2010年6月15日火曜日

君に届け FANBOOK

 君に届け』、DVD付き限定版と同日、ファンブックも発売されまして、ええ、もちろん買っています。『君に届け FANBOOK』。基本的に漫画についての本で、カラーページがあって、人物相関図があって、そして物語中のエピソードについての特集があって、結構面白い本でありました。こういうファンブックっていうと、登場人物や名場面紹介、絵が主体になるという印象があったのですが、この本に限っては絵というよりも心情がメインっていったらいいんでしょうかね、あのエピソードをこの人はこんな風に感じていたといった、異なる視点からの物語が語られる、エピソードを通して人物に着目する、そんな本であるのでした。

で、人物相関図ですよ。トモちゃん、遠藤朋実とえっこ、平野依里子、名前が入れ替わってない? 私が好きなのはトモちゃんです、だなんていってたけど、もしかしてえっこだった!? 慌てまして、第8巻巻末の人物紹介確認しようとして、なぜか1巻から読み直してしまって、もう感動。何度読んでもちっとも飽きない。もう、ほんと名作だな! とあらためて感心して、で、トモちゃんですよ。やっぱり相関図間違ってますって。もうすごく残念。トモちゃん、モブ扱いなのか? 独立した紹介がないの! でも、そんなトモちゃんが好きです。

この本で一番印象に残るのは、最初にいったエピソードの特集。エピソードというのも、出来事というよりも、恋や友達、恋敵などをテーマに、気持ちを軸としたまとめかたがされていて、『君に届け』という漫画はやっぱり気持ちメインなんだなと思える、そんな仕上がりなんですね。あるいは少女漫画がそうなのかも知れません。出来事の積み上げよりも、気持ちの積み重ねが重視されるジャンル。その端的なあらわれが、このファンブックでもあるのかな、そう思ったのでした。

気持ちの積み重ね、それは、意外に文字の多いところ、そういうところもそうなのかも知れません。視覚的なもの、絵で、キャラクターで伝えるのではなく、文字で心情を綴っていく。文は絵の添えものではなくて、文も絵も対等に支えあって、補いあって、協力しあっているという感想持ちました。かと思えば、カラーページでお菓子のレシピが! 驚きました。これって、作中に出てきた爽子謹製のお菓子再現ですよね。すごく自然にあらわれてくる。再現はクリスマスプレゼントの帽子やエプロンなんかもそうですよね。でも、ただ再現しましたというよりも、『君に届け』の世界を感じられるように、イメージをかたちにしてみました、といった方がらしい。ふろくやグッズ紹介も、資料集といった印象は薄いんですよね。うまく雰囲気をつくりあげていて、魅力的なページになっていました。

判型がコミックスと同じ新書サイズで、カラーページもそんなに多くはないのですが、インクの色も工夫されているし、見ていてものたりないってことはありませんでした。むしろ、今まで知らなかったファンブックのありかたを見るようで、それが面白かった。なかなかの充実度合いでありました。

  • 椎名軽穂『君に届け』第1巻 (マーガレットコミックス) 東京:集英社,2006年。
  • 椎名軽穂『君に届け』第2巻 (マーガレットコミックス) 東京:集英社,2006年。
  • 椎名軽穂『君に届け』第3巻 (マーガレットコミックス) 東京:集英社,2007年。
  • 椎名軽穂『君に届け』第4巻 (マーガレットコミックス) 東京:集英社,2007年。
  • 椎名軽穂『君に届け』第5巻 (マーガレットコミックス) 東京:集英社,2007年。
  • 椎名軽穂『君に届け』第6巻 (マーガレットコミックス) 東京:集英社,2008年。
  • 椎名軽穂『君に届け』第7巻 (マーガレットコミックス) 東京:集英社,2008年。
  • 椎名軽穂『君に届け』第8巻 (マーガレットコミックス) 東京:集英社,2008年。
  • 椎名軽穂『君に届け』第9巻 (マーガレットコミックス) 東京:集英社,2009年。
  • 椎名軽穂『君に届け』第10巻 (マーガレットコミックス) 東京:集英社,2010年。
  • 椎名軽穂『君に届け』第11巻 (マーガレットコミックス) 東京:集英社,2010年。
  • 椎名軽穂『君に届け』第11巻 アニメDVD付限定版 (マーガレットコミックス) 東京:集英社,2010年。
  • 以下続刊
  • 椎名軽穂『君に届け FANBOOK』(マーガレットコミックス) 東京:集英社,2010年。

DVD

CD

Nintendo DS

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