2008年5月28日水曜日

ふおんコネクト!

  ふおんコネクト!』第2巻発売! アレルーヤ! といっても、出ることは確実と確信していたので、ことさらに喜び庭駆け回る必要もないのですが、けどやっぱり嬉しいことですよ。『ふおんコネクト!』はマニア向け小ネタ多めにして、しかしそれだけにとどまらない広がりを持った漫画であります。小ネタに限らず台詞や書き込みも多いものだから、読むのに時間がかかるなんていわれたりもするようですが、けれどその時間のかかる漫画をことさらに時間かけて読んでいるのが私です。小ネタを満喫したいから? そうかも知れませんね。けど多分そうじゃありません。私が『ふおんコネクト!』を異常な時間をかけて読むのは、その描かれている世界に没入し、引きつけられるままにからめとられてしまっているからだと思います。

私の『ふおんコネクト!』の読み方は、なにをおいても反復が特徴的です。ひとつの話を読むにあたり、何度も何度も同じところをなぞって読んでいる。それはわかりにくいからではないのです。わかっても、理解できていても、まだ読む、同じ台詞を、立ち止まり足踏みするかのように読む、ひとしきり読めば戻る、その繰り返し。それは、私の気持ちが、時間に対し追いつかないからなのです。思うところが大きすぎて、一通り読み通す時間では到底足りないのです。だから、後戻りする。後戻りを繰り返しながら、私の感じたところが満足し、収まるのを待つというのでしょう。けれどこうした反復はなおも感動を後押しするから、もうまったく収拾がつきません。雑誌連載一回分、決して多くはないページなのに、それが何十分もかかったりするのは、この漫画が私の気持ち、心を捉えて、振り回すから。そして私は、抵抗なく、いやむしろ自分から飛び込むみたいにして振り回されている。それは、それだけの面白さ、よさ、感動があるからに他なりません。

第2巻はその傾向が強かったですね。雑誌であれだけ読んで、もう壊れたレコードみたいに同じところばっかりリピートして、それこそ目に映像を焼き付けるつもりかというほどに読んだのに、単行本でも読む、まだまだ読める。大枠を読み、流れを読み、細部に目を配り、登場人物に移入して、そして物語に戻る。ああ、もう、負けっぱなしだなあ。けれど、この負けたって素直に思える感じ、それはこの漫画の強さゆえですよ。読んでいる私をぐいぐいと引っ張る引きの強さ。ものすごいドライブ感があります。ドライブするもの、それは、キャラクターであり、小ネタであり、絵であり、張り巡らされた伏線であり、物語ろうとする意思であり、そして情緒。あらゆる要素が一致団結し、ひとつ目標に向かっている、そういうエネルギーが満ちている、そんな漫画であります。

ひとつ目標、そりゃなんだといわれれば、読者を喜ばそう、面白さを作り上げようということなんでしょうが、ちょっとそのレベルは超えつつあるかなというのが私の感じるところです。緻密に構成される物語が生き生きと動き、躍動する。そうした感覚を覚えることがあって、昔から作品をもってひとつの生命になぞらえることってありますが、本当にそんな感じがします。ああ、生きてるなあって思って、そしてこの生きた躍動が私をどこにつれていってくれるのか、たとえそのたどり着く先がわからなくとも、安心して身をまかせていられる。その信頼感のために、私は『ふおんコネクト!』に気を許し、耽溺するというのでしょう。読み終えた時には完全に心が開かれていて、楽しい話なら楽しさにあふれ、深く心に訴えるものなら声もなく、ただ感極まるばかり。そしてこの漫画がこれから先、なお発展し、広がりを持つというのなら、もう私はどうなっちまうのだろう。心配になるくらいですが、いやそんな心配なんのその、存分にやってくださいませい。壊れてしまうこと覚悟で、見事振り回されてみせますよ。

  • ざら『ふおんコネクト!』第1巻 (まんがタイムKRコミックス) 東京:芳文社,2007年。
  • ざら『ふおんコネクト!』第2巻 (まんがタイムKRコミックス) 東京:芳文社,2008年。
  • 以下続刊

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