この春のこと、いよいよ春季のアニメがはじまる、ということで、なんかおすすめはないですかと聞いてみましたら、お友達が『四畳半神話大系』を強くすすめるのですよ。ほう、どんなのだろう、なんか不思議な感じのアニメ? 原作は小説らしい。どういったものかわからないけれど、とりあえず見てみよう。見てみたら、舞台は京都、べらぼうに面白い。大学の棒に振った二年間を何度でも繰り返そうという話。わあ、なんと羨ましい。私の棒に振った十年も、どうにかやりなおしたいものだ。なんて思ったのだけど、どうもこのお話、決断できない「私」、駄目なやつは何度やりなおしても駄目ってことなのかい? ああ、なんだか胸にしたたかつきささるものがあるよ。でも、それゆえに共感もあり、また諧謔も優しげと感じられて、面白いと思うのかもなあ。ええ、すっかり気にいっているアニメであります。
最初にもいいましたが、原作は小説。どうも、この小説が面白いらしい。そう聞いたものだから、文庫も買ってみたのでした。と、ここはまだ『四畳半神話体系』の話。ええとですね、例によって積み上げたのですよ。で、いつ読もうかなと、だらだらと時間を送っているうちにですね、どうも『夜は短し歩けよ乙女』が関連作なんじゃないかと気がつきまして、なにせ「黒髪の乙女」やら古本市のなんのかんのと、どこぞで聞いたキーワード。じゃあ、これは『夜は短し歩けよ乙女』から読んだ方がよさそうね。そう思い、またまた文庫で買い求めたのでした。昨日のこと。早速読みはじめて、ええ、癖のある文体、わざとでしょうね、擬古文調とでもいったらいいか、近代の作を彷彿とさせる調子でもって綴られていく、その話は現実からゆるりと非現実に踏み込んでいくあやしさがあって、なかなかに面白いじゃないか。続きが気になって、ページをめくっていったのでした。
で、それはいいんだけど、ついさっきのこと、この記事のためにリスト作っていて気がついた。なんと、『四畳半』の前に『夜』がくるんだと思ってたら、逆だ。『夜』の刊行されたのは2006年。『四畳半』は遡ること2年、2004年に刊行されていて、あああ、後から読み始めちゃったよ。って、まあいいか。小さいことは気にしない。
『夜は短し歩けよ乙女』が『四畳半神話体系』に関係しているのは間違いのないところ。なんせ、同じ登場人物が現れる。「私」が「私」で、「彼女」が明石さん、であると思ってるのだけど、このあたりはまだ判然とはしていない。あとは、羽貫さん、樋口師匠か。このふたりは既に大活躍していて、もちろん「彼女」も大活躍、って第一話表題作の主役は明石さんと思しき「彼女」であるのだものな。でもって、先輩、「私」はだらしがなくって、ああ、どうしてもこの人はこんな感じになってしまうのか、苦笑しながら、「彼女」の行動力、ちょっと普通からは外れていて、けれどのびのびと自分らしさ発揮して、夜の京都を闊歩する、その様子にはしっかりひきつけられています。
まだ読み始め、この本は多分話数を進めるにつれて面白みが深まる、そんな予感がするものだから、ちょっと情報封鎖して、新鮮な気持ちをともに読んでいきたく思っています。などといってるよりもはやく、仰々しさよりおかしみが先に立つ、そんな文章がきっと私をさらっていってくれることでしょう。
- 琴音らんまる『夜は短し歩けよ乙女』第1巻 森見登美彦原作 (角川コミックス・エース) 東京:角川書店,2008年。
- 琴音らんまる『夜は短し歩けよ乙女』第2巻 森見登美彦原作 (角川コミックス・エース) 東京:角川書店,2008年。
- 琴音らんまる『夜は短し歩けよ乙女』第3巻 森見登美彦原作 (角川コミックス・エース) 東京:角川書店,2008年。
- 琴音らんまる『夜は短し歩けよ乙女』第4巻 森見登美彦原作 (角川コミックス・エース) 東京:角川書店,2009年。
- 琴音らんまる『夜は短し歩けよ乙女』第5巻 森見登美彦原作 (角川コミックス・エース) 東京:角川書店,2009年。
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