2010年6月28日月曜日

『まんがタイムきららキャラット』2010年8月号

『まんがタイムきららキャラット』2010年8月号、発売されました。表紙は『ひだまりスケッチ』。ジェラート両手に持った乃莉ちゃんが、こちらに背を向け、そして振り返るという、その視線が魅力的だなと思うのだけど、それはちょっといたずらっぽいところがあるからなのかも知れません。このジェラート、かたっぽうは傍らにいるゆのさんのなのでしょう。三段に重ねたのが崩れそうになってる、焦るゆの、気付かない乃莉。と、こうした絵の周囲には、古くなったシールであるのでしょうか、周辺がはがれたり欠けたりしている、そんなモチーフが印象的で、ポップで、けれどちょっとレトロな雰囲気、とても面白い味を出しているなと思います。

GA — 芸術科アートデザインクラス』、なかなかに面白い、身近にある異世界の話。単純といえば単純な仕掛け。如月が眼鏡をなくしました。いや、それ、気付くだろう、そんな気持ちもありながら、けれどふと迷い込んだ不思議な世界の光景に、そうしたこともどうでもよくなってしまうのでした。新鮮というか異様というか、けれどそうした世界をも楽しんでしまう、受け入れてしまう度量があるのが如月なら、この人はたいした人なのだと思います。私なら、ああ不便、眼鏡探してすぐにでも復帰したいと思う。しかし、そうした合理一辺倒ではこうした世界は開けない。最後の最後の落ちにいう、如月の才能とはなになのか。それは眼鏡によって縛られるものではなく、眼鏡を失ってなお、その世界を受け入れて歩き続けられるところ、その心情、その大きさにあるのだと思ったのでありました。

『ちはやとまお』、新連載だそうですよ。これはとても嬉しいことです。中学生の千早と大学生の万桜のふたり暮らし。千早は天才で、けれど完璧ではなくって、というその塩梅が気にいっているのですが、対して万桜も同様で、千早のこと大好き、そしてちょっといろいろ頼りない。そんなふたりの、のんびりというか、でこぼこな暮らしが見ていてとても心地いいのですね。毎回の色々の出来事の、そのことごとを事実事実の積み重ねとして見るだけでなく、ただ彼女らのありようを、見て、感じて、ともにあるように近しさ感じられれば、それがよさとなるのじゃないかなと思うのでした。

『せいなるめぐみ』、単行本も出ましたね。さて今月号は、ひよりのおにぎりの威力炸裂であります。特段誉められてるわけでもないのに、あたかも誉められてるように喜ぶひよりは可愛いなと。そして、妹こよりと合流して、それはとても仕合せそうな光景なのだけれど、それが仕合せそうに見えただけに、ぽつりとこぼれた一言が切なくて。そして、聖の気持ちの強さも見えて、でもそれは最初から強かったのではなくて、強くならないといけなかったのかも知れないなと思える、そんな言葉の、気持ちの向こうに思いをめぐらせてしまう、そうした様子がやはり切なかったりいじらしかったりしたのでした。

それだけに、乙女の内面見透されちゃうところ、その微妙なおかしさ、それが救いであると思えたんですね。深みのあって、けれどただ深刻に落ちない、いい回であったと思います。

ラジオでGO!』、最終回です。前回のばたばたの状況、それがすっかり過去になった頃の話。番組も終わって、そして数年が経って、状況の大きく変わってしまった人、あるいは未だにあんまり変わらない人。同窓会ではないけれど、あの時のあの人たちのその後に触れていく、そんな様子に、ああ、あの楽しい日々は過ぎたのだね、落ち着いていく気持ちがありました。そしてラスト、最後に向かうその流れ、それは私の望んで思ったことそのもので、やさしく、余韻も感じさせる、そんなエンディングであったなあと思えて、とてもよかったです。しかし、番組潰したの、彼女だったのか。いかします。これ、こういった話、似たようなの聞いたことがあって、だからラジオを好きで聞いていた人にとっては、さもありなん! な展開、待ってました! なんでしょうね。本当にサービス精神旺盛な漫画でありました。

  • 『まんがタイムきららキャラット』第6巻第8号(2010年8月号)

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