遅ればせながら、『大正野球娘。』がブームであります。まあ、自分の中だけでの話なんですけれど。昨年の夏季に放送されたアニメであります。一定の人気はあったと思っているのですけど、大ヒットとはならなかった。けど、私はこのアニメ、好きだったんですよ。女の子がいっぱい! だからじゃなくて、女の子が、私たちを女だということを理由に馬鹿にされるのはかなわないと、野球という相手の土俵に飛び込んで頑張っちゃおうという、その気持ちのまっすぐであること、それがよかったんだろうなって思うのですね。
さて、『野球娘。』の再ブーム、それはなんでかといいますと、Blu-ray Discを買ったのですよ。とりあえず1巻と2巻。ちょくちょく顔出してるCD屋さんにて、1巻2巻が半額になっていて、あまりにしのびなくて買ってきた。それで、特典DVDから見始めて、そのあまりのなんともいえなさにノックダウンくらって、それで本編見始めて、とりあえずの衝撃は、早稲田の野球部見学のシーンですよ。ノックのボールを食らった学生が盛大に鼻血を噴いている。ええーっ、鼻血なんて出てたっけか!? 後で録画を確認したら、やっぱり鼻血はなかったですよ。はー、そうかあ。BD/DVDで出すにあたって、鼻血など過激な表現を追加したんだ。と驚いたのでした。
そして、オーディオコメンタリー、これが最高でありました。出演は四人、声優三名+池端隆史監督で、この監督の存在が大きいなあと思うのですね。とりあえず見たのは第1巻第2巻だけですが、このアニメを制作するにあたって調べあげた大正の知識が、これでもかこれでもかと披露される、その説明が実に面白いんですね。当時の服装について、食事について、電気ガス等インフラについて、学制について、お金の価値など、もろもろが解説されることで、なるほどそういう感じなのかと、バックグラウンドがよくわかるんですね。いやね、第3話にて彼女らがセーラー服のままで試合するの、私、おかしな絵だなあって思っていたんですけど、これ、歴史的にはちっともおかしな絵面ではないんだそうでして、当時はセーラー服って運動服とみなされてたっていうんですね。だから、セーラー服で野球、変じゃないっていうんです。もう、衝撃。こうした、知ることで面白さの増すこと、他にもたくさんあって、第4話雨の日の小梅の羽織、えらい長いから今でいう雨コートみたいなものかと思ってたら、違うんだそうで、ああした裾の長いのが当時の流行だったんだそうです。はー、知らんかった。また、同じく第4話に出てくるたいやき、あれ、実在のたいやきがモデルだそうで、店も現存。すごいな! こういった、いわれないと気付かない仕掛け、いや、勘のいい人は気付くんだろうな、声優さん、あそこですかとコメントされてたものな、いやもう、EDのわんこも実在の有名わんこだそうで、うわあ、そりゃいわれないとわからねえ、ほんと聴くごとに面白いコメンタリーでありました。
知識が得られて面白い、それもコメンタリーの楽しみですが、出演者の感想、それが得られるところもまたよさですよね。いやね、出演者のみなさん、新進気鋭の職業婦人でいらっしゃる、その皆さんが女子を見下す風のある男子諸君に対し、こいつらー、というところ、そういう気持ちの見えるところ、やっぱりいいなと思うわけですよ。そしてまた野球についてのコメントもあり、役をするにあたり実際に野球を体験されてるんですね、ピッチャーマウンドからキャッチャーまでボールがちゃんと届くことのすごさ、バットをきちんと振れることのすごさ、いや、確かに当たり前みたいに思ってるけど、簡単じゃないですよね。そうしたことがわかってるっていうのは、登場人物、彼女らが最後に試合が成立するところまで持っていった、その努力を裏付けする、大きな要素になるんだろうな、などと思ったのですね。
とまあ、こんな具合に『大正野球娘。』、楽しんで見ています。とはいってもさ、ついこのあいだの連休中に通しで視聴したところなんですけどね。で、面白いなあ、BD買おうかなって思ってたんですね。で、そのBDなんだけれど、画質あんまりよくないんですね……。最初は、やっぱり綺麗だなあ、と思ったのだけど、繰り返し見ていたら、斜めの線にジャギーが目立つし、遠くの方で動いている絵に、捜査線っぽいっていったらいいの? なんか横方向に隙間ができるような荒れ方することもあって、さらにいうと、横方向にパンする時にがくがくするようなところもあって、なんでだろう、BDっていってもこんなもの? って思ってたら、なんかこれはSD画質をアップコンバートしたものであるそうで、さらにそれもあんまり質のいいものじゃないらしいそうで、この記事書くためにリスト作ってたら、そんなレビューを見付けてしまったんですけど、ああ、なるほどなあ、納得して、でもいいや、あるだけで充分だと思おう。放送より綺麗なのは間違いないと納得することにしました。しかし、こういうのって、まさに今がSDとHDの過渡期っていうことなんでしょうね。
数日中には『大正野球娘。4』も届きます。そんなわけで、私の『大正野球娘。』ブームは原作アニメともに進行中であります。
- 神楽坂淳『大正野球娘。』小池定路イラスト (トクマ・ノベルズedge) 東京:徳間書店,2007年。
- 神楽坂淳『大正野球娘。 — 土と埃にまみれます』小池定路イラスト (トクマ・ノベルズedge) 東京:徳間書店,2008年。
- 神楽坂淳『帝都たこ焼き娘。 — 大正野球娘。』小池定路イラスト (トクマ・ノベルズedge) 東京:徳間書店,2009年。
- 神楽坂淳『大正野球娘。4』小池定路イラスト (トクマ・ノベルズedge) 東京:徳間書店,2010年。
- アニメージュ編集部編『大正野球娘。 — 野球乙女手帳』(アニメージュ文庫) 東京:徳間書店,2009年。
- アニメージュ編集部編『大正野球娘。 — 乙女画報』(ロマンアルバム) 東京:徳間書店,2009年。
コミックス
- 伊藤伸平『大正野球娘。』第1巻 神楽坂淳原作 (リュウコミックス) 東京:徳間書店,2009年。
- 伊藤伸平『大正野球娘。』第2巻 神楽坂淳原作 (リュウコミックス) 東京:徳間書店,2009年。
- 伊藤伸平『大正野球娘。』第3巻 神楽坂淳原作 (リュウコミックス) 東京:徳間書店,2009年。
- 以下続刊
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