなってことでした。つまり、学校という機構、制度において男子が差別されている。そこで学ぶものとして、女子と同様の待遇を受ける権利があるはずの彼らが、その権利から疎外されている。こういう、関係性の生じるまでもない最初の基本の段階で、あらかじめ差別されている。これは違う、私の好きな構図ではないな、そう思ってしまったんですね。

けどだんだん面白くなってきたのは、山吹ケントと羽衣まりか、ふたりやその周囲の皆との関係が描かれてきたから、なのでしょうね。でも、こうした特別の関係は、男子全般にはゆきとどかず、ゆえに差別されている感覚は拭えなかった。そんな風にも思ったんです。この状況、男女逆転させれば、女子のおかれている環境、おかれてきた環境が理解できるかも、そんな風に思ったりもしましたが、もちろん作者は差別やら逆転やら、そんなことを思って描かれたわけではないでしょう。これから女子男子の歩み寄りなんてのも期待できそうに思ってたものだから、この最終回はやっぱり残念に思っています。

『となりの原始人』、これ、めちゃくちゃ面白いです。私のとなりの家には原始人が住んでいます、とかいうんですけど、この人、格好がいい加減なだけで、実態は在宅SE。室内にはコンピュータがいっぱいあって、なのにとなりの女子高生からは原始人と勘違いされている。なにやっても原始人的行動と思われる。あの貯金とか、その発想がすごいよね。さみしいなうから全滅の流れなんかも、決しておかしなことはいってない。けど、女子高生の質問に対しては的確で、さらに深まる誤解。いや、これやっぱり面白いです。

『ほのかのほ』も最終回でした。人見知りのほのかの話。友達つくるのも大変、そんなほのかの成長もの、といったらそうなのですけど、ほのかの友達、あかりの成長も描かれた。それが面白かったなって思うのですね。誰かを頼りにしてしまう、それも依存なら、誰かに頼りにされる、それも依存、なんていってもいいのでしょうかね。そういう、一件問題なく見える人だって問題を抱えていたというのは、とてもよかったと思うのです。というわけで、ふたりが抱えていた問題、それをふたりで乗り越えて、一緒にちょっと自立した。そうしたラスト、地味なんですけど、けどよかったなって思います。

『ハードボイルドになりきれない』、これも面白いです。探偵もの。やたらとしぶいおじさま、吾妻橋蔵前。けど、ちょっと見掛け倒しなところがあって、人見知り、苦いコーヒー駄目、健康にも気をつかってる。繊細な人ですよね。けど、ハードボイルド気取っていて、けど些細な出来事にでも心を揺らし、狼狽をあらわにしてしまう。かわいい人だと思いますよ。そのギャップ、というか、憧れに追い付けてない探偵の胸中はいかに、そうしたところを思うとより面白い、そんな風に感じるんですね。

  • 『まんがタイム』第31巻第8号(2011年8月号)

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